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五条「ククク… ここが学園都市ですか」その5最初から→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」205 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:05:16.79
ID:336bnOz2O 時刻は宵も盛りの午後九時を少し回っている頃だ。
窓の外の景色に目を向けると、ある者は慌しく帰路を急ぎ、またある者は憂さを払う為の酒に憑かれ、ある者達は、互いに手を取り合いながら幸せそうに街路を闊歩している。
前方の信号が赤から青へと変わり、そんな景色がイルミネーションの流れを伴って、加速しながら次第と後方へと流れていく。
窓から目を背け車内に目線を送るとそんな当たり前の光景を、初めて出会う動物を眺める子どもの様に興味深そうな表情で眺める銀髪碧眼を持つシスターの姿が視界に入った。
そのシスターを挟んで対面に着座するウニの様な頭の高校生は、相も変わらずスヤスヤと寝息を立てている。
退屈な時は死にそうな程に刺激が欲しくなるものだが、実際に忙しさの中に身を置くと退屈な一日が少し恋しくなる辺り自分も身勝手なものだなと考え、こみ上げてきた自嘲を漏らす。
五条「……ククク……」
────────────
206 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:12:53.06
ID:336bnOz2O 『……そう言えば、まだ自己紹介してなかったよね!』
自嘲の笑みに反応したシスターが、その目線を窓の外から自分へ移し、口を開いた。
『私の名前はインデックスって言うんだよ!』
五条「……!コレは失礼をしました…俺は五条…五条勝です…インデックス……さんで?」
唐突に珍妙な自己紹介をされた事に戸惑い、確かめる様に聞き返す
インデックス「うん、"禁書目録"って事なんだよ。魔法名ならDedicatus545、これは"献身的な子羊は強者の知恵を守る"っていう意味だね!」
次々とよく意味を理解できない言葉を並べるシスターに少し気圧され、はあ、と短く返答をする。
五条「インデックスさん……ですか……俺はここ最近、そこの上条さんと共に幾度か赤毛の神父に襲われたのですが……差し支えなければお話下さいますか?……あなた方は今どんな状況で、どんな連中に狙われているのか……」
インデックス「うん……構わないよ。きっと狙われてるのは、私じゃなくて、私の持ってる十万三千冊の魔道書なんだよ」
五条「……魔道書?」
207 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:20:31.44
ID:336bnOz2O インデックス「うん、魔道書。それを狙って私を追って来ているのが、魔術結社に所属している君の言っていた人なんだと思うよ」
五条「……」
次々と並べ立てられる難解な言葉を整理する。
──────魔術。
世間一般から考えるに常識はずれも甚だしい概念に違いないが、生憎と自分は学園都市に入る以前より随分と"超常現象"と呼ばれるものを目にしているので、それに関しては些かの疑念も無い。
そんな超常的な力を持った者達が集まってコミュニティを形成するという事に関しても、至極当たり前の事だろう。
目前の少女は十万三千冊の魔道書を持つというが、現在進行形で自分の目に見えていないだけで、別に持っていたところで何ら不可思議ではない。
もしかするとこの少女を怒らせた途端、タクシーの車内がとんでもない数の書物で埋め尽くされるのではないかとの懸念すら浮かんでくる。
五条「……ククク…何となく理解できました…」
インデックス「話が早くて助かるよっ!」
少女はニコリと満面の笑みを表情に散らすと、続いてこれまでの経緯を語り始めた。
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 22:26:11.63 ID:N0KqJgn70
545さんとは言わないんだな210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 22:27:09.91 ID:NogEqX990
イカ娘かわいい!212 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:29:20.06
ID:336bnOz2O 自身が魔術結社の刺客に追われビルを飛び移ろうとした際に誤って落下し、上条当麻の部屋のベランダに引っかかった事。
上条当麻の右手に宿る異能の力の事。
彼とのひと時の邂逅の後、彼の部屋に忘れたフードを取りに戻ろうとした際刺客に切りつけられ瀕死の重傷を負った事。
彼の担任である月詠 小萌の部屋で目を覚ました事。
そして銭湯へと向かった帰路にて彼とはぐれ、ようやく彼を見つけたら自分が担ぎ上げていた事。
彼女の話を聞きおおまかな事件の道筋を掴んだものの、未だに幾つかの疑念が残る。
結社の目的を阻害するであろう上条当麻が未だに生かされ続けている理由、あれ程の火力を持ちながらほぼ無防備な二人を強襲しない理由等、先に神裂が取っていた行動を基点に考えると彼女の話だけでは随分と納得の行かない点が多い。
全ての鍵を握っている上条当麻は未だ気を失っているし、一体どうしたものだろうか。
五条「…大体のお話は理解しました……」
インデックス「そう。よかったよ。それじゃあ、もう私とトウマに関わらない方が良いんだよ」
214 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:37:00.99
ID:336bnOz2O 五条「…!?……何を…」
目の前の少女が言ったことの理解が出来なかった。
インデックス「私に関わったから、君は結社の人間に襲われたんだよ?きっとこれ以上私と関わらなければ、君はもう襲われる事は無いと思うし…」
五条「…何を言っているのです。そんな状況に居るオマエ達を放っておけるわけがないでしょう」
率直な意見を述べる。
いくら上条の異能の力があるとは言え、あの魔術結社の連中の追撃を凌ぎ続けるのは至難の業だ。
一瞬驚いた様に目を開いた彼女が、その微笑に少し困惑の影を落としながら言葉を紡いだ。
インデックス「じゃあ……」
インデックス「私と一緒に地獄の底までついて来てくれr『お断りします』
言いかけた彼女の言葉に被せる様に言葉を重ねた。
五条「ククク……アーッハッハッハ!地獄の底!?ついて来てくれるか?笑わせてくれますねッ…ヒヒヒっ……」
吐きながら表情を伺うと、彼女の表情に明らかに悲哀の色が満ち始めるのが手に取れた。
構わず言葉を続ける。
217 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:44:00.75
ID:336bnOz2O 五条「知った顔が地獄の底に向かうのを黙って指を咥えて見ていられる程、オレは出来た人間ではありません……自ら地獄に向かおうとする馬鹿な輩が居たら、地獄の底から天国の天井に頭を打つまで蹴り飛ばして差し上げますよ……クククっ……!」
可笑しさに肩を震わせながら、彼女を見る。
つう、と一筋の雫がその頬を濡らした。
インデックス「……ありがとうっ!」
濡れた頬のまま満面の笑みを浮かべる彼女の声が、タクシーの車内に響き渡った。
────────────
七月二十五日 夏休み六日目
────────────
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 22:45:03.04 ID:fG94vmnIO
やっぱり俺らの五条さんは格が違うな219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 22:46:14.61 ID:xku3P/AP0
タクシー運転手「五条さん格好いい」229 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 22:52:34.88
ID:336bnOz2O 『んんー…まぁ大した怪我はしていないから命には別状無いねぇ。一時的なショックで昏倒しているだけだろうから明日…遅くても明後日には目を覚ますだろうよ』
CTの写真を眺めながら、カエル顔の医師が呟いた。
傍らのインデックスがほっと胸をなで下ろす。
『今夜はもう遅いから、何なら空いているベッドを貸すけれども……?』
壁の時計に目を向ける。
上条を病院に運びこんで検査結果を医師に伝えられる頃には、時計の針は1時を少し右へ傾いたところにあった。
インデックスに目線を送ると、当惑した表情をこちらへと向けている。
少々思案した後に、言葉を返した。
五条「ククク……こんな夜分までありがとうございました……重々申し訳ありませんが、お言葉に甘えさせて頂きます……」
『なぁに、構わんよ。彼と同室ののベッドが空いているから、好きに使いなさい』
医師に再度礼を告げ、インデックスを伴い上条の病室へと歩を進める。
本来ならばシャワーを浴びてから眠りたいのだが、今は贅沢を言える様な状況ではないだろう。
236 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:00:56.89
ID:336bnOz2O 病室へ向かう途中、売店前に設置されていたパンの自販機の前で足を止めて動かなくなったインデックスに数個の菓子パンと2入りの飲み物を買い与え、自身は一つの菓子パンとペットボトルの水を購入し、病室の扉をくぐる。
三列のベッドが並ぶ部屋、廊下側のベッドに上条当麻が横たわってすやすやと寝息を立てていた。
無言のまま静かに窓側のベッドに向かい、ベッドに備え付けられたカーテンを引く。
ベッドに身を投げ、眼鏡を外して天井を眺めていると、くぐもった嗚咽と共に謝罪を告げるシスターの声が耳に入って来た。
『トウマ……ごめんね……ごめんねっ……!』
数分ほど経った後に隣のベッドのカーテンを引く音が響き、次いでモグモグ、ゴキュゴキュと明らかに食事をしている様な音が病室を占めた。
五条(……複雑な人ですね……)
寝入るにはあまりに耳障りな音が止み、ようやく睡魔が瞼をノックし始めた頃、不意に隣のベッドから声が投げかけられた。
『あの…起きてるかな?』
覚醒するには至らない程度の控えめな声に言葉を返す。
五条「……眠っていますね」
244 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:08:13.02
ID:336bnOz2O 『そっか……ご馳走様なんだよ、今日は本当にありがとう』
五条「…ヒヒヒ……構いませんよ…良い暇つぶしです……」
『……あのね……』
五条「……?何でしょうか?」
『……君の瞳の事なんだけどね』
五条「ッッ!?」
靄が降りていた頭が一気に覚醒し、意識が完全に戻ってくる。
五条「気付いていたのですか……!?」
『……うん、何となくなんだけど…』
『ごめんね、君の瞳に関する事は私の魔道書の中にも載ってないんだよ…』
ドクドクと心臓が早鐘を打つのがわかる。
五条「……そうですか……」
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:10:02.38 ID:fyH2DWyz0
どこの伝勇伝だよwww247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:13:44.69 ID:rnhHtPmeO
凄い厨二だが五条さんだから許される248 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:16:22.63
ID:336bnOz2O 『魔術と似ているんだけど、違うんだ…もっと別の力…なのかな……』
五条「……」
『ごめんね、どうする事も出来なくて……』
五条「……いえ、構いません…そんなに謝らないで下さい…」
『きっともうわかってると思うんだけど……』
『開放はし過ぎない方が良いとおもうんだよ……』
深く息を吐いて動悸を落ち着かせ、言葉を返す。
五条「……肝に銘じておきましょう」
『うん……』
『それじゃあ、おやすみなさい』
五条「……えぇ、おやすみなさい」
言葉を返し、再び瞳を閉じる。
肉体的にも精神的にも疲れていた為か、眠りに落ちるまでにさして時間は掛からなかった。
────────────
251 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:23:49.75
ID:336bnOz2O 開け放した窓から差し込む朝日で目が覚めた。
時計に目をやると、眠りについてから4時間ほどしか経っていないが、睡眠が不足していると感じない程度には眠れただろう。
上体を起こして眼鏡をかけ、隣のベッドに向かい声を投げる。
五条「……インデックスさん」
……返事が無い。
多少声を強め、再度声を投げる。
五条「……起きていますか?インデックスさん?」
……やはり返事が無い。
もしやと思いベッドから立ち上がり、僅かに彼女のベッドのカーテンを引いて中を確認する。
……居た。
ベッドの上には幸せそうに掛け布団を抱きしめ、すやすやと寝息をたてている銀髪碧眼の少女の姿があった。
五条(……こうして見ている分には、ただの少女なのですがね……)
きっと疲れていたのだろうとカーテンを閉じ、今度は上条のベッドのカーテンを引く。
……こちらも少女と同じく、瞳を閉じたまますうすうと寝息を立てている。
五条「はぁ……」
252 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:28:52.09
ID:336bnOz2O 小さくため息をつくと自分のベッドへと戻り、再度身体を横たえた。
五条(まぁ、たまにはゆっくり休みますか……)
横たわったままあれこれと考え事をしている内に、二度目の睡魔の襲撃を受ける。
抵抗をせずに瞳を閉じて再度その目を覚ました時には、時計は一日を二分する時間に差し掛かっていた。
身体を起こし、カーテンを開く。
と、隣のカーテンは既に開いており、そこにいた筈の人影が完全に消失していた。
──────しまった。
慌てて身なりを整え病室を飛び出し、ロビーへと駆け下りる。
ロビーの待合所を抜けようとした際、銀髪のシスターが待合中の老人達と談笑をしているのが視界に入り、加速した勢いのまま盛大にずっこけた。
────────────
257 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:35:34.91
ID:336bnOz2O 『マサルー、お腹減ったー』
五条「…ククク…では夕飯でも食べに行きますか…」
結局丸一日を病院で潰す事となった。
老人達と談笑するシスターを脇目に雑誌を購入し、読みふけって時間を潰す。
黒子から着信が入ったので屋外に出て電話を取るとプール掃除を手伝えと一方的に告げられたが、昨晩の後の経過を話した辺りで途端に機嫌が悪くなり始めた彼女に今日明日は動けそうにない旨を告げると
『この貸しは三倍返しですわよッ!』
と叫ばれ、通話が途切れた。
そんなこんなで日が落ちる午後七時頃になったので、空腹に身をよじり始めたシスターを伴い病院の傍のファミリーレストランで夕食を済ませる。
次々とテーブルの上に運ばれてくる皿に財布と周囲の視線を気にしながら食事を終え、病室に戻る。
と、廊下側のベッドの上で頭を掻いている高校生と目が合った。
『…!おまえ、あの時の……』
インデックス「トウマっ!」
後ろをついて歩いていたシスターが自分を追い越し、ベッドの上の高校生、上条当麻へと飛び掛った。
上条「のわっ!おまえちょっと待ッ…」
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:37:05.55 ID:fyH2DWyz0
マサルwwww259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:38:04.13 ID:dlIFlBgR0
マサルって新鮮すぎるww261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:38:55.32 ID:8qCFLAeFO
セクシーコマンドーの達人みたいになってるwwwwwwwwwwww267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:43:00.51 ID:NogEqX990
すごいよ!!マサルさんwwwwwwww263 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:42:26.61
ID:336bnOz2O バタバタとわめき立てる二人を放置し、無言のまま窓側のベッドへ移動してカーテンを閉じてベッドに横になり雑誌を開いて読みふける。
『マサルが倒れてたトウマをここに連れてきてくれたんだよッ!』
幾分か落ち着いてインデックスが上条へ状況を説明し終えたタイミングで、カーテンを開き、上条と向かい合った。
上条「~~ッ!こないだに続いて、色々世話かけちゃったみたいだな……ありがとう」
上条がぺこりと頭を下げてくる。
五条「……ククク……構いませんよ……こちらは暇な身の上なので……ところで…シャワーを浴びたいのですが、銭湯へ行きませんか…?」
────────────
医師へ再三の礼を述べ、退院の手続きを終え、タクシーを使って最寄の銭湯へと移動する。
五条「では、50分後に再度ここで……」
入り口でインデックスと分かれたあと男湯の暖簾を潜り、牛乳を二本購入して片方を上条へと放り投げ、脱衣所の脇にあるベンチへと腰をかけ言葉を投げた。
五条「ククク…さて……いくつか説明して頂きたいことがあります……」
上条「…どっから話したもんだろうなぁ…」
受け取った牛乳の蓋を開き、上条が言葉を返してきた。
274 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:50:01.91
ID:336bnOz2O 上条「あいつからはどこまで聞いてる?」
五条「……ククク…」
昨日インデックスより聞いた内容と、自身が倒れている上条を見つけた際の事を掻い摘んで語る。
五条「……以上がオレの知っている限りですが……腑に落ちない所が多すぎます…」
立ち上がり、空になった牛乳瓶を自販機脇のケースに収め、彼に言葉を続けた。
五条「……関わった以上…力になりましょう…話して、くれますね……?」
一通り語り終わった後、彼は少し思案し、よしっと小さく呟いてからぽつぽつと語り始めた。
上条「おおまかな内容は合ってるんだけど、少し食い違っているところがあるな…まずおまえが遭遇した二人の魔術師だけど、あいつらは魔道書を狙う魔術結社の人間なんかじゃない」
五条「……?」
上条「あいつの……インデックスの所属する教会の同僚だ」
五条「……??」
それから彼は、順を追って欠落している情報を語り始めた。
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:52:07.82 ID:xku3P/AP0
pixivに五条さんの腐漫画が多いのでよからぬ想像をしてしまった俺を狂わせてくれ277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 23:54:31.12 ID:VKH9agAP0
>>276
狂え…純粋に……!
もっとだ!もっと狂え………!278 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /26(金) 23:57:11.19
ID:336bnOz2O それから彼は、順を追って欠落している情報を語り始めた。
インデックスが完全記憶能力の持ち主で、年に一度彼女の記憶をリセットしないと、彼女の生命そのものが危機に晒される事
彼女を追っていたステイルと神裂は彼女の同僚であり親友で、彼女を保護して記憶をリセットする為自ら悪役を演じている事
自身がそんな結末を望ます、神裂と矛を交えた事
五条「……」
上条「……これがオレの知っている全部だ」
パズルのピースが次々とはめられていく度、次第にその悲しい全形図が浮かび上がる。
全てを話し終えた後、彼は苦々しい表情でため息をついた。
五条「……忘れられるかもしれないのに……」
上条「……?」
五条「もしも何も手立てが無ければ、彼女に忘れられるというのに……」
五条「それでもオマエは、彼女を救いたいと願うのですか……?」
真剣な表情で上条の目を見つめ、問いかけを投げる。
上条「……あいつらの考え方もちったぁわかるんだけどさ……」
目を逸らし、ボリボリと頭を掻きながら、彼が言葉を続けた。
上条「はっきり言って気に入らないんだ。結局あいつら、逃げてるだけだと思わないか?」
五条「……」
281 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 00:03:34.61
ID:RAD2wx2sO 上条「忘れられるのが嫌だから、悪人を装ってアイツを捕まえて記憶を消す?そんなふざけた話無いだろう。そもそもそんなのアイツの気持ちなんか、微塵も考えちゃいない」
上条「忘れられるのが怖いから、悪人の振りしてアイツを攫って、アイツを怖がらせて…」
上条「忘れるのが怖いんなら、忘れたその次の一年はきっともっと幸せな一年が待っているって、そう約束して、アイツを受け入れてやる事だって出来るはずだろッ!?」
上条「それをあいつらはッッ!自分が忘れられるのが怖くてッッ!!自分の弱さを棚に上げてッッッ!!全部をインデックス一人に押し付けてやがるッッッ!!!」
上条「そんなのって無いだろッッッ!?あいつらが力を持ってるのは何の為だよッッ!
力があるからいやいや守るのかッ!?違ぇだろッッ!!
守りたいものがあるから、アイツらは力を付けたんだろうがッッ!!そんなあいつらがなんで……!!!」
五条「もういいッ!!」
気がつくと、熱弁をふるっていた上条の頬を涙が濡らしていた。
五条「もう結構ですッ……!」
五条「誰かが誰かを忘れるのもッ……忘れられるのもッッ……そんな物語はもう沢山ですッッッ!」
288 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 00:11:16.09
ID:RAD2wx2sO 声を張りベンチを立つと、自身の頬もまた濡れている事に気がついた。
眼前の上条へ左手を差し出し言葉を吐く。
五条「今一度応えますッッ!オレは五条……五条勝ッッ…!帝国の守護を担っていた、蹴球の徒ですッッッ!!オマエがその悲しい物語に抗うのならばッ!!!オレの力の一縷も残さず、オマエに貸し与えましょうッッ!…」
上条が差し出した左手を強く握り、その言葉に答える。
上条「オォっ!!オレは上条ッ!上条当麻だッ!!アイツを泣かせるふざけた幻想は絶対に許さねぇッ……!!頼むッッッオレに力を貸してくれッッ!!」
────────────
七月二十六日 夏休み七日目
────────────
人気のない、整備された学園都市のとある川沿いの道。
川沿いに立つ少年が、不意に隣に立っていたシスターの首元にナイフを当てがう。
『えっ……!?』
愕然とした表情で少年を見据えるシスター。
五条「ククク……すみませんねぇ……オレにも事情というものがありまして……ククク…アーッハッハッハ!!」
少年の高笑いが、夏の河原に響き渡っていた。
──────fin──────
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:13:14.66 ID:Rm4P6zXV0
なん・・・だと・・・292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:13:27.24 ID:I83MQTLu0
なんて熱い展開ッ・・・!!298 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 00:18:26.21
ID:RAD2wx2sO 以上、本日投下分となります
支援&保守を頂きました皆様、また関係各位の皆様、いつもありがとうございます
書きながら思ったんですが、銭湯の脱衣場で涙を流しながら手を繋ぐ二人の男ってのは相当イヤな光景です
さて明日の投下に関してですが、自分の遅筆さを熟慮して異常がなければ22時から開始させて頂こうかと思います
またお時間がございましたら、お付き合い頂ければ幸いです
お嬢に一票入れます
303 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 00:23:21.97
ID:RAD2wx2sO ~if 1~
五条「……インデックスさん」
……返事が無い。
多少声を強め、再度声を投げる。
五条「……起きていますか?インデックスさん?」
『起きてるでゲソ』
……ゲソ?
もしやと思いベッドから立ち上がり、僅かに彼女のベッドのカーテンを引いて中を確認する。
……居た。
ベッドの上には堂々と両腕を組み、ふんぞり帰っている青髪碧眼の少女の姿があった。
五条(……こうして見ている分には、ただの少女なのですがね……)
きっと自分は疲れているのだろうとカーテンを閉じ、再びベッドに潜り込んだ。
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:27:40.69 ID:waRztJ7R0
>五条(……こうして見ている分には、ただの少女なのですがね……)
五条さんが侵略されてるでゲソ!308 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/11 /27(土) 00:30:59.20
ID:RAD2wx2sO ~if 2~
『マサルー、お腹減ったー』
花中島「…ククク…では夕飯でも食べに行きますかなぁ…」
『違う人居る──────!?』
花中島「ムッ!一体なんなんだその反応は!!君は本当に失礼な奴だなコンチキショウ!」
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:35:33.74 ID:TWhpOsyjO
>>308
マサル違いwww312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:41:14.94 ID:D9Sz/q2x0
五条「クククククク……。オマエをここまで本気にさせたのは俺が初めてですよ…。」296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:15:28.86 ID:tjSe01hJ0
オナカスイタ・・・
(´○U○`)
(∩ ∀∩)<グー [ハンバーグ弁当]180 名前:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/26(金) 19:24:38.05 ID:ZY8LkIN/0
応援しとります181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 19:42:47.02 ID:YoFuCNOl0
>>180
素晴らしいな・・・純粋に
譲治ボイスという都市伝説まである五条さんだがやはり声も悪魔的なんだろうか182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /26(金) 19:51:12.34 ID:CSDCVlEE0
>>180
いいコンビだわほんと 320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 01:21:55.48 ID:Szed2gl8O
これが二次創作ってのが信じられないくらいキャラ立ってるよな
いちいちかっこよすぎるぜ五条さん307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11 /27(土) 00:28:57.37 ID:le8t8kTe0
俺はイナズマイレブンも禁書もよく知らないただの五条さんファンだけど、毎回面白いなあ
話を知らなくても分かるような丁寧な書き方で助かる
乙
レベルファイブ (2010-12-16)
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