論文作成デザイン―テーマの発見から研究の構築へ 前→
インデックス「お腹がすいたんだよ」一方通行「そォか」まとめ→
一方禁書 悪条の人のSS一覧 (◆QKyDtVSKJoDf さん)
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:08:28.62
ID:9AxN34Cz0 一方通行「ンで、もう一回聞くけど、誰オマエ?」
木原「おいおい、誰がお前の能力を開発してあげたと思ってんの? さすがにちょっと薄情すぎるだろアクセラちゃん」
木原が瓦礫を乗り越えて部屋に侵入する。
木原はどこまでも無防備に一方通行に迫る。
木原「この木原数多のおかげでオマエはガキ共の頂点で粋がってられんのよ? そこんとこちゃんとわかってるかぁ?」
一方通行「あ、そォ。そういうことだったンデスカ。そりゃ失礼いたしましたねェ」
一方通行も進む。二人の距離が急速に近づく。
一方通行「お礼に、一瞬で消してやるよォ!!!!」
一方通行が右手を伸ばす。それで木原の体を掴んで、ハイ終わり。
そのはずだった。
木原数多の拳が一方通行の顔に突き刺さる。
一方通行「が…ァ…?」
木原「ほらほらほらぁ!!!!」
一体どういうわけなのか、木原の拳は一方通行の反射を軽々と突破する。
一方通行「ご…!!」
一方通行の膝が折れた。
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:12:57.12
ID:9AxN34Cz0 木原「おまけぇ!!!!」
地に膝をついた一方通行の顔面に木原は膝を叩き込む。
ミシリ、と鼻が嫌な音を立てた。
学園都市第一位の超能力者が無様に地面を転がる。
一方通行「な…ンだとォ……」
ぼたぼたと零れる血を拭い、一方通行は何とか体を起こす。
木原「『反射』をあまり過信すんなよ一方通行。そんなうっすい防御、やろうと思えばこんな風に簡単に突破できるんだぜえ?」
一方通行「グ…!」
一方通行は震える膝で体を支えつつ、考える。
何かタネがあるはずだ。
それは、何だ?
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 13:11:06.64 ID:QgGaRffC0
木ぃィィィィィィィィィ原くゥゥゥゥゥゥううううううううううううううううぅゥゥンンンンンンン165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:13:39.24 ID:d/3FpcrA0
なン……だと……?166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:17:31.08 ID:pTvua/ZGO
ああ…あんまり調子乗っちゃだめよ168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:18:22.89
ID:9AxN34Cz0 木原「そらよお!!」
木原の拳が飛ぶ。速い。その拳を掴もうとしても追いきれない。
当然だ。
能力のない一方通行の身体能力は、そこらの一般高校生と大差はない。
だが、触れた。一瞬だけ。ほんの一瞬だけ。
それで、十分。
木原「おぉ?」
木原の右手を覆っていたグローブがぼろぼろに破れて落ちた。
木原「やっべえ。触られてたか。ちょっと調子乗りすぎたなぁ」
一方通行(これで…どうだ…?)
木原「あれ? 何その顔。一糸報いたって顔しちゃってまぁ」
木原の右拳が再び一方通行に叩きつけられる。
木原「ざぁんねん。無駄でした~」
一方通行「が…!!」
一歩通行(ク…ソ…! タネはグローブじゃねェのか!?)
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:26:31.07
ID:9AxN34Cz0 木原「教えてやろうか? 別に分かったからってどうなるもんでもねえし」
再び地面に転がった一方通行を見下して、木原数多は嘲笑う。
木原「簡単な話だ。オマエの『反射』が始まる瞬間に拳を戻してんのよ。本当にただそんだけ」
一方通行「はァ…?」
木原「オマエは戻っていこうとするベクトルを『反射』して自分に叩きつけてるんだよ。このどMちゃんがぁ!!」
一方通行「な…に…?」
一歩通行は絶句した。
ふざけるな。なんだそれは。あまりにも常識を外れている。
木原「もちろんこれはオマエを知り尽くしてる俺だからこそ出来る芸当だ。他の誰にも真似はできやしねえ」
木原「…だから今日もこうやって呼び出されてんだけどな。ったく、折角今日は非番で、死ぬほど女抱こうと思ってたのによぉ」
倒れる一方通行の腹に木原の蹴りが突き刺さる。
木原「せめてオマエが俺を楽しませてくれよぉ? まだまだこんなもんじゃ足りねぇぞコラ」
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:28:09.59 ID:d/3FpcrA0
>一歩通行は絶句した。
>ふざけるな。なんだそれは。あまりにも常識を外れている。
お前が言うなwwwwwwwwwwwwwww174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:29:56.75 ID:6+pBnk5f0
>>173
原作でも言ってるから。157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 13:48:53.04 ID:VIqUqDTqO
一方さんへの愛があるからこその戦い方だよな176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:32:34.18
ID:9AxN34Cz0 一方通行「ごは…!!」
木原「おいおいマジでもう終わりかよ一方通行。ちょっとひ弱すぎんぞテメエ」
一方通行「ぐ…!」
一方通行が右手を伸ばす。木原は油断なくその右手を踏み潰した。
一方通行「ぎ…!!」
木原「はぁ…もういいや。オマエはそこで寝てろ」
木原数多はもう飽きたと言わんばかりに倒れる一方通行から離れていく。
一方通行(ヤロォ…どこへ…?)
木原の歩む先、そこに転がるものを見て、一方通行は目を見開く。
一方通行「て…めェ…!!」
木原の足元には、倒れ付すミサカの姿があった。
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:44:34.50
ID:9AxN34Cz0 木原はきょろきょろと辺りを見回した。
木原「あら? ちっせえガキと天井ちゃんが消えてんなぁ。ったく、メンドクセエな」
一方通行「何…!?」
木原の言葉に一方通行も必死で顔を動かす。
いない。倒れていた打ち止めと天井亜雄の姿が消えている。
一方通行(このクソッタレ共がァァァァ!!!!)
どうしようもない怒りが込み上げてくる。
何故。何故この体は立ち上がれない。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:45:19.92
ID:9AxN34Cz0 一方通行「ガ…アァァァァ!!!!!」
木原「おーおー頑張ってんな一方通行。負けずに俺も頑張るわ」
木原はまるでゴミ袋を持つような気軽さで、ミサカの髪の毛を掴んでいる。
木原「いや、マジでこんなガキには興味ねえんだけどよ。てめーのその顔オカズに何とか自分を奮い立たせることにするぜ」
一方通行「木ィ原ァァァァああああァァァァあ!!!!」
木原「体動かねえだろ? 芋虫みてえに這いずって追って来な。サッサとしねえとこのガキの穴という穴に棒突っ込んじゃうぜ? あぁ、それと一応言っとくけどよ」
木原は笑いながら言った。
木原「お前に比べりゃまだ俺は良心的だぜ? なんせ一万人だろ? アクセラちゃんよぉ」
木原数多のその言葉は、どんな拳よりも重く一方通行を打ちのめした。
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:51:23.24
ID:9AxN34Cz0 笑いながら木原は消えた。
ずるずるとミサカの体を引き摺りながら消えていった。
一方通行(…クソッ…タレが……)
意識が闇に沈んでいく。
何が最強だ。何が学園都市第一位の超能力者(LEVEL5)だ。
自分のやりたいことさえ満足に出来ず、こうして地面を舐めている。
なんと、無様。
最初から、滑稽ではあったのだ。
木原数多の言うとおりなのだ。
一万人の『妹達』を虐殺した自分に、今の木原を責める資格などありはしない。
結局、なるようになっただけ。
少女達は最初の予定通りに救われることはなかったということ。
ただ、それだけの話。
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 14:57:15.27
ID:9AxN34Cz0 それでいい。
『俺は』それでいい。
無様に地面を舐めて、このまま死んでしまったってかまわない。
俺のよォなクソッタレの悪党には、こんな無様こそ相応しい。
一方通行「だけど…アイツ等は違ェだろうが」
そうだ、違う。
猫に懐いてもらえなくて頬を膨らませていたミサカも。
人間だと宣言し、小さな胸を張った打ち止めも。
決して、一方通行のような悪党ではありはしない。
なら、その結末は。
ハッピーエンドでなければならない。
バッドエンドは悪党だけの特権だ。
一方通行は立ち上がる。
その赤い瞳に、確かな光を湛えて。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:03:29.66
ID:9AxN34Cz0 木原「ったく、メンドクセエ。本当メンドクセエ真似しやがってあの野郎」
木原は苛立たしげに舌打ちしながら廊下を進む。
木原数多は打ち止めと共に消えた天井亜雄を探していた。
木原「天井ちゃんはあのガキの重要性をまるで認識しちゃいねえからな。頼むからヒステリックに壊したりしてんなよぉ。統括理事長さんに怒られんのはごめんだぜ」
とはいえ、追跡はすぐに終わりそうだった。
カプセルに満ちていた液体か、それとも他の何かかは分からないが、とにかく廊下には水の後が点々と残っている。
そしてその雫はある部屋の中に続いていた。
木原「メインコンピュータールーム…おいおい、めんどくせえことになってる予感しかしねえぞ」
木原数多は舌を鳴らしながら部屋に飛び込んだ。
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:08:42.72
ID:9AxN34Cz0 ミサカを廊下に放置し、勢い良くドアを開ける。
天井「ひぃぃ!!」
天井亜雄は飛び込んできた人物が誰か確認する前に発砲してきた。
予測済みの展開に木原はあっさりと天井の懐にもぐり込む。
そして、強烈な一撃を腹に叩き込んだ。
天井「げ…ぇ…!!」
木原「ちょっと大人しくしてな。天井ちゃん」
木原は所狭しとスパコンが並べられた部屋を見回す。
いた。打ち止めはテーブルの上に仰向けに寝かされている。
その打ち止めの頭に貼り付けられたいくつかの装置を見て、木原は顔をしかめた。
木原「くそったれが。やっぱめんどくせえことしてやがった」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:14:47.27
ID:9AxN34Cz0 木原「簡潔に説明してくれよ天井ちゃん。コレ何? 何してんのあんた」
天井「ふ…ふふ…! どうせ、どうせ私はもうおしまいだ。なら、ならいっそ…!」
木原の拳が天井の顔に飛んだ。
天井「ぎゃっ!!」
木原「おーい、簡潔にって言ってんだろ。恐怖で頭やるのは勝手だけどよぉ、頼むからこれ以上俺の仕事増やしてくれんな」
天井「…ウイルスを仕込んだ。何かに使えるかもと思って前々から準備はしてたんだ」
木原「ういるすぅ?」
天井「このプログラムにしたがって『最終信号(ラストオーダー)』から発信された信号を受け取ったシスターズはただひとつの命令を実行する兵士になる」
天井「命令(コマンド)の内容は近くの人間を手当たりしだい攻撃せよ、だ!!」
天井「さっきの簡易命令とは違い、このプログラムには絶対に逆らえない!! ざまあみろ! ははは!!」
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:21:19.46
ID:9AxN34Cz0 木原「それ何の意味があんのよ?」
天井「当然、シスターズの存在が明るみにでる! 必然、『絶対能力進化計画』もな!! 計画を黙認してた理事会はさぞ慌てふためくだろう!!」
木原「だぁから、それに何の意味があるんだっての」
天井「知るか! 私の研究所は壊れた!! だったら学園都市も壊れるべきだ!! 私だけ死ぬなんて許しはしないさ!!」
木原「あぁ、こりゃ駄目だ。完っ全に壊れてやがる」
パァン! と乾いた音が響いた。
天井亜雄の頭が弾け、脳漿が弾け飛ぶ。
天井「が…!」
どさり、と天井の体が崩れ落ちた。
銃をしまいつつ、木原はため息をつく。
木原「ったくめんどくせえ。これなんて報告したらいいんだよ。あぁもうやってらんねえ」
ガタリ、と音がした。
振り返る。
一方通行が、入り口に立っていた。
木原「ああ…ったく本当にめんどくせえなおい!!!!」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:32:34.13
ID:9AxN34Cz0 一方通行「よォ…間に合ったようで何よりだぜ。木原クンどう見ても早漏だからさァ、大分焦っちゃいましたよ僕チャンよォ」
木原「ボロッボロで減らず口利いてんじゃねえよボケ」
一方通行「…ンで、そこで寝転んでるガキはどォいう状況何だよ」
木原「天井ちゃんお手製のウイルスだとよ。あのガキから信号が出てそれを受けた一万人の『妹達』が大暴れって寸法らしいわ」
一方通行「へェ…そりゃァ愉快なカーニバルだなァオイ」
木原「そうなりゃ当然『妹達』は処分決定だ。残念だったな一方通行。どおやらバッドエンドは確定しちまったようだぜ」
一方通行「笑わせンな小悪党。幕引きにゃまだ早ェよ」
木原「おいおい、テレビのヒーローじゃあるまいし、一発逆転の手なんてありゃしねえよ。強いて言えば、ウイルスが発動する前にあのガキ殺せば一万人は救えるかもしんねえが」
木原「誰もが笑って終われる、最高のハッピーエンドってやつはもう終わってんだよ」
一方通行「いやァ…案外そうでもねェさ」
木原「あぁ?」
一方通行「俺が今ここでテメエを瞬殺すりゃ、もうチッと別の未来が見えてくンぜ?」
木原「じゃあやっぱ無理ってことじゃねえかクソボケ」
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:38:17.80
ID:9AxN34Cz0 木原数多が地を蹴った。
一瞬で一方通行の懐に入り込む。
木原「どらぁぁあああ!!!!」
拳を叩き込む。腹に顔に、無様にこちらに伸ばしてきた右手に。
違和感。
木原は困惑する。
倒れない。
一方通行が倒れない。
生身の体ではそこらの学生にも劣るはずの一方通行が。
さっきまでは一撃で無様に転がっていた一方通行が。
倒れない。
まるで、その両足から地面に根が生えているように。
木原「てめえ、まさか…!」
ベクトル操作。
自分の足を地面に縫い付けて。
絶対に、倒れないように。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:43:26.83
ID:9AxN34Cz0 一方通行がその『左手』を伸ばす。
木原数多は反射的にその手を迎撃する。
『反射』の膜に手が触れるその瞬間、手首を引き戻す。
何も起こらない。
『左手』は止まらない。
木原「な!?」
一方通行「何してンの? 木原クン」
一方通行は嘲笑う。
一方通行の左手が木原数多を捕まえる。
木原「てめえ…この手…義手か!!」
一方通行「オゥイエー正解ィ!! だけどチーッと遅かったなァ木原クンよォ!!!!」
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:44:43.46 ID:tSP7MfFV0
かっこいいな畜生210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:38:50.37 ID:lJITt7VF0
いいねいいねこれが理想の木原くンだよね原作通りの木原くンだよね217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 15:51:25.40
ID:9AxN34Cz0 一方通行の左手は義手だ。
つまりはただの物体だ。
常に一方通行の肩に、その皮膚に連結している物体に過ぎない。
一方通行に義手を与えた医者は笑ってこう言った。
『その義手は日常生活においてまったく支障なく動いてくれると思うけど?』
『まあ、君の能力ならそれこそ『自由自在に』動かせてしまえるんだろうけどね?』
一方通行「おォォォあァァァあああああ!!!!!!!」
その左手に関節の概念は無く。
その左手に腕力の縛りは無かった。
木原数多の体が宙を舞う。
壁に、床に、その体が勢い良く叩きつけられる。
一方通行「ぎゃっははははははははは!!!!!」
その様はまるで濡れタオルを振り回して遊ぶ子供のようで。
木原数多という名のタオルはビシャン、ビシャンと壁に叩きつけられるたびに赤い水音を発した。
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:00:34.61
ID:9AxN34Cz0 一方通行「瞬殺完了だぜ木原くン」
ぼろぼろの肉の塊と化した木原数多を投げ捨て、一方通行はテーブルの上に眠る打ち止めに歩み寄る。
顔が赤い。息が荒い。ウイルスの発動までもう間がないのだろう。
一方通行「こういう事かよ。食えねェ女だぜ」
一方通行がその手に握るは『打ち止め』という少女の人格プログラム。
つまり、このデータを、ウイルスに犯された少女に上書きすれば。
少女は、最初の自分を取り戻す。
きっとカプセルを出てからの出来事は忘れてしまうだろうが、まあほんの30分程の思い出だ。
そんなに、大した重みなど無い。
一方通行は手近にあったパソコンの電源をつけた。
だが、うんともすんともいわない。
一方通行「ヤッベェ。調子ン乗って木原くンぶつけすぎた」
部屋にあったスパコンは、どれもこれもがひしゃげてしまっていて、生きているものは皆無だった。
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:02:40.76 ID:6+pBnk5f0
一方さんがおちゃめすぎて生きるのがつらい223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:04:46.45 ID:lJITt7VF0
ぶつけwwwすぎwwwたwww224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:06:49.51
ID:9AxN34Cz0 一方通行「まァいいさ。何とかなンだろ。…何とかしてみせるさ」
誤魔化すように一方通行は口にして、少女の額に手を乗せる。
自分の能力はベクトル操作。あらゆる力の向きを制御するこの能力なら、専用の装置が無くても打ち止めの頭をいじることができるはずだ。
後はスパコンの代わりを自分の脳みそでやればいい。打ち止めの人格プログラムは既に頭に入っている。
一方通行「とはいえ、大仕事だなこいつァ」
きっと、『反射』も切って、全ての演算能力を駆使しなければこれは成し得ない。
一方通行「つっても、やるっきゃねェンだがよ」
目を瞑る。プログラムを脳内でくみ上げる。
一方通行「コマンド実行……削除!!」
本日最後の大仕事が始まった。
それは本日最後になるはずだった。
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:15:05.05
ID:9AxN34Cz0 視界の端でもぞり、と肉の塊が動く。
一方通行「な…ンだ…とォ……?」
動いている。
木原数多が、動いている。
木原「だめだめだぜアクセラレータァ…詰めが甘えよ。人殺すときはちゃあんと頭潰さないと安心しちゃ駄目よ」
生きているのが不思議なほど体はグチャグチャなのに、それでも鉄の意志と漆黒の執念でもって。
木原数多は拳を握る。
木原「スパコンの代わりやってんの? すごいねえ、見直した。惚れちゃいそうだぜアクセラレータぁ」
一方通行「ヤロォ…!」
木原「でもそれ多分いくらオマエでも全部の演算能力注がねえと無理だろお? ってぇことはだ」
木原が拳を振り上げる。
その拳は一方通行の顔面に『直接』叩き込まれた。
一方通行「おグ…!」
木原「ぎゃっは! あったりぃ!! 完全無防備じゃんかよオマエ!!」
木原は狂ったように笑いながら一方通行の体に拳を打ち込み続ける。
一方通行の口から零れた血が、打ち止めの頬を濡らした。
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:22:54.39
ID:9AxN34Cz0 木原「やべえ! 気持ちよすぎんぞ!! オマエこんな感触してたんかよ!!」
木原の拳が一方通行の頬を貫く。
木原「今までは俺からすりゃ実質寸止めで終わらしてたからよぉ、この感触が無かったんだわ!!」
木原のカカトが一方通行の背中に叩き込まれる。
一方通行「げは…!」
木原「いい! いいよお前!! 最高のサンドバックだ! 頭ワリィなあ学園都市も!! あんな『妹達』なんて作ってる場合じゃねえっての!!」
木原「やっぱ作るならお前だって!! あいつら確か単価18万円だろ!? 買う買う、超お買い得だぜそりゃあ!!」
笑いながら拳を振るう木原数多に、一方通行はまったく対応できない。
途中で『上書き』をやめてしまっては、きっと打ち止めの人格は致命的な破綻をきたす。
のろのろと一方通行の『左手』が木原の拳を止めようと動く。
だが、能力なき今それは『日常生活に支障が無い』動きしかしてくれず。
『左手』は木原の拳を追うのを諦め、ただ地面をぐっと握り占めた。
決して打ち止めの頭から、一方通行の右手が離れてしまわぬように。
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:28:25.23
ID:9AxN34Cz0 木原「ふぅ~…良かったぜ一方通行」
一方通行「……」
もはや口を動かすのも億劫だ。
だから精一杯の力を込めて、木原を見下してやる。
木原「まだそんな目が出来るのか? 駄目だぜ一方通行。ここは無様に命乞いをするシーンだ」
木原が一方通行の右手を掴んだ。
どんなに殴られようとも決して動かそうとしなかった右手を。
一方通行「バッ…!!」
木原「おぅいえー、いい顔だぜ一方通行。その顔が見たかった」
一方通行「やめろ…!!」
木原「最後は純粋な力比べだ。大事なこの子を男の腕力で守ってみせろ!!」
一方通行「やめろクソッタレがァァァあ!!!!!!」
木原「だぁれがやめるかクソガキがァァァァあ!!!!!!」
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:34:20.09
ID:9AxN34Cz0 その時。
白い弾丸が部屋に飛び込んできた。
真っ白な弾丸は、純白の衣装より真っ白な歯を剥き出しにして。
インデックス「あくせられーたになにしてるの!!!!」
木原の頭に噛み付いた。
木原「いってえええええええ!!!!!」
インデックス「ふがー!! んぐぐぐぐぐーーー!!!」ギリギリ…!
その様子を、一方通行はまるで馬鹿げた夢を見ているような目で見つめていた。
何て出来の悪ィ物語。
何て無様なヒーロー様だ。
一方通行「真面目にやってンのが馬鹿らしくなるぜ。…ったく」
呆れたように一方通行は笑った。
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:35:08.86 ID:fda2hRyI0
何…だと?
つーかどうやってそこまで来た245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:36:12.16 ID:C9LjYL1WP
10032号がインデックスといたろ244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:35:43.57 ID:6+pBnk5f0
インデックスちゃんかっこよすぎwwwww248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:39:19.93
ID:9AxN34Cz0 木原「こぉのクソガキが! どっから入りやがった!!」
インデックス「普通に正面玄関から入ったもん!!」
木原「んなこたあ聞いてねえ!! 今最高に楽しいトコなんだよ邪魔すんなや!!」
木原の拳がインデックスの顔に突き刺さる。
なのに。木原の手には何の手ごたえも無い。
まるでのれんを殴りつけたようなこの感覚は一体何だ。
インデックス「あぐ」ガブリ
木原「あっがあああ!!!!」
インデックスに噛まれた右手を慌てて引き戻す。
何だ。このガキは、何だ!?
インデックス「あくせられーたをいじめたら、この私がゆるさないんだよ!!」
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:47:13.66
ID:9AxN34Cz0 木原「ゆるさねえから、どーだっての?」
インデックス「むぅ~! こうするもん!!」
インデックスは再び木原に飛び掛る。
木原はインデックスの突進を受け流すと、そのまま優しくインデックスを抱きかかえて思い切り投げ飛ばした。
壁沿いに置かれていた金属性のキャビネットにインデックスの体が突っ込む。
キャビネットに収められていた書類の束が宙を舞った。
それでも、インデックスの体には傷一つない。
立ち上がろうとするインデックスの右手を、木原が踏み抜いた。
インデックス「…ふ、ふん! そういうのも全部私にはきかないもん!!」
木原「だろうな。知ってるよ」
インデックス「あ、あれ…?」
右腕が動かせない。木原の蹴りによって変形したキャビネットが、インデックスの腕をくわえ込んでいる。
インデックス「う~! う~!!」ジタバタ!
木原「そこでじっと見てな。愛しの彼がスクラップになるところをよぉ」
一方通行「誰が…誰をスクラップにするってェ?」
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 16:53:52.90
ID:9AxN34Cz0 木原は振り向く。一方通行の姿をその目に収める。
一方通行は立ち上がっていた。
その足元には、打ち止めが穏やかな表情で眠りについている。
いつの間に連れてきたのか、廊下にいたはずのミサカも一方通行の足元で眠っていた。
プログラムインストールは終了した。
もはや一方通行を縛る鎖は何もない。
一方通行の顔に、獰猛な笑みが浮かぶ。
一方通行「モチロン、『俺』が『オマエ』をだよなァ!? 木ぃィィィィィィィィィ原くゥゥゥゥゥゥううううううううううううううううぅゥゥンンンンンンン!!!!!」
木原「『俺』が『オマエ』をだよぉ!! アァァァァァクセラレェェェェェェエエエエタァァァァァアアアアアアアア!!!!!!!」
吼える手負いの獣、二匹。
決着の時、迫る。
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:00:04.79
ID:9AxN34Cz0 木原「おおおおおおあああああああ!!!!!」
一方通行「らァァァァあああああ!!!!」
木原の拳が一方通行に刺さる。
一方通行は倒れない。
一方通行「駄目だ駄目だ!! テメエの拳は軽すぎンぜェ!! それじゃもォ倒れてやれねェよ!!!!」
一方通行の『左手』が木原の体を吹き飛ばす。
木原「が…は…!」
一方通行「終わりだ、木原」
一方通行が床を踏みつける。
走り抜けた衝撃は、この建物にとって致命的な『何か』を決壊させた。
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:09:27.60
ID:9AxN34Cz0 揺れる。まるでこの建物だけが震度7の地震に巻き込まれているようだ。
木原「てめえ…まさか……」
一方通行「いいコトを教えてやるぜ木原くン。俺の体からほんの30cm、どうやったって体が触れちまうこの空間が瓦礫の落ちてこねェ『愛のエリア』だ」
一方通行「勇気を持って飛び込んでごらン? 精一杯の愛で抱きしめてやるぜ」
木原「ハ」
木原は笑った。笑って、血だらけのタバコに火をつけた。
木原「やめてくれよおぞましい。てめえに抱かれるくらいならまだコンクリ布団にして寝たほうがあったけえってもんだ」
一方通行「違えねェ」
天井にひびが入る。重さ二百キロに及ぶコンクリの塊が今か今かと落ちる機会を待っている。
木原「妙な言い回しになっちまうが、もしこの世に地獄ってもんがあんならよぉ」
木原は煙を吐き出して笑った。
木原「先に行って待ってるぜ。アクセラレータ」
一方通行も笑う。さすがおンなじ悪党だ。よくわかっていらっしゃるぜ。
一方通行「おォ。近いうちに、またな」
俺達悪党の行き着く先なんて、結局はそこしかないのだから。
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:17:33.05
ID:9AxN34Cz0 木原数多は瓦礫の中に消えた。
研究所は粉々に倒壊し、月が光る空が見えている。
一方通行と打ち止め、そしてミサカのいたそこだけぽっかりと穴が空いたように瓦礫がない。
ミサカ「う…うん…」
打ち止め「うむぅ~…」
二人がもぞもぞと目を覚ました。
一方通行「おせェお目覚めだな、お姫様」
ミサカ「これは…」
打ち止め「うわあ~、凄いことになってる。ってミサカはミサカは感嘆の声を上げてみたり」
ミサカ「…終わったのですか? とミサカはぼろぼろのあなたの姿に顔をしかめつつ確認を取ります」
一方通行「あァ、終わった。終わったンだよ、全部」
疲れを吐き出すように肺の底からため息をつく一方通行。
月が三人を祝福するように輝いていた。
インデックス「……終わってなんかいないんだよ」
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 17:27:44.82
ID:9AxN34Cz0 ボコーン!!!! と瓦礫の中からインデックスが顔を出した。
インデックス「むっきーーーーーーーーー!!!!」
一方通行「お、おォ?」
インデックス「私がいるのにかまわず建物壊しちゃうなんてどういうことなの!! 何か調節されてるのかと思ったらガンガン瓦礫振ってくるし!!!!」
一方通行「バッカお前、お前ンとこまで瓦礫こねェようにしてたら木原がそっち行っただろ」
インデックス「だからって!! だからって!! ムキーーーーー!!!!」
一方通行「あァもうウザってェな。キャンキャンわめくンじゃねえよ」
一方通行は笑っていた。
なんて居心地の悪いハッピーエンド。
この俺が、こンな優しい月明かりの中に居るなンて、悪い冗談にしか思えねェ。
こンな幻想、俺には全く持って相応しくねェ。一体何の悪意だこりゃあ。
自嘲じみた彼の予感は、決して外れてはいなかった。
今ここに、かつて記憶を失う前、彼自身が放った言葉を引用しよう。
『悪党に、ハッピーエンドはありえねェ』。
302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:23:42.07
ID:9AxN34Cz0 気付けば、彼女はそこに立っていた。
その姿は、一方通行の傍らに立つ『ミサカ』と瓜二つで。
だけど、決定的に違うところがひとつある。
基本的に無表情なミサカ達とは異なり、少女の顔にははっきりとあるひとつの感情が溢れている。
御坂「その子達から離れなさい。一方通行」
『妹達(シスターズ)』のオリジナル、『御坂美琴』は怒りで震えている。
ミサカ「お姉さま…?」
一方通行「…成程な。そォいうシナリオかよ」
ミサカの発言から、御坂美琴の正体に当たりをつけた一方通行は不敵に笑う。
一方通行「そォだよなァ。これこそ俺の役割だよ。やっぱ違和感アリアリだもンなァ、陽だまりで笑う俺なンてよォ」
ボロボロの体を引き摺り、一方通行は歩みだす。
そして御坂美琴に向けて右手を突き出すと、その人差し指をクイクイと曲げた。
一方通行「さァ来いよ『正義のヒーロー』。倒すべき悪はここにいるぜェ?」
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:33:00.67
ID:9AxN34Cz0 インデックス「あくせられーた!?」
打ち止め「どおしてそんなこと!?」
ミサカ「あなたは…!」
一方通行「いいかテメエラ。絶対に俺の邪魔はすンな。これから俺の視界に入ったらソッコーで捻り潰すぞ」
インデックス「そんな…!」
御坂「ああああ!!!!」
美琴の指先から電撃が迸る。
シスターズが放つソレとはレベルの違う、本当の『超能力』が一方通行に牙を剥く。
だがそんな一撃は、無論、一方通行には届かない。
一方通行「花火出して遊ンでンじゃねェよ!! もっと気ィ入れてこいや!! じゃねェと瞬殺すンぞクソッタレ!!」
御坂「くっそぉぉぉおおお!!!!」
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:40:15.89
ID:9AxN34Cz0 ???「待ってください! とミサカはあらん限りの声を振り絞って叫びます!!」
一方通行「あァ?」
御坂「アンタ…あいつんとこにいたんじゃなかったの!?」
御坂妹(ミサカ10032号)「いえ、ミサカは無謀なお姉さまを止めるために、そこの真っ白シスターと一緒にこちらに先回りいたしました。と、ミサカは可及的速やかに現状の説明をします」
御坂「…悪いけど、私はやめる気はないわよ。例え絶対に勝てないんだとしても、絶対に一泡吹かせるくらいはやってみせる!」
御坂妹「いえ、違うのです。お姉さまは勘違いをしています、とミサカは―――!?」
御坂妹がその言葉を最後まで発することはなかった。
一瞬で肉薄した一方通行が、彼女の体を吹き飛ばしたからだ。
大砲のように発射された御坂妹は、そのまま瓦礫の山へと盛大な音を立てて突っ込んでいく。
一方通行「視界に入ったら潰すって言ってなかったか? キチンとリンクしてろよミサカネットワーク」
御坂「アンタはァァァァああああああああ!!!!!!」
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:41:14.13 ID:8YL3zxTA0
なんてこった・・・311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:43:10.57 ID:p7/6EkCZ0
まさに極度の被虐主義312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:43:58.46 ID:54jhzAuB0
ヤられる気満々とか変態すぎる314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:44:23.04
ID:9AxN34Cz0 一方通行「ダメだ。ここは邪魔が多すぎるわ。場所変えるぜ」
御坂「なに!? くっ!!」
一方通行「飛べオラァ!!!!」
一方通行のかざした右手から、爆発的な風が生まれる。
御坂「きゃああああ!!!!」
美琴の体はさっきの御坂妹の様に盛大に吹っ飛んでいき。
一方通行「そらよォ!!」
一方通行もまた、己の体を弾丸と化してその後を追った。
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 19:56:18.72
ID:9AxN34Cz0 飛び去った二人を呆気にとられて見つめるインデックス、打ち止め、ミサカの三人。
三人が正気に戻ったのはパラパラと崩れる瓦礫の音を聞いてからだった。
御坂妹「…髪の毛がほこりまみれになってしまいました、とミサカは不快感を露わにして呟きます」
瓦礫の中に突っ込んだ御坂妹がけろりと顔を出した。
打ち止め「あれ? 何だか全然平気そう。ってミサカはミサカはきょとんとしてみる」
御坂妹「派手に音を立てるだけで衝撃は最低限に抑えられるようにベクトル調整してあったようです、とミサカはあの人の行動を予測してみます」
ミサカ「やっぱり、彼にはあなたを、ひいては私達に害を加えるつもりはなかったのですね、とミサカは感想を述べます」
打ち止め「やっぱりそうだったんだわーい! でもどうして? どうしてあの人はこんなに敵を作るようなまねばっかりしちゃうの? ってミサカはミサカは小首を傾げてみる」
インデックス「……きっと、許せないんだよ」
インデックスは彼の業を知っている。道すがら御坂妹に教えてもらったから。
インデックスは一方通行を知っている。ほんのわずかな同居生活だったけど、確かに彼の優しさに触れていたから。
インデックス「あの人はきっと誰よりも、あの凄く怒ってた短髪よりも、自分のことが許せないんだと思う」
でもそれは間違っていると思う。
誰かを思うことが出来る人間が絶対に救われないなんてことはない。
インデックス「あの人を追いかけよう!」
インデックスの言葉に、三人は力強く頷いた。
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:02:53.85
ID:9AxN34Cz0 御坂「く…!」
迫りくる地面。磁力を発生させられる金属製の物も周りには無い。
衝撃を覚悟して美琴は固く目を瞑る。
だが、予想に反して美琴の体はまるでなにかの冗談かのようにフワリと地面に降り立った。
御坂「トコトン人のこと舐めくさってくれるじゃないアンタ」
一方通行「あんなに颯爽と登場しといてさっきので終わってちゃ興ざめも甚だしいンでなァ。ま、ちょっとした演出ってヤツだ」
御坂「ねえ、ひとつだけ聞かせなさいよ」
一方通行「あン?」
御坂「アンタ、どうして研究所を破壊したの? どうして今さら『実験』をやめようなんて思ったのよ」
一方通行「なァンだ、そんなことか。簡単だぜ? 理由は至ってシンプルなモンだ」
一方通行はその顔にこれ以上はないという程醜悪な笑みを浮かべた。
一方通行「飽きたから」
御坂「…そう」
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:08:18.42
ID:9AxN34Cz0 御坂「ざっけんなぁぁぁああああ!!!!」
美琴の体から彼女の生み出せる最大限の電気が迸る。
インデックス達が居たことで戦いにくかったのは何も一方通行だけではない。
御坂「ちょっとは命の重みってやつを知りなさい!!!!」
一方通行「いいねェ!! 派手に決めてくれンじゃねェの!? ほンじゃあ一気にエンディングに流れ込むとしよォかァ!!」
御坂(どういうわけか知らないけど、何があったのか知らないけど、一方通行はひどく傷ついてる。動きもにぶい)
美琴は唇を引き結ぶ。覚悟を決める。
御坂(今このときを逃したらもう勝機なんて二度と無い。たとえ命に代えても…髪の毛の一本くらいは焦げ付かせてやるんだから!!!!)
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:16:45.86 ID:6+pBnk5f0
やっぱ御坂は、事の本筋から離れたところで勝手に勘違いして突っ走ってあとで
「そ、そうだったの知らなかったのよ」って反省するポジションが似合うな…
自分の勘違いでとんでもないことやっちゃったり、勝手に先走って事態を悪化させたり
だから御坂にはロシアに来て欲しくなかったのに…
可愛い服きやがって…可愛いまったく本当に328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:17:36.28
ID:9AxN34Cz0 美琴の電撃を反射し、受け流し、一方通行は考える。
きっとこの女はかつて自分と戦闘したことがあるのだろう。
『一方通行』の力を知る者特有の力の流れ――『怯え』が彼女の電撃から伝わってくる。
それでも、御坂美琴は逃げ出さない。
恐怖を怒りで塗りつぶし、学園都市最強の第一位に戦いを挑む。
一方通行(蛮行の源を怒り。ならその怒りを生成してンのはなんだ?)
己に問うまでもない。
その怒りの源は誰かを思う『優しさ』に相違ない。
少女はただ、死んでいった一万人の『妹達』のために力を振るう。
一方通行(いいねェ。まさしくヒーローの器ってやつだ)
御坂「く!!」
一方通行(けどよォ…)
御坂「くそ…ちょっとくらい当たりなさいよぉぉぉぉおお!!」
一方通行「その程度じゃ、倒されてやれねェなァ!!!!」
御坂美琴の全力の一撃は、一方通行の右手に触れただけであっさりと四方八方に撒き散らされ、消滅した。
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:24:36.31
ID:9AxN34Cz0 御坂「く…!」
一方通行「ダメだダメだ。その程度じゃこの俺を引き摺り下ろすことは出来ねェよ」
一方通行「これから先も、テメエら弱者を踏み潰して君臨させてもらうぜェ?」
御坂「う…うぅ…!」
美琴の目からぽろぽろと涙が零れ落ちる。
悔しい。何も出来なかった。
あの子達の痛みの、一万分の一も与えてやれなかった。
一方通行「あらあら、こりゃ本格的にダメだな。窮地に泣いちゃうオンナノコの分際で俺の首を取ろうとしてたってのか? 笑わすなよなァオイ」
御坂「ぐ…う…うぇ…」
小さな電撃がパチリと走る。
一方通行は肩を竦めた。
一方通行「だァめだ。もう寝てろよオマエ」
一方通行はその右手を泣きじゃくる美琴に向かって伸ばした。
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:34:13.81
ID:9AxN34Cz0 キュウン―――と甲高い音が響いた。
一方通行「あァ?」
一方通行のベクトル操作によって10mは吹き飛ばされ、死なない程度に傷を負うはずだった美琴はほんの1m後ろに尻餅をついているだけで。
本当にテレビに出てくるスーパーマンのようなタイミングで、その少年はそこにいた。
???「いいぜ、『最強』」
黒髪の少年が口を開く。
一方通行は困惑に喘いでいた。
黒髪の少年の『右手』に掴まれた一方通行の右手。
何だ? この感覚は?
のれんに腕を押し付けたようなインデックスの『歩く教会』とは違うこの感覚。
まるでのれんを押す腕そのものをもぎ取られたようなこの感覚は―――!?
???「てめえが何でも自分の思い通りに出来ると思っているのなら―――」
少年の右手が一方通行の腕を離す。
代わりに、少年の右手は固く握りこまれた拳を作る。
上条当麻「まずは――その幻想をぶっ殺す!!!!」
黒髪の少年の拳が一方通行の顔面に叩き込まれた。
348 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:42:13.42
ID:9AxN34Cz0 一方通行「が…ふ…!!」
余りにも予想外の衝撃に、一方通行はもんどりうって倒れる。
木原数多の『反射』対策とは違う。
この少年の拳は一方通行の『反射』などまったくお構い無しに突っ切ってきた。
一方通行「ハ…オイオイ、一体何なンだその右手はァ」
何だか面白くなって、一方通行は笑う。
まったく摩訶不思議な少年の力も面白かったし、今日何度目になるか分からない己の無様が可笑しかった。
一方通行(よくまァ地べたに這い蹲る『最強』さンだぜ)
にやりと笑った口の端からツゥ、と血が流れ落ちる。
乱暴に親指でそれを拭うと、一方通行は笑みを浮かべたまま立ち上がった。
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:36:50.28 ID:8YL3zxTA0
でたあー![336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:37:07.50 ID:rRANAMXt0
ステイルと一緒にいたんだから事情しってるはずなのに……
一方さんかわいそすぎるw358 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:51:25.48 ID:jDfFxJ/R0
しかし言われてみれば、原作でもこんな風に誤解特攻する可能性あるんだよな上条さんて
単に主人公補正でそれが起きないだけで361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:54:51.95
ID:9AxN34Cz0 上条「…ビリビリ」
御坂「…ビリビリって言うな……」
上条「まったく、お前は無茶しやがって。どうしてそうやって一人で突っ走っちまうんだよ」
御坂「うるさい…ぐす…アンタ…誰に向かって説教してんのよ」
上条「決まってんだろ。無鉄砲で、向こう見ずで、フリフリの水着が大好きな常盤台のお嬢様にだよ」
御坂「あ、あの時のことは言うなぁ!!!!」
上条「いいか御坂。アイツに腹が立ってるのはお前だけじゃねえ。俺だってこいつのしてきた『実験』にはむかついてんだ」
上条「だから一人で背負うことなんて全然ねえ! 俺も背負う! 俺がお前に見せてやる!! お前の周りの世界には、まだまだ救いがあるってことを!!」
御坂「アンタ…!」
上条「さあ、始めようぜ『最強』! 御坂が受けてきた痛み、御坂妹達が受けてきた痛み……!!」
上条「俺が、お前に教えてやる!!」
一方通行「寒気がするようなご高説どうもォ。ンじゃ、精々よろしく頼むわセンセイ」
369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 20:57:50.09 ID:8YL3zxTA0
事実を知った上条さんとビリビリのリアクションに期待379 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:03:57.92
ID:9AxN34Cz0 戦いは一方的だった。
一方的に―――一方通行が、上条当麻を圧倒していた。
一方通行「オイオイマジか? ちょっとしょっぱすぎンぞテメエ」
一方通行は呆れたように言う。
あの黒髪の少年の『右手』が何か得体の知れない力を持っていて、あっさりと『反射』を貫通するのなら。
少年の右手が絶対に届かない距離から一方的に嬲ればいい。
一方通行の『ベクトルコントロール』を持ってすれば、その攻撃方法など100を越えて余りある。
上条「が…ふ…!」
芋虫のように転がっていた少年が立ち上がる。
すかさず一方通行の周囲から爆発的な風が生じた。
明らかな指向性を持ったその風は、上条当麻が突き出した右手を器用に避けてその体を吹き飛ばす。
御坂「……!!」
美琴の顔が絶望に歪む。声も出ない。
死んでもおかしくない勢いで、上条の体は地面に叩きつけられた。
393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:11:57.32
ID:9AxN34Cz0 一方通行「…シラケさせてくれんなァ」
一方通行は、既に上条当麻への興味を無くしていた。
立ち上がる上条に力を叩きつける。
のろのろと上条が起き上がる。
チッ、と一方通行は吐き捨てる。
フラフラと立ち上がる上条の下へ自ら歩み寄る。
一方通行「もォいいンだよ。寝とけ。『その役割はテメエじゃ無ェみてえだからよ』」
一方通行の『左手』が上条の顔面を殴りつけた。
ベクトルコントロールによって生み出された腕力を超える破壊力。
上条当麻の体がずるりと崩れ落ちた。
御坂「や…だ…」
少女のかすれた声が響く。一方通行は舌を鳴らす。
その場を立ち去ろうと地面を蹴りつけようとして――上条当麻にその左手を掴まれていた。
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:18:52.61
ID:9AxN34Cz0 一方通行「あァ?」
上条「俺を…殴れたってことは……」
既に一方通行と変わらぬほどボロボロになった体で、上条当麻はにやりと笑う。
上条「コッチの手に『反射』はねえ…へへ、思ったとおりだ」
一方通行「て…めえ…不死身かコラァ!!」
上条当麻は一方通行の『左手』を掴んでいる。
ならばあの時のように。あの時木原を振り回したように。
一方通行(てめえも濡れタオル決定だコラ!!)
一方通行が『左手』を操作しようとした刹那――上条当麻はその左手をあっさりと離していた。
上条「悪いな。これでも上条さん、ちょっとはケンカ慣れしてるんですよ」
一方通行に生まれた思考の空白。
その一瞬の隙に。
上条「らぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
上条当麻はその必殺の右手を一方通行の顎に叩き込んだ。
406 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:27:27.26
ID:9AxN34Cz0 ブツン、とどこかで嫌な音がなった。
元々打たれ弱い一方通行を支えていた何かが切れた。
一方通行「お…ァ…」
ガクガクと膝が揺れる。視線が定まらない。
ベクトルコントロールのための演算式を弾きだせない。
上条「あああああああああ!!!!!」
上条当麻は畳み掛ける。
ここだ。勝機はここしかない。
何度も何度も上条はその拳を一方通行に叩き込む。
上条「終わりだ」
上条当麻は拳を握る。
これまでよりも固く固く。全ての思いをその右手に乗せて。
上条「歯ぁ食いしばれよ最強……」
振りかぶる。
それを見て、一方通行は嗤っている。
一方通行(そォかい…やっぱりテメエで合ってたのかい)
上条「俺の最弱は、ちっとばっか響くぞお!!!!」
上条当麻の全身全霊が一方通行に叩き込まれ。
一方通行は派手に転がって地面に突っ伏した。
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:33:58.45
ID:9AxN34Cz0 上条「はぁ…はぁ…」
御坂「まさか…勝ったの?」
上条はほっと息を吐くとその場に尻餅をついた。
実は結構、というかかなり彼も限界だったのだ。
御坂「ちょ、ちょっと大丈夫?」
上条「ああ…何とか…って言いたいけど実はもう結構足腰がガタガタだったりするのですよ」
御坂「無茶しすぎよ…馬鹿」
上条「泣くなよ」
御坂「泣いてないわよ!」
上条「…!!」
その時、上条が何かに気付いた。
上条「下がってろ、御坂」
御坂「え…? …!!」
一方通行が、立ち上がっている。
ニタニタと嗤って、こちらを見下している。
427 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 21:45:24.30
ID:9AxN34Cz0 一方通行「オイオイオイオイ、終いかよ? 俺に一万人分の痛みを教えてくれるンじゃなかったのかァ?」
上条「てめえ…!」
一方通行「足りねェ足りねェ、ゼェンゼン足りねェよ。やる気あンのか? ねェならやる気の出る話をしてやろうか?」
一方通行「テメエラが何やらご執心のモルモット連中の死に様を語ってやろォか? ありゃあ5463番目の時だったなァ。首を刎ね飛ばしてやったンだよ」
上条「……黙れ」
一方通行「10000番目の時は13の肉片に解体した。やっぱ10000の記念にチッとテンション上がってたンだろォなァ?」
上条「黙れよ……」
一方通行「この程度でもう満足ですかァ? とンだ自己満野郎だなテメエ」
上条「喋んなっつってんだろこのクソ野郎!!!!」
怒りに任せて拳を振るう。
一方通行が地面を転がる。
だが――一方通行はのそりと立ち上がる。
上条「う…うあぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」
上条当麻は何かにかられるように拳を振り続けた。
450 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:17:31.34
ID:9AxN34Cz0 打ち止め「どうして…? どうしてあの人はあんなにボロボロにならなきゃならないの? ってミサカはミサカは零れる涙を拭いつつ…う…うえぇ…!」
インデックスや打ち止め達の目の前で一方通行は立ち上がり、また殴り飛ばされる。
インデックス、打ち止め、ミサカ、御坂妹の4人は既に彼らに追いついていた。
追いついていながら、ただ遠巻きに見つめるだけで、誰も何も出来なかった。
『邪魔をするな』
彼が冷たく言い放ったあの言葉。
彼が一体何を邪魔して欲しくなかったのか。
それを理解してしまったから。
打ち止め「許してあげたい…」
ぽろぽろと零れる涙を拭いながら、打ち止めは震えた声を出す。
打ち止め「死んでしまった10000人のミサカ達がどう思っているかは分からない。でも、このミサカはあの人を許してあげたいよ…!」
ミサカ「他の9980人のミサカも同じ気持ちです、ラストオーダー。ですが……」
インデックス「きっと、彼自身が彼を許さない」
ミサカの言葉をインデックスが引き取った。
インデックス「きっと神様さえあくせられーたを許しても」
それは、涙を必死で堪えている声だった。
インデックス「世界の全てがあくせられーたを許しても、あくせられーただけがあくせられーたを許さないんだよ」
457 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:23:11.24
ID:9AxN34Cz0 打ち止め「そんな…いいの!? それでいいの!? ミサカは全然納得できない!!」
インデックス「納得なんて、出来るはず無いんだよ!!」
打ち止め「だったら!!!!」
インデックスは打ち止めの言葉に返事を返さなかった。
何故なら、既に駆け出していたから。
今もなお立ち上がろうとしている彼の元へ。
打ち止め「ぬ、抜け駆けずるい!! ってミサカはミサカは―――!!!!」
465 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:29:53.18
ID:9AxN34Cz0 上条「ぜぇ…ぜぇ…」
一方通行「どォした…もォ…終わりかよ……」
上条「く…そ…何なんだよお前。そんなに『最強』の座が惜しいのかよ!!」
そう口にしながら、上条当麻は迷っていた。
本当に…本当にそうなのか?
たったそれだけの下らない理由のためにこの学園都市第一位は何度も立ち上がっているのか?
上条当麻の顔が歪む。
本当に俺は、正しいことをしてるのか?
だって――違う。余りにも違う。
彼が思い描いていた学園都市第一位という男の『幻想』と、目の前でボロボロになっている男の『現実』が。
どうやっても重ならない。
上条「くっそぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
迷いを振り切るように上条は駆け出し――
インデックス「待って!!!!」
突然に一方通行の前に立ち塞がった少女の姿に、慌てて拳を止めた。
468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:36:09.77
ID:9AxN34Cz0 上条「な…!?」
インデックス「もう…もうこの人を許してあげて!!」
打ち止め「ミサカからもお願いします! ってミサカはミサカは頭を下げてみる!!」
ミサカ「ミサカも同じ気持ちです、とミサカは上位個体に追従します」
御坂「アンタ達…!」
御坂妹「お姉さま。ミサカ達のために立ち上がってくれたお姉さまの気持ちは大変嬉しく思います。ですが……」
御坂「許すっていうの…? あんた達を笑って殺し続けてきたコイツを!!」
御坂妹「はい、とミサカは迷い無く頷きます」
御坂「わかんない…そんなの全然わかんないわよ……!!」
御坂妹「今ここで全てを語るには長くなります。いつかきちんと話しましょう。また、二人でアイスでも食べながら」
477 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:43:56.02
ID:9AxN34Cz0 一方通行「テメエラ…邪魔すンじゃ…ね……」
インデックスを押しのけようと腕を伸ばした一方通行だったが、彼はそのまま意識を手放し、インデックスの方に倒れこんだ。
インデックス「わ…!」
インデックスは慌てて一方通行の体を支える。
ボロボロの少年は、インデックスでも支えきれる程軽かった。
学園都市最強のLEVEL5は、今はその面影をまったく見せずインデックスの胸に顔を寄せている。
上条「……」
その姿を、じっと見ていた上条当麻は。
上条「……!!」
ゴガン!!といい音が鳴る。
ふらつく上条を全員がポカンとして見上げていた。
上条当麻は自分の頭を思いっきり殴りつけたのだ。
あらゆる幻想を破壊する、その右手で。
478 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:47:32.98 ID:w6hRNy6A0
かみやん、自分で自分をフルボッコタイムか
精神的にも肉体的にも相当にボコられるな、こりゃ481 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:52:11.68
ID:9AxN34Cz0 上条当麻はちょっとした事件に巻き込まれていた。
なんの気なしに寄ったハンバーガーショップで、彼は奇妙な巫女少女と出会い、そのまま彼はあれよあれよと魔術の戦いに巻き込まれていった。
そこで彼は赤髪の魔術師、ステイル=マグヌスと出会った。
赤髪の魔術師と共に、とある錬金術師と戦った。
そこで上条当麻は知る。
その錬金術師はある女の子を救うために生きてきて、だけどその女の子はとっくに他の誰かに救われていたというお話を。
上条当麻は一度その女の子を見ている。
白い修道服を着た、ちょっと忘れようも無い女の子。
そして今はその女の子の膝の上に頭を乗せ、安らかに眠るLEVEL5。
いくら上条当麻が鈍感でもわかる。
余りにも簡単な答えだった。
今、上条当麻の中で、極悪非道のLEVEL5という幻想は粉々に砕け散っていた。
482 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 22:55:54.56
ID:9AxN34Cz0 上条「戻ろう、御坂」
御坂「ちょっと、何一人でスッキリした顔してんのよ!! 私はまだ全然納得なんか…!」
上条「そりゃあ、すぐには無理かもしんねえけど」
上条は右手で美琴の頭をくしゃくしゃと撫でる。
それは、ちょっとしたおまじないのつもりだった。
御坂「な…ちょ…! ちょっと…!!」
上条「それでも、せめて『幻想』のままアイツを見るのはやめようぜ」
御坂「わかった…わかったからまず撫でるのをやめなさいよ!!!!」
485 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:02:45.86
ID:9AxN34Cz0 「悪かった」。最後にそういい残して上条当麻、御坂美琴、御坂妹(ミサカ10032号)は去っていった。
あとにはインデックスと、打ち止めと、ミサカと、未だ目を覚まさぬ一方通行が残される。
打ち止め「ねえどうするの? この人、目を覚ましてもきっとうじうじうじうじ引っ張るよ? ってミサカはミサカは懸念事項を述べてみる」
ミサカ「出会って二時間ほどの幼女にこんな風に言われるこの人をミサカはとても哀れに感じます」
打ち止め「でも、事実そうでしょ? きっと」
ミサカ「上位個体の慧眼にまったく言葉を差し挟む余地はありません、とミサカはあっさり追従します」
インデックス「いいんだよ」
インデックスは、迷い無くそう言い切った。
インデックス「決めたんだ。もしあくせられーたがあくせられーたをずっと許すことが出来ないなら」
インデックスの顔に、悪戯っぽい笑みが浮かぶ。
インデックス「私だって、許してあげないんだ」
491 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:06:35.84
ID:9AxN34Cz0 きっとこの男は自分を許さない。
報われないのが当然、いや、むしろ報われてはならないのだと自分に言い聞かせ続けるだろう。
そして、近い将来インデックス達の前から姿を消して、一人孤独に生きていこうとすることは想像に難くない。
だから、そんなことは絶対に許さない。
そんな勝手は絶対に許してあげない。
497 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:12:17.05
ID:9AxN34Cz0 だったら、彼がいつか自分を許したら、あなたも『許してあげる』の?
打ち止めが悪戯っぽく問いかける。
インデックスは、自分の膝の上で安らかに寝息を立てる一方通行をチラリと見て。
まあ、それはまたその時考えるよ。
そう言って、笑った。
―終―
502 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:14:03.05 ID:lJITt7VF0
乙!!!
インデックス可愛いよインデックス
打ち止め可愛いよ打ち止め
ミサカ可愛いよミサカ
一方さんカッコいいいいぃいいい!504 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:14:33.30 ID:YIuEpnGS0
イイハナシダッタナー!505 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:15:01.14
ID:9AxN34Cz0 いやー、何とか無事終わった
途中色々おや?って部分あったと思うけどまあぬるい目で見逃してくれ
しかし上条さん書きづらかった
木原くンはすげえ書きやすかった
なんだろう 俺って本質的に外道なのかしら
512 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:16:15.88 ID:mD9nU/y2O
乙ゥゥゥゥ!!!!
もちろん次回作も期待してるよ!してるよ!526 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:25:02.01 ID:ZdfvyUYVP
乙。良かった。
だんだん原作から状況が離れてくから難しいかもしれないけど次回作も見たい。529 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:26:48.25
ID:9AxN34Cz0 ○蛇足という名のエピローグ 「どこまでも一方通行な僕ら」
インデックス「お風呂わいたよー」
打ち止め「ねえねえ一緒にお風呂に入ろうよ! ってミサカはミサカは甘えてみたり!!」
一方通行「あァ?」
インデックス「み、認められないんだよ!!」
打ち止め「何で? ってミサカはミサカはきょとんとしてみる。ミサカは背中でも流してこの人をねぎらいたいだけで他意はないんだよー」
インデックス「う、嘘ついてるでしょ! 他意が無いって言うのは他意の存在を自ら認めているようなものなんだよ!!」
打ち止め「どおしてそんなこと言うかなーってミサカはミサカはぶーたれてみたり。インデックスにはあの人に対する感謝の気持ちが無いんじゃないかなあ」
インデックス「な、なら私が一緒に入る! 背中流すことくらい簡単だもん!!」
530 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:27:33.27 ID:SxQ4QXcu0
何と言うハーレム531 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:27:59.92 ID:NNwINnAC0
おお そういや前回もエピローグあったよな
忘れてた534 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:28:23.27 ID:w6hRNy6A0
かみやん・・・は美琴がいるかw536 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:32:51.05
ID:9AxN34Cz0 打ち止め「ふ、あの時あの人の『愛のエリア』に入れてもらえなかった人が何言ってるんだか、ってミサカはミサカは片腹押さえて嘲笑ってみたり!!」
インデックス「ムッキーーーー!!!! ずっと眠ってただけの足手まといには言われたくないんだよ!!!!」
打ち止め「ムッカチーーン!! ってミサカはミサカは今のセリフに大噴火!!」
インデックス「ふっふーん、色々とトラブルが尽きないあくせられーたの隣にいるには守られるだけのお子ちゃまじゃ役不足なんだよ!!」
打ち止め「ミサカは弱くないもん!! ってミサカはマサカのグーパンチ!!!!」
インデックス「そんなもの私の『歩く教会』の前には無駄無駄ウリィなんだよ!!」
打ち止め「きいーーーー!!!!」
538 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:37:00.41
ID:9AxN34Cz0 打ち止め「こうなったらあの人自身に選んでもらおうよ!! ってミサカはミサカは核心に迫った発言をしてみたり!!」
インデックス「う…! いいよ!! ほえ面かいても知らないから!!」
打ち止め「ねえ、あなた!!」
インデックス「ねえ、あくせられーた!!」
打ち止め・インデックス「「どっちとお風呂入るの!?」」ッテミサカハミサカハー!
一方通行「あン?」ホカホカ~
打ち止め・インデックス「「ホカホカしてるーーーー!!!!!」」ガビーン!
542 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:40:55.59
ID:9AxN34Cz0 ミサカ「お邪魔します、とミサカは定番の挨拶をかましつつ部屋に上がりこみます」
一方通行「何だァ? 何しにきやがった?」
ミサカ「いわゆるひとつの通い妻です、とミサカは頬を赤らめつつ答えます」
ミサカ「炊事、選択、夜の世話まで何でもござれとミサカは腕をまくります。ご希望ならスカートも捲り上げますが」
一方通行「帰れ!!!!」
こんな感じで、意外とうまくいくんじゃないかしら。
蛇足という名のエピローグ おしまい
543 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:41:40.97 ID:ORTDCc2j0
乙555 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 00:00:19.46 ID:LIfVv3gF0
あー満足だわ550 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:55:28.01 ID:LWG84IMu0
御使降し編なら一方さんは変わっちゃうだろうから
歩く教会の生きてるインデックスが活躍だなwktk
…いやそれとも天使な一方さんは影響を受けないのだろうか
なにはともあれ乙552 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/14(日) 23:57:12.08 ID:NNwINnAC0
記憶喪失前に一旦魔術の法則に触れて解析してるから、
もしかしたら無意識に反射するかもしれん558 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/15(月) 00:08:13.37 ID:Vze4TptJ0
超乙ですインデックス「行こ!あくせられーた!!」一方通行「… おォ」
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