真月譚月姫 10 (電撃コミックス) 1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 19:46:22.42
ID:OHxAY3GD0 少女「ひ…! やめて…! やめてください…!」
男A「ケヘッ! 大声出したって誰もこねえよこんな所!」
男B「だから好きなだけ喘いでくれてかまわねえからな?」
男C~H「ぎゃーはっはっはっは!!」
少女「いや…! やだあ! 助けて、誰かぁ!!」
男D「ん?」
男E「てめえ! 何見てやがんだゴラァ!」
上条「………」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 19:53:23.75
ID:OHxAY3GD0 上条「別に…たまたま通りがかっただけなんで、すぐに消えますよ」
少女「お願い! 助けて! 助けてぇ!!」
男A「うるせえ! 黙ってろ!」
男D「くく…女はこう言ってるぜぇ? どうすんだお前?」
上条「今言ったでしょ。すぐ消えますよ。見知らぬ女を助ける義理なんてないし」
少女「そ…そんな……」
男D「利口なやつだな。こう見えても俺はレベル3の発火能力者だ。邪魔してたら消し炭になってたぜ」
上条「ふーん…」
男B「オラ! 暴れてんじゃねえよ!!」
少女「ふぐ…! うぐぐ…! うぐぅ~~!!」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 19:59:09.23
ID:OHxAY3GD0 もし上条さんが度重なる不幸に心折られてしまったらという妄想
ぐれてしまった上条さんでの原作再構成
上条「ま……どうぞごゆっくり」
男C「へへへ…こんな上玉久しぶりだからな。たっぷり楽しませてもらうぜ」
少女「ん~~~~!!!!」
上条「ま……精々自分の不幸を呪いな」プルルルルル!プルルルル!
上条「電話…? 一体誰から…げっ」
着信画面 『小萌センセイ』
小萌『上条ちゃーん! また今日も学校サボりましたねーー!!』
上条「ぐお…! うるっせぇ…!!」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:06:36.97
ID:OHxAY3GD0 小萌『駄目ですよー! このままじゃ上条ちゃん進級できないですよー!』
小萌『上条ちゃんは一年生を二回繰り返すほどのお馬鹿ちゃんだったんですかー?』
上条「うるせえな! 進級だろうが卒業だろうがどーでもいいんだよ! 無理やり入れられた学校なんざ未練もあるかぁ!」
上条「あん!? 今どこにいるのかって!? ○○学区の××通りの裏…ってどーでもいいだろんなこたぁ!」
上条「担任だか何だか知らねーけどイチイチ干渉してくんじゃねーよ! 切るからな!!」ブツッ
上条「ったく……ん?」
男A「………」
男B「………」
男D「……てめえ今、どこに電話しやがった?」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:14:43.57
ID:OHxAY3GD0 男C「て、てめえ! 今アンチスキル呼びやがったな!?」
上条「ちっげーよ。クソ鬱陶しいロリ担任から電話かかってきただけだよ」
上条「……って何でそんなことテメエらに説明しなきゃならんのだ……」
男E「クッソがぁ!! 舐めた真似しやがって!!」
上条「だから違うっての! 人の話聞けよ!!」
男H「るせえ! ぶっ殺してやるクソガキがぁ!!」ブン!
上条「あぶねっ」ヒョイッ
男H「避けてんじゃ…ごっ…!?」ドサッ
突如、男Hは白目を剥いてその場に昏倒した。
男A「…何だ? て、てめえ今何しやがった!」
上条「先に手を出してきたのはてめえらだぜ?」
上条はその場に倒れた男の体を踏み越え、右手の手首を揺らす。
上条「あ~あ、まったく……不幸だな、てめえら」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:23:21.08
ID:OHxAY3GD0 呟きと同時、上条は一気に駆ける。
ふいをつかれ、ろくに反応できなかった男Cの顎を拳で跳ね上げた。
それだけ。
その一撃で男Cはその場に崩れ落ちる。
上条「おっと」
まるで背後に目があるかのように上条はあっさりと男Bのバットをかわす。
大上段からバットを振り下ろし、隙だらけになった男Bの腹を思い切り蹴り上げた。
バァン! とまるで何かが破裂したような音が響く。
男B「ぶぇ…げぇ…」
崩れ落ちる男B。手から零れたバットを上条は拾い上げる。
男A「ま、待てよオイぎゃあああああ!!」
躊躇無くバットを振った。
ガードした男Aの腕がめきめきといやな音を立てる。
上条はあっさりとバットを手放し、男Aの顔面に拳を叩き込んだ。
砕けた腕でガードなど出来ようはずも無い。
ぴちゃりと顔にとんだ血飛沫を上条は笑いながら舐め取った。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:30:01.23
ID:OHxAY3GD0 男E「く、くそ…この……!」
あっという間に仲間の半数をやられ、男Eは躊躇する。
男G「こんボケがあああああああああ!!!!」
やぶれかぶれで突っ込んだ男Gの顔が上に跳ね上がった。
まるでボクシングのお手本のようなアッパーカット。
それ故に、下半身のばねを最大限利用した上条の体が硬直する。
男E「うああああああああ!!!!」
今しかないと男Eは手に持ったナイフを上条の背中に向けて突き出した。
がしり、と男Eの腕が止まる。
上条は一切後ろを振り向かないまま、左手で、後ろ手に男Eの手首を掴み取っていた。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:33:15.62 ID:kycWyBVi0
上条さんの身体能力ってこんなに高かったんれふか19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:34:57.55 ID:VHY6yRpe0
原作より4倍喧嘩馴れしてそうだな21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:36:53.97
ID:OHxAY3GD0 男E「ありえねえ…ありえねえだろぉ……」
男Eは目に涙を浮かべながら、けれどもその顔は笑ってしまっていた。
もう笑うしかなかった。
全体重を乗せた突進を、左手一本で(しかも後ろでで)止められたら、他にどうしようがあるというのだ。
男E「お、俺が悪かった。だから許し…ぎゃぅ!」
男Eの声は最後まで発せられることは無かった。
男Dの手から発せられた炎が男Eの顔面を焼き溶かしていた。
上条「おーおー。ひどいことするじゃねえか。仲間だったんじゃねえのかよ?」
男D「腰抜けのクズなんて仲間じゃねえよ。クズで、利用価値も無けりゃ、そりゃホントにただのゴミだ。ゴミは包んで捨てなきゃな」
上条「ま、言うとおりだと思うけどよ」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:44:09.93
ID:OHxAY3GD0 男D「てめえは一体何の能力者だ?」
上条「いやいや、上条さんは筋金入りの無能力者ですよ」
男D「ほざけ。ただの無能力者が八人相手にこうまで一方的に暴れられるかよ」
男D「『身体強化』系の能力者か? まあいい。どんなに素早く動けても、俺の炎はかわせねえよ!」
男Dの掌から赤い炎が迸る。
荒れ狂う炎が対象を焼き尽くそうと迫りくる。
上条「いや、ってゆーかよけねえし」
キュウゥー――ン、と甲高い音がした。
上条が右手をかざしただけだ。
それだけで、たったのそれだけで。
男Dの誇るレベル3の炎は、夏の線香花火を思わせるように、儚く消えうせた。
男D「…は? え?」
上条「俺は能力者じゃない。ちょっとばかり妙な右手を持ってるだけの無能力者さ」
男D「は、あ、う」
上条「オイオイ。ひょっとして今さら逃げられるとか思っちゃってるのか? いいぜ、なら…」
上条「その幻想をぶっ殺す!」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:50:47.38
ID:OHxAY3GD0 男F「ひ、ひいい…! 八人いたのに…! こっちは八人もいたのに…!!」
目の前でズタボロになった男Dの姿に残った最後の一人は慄き震えた。
男F「み、見逃してください! お願いします! なんでもしますから!!」
上条「おいおーい。こういう時に敗者がどうするべきなのかはお前等の方がよく知ってんじゃねえか?」
男F「あ…!」
男Fは慌ててポケットから財布を取り出すと、中身を上条に差し出した。
上条「よーし。いい子いい子」
男F「も、もう行ってもいいですか?」
上条「おう。もうこの辺歩くなよ。見かけたらその瞬間殺しに行くぞ」
男F「ヒ、ヒィィ!」ドタバタドタ…!
上条「仲間ほったらかしかよ。ほんとクズだな」
少女「あ、あの…」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 20:56:51.66
ID:OHxAY3GD0 上条「あん? まだいたの?」
少女「あ、ありがとうございました!」
上条「礼なんていらねえよ」
少女「おかげで私、助かりました。本当になんてお礼を言ったらいいのか……」
上条「だからいらないって。あのさ、お前馬鹿だろ?」
少女「は、あ、え?」
上条「こっちがドンパチやってるときにさっさと消えてりゃ良かったのに。何でそうしなかったわけ?」
少女「そ、それは、だって……あなたを置いていくなんて出来なかったから」
上条「あっはっは。馬鹿な子ってのはホントかわいーなー。殴りたくなっちゃう」
少女「……え?」
上条「お前さ。俺が窮地を助けに来たヒーローに見えちゃったりしてるわけ?」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 21:09:48.57
ID:OHxAY3GD0 少女「え…え…?」
上条「あるわけねーだろーがそんな夢物語。少女マンガじゃねーっつの」
上条「もしお前が俺をヒーローと勘違いしちゃったりしてるってんなら……そんな幻想は、殺さなきゃな」
少女「そんな…嘘…ですよね? あはは…」
上条の言葉に、少女は混乱し、苦笑いを浮かべながら上条の顔を伺っている。
そんな少女に、上条はにやりと笑いながら、その鳩尾の辺りを殴りつけた。
少女「えう…!」
上条「はい死んだ。今君の幻想死んだよ。俺の『幻想殺し』はあらゆる幻想を打ち砕く。目は覚めたかい?」
少女「ごほ…! ごほ…!」
殴られた衝撃で激しくえづく少女の前髪を掴み、上条は無理やり自分の方を向かせる。
上条「大体さ。こんな所を一人で歩いたりしちゃ何されても文句は言えねーよ。わかってたろ? ここらが物騒だってことくらい」
少女「ひ…! ひ…!」
上条「なのになんでこんな所を一人で通った? 塾に遅れそうだったか? 門限をオーバーしそうだったか? ちょっとくらいなら大丈夫だろうと思ったか?」
上条「まさか自分に限ってそんな不幸が振りかかるわけがないって思ったか? あまいあまい」
上条「不幸ってのは案外あっさり降りかかるもんなんだぜ? この俺が言うんだから間違いねーよ」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 21:34:18.71
ID:OHxAY3GD0 少女「やだ…やだ…! うそ、ごめんなさい、助けて。パパ、ママぁ!」
上条「はっはぁー! 鬼ごっこの始まりだ! 気合入れて逃げろよ! 捕まえたら穴という穴に棒突っ込んじゃうぜ!?」
少女「ひ、ひぃぃ…!」
少女は涙で顔をグシャグシャにして走り去った。
路地裏に上条の高笑いが響く。
上条「ばーか。誰がてめーなんか追っかけるかよブース」
ひとしきり笑ってから、上条は少女が去っていった方向とは反対の方に歩き出した。
かと思えば、上条は暗い路地の先を睨みつけ、足を止める。
予感。
道を歩けば居眠りトラックが突っ込み、建設中のビルのそばを通れば鉄骨が降り注ぎ、ファミレスで食事をすれば食中毒にあう。
そんな日常が磨いた第六感。
それが、全力で警告を発している。
上条はため息をつき、歩みを再開した。
瞬間。
バチバチと音を立て、電撃が上条へ飛来した。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 21:43:48.18
ID:OHxAY3GD0 蒼白く迸る電撃は、しかし上条の右手に触れることで霧消する。
上条は舌を鳴らし、進む先に現れた人影を睨みつけた。
上条「…ったく、こりねーな。ビリビリ」
美琴「………」
上条の前に立ち塞がった少女は何も答えない。
灰色のプリーツスカートに半袖のブラウスにサマーセーター、少女の格好は一見ただの中学生のように見える。
ただ、その顔にぐるぐるに巻かれた包帯だけが異質だった。
包帯で目と口以外を隠されたその少女は歪に笑った。
美琴「私には…御坂美琴って名前があんのよゴラァァァアアアアア!!!!」
少女の手には一枚のコイン。
音速の三倍の速度で放つそれは、少女の必殺『超電磁砲(レールガン)』。
直撃すれば戦車をも吹き飛ばすその一撃が、何のためらいも無く上条へと発射される。
上条「効かねえっつってんだよ馬鹿が!!」
その一撃を、学園都市第三位の超能力者(レベル5)の必殺を、上条はあっさりとその右手で掴み取った。
かざした右手がたまたま無効化したのではない。
上条は、上条自身の明確な意思でもって美琴の一撃を防ぎきっていた。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 21:45:36.05 ID:tp8iJlUy0
顔殴ってんのかよwwwwww
上条さんパネェっす51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 21:46:25.24 ID:TzchvMVrO
上条さんテラバイオレンスww52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 21:52:08.33
ID:OHxAY3GD0 >>48 映画版よりさらにカットされててわけわかめ コレ見てにわかが「全然面白くねーじゃんwww」って言うかと思うと……グギギ…!
美琴「相変わらず出鱈目な奴!!」
上条「一切の躊躇無く即死級の一撃放って来る奴に言われたかねーよ!!」
上条は降り注ぐ雷撃に臆することなく前へ進む。
上条には右手に宿る『幻想殺し』という能力があれど、その武器は基本的に体ひとつだ。
まずは手の届く距離まで近づかなければ話にならない。
美琴「はあああああ!!」
少女、御坂美琴の前髪がバリバリと紫電を発する。
直後、のたうつ蛇のように雷撃が発生し、上条の体を焼き尽くそうと迫る。
上条はまるで見えているかのようにそれらを右手一本で迎撃する。
上条が美琴の前に踏み込んだ。
届く。ここからならば、何の問題も無く。
上条「おらあ!!」
上条の固く握り締めた拳が、美琴の顔面に突き刺さった。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 21:59:01.86
ID:OHxAY3GD0 美琴「ぎ…!」
美琴の体が吹き飛び、背中から地面に叩きつけられる。
顔に巻かれた包帯に赤く染み出した鼻血を拭おうともせず、美琴は顔を上げて上条を睨みつけた。
上条は吹き飛んだ美琴の追って一歩を踏み出し、追撃に移ろうとしている。
美琴「あああああああああ!!!!!」
美琴の周囲から突如黒い塊が吹き上がった。
磁力によって巻き上げられた砂鉄が押し固められ、鋭利な刃物となって上条を襲う。
だが、それも無駄。上条の右手はあらゆる異能を打ち消す。
そんなことはわかっている。だから。
美琴「おあああああああ!!!!」
出鱈目に磁力を発生させ、次々に砂鉄の刃を生み出す。
美琴は見ていた。上条はあの意味不明な力を振るうとき、必ずその右手をかざしている。
ならば。その右手でカバーできない程の物量で攻めれば。
美琴「死ねェぇぇぇえええええええ!!!!!!」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:03:00.59 ID:VHY6yRpe0
全力で殺しにかかってるwwwwww57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:06:53.82
ID:OHxAY3GD0 上条「今、死ねって言ったか?」
上条は迫りくる刃を、あるものはかわし、あるものは打ち消し、一歩一歩美琴との距離をつめる。
上条「お前、本気で俺を殺す気で来てんだな?」
美琴「当たり前よ…! 人の顔をこんなにグシャグシャにしといて……! 絶対に殺してやるから…!!」
上条「ぜーんぶお前から手ェ出してきたんじゃねえか。人を黒焦げにする勢いで雷だしといて、自分がやられて文句言うなっつーの」
上条「嫌ならとっとと俺の前から消えろよ。追わねえから。それで無事円満解決、めでたしめでたしじゃねえか」
美琴「うるさい! とにかく、私はアンタの存在が許せない! 塵一つ残さず消し去ってやる!!」
上条「はぁーあ。全く、お前みたいなのに絡まれるなんて、不幸すぎるぜ。でも、覚悟は出来てるんだろうな?」
生み出された砂鉄の剣、その最後の一本をかき消し、上条は凄惨に笑う。
上条「誰かを殺すってことは、誰かに殺されても構わないってことなんだぜ?」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:14:00.73
ID:OHxAY3GD0 美琴「もちろん、そんなことはわかってるっつーの!!」
美琴も上条に笑い返した。
美琴「があああああああああ!!!!」
美琴の体から電流が四方八方に放射される。
上条は足を止め、自分に迫った電流のみを打ち消した。
上条「……終わりか?」
最後の悪あがきだったのか、大人しくなった美琴に上条は問いかける。
美琴「ええ、終わりよ」
包帯まみれの顔を歪ませて、美琴は笑った。
美琴「アンタの人生がね!!」
気配を感じて上条は天を仰いだ。
上条の真上に、四方八方から集められた鉄材が塊となって浮いている。
上条「さっきの電流はコレを作るために…!?」
直径3m、重さ数トンにも及ぶ鉄の塊が上条を押し潰した。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:18:31.85
ID:OHxAY3GD0 美琴「やった…やった……!」
美琴「やった! 殺した! アイツを! アイツを!! 殺してやった!!」
美琴「あはアハははハははハハハはハハはははははハハハ!!!!!!!」
美琴「はあ……」
美琴「人を……殺しちゃった………」
上条「オイオイ、まさか後悔してんのか?」
美琴「!?」
上条「笑わせんなよなあ。そんな脆弱な精神で、いっちょまえに殺すとか吼えてんじゃねえよ」
美琴「アンタ…なんで…どうして…!?」
ありえない。ありえない。ありえない。
美琴は混乱していた。
あのタイミングで、あの速度で、人間があの塊をかわせるわけが無い。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:24:35.19
ID:OHxAY3GD0 美琴「アンタ…私の攻撃を無効化する以外に、何か隠してる能力があるの……?」
上条「いやいや、上条さんは正真正銘の無能力者だよ」
美琴「嘘! 嘘嘘嘘! だって、だって…!」
上条「オイオイ、お前にならわかると思うんだけどな」
美琴「ど、どういうことよ」
上条「お前も努力の末にレベル5になったってクチなんだろ? なら、わかるはずだ」
上条「人間、努力すれば何でも出来るってことさ」
美琴「……」
上条「努力じゃどうしようもないこともあるけどな。俺の不幸とか」
上条はいつの間にか美琴の目の前まで迫ってきていた。
美琴は地面に倒れたまま、まだ体勢を立て直してはいない。
上条「ま、そんなもんはどうでもいいか。おしおきの時間だぜ、ビリビリ中学生」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:31:16.94
ID:OHxAY3GD0 上条は美琴の体に手早く馬乗りになった。
美琴「あ…!」
美琴は慌てて電撃を発するがもう遅い。
上条はまるで美琴の電撃の発生元がわかっているかのように的確に右手をかざし、電撃を無効化する。
上条「何回ボコってもしつこく来やがるからな。今回はちょっときつくいくぞ」
言いながら、上条は馬乗りの体勢のまま美琴の顔面を殴りつけた。
美琴「あが…!」
上条「二度と、俺に、関わろう、なんて、気を起こさないくらい、徹底的にだ」
美琴「あぐ、う、ふぎ!」
顔を庇おうとする美琴の両腕の間を縫うように、上条の拳が美琴を叩く。
叩き続ける。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 22:32:41.01 ID:tp8iJlUy0
顔ばかりかよ
悪ってより単なる外道だなこりゃ79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:33:09.12 ID:XXgPxC3Y0
ェロくないのに・・・・・フルボッキ!80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:33:35.74 ID:XZf5PWwwO
アンチスキルに何回お世話になってんだろう84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:37:33.06
ID:OHxAY3GD0 美琴「うあ! うああ!」
聞く者が顔をしかめざるを得ないような、鈍い音が響き続ける。
美琴「ひい、うあ、あああああああああ!!!!」
鈍い音と悲鳴が、交互に、代わる代わる、暗い街に反響する。
少女は、学園都市第三位のレベル5は、もう赤子のように泣きじゃくっていた。
上条「わかったか! わかったんかよ!? 二度と俺に近づかないって言えよ!!」
それでも、上条は少女を殴りつけるその手を止めない。
御坂美琴は完全に戦意を失っている。
それでも、上条は拳を包帯だらけのその顔に叩きつける。
これじゃあ駄目だ。
これじゃあこいつはまた俺に関わろうとしてくる。
もっと決定的な敗北感を。
もっと決定的な絶望感を。
二度と、俺に関わろうなんて幻想を抱かぬように。
もっと。もっと。
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:42:53.18
ID:OHxAY3GD0 上条「……!!」
上条は突然、何の前触れも無く体を思い切り仰け反らせた。
目の前を、ローファーを履いた足が通り過ぎていく。
黒子「な…!?」
突然上条の頭上に出現し、蹴りを繰り出してきたツインテールの少女の顔が驚愕に歪む。
上条はそのまま宙にいる少女の服を掴み、背中からコンクリートの地面に叩き付けた。
黒子「が…!!」
痛みにのたうちまわる新たに現れたツインテールの少女。
上条はこの少女を知っている。
上条「よお…今回は遅い登場だったな」
少女の名は白井黒子。
御坂美琴を敬愛する、レベル4のテレポーターだ。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:43:55.54 ID:XZf5PWwwO
強すぎwww97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:45:38.51 ID:Y4CC2v0E0
なんか、すごい面白いな107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 22:52:14.26
ID:OHxAY3GD0 黒子「わたくしの攻撃は何の気配も生じさせないはずなのに……どうして……!?」
げほげほと痛みに苦しみながら、黒子は涙目で上条を睨みつける。
上条「何となく、な。こちとら、そういう不意打ちくらいさらっとかわせないととっくに死んでるような人生送ってるんでね」
上条はそれだけ言って黒子から目を切った。
テレポーターはその能力を行使するとき、多大な集中力を必要とする。
今の黒子の状態ではしばらく能力を使うことはできないだろう。
上条「よお…わかったかよ、ビリビリ」
上条はぐったりとして動かない美琴の胸倉を掴み、その涙に濡れた目を睨みつける。
上条「コレに懲りたらもう俺に関わるな。次に来たら、その色気のねえ短パン剥いで、中身晒してやっからな」
美琴「うっ…うぅ……」
上条「覚えとけ」
上条はそれだけ言うと、美琴の胸倉から手を離した。
まるで糸の切れた人形のように、美琴はどさりと再び地面に仰向けに倒れる。
上条「よぉ、頼むぜ。お前からもよく言っておいてくれよ」
上条は、よろよろと立ち上がりながらこちらを睨みつける黒子のほうに向き直った。
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:00:39.96
ID:OHxAY3GD0 黒子「…お姉様にこれだけのことをしでかしたあなたを、このまま放っておくと思いまして?」
上条「やめてくれよ。上条さんは降りかかる火の粉を払っただけだぜ?」
黒子「だからって、女の顔をあんなに殴って……!」
上条「だぁから、そう思うならもう向かってこないようにお前がアイツ説得してくれよ。これでもう一回来たらマゾ確定だぜアイツ」
黒子「く……!」
上条「乙女の顔に傷を残したくないなら、さっさと病院行きな」
上条はポケットに手を突っ込んで、黒子に背を向ける。
そのまま立ち去るかと思いきや、上条は顔だけを黒子のほうに向けた。
上条「……前から言ってるけどよ。『冥土帰し』を訪ねりゃ傷一つ残さねーで治してくれるよ。あんな大袈裟な包帯で顔隠さなくてもよ」
黒子「あなたからの施しを受けることを、お姉様は良しとしていませんの」
上条「あっそ……ならもういいや、好きにしろよ……」
上条は呆れたようにため息をつくと、空を仰いでポツリと言った。
上条「救えねえな…俺も、お前も」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:02:19.95 ID:XXgPxC3Y0
あれ?若干ツンデレ上条さん?127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:06:11.03 ID:XXgPxC3Y0
パイポ咥えて街中を死んだ目で眺める上条さんが想像できた。133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:08:29.38
ID:OHxAY3GD0 上条が立ち去った後、黒子は美琴を介抱していた。
自分が能力を再び万全に行使出来るようになるためにはもう少し時間がかかる。
能力が使えるようになり次第、テレポートを繰り返して病院に連れて行くつもりだった。
美琴「……」
美琴は何も喋ろうとはせず、ただずっと空を見つめている。
黒子「お姉様…もう、あんな男に関わるのはこれっきりにしましょう?」
黒子はもう嫌で嫌でたまらなかった。
黒子はずっと見ていた。敬愛する美琴がボコボコに殴られる様を、ずっと。
手を出すなと言われていたから。
それでも、最後には耐えられず助けに入ってしまったけれど。
黒子にとっては、上条当麻に対する怒りよりも、これ以上御坂美琴が傷つく恐怖のほうが上だった。
では美琴は? あの暴力に晒され続けた他ならぬ美琴はどう思っているのだろうか?
黒子は恐る恐る美琴の返事を待つ。
美琴「殺す……」
美琴はぼそりと呟いた。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:15:34.21
ID:OHxAY3GD0 黒子「お、お姉様……」
美琴「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
美琴はうわ言のように殺す、ただそれだけを繰り返しながらゆっくりと身を起こした。
体を支えようとする黒子の手を振り払い、血で赤く染まった顔の包帯をむしり取る。
黒子「ひ…」
その顔を見た黒子は絶句する。
端麗だったその顔は、傷と痣と憎しみに彩られ、見る影もなくなってしまっていた。
美琴「殺す…!」
努力で勝ち取ったレベル5。そのプライドが彼女の支えだった。
だがそのプライドは木っ端微塵に砕け散った。
その自負は幻想だったのだとあの少年に気付かされてしまった。
だから、殺さなきゃ。
私を幻想だと否定したアイツを、アイツこそを幻想にしてしまわなければ。
私は、私でいられない。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:20:11.04
ID:OHxAY3GD0 御坂美琴が殺意を胸に立ち上がった時。
上条当麻はそう遠く離れていない場所で頭を抱えていた。
上条「…ったく、なんなんだ今日は。いつもいつも運は悪いが、今日は特別厄日だなオイ」
ぼさぼさした髪を掻き毟る。
月明かりの下。
上条の視線の先では。
インデックス「う…ん…」
純白の修道服を着た一人の少女が倒れていた。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:23:11.41 ID:XZf5PWwwO
先に言っとく
ステイル逃げてえええ!!155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 23:24:42.60 ID:ck2YzwoJO
神裂は腹責めでお願いします160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:28:48.47
ID:OHxAY3GD0 上条は考える。どうしよう。
答えは二秒で出た。無視しよう。
そもそも、過去の経験から、こういった厄介事には関わらぬようにしようと心に決めていた上条である。
このまま放置したことで少女がどんな目にあおうとも、例えばさっきのようなゲス共の目に止まり、下劣な欲望の標的になったとしても。
それでも、自分と関わることよりはずっとマシだろうと確信できるから。
上条「それでは、グッドラック」
上条はあっさり少女の横をスタスタと通りすぎた。
インデックス「ちょ、ちょっと! こんなに可愛い女の子が行き倒れてるのにどこにいくつもりなのかな!?」
上条「あー、何も聞こえない」
インデックス「こんな貴重なボーイ・ミーツ・ガールはそうそう経験できないんだよ!? こんな幸運を棒に振るなんてちょっと考えられないかも!!」
上条「あーあー、不幸だ不幸だ。上条さんの人生は今日も順調に不幸のままですよっと」
インデックス「む、むっきーーー!!!!」
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:36:40.76
ID:OHxAY3GD0 インデックス「おなかすいた!」
上条「……」
インデックス「おなかすいたって言ってるんだよ!?」
上条「……で?」
インデックス「ごはんくれると、うれしいな」
上条「他を当たれ」
インデックス「お願い…もう…限界なんだよ……」グゥ~キュルルルル~
上条「しらねーよ。おい、足を掴むな。まとわりつくな」
インデックス「あなたに見放されたら私もう死んじゃうかも」
上条「だーかーらー! 知らねーっての!!」
しつこく食い下がる少女の体を上条は右手で乱暴に払いのける。
インデックス「あああーーーーー!!!!」
上条「どぉーこまでからんでくんだこのヤロウ!!」
堪忍袋の緒が切れた上条は振り返り、絶句した。
少女は突然完全無欠の全裸になっていた。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:38:01.83 ID:AIFCuoU0P
― CAST OFF ―176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 23:38:03.13 ID:ck2YzwoJO
ようやくアンチスキルに逮捕されるのね183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:43:46.74
ID:OHxAY3GD0 上条「……おう?」
突然の事態に頭が空白になる上条。
上条「あぁ~…つまりあれか? 私を好きにしていいからご飯をくださいって、そういうこと?」
目の前で顔を真っ赤にしていく少女を前に独自の理論を構築していく上条。
上条「うん、ごめん。無理。俺ロリコンじゃないからお前の体じゃ欲情しない」
泣きそうになっている少女を前に勝手に結論付ける上条。
インデックス「う……」
少女は体を隠すのも忘れ、わなわなとその体を震わせる。
インデックス「うっきいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
少女は素っ裸のまま歯を剥き出しにし、上条へと飛び掛った。
上条「そい!!!!」
上条はあっさりそれをかわし、避け際に少女の延髄にチョップをおみまいする。
インデックス「むきゅう」
墜落した少女は素っ裸のまま地面にうつ伏せ、気絶した。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:54:57.94
ID:OHxAY3GD0 上条「ええ、何コレ? もう超めんどくせぇぇぇええええ」
上条は気絶したまま起き上がろうとしない全裸少女を見下ろし、頭をガシガシと掻いた。
くそ。関わってしまった。
関わらないように関わらないように生きてきたのに、まーた巻き込まれてしまった。
取り合えずこのまま放っておくわけにもいかない。
ただ単純にさっきのように行き倒れてる所を襲われるならどうぞご勝手にってなもんだが、今のこの少女のウェルカム状態は半ば以上上条が作り出したものである。
よく見れば少女の服は脱いだのではなく、どういうわけか突然バラバラになってしまったようだった。
ひょっとしたら、自分の『幻想殺し』が働くような、特殊な服を着ていたのかもしれない。
上条「クソ……だから俺に関わると碌なことにならないっていうんだ……」
さすがに自分の不幸に巻き込まれて少女が(本来では負う事も無かった)不幸に見舞われるのは夢見が悪かった。
かといって、自ら能動的に関わる気にはさらさらなれない。
上条「あ~、もう。どうすっかな……」
上条は頭を悩ませながら、ふと先ほど自分の携帯電話を鳴らした人物の顔を思い出した。
あのロリ教師の玄関先に放置しておくことにしよう。
上条はそう決めて、布と化した衣服を少女の体に適当に巻きつけ、担ぎ、担任教師の家を目指したのだった。
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /15(金) 23:59:50.49 ID:N4EFWrlEO
関わらない為の暴力で
関わってしまったら親切だな213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 00:41:53.09
ID:5Zt9k9IU0 翌朝。上条はいつも通りの日常を送っていた。
道を歩けばスキルアウトの抗争に巻き込まれ、旧市街を歩けば路肩が突如陥没し、アイスを買えば一口も食うことなく地面に落ちる。
慣れっこの日常。
スキルアウトA「オラァァァアアアアア!!!!」
スキルアウトB「ざっけんな殺すぞガキャアアアア!!!!」
憎しみと暴力が入り混じる阿鼻叫喚。
その中を、上条当麻は鼻歌交じりで歩いていく。
上条「げっ」
そんな上条が露骨に顔をしかめる。
ポケットにしまっていた携帯電話が鳴り出した。
着信画面には思ったとおり『小萌センセイ』の文字が躍っていた。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 00:50:03.76
ID:5Zt9k9IU0 小萌『上条ちゃーーん!! どういうことなんですかコレはーー!!』
上条「はぁ? 上条さんには何のことやらわからないんでせうが?」
小萌『真っ白シスターちゃんを部屋の前に置いていったの上条ちゃんでしょう!? シスターちゃんから聞きました! ボサボサツンツンのウニ頭なんて学園都市が広いと言えども上条ちゃんしかいません!!』
上条「いや先生、そりゃいくらなんでも偏見がすぎるぜ……」
インデックス『シスターちゃんじゃない! 私にはインデックスっていう名前があるんだよ!!』
電話の向こうで少女が騒いでいるのが聞こえる。
インデックスってお前、目次かよ。と上条は心の中でつっこんだ。
小萌『もぉー、こんな調子でシスターちゃん、魔術師がどうとか電波なコトしか言わないんですよー! 上条ちゃん、早く引き取りに来てくださーい!!』
インデックス『電波じゃないもん! 魔術師はいるんだもん!! そして私の頭にはじゅうまんさんぜんさつの魔導書がー』
オウフ。なるほど電波だ。
上条は小萌にインデックスを名乗る少女を丸投げした自分を褒めてやりたくなった。
こんなん絶対関わりたくねえ。
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 00:55:51.72
ID:5Zt9k9IU0 小萌『とにかく! 早くウチに来て事情を説明してください!』
上条「いや、それは無理」
小萌『シスターちゃんがほぼ半裸でいた事情も詳しく説明してもらいますよ!』
上条「そんなもん俺が聞きてえくらいだよ……」
インデックス『服はあのツンツン頭が荒ぶる右手であっという間に引き裂いたんだよ!!』
小萌『だそうですよー?』
上条「知らん知らん。もう切るからな」
小萌『あ、こら上条ちゃん!!』
上条は携帯電話を耳から離し、通話終了ボタンに指をかける。
―――瞬間。
小萌『キャアアアアアアアアアアア!!!!!!』
電話の向こうで、小萌の悲鳴が響いた。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 00:59:43.11
ID:5Zt9k9IU0 上条「は? おい! どうした! 何があった!!」
上条が怒鳴りつけても、電話の向こうからは何かが壊れる音と、『逃げて!』という叫びしか聞こえてこない。
上条「……おいおい」
やがて、その音もやんだ。
違う。向こうの携帯電話が壊れたのだ。
上条は舌を鳴らし、携帯電話を乱暴にポケットに突っ込む。
上条「くそ…!」
磨きぬかれた第六感が訴える警告が、今はとても煩わしかった。
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:10:21.79
ID:5Zt9k9IU0 小萌のアパートは全焼していた。
消防車が出動し、慌ただしく消火活動を始めている。
小萌は、自らの住み慣れたアパートが燃えているのを、ただ呆然と眺めていた。
上条は、そんな小萌の姿を愕然として見つめていた。
上条「マジ…かよ……」
小萌がこちらに気付いた。
びくりと上条の肩が揺れる。
小萌「上条ちゃん……」
その目から逃れるように、上条は背を向けて駆け出した。
しばらく駆けて、上条は気付く。
そういえば、あの場にあのインデックスを名乗った少女はいなかった。
頭の中にシナリオが組みあがるのは簡単だった
何者かがあそこを襲撃して、インデックスを連れ去ったのだ。
上条「舐めた真似しやがって……!!」
上条は奥歯を強くかみ締めた。
その顔には、明確な怒りが浮かんでいた。
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:15:42.95
ID:5Zt9k9IU0 男F「ひっ…!」
上条「よう。運が悪いなお前。ひょっとして俺並に不幸だったりしねえ?」
男F「うわ、うわわ」
上条「逃げんなぁぁぁぁあああああ!!!!」
男F「ひっ!」
上条「ちょっと聞きたいことがあんだよ。お前らクズは仲間だけは多いだろ?」
上条「銀髪に真っ白な修道服着たシスターを見かけなかったか、ちょっと仲間にきいてみてくれよ」
男F「わかりました! わかりましたから、見逃してくださいぃぃいい!!」
上条「心配すんな。俺は何もしねえよ。俺はな」
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:21:38.22
ID:5Zt9k9IU0 男F「……△×学区で、見かけたって奴がいました」
上条「オッケーさんきゅー。△×か。そう遠くはねーな」
男F「こ、これで見逃してくれるんでしょうか?」
上条「おう。俺は急いでここ離れなきゃいけないから、じゃあな」
上条は男の肩をぽんぽんと叩くと、すぐにその場を走り去った。
男は心底安堵し、その場にへなへなと腰を落とす。
直後だった。
隣のビルの壁が突如崩壊し、巨大な瓦礫が男の頭上に降り注いだ。
男F「う、うわああああああああああああああ!!!!!!」
ズズン…! と重い音が響き、上条は背後を振り返る。
上条「能力者同士がドンパチやってたんかね…? まあどうでもいいけど。精々俺に巻き込まれた不幸を呪いな」
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:28:06.22 ID:TqXL0EeN0
この不幸で何人殺した結果、こんな性格になったのかね231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:29:56.48
ID:5Zt9k9IU0 目的の学区にたどり着いた上条は、適当にそこらを走り回っていた。
上条「こんな探し方で見つかるとはとても思えねーんだけどなー」
とにかく運が悪く、くじ引きでも生まれてこの方当たりを引いた事がない上条である。
あてずっぽで道を選んで『当たり』にたどり着くとはとても思えなかった。
しかし、手がかりがない以上今はそうする以外に他はない。
上条「こんな時には勘もてんで働きゃしないしな。クソ、大体なんで俺はこんなに走り回ったりなんかしてるんだ」
そうだ、そもそもあのインデックスとかいう女と自分は何の関係も無い。
関係を持つ気もない。
やめてしまえ。
今までだって、ずっとそうしてきたじゃないか。
上条「……馬鹿らし。帰ろ」
そうやって――そうやって諦めたときに限って。
運の悪いことに。
上条はインデックスを見つけた。
背中を真一文字に切り裂かれ、地面に横たわっているインデックスを。
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:36:32.22
ID:5Zt9k9IU0 上条「すげえな…」
インデックスの姿を見つけたとき、最初に出てきた言葉はそれだった。
上条は自分が不幸だと知っている。自分は不幸だと信じきっている。
しかし目の前に転がるこの少女は。
年端もいかぬ少女の身で腹をすかせて行き倒れ。
出会った男に衣服をひん剥かれ。
頼った先は全焼し。
そして今背中を切り裂かれ倒れている。
一体どれ程の悪意ある世界に住んでいればこんな不幸に見舞われるのか。
そして、よりにもよってこの俺にまたこうやって関わられてしまっている。
上条「不幸なのは俺だけじゃないんだなぁ」
だからといって、全く何にも塵ほども救われた気にはならないが。
そして上条が「生きているのかな?」とインデックスに歩み寄ろうとしたその時。
「それ以上彼女に近づくな」
背後から男の声が飛んだ。
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:43:43.63
ID:5Zt9k9IU0 声に、上条は振り返る。
赤い髪の、大きな男だった。
真っ黒いコートを身に纏い、口元にはタバコを咥えている。
目の下のバーコードのようなタトゥーが印象的だった。
上条「何モンだ? お前?」
ステイル「うん? 彼女から聞いていないのかな? 魔術師だよ、魔術師」
上条「へえ、驚きだ。電波な妄言だと決め付けてたけど、本当だったのかよ」
上条は大仰に驚いてみせて、それから揶揄するように言った。
上条「しっかし、魔術師ってな俺も真っ青になるくらいの外道集団なんだな。こんなオンナノコを後ろからバッサリ、とはな」
ステイル「いやいやいや。それは僕らとしても予想外のことだったんだよ」
赤髪の魔術師は首を振って上条の言葉を否定する。
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 01:52:03.96
ID:5Zt9k9IU0 上条「予想外? いやいや、こんだけバッチリ後ろから斬りかかっといて、何が予想外なのよ」
ステイル「彼女の着ている修道服。それは『歩く教会』と呼ばれる法王級の防御結界でね。それがある限り、どんなダメージも彼女には通らないはずだったんだよ」
ステイル「ところが、どういうわけかその結界が今日になって消失していた。昨日彼女を追いかけていたときには確かにまだあったんだけどね」
ステイル「こればかりはさすがに予想つけっこないよ。『歩く教会』の破壊方法なんていくら考えても浮かばないからね」
真剣に首を捻っている様子の魔術師。
対する上条は、黙っていた。
魔術師を名乗る怪しい男に対して、軽口を叩くことも忘れていた。
触れただけで破れ落ちた少女の服。
砕けた絶対防御。
右手に宿る『幻想殺し』。
簡単に連想できた。
上条はちらりとインデックスを見て、それから口を笑みの形に歪めた。
上条「何が不幸なのは俺だけじゃない、だ……」
――コイツの不幸も、結局は俺のせいじゃねえか。
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 02:02:10.92
ID:5Zt9k9IU0 家を焼かれて呆然としていた小萌の姿が脳裏に蘇る。
小萌だって、巻き込まれただけだ。
上条が不用意にインデックスを預けたりしなければ、小萌は家を失うことは無かった。
行動するだけで不幸を撒き散らす。
まさしく、『疫病神』。
上条「あっはっは……」
なんだかおかしくなってきて、上条はつい笑ってしまう。
何を今さら。
そんなこと、もうずっと前から知っていたことだろう。
思い知ってきたことだろう。
上条「ふぅ~~」
胸に溜まったモヤモヤを吐き出すように、上条は深く息をつく。
そこに赤髪の魔術師が声をかけてきた。
ステイル「どうやらキミは本当に何も聞いていないみたいだね。いいよ、このまま黙って消えたら見逃してあげようじゃないか」
ぴくり、と上条の肩が震えた。
上条「見逃してやる…?」
胸に溜まったモヤモヤが、平たく言えば苛立ちが、ストレスが、その噴出する先を見つけて歓喜に震えている。
上条「おいおい、てめえはどういうアレでそんなに上から目線で物言ってんだ? あぁ?」
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 02:11:11.28
ID:5Zt9k9IU0 上条は右手で拳を作り、それを見せ付けるようにしながらステイルへと歩を進めていく。
ステイル「……やれやれ。キミこそどういうアレで命を粗末にしようとするのかな」
ステイルは呆れたように言って、続けた。
ステイル「僕の名前はステイル=マグヌス、と自己紹介したいところだけど、ここは『Fortis931』と名乗らせてもらおうか」
上条「どっちだっていいよそんなもん」
ステイル「そういうなよ。これも魔術師の慣習ってやつなのさ。魔術を使うときには魔法名を名乗らなければならないんだよ」
上条「しち面倒くせえ習慣だな」
ステイル「全く同感だ。では死にたまえ」
ステイルの手から炎が迸る。
迫り来る炎に、上条はただ不敵に笑っただけだった。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 02:17:18.12
ID:5Zt9k9IU0 上条「おお、すげえすげえ。レベル3の発火能力なんて目じゃねえ威力だ。魔術師ってのも大したモンだな」
上条「だが、それがどうした?」
上条が右手を振るう。
ただ真っ直ぐに上条に向かってきていた炎はあっけなく消失する。
ステイル「なん…だと……?」
上条「法王級とやらの『歩く教会』が消せて、お前の花火が消せないなんて道理はないよなぁ?」
ステイル「馬鹿な…? なんなんだその右手は…!」
上条「紹介するぜ。『幻想殺し(イマジンブレイカー)』だ。以後よろしく」
上条がステイルの懐に潜りこむ。
上条「そんで、あばよ」
ステイル「く! 炎よ、巨人に苦痛の――!」
上条「おせえよ!!!!」
上条の拳がステイルの顔面を跳ね上げた。
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 02:24:05.60
ID:5Zt9k9IU0 ステイル「がっ…!」
上条「二撃目なんぞ許すと思ってんのか!? 得体の知れない相手に舐めてかかった時点でお前はもう負けてんだよ!!」
ステイルは必死に魔術を紡ごうとするが、上条はそれを許さない。
腹を殴り、腕を払い、顎に頭を叩きつけ、ステイルを瞬時にボロボロにしていく。
上条「よ、せーのぉ!!」
最後に、たたらを踏んだステイルに思い切り振りかぶった右拳を叩きこんで、この戦いは集結した。
仰向けに吹っ飛んだステイルはもう意識を失っていた。
ポタリ、と最初の一撃で宙を舞っていたタバコがようやく地面に落ちた。
上条「最後の一発は余計だったかな? ま、嫌なこと思い出させてくれたお礼だと思って受け取ってくれよ」
意識を失ったステイルにそう言い捨てて、上条はインデックスに歩み寄った。
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10 /16(土) 02:27:54.79
ID:5Zt9k9IU0 上条「おい」
インデックス「う…ん?」
上条「選ばせてやる。死神と疫病神。世話になるならどっちがいい?」
インデックス「わたし…まだ…死にたく…ない……」
上条「オッケイ。乗りかかった船だ。ここまでは面倒見てやるよ」
上条はインデックスを担ぎ上げる。
向かう先は、ある知り合いがいる病院だった。
次→
上条(悪)「その希望(幻想)をぶっ殺す」【後編】
くじけないで [単行本]テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー3 特典 豪華2大予約特典付き劇場版制作決定記念アンコールプレス ストライクウィッチーズ Blu-ray Box 限定版(数量限定生産)
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