五条「ククク… ここが学園都市ですか」その9

2010-12-01 (水) 12:21  禁書目録SS   12コメント  
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ObsceneGuild -片翼の堕天使-


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838:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 22:05:15.67 ID:QaVGWjtTO
未だ少し残る眠気を、熱いシャワーで無理やりにこじ開け、髪型を整えて着慣れたサッカーウェアに身を通す。

時計を眺めると、時刻は七時の半ばをさしていた。

ブラインドから覗く街には夏とはいえ既に夜の帳が下りていて、マンションから見下ろす街灯の一つがせわしなくチカチカと点滅している。

ここに住み始めてから半年以上の時を経たが、街灯を交換するロボットというのは見たことがない。
存在しないのだろうか。

軽く頭を振ってどうでも良い思考を振り払い、携帯電話を取りだすと、市内局番から始まる番号をコールした。

────────────
七月二十七日 夏休み八日目
────────────



840:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:06:28.44 ID:SEfEtTeJ0
普段の服装きになってたけど、ユニフォームなのか



841:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:06:39.66 ID:GzIKezjY0
やっぱりサッカーウェアかw



844:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 22:14:30.18 ID:QaVGWjtTO
タクシーの運転手に礼を述べ、眼前の古びたアパートの階段を、極力音を殺しながら駆け上がる。

同様に古びたドアを静かに開くと、修道服を身に付けたままベッドに横になり、苦しそうに小さな胸を上下させているシスター インデックスと、それを見守る様に膝を抱えて座っている上条当麻の姿があった。

五条「……これは……!?」

上条へと目線を送りながら問いを投げる。

上条「……夕方を過ぎた辺りで急に倒れたんだ……それから意識が戻んないでッ……!」
五条「……わかりました……」

部屋へと上がりこみ、インデックスの額に手を当てる。
苦しそうな様子こそ見て取れるが、熱を帯びてはいない様だ。

想像以上に時間が切迫している。
可能ならば、一刻も早く彼女をこの苦しみから解放してやりたい。

五条「……ククク……頑張って下さいね……」

言って、意識の無い彼女の頭を優しく一度撫でた。

上条「なぁ、今日一日情報収集に当たって、何か収穫は……?」

上条が、焦る様に言葉を投げてくる。

五条「……間違いありません。方々を当たって調査しましたが、彼女を今苦しめているのは完全記憶能力ではない、という結論に達しました……」



846:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 22:24:40.29 ID:QaVGWjtTO
上条「!それじゃあインデックスは!?」
五条「……ええ、何らかの外的要因にて、命の危険に晒されていると考えるべきです。そこで……」

五条「……オマエの右手の出番ですよ……」

上条が目線だけで人を殺せそうな程真剣な表情となり、右手を幾度か開閉し、言葉を発する。

上条「……わかった。で、どうすれば?」
五条「……ククク……急く気持ちは理解しますが、少しお時間を下さい……」

言い終え、懐から携帯電話を取り出し、先刻別れた女魔術師の番号をコールする。

『trrrr.....trrrr.....』

五条「……あ、それから……」

呼び出し音を耳にしながら上条を振り返る。
五条「……これから見える客は味方です……狼狽しないで下さいね……」

────────────

アパートの一室に、所狭しと五人の人間が顔を見合わせていた。

居心地の悪そうな表情を浮かべる幻想殺しの右手を持つ上条当麻。
意識を失ったまま苦しそうな様子を浮かべるインデックス。
背筋を凛と伸ばし正座している、七天七刀を携えた神裂火織。
立ち上がったまま、しかめっ面で煙草をふかすステイル=マグヌス。



848:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:29:41.63 ID:GzIKezjY0
そして悪魔のような顔を持つサッカーウェアの男、五条勝



849:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:33:21.23 ID:Ai/sN0H8O
悪魔の顔に正義の心、五条勝



850:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 22:33:31.57 ID:QaVGWjtTO
そして、サッカーウェアに身を包み、いつも通りの笑みを浮かべている五条勝。

上条がおもむろに口を開く。
上条「……なぁ、これってどういう」

五条「……恐らくインデックスを苦しめているのは、魔術的な要素です……時間一杯まで彼らの力を拝借して、脅威の除去に当たろうかと思います……」

上条へ説明をした後、神裂へと視線を投げた。

五条「……予定より早まってしまい……また、場所がこちらになってしまいすみませんね……」

真剣な表情のまま神裂が返す。
神裂「いえ、構いません。私達も、これ以上彼女が苦しむ様を見たくはありませんので」
ステイル「……去年と同じ状態だ。わかっているねゴジョー?もしこの試みに失敗したら……」

五条「……ええ、その時はお願いします……」

上条「ちょっと待てよ!失敗なn『失敗はさせません!』」
語調が強くなった上条の声を更に強めの語調で遮る。

五条「……オマエの右手次第ですが……」

言葉を遮られた上条はバツが悪そうにボリボリと頭を掻いている。

五条「……ククク……それでは神裂さん……」



859:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 22:44:01.52 ID:QaVGWjtTO
神裂「はい」

五条「……彼女の身体に、魔術的な形跡がないか、調査をお願いします……我々は外に控えておりますので……」

言い終え、上条とステイルと共に部屋の外へと退出した。

三人の男が仏頂面でアパートの廊下に並ぶ光景は、間違いなく近隣住民の皆様の不評を買いかねないものだが、今はそうも言っていられないだろう。

ステイル「……おかげ様で、未だ煙草のフィルターが赤く染まるんだ」
気まずい空気を払う様、煙草を咥えたステイルが毒づいた。

五条「……ククク……私も先刻ラーメンを食したのですが、頬が痛くてたまりませんでした……」
クっ、と小さくステイルが鼻で笑うのが聞こえた。
幾分か空気が弛緩したのを見て、次いで上条が口を開く。

上条「……なぁ、そういえば聞いてなかったんだけど……」
上条「お前らって何歳なんだ?」

上条「……五条は中学生だから十台後半だろ……?多分……」

『14です』
『14だ』

ステイルと共に言葉を発した途端、上条の表情が凍りついた。
互いの年齢を初めて知った二人の視線がぶつかり合う。



863:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:49:54.47 ID:GzIKezjY0
ステイルさんはガチで2メートルの喫煙家14歳だからなぁ



860:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:45:35.32 ID:GzIKezjY0
中学生で10代後半っておかしくね?



864:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:50:06.82 ID:glkjnefe0
15歳も10代後半じゃね



865:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 22:52:55.02 ID:GzIKezjY0
>>864
そうだけど何か違和感が
この言い方だと中学生は皆10代後半っぽいと言うか




866:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:2010/11 /29(月) 22:53:57.05 ID:UpfWilAO0
>>865
そうケチつけずに楽しめ・・・・純粋に・・・・!




867:五条ファン ◆APKLrJzDFw :× 十代後半→○十代前半で:2010/11/29(月) 22:54:39.38 ID:QaVGWjtTO
ステイル「……同い年なのかい?ははは、まさかこんなに老けた14歳がこの世に存在するとはね」
皮肉っぽく笑いながらステイルが呟いた。

五条「……ククク……未成年が煙草を吸うのは関心出来ませんね……大きくなれませんよ……もやしお坊ちゃん……ヒヒヒ……」
呟きを聞いて言葉を返す。

『……ククク……』
『……フフフ……』
『アーッハッハッハ!』

二人でおかしそうに高笑いを上げた時、がちゃりと音を立てて部屋のドアが開いた。

神裂「見つけました。こちらへ」
真剣な面持ちの神裂が、入室を促す。

抱えたサッカーバッグからボールを取り出し、小脇に抱えてドアを潜った。

────────────

神裂「彼女の口の中、上顎部に、自動書記のそれとは異なる何らかの魔術式の存在を確認しました」
入室した三人の表情が凍りつく。

上条「それじゃあ……」

神裂「えぇ。そちらが彼女を脅かしている原因と断定して、まず間違いないでしょう」
ごくり、と上条が息を呑む音が聞こえた。

ステイル「Fortis939ッ(我が名が最強である理由をここに証明する)!」



874:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:01:45.81 ID:QaVGWjtTO
ステイルが叫ぶと同時に夥しい数のカードが宙を舞い、見えない竜巻に巻かれる様にステイルの周囲を回転した後、べたべたと部屋中の壁を覆った。

パチン。

指を鳴らすと同時に、部屋のドアを開け殺到した五匹の企鵝が、眼前に隊伍を組んだ。

神裂「最終確認です。もしもこの魔術式が、教会の悪意によって組成されたものである場合、これを除去しようとした際、何らかの防衛反応が考えられます」

神裂「もうよろしいでしょうが……各自、お覚悟を」
神裂「Salvere000ッ(救われぬ者に救いの手を)!」

刀の柄に逆手を当てた神裂が叫ぶ。

上条「……」

インデックスの隣に座った上条が、優しくインデックスの髪を撫でた。

上条「……辛かったな、今まで。」
上条「きっとオマエだって普通に生きて、普通に笑って……」

上条「……そんな生き方を望んだ事だってあったんだろ?」

上条の表情に、ふっと優しい色が降りる。

上条「……ごめんな、あの時、胸を張って地獄から助けてやるって言ってやれないで……」



879:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:08:25.27 ID:QaVGWjtTO
上条「今度は……今度は必ず、地獄から救ってやるって約束するから……」

上条「終ったら、お腹一杯ご飯食べに行こうな……」

上条「だから……オマエを、今オマエを苦しめている……」

上条「その幻想をぶち殺すッッッ!」

決意を固めた表情で、上条の指が少女の口中へと伸びる。

────────────

刹那、上条は大きく何かに弾かれて尻餅をつき、真っ黒な靄を纏ったまま、少女の身体が宙に浮き上がった。

上条の右手は血にまみれ、見えない糸に操られているかの様に宙に浮かぶ少女の碧眼には赤い色の光が宿り、何らかの魔術式を浮かび上がらせている。

次第に身に纏う靄を青みがかった光へと変えた少女が、ふわりと宙を踊る。

彼女が舞った後より遅れて発生した一陣の衝撃が、部屋のドアを吹き飛ばし、また部屋中の家具を一瞬にして舞い上げ、その光景を惨憺たるものへと変えていった。

身構えていた三人が押し下げられ、宙を舞っていた彼女が口を開く。

『警告。第三章第二節。第一から第三までの全結界の貫通を確認。再生準備──失敗。』

先の衝撃により吹き飛ばされた上条が、家具の下から這い出てくるのがわかった。



886:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:14:15.96 ID:QaVGWjtTO
『自動再生は不可能。現状十万三千冊の書庫の保護の為、侵入者の迎撃を優先します。』

ステイル「……自動書記!?十万三千冊が相手か……最悪の状況だね……」

『書庫内の十万三千冊により、結界を貫通した魔術の術式を逆算──失敗。該当する魔術は発見できず。』

上条が立ち上がり、三人と少女の間を塞ぐ様に立ちはだかる。

『術式の構成を暴き、対侵入者用のローカルウェポンを組み上げます。』
『侵入者個人に対して、最も有効な魔術の組み合わせに成功しました。』

甲高い音と共に、少女の眼前の空間に、赤い光で魔方陣が浮かびあがる。

『これより特定魔術、聖ジョージの聖域を発動。侵入者を破壊します。』

ばりん、と一際甲高い音が響き、魔方陣の目前の空間が赤黒くひび割れた。
次いで、少女の纏う光が僅かにその輝きを増すと、眼前の魔方陣より一筋の閃光が上条へ向けて放たれる。

放たれた閃光に対し上条が右手を掲げると、閃光はその右手に当たり、周囲の空間へと飛散していく。

上条「ぐッッッ!!」
打ち捨てられた廃墟の様に散らかった部屋に、たまらず吐き出された上条の苦悶の声が響き渡る。



888:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:20:43.27 ID:QaVGWjtTO
五条(……凄まじい……あれは俺でも蹴れるかどうか……しかし防げていますかッ……!)

神裂「……あの娘が魔術を……」
ステイル「……これで間違いないねッッ!」

『聖ジョージの聖域は、侵入者に対して効果が見られません。他の術式に切り替え、侵入者の破壊を継続します。』

少女が放つ閃光が、その太さを増し上条へ殺到する。

上条「ぐああああああああッッッ!!」

より一層強くなる苦悶の声を聞くと同時に、五条が動いた。

五条「──────God Knows(神のみぞ知る).」

呟いた五条の背に、六枚の純白の翼が現れる。

ステイル「……なッ…!?」

翼を生やしたまま、僅かに中空にその身を浮かす五条。

天使と見紛うその姿に、ステイルが驚嘆の声をあげたのも無理は無い。

足元に置かれていたボールが何時の間にか、五条の眼前へと浮き上がり、六枚の力翼のエネルギーがボールへと収束される。
収束されたエネルギーは雷光を帯び、ボールへとまとわりつきバチバチと甲高い音を発した。

五条「長くは保ちませんッッ!ステイル!神裂!お続きなさいッッ!」



889:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:21:30.60 ID:Ra1SBMAw0
五条△



890:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:21:51.01 ID:1EQ84FYf0
なんだと・・・・・



なんだとwwwwwwwwwwwwwwwwwww




894:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:22:45.40 ID:glkjnefe0
ゴッドノウズ使っちゃうのか



895:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:22:55.05 ID:vJtvCLya0
ゴッドノウズここで出るか…激熱



ゴッドノウズ - 参考イメージ




896:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:23:05.62 ID:PLVvMmUsO
絵を想像して吹いたwwwwww



897:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:23:21.12 ID:5u1iQG9j0
なんて怖い顔した天使だwwwwww



903:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:26:37.71 ID:QaVGWjtTO
叫んで五条が蹴り出したボールは、上条と少女の間に割って入るとその閃光を幾分か押し戻した。

ステイル「魔女狩の王(イノケンティウス)ッッッ!!」

押し戻された閃光と上条の間へと、彼をかばう様にして必殺の名を持つ炎の巨人が立ち上がる。

神裂「七閃ッッッ!!」

神裂の叫びと同時に数多の鋼糸が部屋の中を蹂躙し、少女の足場の周辺をなぎ払った。

足場の崩壊によりバランスを崩した少女が、閃光を発したまま仰向けに倒れていく。
次第に仰角を上げた閃光は、まるでバターにナイフを入れる様に天井をなぎ払うと、夏の夜空へと高く高く舞い上がっていった。

倒れて尚、閃光を発し続ける少女。

その少女が夜空へと打ち立てる光柱を中心に、ひらひらと光を帯びた鳥の羽が舞う。

上条「……?何だ、これ……?」

光の羽に見とれて呟いた上条に向かい、鋭い表情を保ったまま神裂が叫んだ。

神裂「これは竜王の殺息(ドラゴンブレス)!!伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同義です!!それにたった一枚でも触れてしまえば大変な事に!!」



905:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:32:16.98 ID:QaVGWjtTO
無数に燐光を放つ光の羽が舞う中、唐突に少女が身体を起こす。

再度上条へ殺到する閃光を、上条をかばって立った魔女狩りの王が受け止めた。

ステイル「行けェっっ!能力者ッッッ!!」

ステイルの叫びを聞いた上条が、魔女狩りの王の背に向かい、少女へと駆ける。

『警告。第六章第十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更。戦場の検索を開始──完了。現状最も難易度の高い敵兵、上条当麻の破壊を最優先します。』

少女の閃光が、更にその輝きを増す。
受け止めている魔女狩りの王の苦悶の叫びが部屋を揺らした。

『警告。第二十二章第一節。炎の術式の逆算に成功。曲解した十字教のモチーフを、ルーンにより記述したものと判明』
『対十字教用の術式を組み込み中──聖ジョージの聖域を第二段階へと移行。Eli Eli Lama Sabachthani?(わが神、わが神。どうして私をお見捨てになったのですか?)』

更に増大した閃光が、次第に魔女狩りの王を蝕み始める。

ステイル「イノケンティウスっ!?」
腹部に風穴を空け、その姿を崩す魔女狩りの王。

巨人が受け止める閃光と交差する様にして少女へと掛けた上条が、その右手を少女
へと伸ばし──────


──────その頭部に、触れた。



908:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:37:53.83 ID:QaVGWjtTO
────────────
少女の放っていた閃光が霧散し、同時に姿を消す炎の巨人。
閃光の発生源であった宙に舞う少女の身体は、ゆっくりと地面へと落下を始めている。

『……警……告……最……終章……第……零……』

ふわふわと光の羽が舞い散る中、少女が無機質な抑揚で言葉を続ける。

『"首輪"……致命的な……破壊……再生……不可……』

どう、と音を立て、少女の身体が床に崩れ落ちた。
その少女へ足を進め、優しく抱き起こす上条。

永きに渡る呪縛の開放を祝福する様に、光の羽が舞い踊る。

神裂「危な「今よりオレの目を見ないで下さいッッッ!!」」

神裂が発した声を遮り、五条が眼鏡を外し、中空を見据えた。

────────────

五条(……っっ出来るはずです……きっとッッッ……!!)

自身の眼鏡を外し、中空に舞う羽を見据え、全ての力を眼球へと集中する。
普段のそれを圧倒的に上回る様な鈍痛が到来し、眼窩の裏を毒虫が這い回る様な痛みが走る。



912:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:41:22.95 ID:b9m2elNK0
五条さんなにを打ち消すんだ?



913:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:2010/11 /29(月) 23:43:09.05 ID:5bYPN8+G0
スレも終わりが近づいてるな・・・



914:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:43:13.32 ID:QaVGWjtTO
五条「ぐあああああああああああああああああああッッッ!!」

歯を食いしばり、痛みを押し殺す。
つう。と自身の眼から涙が落ちるのを感じた。

五条(……神よッッッ……居るか居ないかも判らぬ……非情で無責任な神よッッ……)

舞い散る羽の一片が、インデックスをかばう様に覆いかぶさった上条へ──────

五条(……今訪れんとする悲しい結末が……オマエの望むものならばッッ……オレは……)

──────ゆっくりと

五条(その"認識"を"阻害"しますッッッ!!!!)

上条に降らんとしていた見つめた先の羽が、まるで夢であったかの様に消え失せる。

次いで、一つ、二つと舞い散る羽たちが跡形も無くその姿を虚空へと消していく。

五条(……ッ!成功……しましたか……)

あらかたの羽が消えると同時に、自身の視界が狭くなるのを感じた。

五条(……疲れ──────ました──────)

暗くなっていく視界に抗わず、その瞳を閉じた。

────────────



916:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:44:35.44 ID:Ai/sN0H8O
記憶喪失フラグ折ったか!?



917:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:44:35.35 ID:glkjnefe0
見たものを消す能力か



925:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:47:56.43 ID:QaVGWjtTO
……見慣れない天井が目に入った。

思わずいつもの習慣で枕もとのペットボトルへと手を伸ばす。

……無い。

『目が覚められましたの?』

どこかで聞いた優しい声が耳に入り、慌てて上体を起こした。
窓際に、二房の栗色の髪が目に入った。
陽光を帯びて一層輝きを増しているその髪の主、白井黒子が、むすっとした表情でしゃりしゃりと林檎を剥いている。

唐突に視界に飛び込んできた光景に、慌ててきょろきょろと周囲を見渡した。

『病院ですわ』

黒子の声に目線を向けると、彼女が気だるそうに呟いた。
心なしか表情に疲れの色がさしていて、目の下にクマの様なものが見受けられる。

五条「……倒れてしまいましたか……今日は何月何日ですか……?」

黒子「八月二日。運ばれてから、丸五日間眠り通しでしたのよ?」
はあ、と息を吐いた彼女が、皮を剥き終えた林檎を切り分ける。

黒子「お医者様のお話ですと、疲労困憊だそうですの」

五条「……」



936:五条ファン ◆APKLrJzDFw :× 丸五間→○丸五日間:2010/11/29(月) 23:53:43.54 ID:QaVGWjtTO
黒子「……お疲れ様ですわ。勝さん」

優しい微笑みで差し向けられたフォークに向かい口を開け、先端の林檎を齧る。

シャリ、と小気味の良い音がして、口の中に少しの酸っぱさと、程の良い甘さが広がった。

────────────

それからは忙しいものだった。

人に林檎を食べさせるや否や、満面の笑みを浮かべた後、仕事が残っているのでお暇しますわ、と言って帰っていった黒子より一拍置いて、上条当麻がインデックスを伴い病室に見舞いにやって来た。

上条「目ぇ覚めたんだな!良かった!」
インデックス「良かったよおおお、マサルうううう!」

と、まるで自身の事の様に快気を祝ってくれたのは良かったのだが、インデックスの目に見舞いのフルーツがとまるなり、何かを訴える様な眼差しでこちらを見てくるので、根こそぎくれてやる。

上条「……何か悪いな、明日には退院なんだろ?時間あったらどっか飯でも食いに行こうぜ!」
インデックス「マサルは少し、ゆっくりした方が良いかも……またね!!」

ばたばたと去っていった二人を見送ると、入れ違いにカエル顔の医師が入ってきた。

『今度は君の番かい?忙しいねぇ?』



941:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /29(月) 23:55:11.91 ID:RH4ywrJR0
黒子もとうとう下の名前で…



944:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /29(月) 23:57:23.34 ID:QaVGWjtTO
五条「……ククク……度々お世話をおかけします……」

『君の年で疲労困憊なんて一体何をしたんだい?ま、明日には退院出来るだろうけど、念のためもう一度検査をしてからになるけど良いね?』

五条「……はい、よろしくお願いします……」

今日一日はゆっくり休みなさいよーと退出していったカエル顔の医師を見送るり、少し眠るかと睡魔に身を預けうとうとしていると、不意に煙草の臭いがして我に返った。

慌てて起き上がり入り口に目線を送ると、病室の入り口で煙草を吹かす赤髪の不良神父と、フルーツバスケットを抱える銃刀法違反上等の露出姉ちゃんの姿が目に入った。

五条「……ここは禁煙ですよ……ヒヒヒ……」

神裂「ステイル、煙草を消しなさい」

ステイル「ま、構わないでしょ別に」

ところ構わず紫煙を吐くステイルを横目に、丁重に礼を述べられ、神裂からフルーツのバスケットを受け取る。

神裂「今回の件を教会に問い合わせたところ、何としてでもインデックスを呼び戻そうとしていた教会側の態度が一転しました。今後インデックスは上条当麻を管理者とし、暫し放免状態となりそうです」



946:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /30(火) 00:01:21.63 ID:26Cl+kELO
残念ながら、意識が無かったので彼女の誤解を解くには至りませんでしたが、と神裂が続ける。

ステイル「ま、いずれ機があればボクが取り戻しにくるけどね」
五条「……ククク……やってごらんなさい……」

くつくつと笑うステイルと自分にため息をついた神裂が腰を上げる。

神裂「では、我々はこれで」

五条「……?随分お早いですね……?」

神裂「えぇ、まだやることは山積みです」

併せてステイルが腰を上げる。

神裂「あなたとはきっと、またすぐに会えそうな気がしますね。此度の恩義もありますので、何かありましたら、遠慮せずにご連絡下さい」
行って病室を後にする二人。

ようやくの来客ラッシュが終わり、毛布に包まった。
非常に疲れた一件だったが、病室を訪れてくれた面々は皆一様に笑顔だった。
とりあえずは良しとしておこうか。

訪れる睡魔を迎え入れ、暫しの眠りへと落ちていった。

────────────

深夜の寝静まった病院を動く影があった。

一つの病室の前で止まった影は、静かに病室のドアを開ける。



947:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:02:57.51 ID:rg0s2SAC0
だ、誰だ!



948:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:03:40.69 ID:W8uouDqq0
おぉ!?誰だ



950:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:2010/11 /30(火) 00:04:41.73 ID:W8uouDqq0
黒子の夜這いッ・・・!?



951:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /30(火) 00:04:45.94 ID:26Cl+kELO
足音がベッドの上の対象の姿を確認しようとするが、すぐに異変に気がつく。

(……居ない?)

唐突に暗闇に包まれた病室の照明が点灯し、侵入者の姿が露になった。

金色に染め上げられた髪はツンツンと天をさし、夜だと言うのに目元にサングラスを掛けている。
派手目のアロハシャツにハーフパンツ姿の侵入者の男が、照明のスイッチへと視線を投げる。

五条「……ククク……初めましてですか……寝込みを襲うのは関心しませんね……」

部屋の主の姿を確認し、侵入者が口を開いた。

『……自己紹介は不要だな?五条勝……』

五条「……?」

侵入者に敵意が無さそうな様子を見て取った五条が首を傾げる。


『統括理事長がお呼びだ。明日の退院次第、すぐに出頭しろ』


──────fin──────



953:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:05:30.52 ID:W8uouDqq0
まさかの



954:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:05:41.22 ID:C94AHP/w0
土御門か



956:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:2010/11 /30(火) 00:06:13.97 ID:KZ4xEE430
乙!!
これでひとまずインデックス編は完?




960:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:07:13.62 ID:CxKzMksz0
今夜もハンバーグ食べてない…



980:五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /30(火) 00:16:09.43 ID:26Cl+kELO
以上、本日投下分となります

支援&保守を頂きます皆様
関係各位の皆様
ようやく一節書き上げられました
伏して御礼申し上げます

月曜に終わらせたいって言ったな?あれは嘘だ
次回以降は、日常展開だの五条さんの能力解説だのを挟んで、本筋に合流させようと思います
セロリもアホ毛も書きたいんだけど、このペースじゃ何時になるやら
とりあえずお嬢に投票すっか

さて、次回以降の投下に関してですが、明日一日お休みを頂いて、明後日の夜に『五条「…ククク…三沢塾?」』ってタイトルでスレ立てを依頼し、次回を投下しようかと思います

お時間がございましたら、またお付き合い頂ければ幸いです



982:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:2010/11 /30(火) 00:16:44.02 ID:6vUhOBBv0
乙なんだよ!



983:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:16:54.42 ID:CxKzMksz0
楽しみに待ってる



989:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:19:52.62 ID:CxKzMksz0
五条さんと関わることで黒子もステイルも、その魅力を大きく引き出された

これなら姫神もきっと……きっと!



988:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/11 /30(火) 00:18:38.73 ID:ED7mz6640
心から喜んでるのは俺だけじゃないはず


とりあえず自分のペースでがんばってくれ








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禁書目録SS   コメント:12   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
1187. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 12:42 ▼このコメントに返信する
五条△
1190. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 13:31 ▼このコメントに返信する
>黒子の声に目線を向けると、彼女が気だるそうに呟いた。
>心なしか表情に疲れの色がさしていて、目の下にクマの様なものが見受けられる。

黒子は時間の許す限りついててあげたんだろうね。
鬼のLV.6の目を盗みつつ病院通いとは、さぞかし大変だったろうに・・・
真面目モードの黒子はやっぱりいいな。
1191. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 13:36 ▼このコメントに返信する
続くのか。
これは嬉しいな。
1192. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 13:57 ▼このコメントに返信する
今年1番の良スレ。
1193. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 15:00 ▼このコメントに返信する
野郎!ぶっ支援してやる!
ほんと面白い…メインヒロインしてる黒子も可愛いし、これからにさらに期待せざるを得ない。
1194. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 17:14 ▼このコメントに返信する
■■さんも活躍できるといいね。
五条さん愛してます
1195. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 17:54 ▼このコメントに返信する
ヘタレの錬金術師には最悪の相手じゃないか?五条さんの目はww
むしろダミーの方がまともに戦えそうだぞ。
1196. 名前 : 名無し@SS好き◆yE7IycBI 投稿日 : 2010/12/01(水) 18:32 ▼このコメントに返信する
いやー面白い
続きがすげー気になる

更新あるたびにハンバーグ弁当食ってます
1197. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 19:19 ▼このコメントに返信する
よし、俺も今からサッカー覚えるぜ!!
1198. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/01(水) 20:15 ▼このコメントに返信する
濡れたッ!びしょ濡れッ!五条△!
1205. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/02(木) 01:52 ▼このコメントに返信する
五条さん!
誰か彼にハンバーグ弁当を差し入れてやって、いや、もう俺が差し入れに行く!
1882. 名前 :  ◆- 投稿日 : 2010/12/29(水) 16:37 ▼このコメントに返信する
>やっぱりサッカーウェアかw

いや、普段は学校の制服で
サッカーウエアは戦闘服にして死に装束なんだと思うぞ俺は。
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