アクセル・ワールド〈1〉 (電撃文庫)前→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その6最初から→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」381 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 22:10:07.43
ID:FRLYehAuO 吹き抜けた夏風が、静かに前髪を揺らした。
夏も盛りを迎えているとはいえ、コンクリートに囲まれた市街地と異なり優しい緑色が映える川沿いの道は、下流へと吹く風も相まって幾分か涼しさを感じさせる。
周囲を見渡してみると、遠くに架かっている幹線道路である橋を除いては特に人通りが無い。
五条(……ここらなら構いませんね……)
後ろを振り返り、とことこと後をついて来ていたシスターに微笑みを投げた。
「んー?」とでも言いたげな表情で、彼女もまた自分に微笑を返してくる。
素早く身体を彼女の方へ向け、その首元へぴたりととナイフをあてがった。
『えっ……!?』
シスターの表情が穏やかな微笑から、驚愕のそれへと一瞬にして塗り替えられる。
五条「ククク……すみませんねぇ……オレにも事情というものがありまして……ククク…アーッハッハッハ!!」
────────────
389 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 22:19:49.93
ID:FRLYehAuO 『インデックスを!?』
牛乳を飲み干したウニ頭の男、上条当麻が愕然とした表情で声を荒げた。
五条「……ククク…」
腰にバスタオルを巻き、鏡に映る前髪をドライヤーとコームでカールさせながら彼の言葉を聞き流す。
昨晩にシャワーを浴び損ねた影響だろうか、いつもより若干カールの具合が悪い。
上条「ちょっと待てよッ!!他にもあいつらを誘い出す手段なんて沢山『そんな悠長な
事が言っていられる状況ですか?』
若干頭に血が上っている上条の言葉を遮り、ドライヤーの電源を切り言葉を続ける。
五条「……相手の動機を鑑みるに、彼らのインデックスを確保するという決意はきっと相応なものでしょう……そして本来秘匿されるべき存在の彼らが、オマエに直接的なコンタクトを取ってきた事も、事態が切迫している状況を示しています……」
上条「……」
五条「……ククク…おわかりになりますね…現状は余りに手が詰まりすぎている……」
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 22:20:56.18 ID:Ci4Z8PkA0
あえて悪役を買って出る五条さんマジかっけぇ…391 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 22:21:00.32 ID:W24IIpOD0
あの髪型はちゃんとセッティングしていたものだったのか393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 22:21:34.72 ID:eVyM903+0
前髪を見ればわかる、五条さんのセンスはずば抜けてる395 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 22:22:22.85 ID:OmIdxSwc0
>>391
メガネ無しの髪型いじらないとイケメンすぎてやばいからさ396 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 22:22:43.42 ID:jOVgDxqC0
あの前髪はアホ毛の対極に位置する知性の象徴397 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 22:30:46.28
ID:FRLYehAuO 表情をこわばらせる上条に、更に言葉を投げる。
五条「…対策を練ろうにも、もっと情報を集めなければなりません……ですが生憎と私は魔術とやらに疎い……」
質問を投げる代わりに上条と目を合わせる。
深くため息が吐かれ、彼は首を横に振った。
まぁ、無理も無い。
五条「……まぁ、そうでしょう……となると、残念ながら情報を握っているのは彼らだけだという事になります……」
五条「彼らとのコンタクト方法ですが……」
再び彼に視線を向けると、先ほど以上に大きなため息をついて首を横に振るのが見えた。
五条「……ご理解いただけますね……ヒヒヒ……」
上条「……わかったよ、仕方ない…か」
これ以上ないほど大きく息を吐いて、彼は肩を落とした。
五条「……ご心配なく……彼女は必ず守ります……」
────────────
401 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 22:40:08.76
ID:FRLYehAuO 驚愕の表情を浮かべた彼女は、自分の首に刃物を突きつけられている事を確認すると、その表情を優しい微笑みへと変えた。
インデックス「……ごめんね、マサル」
五条「……ククク…何を言っているのです…」
その細首にナイフを突きつけたまま、彼女と言葉を交わす。
インデックス「きっと辛かったね。私みたいな魔術師のせいで、知りもしない魔術師に命を狙われるなんて…」
五条「……」
インデックス「……良いよ、マサル。私はどうなっても構わない。これ以上トウマやマサルが辛い目に会うのを、私は見たくないんだよ」
両手を胸の前で組み、祈りの姿勢をとる彼女を見て、つう、と頬を冷や汗が流れるのを感じた。
───まずい。彼女は思った以上に真剣に事態を受け止めている。
高確率で監視されているだろうと踏んで執った手段だったが、冷静に考えてみればこの場に彼らが現れなかった場合、一体どうやってこの事態を処理すれば良いのだろうか。
403 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 22:44:43.28 ID:jOVgDxqC0
インデックスさんマジ良い子
現状をサッカーバトル的に考えると
上条さん……FW
五条さん……DF
禁書目録さん…自軍ゴール って感じか405 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 22:50:29.93
ID:FRLYehAuO 聖女としか思えない程の覚悟を以って、自分と上条の為に、静かに笑みながらに生命を差し出したこの少女を、一体どうすれば傷をつけずに誤魔化せたものだろうか。
五条(さぁ……早くッ……早く来なさいッ……!!)
インデックス「ありがとう、マサル。トウマにもありがとうって伝えて欲しいんだよ。インデックスは二人に会えて、本当に幸せだったんだよ……」
小さく震えながらも笑みを絶やさず続ける彼女の言葉に、涙腺が緩んだのを感じた。
そろそろ限界だ。
これ以上は、自分もこの少女に刃を向け続ける事は出来ない。
次に彼女が何か呟いてしまったら、きっと自分の心の方が先に折れてしまうだろう。
インデックス「……?どうしたの、マサ
五条(…!!来たッ…!!)
一瞬吹いた熱風に咄嗟に身を引くと、自分が立っていた場所を細い火線が焼き払った。
視線を火線の源へと投げると、凄まじい熱気を纏った赤髪の神父、ステイル=マグヌスがこちらへと駆け寄ってきている様が見て取れる。
手早く携帯電話のボタンを押し、電話機に向かって声を発した。
五条「……今ですッッ!!」
414 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 23:00:35.10
ID:FRLYehAuO 刹那、インデックスの脇にツインテールの少女が現れ、彼女の手をとり叫んだ。
『全部終りましたら、絶対にお話願いますわよッッッ!』
叫ぶと同時に、彼女の姿とインデックスの姿がかき消える。
五条(……ククク…約束しますよ……)
一瞬の事態を把握できず、驚愕の表情を浮かべた神父に向け、強くサッカーボールを蹴りだす。
ステイル「…つぅッッ!」
放たれたボールは、彼の発声と共に現れた火線により阻まれ、見る間に消し炭へと姿を変えた。
五条「……ククク……待っていましたよ……ステイル=マグヌス…オマエが来てくれて本当に良かった……」
煙草を咥えたまま距離を置いて立っていた神父が、眉間にシワを寄せるのがわかった。
ステイル「ハメられた、ってわけかい?」
神父の両手に炎が灯る。
五条「……ヒヒヒ……そういきり立たないで下さい」
大袈裟なジェスチャーで両手を大きく水平に掲げてみせる。
五条「今日はサッカーバトルをする気はありません……」
五条「……話を、しに来たのですよ…」
────────────
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:01:59.71 ID:CZbbs8JJ0
>>414
黒子の時もそうだったけど先制攻撃から始める話し合いに定評のある五条さん416 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:03:32.86 ID:1g0C1W5LP
話し合う前に手を出す五条さんマジパネェ418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:07:32.02 ID:Ci4Z8PkA0
>>415-416
五条さんはセオドア・ルーズベルトの「棍棒をもって穏やかに話せ」を地で行ってるんだよ417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:05:22.16 ID:ScsYr5lO0
本名で呼び出したぞww419 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:07:34.02 ID:jOVgDxqC0
本当だ……魔法名で呼ばないのは戦意なしって意志表示なのかも420 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 23:10:11.33
ID:FRLYehAuO ステイル「…生憎だね、ぼくは君に話すことなんて何も無いよ」
五条「……ならば私からお話しましょうか…」
五条「……上条当麻より、全てお伺いしたのですがね…ヒヒヒ…」
言って、両腕を肩から下方へと垂直に伸ばし、ステイルに向かい頭を下げる。
五条「……オマエを……オマエの覚悟を、見くびっていました…謝罪します……」
呆気にとられた表情のステイルが咥えたタバコの灰が、ポロ、と地に落ちた。
五条「あの日、インデックスの顔を踏みつけているオマエを見て、その場面のみで状況を判断しておりました……それが起因となった無礼と共に……併せてお詫びします…」
相も変わらず呆けている表情の神父に言葉を続け、頭を下げる。
五条「…ククク……すみませんでした……」
神父の表情が、次第に呆けたものから怪訝そうなものへと変化していく。
両手に宿る炎は未だに消えてはいないが、まぁ仕方のないことだろう。
ステイル「……それは、日本式のジョークか何かかい?」
五条「……正直なところですよ…他意はありません…」
422 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:12:21.30 ID:eVyM903+0
謝る時に笑うなwwwwww424 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:12:57.44 ID:OmIdxSwc0
誤るときでさえキャラがブレない五条さん紳士wwwww428 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 23:20:10.43
ID:FRLYehAuO 深く息と紫煙を吐き出した神父の両手の炎が消える。
ステイル「……わかった…聞き届けよう。確かに彼女に関しては、ボクも少しやり過ぎた節があった」
五条「……」
ステイル「…それで、念のため聞いておくけど君はどうするつもり?このまま何も見なかった事にして余生を送る?それともあの上条当麻みたいに、綺麗な綺麗な理想を掲げて立ちはだかってくれるのかい?」
五条「……判断の為に、いくつか伺いたいことがあります」
ステイル「…聞こうか。答えられる範囲ならば答えるよ」
吸い終えた煙草を地面に捨てふみにじったステイルが、再度煙草を咥える。
五条「…ククク…まず彼女に残された時間についてです……あと、どの程度残されているですか…?」
ステイル「……実を言うと、全くと言って良いほど残されていない。彼女はもう限界だ。可能なら、すぐにでも取り押さえて記憶の消去を始めたいところなんだけどね…」
五条「……そうですか…」
ステイル「最終的なリミットは28日の午前0時。これを超えたら、彼女はまず助からない。」
五条「……次に…」
ステイル「……?」
435 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 23:30:42.01
ID:FRLYehAuO 五条「オマエは…彼女に自身が忘れられた時に…どう思いましたか…?」
ステイル「……」
五条「あんなに屈託の無い笑顔の彼女に惹かれ……その笑顔の傍にあり……記憶を消される彼女を間近に見て…記憶を消された彼女がまるで自身を知らないモノを見る様な目で見てくる……」
五条「そんな体験をした時……オマエは……オマエの心は……一体どう動いたのですか……?」
言い終えて、ステイルの表情を見る。
苦虫を噛み潰した様な表情で、眉間にシワを寄せながら煙草をふかしていた。
ステイル「……答えなければダメかな?」
五条「……強制はしませんよ…ヒヒヒ…」
ステイル「……拒否しよう」
五条「……そうですか……」
少し間をおいて、プカプカと煙草をふかすステイルに告げる。
五条「決めましたよ……」
五条「……俺、五条勝はたった今より─────」
五条「───事実を知った上で、オマエ達の敵となります」
445 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 23:42:32.31
ID:FRLYehAuO 言葉を聴いて一瞬驚愕の表情を浮かべたステイルが直ぐに冷酷な表情に戻り、片手に火を灯しながら言葉を返してきた。
ステイル「…それは、彼女の記憶消去を阻止する、って事で良いのかな?」
五条「ククク……構いません……」
ステイル「……例えそれが、彼女の命を奪う結末になっても…?」
五条「……そうもさせません…」
ステイル「……そうか……フフフ…」
五条「……えぇ……ククク…」
『アーッハッハッハ!!』
「……残念だよ、君が悪い奴じゃないんだって判りかけていたからに余計ねッ!」
ごう、と音を立て、酷薄に高笑いをするステイルの両手が燃え上がった。
五条「……えぇ本当に、残念ですステイル!!互いに目指している場所は彼女の笑顔のハズなのに、どうして我々はこうも食い違うのでしょうねぇッッ!!」
自身も叫び、ステイルに向けて駆け出す。
炎とスパイクシューズが、轟音を立てて交わった。
────────────
482 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 00:48:24.90
ID:eQLs4ySJO ステイル「吸血殺しの……」
ステイルの両手で炎が燃え上がる。
五条「来なさいッ!!」
土中から現れた五羽の企鵝が舞い飛ぶ。
『紅十字ッ!』
『へぇあッ!』
サッカーボールと十字火線が交差した刹那、空間が異様な熱を帯びて大きく爆ぜる。
爆風が土煙を上げ互いの姿が視認出来なくなった最中、五条勝は自身の眼鏡へと手をかけ静かにソレを外した。
もうもうと立ち込める土煙が晴れはじめ、その向こうに見えた神父、ステイルの姿を見据える。
ステイル「…流石になかなかやるじゃ…!?」
目を合わせたステイルが驚愕した表情を浮かべた。
五条「……ククク…狂え……純粋にッ……!」
暫しそのままステイルと目線を交わし、眼鏡をかけ直す。
ステイル「…?どういうつもりだい?」
五条「……ククク…もう充分、という事ですよ……」
488 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 00:53:15.74
ID:eQLs4ySJO 訝しげな表情を浮かべたステイルが再度距離をとり、高らかに叫んだ。
ステイル「吸血殺しの紅十字ッ!!」
しかし、彼の手に炎は灯らない。
ステイル「なッ…!?魔女狩りの王(イノケンティウス)っっ!」
炎の巨人を呼ぶ声も、また虚しく中空へと響き渡るだけだった。
ステイル「馬鹿なッ……オマエ、何をしたッ!」
狼狽を隠そうともせず騒ぎ立てるステイルに駆け出し、その腹を殴りつける。
腹部を押さえてうずくまるステイルを見下ろし、言葉を投げた。
五条「…ククク…一時的なものなので、心配は無用です……それより、あなたも男ならば……」
うずくまるステイルと距離を置き、右拳を天へと突き出しながら続ける。
五条「………主張はコレで通されては?……」
うずくまっていたステイルの肩がふつふつと震え始める。
ステイル「……アッハッハッハッ!!こんなに体力を感じられるのはいつぶりだろうねぇ!」
492 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 00:59:25.32
ID:eQLs4ySJO 高笑いの後に声を上げると彼は立ち上がり、神父服のマントを脱ぎ捨て構えた。
体格こそ良いものの、その構えはどこか妙なもので、彼の近接戦闘の経験の浅さを露呈させている。
五条「…ククク…来なさいッ!……煙草ばかり吸っている貧弱魔法使いに、世間の広さを教えてあげましょうッッッ!!」
ステイル「……ぼくはッ……魔術師だッ!!」
叫びながら放たれたステイルの拳が、五条の鳩尾を捉えた。
打ち方こそ堂に入っていないが、その体格から放たれた拳は、中々の重みを持って肺腑に衝撃を伝える。
五条「……やるじゃぁ…ないですかッ!」
腹部の鈍痛を堪えながら、ステイルの左のこめかみを殴りつける。
相手の顔が横に流れ、空いた腹部へと更に二の拳を走らせながら叫んだ。
五条「それだけの力があるのならばッ……」
拳に鳩尾を打った鈍い感触が伝わる。
腹部の苦しさに身体を曲げたステイルの顔面へ向けて、右ストレートを放った。
五条「随分前に彼女が救えたかもしれませんのにねぇッッッ…!」
強く打ち据えた拳の痛みと共に、ステイルの身体が後方へと揺らぐ。
494 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:00:44.36 ID:Opt16N9j0
審判「ハンド」497 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:01:45.99 ID:39SoCk6p0
>>494
吹いたww500 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:03:00.20 ID:0xhmR2K00
>>494
てめぇwwwww499 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:02:47.53 ID:S66EQrcS0
明らかにハンドな必殺シュートだってあるじゃないかwww502 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:05:13.33
ID:eQLs4ySJO 近接経験の浅いステイルならばこれでダウンだろうとタカを括っていた矢先、唐突に顔面へと拳が飛んできた。
ステイル「おまえにッ…!」
仰け反った顔面へと、左から拳が振るわれる。
ステイル「おまえに何がわかるんだッ…!」
反動を殺す様にして、次いで右から。
ステイル「ボクだって…ボクだって頑張ったッ!」
続けて、左。
ステイル「彼女の記憶を消さない為ッ!」
更に右。
ステイル「彼女の笑顔を壊させない為ッッ!!」
左。
ステイル「だけど……だけど無理だったッ!!」
右。
ステイル「無理だったんだよッッッ!!!」
ひときわ強く左頬を打たれ、身体が宙に舞いかける。
507 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:11:54.97
ID:eQLs4ySJO 五条(……ッッ!)
とびかかる意識を無理やりに繋ぎ止め、膝をこらえ、体勢を戻す。
五条「言い訳はおしまいですかッ!?」
体勢を戻しがてら、右の拳をステイルのわき腹へとネジ込む。
ステイル「だからぼくは誓ったんだッッ!!」
右拳をわき腹に受けたまま苦痛に顔を歪め、再度ステイルの拳が左頬へと走る。
──────ステイルの頬が濡れている様に見えた。
ステイル「たとえ彼女は全て忘れてしまうとしてもッ!」
殴りぬけた右拳の戻りざまの裏拳で、再度左の頬を殴打される。
ステイル「僕は何一つ忘れずにッッ!!」
──────涙、なのだろうか。
ステイル「彼女の為に生きてッッ死ぬとッッッ!!」
ごつんッ
叫んだステイルの左ストレートが額に命中し、止まる。
五条「……ククク……」
510 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:18:26.60
ID:eQLs4ySJO 崩れそうになる身体を踏ん張り、顔を腫らしながら愕然としているステイルに言葉を吐く。
五条「……ステイル…オマエは、強いのですね……」
ステイル「……!?」
五条「…"きき"ましたよッ!オマエの言葉ッ……ッ!!」
心からの礼を叫び、ステイルの顎を体重を載せたアッパーカットて突き上げる。
一際の巨躯が宙を舞い、仰向けに地面へと倒れた。
────────────
ステイルの意識が無くなったのを確認して、深く息をついてその場に座り込んだ。
しこたま殴打された両頬がズキズキと痛み、唾液を吐き出すと真っ赤な血塊が飛び出してきて、思わず顔をしかめた。
『……ありがとうございました』
唐突に響いた女の声に目を向けると、神裂火織がこちらへと歩を進める姿が視界に入ってきた。
五条「……ククク……見られていましたか……」
スッと神裂からハンカチを手渡され、受け取って顔を拭う。
神裂「……初めてですよ。彼があそこまで自分の感情をむき出しにして同年代の方と向かい合うのを見たのは」
五条「……」
511 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:18:37.98 ID:aVRd0V8f0
ステイルまでかっこよく見える504 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:07:05.66 ID:rAecIVow0
ステイルに必要だったのは
同年代の友達だったんだな514 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:21:30.60 ID:leGQiXMk0
そういえば両方中学生かwwww447 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:43:35.93 ID:CZbbs8JJ0
不思議だよな、五条さんのおかげで全てのキャラクターがその魅力を増している516 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:24:48.29
ID:eQLs4ySJO 神裂「格好を付けすぎて、感情の吐露が下手な人ですので」
五条「……ククク…違いありませんね…」
ずきり、と眼球が痛んだ。
神裂「……あなたと上条当麻に猶予を与えます」
五条「……?」
倒れているステイルをひょいと担ぎ上げながら、神裂が続けた。
神裂「我々も彼女が…インデックスが大切なのです。しかしあなた方の彼女を思う気持ちも確かに拝見させて頂きました」
神裂「彼女を救う為に我々が指定した刻限は死守させて頂きますが、彼女を救う手立てを探すのならば、刻限までの間はあなた方にお力添えをしましょう。妥協点としては最良かと思いますが?」
言って、彼女が一枚の紙切れを差し出して来る。
神裂「私とステイルの電話番号です。何かございましたら連絡を下さい」
紙片を受け取り、描かれている文字に目を走らせる。
異様なまでに達筆だ。
神裂「では、我々はこれで……」
背を向け歩き出した彼女に向かい、言葉を紡いだ。
五条「……ククク……ありがとうございます……」
小さく掲げられた左手が、彼女の返答を代わっていた。
────────────
521 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:35:42.67
ID:eQLs4ySJO 『お待たせ致しました、イタリアンハンバーグとデミグラスソー「クク…読み上げないで結構です……」
ウエイターが引っ切り無しに来席しては、料理をテーブルに並べ、空いた皿を厨房へと運び込んでいく。
目前に並ぶ、料理、料理、料理、スイーツ──────
怪我の痛みを堪えながらも、眼前に並べ立てられる料理の山頭痛を覚えていた。
上条「なぁ……おまえ、何したの……?」
『ふぃどいんふぁよ、まはるふぁいふぃなりあんなふぉとを「あーあー、オマエは食い終わってから喋れ」
隣に目線を送る。
『もし、こちらのメニューに載っているデザートを、全部持ってきて下さいませ』
満面の笑みでありえない注文をしているツインテールの少女がそこに居た。
五条「……ククク…」
謝罪と謝礼を兼ねたささやかな夕食会は、何時の間にやらフードバトル兼世界スイーツ展へと様変わりをしている。
五条「……ちょっとATMに行って来ます…」
『あ、お待ち下さいませ、私も同伴しますの』
スイーツを貪っていた白井黒子が手を止め、後をついて来る。
二人でファミリーレストランのドアを潜り、最寄のコンビニへと向かい足を進めた。
527 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:39:18.84 ID:S66EQrcS0
五条さんの目の前でハンバーグ大食いとかどんな拷問だよ526 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:39:12.74 ID:VCaHithR0
>>五条「……ククク…」
>>五条「……ちょっとATMに行って来ます…」
笑った後に笑ってる場合じゃないことに気づいたのかw529 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:42:08.01
ID:eQLs4ySJO 自分が前を歩き、数歩送れて後ろを歩いていた黒子が口開いた。
黒子「あなたの怪我にあの二人……どう見てもわけありですわね」
五条「……」
黒子「……まだお話して頂けませんの?」
五条「……ククク……すみません……」
黒子「はぁ……ならわたくしは何も問いませんわ」
五条「……」
黒子「…………またそうやって誰かの為に傷を増やすのですわね、あなたは」
五条「……」
黒子「……もう少し、お大事にして下さいまし……」
五条「……気をつけます…」
黒子「……よろしいですの」
二人でコンビニの扉を開き、自分はATMに、黒子は雑誌を立ち読みに向かう。
ATMで金を引き出し黒子と共にファミレスに戻ると、夢中で食事を続けているシスターの隣に座る上条当麻が自分にしか聞こえない程度の小声で呟いて来た。
上条「今日一日調べて回ったんだけど……あの話、やっぱ何か変だわ」
啜ったコーヒーに頬の痛みを覚えつつ上条の方へ目線を向ける。
話の続きをしたいが、この狂宴は一体何時まで続くのだろうか。
534 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 01:51:38.49
ID:eQLs4ySJO 目線を上条から窓の外へと移し、深くため息を吐いた。
午後の六時を少し回った、未だ沈みかけの西日が放つ明るさを残す夏の町並みは、いつもの風景と何も変わってはいない。
ふとポケットに違和感を感じて手を突っ込むと、神裂から受け取ったハンカチを返し忘れていることに気がついた。
まぁどうであれ、きっと明日の夜中には顔を合わせる事になるだろう。
そのときに、笑って返せると良いのだけれど。
『ふう……お腹一杯なんだよ』
斜向かいに掛けた少女が満足げに息を吐く。
『ねぇ、そ ろ そ ろ デ ザ ー ト を 頼 ん で も 良 い か な ?』
町並みは変わらない様に見えたが、昼に聖女と見紛うた少女が、今は大食の悪魔そのものに見えた。
──────fin──────
538 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:54:45.88 ID:S66EQrcS0
ハンバーグは犠牲になったのだ・・・
そしてハンバーグはやはり災厄のフラグだった543 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:58:15.18 ID:CAGYTgRR0
乙!五条さんも乙!544 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:59:11.01 ID:LahfPlxu0
乙~
クク・・・・・・夜食にどうぞ・・・・・・545 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /28(日) 02:00:23.37
ID:eQLs4ySJO 以上、本日投下分となります
休憩を挟んで遅くまでお付き合い頂いた皆様
保守&支援を頂きました皆様
関係各位の皆様
今日も無事に書き上げられました
ありがとうございました
今回は日にち表示が無かったので補足しときますと、今夜の話は7/26の話でインデックスのタイムリミットは7/28になっています
実質あと一日と覚えておいて頂ければ良いかと思います
禁書一期のシメ辺りまで書きたいなと考えていたのですが、中ダレするかな等と迷ってたりしています
お嬢に一票入れます
明日の投下ですが、異常が無ければ本日と同じく午後10時より開始させて頂こうと思いますので、
気が向かれましたらまたお付き合い頂ければ幸いです
535 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 01:51:39.41 ID:90kxMZX00
クロスオーバー作品で、ある作品のキャラを別作キャラの踏み台にするカスは星の数ほどいるけど、両方の作品のキャラを相乗して魅力的にできる神は少ないと思う548 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 02:07:34.16 ID:zwiUe6vp0
乙
こういうクオリティの高い作品を見ると、明日が楽しみになるだけじゃなくなんか創作したくなるな553 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 02:40:27.12 ID:8guUPWf30
コミケの原稿に追われてなかったら支援絵の一つでも捧げたかったものだ…480 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 00:46:17.74 ID:zHPVEEEzO
五条さんは中学生にして一切の経歴不明
つまり五条さんの存在自体が上条さんの右手並に謎481 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 00:47:42.52 ID:S66EQrcS0
この話じゃ経歴不明って点が笑い話じゃなく結構深刻な鍵を握ってるっぽいしな467 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 00:16:52.41 ID:ldP/NCjD0
最初はネタキャラだと思ってたけど
こんなにかっこいいならそりゃダントツ1位だわ・・・
五条様まじ超次元ヒーロー468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 00:18:46.48 ID:cRmiJUbcO
イナズマイレブン買ってくるわ……
五条さんの活躍を堪能するためにはどれを買えば良いんだ……470 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 00:21:23.46 ID:KK7h3KrD0
>>468
1だな471 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /28(日) 00:24:49.25 ID:cRmiJUbcO
>>470
わかった
ありがとう
待っててくれよ、五条さん!431 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:25:00.27 ID:CZbbs8JJ0
マサルー、似顔絵描いたー434 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 23:27:43.85 ID:NoQLC0nf0
>>431
流石は完全記憶能力、画才ありすぎだな次→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その8
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