五条「ククク… ここが学園都市ですか」その18

2010-12-13 (月) 12:17  禁書目録SS   10コメント  
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世界は危険で面白い


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198 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:02:03.19 ID:GH7YwRwo
────────────
八月十三日 夏休み二十五日目
────────────

『で、何で急に浴衣なんですか?』

五条「……ククク……風情というヤツですよ……」

『そんなもんなんですかねぇ。しっかし昨日の今日で急にだもんな。流石に上条さんもちょっとびっくりしましたよ、っと、どうだ?この色?』

上条が、絹鼠の浴衣をハンガーごと陳列の中から引っ張り出した。

五条「……ええ、軽い色の方がオマエには合いそうですね……」

この自分の様を、数年前の自分が見たら一体どんな感覚を抱くのだろうか。
紫外線が勢い良く肌を刺す暑さの中、逃げ込む様にして入った駅ビルの一角にある店舗で、上条当麻と二人で浴衣の物色をしている自分の姿を。

事は、少し前に遡る。



『遅かったじゃない。もしかして寝てた?』

五条「……いえ、少々トレーニングを……ヒヒヒ……」

『ふーん……で、今日の花火の事なんだけどさ』

額の汗が瞼へと流れ落ち、若干目に痛みを感じた。
肩にかけたタオルで顔を拭きながら電話を続ける。

五条「……はい……どういった流れでしょうか……?」

『今夜の六時……、うん、丁度頃で良いわね。昨日来たウチの女子寮の脇まで来れる?』

五条「六時……」

右耳に電話を押し当てながら、ちらりと壁の時計を眺める。
午後も一時を回ったばかりの所だ。

五条「……えぇ……了解しました……」

『あ、そーそー、私達浴衣で行くから、来るんならなるべく和装でよろしくねー』

五条「……和装、ですか……」

その言葉を聞いて、少々首を傾げる。
自分は夏物の和装は持ち合わせていないのだが、一体どうしたものだろうか。
まあ幸い金銭面は潤沢な状態にあるので、後で調達しに向かえば良いだろう。



201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:03:33.34 ID:fU8MF8oo
「靴下」クリアー…「ネクタイ」クリアー…「ハンバーグ」クリアー…
「五条さんのレベルMAXのイナズマイレブン」クリアー…
準備完了!




202 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:06:43.04 ID:GH7YwRwo
『そっ……それでさ!あいつは……』

五条「……ククク……アイツ……?」

『そう、あいつよ。あいつ』

五条「……アイツ?誰でしょうか……?お名前を言って頂けますか……ククク……」

『……み……ぅ……』

五条「……おや、聞こえませんね……もっと大きな声でお願いできますか……?」

『ッ……!あーもー!上条よ上条!か・み・じょ・う・と・う・ま!』

五条「……ククク……アーッハッハッハ!!」

『あんた絶対わざとやってるでしょ!?どうなの!?来れるの!?アイツは!?』

大きくなった美琴の声に、少し受話器から耳を遠ざける。

きっと電話の向こうの彼女は真っ赤になりながらバチバチと空中放電でもしているのではないだろうか。

ふと疑問が浮かぶ。
彼女が普段使っている携帯電話は、きっと相当に丈夫なものなのだろう。
毎度毎度レールガンやら落雷やらの帯電に耐えうる携帯電話とは、一体どんなものなのだろうか。

彼女がお嬢様学校に通っているならば壊すごとに買い換えている可能性も否定は出来ないが、
一般的な価値観からすると携帯電話を一台機種変更する為に必要な金額の支出と面倒な手続きを繰り返すのは、中学生の身としては随分と過ぎている様に感じる。

『ちょっと……聞いてる?』

五条「……ククク……お姉さまはどんな携帯電話を使っているのですか……?」

『はあ!?』

五条「……」

『そう……まったく聞いてなかったのねあんt「来れるそうです」

五条「来れるそうですよ、上条当麻は……」

『……』

ごくり、と電話の向こうで息を呑む音が聞こえた。

五条「……ついでと言っては何ですが……昨日のシスターは置いてくる様言付けてあります……首尾は万端ですよ……お姉さま……」

『……』



203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:07:52.90 ID:CVnkL.Uo
インデックス排除済みとは……やるな、五条さん



207 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:09:57.21 ID:GH7YwRwo
五条「……お姉さま?」

急に黙り込んだ美琴に声を投げる。
受話器からはぶつぶつと何かを呟いている様な声が聞こえた。

声が小さい為、辛うじて聞き取れたのはあーどーしよー、と、ででででもやっぱり、の二言のみだった。

五条「……お姉さま?」

『はッ……はいッ!?』

五条「……しっかりして下さい……そんな調子では機を逸しますよ……ククク……」

『……何かさぁ、アンタ段々黒子に似てきてない?』

五条「へぇあッ!?」

────────────

上条「すいません!今度余裕がある時にお返ししますッ!」

五条「……いえ……無茶な条件で誘ったのはオレですからね……出世払いで結構です……」

結局自身は鉄紺に細く縦のストライプが入った甚平と雪駄を、上条は絹鼠に藍色の和柄が散った浴衣と帯と雪駄を購入し、デパートを後にした。

上条「しっかし暑いなぁ今日も。ってヤベ、ぼちぼち急いだ方が良さそうな時間だな」

言いながら上条が時計を眺めた。
午後三時三十分。
一番気温が上がる時間帯なのだろうか、冬ならば既に傾きかけているだろう太陽は未だに自分達の頭上でその存在を激しく主張している。

上条「じゃ、オレ小萌先生んトコにインデックス預けてくるわ」

言って上条が右手を掲げる。

五条「……えぇ、では五時頃に部屋までお迎えに上がります……」

上条「おぉ、んじゃ後でな」

そのまま上条の背中が陽炎に溶けて行くのを眺めた。

五条(……さて、一旦オレも帰宅しましょうか……)



212 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:15:35.94 ID:GH7YwRwo
足を自宅へと向けた途端、懐の携帯電話が鳴動する。

そのディスプレイに映し出された見慣れた風紀委員の名前を確認して、通話ボタンを押した。

五条「……ククク……オレです……」

────────────

一日の役目を終えて沈もうとする太陽が、西の空を橙色に染め上げている。
その太陽を押し出す様にして、東の空から星達が藍色を纏いつつポツリポツリと姿を現し始めていた。

『わざわざすみませんねぇ』

五条「……いえ、構いませんよ……では、常盤台の女子寮まで」

空調が強く効いている為多少肌寒く感じるタクシーの後部座席に、浴衣の上条が身を滑らせて来る。
自分の指示を聞いた運転手がギアをドライブに入れると同時に、次第に景色が加速しながら後方へと流動を始めた。

上条「……なぁ、あの娘、白井っていったか」

しばらく走った車内から窓の外を眺めながら、上条が言葉を吐く。

五条「……?えぇ、白井黒子ですね……どうかされましたか……?」

上条「どうなんですか?あの娘と」

五条「……どう……とは?」

上条「いや、ちょっと前にオマエ話してたなかったっけ?デートするーって」

五条(…………)

────────────
上条「そりゃどう見てもデートなんじゃないかって、上条さんは思いますよ?」

五条「……冷静に考えてみれば……そうですね……」
────────────

五条「えぇ……話していましたね……そういえば……」

上条「や、でさ、あの後結局どうなったのかなーって。オマエの分の盛夏祭のチケットもあの娘に手配して貰ったもんなんだろ?」



213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:17:33.27 ID:CVnkL.Uo
さすが上条さん
自分のことは鈍感なのに、他人の色事に首を突っ込むwwwwww




215 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:19:32.56 ID:GH7YwRwo
五条「……はい……確かに黒子から受け取ったものですが……」

上条「……なぁ」

五条「……はい?」

上条「……ぶっちゃけ付き合ってんだろお前ら」

五条「……?……!?……へぇあッ!?」

上条がこちらを振り向く。
先刻までは窓側を向いていた為判らなかったが、振り向いた彼の表情は絵に描いた様なニヤケ面を浮かべていた。

上条「なぁ?一体どうなんですか、そこんトコ」

五条「べ……別にオレは……白井と交際などと……」

上条「あれ?さっき黒子って呼んでたのに呼び方が変わってますね五条さん、さぁ吐け!一体どんな状況なんですかー!?」

上条に胸倉を軽く掴まれ、ガクガクと前後に首を振られる。

五条「……はッ……離しなさいッ……!甚平が着崩れますよ……ヒヒヒ……!」

上条「いーや離さない、お前が話すまで離しませんよ上条さんは!」

ぱちん、と指を鳴らす。

………

……



走っているタクシーの中だからなのだろうか。企鵝が来ない。

上条「ふっふっふ……頼みのペンギンもここには来れませんねぇ、さぁ吐け!」

五条「……わかりましたッ……話すッ……話しますからッ……!」

────────────



216 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:21:49.70 ID:GH7YwRwo
五条「……結局デートは中断、昨日の盛夏祭もご存知の通りです……ククク……」

上条「……成る程ねぇ」

腑に落ちない、といった表情のまま上条が手を離した。

五条「……しかし、一体何故オレがあんな目に会わなければならなかったのでしょう……」

はあ、と深く息をついた上条が言葉を吐く。

上条「……ホントに鈍感ですね、お前は」

五条「オマエにだけは死んでも言われたくありません……」

頭の上に?マークを出したまま、上条が首を傾げている。

上条「で、実際オマエはどう思ってるんだ?あの娘のこと」

五条「……どう、とは?」

上条「だから、好きとか嫌いとか」

五条「……好きですね、アレは見ていて飽きません……随分と世話もかけてしまっている……大切な"仲間" ですよ……」

自分の返答を聞いた上条が、訝しげな表情を浮かべてうんうんと唸り始めた。
逡巡を終えた上条が、再び問いを投げてくる。

上条「……なんていうか、そーいうのじゃなくて、女としてあの娘の事どう思ってるんだ?」

五条「ヒッ!?」

上条が放った問いをキャッチしきれず、思わず驚嘆の声が上がってしまった。



217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /12(日) 23:22:53.27 ID:.TTt9UAO
五条さんが動揺するだなんて…マジで全然意識してなかったのか?



219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /12(日) 23:23:23.07 ID:YD8HTdwo
動揺する五条さんは珍しいwww



221 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:29:52.03 ID:GH7YwRwo
上条「どう考えても、何でもない男にする事じゃないですよ?朝飯作りに来たり、盛夏祭のチケット用意したり」

五条「……それは……」

上条に言われて、黒子の事を改めて考え直す。


自分がこの学園都市にやって来て初めて自分とまともに向き合った少女、白井黒子の事を。

満月が輝く晩秋の夜、月明かりを浴びて街灯の上に立っていた彼女の姿。

肌を切る寒風が吹く冬の夜、ぶつくさと文句を言いながらも自分が起こした騒ぎの事後処理をしてくれた彼女の姿。

春の陽光が注ぐ喫茶店で、大切な先輩があと一年で卒業してしまうと寂しげにため息をついていた彼女の姿。

彼女を傷付けたスキルアウトと向かい合った際の激情。

嬉しそうにスイーツを頬張る彼女。

何も用が無いのにコンビニについて来ていた彼女。

鼻歌を歌いながら、嬉しそうにキッチンでフライパンを振っていた彼女。

昨日繋いだ、小さい手の温もり。

『仕方ありませんわね』『お行き下さいませ』『ゆっくりで結構と申しましたのに』

──────そして、当たり前の様に、自分の生活に馴染み深いものになっていた彼女の笑顔。



223 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:33:02.94 ID:GH7YwRwo
五条「好き……ですね……」

気がつくと、言葉が勝手に口を突いていた。
呟いて、額に手を当てたまま下を向く。

五条「……ククク……えぇ、オレは女性としての白井黒子に惹かれている……しかも相当に……これが世間一般で言う恋なのでしょうか……」

上条の言葉が返ってこない。
妙に思って目線を送ると、唇を強く結び、真剣な表情を作っていた。

上条「……で、どうするんだ?」

五条「……どうしましょうか……ククク……」

言い終え、自嘲に肩が揺れた。

初めて気がついた感情だが、何ともやるせない。
能力使用の影響だろうか、現に彼女は幾度か自分を忘れかけている。

学園都市の能力開発で節度を保っているとはいえ、自分の傍に彼女が立ち続ければ、いずれ自分を認識出来なくなる日が来るのではないだろうか。

ふと彼女が自分を忘れかけていた日の事を思い起こす。
その姿に、在りし日の母の影が重なった。

久しく忘れていた恐怖の色が、感情に暗い色を落とす。

もしも、もしも彼女が自分を忘れてしまったら。
もしも彼女が、自分を認識出来なくなってしまったら。

五条「……クックック……アーッハッハッハ!!」

きっと自分でも無意識に気がついていたのだろう。この気持ちは。この問題は。
いつの間にか目を逸らして、自身の認識を阻害していた事が可笑しくて溜まらない。

上条「あのさ……」

唐突に上条が口を開く。

上条「忘れられたらーとか、認識されなくなったらどうしようーとか考えてません?」

五条「…………」

一発目で図星を突かれて、思わず自嘲が止まった。
この男は、本当にレベル0なのだろうか。
止まった自嘲に図星を悟ったのだろうか、はあ、とため息を吐いて上条が言葉を続ける。



228 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:37:44.04 ID:GH7YwRwo
上条「悟った様なツラして、案外臆病なんですねお前」

五条「しかしオレはっ「安心しろ」

上条「もしあの娘がお前の事忘れたり認識出来なくなる様な事があったら、そんな幻想この上条さんの右手がぶち殺してやりますから」

言い終えた上条が微笑みながら右手を掲げ、二度、三度と手を閉じ、開いた。

五条「……」

上条「そもそも、相手に忘れられたり無視されたりするのが怖かったら、恋愛なんてのはやってられるモンじゃないと思いますよ?……ま、頑張れ少年!」

上条が笑顔を強める。
投げられた言葉に、胸の中に巣食っていた暗い色が次第に薄れていくのを感じた。

五条「……ククク……ありがとうございます……」

上条「たまには先輩らしい事の一つや二つ言わせろってーの」

五条「……全くですね……」

上条「おいコラっ!」

目を合わせて二人で笑いあう。

『お客さん、そろそろ着きますよ』

笑い声の木霊するタクシーの中に、運転手の声が響いた。

────────────



229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:38:59.82 ID:26MMq0ko
友条って良いな



232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:40:57.82 ID:YD8HTdwo
ええなあ、こういう友達欲しい



235 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:44:36.08 ID:GH7YwRwo
きょろきょろと周囲を見回していると、少し離れたところに突然二人の少女が現れたのが見えた。

地面から若干浮いた場所に現れた二人が軽やかに着地し、手をハイタッチしている様が見て取れる。

片方の少女は、金糸雀色の浴衣に朱色の帯を巻いており、短めに切った髪にヘアピンを挿している学園都市第三位の超電磁砲 御坂美琴。
もう片方の少女は、京紫の浴衣に深緋と黒が描くチェックの帯を巻いたツインテールの風紀委員 白井黒子。

『うっし、んーじゃあ行きますか』

背後の上条も彼女達に気付いたのだろうか。
どこか覚悟を帯びた様な声が聞こえた。

五条「ええ……」

上条と共に彼女達に向かって歩く。

と、こちらに気付いた黒子が、笑顔を作って大きく手を振った。
その黒子の様を見て、弾かれる様にこちらを向いた美琴の顔が次第に赤く染まっていく。

黒子「お待たせしてしまいましたかしら?」

上条「いや、今さっき来たばっかだから気にしないで結構ですよ」

五条「……ククク……会場まではどれくらいですか……?」

黒子「そんなに遠くはございませんので、折角のお召し物ですし歩いて参ろうかと思っておりますの」

黒子が言いながら、右の掌を自分の浴衣の胸に当てた。
似合っている。
昨日のメイド服もそうだったが、風情や格調を感じさせる格好の方が、彼女は魅力的に見えるのではないだろうか。

五条「……似合っていますね……浴衣も」

いつの間にか漏れていた言葉を聞いた黒子が、きょとんとした表情を浮かべた後、笑顔になって返事を返してくる。

黒子「もう……不意打ちですわね五条さん。でも五条さんと……上条さんの和装もお似合いですわよ」

上条「そう言ってもらえると嬉しいもんだな」

五条「……調達しておいた甲斐がありますね……ヒヒヒ……」

上条「……?あれ?ビリビリ?」

上条が、一向に会話に入ってくる気配を見せずに、黒子の隣で顔を赤くしたままもじもじとしている美琴に声を投げる。



241 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:48:41.33 ID:GH7YwRwo
彼女は投げられた言葉に一瞬驚いた表情を浮かべた後、眉間にシワを寄せ口を開いた。

美琴「だぁーれがビリb「「お姉さまッ!」」

上条「おわッッ!!」

咄嗟に黒子が美琴の背後にテレポートし羽交い絞めし、自分は上条と美琴の間に立ちふさがる。

黒子「ご自重なさいませ……お召し物がお乱れになりますの」
五条「クックック……普段と同様ですか……?これじゃあ何の為に上条を呼んだのかわかりませんね……」

小声で囁くと、次第に美琴の表情の険が取れていく。
背後の黒子と目を合わせて頷くと、彼女は羽交い絞めを解いてく頷きを返してきた。
振り返り上条に小声で話しかける。

五条「……オマエはどうして人の神経を逆撫でする様なあだ名で呼ぶのです……?第三位といえ、相手は中学生の女の子ですよ……?」

上条「っつっても……!ってそうだよな……アイツがちょっと粗暴過ぎて忘れてたわ……気をつけますよ」

上条の返事を聞き背後を振り返る。
黒子が正面から美琴の両肩に手を置いて、何か話しかけている様が見えた。
美琴はこくこくと頷きながら、真剣な表情でその話を聞いている。

黒子「さ、参りましょうか!」

黒子が振り返り声をあげた。

────────────

『あー…… その……嫌がってるって知らなかったんです……ホンっトゴメンな、えと……御坂?』
『べっ……別に良いわよもう!……私もちょっとアンタに突っかかり過ぎてたとこあるし……』
『……右手があってもお前の電撃は怖いですからねー、上条さんは何回か死を覚悟した事もあるんですよ?』
『ううう……うっさいわね!』
『ま、さすが第三位ってとこだな。ホントに迫力あるからなーお前の雷。ちょっとカッコいいなーなんて思った事もあったりさ』
『そうなの!?カッコいい……カッコいいかぁ……』

並んで前を歩いている美琴と上条の後方を、黒子と肩を並べて追従する。



242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:51:32.91 ID:.TTt9UAO
仲人夫婦だな…



243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:51:41.49 ID:PcsSebU0
五条さんと黒子さん、息の合った連携流石っすね

上条さんとお姉さま……男女の会話内容じゃねっす 色気皆無っす




244 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:53:51.75 ID:GH7YwRwo
五条「……」

黒子「……そろそろ、ですわね?」

五条「……ククク……ええ、もう充分でしょう……」

隣の黒子がコホンと咳払いをした。

黒子「あああああ!たいへんです!たいへんですの!」

五条「おお!どうしたのです!?」

唐突に声を上げた自分達を、上条と美琴が振り返る。

黒子「このままでは うちあげがはじまるまえに ばしょがうまってしまいますわ!」

五条「くくく、それはいちだいじですね。はやく ばしょを かくほしなければ!」

上条「そうなのか?んじゃあ、少し走って……「お姉さまは浴衣でおりましてよ?」
上条が提案を吐こうとしたのを黒子が遮る。
間髪入れずに、自分が言葉を紡ぐ。

五条「そうです!くろこ!おまえには てれぽおとが あるでは ないですか!」
黒子「それですわ ごじょうさん!」

美琴「ってゆーかあんた達……何でそんなに棒読みなワケ……?」

五条「さあ!ここは こうはいの おれたちが さきに ばしょとりに いきましょう!」

美琴の疑問に耳を貸さず、言葉を吐いた後、掌を上に向けた右手を黒子に差し出す。

黒子「ええ!そうしましょう!」

黒子が、その掌に自身の右手を合わせる。

黒子「ではお二方~♪」
五条「……また後ほど……ククク……」

『『ちょっ……!』』

二人の声が聞こえると同時、辺りの景色が一変する。

眼前でニヤけている黒子がその右手を少し持ち上げ、自分の掌を勢い良く叩いた。
次いで黒子が自分の手の下で掌を上に向けたので、自分も右手を少し持ち上げその掌を叩く。
最後に二人で右手を掲げ、互いの掌を勢い良く合わせる。
乾いた音が三度、夕闇が迫るの住宅街に響き渡った。

────────────



247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/12(日) 23:56:21.86 ID:CVnkL.Uo
今日一日で一番笑ったwwwwww



248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /12(日) 23:57:59.34 ID:PcsSebU0
自然な流れだ どこもオカシクないな うん



249 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/12(日) 23:59:47.80 ID:GH7YwRwo
五条「……概ね打ち合わせ通りですね……しかし良かったのですか……?オマエは……」

黒子と共に幾度かテレポートを繰り返して二人からの距離を稼ぎ、幾らか引き離したものかと思われたので、肩を並べて会場へと足を進めていた。
昼に電話で依頼をされた時より抱いていた疑問を黒子にぶつける。

黒子「勿論大歓迎、というわけではございませんわよ。でもわたくしもほんの少し疲れましたの。やはりお姉さまは一度色をお知りになりませんと」

五条「……ククク……」

黒子「何より、上条さんの事を話されているお姉さまを存じております?」

五条「……えぇ……実にわかりやすいものですね……クックック……」

黒子「残念ですけど、わたくしにお姉さまのあの表情は引き出せませんわ」

五条「……」

黒子がはあ、とため息を吐いた。

黒子「それに、本当に大好きなお姉さまだからこそ、お幸せになって頂きたいですもの」

五条「……」



251 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/13(月) 00:04:14.12 ID:3ec2J4Eo
黒子「あとは……お姉さまのお気持ちも、今なら少し理解出来ますので」

こちらを向いた黒子と視線がぶつかる。
上目遣いでこちらを見た黒子が、その顔に満面の笑みを散らした。

心臓が高鳴り、先のタクシーの中で交わした上条とのやり取りが蘇ってくる。
思わず気恥ずかしくなり、咄嗟に目を逸らした。

黒子「……?あの、勝さん……?」

自分を呼ぶ黒子の声が聞こえたので、再度黒子に視線を送る。
先と打って変わって、上目遣いのまま不安げな表情を浮かべている黒子と再度目が合った。

黒子「……どうかされましたの?わたくし、昨日の件は別にもう何とも思ってはおりませんわよ?」

不安げな表情を隠さずに言葉を続ける黒子を、思わず抱きしめたくなる激情に駆られた。

どきどきと早鐘を打つ心臓を意識しながら理性を働かせ、再び目線を逸らして足を進める。

五条「いえ…… 良い場所が空いていると良いですね……」

辛うじて、誤魔化しの言葉を紡ぎ出した。

黒子「……そうですわね……」

少し元気の無い黒子の声が耳と胸に響く。

居た堪れなくなりふと空を見上げた。

遠くから、花火大会が予定通り開催される事を告げる空砲が耳に届き、僅かに安堵の息が漏れる。

未だに僅かながら紫色を帯び黄昏の余韻を残している空には、数多の星達が煌めいていた。

──────to be continued──────



253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /13(月) 00:05:23.57 ID:SF0QkYY0
おぉ……レズからバイを経て、ついに
ついに健常者へと回復を果たしたのか……おめでとう 黒子




261 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/13(月) 00:12:03.37 ID:3ec2J4Eo
以上本日投下分となります
本日もご支援頂きました皆様、関係各位の皆様、誠にありがとうございます

想像以上に前に出づらい展開と自身の遅筆さも相まって、日毎冷や汗を流しております
もう二度と富樫先生をネタにいたしません、いたしませんとも

さて、お嬢に一票入れましたので次回投下に関しましてですが、異常が無ければ明日の11時頃を予定しております
(投下が遅れそうな折には、また報告致します)
お時間がございましたら、またお付き合いの程を頂ければ幸いです



273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/13(月) 00:41:11.06 ID:9xuTONwo
乙… 純粋にっ…!



274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /13(月) 01:04:35.95 ID:ktYx9YSO
乙!
次回も楽しみにしてます



キャプチャ



279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /13(月) 02:33:52.93 ID:sUlyJYAO
>>274
よくやった。うちに来て妹をファックしてもいいぞ



278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /13(月) 01:23:44.41 ID:w9wJXgAO
>>274
いいね。是非カラーを……




280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/13(月) 02:46:09.08 ID:ktYx9YSO
>>278
当方色を塗れる環境に無いので、どなたか塗っていただければ有り難いです




263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /13(月) 00:15:48.90 ID:f2VIXms0

イナイレカレンダーめくったけどどこにも五条さんがいなくてがっかりしたんだぜ・・・
でも今は五条さんが学園都市にいると思えば納得






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禁書目録SS   コメント:10   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
1475. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 12:37 ▼このコメントに返信する
このSSの凄いところは五条さんだけかっこよくしないで登場人物みんなかっこよくなってるところだな。
1477. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 13:19 ▼このコメントに返信する
wktkだなぁ
1479. 名前 : 名無し@SS好き◆/HbjgtQ. 投稿日 : 2010/12/13(月) 13:39 ▼このコメントに返信する
これって何板ってとこで見れるの?
1480. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 16:58 ▼このコメントに返信する
>>No.1479
「製作速報VIP」でググって、「とある五条の蹴球闘技」でスレタイ検索したら幸せになれる。
1481. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 18:19 ▼このコメントに返信する
おぉ、久々に更新が。
待ってました。
1482. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 18:20 ▼このコメントに返信する
もうあきた
1484. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 20:32 ▼このコメントに返信する
ちまちまあげないでどかっと欲しい
1485. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/13(月) 20:37 ▼このコメントに返信する
単純に一週間ぐらい忘れて後でまとめて読めばいいだろうに…
けど、俺は無理だ。投稿ある日はスレにかじりついてしまう…
1491. 名前 : 名無し@SS好き◆yE7IycBI 投稿日 : 2010/12/14(火) 05:40 ▼このコメントに返信する
GJ
ニヤニヤしながら読んだ
1494. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/14(火) 10:20 ▼このコメントに返信する
学園都市にやってきた 五条さん 顔はまぁ恐い方だけど 優しい人。
上条さんと一緒で 名字に『条』がついてるの。だってお父さんが
「名字に『条』の付く人には悪い人はいない」って言ってたし…ねぇ おとーさん

世代的にこのネタわかる人少なそうで申し訳ない;
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