一方通行「白く細く中性的な少年に対する劣情…ってなンだそりゃァ!!??」

2011-08-14 (日) 21:02  禁書目録SS   17コメント  
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:47:39.86 ID:C7qG9Sg60


番外個体。
第三次量産計画によって生まれた御坂美琴のクローン。
その生産目的は、一方通行の殺害。
そのために、MNWを通じて他のクローンを負の感情を抽出し、一方通行への敵意を強固なものとしている。
ところで、一口に負の感情と言っても様々なものがある。
一万三十一体ものクローンを倒した敵に対する嫌悪。
他の女にばかり構う相方に対する嫉妬。
そして―――。


「白く細く中性的な少年に対する劣情…ってなンだそりゃァ!!??」


黄泉川家のマンションに、一方通行の叫び声がこだまする。


「いやー、だからしょうがないことなんだよね。うん。ここは男として潔く見逃す度量が欲しいかなあ、ってミサカは思うんだけど…」


冷汗を垂らしながら笑う番外個体。
その手にはしっかりと、男物の下着が握られている。



話せば長くなるが…今から三分前、一方通行の下着をくんかくんかしていた番外個体が見つかった。
おわり。
そして現在、絶賛言い訳タイムである。


「いや、実際たまたまなんだよ。たまたま下着を見かけたら、たまたまMNWから電波受信しちゃって、たまたま下着に手が…」

「そもそもそれがおかしいンだよ。俺は脱いだものをそのまま洗濯機に突っ込んだはずだ。洗濯機を深く覗きこまなきゃ、見かけることもねェはずだ」

「たまたま洗濯機を覗きこむ癖がついててさ…」

「どンな癖だよ」


全くこれはどうしたことだろうと一方通行は訝しがる。
ミサカシリーズに少なからず変態が存在するということは聞い…見たことがあるが、まさかあの番外個体がそうだとは。
殺そうとした人間の下着を匂いたがるという心理は全く理解できないししたくもない。
しかし、こと番外個体のこととなれば、放置はできないだろう。
つまり、矯正するしかない。



292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:48:40.63 ID:C7qG9Sg60
「番外個体、今後一切こういうことは止めな」

「何それひどくない!?」

「うわっ、こいつ普通に認めてやがる!?」

「ミサカにはこれが必要なの! これが無ければミサカじゃないの!」

「ええええェ…なァンなンですかァ、もゥ…」


下着を弄びながら抗議する番外個体。
いいからそれを放しなさい。


「あー、お前さァ、何でこンなことしたわけ? 劣情催したっつーンならよォ、他に幾らでも良い方法があンじゃねェの? 男作るとかさ」

「そんなの興味ないもん」

「何も俺じゃなくてもいいだろォが…」

「一方通行じゃないといやだもん」

「…」



誰だこいつ。
一方通行の脳内で、大量のクエスチョンマークとSOS信号が飛び交っている。
番外個体は御坂シリーズから負の感情を拾い集める。
そこらの妹達から集めれば、負の感情が優勢だろう。
打ち止めの影響力が強いなら、多少は嫉妬が増えるかもしれない。
だが劣情とはどういうことか。
妹達がそうなら、一方通行はもう一度ワクチンを作らなければならないだろう。
打ち止めがそうなら、即刻家族会議だ。
しかし、一方通行には…彼には非常に珍しいことに、何となく分かったような気がした。
本人にしてみればその考えは、大変な大穴の大博打であるが。


「とりあえず、それは置け」

「…」

「よし。こっちに来い」

「…?」


ギュッと、一方通行は番外個体を抱きしめる。
たどたどしくて、不器用な抱きしめかた。



293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:49:36.78 ID:C7qG9Sg60

「えっちょっ、な、何?」

「どォだ?」

「ど、どうだって…」

「俺の匂い、するか?」


芳川の秘蔵の下着のように顔を赤らめる一方通行。
こっ恥ずかしい台詞である。
かの幻想殺しでもこんなことはよう言わないだろう。
番外個体も、ぷっ、と噴き出していた。


「あひゃひゃひゃ、何言ってんの一方通行」

「お前のしたことのがよっぽど恥ずかしいよクソが」

「馬鹿みたい」

「ああ、そォだな」

「いい匂い」

「そりゃ良かった」


苦笑する一方通行。
果たしてこれで解決したと言えるのだろうかという最もな疑問は残るが、現実の事件とは大概がそういうものなのだ。
最適解は見つからないし、次善の策も後々考えれば黒歴史だったりする。
ハッピーエンドはもちろんトゥルーエンドも夢のまた夢であり、従ってこのSSにまともなオチがなくても仕方のないことなのだ。


「…そろそろ離れてもいいですかねェ、ワーストちゃーン?」

「だめ」

「もうすぐあいつら起きてくると思うンですけどォ」

「そう」

「…」

「…」

「…まァ、言えばいつでも…た、たまには抱きしめるくらいのことはしてやるから。あのガキもお前も、俺にとっちゃ同じようなもンだ。だからもう二度とこンなことは…おい、何してやがる。おい、止めろ! その卑猥な腰の動きを止めろォ! 脚に擦りつけンな、その染みはなンだ、息を弾ませるな止めろおいちょっと、おい、おい、番外個体ォオオオ!!!!!」



294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:51:14.52 ID:C7qG9Sg60


「ねえ、一方通行」

「あァ? どォした?」

「ほい、あげる」

「何だこりゃ…っておい! 何てモン渡してやがる!」

「何って、対価だよ。対価」

「生憎お前のような趣味は無いンでェ…」

「一応他の三人の分も持ってきてあるんだけど…」

「いィからそれをさっさと戻して来てくれェ!!」


おしまい。

以下番外編。



295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:51:54.58 ID:C7qG9Sg60



一方通行(シャワーでも浴びるか…)

一方通行(あァ? 番外個体か。ちっ、リビングで待つか)

一方通行(何かブツブツ呟いてンな)

番外個体「はぁ…すごい匂い…」

一方通行(って、ありゃァ俺の服かァ!?)

番外個体「今日は買い物行ってたから、汗かいたんだね…うわっくさっ、本当キモいんだけど。ったく、ガリガリのヒョロもやしだから歩くだけで汗かくんだよ…。こんな汗かいてたら洗濯大変じゃん。だから仕方なく舐めとってあげてんの。感謝してよね。うわぁ…腋すごい。何これ。こんなのミサカに舐めろっての? 何様のつもり? 舐めるけどさ。はあぁん、すごいこれ美味しい! アクセラジュースすごい何このまろみ! ミサカのあそこからもミサカジュースが一方通行しちゃうよおぉぉ!!」

一方通行「」



296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:53:44.79 ID:C7qG9Sg60
一方通行(えェと、まずは状況を整理だ。番外個体が洗濯機の前で俺のシャツを…あれは、俺の下着を取り出して…)

番外個体「うわっ、何これ。すごい邪悪なオーラ放ってんですけど…。何悪党スメル出しちゃってんの? ミサカをどうこうしようっての? 一方通行が本気だしたら私抵抗できないじゃん。んはぁ。されるがままになっちゃう…。ミサカがこんなんになっちゃったのは能力使ったせいだもんね。本当悪党だね、あなたってば。んほぉおお。マジきもいんだけど、ぎゃはは! 何ミサカ相手にマジになってるわけ? こんなのもうどうしようもないじゃん。こんなすごい匂い出して。すぅううう。ミサカを虜にしたいっての? いいよ。ああ、ミサカは毎日こんな匂いを嗅がせられるんだね…下着じゃない、直接…。ちょ、直接!? それやばいよ! 愛液逆流しちゃうよ! でもミサカは抵抗できないんだね。あの白くて細い指で、こことか…んっ! こことか、触られて…。で、あの人のあ、あれを…。『舐めなァ、歯ァ出すンじゃねェぞ。そう、優しくなァ…』って言って…本当鬼畜だね。あれ、この白いのってあの人の…きもっ! ミサカにこれ食べろって!? 本当変態じゃないの? ミサカが抵抗できないのをいいことにさ。きゃっ、蹴らないで! 分かったよ、食べればいいんでしょ。うわぁ、すごい…。イタリア人もびっくりだよ…。これかけたら毎日パスタでもボーノだよ…」

一方通行(靴下で自分の頬はたきながら、口をモゴモゴさせてやがる…。あっ、被った)

番外通行「ちょっ、何も見えないじゃん! えっここ舐めろって? この匂い、もしかして…。いやっ、おなかグリグリ踏まないで…。舐めるから…一方通行のお尻舐めるから…。ああぁぁ…。すごい…。本当悪党だよね。こんなの一度嗅いだら、毎日嗅ぐしかないじゃん…。ミサカは一方通行専用のウォシュレットになるんだ…。毎日一方通行のお尻を舐めることを喜びとして生きていくんだ…。んはあぁぁ、拭いてない状態だともっといい匂いなんだろうなあ…。エコだよね、ミサカは。エコだから、問題ないんだよね。あっ、一方通行の陰毛さん、こんばんは! 白くて神々しい陰毛様、食べちゃいたい! ああ…口の中に一方通行の成分がじわじわと染み込んでいく…。えっ、お前の食事はこれだけだって? お前は一生陰毛だけで生きていけって? ふざけないでよ! ミサカにも、人としての尊厳はあるんだから! ○ンカスと垢もお願いします! うへへ…美味しいよ…美味しいよぉ…。炊飯器で何でも作れるって言うけど、炊飯器じゃこんなの作れないじゃん、はい論破」

一方通行(下着取ったと思ったら何あのドヤ顔。…なに人の下着観察してやがる)

番外個体「希望評価額は? 十万円? ふむ、これは正真正銘一方通行の下着ですね…。見てください、ここのところに一方通行と名前が書いてあります。これは打ち止めの手によるものですね。ここまで一方通行という字を下手に書けるのは彼女くらいのものです。さらにこの柄を見てください、Vの字の白黒のストライプ模様。こんな時代を先取りしたデザインをはきこなせるのは、一方通行くらいのものです。次に匂いを嗅いでみましょう、ふむ…男性的な匂いは薄いですね。かといって女性特有の匂いもない。これらのことから一方通行のものだということが分かりましたが、この匂いは…。ふにゃあん、すごすぎるにゃあ。初期一方通行のような刺激的で暴力的な匂いもさることながら、最近の一方通行のような穏やかで優しい匂いも…ああっ、まるで殴られて後に撫でられて、ベクトルパンチの後にベクトルなでなで! 自転パンチの後に自転なでなで! あふぅん! お星様になっちゃうう、昇天しちゃう!! 第一位ってすごい! 私は改めてそう思いました! 良い仕事してますねえ! 評価額は! いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、一兆!!!! やばいよおおお! 一方通行のせいで日本経済がやばい! ミサカの脳内もインフレ起しちゃうにゃあああああああ!!!!」

一方通行「…」

番外個体「…ふう。今回は意外とあっさり終わっちゃった。最近はちょっとマンネリしちゃってるからね。そろそろ新機軸を…って、あれ?」

一方通行「…おい」

番外個体「…ふざけないで。確かにミサカはクローンだよ。それも、あなたを殺すためだけに作られた。だからと言って、あなたに同情なんてされたくない。他でもない、あなたにはね。ミサカは、産んでくれてありがとうなんて言う気もないし、産まれなければよかったなんて腐りたくもない。それでも、ミサカは生きていかなきゃいけないんだ。例えどんな闇に浸ろうとね、そう、昔のあなたと同じなの。ごめんね、こんな話しちゃって。もう表の世界に居場所ができたあなたに。じゃあ、行くね。もうあなたには関わらないつもりだから、安心して。さよなら、ミサカの存在理由<レゾンデートル>…」

一方通行「待て、黙れ、そこ座れ。この変態野郎」

番外個体「あふん」


「俺の番外個体がこんなにクンカーな訳がない」



これで本当におしまい。
お目汚し失礼。



297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 18:57:10.51 ID:frJiN+7xo
ひどすぎるwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(褒め言葉)



303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 20:47:27.39 ID:xoSZBp5+o
やべえ唖然としたwwwwwwww



299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 19:13:53.78 ID:AxUHBJ9s0
これは伝説になるレベル



302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 20:34:04.07 ID:vvqIhkt90
そしてウィルスがネットワークを伝ってみんな感染
匂いフェチになるんですね、わかります




306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 21:18:49.61 ID:Nqm6BHIto
>>302
全世界で妹達が同時に20000号化・・・








552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:03:12.19 ID:J8XnLicu0



「オマエさァ、それ粉チーズかけすぎなンじゃねェの?」

「そ? ミサカはこれぐらいが好みなんだけど」

「粉チーズ山盛りになってンですけど」

「いいじゃん。美味いし」


居間にある食卓で、二人は向かい合わせてスパゲティを食べている。
一方通行はペペロンチーノ、番外個体はバジルソースのパスタ。
ちなみにこれも炊飯器で調理したものである。
もっとも、ソースは瓶詰のオイルソースを使用したものであるが。
どうやってパスタをあの釜の中に押し込めたのかは、謎である。


「で、クソガキ達はいつになったら帰ってくるって?」

「夕方には帰ってくるでしょ。晩の食材も買うって言ってたし」

「ふゥン」

「ふっふーん。二人っきりになった黄泉川家で、いったいミサカに何しようと考えているのかにゃーん?」

「寝る」

「うわっ! どストレートに来た! この白いのミサカと寝るとか言ってる!」

「ねェよ。つゥか芳川いンだろが」

「へー。3Pが御所望で」

「オマエそろそろ調整受けてもらった方がいいンじゃねェの?」


食事が終わり、一方通行は食器をかたずける。
二人とも基本的に家事とか手伝いとかいったことはやらないたちであるが、他にする人間がいないときにはやることもたまにはある。
しかし、番外個体は少しでも一方通行のためになることはやらない。
それはもう徹底してやらないので、この二人しかいないときは、しょうがなく一方通行がやることになるのである。
一方通行はそれを彼女の特性として理解していたので、愚痴をこぼしながらもちゃんとフォローするのであった。

一方通行は皿洗いを終え、缶珈琲を携えてソファにどっかと座り込む。
夕方までどのように過ごそうか。
本を読むのもいい。
テレビを見るのも、まあいいだろう。
寝るのが最も良いかもしれない。
しかしぼーっとして過ごすのもまたいい。
そう考えていると、彼の横のスペースが、いつの間にか占領されていた。


「なんか退屈じゃない? 一方通行」

「結構なことじゃねェか」

「暇なんだよ、ミサカと遊んでよ」


そう言いながら、一方通行の肩にしなだれかかる番外個体。
チッ、と舌打ちをする一方通行であるが、反射することはしない。
彼にはもう分かっている。
番外個体が、例えMNWを通して悪意を抽出する器であるとしても、もう自分を、他の誰も害することはないと。
言うなれば、彼は番外個体を信頼していた。
信頼しているかと問われれば、彼も彼女もそんな訳無いと答えるのであろうが。
ともかく、一方通行にとって番外個体は、家族たちは信頼できる存在に、なっていた。

一方、番外個体の心情はと言えば…。


(ふむ、ほんのり匂いがする…)


一方通行の服の匂いを楽しんでいた。



553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:04:10.26 ID:J8XnLicu0



(しかし薄い…。元々体臭が薄いというのもあるけど、運動をしていないためか全然汗をかいてない)


クッ、と唇をかみしめる番外個体。
しかし折角のくんかタイムを逃してわざわざ運動させるのも非効率的なことである。
ここは諦めてほのぼのくんかを楽しむべきか。


「暇ならどこへでも出掛けてな。金なら用意する」

「なに? 体よく追い出そうっての? それ酷くない?」

「オマエ全然外でねェじゃねェか。それこそ芳川並みに」

「えー? それは心外だなあ。あなたの買い物にはよく付き添ってあげてんじゃん」

「だから芳川並みだって言ってんだよ」


あるいは、二つの方法がある。
運動以外の方法で汗をかかせること。
もう一つは、より匂いの濃い部位を嗅ぐこと。
そうすることで、より効率的なくんか量を獲得できる。
問題は、その具体的な方法である。
前者については、物理的に熱を与える方法と、心理的に緊張状態にさせる方法とがある。
そして現在、体の接触によって物理的に熱を与えている。
ただ、それではこころもとないと、番外個体は考えた。


「ねえ、キスしよっか」


番外個体は、一方通行の耳元でそうつぶやいた。
一方通行は、珈琲の缶から口を離し、白けたような眼で番外個体を睨んでいる。


「オマエ、ついにボケたか?」

「ミサカは、一方通行の嫌がらせのためなら何だってする」

「プライドまでは、捨ててほしくないンだがな」

「それがミサカのプライドだから」

「あっそォ。ところで早く耳から顔のけてくンねェかな」

「何? 敏感な耳元でささやかれてドキドキしちゃった?」


ふふ、と笑う番外個体。
彼女は一つの喜びを手にしていた。


(何これ、すごいいい匂い)

(耳の後ろ、髪の毛、頭皮。それらが、優しくもかぐわしいハーモニーを奏でている!)

(人間の毛というものはセックスアピールの役割を備えているという)

(その証拠を、今この瞬間まざまざと見せつけられた…)


番外個体は抑えられないといった様子で、一方通行の白い髪の毛に顔を埋める。
柔らかく、さらさらとして、何の不純物も含んでいないそのふわ毛は、番外個体の顔を優しく包む。
番外個体は鼻孔を膨らませ、ハワイの空気の缶詰よろしくその中に含まれた、一方通行成分を大量に摂取しようと試みた。
はたから見ると、甘えん坊の子供である。
一方通行は、何こいつ猫みてえ、という感想を抱いた。



554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:05:45.55 ID:J8XnLicu0



「…オマエ、何やってンの?」

「ふにゃあ…」

「正気に戻りやがれ」

「おうふっ」


ベクトルチョップにより意識を引き戻された番外個体。
一方通行成分のマタタビのごとき怖ろしいまでの中毒性を、その身に思い知る。


「何かどっかトンでたぞオマエ」

「な、何のことかにゃーん?」

「悪意だけじゃなく、怠惰とかそういうのも抽出してンじゃねェの」


どうやら一方通行は番外個体の一連の行為を、変態行為ではなく、ただの意識の喪失と見なしたらしい。
怠惰と言われるのは事実とはいえ心外ではあるが、ここは甘んじて受けた方がいいだろう。


「一方通行だって、やる気とか情熱とかいったものとは無縁じゃないのさ」

「俺には必要ねェからな」

「当然のように平然と言い張るあなたって素敵」


一方通行の胸板に指を立てて、するすると撫でまわす番外個体。
まるで恋人のような振る舞いである。
番外個体はそのあたり意識して行っているが、当の一方通行には通じていない。
相も変わらず憮然とした面持ちである。


「オマエはとりあえず外に出ろよ。服のブランドの一つも知らねェンじゃねェか」

「それくらい分かるよ。それより、あなたは友達の一人も作った方がいいんじゃない?」

「ンなのいらねェよ。腹の足しにもならねェ」

「強がっちゃって」

「テメエも友達いねェくせに何ほざいてンだか」

「じゃあミサカと友達になろうよ。ぎゃは、最高のジョークだね」

「そうかもなァ、ところで友達として頼みがあるんだが、乳首を重点的に触るのは止めろ」


あら、と言って手を離す番外個体。
どうやら無意識のことだったらしい。
だとしたら尚更タチが悪いと一方通行は思った。

ふむ、と状況を整理し直す番外個体。
次の策を練っているのだが、正直それは策と呼べるようなものではないし、本人としても冷静な判断よりも、むしろ本能の情熱にこそ頼る気持ちであった。
ともあれそんな衝動に駆られた番外個体は、ゆっくりと倒れた。
ぽすん、と一方通行の膝の上へ。



556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:07:20.05 ID:J8XnLicu0



「……」

「……うへ」

「なーンなァンですかァ? いきなりこンな真似しやがって」

「別に~? なんとなくだけど?」

「チッ、ガキじゃあるまいし」

「あのちびっ子はよくやってるもんね。やっぱりガキには甘いよね、このロリコン」

「うぜェ。早くどけ」

「イヤ」

「……」

「ミサカは、あなたの嫌がる顔が大好物だから」


その角度じゃ俺の顔は見えねェだろォが、と心の中でつっこむ一方通行。
その言葉通り、番外個体は顔を一方通行の身体とは反対の方向にして、横向きに寝ていた。
つまり、お互いに顔は見えない状況である。
番外個体からは、一方通行が実は優しく苦笑しているなどということが分からないのと同様に。
一方通行からも、番外個体が鼻孔を広げて鼻息を荒くしていることなど分からない。
変な音が多少漏れていることには、気付いているかもしれないけれど。
スンスン、スンスンという音に。


(ナイススメル、ナイススメルだよ番外個体!!)

(思い切って飛び込んで良かった)

(清潔にしているためか薄くはあるけれど…)

(しかし、良質なスメルだ)

(やはりセックスアピールと言えばここが最高峰か)

(それにしても、今日の一方通行はやけにおとなし…)


ふわ、と。
優しく髪を撫でる手。
サラァ、と数回髪を梳くように撫でた後、ポンポン、と頭を羽のように軽くたたく。
それは少したどたどしい手つきではあったが、あの少女相手にしばしばしているだけあって、番外個体を心地いい気分にさせた。

撫で終えた後、一方通行は自らの行いを省み、顔を赤らめる。
こんなのは一方通行のガラではないし、番外個体にも似合わない。
何故したのかという問いに対しては、打ち止めと間違えたとしか言えないだろう。
しかし、それにしたって…。
番外個体は、じっと押し黙っている。
その態度は、怒り罵られるよりも怖いものであった。


「あ、あァ、悪ィ」

「……」

「い、いやァ、疲れてたンかなァ。ちょうど目の前に間抜けな頭があったもンだから…」

「……」

「…何とか言ってくれ」

「……え…」

「あ?」

「一方通行、激☆萌えええええええぇぇぇえええぇぇぇーッ!!!!」


突然に、番外個体が起き上がる。
その目は、かつて見たことが無いほどキラキラ輝いていた。



557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:07:59.56 ID:J8XnLicu0



番外個体は、ペロリと舌なめずりをし、一方通行の股間にダイレクトアタックをかます。
呆然として何の対処も出来ない一方通行を意に解することもなく、番外個体は股間に鼻を当て、グリグリと押し付ける。


「んああっ、さっきまでとは比較にならないくらい濃いっ!! 一方通行のソウルスメル! ああああ! 少女のような繊細な香りがっ!! 天使のように清冽な香りがぁぁっ!!! 例えるなら無機質な研究所、無菌で無臭な人工的空間、愛も情熱も感じられないそんな墓場のような場所の、その片隅に奇跡のように咲く一輪の白い花!! 冷血と冷徹とを冠しながら、しかしほのかに漂う生物の片鱗! ミサカには見える! 微かなアンモニア臭と、奥底に眠るあの、あの、[ピー]の香りが!! レッツ探検!! レッツ探検ですぞー!!!」

「え? え? み、番外個体……? あっ、ちょ、やめっ」

「パラダイス!! パラダイスだよ一方通行!! 青い鳥はこんなところにいたんだ!! ああ、すごい匂い…。実際には薄いけど、一方通行の涙目を見ながらだと、一層おいしく頂けちゃうよ…。そんなに顔を赤らめて! 可愛いよ一方通行可愛いよ。ミサカのために泣いて、ね? ペロッ。ああ、涙も甘くて美味しいよ。ちゅるっ。へへ、一方通行がだらしなく口を開けてるからいけないんだよ…? ああ、唾にはこんなに旨みが含まれてる…。一方通行の唾液、ミサカの味蕾にぴったり合致してるよ…。ミサカだけにしか分からない、新たな味覚が生まれちゃうよ…。ここの匂いも、ミサカが余すところなく受け止めてあげる! 全部来て! 全部匂い来ちゃって! 来る! 匂い来る! これがミサカの自分だけの現実! ミサカの鼻バカになっちゃうにょおおおおおおお!!! ああああああああああああああ!!!!!!」


その間、一方通行は何もできなかった。
ただの一つも、行動を起こすことはできなかった。
抗議の声を上げることも、迫りくる番外個体を拒絶することも、能力を行使することも、助けを呼ぶことも、逃げることも、怖ろしすぎる現実を見限り夢の世界に旅立つことも。

番外個体が一方通行のズボンに手をかけても、それは同じだった。


「あ、あァ…いや…」

「さーあ、脱ぎ脱ぎしましょうねー。大丈夫、怖くないからねー。ちょっと真理の向こう側へ到達するだけだからねー。いよいよミサカは、天界へと足を踏み入れる…大丈夫、一方通行と一緒なら、何処までも行ける。ミサカは怖くないよ。一方通行と一緒に居るって決めたから。だから、ね。一方通行。一緒に行こう」


一方通行はなすすべもなく、ヤコブの梯子は下ろされた。
ただ彼は、少し遅起きの芳川桔梗によってのみ救われるものである。
その日の記録は、神の計らいによって抹消されている。



558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:10:10.55 ID:J8XnLicu0
俺の番外個体がこんなに(ry
というわけでおしまいです。
こんなのばっかり思い浮かんでしまいます。
ご読了お疲れ様です。



559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:15:34.55 ID:pp3EDNXvo
またお前かwwwwwwwwwwww



560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:27:19.67 ID:DhOnGXWa0
お前は馬鹿かwwwwwwwwwwwwww


いいぞもっとやれいや、もっと書いてくださいお願いします




561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:29:39.70 ID:skOlKk9vo
変態番外個体が可愛すぎて辛い



563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 19:54:25.70 ID:xtSggWCpo
番外個体wwwwwwww
可愛いのは確かなのになんだこの残念さんはwwwwwwwwww




564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 20:03:11.83 ID:fwCMj6OWo
こんな時どんな顔していいかわからないww



565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/13(金) 20:23:46.90 ID:ohH9jxBV0
いいなァ、オマエ



いい変態だ




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禁書目録SS   コメント:17   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
10634. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/08/14(日) 21:25 ▼このコメントに返信する
これはひどいwwwwwwwww(最大級の賛辞)
10635. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/08/14(日) 22:20 ▼このコメントに返信する
>>すごいこれ美味しい! アクセラジュースすごい何このまろみ!

まろみwwww○○屋さンシリーズ思い出したわwww
10638. 名前 : 田中精肉店◆- 投稿日 : 2011/08/14(日) 22:44 ▼このコメントに返信する
これこそ究極のヤンデレ
10645. 名前 :   ◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 01:10 ▼このコメントに返信する
劣情って単語
腐女子が良く用いる単語トップ3にはいる
10646. 名前 : 名無し@SS好き◆HcxCz1bw 投稿日 : 2011/08/15(月) 01:27 ▼このコメントに返信する
ルイズのコピペを一方通行に置き換えるとこんな感じか
10648. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 01:39 ▼このコメントに返信する
>>これかけたら毎日パスタでもボーノだよ…

くっそ、笑ったwww
20000号みたいだったなww
10649. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 01:55 ▼このコメントに返信する
ここからあえて芳川を混ぜてほしかった、そうあえて
10651. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 06:02 ▼このコメントに返信する
腐女子乙
10656. 名前 : 名無しの萌さん◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 10:41 ▼このコメントに返信する
天才って、いるんだなぁ
10666. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 14:32 ▼このコメントに返信する
すげぇ…
天才だ
中盤のクオリティパネェ
10677. 名前 : (´・ω・`)◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 18:17 ▼このコメントに返信する
この番外個体のヤンデレっぷりは憎めないなぁ・・・
10700. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/08/15(月) 23:11 ▼このコメントに返信する
スイッチ入ったら半端ねえw
10729. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/08/16(火) 15:03 ▼このコメントに返信する
腐ってるなぁ

>>一方通行のせいで日本経済がやばい
ただこの流れだけは笑ったわ
11925. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/09/11(日) 13:13 ▼このコメントに返信する
これはコピペになるべきwwwww
14135. 名前 :  ◆- 投稿日 : 2011/11/06(日) 14:28 ▼このコメントに返信する
白黒さんの汚れた犯行事実《イメージ》による汚染・・?
40074. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/12/06(金) 17:51 ▼このコメントに返信する
こ れ は ひ ど い
46489. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2015/12/16(水) 01:45 ▼このコメントに返信する
続き!続きを所望する!
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