嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん10 終わりの終わりは始まり (電撃文庫)前→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その26最初から→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」106 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /08(土) 02:40:14.59
ID:k1f1KzUo 学園都市第七学区、その西の外れに位置している工業地帯の中に存在する操車場。
うず高く積み上げられたコンテナが立ち並び、さながら迷路の様相を呈しているその区域の一角に、向かい合う二つの影があった。
天気予報の通り体感できるほどの風は吹いておらず、街中とは異なり申し訳程度に点灯している照明の下、二つの影の内の片方、モノトーンのシャツを纏った白色の髪と肌を持つ学園都市第一位、最強の名を冠する少年、一方通行が口を開く。
一方通行「いつぞやのヒーロー気取りの小僧じゃねェか。今日も元気に実験妨害ですッてかァ?」
彼が言葉を投げた相手は、自身と相対するもう一つの影、純白の生地に豪奢な金刺繍が施された戦外套を身に纏い、足元から炎を吹き上げながら静かに笑みを浮かべる少年、五条勝。
五条「……そういえば、自己紹介をしていませんでしたね……」
数日前に見かけた時と変わらず、悪びれた風もなく軽口を叩く一方通行へと飛び掛りそうになる衝動を無理やり押さえつけながら、五条勝が言葉を返す。
五条「……オレの名は五条。五条勝。守護者の銘を担いながら少女の一人も救えなかった、只の中学生です」
その言葉を聴いた一方通行の表情が、僅かに訝しげなものに変化する。
一方通行「守護者ァ?面白ェ。ホントに正義のヒーローごっこでしたってかァ?なかなか笑かせてくれンじゃねェか小僧」
五条「……」
沈黙する五条の様を見た一方通行が、その傍らに横たわっていた影へと視線を投げて言葉を続ける。
一方通行「……なァ、この場合実験ってなァどォなっちまうンだ?」
言葉を投げられた影が、身体を震わせながら必死で上体を起こした。
常盤台中学校のサマーセーターにプリーツスカート。
肩に掛からない程度に切られている栗色の髪。
学園都市第三位の能力者、御坂美琴とまったく同じ外観を持つ少女が、顔を上げて五条へと目線を送る。
彼女が五条の姿を視認すると、その表情に僅かながら驚愕の色が降りた。
『貴方は……五条……勝?』
呼びかけられる言葉を聴いても、まるで何も聞こえていないかの様に五条は一切の反応を示さない。
109 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/08(土) 02:44:01.65
ID:k1f1KzUo 五条「……残念ながら実験は永久凍結……いや、今夜を以って中止ですね」
一方通行「へェ……そりゃ初耳だなァ、何でまた急にンな事になったんだ?」
五条「……実に簡単な事です……明日の朝一のワイドショーで、レポーターが面白可笑しく告げるからですよ……"学園都市最強の能力者である一方通行が、レベル0の中学生と喧嘩をしてコテンパンにされ、意識不明の重態です"とね……クックックック……」
一方通行「カカカッ!とンでもなく愉快ニュースだなァ!」
五条「でしょう……?ククク……」
一方通行「でもなァ、そのニュースは新聞の三面記事になってオシマイだと思うぜェ?"身元不明の変死体が、操車場で発見されました"ってなァァァァアアアアア!!!」
声を上げると同時、一方通行の足先が、とん、と軽く地面を叩いた。
刹那、轟音と共に足元の砂利が大きく爆ぜ、数多の散弾となって五条へと襲いかかる。
咄嗟に地を蹴り横に飛んだ五条が飛礫の群れを回避し、指を鳴らした。
何処かより彼の元へとサッカーボールが投擲される。
ボールをトラップし、空中で一方通行に向かいボレーシュートを放った。
一方通行は、自身へと向かってくるボールを視認してもポケットに手を突っ込んだまま回避の行動をとろうとはしない。
五条(……恐らくは……)
ボールが一方通行の顔面を捉える直前、飛来する倍以上の速度をもってその軌道を変え、蹴りだしたはずの五条の元へと到来する。
自身の下へ帰ってきたボールを胸でトラップして勢いを殺し、再度五条が指を鳴らした。
何処かよりボールを抱えた五羽の企鵝が飛来し、彼の前に隊伍を組み上げる。
五条「……ナイスリターン……」
その様子を見た一方通行が、ポケットに手を突っ込んだまま大きくため息を吐いた。
一方通行「オマエやる気あンのかァ?あンだけ派手な登場しといてそのザマですかァ?オラ、さっさとこないだみてェな派手なの打って来いよ。ンなありきたりの事されてても、こっちゃあ面白くも何ともねェンだよ」
110 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/08(土) 02:45:01.10 ID:Thbbf3Yo
チートvsチート111 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/08(土) 02:46:20.96
ID:k1f1KzUo 五条「……クックック……リクエストにお答えしたいところですが……」
一方通行に言葉を返した五条が、ちらりと彼の傍らに視線を投げる。
上体を起こしていた御坂妹が、不思議そうな表情を浮かべた。
その視線の意味を解した一方通行の眉間に深い皺が寄る。
一方通行「…… あァそうかよそうかよそうですかァ!!……おい実験動物。オマエ邪魔だ。どっか行ってろ」
『……』
一方通行に言葉を投げられた御坂妹が、苦痛に顔を歪めながら両足で立ち上がった。
その身体は小刻みに震え、五条がこの場に駆けつけるまでの僅かな間に、深刻なダメージを受けていた事を如実に表している。
押し寄せる激痛を抑える様に強く奥歯をかみ締めた彼女の顔が上がり、五条に向かい目線が投げられた。
元より自身へと視線を投げていた五条と、彼女の視線が交差する。
僅かな間五条と顔を見合わせた彼女は、無言のままふらふらとおぼつかない足取りで闇の中へと歩を進めて行った。
一方通行「ケッ……粗製の実験動物風情が随分それらしいツラしやがる」
その様を黙って眺めていた一方通行が愚痴る様に呟き、再度五条へと向き直る。
一方通行「よォ小僧、前にオマエと会ったときから何日経った?」
五条「……今日で六日ですね……忘れはしませんよ……」
一方通行「……六日、か……命拾いさせてやったってのにわざわざもう一回殺され来たってワケか?トンでもねェマゾヒストだな、オマエ」
一方通行の両の手が、音も無くポケットから抜き放たれる。
腐敗を表す、邪悪な白を湛えた掌。
触れたが最後、生命そのものを一瞬にして奪い去る右の毒手と左の苦手。
五条「……生憎と、自殺を志願する程酔狂ではありませんし、妙な性癖も持ち合わせておりません……俺は勝算ありきでここに立っています……」
112 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /08(土) 02:49:01.87
ID:k1f1KzUo 一方通行「そォかそォか、つーこたァ予習はバッチリなンだな?クカカカカ……せいぜい楽しませてくれよオオオォォォォォォ!!」
咆哮と共に一方通行が地を蹴り、弾丸の様な速度で五条へと飛び掛る。
相対する五条は、驚いた様子も無くその動きを視認し、即死の魔手が眼前に迫ると同時に僅かに身をかわし攻撃を回避した。
五条「……接近戦は危険……即死の危険性がありますからね……」
あれだけの速度を出していたにも関わらず、音も無く急停止した一方通行の口の端がにやりと釣り上がる。
一方通行「まァセオリー通りだなァ……で」
再び一方通行の足が地を蹴る。
炸裂音と共に足元の砂利が爆ぜ飛び、猛スピードで五条へと飛来した。
一方通行「そっからどォやって反撃するンだ?」
先と同様に砂利の散弾を横へと回避する五条。
飛礫を回避した彼の姿が着地と同時に猛烈に加速し、その足先から激しい炎を吹き上げながら一方通行へと向かう。
一方通行「おォ?発火能力(パイロキネシス)か?」
大きく息を吸い込み、その口を固く閉じた五条。
音すらも置き去りにする速度で一直線に駆け寄る彼の姿へと、一方通行の毒手が伸びる。
一方通行「……なンだ、結局自殺志願かよ」
その右手が五条の姿を捉えようとした刹那、彼の視界から五条の姿が消失した。
次いで視界を赤く染め上げる炎と、自身の周囲を燃え盛りながら高速で旋回する"何か"の様子が展開される。
嘲笑を浮かべていた一方通行の表情が、一気に険を帯びたものへと変化し、三度その足元が蹴られた。
一縷の地響きと共に、一方通行を起点とした360度に敷き詰められている土砂が水面に波紋を描く様に爆ぜ飛び、激しい音と共に浮き上がった砂利が、重力に引かれて大地へと降り注ぐ。
113 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/08(土) 02:50:30.23
ID:k1f1KzUo 彼の周辺を取り巻いていた炎は、その砂利に巻き上げられる様にして宙へと舞い上がり、僅かな火の粉を残して虚空へとその姿を消していた。
いつの間にか周囲を旋回していた"何か"、炎に包まれていた五条勝が足を止め、一方通行を見つめていた。
全方位に展開された砂利の散弾は回避し切れなかったはずだが、彼の様子にダメージを負っている気配は見られない。
五条「……ククク……炎は無効ですかね……」
一方通行「……とぼけてンじゃねェぞ小僧、オマエが狙ったのは酸欠だろォが」
表情を変えずに言葉を吐く五条と、眉間に皺を寄せたまま言葉を返す一方通行。
五条「……バレていましたか」
はあ、とため息を吐いた五条の肩が僅かに落ちる。
一方通行「悪かねェ発想だが、屋外じゃ無意味だなァ。で、オシマイか?」
五条「……いえいえ、これで終わりでは」
言葉を吐きながら指を鳴らした五条の視界が、一気に灰色へと染まりあがる。
先刻まで真っ青な光を注いでいた三日月すらもその色合いを灰色へと染め替え、確かに時間が凍りついた世界だという事を表している。
静止した世界の中、五条の体が動いた。
数メートル前方に屹立している一方通行の側面へと回り込み、彼の耳元へと右足を振り上げ、ハイキックの要領で幾度か足を往復させる。
115 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/08(土) 02:53:47.14
ID:k1f1KzUo 一度目はゆっくり。
二度目は、少し速度を上げて。
三度目は、更に速度を上げて。
彼が五度目に足を蹴りだすと同時に、世界が時の流れを引き戻した。
──高速を上回る速度で一気に五度もの蹴撃を繰り出した右足が一瞬で煌々と赤熱し、真空をなぞる様に巻き起こった豪風が一方通行の側面を襲った。
しかしその豪風は一方通行にダメージを与えるには至らず、すぐにそのベクトルを間逆へと転換され、発生源である五条の体へと襲い掛かる。
五条「グっっっ!!」
幾重にも重なった風の塊をもろに受けた五条の体が、大きく後方へと吹き飛ばされた。
無防備な状態の腹部に強烈な衝撃を受けたその口から、僅かに鮮血が飛び散る。
五条(……霊装が無ければ、内臓破裂ものでしょうか……)
空中で体勢を立て直しながら、一方通行へと目線を送る。
……特段、変わった様子は見受けられなかった。
立て直した体勢で宙を蹴り、再度一方通行の側方十メートル程の位置に着地する。
一方通行「……少したまげたぜェ。何しようとしたンだ」
五条「……認識していない衝撃波も反射の対象ですか……ソニックブームも狙ってみたのですが、なかなかうまくは行きませんでしたね……」
一方通行「……衝撃波だの音波兵器だの、こっちゃァさンざン試されたからなァ。今更そンなンじゃ勃ちもしねェよ」
136 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /08(土) 23:36:44.21
ID:k1f1KzUo 五条「ククク……手厳しいところです……しかし、俺とて退くワケには行きません……!!」
言葉を紡ぐ五条の背に、一本、また一本とその外套と同じ色をした純白の翼が姿を現す。
銀色に輝くその翼の一本の長さは、おおよそ五メートル程だろうか。
翼が出現するに従い同様に燐光を放つ羽片が五条の周囲に舞い、暗闇に染まっていた操車場にを仄かに明るく染め上げた。
一方通行「クカカカカ……イィねイィねェ!!天使様ってかァ!?そォいうのを期待してたンだよ!!」
宙に浮かび上がる五条を見た一方通行が、狂笑を浮かべながら喜びの声を上げた。
対峙する五条は、その背に生えそろった六枚の翼を幾度かはためかせ、三日月が浮かぶ夜空へと舞い上がる。
その姿へと、何処からか一つのサッカーボールが放られた。
二、三度羽ばたいた五条の背の力翼が、眼前を通過しようとするサッカーボールを停止させ、秘められた力をボールへと注入していく。
次第に輝きと稲光を纏い、真っ白な光玉へと姿を変えるサッカーボール。
ビリビリと震える大気から、その光玉が秘めたエネルギーが容易に察知出来る。
五条「──God knows.(神のみぞ知る)」
呟き、右足を高らかに振り上げた五条の足が光玉へと振り下ろされる。
──つんざく音と共に、物理法則の限界を超越せんと吼え猛った光玉が打ち出された。
空間に一条の白い筋を残しながら、一方通行へと襲い掛かる光玉。
人の道を外した白色の少年へと殺到するそれは、例えるならば不可侵の道徳を犯した者へと向けられる神罰の雷。
人の身が受けるにはあまりに過ぎている神雷を迎え入れんと、外法の王、学園都市第一位の称号を冠された少年が大きく両の腕を広げる。
その顔に浮かぶのは、先と変わらぬ狂笑。
少年の身体に神の雷が触れた刹那、激しい閃光が光玉より迸り、暗闇に包まれた操車場を一瞬で光の洪水へと埋没させた。
138 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /08(土) 23:39:35.94
ID:k1f1KzUo その場に死合う二人以外の誰かが居合わせたのならば、間違いなくその瞳は暫しの間使い物にならなかった事だろう。
誰しもの視界を奪う、余りにも強烈な閃光。
光が描く闇と言っても差し支えの無い程のそれが、徐々にその勢いを弱めていった。
次第に操車場がその輪郭を取り戻し、展開されている光景があらわになる。
── 浮かび上がったのは、狂った様に高笑いを上げる一方通行と、うつ伏せに地面へ倒れ伏した五条勝の姿だった。
────────────
141 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /08(土) 23:41:52.19
ID:k1f1KzUo 何が起こったのか理解をするのに、多少の時間が必要だった。
反射された際の危険性を考慮して、自身が放てる渾身のシュートであるグランフェンリルではなく幾分かレベル下のゴッドノウズを放った。
ハズだった。
しかし霊装に軽減されているとはいえ自身の身体を襲った衝撃の度合いは、放ったであろうゴッドノウズのそれを遥かに超越していた。
腹部に食い込むボールと、同時に襲い来る鈍痛の中、最悪の回答が頭をよぎる。
……もはや、否定のしようが無い。
あの男は"先の一度の邂逅で、超次元サッカーバトルのベクトルを完全に掌握している"
背の翼が消失し、重力に引かれた身体が砂利の上へと落下する。
着地をしなければと思いはしたものの、身体に力が入らない。
幸い、外套のおかげで落下の際の痛みは無かった。
『よォ小僧、なかなか楽しませてくれたなァ』
狂った様な高笑いを止めた一方通行に声を投げられる。
五条「ク……ククク……」
辛うじて喉を絞り、何時もの笑い声を捻り出す。
一方通行「おォ、まだ笑える余裕があンのか。いやァ、敵ながら大したもンだわオマエ……細けェ事はわかンねェけど"徐々に物理法則を帯びる現象"なんて、なかなか厄介な事してくれンじゃねェか」
……一方通行の言葉の意味がよく理解出来ない。
出来ないが、もともとサッカーバトルとは理解など出来ない代物だ。
今更細かい説明など聞く気にもなりはしない。
言葉を吐きながら一方通行が自身に近づいてくるのが、その足音から理解出来た。
一方通行「……褒美代わりにゃなンだが、せめて楽に殺してやるよ。安心して良いぜェ?一瞬で心臓も脳髄も爆破してやるから、痛みなんて感じねェ」
五条「……」
ざりざりと寄って来た足音が、すぐ傍に停止した。
逃げ出さなければ死ぬという事実は存分に理解しているのに、身体が言うことを聞いてくれない。
142 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/08(土) 23:46:29.01
ID:k1f1KzUo 直近に佇む死神の気配に、強く瞳を閉じた。
…………
………
……しかし一向に、死を告げる鎌は振り下ろされない。
一体何だというのだろうか。
真意を解しかねていると、死神が再び口を開く。
一方通行「……なァ、命乞いしねェのか……?」
……更に真意を解しかねる言葉が耳に届き、瞳を開いた。
五条「……ク……クク……すれば……助けて…… もらえるのですか……?」
一方通行「…………さァな」
五条「……」
再び瞳を閉じる。
真っ暗になった世界に浮かぶ、自分の帰りを待つ人たちの面影が次々と浮かんでは消えていった。
すみません。
消えていく面影達に、心の中で謝罪の言葉を呟いた。
震える右手に力を込め、中指を突きたてる。
五条「……ククク……狂い死ね、モヤシ野郎……」
一方通行「……あァそォかよ」
一方通行から濃密な殺気が放たれるのが判った。
続けざまに聞こえる、僅かな風切り音。
右手か、或いは左手が掲げられたのだろうか。
もうどちらでも関係は無いのだが。
一方通行「じゃあなヒーロー」
閉じられた瞼に力を込め、思わず息を呑む。
『やめろ三下ああああああッッッ!!』
────再び暗くなった世界に、どこかで聞いた男の咆哮が響き渡った。
──────to be continued──────
148 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/08(土) 23:52:09.74
ID:k1f1KzUo 以上、改めまして昨日&本日投下分となります
ご支援いただいております皆様、関係各位の皆様、本日もありがとうございました
例え人気投票から削られようと、五条勝は五条勝かと存じております
絶対に許さない さて、次回投下に関しましてですが、可能ならば明日の晩に再度投下をさせて頂こうかと思います
不可能な様ならば再度告知を行わせて頂きます
お時間がございましたら、またお付き合い頂ければ幸いです
119 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/08(土) 02:59:06.40 ID:06J2LCwo
乙かれー
やっぱり一方通行は強いな
一筋縄じゃ行かない122 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/08(土) 03:16:21.37 ID:bMQS4koo
全盛期の一方さんはマジで最強だよ
上条さん補正がなきゃ勝てるわけないんだし
手を伸ばして突っ込むなんて愚行を犯さず小石蹴ってれば勝てたのに…144 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/08(土) 23:47:53.08 ID:A7bm8yQo
やっぱり一方通行サンはこうじゃねェとな
解析のすさまじさと対応速度がバツグンだからこその学園都市第一位ってワケだ
相手の賞賛も忘れンところに惚れてしまう ちなみに俺は一方通行サンとは無関係ェだ155 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 00:20:09.27 ID:U2psfDUo
五条さんと一方さんの共通点見つけた
二人とも笑い方がキモい160 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 00:27:22.13 ID:VICZLhMo
一方通行って原作でも弱点無い無敵キャラなの?162 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/09(日) 00:37:12.55 ID:7P7mO5Uo
>>160
誰にも無双するパートと、イレギュラーに苦戦させられるパートをそろえているリバーシブル仕様です189 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:08:50.34
ID:qFbXhIeTo ──── 時は、少し遡る。
夜空に冴える三日月がその青白い光を投げかける学園都市の路地を、息を切らしながら駆ける一つの影があった。
夏休みの夜分だというのに白いワイシャツにスラックスという学生服に身を包み、若者向けのファッション雑誌を参考にした様なツンツン頭の幻想殺し・上条当麻が周囲の目も気にせず駆けていた。
その頬は黒く煤けており、時折ぶれる身体の軸や、襲い掛かる苦痛に表情を歪める様から彼が酷く消耗している様が見て取れる。
上条(……間にあってくれよっ……クソっ……!!)
進行方向の歩行者用信号が、赤色へと表示を切り替える。
駆けながら左右に視線を投げ、車の気配が無い事を確認した彼が、横断歩道を一気に駆け抜けた。
走りながら上条は現状について再度認識する。
昨日今日で、自身が知っている世界とはあまりに価値観を違える理不尽な現実が一気に襲い掛かってきたものだと。
始まりは、なけなしの二千円を飲み込んだ憎き自販機の前で遭遇した学園都市第三位、常盤台中学校の超電子砲・御坂美琴との偶然の遭遇だった。
その美琴と同じ容姿を持つ少女との僅かの邂逅。
邂逅の最中に垣間見た少女──妹達(シスターズ)とその背後にある、あまりに人道を蹂躙している実験とその内容。
その真意を問い正した際に普段は気丈な御坂美琴が見せた、余りに儚い姿と悲壮感に充ちている覚悟。
一方通行と戦い、演算より遥かに早く自分が敗れる事により、実験を中止させると語った際の彼女の表情。
文字通り"懸命"の意をもって実験を停止させようと、一方通行への玉砕を試みようとした彼女を救う為。
そして今まさに散らんとしている"妹達"を救う為。
──否、そんな幻想を許しておけない自身の心根の為。
上条はひたすらに駆け続けていた。
次第に人通りが寸断されて行き、目的地である工業地帯の操車場を取り囲む金網が視界に入り、足を止める。
190 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:12:24.53
ID:qFbXhIeTo この金網の中で、学園都市最強の称号を持つ男が待ち構えている。
そしてこれから自分はその男と対峙し、打ち倒す。
打ち倒さなければならない。
僅かな悪寒が背をなぞり、彼は軽く身震いし、不意に自身と同じ無能力者(レベル0)の立場にある少年の事を思い返した。
これまで自身が異能と対峙する際は常に肩を並べていた、数奇な縁を持つ一人の少年の姿を。
上条(……居てくれりゃあ、心強いのは確かなんだけどな……)
まるで悪寒を振り払う様にその右の掌に視線を落とし、強く握り締めた。
悪魔的な外見とは異なり、あまりに優しすぎるあの男に、自ら厄介毎を押し付けるわけには行かない。
ましてや相手が学園都市最強の能力者ともなれば、生命の危機に晒される可能性も格段に高いだろう。
上条(……やるしかない、か……)
顔を上げて金網によじ登り、そこから飛び降りた上条の視界の隅に、こちらへと歩み寄ってくる人影が飛び込んできた。
思わず身構えた上条が、その影へと視線を据える。
自身へと近づくにつれ、次第に明瞭になってくるその人影の正体。
乱れた栗色のショートカット。
常盤台中学校の制服。
それは先に別れた妹達の一人である、 10032と名乗る少女だった。
上条の姿を確認した事による安心からだろうか、肩でぜえぜえと息をしていた彼女の身体がふらりと揺れ、その両膝が地面へと付けられる。
上条「っ……!!御坂妹っ!しっかりしろ!」
慌てて10032に駆け寄った上条がしゃがみ込み、その両肩に自身の手を据えた。
191 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /10(月) 01:14:46.70
ID:qFbXhIeTo 10032「……非常に消耗された状態にありますが生命活動に支障はありません……とミサカは自身の体調について主観的事実を述べます」
上条「そうか……良かった……っておまえが無事って事は、実験は?」
安堵の声を漏らした上条の表情が和らぎ、10032へと問いが投げられる。
10032「実験は侵入者の介入と被験者の希望により、一時的に凍結状態となっています。とミサカは現状について端的に説明を行います」
上条「……?侵入者……?一時的に凍結っ……!?」
実験自体が未だ頓挫したわけではない事を察知した上条の表情が再び凍りついた。
10032「はい。侵入者の名は五条勝。学園都市に在籍するレベル0の中学生です。とミサカは侵入者の氏名情報を提示します」
上条「なっっっ……!!?」
刹那、上条の視線のおおよそ300m程先、暗闇に包まれているはずの操車場の一角が仄かに発光する。
その光は、いつか上条が背中越しに感じた淡い銀色の燐光。
胸に去来する嫌な予感を押し留めようとすると同時に、光が爆ぜ、周囲が眩い閃光に包まれた。
咄嗟に瞼を閉じ、光が収縮するのを見計らい、再度瞼を開く。
……先に仄かに発光していた箇所が、完全に暗くなっている。
次の瞬間、上条の身体は光の発生源へ向けて駆け出していた。
列車やコンテナに阻まれ直線的には向かえないその光の発生源に向けて、息を切らせながら走る。
酷使された体が悲鳴を上げ始めるが、今はそんな事は関係ない。
立ち並ぶコンテナの道を抜けた先、一際開けた区画で上条の視界に飛び込んで来た光景は、うつ伏せに地面に倒れ伏している五条勝の姿と、その身体へと右手を差し向ける学園都市第一位、一方通行の姿だった。
……常に余裕の笑みを絶やさなかった、年下とは思えない程の頼りがいを備えた男の倒れた姿と、それをあざ笑う様な嘲笑を浮かべる白亜の少年の姿に一気に全身の血液が沸騰し、痛みや疲労感を何処かへと押し流していく。
上条「やめろ三下ああああああッッッ!!」
上条は自身でも無意識の内に咆哮を上げ、驚いた様な表情でこちらに向き直った一方通行へと駆け出していた。
────────────
192 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:16:41.17 ID:RHgWyM3So
まさにヒーローだな
こりゃ美琴じゃなくても濡れるわ193 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:17:02.55 ID:Af9lJENG0
上条△194 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:18:25.92
ID:qFbXhIeTo 『……ッたく、客の多い夜だなァおい』
五条の頭部に伸ばしていた右手を止めた一方通行が、新たに現れた侵入者である上条当麻の姿を見て呟いた。
上条「ォォぉぉおおおおおお!!!!」
ポケットへと両手を突っ込み、余裕の笑みを浮かべたまま一方通行が呟く。
一方通行「……なンだありゃ、新種のイノシシか何かか?」
五条「か……上条……?」
五条が必死で上体に力を入れ、雄たけびの根源へと目線を送る。
視界に映るのは、叫びながらこちらへと駆けてくる幻想殺し・上条当麻の姿。
その右手は硬く握られ、僅かに打ち震えながら振りかぶられている。
五条(……これは……最高の援軍かもしれませんね……)
次第に距離を詰める上条へと、笑みをたたえたままの一方通行が言葉を吐いた。
一方通行「おいイノシシ、もォいっぺン言ってみろよ」
変わらず余裕に充ちた嘲笑の浮かぶ顔面に向かい、上条当麻の右手が伸びる。
「ぁぁあああああああああああ!!!!」
──それは如何なる幻想をも容易く屠り去る、あまりに無慈悲な一撃。
魔術も超能力も、或いは神の慈悲や加護すらをも無差別に喰らい消失させる、世界にそのものに反抗する一撃。
無能力者(レベル0)の烙印を押された男の持つ唯一の牙が、傲慢な笑みを浮かべる外法の王へと伸び、その肌に触れる。
199 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:24:10.44
ID:qFbXhIeTo ────── ごしゅっ。
辺りに響くに鈍い音と共に、暴虐の笑みを湛える陶磁の様に白い顔面へと裁きの鉄槌が叩き込まれた。
全ての体重を乗せた上、十分な助走によって加速度を得たそのインパクトに、一方通行の身体が後方へと大きく吹き飛ぶ。
その鼻からは勢い良く鮮血が舞い、大きく見開かれた赤い瞳は現状を理解していないのだろうか、或いは既に意識を留めていないのだろうか、虚ろに中空へと投げられていた。
ぜえぜえと繰り返される上条の呼吸が辺りに木霊する。
……暫しの呼吸を経て、ようやく落ち着いた様を見せた上条が、倒れ伏せている五条に目線を送り口を開いた。
上条「……なんでおまえが居るんだよ……」
言葉を聴いた五条の身体が小刻みに震えながら、ゆっくりとその上体を引き起こした。
そのまま上条の姿を見ると、心配そうな表情でこちらに右手を差し出している。
上条「……ほら、立てるか?」
差し出された右手を眺めた五条が遮る様に左の掌を上条へと突き出し、言葉を返す。
五条「……心遣いは感謝しますが……霊装を纏っておりますので……」
上条「っと……じゃあマズイな」
上条が右手を差し戻すのを見た五条が、座ったまま立てた膝へと自身の右手を置き、力を込めて一気に立ち上がる。
普段浮かべられている微笑みが、その全身を蝕む苦痛に若干歪んだ。
上条「あー……もしかしてお前も一枚噛んでたんですか?」
五条「……ククク……ご名答です……しかし何故またこんな所に?……!」
上条へ返答した五条の視界の先で、一つの影がコンテナの脇より姿を現した。
影は、御坂美琴と全く同じ容姿をしているが、ところどころの衣服や頭髪の乱れから、美琴本人ではなく先刻まで一方通行と交戦していた妹達の一人だという事が推測出来る。
ふらふらと力ない足取りだが、先に五条が乱入した時よりは幾分か調子を取り戻したかに見えたその姿に、五条が軽く安堵の息を漏らした。
そんな五条の様子を見た上条が、彼の目線を追って振り返り、同様に安堵の息を漏らす。
上条「……ま、つまるところ自分の為ですよ」
196 :
VIP にかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:20:01.01 ID:xW7u8Cv+0
ちょっとこれはかっこよすぎるんじゃないかな204 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:27:32.53
ID:qFbXhIeTo 言い放って僅かに微笑んだ上条を見た五条が、軽くため息を吐いた。
……どういった経路を辿ってここに立っているのかは理解出来ないが、眼前のこの男は"昨日初めて会ったクローン人間の少女の為に、命がけでこの場に駆けつけた"のだ。
改めて佇まいを確認すると、ところどころ衣服や頭髪が焦げており、煤けた頬には疲労の様子も見て取れる。
ステイルの炎か、美琴の電撃でも喰らったのだろうか。
この男のトラブル体質を考えるに相当紆余曲折を経たことが考えられるが、まぁ経過は後々語り合えば良いだろう。
五条「……とんだお人よしですね……オマエは……」
上条「……オマエにだきゃあ言われたくねえっつーの」
互いに顔を見合わせ、くすくすと笑いあう。
『ク………… くひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ』
談笑する空気を裂く様に、狂笑が響き渡った。
一瞬で五条と上条の表情が凍りつき、笑い声の発生源へと視線が集中する。
その発生源となる男は、敷き詰められた砂利の上で仰向けに倒れたまま、小刻みに肩を揺らしていた。
あれだけの勢いで殴り倒されて尚、狂った笑い声を上げ続ける学園都市第一位の名を冠する少年、一方通行。
一方通行「イイッ……イイぜオマエら……サイコーだァ……!そォかそォか、痛ェってなァこンな感覚だったんだよなァ……!!」
205 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:30:04.78 ID:xW7u8Cv+0
だめだヤバいこの一方さんは至近距離で戦ってくれない206 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:30:05.10 ID:YZw6KQ5DO
展開が熱すぎる207 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:32:40.26
ID:qFbXhIeTo むくりと、顔を血に染めた一方通行が上体を起こした。
彼の表情は狂笑とは異なった険しさを帯び、二人に向けられた明らかな憤怒の色と殺意が見て取れる。
相対する二人が、弾かれる様に飛びのき身構えた。
上条「っ……五条、動けるか?」
五条「……えぇ、支障が無い程度には」
答えながら五条は考えた。
実際のところは、シュートを打てるほどの体力は残っていないし、まともな戦闘など到底出来はしない。
……しかし十分。
せめて足さえ動けば、自身と異なり生身の上条の盾にさえなれれば十分。
これまであらゆるダメージを反射して生きてきたであろう一方通行が身体的に貧弱なのは、その体格と先に闘った際の体裁きから想像に易い。
目視で、一方通行までの距離はおおよそ10メートル。
懐に潜り込んでの肉弾戦ならば、即死の両手にさえ気を付ければ上条に分があるだろう。
ならば自身が採るべき行動は只一つ。
"上条の拳を叩き込ませる為に、遠距離で放たれる攻撃を全て防ぎきる"
212 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01/10(月) 01:37:02.78
ID:qFbXhIeTo 五条「……オレの攻撃は、あらかたヤツには通用しませんでした……」
上条「認識阻害は使ってないのか?」
五条「……色々と勘案したのですが……万一反射された際のリスクが完全に不明……ヒヒヒ……」
上条「……つーと、効くのは俺の右手だけってわけか」
五条「……相手の攻撃は全てオレが防ぎます。オマエは」
上条「ああ、わかってる」
言い放った上条が、その右手を固く結んだ。
五条「……クックック……オマエがFW(フォワード)、オレがDF(ディフェンダー)、さながらアイツは敵のGK(ゴールキーパー) といったところでしょうか……」
右手を額に当て、二三度左右に首を振った一方通行がゆっくりとその場に立ち上がった。
乱れた脳波のベクトル操作でも行ったのだろうか、その足取りは、先の一撃のダメージをまるで感じさせない。
一方通行「……よォ、お別れの挨拶はすませたかよ?」
そのポケットから、触れれば即死という恐ろしい幻想を抱えた両の手が抜き放たれた。
五条と上条が、互いに視線を合わせて頷きあい、口を開く。
上条「二万人の妹達殺害?絶対能力進化?何言ってやがる!」
五条「実験動物……?ふざけるなっ!!オレが触れた彼女は、紛れも無い"人間"だった!!」
上条「何の罪も無い人間が、テメェみたいな奴の食い物にされるってんなら!!」
五条「彼女の魂の安寧の為!!そして後に続く妹達を、他でもない"人間達"を守る為!!」
上条の拳が一層強く握られ、小刻みに震え始める。
合わせる様に、五条のスパイクが輝き、その足元より僅かに炎が漏れ始めた。
上条「その幻想をぶち殺す!!!」
五条「その認識を阻害します!!!」
宵闇の底に沈む操車場の中で高らかに上げられた咆哮と共に、戦闘の再開を告げる轟音が鳴り響いた。
──────to be continued──────
222 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2011/01 /10(月) 01:44:42.80
ID:qFbXhIeTo 以上、本日投下分となります
本日も斯様な夜分までご支援を頂きました皆様、関係各位の皆様、最早数え切れなくなった御礼を申し上げます
一方さんのセリフ部は、"ン"のチェックが少しめンどくせェンです
さて次回投下に関しましてですが、例のごとく可能ならば明晩、不可ならば明後日の晩を予定しております
お時間がございましたら、またお付き合いの程を頂ければ幸いです
219 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:41:29.82 ID:YO4ym4Kso
今日も乙です
続きが楽しみすぎて眠れないだろこれはww223 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:45:33.84 ID:u8TBJMpio
乙
レールガンですら蹴る事が出来た五条さんなら
プラズマ元気玉も蹴り返しそうだな225 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 01:49:53.99 ID:xW7u8Cv+0
麦のんのビームはだめだったからちょいきびしいかな227 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2011/01/10(月) 02:05:02.56 ID:3zJBcsjAO
W条さんマジパネェっす次→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その28
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