五条「ククク… ここが学園都市ですか」その17

2010-12-11 (土) 18:03  禁書目録SS   8コメント  
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81 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:00:24.24 ID:4vED.XQo
唐突に響いた声に反応して背後を振り返る。

抱きしめたら折れてしまいそうな、黒子よりも小柄で華奢な体格。
美琴よりも短い、黒髪のショートカット。
その髪に飾りつけられた色とりどりの花飾り。

普段とは異なる私服、桃色のワンピースに身を包んだ風紀委員第一七七支部所属、初春飾利の姿が視界に飛び込んできた。

その背後には、若干の苦笑を浮かべている黒髪ロングヘアーの少女の姿がある。
彼女が頭に付けている白梅を象った髪飾りををどこかで見た様な気がするが……

ごっ……ごっ……

初春「あっ!五条さんは初めて会われますよね!紹介します!私の親友の佐天 涙子(さてん るいこ)さんです」

初春が掌を水平に傾け、後方に立つ少女を指す。

佐天「初めまして……だよね。噂は色々聞いてるよ、よろしく!五条君!」

五条「ククク……五条勝です……よろしくお願いします……」

ごっ…… ごっ……

初春「五条さんも来てらしたんですね!時間がありましたら、この後一緒に回りませんか?」

五条「……残念ですが……既に大方回りつくしてしまっておりまして……」

初春「そうなんですか、残念です。それじゃあこの後は……」



82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:02:27.49 ID:jdE/p2co
佐天さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!



84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:04:50.39 ID:bf8q1nAo
監視してた人たちが集合したか



85 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:05:14.75 ID:4vED.XQo
五条「……お姉さまがバイオリンの独奏をされると耳に挟みましたので……それを聴いておきたいなと思っておりますが……」

初春「わあ!サプライズで何かやるって聞いてたんですけど、バイオリンの独奏だったんですね!」

ごっ……ごっ……

佐天「さっすがお嬢様学校だよねー。良いな、私もちょっとそういうの憧れちゃうよ」

初春「そうですねー、良かったら今度体験スクールでもいってm」

バサっと豪快な音がして、唐突に初春のスカートが舞い上がる。

スカートが持ち上がり露になった太ももの付け根の布が目に入りそうになったので、思わず目を背けた。

真っ赤になった初春が慌ててスカートを抑えて佐天に向き直る。

ごっ……ごっ……

初春「きゃああああッッッ!さささ……佐天さん、いきなり何するんですか!?」

真っ赤な顔のまま佐天の両肩に両手を置いた初春が叫んだ。

佐天「まーまー、折角ちょっと気合の入ったカッコしてるんだし、男の子にも見てもらっといた方が良かったんじゃない?」



87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:07:29.51 ID:bf8q1nAo
もしも五条さんが初春パンツの認識を阻害したら…ノーパンになるのか!



88 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:08:40.30 ID:4vED.XQo
初春「男の子って……!?」

ギ、ギ、ギ、とネジを巻く様に、次第に初春の首がこちらを向いた。

ごっ……ごっ……

こちらを向いた初春と目が合った途端、ボっと効果音がしそうな程一気に表情を真っ赤にする。

初春「ごっ……五条さん見たんですね!?見たんですね!?」

仄かに目に涙を貯めながら、初春が捲し立ててくる。

五条「……グヒヒ……いえ、見ていませんッ……!オレは見ていませんよッ……!」

初春「見てないんですか!?見てないんですね!?」

ごっ…… ごっ……

五条「見ていませんッ……!見えそうでしたが見ていませんッ……!」

初春「見えそうなのに見なかったって……私そんなにみry「あのさー二人とも」

捲し立てる初春を佐天が遮り、苦笑いを浮かべながら自身の後方を指差した。



91 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:12:30.13 ID:4vED.XQo
佐天「白井さん……それ、どうしたの?」

不思議に思って背後を振り返る。

『うふふふふふ『ごっ!』覚悟を決めましたのに『ごっ!』どうしてこんなタイミングで『ごっ!』初春が遊びに来られ『ごっ!』るのでしょう?わたくしが何か神様にお『ごっ!』嫌われになる様なことを『ごっ!』したとでも仰られ『ごっ!』るのでしょうか?そうですわあ『ごっ!』のシスター様に冷『ごっ!』たく当たったのがマ『ごっ!』ズかったです『ごっ!』の?でもあれは初『ごっ!』対面で勝さんもおり『ごっ!』まし『ごっ!』たし』

黒子が何かをブツブツと呟きながら、裏庭の隅に立っている樹木に向かい次々と額を打ち付けていた。

額が命中する度に枝が揺れる音がするのだから、当然その勢いは相当なものなのだろう。

慌てて黒子を樹木から引き剥がし、そのままの勢いで肩に手を置いて向かい合う。


五条「……何をしているですかオマエは……」

左手で黒子の前髪をたくし上げ、打ち付けていた箇所を確認する。
赤くはなっているものの、コブや腫れ等は出来ていなかった。
とんだ石頭だ。

ふと黒子と目が合うと、彼女は頬を赤く染め、驚いた様な表情でこちらを見ている。

黒子「……あの、まs……五条さん?」

五条「……?」

黒子「お近過ぎません?」

黒子の一言で、ふと我に返る。
伸ばしきらない程度の距離で、黒子の右肩に置かれた自分の手。
そして額を抑える左手。

──────近い。確かに近い。

少し躊躇し、離れねばなと思うと同時、唐突に黒子がキッと目を閉じ、その顎先を自分の方へ軽く持ち上げた。



92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:12:53.79 ID:jdE/p2co
グヒヒてww
ごっ…ごっ…て何かと思ったら黒子か




93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:13:01.40 ID:GoS3tQAO
ごっ… ごっ…ってのは、まあ、あれなんだろうな…黒子ェ…


※参考イメージ
railgun04-100.gif



95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:15:03.46 ID:NzpD0jw0
「勝さん」
 おぉ 友人の前でも名前呼びになった!

所有権の主張&防衛本能発動




97 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:17:07.41 ID:4vED.XQo
……?

五条「……目にゴミでも入ったのですか?」
『あんたはああああああああああ!!!』

急に目を閉じた黒子を心配して言葉を発した途端、わき腹に激しい衝撃を受けてきりもみ状に吹き飛んだ。
衝撃を受けた箇所が僅かにビリビリと痺れている。

『いくらなんでもヒドイです五条さん!』
『鈍感ってレベルじゃないよねーこりゃ』

うつ伏せに倒れたところを、ペチペチと叩かれる。

『少ぉーし反省した方が良いかも?』
次いで、ガリっと言う音と共に頭部に走る激痛。

『最低限の礼儀を勉強して来るんだなー』
何か重たいものが、体の上を踏んづけて横切った。

あまりにも突然過ぎる猛攻に、何とか繋ぎ止めた意識を戻して立ち上がろうとする。

『ウチの寮生に世話をかけさせないで貰おうか』
辛うじて首を上げると同時に、自身の首に何かが巻きついた。

ごきッ!
五条「へぇあっ!?」

鈍い音と共に世界が傾き、意識が薄れていくのを感じた。

────────────

『おい!起きろ!生きてますか!?』

漆黒の世界に響いた声で、意識が現実に引き戻された。
何やら妙に体のあちこちが痛い。
瞳を開けて、初めて自身がうつ伏せに倒れていた事に気がついた。



107 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:22:15.05 ID:4vED.XQo
『おぉッ!起きたか!もう駄目かと思いましたよ』

響いた声に顔を上げると、心配そうにかがみ込んでこちらを眺める上条当麻の姿が視界に入った。

五条「……?ここは……?」

上条「おいおい、常盤台中の学生寮の中庭だろ?」

上条の言葉で、自分がここに倒れている理由を思い出す。

確か黒子の目の心配をして……
それから……一体何があったのだろうか。

体を起こし、パンパンと埃を払う。

五条「……今は何時頃ですか……?」

上条「えーと……午後二時のちょっと前ってとこだな。二時からビリビリがステージで何かするって聞いたから来てみたんだけど……」

上条が自分の様子を見ながらため息を吐く。

上条「どうしたんだ、お前?」

五条「……いえ、オレも何がどうなっているのやら……」

同じくため息を吐いてきょろきょろと辺りを見回した。

五条「……インデックスは居ないのですか……?」

上条「あぁ、さっきすれ違ったんだけどな。何か妙に怒った様子でビュッフェに入ってったよ。あの様子じゃ当分動かないんじゃないですかねぇ」



110 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:26:07.76 ID:4vED.XQo
五条「……ククク……そうですか……」

中庭の中央にはいつの間にかステージが設置され、簡素なパイプ椅子が列を成している。

その最前列に、見慣れたツインテールがちょこんと腰掛けている。
周囲には、先に挨拶を交わした初春と佐天の姿があるのが見て取れた。

上条と共にステージに寄り、黒子の隣に腰掛ける。

五条「……まだ始まらないのですか……?」

黒子「……」

返答が無い。

五条「……黒子?」

名前を呼びながら彼女の方に目線を投げる。

正面を見据えていたハズの彼女が、ぷいと横を向いた。

五条「……怒っているのですか……?」

身に覚えの無い黒子の態度が気にかかる。

黒子「あらあら、別にわたくしは怒ってなんかおりませんわよ」

五条「……」

黒子「……?何か仰ることはございませんの?」

五条「……身に憶えの無いことで謝るのはやめようと、随分前に決めておりましてね……」



112 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:29:24.45 ID:4vED.XQo
黒子「……」

五条「……憶えも無いのに謝罪するのはオマエにも失礼でしょう……」

パチンと指を鳴らす。
土中から一羽の企鵝が姿を現したので、その企鵝にこそこそと耳打ちをする。
企鵝は目を鋭く尖らせ敬礼の姿勢をとると、再度土中へと姿を消した。

黒子「……五条さんらしいですわね」

五条「……もしもオレが何か悪い事をしてオマエが怒っているのなら……少しだけ待ってください……理解したらすぐに、正式にオマエに謝罪しますので……」

そっぽを向いていた黒子が振り返った。

黒子「期待しないで……待っておりますわ」

────────────

中庭ステージ裏。
普段の制服とは異なる、純白のパーティドレスに身を包み、舞台の袖から観客席を伺う影があった。

『やば、何か胸がドキドキしてきた』

学園都市第三位、超電磁砲 御坂美琴がそわそわと舞台裏を歩き回っている。

美琴(そもそも何で私なのよ……!バイオリンが得意な生徒なんて他にも居るじゃない!)
再び舞台の袖から観客席を眺める。
最前列。後輩の黒子と仲の良い五条勝が座っているパイプ椅子の隣。
ウニ頭の幻想殺し高校生、上条当麻の姿を確認して、再び慌ててステージ裏へと引っ込む。

美琴(……ってゆーかなんでアイツがこんなトコに居るのよ!)

再びそわそわと動き回っていた美琴が、いきなり両の掌を頬に叩きつけ、気勢を上げた。
美琴「ああ!もう!しっかりしろッ!」

『あのー……』



116 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:33:25.08 ID:4vED.XQo
不意に響いた声に視線を上げる。

短い足。
深みを帯びた青と、淡雪の様な白のコントラストを描いている体表。
大福の様にまん丸な目をして、黄色い嘴を持った鳥類がそこに居た。

美琴(……?)

どこかで見たことのある企鵝を確認し暫し静止した後、あたりをきょろきょろと見回してみる。
が、そこには自分と企鵝以外は誰も居ない。

美琴(さっきの声、どこから聞こえたのかs『あのー……』

再度聞こえる声。

再び企鵝に向き直る。

『御坂美琴……お姉さまッスか?』
御坂「っ!?」

美琴に向かい三度声を発した企鵝に驚き、少しあとずさった。

『お姉さまッスね?』
御坂「あんた……喋れるのッ!?」

『まぁ細かい事は良いッス!ご主人から言伝ッス!』
御坂「ご主人……?」

眼前の企鵝が放つ言葉を理解しかねた美琴は、暫し逡巡する。
まず、企鵝。
そして企鵝が主人と呼ぶ人間。
その人間は、自分をお姉さまと呼称している。

咄嗟に頭に浮かんだ男を確認する為、またも舞台の袖からステージを見る。
隣の黒子に何やら話かけている男、五条勝。



117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:34:25.42 ID:GXZHysAO
プリニー!プリニー!



115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:33:04.86 ID:GoS3tQAO
ペンギンは戦闘以外にも色々役立って…ほんと使える部下だな。



121 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:37:55.19 ID:4vED.XQo
三度企鵝に向かいあった。

御坂「ご主人って……五条よね?」
『そうッス!』

はあ、とため息を吐いて、再度企鵝に向かい口を開いた。

御坂「で、言伝って何?」

『えーと……いつぞやの約束をお果たしします……らしいッス。それと』

『やるッス!』『頑張るッス!』
『との事ッス』

目の前でジタバタとポーズを決めながら声をあげる企鵝を眺めて思い返す。

────────────
(はぁ…… はぁ……時々飛んでる…あの…カワイイの…あんたの能力…?)
(ク…クク…いえ……あれは…ただの技術…です…よ…)

(……そ… そう……後で……ゆっくり…見せなさい…よね……)
(…ヒヒ…構いません…よッ!)
────────────

緊張に凝り固まっていた美琴の表情に、ふっと微笑みが降りる。

美琴(なによ……律儀なとこあるじゃない)

『ファイトっス!』

美琴「そうよね御坂美琴……アイツが見てるからなんて、カンケーないじゃない……」

眼前で日章旗を振っている企鵝の頭を撫で、再び両の掌を頬に叩きつけ、気勢を上げた。

美琴「……カワイイ後輩達の前でカッコ悪いトコは見せらんないわよね!」

声を張った美琴が、バイオリンに向かって顔を上げる。
その表情は、先刻まで彼女を覆っていた不安や緊張の色は一縷も無く、いつもの学園都市第三位としての自信に満ちたそれへと変化していた。

────────────



123 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:41:38.63 ID:4vED.XQo
ステージの中央で一礼をした美琴が、バイオリンを爪弾き始める。

その音色はどこまでも優しく、どこまでも穏やかに、常盤学園中女子寮を包み込んでいった。

──それは、ビュッフェで食べ物を貪っているシスターの耳に──
──それは、中庭の隅で立ち尽くしているメイド服の少女の耳に──
──それは、羨望と敬意に満ちた眼差しを彼女に向ける花飾りの少女達の耳に──
──それは、普段とは異なる姿の彼女に驚嘆する、幻想殺しを持つ少年の耳に──
──そしてそれは、信奉する神を目前にした様に呆ける少女と、その隣で笑みを浮かべている少年の耳に──

呆けていた少女が、不意に隣の少年の手を握った。
少年は驚いたかの様に少女に目線を送るが、彼女は呆然とした表情のままステージ上に目を奪われている。
少年の笑みが、少し深くなった様に見えたのは気のせいだろうか。
再び少年の目が舞台へと向く。

────青く澄み切った夏の空に、暑さすら忘れるほど、高く、透明な音色が、優しく響き渡っていた。

────────────

満場の喝采を前に上品に一礼し、御坂美琴がステージを後にする。

黒子「聞きました!?聞かれました!?さっすがお姉さまッッッ!!黒子は!黒子はお姉さまの後輩であれて本当に幸せ者ですのッッッ!!」

興奮した白井黒子が両の手を握り、捲し立ててきた。

五条「えぇ……素晴らしかった……!実にッ……!まさに芸術ッ……!」

自身もぶんぶんと握られた両手を上下させながら黒子に対し、素直な感想を述べる。

黒子「そうですわよねそうですわよねッ!ああ!勝さんならご理解頂けると存じておりましたわッ!」

黒子が軽く目に涙を貯めながら嬉しそうにうんうんと頷く。
と、頷いた視線が繋がれた自身と黒子の手に落ちると、一瞬静止した後にその手を振り払い、顔を赤くしながらぷいとそっぽを向いた。

黒子「……勘違いされないで下さいまし!わたくしはただ興奮していただけでございまして、五条さんをお許ししたワケではございませんのッ!」

五条「……ククク……残念です……」

そっぽを向いた黒子の横顔を眺める。
その瞳は、本当に名残惜しそうに、誰も居なくなったステージの上へと注がれていた。

────────────



129 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:46:07.77 ID:4vED.XQo
『ちょっとアンタ、話があるんだけど良い?』

満足そうなインデックスと上条と共に、夕暮れが迫り始め、盛夏祭もお開きとなった常盤台中学女子寮を後にしようとした所で不意に声をかけられる。

声の主は、いつも通りの制服に身を包んだ御坂美琴。

上条「ようビリビリ!聞いてたぜ、お前の弾くバイオリンって随分凄いもんですね!」

上条が美琴に気付き賞賛の声をかけると、途端に美琴の顔が赤く染まっていく。
…… やはりわかりやす過ぎる。
コレで気がつかない上条は、只の鈍感を通り越して最早評価に値するものではなかろうか。


美琴「ビビビ……ビリビリ言うなッ!ちょっとこの子借りるわよッ!」

むんずと襟首を掴まれ、凄いスピードで景色が流れていった。

五条「……先に帰っていて下さいッ……!!」
小さくなった上条とインデックスに声を投げる。
辛うじて、二人が手を振っている様が見て取れた。

人気の無い所まで引きずられて開放される。
顔を赤くしたままはぁはぁと肩で息をしている美琴へと声をかけた。

五条「……ククク……アイツの前でこれはマズかったのでは……?」
美琴「うっさいわね!急いでたんだから仕方ないでしょ!?」

彼女の息が、次第に平穏を取り戻していく。

五条「……今日は久しぶりにゆっくりと楽しめました……黒子にもよろしく伝えておいて下さい……」



133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:48:44.35 ID:GoS3tQAO
> コレで気がつかない上条は、只の鈍感を通り越して最早評価に値するものではなかろうか。

お前が(ry




134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:48:50.12 ID:jdE/p2co
この子って同い年だろwww



136 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:51:22.13 ID:4vED.XQo
言葉を聞くなり、美琴が素早く振り返る。

美琴「……その黒子の事なんだけどっ……!」
五条「……理由は理解出来ないのですが……どうやら先刻怒らせてしまったみたいでしてね……ヒヒヒ……」

美琴「……ホントに怒らせた理由、わかってないわけ?」

言いながら、美琴はバリバリと空中放電している。

五条「……残念ながら……」

美琴から視線を外し、下を向いて首を横に振る。

はあ、と美琴のため息が聞こえた。

美琴「……ま良いわ、アンタ明日の夜、時間空いてる?」

再び美琴へと視線を投げる。

五条「……えぇ、特に予定は入っておりませんが……」

美琴「じゃあさ、花火行きましょ。花火大会。黒子も呼んだげるから」

五条「……?」

美琴の言葉の真意がわからず、首を傾げた。

美琴「ホント鈍いわねアンタ。仲直りのチャンスでしょ?」

五条「……!」



138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:54:54.64 ID:qHSJRYgo
美琴さんマジお姉さま



137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:54:16.79 ID:GXZHysAO
えんだあああああああぁぁぁ!!



139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:54:55.45 ID:alOldzYo
>>137
マテ、気が早いww




140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/10(金) 23:55:24.40 ID:bf8q1nAo
>>137
後で続いてやるからもう少し待てwwww




141 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/10(金) 23:55:42.79 ID:4vED.XQo
五条「……!」

美琴「丁度明日花火大会でさ、誰か誘おうかーなんて黒子と話してたトコだったんだ」

五条「……是非、お伴させて頂きます……」

よし、と呟いて、美琴が微笑む。
次いで、徐々に顔を赤くした彼女が先ほどまでとは打って変わった様子で言葉を続けた。

美琴「それでさ……その代わりといっちゃアレなんだけど……アイツも……」

五条「……アイツ……?」

美琴「かっ……かみじょぅ……」

五条「……ククク……そういう魂胆ですか……」

美琴「なッ!何よその言い方ッ!それじゃ私がまる『わかりました』

赤くなって声をあげる彼女を遮り言葉を続ける

五条「……呼びましょう……呼んで差し上げましょう……我々は利害関係が一致しておりますからね……ククク……アーッハッハッハ!!」

美琴「ぅ……うん、じゃあっ……よろしく……」

五条「構いません……構いませんよお姉さまッ……!」

美琴「ッ……!…もう良いわ……じゃあ、また明日の昼にでも連絡するわね」

五条「……えぇ、了解しました……」

言い終え踵を返し、右手を掲げて歩きはじめる。



145 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/11(土) 00:00:04.85 ID:6E2jvlUo
『あんた、約束覚えてくれたのね!』

背後へと響いた声に立ち止まり、首だけ振り返って美琴と目を合わせた。

美琴「おかげで助かったわ!ありがと!」

満面の笑みを浮かべた美琴が手を振る。
学園都市第三位とはいえ、こうして黄昏の中で嬉しそうに手を振る様は一般的な少女のそれに過ぎない。

五条「……ああ、言い忘れていました……」
美琴「?」

美琴がきょとんと目を丸くする。

五条「……バイオリン独奏、素晴らしかったですよ……」

再び満面の笑みになった彼女に背を向け、家路を歩き始めた。
花火大会というのも、随分と久方ぶりだ。
明日もきっと楽しい一日になるのだろう。

何故だか急に、ごつごつと樹木に頭を打ち付ける黒子の事を思い出した。

五条「……ククク……」

思い出し笑いを抑えながら歩を進める。
沈みかけている太陽が、夏の学園都市を優しい黄金色に染め上げていた。


──────to be continued──────



146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:00:54.23 ID:IVrAzmMo
こういった方面の話も面白いなww
乙!




151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:05:24.87 ID:UNZYMS.o
乙っしたあ!!
今日も五条さんはマジ五条さんで最高に五条さんだったっス!!




155 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/11(土) 00:08:02.32 ID:6E2jvlUo
以上本日投下分となります
ご支援頂きました皆様、関係各位の皆様
本日も誠にありがとうございました

年末だけあって私事が多忙になりますが、折を見て筆を進めていこうかと思います
このペースでは投票期間内に終わらないのではないかと若干焦っております
焦っておりますが、お嬢には一票入れております

さて次回以降の投下に関してですが、可能ならば明晩23時、不可ならば最長でも12日23時には投下させて頂こうかと思います
お時間が合いましたら、またお付き合いの程を頂ければ幸いです



154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:07:30.36 ID:SLpIo.wo
相変わらず締めがかっけえww
初春的には五条さんと黒子が仲いいのは構わんのか?




157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:08:54.58 ID:897HD7go
>>154
初春は五条さんに対して多少の好意はあったものの
黒子の様子を見て「これは五条さんをネタに黒子を弄った方が面白い」という方向にシフトした

という予想




158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:12:11.19 ID:rkvDmPw0
乙かれ様っす
連日作品投下とか、投稿ペース激速過ぎて心配です
余り無理しないでくださいねー




163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:25:11.50 ID:EG43wEU0
乙です
人気投票終了まで続けるつもりなんディスカー
どうきれいに終わらせるのかwwktkして待ってます




166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/11(土) 00:56:09.93 ID:q1HCjBs0
乙!
昨日読み始めたけどマジで面白いわ
禁書もイナイレも全然知らなかったけど話が頭にすんなり入るのが凄い
これを機に両方のアニメ見始めようかな






次→五条「ククク… ここが学園都市ですか」その18



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禁書目録SS   コメント:8   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
1423. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 19:31 ▼このコメントに返信する
五条△
1424. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 21:00 ▼このコメントに返信する
五条さん踏んだの誰だか分からん・・・
1425. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 21:22 ▼このコメントに返信する
黒子の可愛さが天井知らず
1427. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 21:31 ▼このコメントに返信する
>>※2

>>97でのセリフは、上から美琴、初春、佐天さん、インデックス、舞夏、寮長だと思うぞ。
1428. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 21:38 ▼このコメントに返信する
つまり例のロボが五条さんを轢いて行った訳だな
1430. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 22:23 ▼このコメントに返信する
えんだあああああああぁぁぁ!!
1431. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/11(土) 23:33 ▼このコメントに返信する
※6
だから次回までとっておけよwwww
1441. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/12(日) 09:24 ▼このコメントに返信する
美琴のところにいったプリニーはやっぱ最後には爆死したんだろうか・・・
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