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五条「ククク… ここが学園都市ですか」その7最初から→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」630 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:07:50.88
ID:eQLs4ySJO 刑務官という職業は因果なものだ。
部屋の隅で仏頂面のまま、こちらにチラチラと視線を投げている刑務官を眺めていると、心からそう思う。
誰か疑う事が職業であるという、世の楽しみの半分を否定された様な日常を送る彼らには同情を禁じえないが、特異点こそあるもののいち中学生である自分にまであんな眼差しを向けてくるとは、一体どういう心づもりなのだろうか。
次第に募る不快感を自覚し始めた時、強化ガラスに仕切られた向かいのドアがぎい、と重そうな音を立てて開き、拘束衣に身を包んだ一人の女性が姿を現した。
不思議そうな顔でこちらを見た女性と視線がぶつかり、その整った容姿に一瞬どきりとする。
──────礼を失している場合ではない。
椅子から立ち上がると丁重に頭を下げ、言葉を吐き出した。
『……ククク…お目にかかるのは二度目でしょうか……木山……春生さんですね 』
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:11:49.66 ID:60/HSi8KP
過剰防衛でついにぶち込まれたかと思ったら面会か
633 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:15:12.92
ID:eQLs4ySJO ────────────
七月二十六日 夏休み七日目
────────────
五条「それで……妙だと言うのは?」
肩まで湯に浸り、絞ったタオルを折りたたんで頭に載せる。
生傷が多少痛むが、歯を食いしばりながら湯の熱さに身体を慣らしていく。
ようやく終わりを迎えた狂宴の後、門限を気にし始めた白井に別れを告げ、インデックスを伴いやって来た銭湯でお互いの本日の成果を話し合あっている最中、上条がファミレスで呟いた一言に対し、問いを投げた。
上条「ああ、やっぱりおかしい。完全記憶能力って言ったよな、アイツの能力」
同様に、首から上のみをお湯から出した上条が始めた。
五条「……えぇ、そういった名称だったと記憶していますが……」
右腕を湯から出し、パチンと鳴らす。
途端に浴場の入り口から五つの影が飛び出して来て、次々と湯に飛び込んだ。
上条「おい!ちょっと待て!」
五条「……?」
上条「湯船に入れる前に身体を洗わせるだろ普通!」
五条「……ククク……オレとした事が、自宅の風呂の感覚でした……失礼を……」
────────────
638 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:18:07.30 ID:yiskpKkyP
ペンギン常に出てんのかよwwwwwwwwwwww639 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:19:09.71 ID:FlB2kRmGO
指パッチンでペンギン呼び出すとか女子の人気者だろwwwwwwwwww641 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:21:07.69 ID:zAd+C3J40
お前らのレス見なければ何が飛び込んだのかわからなかったわwwww642 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:21:47.48 ID:yels3sVZ0
てかペンギンて
キャプ翼のタイガーシュートみたいに
キックの時の気迫とかオーラで見えるものでも
ボールの回転で見えてくるものでもなくて
モノホン使ってんのかwwwwwwwwwwwwwww643 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:22:50.35 ID:CAGYTgRR0
>>642
五条さんは別格644 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:23:58.10
ID:eQLs4ySJO 一列に並んで洗面場に腰掛け、ワシワシとタオルで互いの背を洗いあっている企鵝達を眺めながら話を続ける。
五条「……それで、その完全記憶能力が……どうかされましたか?」
上条「……っと、そうだった。その完全記憶能力なんだけどな」
上条「調べてみたら、一般的にも稀に見られる能力みたいでさ」
洗面台の企鵝達が反転し、互いの背中を洗い続ける。
五条「……ほう……それで?」
上条「その能力が起因になって死んだ人間って、居ないっぽいんだよな」
五条「……ククク……」
上条「って言っても、十万三千冊だったよな。あいつが記憶している冊数」
五条「……ええ、そう伺いました……」
五羽の企鵝がタオルを絞り、順に浴槽へと飛び込んだ。
ざぶんと勢いよく飛沫があがる。
五条「……これ……公衆浴場です……もっと静かに入りなさい……」
先頭で飛び込んだペンギンがこちらを見た。
『すまねッス』
上条「!?」
五条「……?続けて下さい……」
上条「あ、ああ。その冊数が確かに一般的な完全記憶能力者と比較しても桁違いなのはわかるんだけどさ」
649 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:25:49.61 ID:GwCIdnCA0
プリニーだった650 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:25:48.89 ID:IfSE9zbv0
プリニーだと…655 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:29:28.25 ID:FlB2kRmGO
やはりみんな思考回路がつながっていたか
プリニーだな656 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:29:46.55 ID:JePp36se0
本来はペンギン型ミサイルだけど海の広さに比べればちっぽけな話さ657 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:31:13.62 ID:zwiUe6vp0
そりゃプリニー蹴り飛ばせばダメージはでかいわ・・・プリニーとは - ニコニコ大百科参照658 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:31:38.50
ID:eQLs4ySJO 上条「……それが……直接的な死因になる様な事って、あるのかなって思って」
五条「……ククク……お話はわかりました……」
上条「って言っても、ここで手詰まりだ。過去の症例を漁ってみたけど、それ以上の収穫は得られなかった」
五条「……」
上条「……なぁ、明日の夜中…なんだよな?あいつらが来るのは」
五条「……えぇ、28日午前0時、それがタイムリミットと言っていました……」
はぁ、とため息を吐き上条が頭を垂れた。
上条「……どうしたもんかなぁ……」
五条「……明日は……」
五条「……オマエは一日、彼女と居てやって下さい……」
上条「!なんでだy『最後になるかも知れないのです!』
少し語調を荒げて上条の言葉を遮り続ける。
五条「……万が一の事があれば、明日は彼女の記憶が最後の一日となる可能性があります……」
五条「……なればこそ……オマエは、彼女の隣にいてあげて下さい……」
665 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:39:49.66
ID:eQLs4ySJO 上条の肩がわなわなと震えている。
上条「……最後に……最後になるかもなんて言うなよッ……!」
五条「……すみません……少々配慮が足りませんでした……ですが、明日は一日オレが情報を収集してみます……」
上条「……頼んだっ……」
荒ぶりかける声を押し殺し、上条が言葉を吐き出した。
五条「……尽力しますよ……むしろ、オマエの方が責任重大ですよ……」
ざばあ、と湯を上がり、企鵝達と上条を残したまま洗面台に向かう。
五条「……彼女を、彼女の笑顔を……絶やさないでやって下さい……」
────────────
七月二十七日 夏休み八日目
────────────
『嬉しいです!五条さんから連絡して来てく下さるなんて!』
風紀委員第一七七支部内でPCの前に座る少女が言葉を発した。
『それで、私に何かお力になれる事が?』
頭部に色鮮やかな花の髪飾りをつけた少女、初春飾利に向かって来訪の用事を告げる。
673 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:48:16.72
ID:eQLs4ySJO 五条「……ククク……オマエの情報収集能力の高さは黒子から伺っています……」
初春「白井さんが?嬉しいですけど、お力になれるかどうかは……」
少し頬を赤く染め、照れながらえへへと頭を掻く少女に話を続ける。
五条「……脳医学者……超能力に詳しい、優秀な脳医学者を探して下さい……」
初春「……脳医学者ですか?」
五条「……ええ……」
彼女は腕を組み、少しの間うーんと唸りながら思案した後に言葉を発した。
初春「3日前、私が五条さんに助けて頂いた時の事を覚えていますか?」
五条「……ああ……あの胎児の化物の……」
初春「はい。その時に、白衣を着た綺麗な女性の方を見かけませんでしたか?」
五条(……)
(気を抜くな!まだ終っていない!)
五条「……!いましたね……結局、言葉は交わせませんでしたが……」
初春「はい。あの方は、優秀な大脳生理学の先生です。能力関連のお話ならば、あの方が最適だと思われますよ」
五条「……!!」
初春「今はまだアンチスキルに拘束されているハズですけど……少し待って下さい」
675 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 22:59:31.30
ID:eQLs4ySJO 彼女は言うなり携帯電話を取り出し、どこかへと電話を掛け始めた。
電話している彼女から目線を外し、きょろきょろと周囲を見回す。
初めて足を運んだが、ココが風紀委員第一七七支部か。
何という程の事もない通常のオフィスの様に見えるが、黒子も普段はここで事務仕事に勤しんだりしているのだろうか。
……まるで想像が付かない。
『話が通りました!』
嬉しそうに声を挙げ、邪推が中断された。
初春に目線を送ると、PCをカタカタといじりながら言葉を続けていた。
初春「風紀委員と言う名目で、接見が可能だそうです。今、地図を……」
けたたましい音と共にプリンタから一枚の地図が吐き出され、それを手に取った。
初春「風紀委員という事で、話は通してあります。そちらで木山さんと接見ができますので!」
五条「……ククク……助かりました……ありがとうございます……」
言うなり、初春に背を向け出口へと歩き出す。
679 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 23:07:07.89
ID:eQLs4ySJO 初春「!もう行かれるんですか?!」
五条「……すみません……あまり時間がありませんので……」
初春「……今度は、もっとゆっくり"遊びに"来てくださいね!」
肩越しに彼女を振り返ると、満面の笑みで手を振っている。
五条「……約束しましょう……ククク…」
────────────
木山「どこかで会ったか?」
五条「……ククク……三日ほど前に、原子原子力実験炉の前で……」
木山「……ああ、あの時の……」
五条「……状況が状況でしたので……ろくにご挨拶も出来ずに申し訳ございません……」
木山「……別に構わない……それで、今日は何の用事なんだ?」
五条「……お知恵を拝借させて頂きたい……能力が原因で、命を落としかけている少女がるのです……」
無表情だった彼女の表情に、一瞬驚きの色がさす。
木山「……話してくれ」
────────────
671 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 22:42:19.18 ID:FlB2kRmGO
フラグメイカーⅡの素質あるな680 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 23:08:24.11 ID:clR3FAYH0
本来なら上条さんに集中しているはずのフラグが、五条さんにも分散してるなぁ681 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 23:11:31.02 ID:yels3sVZ0
"遊びに"が意味深すぎてムスコが元気元気なんだが…688 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 23:16:19.17
ID:eQLs4ySJO ────────────
木山「なるほど……完全記憶能力か……」
五条「……ええ」
木山「……何例か関わった事はあるが、十万三千冊の本を暗記している?そこまでの例は初めてだよ」
五条「……」
木山「これは推論に過ぎないんだが……恐らくその記憶能力自体が原因になって、命を落とすなんていう事はないだろう」
五条「……本当ですか……!」
ふう、と息をつき、彼女が続ける。
木山「ああ……現に今その彼女はどうしている?元気にしているんじゃないか?」
五条「……ええ。ご明察の通りです……」
木山「……だが、覚えているものの内容次第では、命を落とす可能性が無いとも言い切れない」
五条「!!」
木山「例えばの話なんだが……人間の脳の記憶容量は、完全記憶能力者が60歳以上まで生活を送っていても、何ら容量には問題が無いほどのものだ。しかし…」
696 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 23:24:22.72
ID:eQLs4ySJO 木山「完全記憶能力者にだって、ストレスはあるだろう?」
五条「……」
木山「完全記憶能力を持った彼らが、その記憶力を以って何らかの巨大なストレスを抱えかねない原因になある様なモノを記憶し続けた場合……」
木山「精神の方が先に滅入ってしまう」
……最もな考え方だった。
しかし、魔道書等という眉唾な話をこの場で展開するのには時間が足りない上、普段のインデックスが魔道書自体にストレスを感じている様は見られない。
それどころか、むしろ自身の魔術知識を誇りに感じている様にも見て取れる。
この線は、恐らく薄いものだろう。
五条「……ならば……」
木山「?」
五条「……ストレス環境下に無い彼女が、突如生命の危機に晒される様な事があれば……」
木山「……恐らく、脳云々は無関係だろうな。先も言った通り、完全記憶能力は直接的な死因にはなり得ない」
『時間です』
結論が出ると同時に、刑務官が面会の終わりを告げた。
五条「……ありがとうございました」
701 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 23:34:16.82
ID:eQLs4ySJO 木山「……なに、構わんよ」
席を立ち一礼してドアに向かう。
『少年!』
不意に木山が声を挙げたので振り返る。
拘束具に身を包んだ彼女はにやりと笑い、言葉を続けた。
木山「頑張りたまえ……ここは退屈だ。良い結末になったら、また聞かせに来てくれ」
──────勝てる。
彼女との面会で得た情報は、充分過ぎる程のものだ。
五条「……ククク……必ず……また来ると約束しましょう……」
彼女に言葉を返し、部屋を後にした。
おおよその推論は、もう頭の中で組みあがっている。
ふと時計に目をやると、その針は午後二時を少し回った所に差し掛かっていた。
市外をうろつきながら見つけた一軒の喫茶店に入り、アイスコーヒーを注文し、奥のソファにどしりと腰掛け携帯電話のボタンを押す。
五条(さて……これで詰めれば良いのですが……)
────────────
702 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 23:35:40.03 ID:X5b1xF610
あの眼鏡を光らせながら勝てるって言われたら説得力強過ぎる720 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 00:42:24.10
ID:PV9Snj1EO 五条「……お忙しい所をすみませんね……」
ひと気の無い喫茶店で、テーブルを挟んで向かい側に座る女性に目を向ける。
昼の街中で向かい合うにはあまりに刺激が強く、また同席するのにも周囲の奇異の視線を気に掛けなければならない女性、神裂火織に向かい言葉を続ける。
五条「……ククク……」
神裂「いえ、尽力を申し出た以上は構いません。それで、私が呼ばれた用件をお伺いしてよろしいでしょうか?」
緑茶をすすり、一息を吐き出した彼女が口を開く。
五条「……ククク……一つは、科学側から推測出来ない、インデックスの異常の原因を、共に推測して頂きたく思いまして……そしてもう一つは……」
ポケットから、昨夜洗濯してアイロンをかけたハンカチを取り出し、両手を添えて彼女へ差し出す。
五条「……ありがとうございました……」
鋭さを帯びた彼女が、目を丸くし、はあとため息を付くと、柔らかさを帯びた表情でハンカチを受け取る。
724 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 00:48:28.66
ID:PV9Snj1EO 神裂「別に返却頂かなくても構わなかったのですが……律儀な人ですね、貴方は」
受け取ったハンカチをジーンズのポケットへしまい、彼女が続けた。
神裂「それで、もう一つの用件に関してですが……」
五条「ええ……科学側の大脳生理学の権威に話を伺ったのですが……」
五条「……どうであろうと、完全記憶能力自体が誰かを殺す事はありえないそうです……」
彼女の表情が、柔らかさをおびたソレから一気に険を帯び、鋭さを感じさせるものへと変化する。
神裂「……では?」
五条「……我々は以前の詳細を知らないので何とも申し上げられないのですが……インデックスの命が脅かされているのであれば、完全記憶能力以外の要素の線が濃いかと思われます……」
神裂「……」
五条「……考えられる可能性としては、第一にストレスが挙げられます……しかしこれは、彼女の普段の生活を見ているとあまり考えられるものではありません……加えてストレスが起因となり体調を崩されるのであれば、事前に何らかの前兆があってもおかしくはありません……」
728 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 00:55:04.26
ID:PV9Snj1EO 五条「……次にオレが考えたのが、彼女が記憶している魔術書です……魔術に関してはあまり明るくないのですが、きっと彼女が記憶している魔術書は禁書と呼ばれる程に危険なものも含まれているのでしょう……?」
五条「それらの記憶が彼女に害を成している可能性を考えたのですが……」
意見を求める様に、神裂に目線を送る。
彼女は思案する様に口元に手を当て暫し静止し、言葉を吐き出した。
神裂「……私も全てを知るわけでは無いのですが、確かに禁書の中にはその知識を得ること自体、そしてその知識を行使すること自体が危険性を孕むものが存在します。」
神裂「しかし彼女に関しては、その知識を行使しようとする事も考えられませんし、歩く教会を纏っている上、元来の魔力を護身の自動書記に当てている為、知識程度で呪いの影響に苛まれるとは……考えられません」
五条「……ククク……となると、考えられるのはそれ以外の外的要因となります……」
神裂「……」
ミルクとガムシロップが底に沈殿しているアイスコーヒーをストローで軽く攪拌し、一口啜る。
729 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:01:48.82
ID:PV9Snj1EO 五条「……視点を変えましょうか……オマエたちが所属している魔術結社……確か必要悪の教会(ネセサリウス)と言いましたね……そこよりオマエたちは…… どう伺っているのですか……彼女について……」
神裂「……彼女の、インデックスの脳の85%は、常に魔道書で占められており、残りの15%を利用して、生命を保っていると……」
五条「……ええ」
神裂「そして増え続ける記憶が、その15%を圧迫してしまうと、彼女の生命が……危機に晒されると……」
五条「……ククク……オレが上条から伺った情報と完全に一致していますね……」
神裂「……」
五条「……それ以上の情報はありますか……?」
彼女は目を伏せるとふるふると首を横に振った。
その表情からは、若干の悔しさの念が見て取れる。
五条「……これは、推論の域を出ないのですが……いえ、時間が無い……断定してしまいましょう」
彼女の目を見据え、大きく息を吸い結論を吐き出す。
五条「……今の話でうすうすは感づいているでしょうが……」
五条「……オマエたちは、嘘を吐かれています」
神裂「ッ……!!」
732 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:08:22.14
ID:PV9Snj1EO 五条「……ククク……必要悪の教会(ネセサリウス)とはよく言ったものです……考えてもみて下さい……十万三千冊という膨大な魔術知識を持った彼女の存在そのものを……」
五条「……こんな事を言葉にしたくはありませんが……動く核兵器……いえ、魔術はあまり明るくありませんが、オマエやステイルを見る限りでは、その脅威はそれを凌ぐものと考えても過言では無いでしょう……」
確認する様にチラリと彼女の目を見る。
伏し目がちになっている彼女がこちらの目をみても何の言葉も発しない。
肯定か。
五条「……そんな彼女が人間としての感情を持ち、外界を闊歩している。当然彼女は人間として誰かを好きにもなるでしょうし……情が移った相手のため、自身の知識を利用しようと考える事もあるでしょう……」
五条「……オレがオマエ達の頭なら、自身を裏切りかねない他者との情なんて、そんな厄介なモノは封殺してしまいますかね……例えば"記憶を消したりして"……」
神裂「~~~!!」
肩を震わせた彼女が、頭を垂れる。
前髪で目元が隠れ、表情が伺えなくなった。
736 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:14:56.35
ID:PV9Snj1EO 五条「……当然表向きはそんな非人道的な事は猛反発を受けるでしょう……ならば、次は事実の隠匿です……さぁ、どうしましょうか?……ククク……」
少しの間を置いて、頭を垂れたまま彼女が言葉を吐く。
神裂「……記憶を消さねば……彼女が死ぬと……!」
五条「…………」
神裂「……」
ぽつり。
沈黙が支配するテーブルの上に、不意に滴が落ちた。
神裂「……ならばッ……」
神裂「何だったというのですかッ……私とステイルの行動はッ……!」
ぽつり、ぽつりと、テーブルの上を水滴が濡らす。
神裂「……あれだけ彼女の為を思いッ……あれだけ彼女の為に悪を演じてッ……!!」
神裂「あんなにもッ……あんなにも怖がる彼女をッッ………!!!」
頭を垂れたまま肩を震わせ、声を殺した嗚咽を上げる彼女。
五条「……今度は……」
五条「……今度は……オレが貸す番ですね……」
自身のポケットからハンカチを取り出し、彼女へと差し出した。
────────────
734 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:11:18.18 ID:62UkgXl+O
ちょっとまて
五条さんってゲーム内でもこんな頼りになる人なの?
いくらなんでもイケメンすぎて信じられなくなってきた740 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:20:30.10 ID:+9aDwsS60
五条さんぺろぺろ741 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:20:50.16
ID:PV9Snj1EO 五条「……ククク……落ち着かれましたか……?」
しばらくの間、嗚咽を押し殺して泣いていた彼女の様子が変わったのを見て声を投げた。
神裂「はい……みっともない所をお見せしました」
彼女が顔を上げる。多少赤い目をしているが、幾分か楽になったのだろう。すっきりとした表情で、こちらを見据えてくる。
五条「……構いませんよ……それで、今後の話なんですが……」
五条「……記憶の消去はきっかり一年周期で行い、それが今夜なのですよね……?」
神裂「はい。今夜零時に記憶の消去を行なう予定でした」
五条「……ククク……それでは、余裕をもって今夜二十二時に再度……そうですね……昨日ステイルと戯れた川沿いの場所に来て頂けますか……」
神裂「……?」
訝しげな表情を浮かべる彼女に言葉を続ける。
743 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:26:15.16
ID:PV9Snj1EO 五条「……彼女を、インデックスを脅かす異能を殺せる可能性のある男を一人知っています……」
神裂がはっとした表情を浮かべた。
五条「上条……上条当麻です……刻限が迫る前に、彼の力を使って異能の除去を試みようかと思います……」
五条「ああ……オマエ達の本部には、この連絡は入れないで下さいね……余計な妨害を企てられる可能性もありますので……」
神裂「わかりました……では私達は?」
五条「……鬼が出るか、蛇が出るか判りません……そして魔術的なものの除去となるのでしたら、知識がある人間が傍に控えていてくれた方が心強い……」
言って、コーヒーを飲み干す。
五条「ああ……これはついでですが……インデックスの誤解も、解いておきましょうか……」
神裂「!!……しかし……」
五条「……しかしもへちまもありはしません……ここで道を重ねた以上……オマエ達がこれ以上逃げる事は許しませんよ……ヒヒヒ……」
神裂「……わかりました……覚悟しておきましょう……」
神裂の返事を聞き、同時にテーブルを立つ。
会計を済ませて共に外に出ると、日は若干西に傾き、街にさす陽光が僅かながらに暖色を帯びていた。
746 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:32:27.94
ID:PV9Snj1EO 隣でまぶしそうに目を細めている神裂に話しかける。
五条「……そういえば……ステイルは何をされているのですか……」
神裂「ああ……彼は夜に向けて静養しています。もっとも、昨日の傷の影響も多少はある様ですが……」
言ってこちらを向いた神裂と目線がぶつかった。
彼女が柔らかく微笑んで口を開く。
神裂「ふふ……本当に不思議な人ですね、貴方は」
五条「……?自覚の無い事を仰いますね……ヒヒヒ……」
神裂「こういった場所で男性に泣かされたのは初めてでした。では」
優しい笑顔を一層と強めた彼女が踵を返して歩き始めた。
五条「……また後ほど……」
彼女の背に言葉を投げると、自身もまた踵を返して歩き始めた。
────────────
747 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:34:34.22 ID:5NFjIhIh0
女泣かせ、か748 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:35:55.15 ID:3faGg9wx0
初めて女教皇を泣かせた男五条さんマジかっけーっす!749 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:38:10.78
ID:PV9Snj1EO ────────────
手近なラーメン屋で遅めの昼と早めの夕食を済ませ、一旦自宅へと帰り、ベッドへ身体を横たえ時計を眺めた。
午後の五時も半ばに差し掛かっている。
上条とインデックスはギリギリまで二人でいさせてやった方が良いだろう。
二人の説得を含め、神裂達との待ち合わせの場所に向かうまでの時間を考慮して、八時半には上条たちと合流しておきたいところだ。
普段使わない頭を使い過ぎたせいで、少し疲れた。二時間ほど休もう。
そう思い立ち一旦上体を起こし、枕もとのクレードルへ携帯電話を差し込む前に手が止まった。
五条(……時間もありますし、誰かに電話でもしてみますか……)
>>755
1.黒子に電話をする
2.初春に電話をする
3.美琴に電話をする
4.上条(月詠宅)に電話をする
5.神裂に電話をする
6.ステイルに電話をする
7.やっぱりやめて寝る
751 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:39:58.14 ID:bpFVUaXO0
ここでアンカーだと・・・?753 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:40:04.26 ID:TEnZ/yo/0
えっ755 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:40:11.09 ID:N437XFu+0
1758 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:40:38.23 ID:9nY0Kem90
黒子は最後にとっておく
3759 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:40:39.13 ID:h08OtIgU0
おまえらはやすぎでござる760 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:40:43.19 ID:5jVXSQD60
まさかの安価と思ったら既に終わってた770 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:55:18.29
ID:PV9Snj1EO 携帯電話を手に取り、呼びなれた番号をコールする。
『trrrr....trrrr....』
『はい、どうされたましたの?』
数回の呼び出し音を経て、聴きなれた声が耳に届いた。
五条「……ククク……いえ、特に用事は無いのですがね……」
『はぁ……何か悪いものでも食べましたの?』
五条「……ククク……バレましたか……」
『!?……何を食べられたのですか!?』
五条「……ご冗談ですよ……別に悪い物を食べてはおりません……」
『~~!……あなたという方はッ……』
五条「……ククク……アーッハッハッハ!」
『……笑うところではございませんのっ!』
五条「……黒子」
『はい!?なっ……なんですの!?』
五条「……いつもありがとうございますね……ククク……」
『……おっ……お互い様ですわっ!どうされたのです急に!?』
五条「……いえ、特に理由は無いのですが……」
『……会話がループしそうで怖いですわ』
771 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:56:21.24 ID:jcIGZd210
あれ五条さんなんかフラグ立ってませんか・・・・?772 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 01:57:13.56 ID:Sz8guUWw0
もう、五条さんたら罪なお方!774 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 01:59:47.91
ID:PV9Snj1EO 五条「間違いありませんね……ヒヒヒ……」
『……ところで、今はお暇ですの?』
五条「……少しならば時間はありますが……この後にまだ一件約束が残ってましてね……」
『はぁ……なら改めますわ。今度お時間のよろしい時に、一度お付き合い下さいまし』
他愛の無い会話をしていると、次第に睡魔が近寄って来ているのを感じた。
五条「……わかりました……また連絡して下さい……」
『……よろしいですわ、ならわたくしからまたご連絡しますの』
『では私はこれで……』
五条「……えぇ……また……」
電話を切り、瞳を閉じる。
起きたらすぐに忙しくなるだろう。
眠りに落ちる直前に聞いた黒子の声が、優しく耳に響いていた。
──────fin──────
777 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 02:01:54.83 ID:/aUrpfO40
乙
やはりメインヒロインは格が違った!779 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 02:03:03.68 ID:5NFjIhIh0
悪いものも食べてないけど、ハンバーグも食べてない784 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 02:06:48.07
ID:PV9Snj1EO 書ききれねえェエ―――ッ!!
本日も遅くまで保守&支援を頂きました皆様
関係者各位の皆様
本日も誠にありがとうございました
何とか今夜中にはインデックス編はかたしたかったのですが、力及ばずで申し訳ないです
誤字・脱字・重字の多さと自身の遅筆っぷりにフルボッキでございます
フルボッキでお嬢に一票入れます
さて、インデックス編完結の次回ですが、本日と同じく午後十時より開始させて頂こうかと思いますので、懲りずにお付き合い頂ければ幸いです
それでは、遅くまでお疲れ様でした
786 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 02:07:46.94 ID:jcIGZd210
>>784
お疲れ様です788 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 02:12:37.19 ID:62UkgXl+O
期待して待っとるんよ792 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 02:33:49.12 ID:vP95XvEwO
乙です
最終回期待793 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 02:35:59.42 ID:5NFjIhIh0
>>792
評価する810 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 11:54:11.92 ID:Y367vMd60
>>792
五条さんじゃなかったら脅迫電話してるようにしか見えないな795 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 03:27:55.80 ID:BF1oM3m00
>>792
やるやん812 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 13:53:05.06 ID:gyy3o5R50
. <三二ニ= - .
. <―=ニ二二三三ニ≧ . rz、
/―=ニ二二三三ミ、沁沁沁ヽ | |_-、
/―=ニ二二三三≠ニミ、沁沁沁ヘ />― ’
,'=ニ二三三≧\≠=…ミ、沁沁沁ハ { (
;ニ二二三三<´ ` ヽ 洲洲洲 ゝニニニ!
lニγ¨Y//// j| :!洲洲洲:! ______
|ニ:{ j {:!///" ィ=ミ、込 _ノ彡厂ヾ:リ .|r _,、 rァ rァ 、| ‐匕_
jニ∧ヾj.// { リ入三彡': : :.ノ′ .|| 「| |┘‐=| |jノ | Z (乂 )
, ィ―/三彡、: / ゝ _ ノ≠、,≠z、: :/ .||」¨l」「r^l 1 r- | c_)
. . < ://〈≠'" l _ У⌒{i j}/ |「| ト, L=」 | :! :| ____, 、
////.///∧ . ' 、 r ,:ゞ._ ノ || !.「/ 7ト ), :|、j|| | |
. . < >//:///.∧ ∧ \ ヾ _ ノ: : :/ ト /イ 」 / 廴ノ| _,| |__r、
/ /γ///:>< //∧ //ヘ 、ヾミトェェェイ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | |
.://! :|////////:>./∧ ///ヘ. 丶  ̄´/ サ T 十` __,| |__,| | ィ、
://.! :|///////////\ヘ /////.ヘ ' ッ エ .水  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
//∧:∨/////////∧//\ _ ,イ/>ー< 、 カ ,__
///∧:∨/////////∧///ヽ// {/_____Ⅵ、 | lヨ lヨ ノ又<_
////∧:∨/////////∧ ̄ ∧./j///////// \ バ | 豆寸j _.≦z「仁ニ
/////∧:∨ rz/////_ム///∨////////////ヽ ト __ ノイ |」 ゞ=
//////∧:∨J<  ̄ __∨___ ////////////ハ ル lア | | _
\:////// .___  ̄ ̄ ∨__ }.///// ////// , _ 」:L、―| |一 γ ¨7〉 ¨ヽ
|丶:///:| ¬ | ===∨‐┴‐.、/ / /////// ! ¨ 1:|ィ_j L,、 {i // }|
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l.:.:.:∧〈 /.イ \/////////>< j///////// ! `ヽノ ./イ ヽ>
813 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 14:00:55.75 ID:tbiOVUjG0
>>812
あの絵のAAできたのかw814 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 14:35:18.95 ID:SPhvlIyD0
>>812
すばらしい・・・!824 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 19:58:26.43 ID:HcHi0Cel0
>>812
GJ!819 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 17:39:14.02 ID:HWJ845V9O
興味本位で描いた五条さんが、おいww
ありがとうございます。805 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 07:04:32.59 ID:k2Fb7WxH0
最後に食べるハンバーグ弁当は涙の味がしそうだな
続きは読みたいけど
物語が終わって欲しくもない……上手く言えないけど、五条△806 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 07:40:54.98 ID:2FDaNL5eO
安価で話決めるのは好きじゃないが本編に支障をきたさない程度のイベント安価はいいな
楽しい798 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /29(月) 04:36:06.11 ID:9jIZMpdY0
インデックス編ってことは・・・期待しても良いんですね?次→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その9
プリニー ~オレが主人公でイイんスか?~ スーパーマンガデッサン―作画のための考えるデッサン アニメ作画のきほん (~キャラクター&メカ~) イナズマイレブン3 世界への挑戦!! ジ・オーガ イケメン≠モテメンの新常識
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