1:
◆3go5SqN4Y. 2016/03/21(月) 21:58:17.25
ID:nkDZr6hS0
2011年夏、シュタインズゲート世界線、フェイリスとオカリンの二つの目線で進みます。
哀心迷図のバベルのネタバレあり。特に漫画版を読んでる人にはより楽しんでいただけるかと。
もちろん、知らなくても楽しんでいただけるよう頑張ります。
2:
◆3go5SqN4Y. 2016/03/21(月) 22:01:15.24
ID:nkDZr6hS0
――Faris Side
今、何処からか、パパの声が聞こえた気がした。
深夜2時にふと目を覚ました私が、トイレに行こうとリビングを通ったときに。
パパ??「あれ、留未穂、まだ起きていたのかい」
その声に、私は驚いて音の方へ顔を向けたけれど、そこには誰もいなかった。
何かがあったわけでもなく、ただ深夜の黒い闇がひっそりと佇んでいた。
留未穂『どうして、今頃パパの幻聴なんて聞いちゃうのかな……』
胸がきゅうっと締め付けられる感覚を覚えた。
いつもは、こんなことないのに。どうしてだろう。
パパは、私が小さい頃に事故で亡くなった。
飛行機の事故で、たった一人の乗客以外は皆無事だった事故で、たった一人、私のパパだけが亡くなった。
それも、私がついた嘘のせいで――。
気付いたら、涙が流れていた。静かに、けれど確かに、一粒、二粒、と零れ落ちていく。
留未穂「あれ……なんで泣いてるんだろう……もう……」
執事の黒木はもうとっくに家に帰した。パパはこの世にはいない。
こんな広い家に、私はたった一人。
フェイリス「今さら寂しくなんて……ないニャ……」
フェイリスの口調で言っても、涙は止まらなかった。
そんなこと気にしなかったかのように私は急いで用を足すと、すぐさま布団へともぐりこみ、瞼を閉じた。