宇宙ショーへようこそ 【通常版】 [Blu-ray] 前→
インデックス「お腹がすいたんだよ」一方通行「そォか」まとめ→
一方禁書 悪条の人のSS一覧 (◆QKyDtVSKJoDf さん)1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:00:20.81
ID:QTEgx5bj0 インデックス「ごっはん♪ ごっはん♪」
打ち止め「わーい! 新しい洋服でお出かけだよー! ってミサカはミサカは青いワンピースでくるくる回ってみたり!!」
打ち止め「あれ!? 今日の最高気温14℃!? それじゃワンピースじゃ肌寒いよーってミサカはミサカは何か羽織る物を探してみる!!」
インデックス「お肉! 私はお肉を御所望なんだよあくせられーた!!」
インデックス「分厚いステーキに噛み付いて、溢れる肉汁じゅんじゅわーなんだよ!!」
一方通行「わかったからてめェらハシャいでンじゃねえェェェええええええ!!!!」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:02:00.38
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「準備できたよ、早く行こう! ってミサカはミサカはあなたを急かしてみたり!!」
一方通行「まてコラ。てめェ何で俺のシャツ羽織ってンだ。ちゃンとそのワンピースと揃いのやつ買ってやっただろが」
打ち止め「う~ん、あっちよりミサカはこっちの方が好みなの。ってミサカはミサカはぶっちゃけてみる」
打ち止め「それに…このシャツ、あなたの香りとぬくもりが残ってて、あったかい……ってミサカはミサカは頬を赤らめてみたり…」
一方通行「脱げ」
打ち止め「えー、強引なのも嫌いじゃないけど…ミサカは初めてはもっと優しくしてもらったほうが……」
インデックス「ちょっと!! 何淫靡な空気をかもし出してるの!!!!」
一方通行「欠片も出てねェよンなモンはァァァあああああ!!!!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:08:58.00
ID:QTEgx5bj0 一方通行「…わかった、もォいい。汚すンじゃねェぞ。それクッソ高ェんだからな」
打ち止め「りょーかい! ってミサカはミサカはビシッと敬礼のポーズをしてみたり!」
インデックス「もー、何してるの! 早く行こうよあくせられーた!!」
一方通行「うるっせェな。急かしてンじゃねェよ」
一方通行は舌打ちしながら玄関のドアを開ける。
玄関先にいた人影を確認し、さらにもう一度舌打ちした。
一方通行「何やってンの? オマエ」
ミサカ「おや、奇遇ですね、とミサカはしれっと答えます」
一方通行「玄関先でバッチリ待機してて何が奇遇だボケ」
※ミサカ:『妹達』の一人。検体番号は10020号。記憶を失った一方通行と共に計画を潰した。
『妹達』(打ち止め除く)の中で唯一一方通行に明確な好意を寄せる。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:16:06.50
ID:QTEgx5bj0 ミサカ「お出かけですか? とミサカはあなたに問いかけます」
打ち止め「今から皆でご飯食べて、それから遊びに行くんだよー、ってミサカはミサカはロンリーな下位個体に同情しつつ答えてみる」
ミサカ「……」シーン…
打ち止め「あれ?」
ミサカ「ミサカは『あなたに』問いかけます。とミサカは先ほどの言葉を復唱します」
一方通行「…このガキが言ったとォりだよ」
ミサカ「このガキが言った通りとは? 私には脳みその足りない鈴虫がちりんちりん鳴いてる音しか聞こえませんでしたが? とミサカは首を傾げます」
打ち止め「むっかちーーん!! ってミサカはミサカは本気でちょっと頭にきてみる!!」
インデックス「ちょっと! いい加減に私のお腹は限界なんだよ!!」
ミサカ「食しか頭に無い欠陥乙女は黙っていてください、とミサカは言い捨てます」
インデックス「な、なにをーーー!!!?」
一方通行「……」スタスタ…
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:21:56.11
ID:QTEgx5bj0 ――とあるバイキング・レストラン
インデックス「ほ、ほんと!? ホントにここ食べ放題なの!?」
一方通行「…おォ」
打ち止め「うわぁー! 色んな料理が大きな皿で並んでるよ! ってミサカはミサカは目をキラキラさせてみる!!」
ミサカ「ふむ、正直ウエストが気になるお年頃なのですが、今日ばかりはリミッターを解除しなければなるまい、とミサカは悲壮な覚悟を胸に秘めました」
インデックス「いただきまーす!!」ガバ! ムシャムシャ!!
ウェイター「お、お客様!? 直接大皿から食べるのはご遠慮下さいってもうねえし!!」
インデックス「次ィ!!!!」
ウェイター「てんちょー! てんちょーー!!」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:30:23.67
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「ちょっとやーだ、奥さん見まして? あの品位の欠片のない食べ方、ってミサカはミサカはコソコソ耳打ちしてみる」
ミサカ「ほんとほんと、最近の女の子は何を考えているのかわかりませんわー、とミサカは上位個体に追従します」
インデックス「む」ピタッ!
打ち止め「見て見て、あの人も呆れ顔。まあ、あんな獣みたいに食事する人なんて女の子として見れないよねー。ってミサカはミサカは声のボリュームを少し上げて言ってみる」
ミサカ「ほんとよねー、とミサカはもはやアピールするかのように声を張り上げます」
インデックス「う…」チラリ
一方通行「……」
インデックス「はう!」
インデックスは青ざめる。
彼は確かにこの上ない呆れ顔をインデックス『達』に向けていた。
インデックスは手に持っていた大皿を台に戻して、小皿に取り分けてから一方通行の対面に座る。
それからちょこちょこと皿の上のものを口に運び始めた。
インデックス(うう…も、物足りないんだよ…!!)グゥ~キュルルル~
一方通行(…なンでコイツは泣きそォな顔で飯食ってンだ?)
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:38:07.72
ID:QTEgx5bj0 ウェイター「あ、ありがとうございましたー」
引きつり顔のウェイターの言葉を背に受けて、一方通行たちは店を後にする。
その直後、店長が泣きながら小さな看板を入り口のドアに引っ掛けた。
その看板には『食材切れのため閉店いたします。大変申し訳ありません』と手書きされていた。
インデックス「うぅ~、ちょっと物足りなかったかも……」
打ち止め「ホント? ミサカは大満足だったよ! ってミサカはミサカはお腹をポンポン叩いてみる」
ミサカ(やばい、ウェストきつい。何であのシスターはあんだけ食って腹がでないんだとミサカは恨みがましい目を向けます)
インデックス「うぅ…何だか『みさか』の視線がちょっと怖いんだよ」
一方通行(…コイツらはもォ二度とバイキングにはつれていかねェ)
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:45:08.79
ID:QTEgx5bj0 一方通行「…ンで、これからどォすンだ?」
打ち止め「う~ん、どうしよっか? ってミサカはミサカは皆の顔を見回して聞いてみたり」
インデックス「私はこの街のことまだよくわからないから、お任せするんだよ」
ミサカ「ふむ、とミサカは頭を悩ませます」
一方通行「行きてェトコねェならもォ帰るぞ」
打ち止め「くっ! 明らかにもうメンドくさくなってる! ってミサカはミサカは何とかこの人を引き止めるための何かを探すため辺りをキョロキョロしつつ ――」
インデックス「ねー! ここなに? すっごく面白そうなんだよ!!」
気付けばインデックスは一人先に進み、ある店を指差していた。
ミサカ「…ゲームセンター。またムードの無いところを…とミサカは頭を抱えます」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:53:32.35
ID:QTEgx5bj0 インデックス「うわぁ~! うわぁ~!!」
一方通行「走り回るンじゃねェよ五歳児ですかてめェは」
インデックス「ねえ、あくせられーた! これなに!? これなに!?」
ミサカ「…まさかUFOキャッチャーも知らないとは、とミサカはあなたの無知さ加減にため息をつきます」
一方通行(…まァ、このガキにはこの一年以外の記憶がねェらしいからな……当然っちゃ当然かもな)
一方通行は思い出す。
記憶を失った彼に対し、インデックスは『お揃いだね』と言って笑った。
インデックス「あくせられーた! 私あれが欲しいんだよ!」
一方通行「クマのぬいぐるみたァ分かりやすい少女趣味だなオマエ。あっちの『ぱっかえびせん』じゃなくていいのかよ?」
インデックス「うぅ…凄く迷うけど、今はこのくまちゃんの瞳が私を捉えて離さないんだよ!!」
一方通行は小銭を機械に投入する。
何だかこの時の彼は妙に優しかった。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 13:59:43.71
ID:QTEgx5bj0 一方通行の操るクレーンは一発でクマのぬいぐるみを掴み、穴に放り込んだ。
インデックス「うわあ凄い! 『能力』を使ったの?」
一方通行「こンなくだらねェことに使うかよ」
インデックス「えへへ、ありがとうあくせられーた!」
インデックスは嬉しそうにクマのぬいぐるみを抱きしめる。
一方通行「…ハシャいでンじゃねェよ。五歳児ですかてめェは」
一方通行は何だか無性にかゆくなってぼりぼりと頭を掻く。
ふと、なにやらジメジメした気配を感じ、振り返った。
打ち止め「……」ジトー…
ミサカ「……」ジトー…
一方通行「うォ!?」ビクッ!
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:05:13.80
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「…ずるい」
ミサカ「…不公平」
亡霊のように二人は呟いている。
いつもの「ミサカは―」の口癖も忘れるほど、二人はジメっとした感情を一方通行にぶつけている。
一方通行「…なンだよ」
打ち止め「ずるいずるいずるいーー!! ってミサカはミサカは手足をバタバタさせて猛抗議ーー!!!!」
一方通行「暴れンじゃねえよ! 三歳児かてめェは!!」
打ち止め「さり気にインデックスより年齢下げられてるー!? もう怒った! ってミサカはミサカはポカポカあなたを殴ってみたりー!!」ポカポカ!
ミサカ「おお、上位個体の攻撃が届くということは今は『反射』は切っているということですね、とミサカはどさくさにまぎれてあなたにハグをあいたー反射されたー」
打ち止め「うわあ~」 ←巻き添え
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:08:40.84 ID:dNPNXE/N0
>打ち止め「うわあ~」 ←巻き添え
wwwwwwwwww28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:06:35.50 ID:ethv0kAW0
やばい反射される2人が超可愛いwwwwwww32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:16:03.89
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「ミサカにもぬいぐるみください、ってミサカはミサカはぶっちゃけ言ってみたり」
ミサカ「ミサカも欲しいです、とミサカは上位個体に追従します」
一方通行「…たく、てめえェら揃いも揃って夢見る少女趣味かよ」
ミサカ「そういうこっちゃないんですが、とミサカはため息をつきます」
打ち止め「ホント分かってないよねー、ってミサカはミサカは下位個体の言葉に頷いてみるー」
一方通行「……」イラ…
ガン、と音がした。
一方通行はUFOキャッチャーを蹴飛ばした音だ。
UFOキャッチャーの中のぬいぐるみがまるで意思を持っているかのように自ら穴の中に飛び込んでいく。
あっという間にぬいぐるみの取り出し口が詰まった。
一方通行「好きなモンとれよ」
打ち止め「違う…これは違うよ…ってミサカはミサカはほろほろ泣いてみる……」
ミサカ「心のこもってないプレゼントがこんなにも苦しいものなんて…とミサカはさめざめと涙を流します」
一方通行「けっ」
一方通行は二人を放ってUFOキャッチャーの前を立ち去る。
店員「てんちょー! てんちょーーー!!」
UFOキャッチャーの惨状を見かけた店員がヘルプミーを叫んだ。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:26:57.14
ID:QTEgx5bj0 それからインデックス、打ち止め、ミサカの3人は大はしゃぎで、楽しく時を過ごしていった。
ただ、それと比例するように一方通行はげっそりと神経をすり減らしていく。
一方通行は自販機でコーヒーを買うと、手近なベンチに腰掛けた。
一方通行(…ククク、一体何してンだ俺は。ガキに振り回されて、まンざらでもねェ顔して……)
一方通行はブラックで買ったコーヒーに口を付ける。
苦味が口いっぱいに広がった。
一方通行(そンなタマかよ、クソッタレの悪党が……!)
その時。
一方通行の表情が変わった。
獲物を見つけた猛禽類の様に、彼の目が鋭く細くなっていく。
一方通行(…だよなァ。さァて、チッとばっかし戻るとするか)
一方通行はコーヒーを一気に飲み干して、空になった紙コップを潰す。
一方通行「ジメジメトとくっせェ、悪党の領域によ」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:34:18.10
ID:QTEgx5bj0 一方通行「おい」
ミサカ「なんでしょう? とミサカは首を傾げます」
一方通行「チッと出てくる。てめェはあのガキ共を見てろ」
ミサカ「あなたがミサカにお願いですか? とミサカは目を丸くせざるをえません」
一方通行「馬鹿言ってンじゃねェよ。これは命令だ。てめェに拒否権なンぞ与えられちゃいねェ」
ミサカ「分かりました。元々この命はあなたに与えられたようなもの。ミサカにはあなたがどんな要望をしようとも対応できる準備があります、とミサカは従順に頷きます」
一方通行「吐き気がするほどスバラシイ心がけだな」
ミサカ「どちらへ?」
一方通行「あァ、お掃除だ。きったねェクソを下水道に流してくンだよ」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:43:21.24
ID:QTEgx5bj0 ミサカ「また、何も言わずに…あなたは一人で背負おうとするのですね、とミサカは目を伏せます」
ミサカ「あなたの隣で戦いたい、思うミサカは傲慢なのでしょうか、身の程知らずなのでしょうか」
ミサカ「ミサカは自分の無力さを呪います」
ミサカはぐっと拳を握り締める。
ミサカ「いえ、彼の盾になれないのなら、せめて彼の願いだけは壊さぬようしなくては…とミサカはふんどしを締めなおします」
ミサカ「まあ、ふんどしっていうか、今ミサカがはいてるのはもしもに備えた勝負パンツなんですけどね、とミサカは一人ほくそ笑みます」
???「あれ? お前がこんなところにいるなんて珍しいな」
ミサカ「?」
背後からかけられた声に振り返る。
上条「よう御坂妹。元気にしてたか?」
そこにいたのはかつて一方通行をボッコボコにした黒髪の少年だった。
ミサカ「…あれ? もしかしてあの人逃げただけ? とミサカは芽生えた疑問を必死で否定します」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 14:55:35.18
ID:QTEgx5bj0 通称、『窓の無いビル』。
学園都市の統括理事長、『人間』アレイスター=クロウリーが君臨するそこに、一人の少年と一人の少女が集められていた。
アレイスター「よく来てくれたね」
奇妙なカプセルの中で逆さまに浮かぶアレイスターは優しい笑みを浮かべる。
だが、その笑みは決して相対する者を安心させず、むしろ極寒の地に放り出されたような寒々さを与える性質を持っていた。
しかし、その笑みに晒された少年と少女は全く泰然としている。
アレイスター「すばらしい。さすがは『第2位』と『第4位』だ」
『第2位』と呼ばれた少年、垣根帝督(かきねていとく)はつまらなそうに前髪をかきあげた。
垣根「世辞はいいんだよ。さっさと用件を言え統括理事長。てめえも知るとおり、俺はとても忙しいんだ」
『第4位』と呼ばれた少女、麦野沈利(むぎのしずり)も頷いた。
麦野「同感。というか、私はこのクソ野郎とは一秒だって同じ空気吸いたくないんだけど」
垣根「気が合うな、クソ女」
麦野「チャラ男が馴れ馴れしく話しかけないでくれる? 私そんな安い女に見えるかしら」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:03:20.03
ID:QTEgx5bj0 アレイスター「ふむ、この部屋でLEVEL5同士が戦争を始めても困る。では用件を手短に話そう」
アレイスター「君達も知っているかもしれないが、私はそこそこ大きな計画を抱えている。しかしこの計画に大幅なズレが生じ始めているんだ」
アレイスター「これがちょっと私独力では修正ができない程でね。そこで君達に助力を頼みたいんだよ」
垣根「……」
垣根帝督は憮然とした表情で黙って話を聞いている。
麦野「ふん…で、私達に何をしろって言うの?」
アレイスター「簡単なことだ。学園都市の『第1位』、『一方通行』を抹殺してもらいたい」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:11:42.54
ID:QTEgx5bj0 麦野「…理由は?」
アレイスター「彼は私の計画の重要な『協力者』だった。しかし、どういうわけか彼は『協力』してくれなくなった」
アレイスター「それどころか、彼はもはや計画の『障害』でしかなにのだよ。そこで君達に処分をお願いしたいわけだ」
麦野「ふーん…まあ、個人的にアイツは目障りだったし、受けてもいいけど…条件があるわ」
アレイスター「聞こう」
麦野「あの化け物相手に『アイテム』のメンバーは使いたくない。結構替えのきかない人材なんだよね。いくらでも『使い捨て』出来る人員が欲しい」
アレイスター「なら『猟犬(ハウンド・ドッグ)』を貸そう。リーダーが死んでしまってどうにも部隊の再編に手間取っていたところだ」
垣根「……」
アレイスター「君も引き受けてもらえるかな、『未元物質(ダークマター)』」
垣根帝督はあくまで憮然とした表情のまま、黙って頷いた。
頷いて、麦野沈利に目を向ける。
垣根「協力するか?」
麦野「はあ?」
垣根「だろうな」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:14:20.19 ID:TBifTTGJ0
このていとくんはできるていとくんの予感46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:17:26.79
ID:QTEgx5bj0 アレイスター「あとで『一方通行』に関して我々が知りうるデータを送ろう。何かの参考にしてくれ」
アレイスター「ああ、それと注意点がひとつ」
垣根「あ?」
麦野「なに?」
アレイスター「あとでデータを見てもらえればわかるが、彼の傍には『禁書目録』と呼ばれる少女と『打ち止め』と呼ばれる少女が居る」
アレイスター「彼女達は少しばかり特殊な立ち位置に居てね…彼女達だけは、殺してはいけないよ」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:25:23.51
ID:QTEgx5bj0 窓の無いビルを抜け、垣根帝督は転送されてきたデータに目を通す。
垣根「やっぱりな、クソッタレ」
??「どうしたの? 随分ご機嫌ナナメなようだけど」
垣根帝督を待ち構えていたかのように、ドレスのような服で身を包んだ少女が話しかけてきた。
??「統括理事長は何て言ってきたの?」
垣根「一方通行を抹殺しろ、だとよ」
少女はヒュゥ、と口を鳴らす。
??「与えられた課題が重すぎて沈んでるの?」
垣根「はらわた煮えくりかえってんだよ。なめられたことになぁ」
??「『原子崩し(メルトダウナー)』の第4位もいたんだよね? そいつに腹立ててるの?」
垣根「違ぇよ。ムカついてんのはアレイスターにだ」
??「ムカつくやつだったの?」
垣根「ああ、この上なくな……野郎は一方通行を殺す気なんてさらさらねえのさ」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:36:13.21
ID:QTEgx5bj0 少女は首を傾げた。
??「殺せって言ったんでしょ?」
垣根「送られてきたデータに目を通した。確信したぜ。腑抜けた一方通行は計画の『障害』になんぞなりえねえ。本当に計画を邪魔して欲しくなけりゃ放っておけばいいんだよ」
??「でも、アレイスターは殺せといった」
垣根「そうだ。ヤツは『修正』という言葉を使った。俺たちを餌にして、一方通行を理想の形で計画に戻してえのさ」
??「…よくわかんないわね」
垣根「少なくとも『原子崩し(メルトダウナー)』を起用している時点で殺す気ねえのは明白だ。アイツの能力じゃ絶対に一方通行には勝てねえ」
垣根帝督は舌打ちして続ける。
垣根「どっちが強いかとかそれ以前の問題だ。『原子崩し』じゃ『一方通行』に勝てねえ。そういう『構造』になっちまってるんだ」
垣根「一方通行と『強弱』の問題まで持っていけるのはこの俺だけなんだよ。…まあ、あの訳わかんねえ『第7位』も、ひょっとしたらそこまで辿り着けるかもしれねえが」
??「ふーん、じゃあ結局どうするの?」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:41:48.64
ID:QTEgx5bj0 垣根「一方通行を殺すさ。統括理事長様には従わなきゃな」
??「悪い顔してる」
垣根「超えてやるよ。いけ好かねえ理事長様の思惑なんざ」
垣根帝督は笑う。
恐らく、自分がこの結論に至ることもアレイスターの思惑の内と知りながら。
??「ねえ」
垣根「あん?」
??「まずは私にやらせてよ。ちょっと試したいことがあるの」
少女は悪戯っぽく笑う。
??「私の『心理定規(メジャーハート)』は学園都市第一位に届くのかな?」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:50:06.56
ID:QTEgx5bj0 とある学園都市のゲームセンターで、上条当麻とミサカは睨みあっていた。
上条「あれ? な、何その反応? こないだ別れたときはそこまで険悪な表情を浮かべてなかったと上条さんは記憶しているのですが?」
打ち止め「あーーーー!!!! ってミサカはミサカ指を差してみたりーーーー!!!!」
インデックス「あーーー!!!! あの時のツンツン頭なんだよ!!」
上条「あ、あるぇー!? あの時の!? ということは、もしや!?」
ミサカ「はい、ミサカはあなたを慕う『御坂妹』とは別の個体だと、ミサカは敵意をこめた眼差しで告げます」
打ち止め「抵抗しないあの人をぼこぼこにぶん殴ったことが昨日のようだねとミサカはミサカは憤慨してみるー!!」
インデックス「がるるるるーー!!」
上条「あ、え、う、その」
メラメラと炎を燃やした3人の少女が上条当麻に迫る。
上条「あ、あの時はスンマセンっしたーーーー!!!!」
上条は見てて清々しくなるくらい潔く土下座した。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:51:04.19 ID:TBifTTGJ0
そういや誤解で思いっきりボコったんだったなwwwww54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:53:17.31 ID:2pTCOC/a0
インデックスにツンツン頭と呼ばれる上条さんは新鮮だなw56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 15:58:49.50
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「うりゃうりゃうりゃーー!!」ドゴッバキッコキャッ
上条「うぎ、ぐわ、くそ、この」
打ち止め「とどめーー!! ってミサカはミサカは目にも止まらぬ動きでコマンド入力してみたり!」
上条「ぎゃー!!」
『K・O』の文字が画面を躍る。
あの人の仇を討つ!と、打ち止めは上条にゲーム勝負を挑んだのだ。
無論、ゲーム代は上条もちである。
上条「おかしいよね! 絶対能力で筐体になんかしたよね! だって俺全然技でねーもん!!」
打ち止め「ふっふーん、自分の下手さを人のせいにするなんて終わってるね、とミサカはミサカは哀れんでみる」
上条「波動拳入力したのに竜巻旋風脚が出てたしね!? いくら俺でもパンチとキックのボタンは間違えないからね!?」
打ち止め「負け惜しみはいらないから次にいくよ! ってミサカはミサカは容赦なく宣告してみたり!」
上条「うう…上条さんの貴重な生活費が…」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:05:47.98
ID:QTEgx5bj0 ミサカ「ところで」
絶対に勝てない勝負へ向かう上条の背中にミサカは声をかけた。
ミサカ「あなたはこんな所で一人何をしているのです? とミサカは問いかけます」
上条「いや、ビリビリがどうしても携帯の契約付き合えっていうから一緒に来たんだよ。いや、決して上条さんは昼食おごりになんて釣られていませんよ?」
ミサカ「あなたの悲しい経済状況は流しつつ、ミサカは驚愕します。まさかあなたとお姉様がもうそんな仲になっていたなんて…」
上条「いやいや違う違う違う。何かペア契約しないともらえないストラップがどうしても欲しいって話だったから」
ミサカ「これは10032号に伝えなくてはいけません。伝えました。ミサカネットワークマジ便利、とミサカはしたり顔で呟きます」
上条「違うって言ってんじゃん!! あー画面見たらまた負けてるし!!」
打ち止め「次ィ!!!!」
上条「もう勘弁してください!!」
上条当麻、本日二度目の土下座である。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:11:28.92
ID:QTEgx5bj0 インデックス「がるるる……!」
上条「それで、あの子は何でさっきから壁に隠れて牙をむき出しにしてるの? 俺すっごい今バンビの気分なんだけど」
ミサカ「さあ? 正直ミサカはあの大食い女のパーソナリティーはまった理解できませんので」
インデックス(うう…乙女の第六感が全力で告げているんだよ!!)
インデックス(今あのツンツン頭の右手に触られたら公衆の面前で乙女として終了なレベルの辱めを受けると!!!!)
※インデックスさんは『歩く教会』が健在です。つまり、今当麻に触られたら……あとはわかるな?
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03 /27(土) 16:13:28.50 ID:tW1gb4KI0
やれ!上条さん!67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:15:26.77 ID:TBifTTGJ0
つまり、俺たちが望むことはただ一つ・・・わかるな・・・?69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:17:32.97
ID:QTEgx5bj0 上条「えっと…その…アイツも来てるのか?」
ミサカ「来ていますよ。今はいませんが、とミサカは親切に答えてあげます」
上条「そっか…やっぱ、直接会って謝らないとな」
ミサカ「言っておきますが、あの人はあなたに恐れをなして逃げ出したんじゃねーですよ? とミサカは自分に言い聞かせるように弁明します」
上条「?」
事実、そうではなかった。
ゲームセンターからそう離れていない路地裏で、くぐもった悲鳴が響く。
黒服の男「ごふ…かひゅ…!」
一方通行「ひゃはっ、くっせェゲロだな。クソが吐くにゃ相応しいぜ」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:24:39.38
ID:QTEgx5bj0 一方通行はその『左手』で男の首を掴み、吊り上げる。
一方通行「さて、チョロチョロとうざったく付き纏ってくれたがよォ。オマエ誰だよ?」
男「がは…知らない、誤解だ…私は、何も……」
一方通行「正直に言えばまだ半殺しで許してやるってのによォ…俺のこと知らねェのかおニイサン」
男「知…ら…ない……!」
一方通行「カックイー。その頑張りがどこまで続くか見せてもらおうか」
一方通行は『左手』で掴んだまま、男の体を事も無げに壁に叩き付けた。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:37:19.21
ID:QTEgx5bj0 薄暗い路地から一方通行が姿を現す。
結局、男は何も吐かなかった。
何も吐かなかったことが、一方通行の危機感を余計に煽った。
一方通行(俺を付き纏ってた馬鹿は『良く訓練された馬鹿』だった。…またメンドクセエことになってる予感がすンなァ)
まァ、何が来ても潰すだけだけどよ。
一方通行は第1位に相応しい不遜な笑みを浮かべる。
ふと、見覚えのある後姿を見かけて、一方通行は顔をしかめた。
一方通行は趣味の悪いストラップを見てにやにやしている少女の傍に歩み寄って、
一方通行「コラ、ガキのお守りしとけって言っただろが。何こンなトコで油売ってンだよ」
御坂「はぁ?」
御坂美琴に声をかけていた。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:44:12.55
ID:QTEgx5bj0 御坂「…アンタ……!!」
一方通行「おォ?」
一方通行は、彼にしては有り得ないほど素っ頓狂な声を上げた。
彼の知るミサカという少女はこんなに表情豊かに怒りを表したりしない。
おかしいな、と思った一方通行は、そこで気が付いた。
額につけているゴーグルがない。
一方通行は思わず右手で顔を覆った。
御坂「何よ。何しに来たのよ」
一方通行「いやァ…別に…」
人間違いでした、とは言いづらかった。
誰と間違えたの→『妹達』しかいない→アンタまさかまた…!!のコンボになったら恐ろしく面倒だったからだ。
御坂「……」
一方通行「……」
御坂「……」
一方通行「……だせェストラップだな」
あまりの気まずさに、一方通行は言わなくてもいいことを口にした。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:50:19.01
ID:QTEgx5bj0 御坂「ケンカ売ってんのかアンタはぁぁぁあああ!!!!!」
美琴の体から電撃が迸る。
だが、もちろん一方通行にその電撃は通じない。
一方通行「アー、イヤ、なンつうかよォ……」
御坂「私はあんたを許す気はないのよ! 馴れ馴れしく話しかけてこないでよ!!」
美琴の言葉に、一瞬一方通行の表情が消えた。
そして、ニヤニヤと笑い始める。
一方通行「オイオイ、俺がいつ許しを請うたンだよ。ハッピーな記憶の捏造はやめてくンねェ?」
一方通行は美琴に背を向ける。
一方通行「いつでも殺しに来いよヒーロー。てめえのチンケな殺意なら24時間年中無休で受け付けてやるぜ」
御坂「馬鹿にして…!!」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 16:56:55.27
ID:QTEgx5bj0 一方通行はヒラヒラと手を振って去っていった。
御坂「……!」ギリ…!
美琴は固く拳を握る。
しかし、その顔にあるのは単純な怒りだけではない。
その表情には、怒りと困惑が混在していた。
あんな風にうろたえる第一位を見るのは初めてだった。
一方通行があまりの気まずさに汗を流していたことに、美琴は気付いていた。
去り際に笑みに、優しさに似たものを感じた。
かつて月明かりの下で、ツンツン頭の少年が言った言葉を思い出す。
『せめて、幻想のままあいつを見るのはやめようぜ』
御坂「調子狂うのよ、バカ……」
完全に一方通行が見えなくなってから、美琴はポツリと呟いた。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:21:02.82
ID:QTEgx5bj0 一方通行「ンで…この状況はどういうこった?」
一方通行は呆れた声を上げる。
インデックスの口の周りには食べかすがついていて。
打ち止めは嬉しそうにソフトクリームを舐めている。
二人ともその手に持ちきれないほどのお菓子を抱えていた。
一方通行「そォいや、金渡してなかったよなァ…オマエがコレ買ったンかよ?」
ミサカ「いいえ、親切な足長おじさんが買ってくれたのです、とミサカはほくそ笑みます」
一方通行「はァ?」
一方通行は首を傾げた。
ちなみに遂に財布が空になった足長おじさんは、携帯で呼び出されて泣きながら走り去っていった。
『不幸だー!』と吐き捨てて去っていったその姿は、誰が見ても涙を誘う姿だった。
インデックス、打ち止め、ミサカの3人は凄くいい笑顔で笑っていたが。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:28:38.38
ID:QTEgx5bj0 ミサカ「それではミサカはここで失礼します、とミサカは別れを惜しみつつあなたに告げます」
一方通行「あ…? あァ、そォいやもうそンな時間かよ」
ミサカ「はい、『調整』に行ってまいります」
『調整』。
ミサカ達『妹達(シスターズ)』は元々『一方通行に殺されるために生まれた存在』だ。
故に、『製造』の段階でその寿命についてはまったく考慮されなかった。
無理な成長で短くなった寿命を延ばすため、『妹達』は定期的に『調整』を受けているのである。
ミサカ「それでは、とミサカは頭を下げて去ります。……ご無事で何よりでした」
一方通行「何言ってっかわかンねえよ」
一方通行の言葉にミサカは微笑みで答えた。
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:35:13.17
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「うぅ~…ちょっとお花を摘みに行って来る! ってミサカはミサカは定番の言い回しで誤魔化しつつトイレに猛ダッシュ!!」
一方通行「…頭痛くなるノータリンっぷりだなオイ」
結局目的地を明かしつつ打ち止めはトイレに走っていった。
インデックス「いっぱいジュースとか飲んでたからね。まったくあの子は女の子にあるまじきはしたなさだね!」
テメエに言われちゃお終いだな、と一方通行は思った。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:43:19.57
ID:QTEgx5bj0 打ち止め「ふぅ~危ない危ない、ギリギリセーフだったよってミサカはミサカはほっと一息ついてみたり」
ジャジャー! と盛大に水が流れる音を背に、打ち止めは足取り軽く個室から出てくる。
同時に、打ち止めのすぐ隣のドアが開いた。
打ち止めは少し不思議に思う。
水が流れる音はしなかった。
この女の人はトイレの個室で何をしていたのだろう?
??「こんにちは」
打ち止め「? こんにちは、ってミサカはミサカはとりあえず挨拶を返してみる」
打ち止めは知らなかった。
目の前の女が学園都市第4位のLEVEL5で。
一方通行の命を狙う『敵』だということを。
麦野「『殺すな』とは言われたけど、『使うな』とは言われてないからさ。ちょっとごめんねお嬢ちゃん」
優しげな笑みとは裏腹な破壊の力が、麦野沈利の右手で渦巻いている。
打ち止め「…!!」
悲鳴を上げる暇もなく、打ち止めの意識は闇に沈んだ。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:46:56.94 ID:ekSHffQjO
打ち止めに手を出しちゃったのでぶっころしが確定してしまった100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:48:30.35
ID:QTEgx5bj0 インデックス「遅いね…」
一方通行「…オイ、今すぐ便所見て来い」
インデックス「う、うん…」
一方通行の表情に焦りが浮かぶ。
脳裏に浮かぶのは自分を監視していた黒服の男。
もしかしたら。
一方通行は自分の迂闊さに歯噛みする。
もしかしたら、あの男が監視していたのは自分ではなく――!
インデックス「あくせられーた!!」
インデックスの表情を見て、一方通行は壁を殴りつけた。
悪い予感は、どうやら当たってしまったようだった。
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 17:58:23.50
ID:QTEgx5bj0 一方通行は躊躇なく女子トイレに飛び込む。
壁に、まるでスプーンでくり抜かれたような穴が空いていた。
破片がない。穴の周囲にヒビもない。
単純な力では有り得ない破壊の形。
『能力者』に連れて行かれたことは明白だった。
一方通行「クソッタレがァァァァあああああああ!!!!」
喉が裂けるような絶叫と共に、一方通行は穴から外に飛び出す。
穴を抜ければ薄暗い路地に続いていて、打ち止めを攫った敵がどちらに向かったのか判断がつかない。
一方通行「どっちだ! どこに行きゃァがった!! 生きて帰れると思うなコラァァァああああ!!!!」
しかし、一方通行の叫びはむなしく反響するばかり。
インデックスも穴から路地に降り立った。
インデックス「二手に別れて探そうあくせられーた!! 今ならまだ間に合うかも!!」
一方通行「ボケが!! テメエまで攫われたら二度手間だろォが!! 頭使えクソッタレ!!」
インデックス「信用して!!」
インデックスの強い瞳が一方通行を射抜く。
インデックス「私の『歩く教会』は、あくせられーたの力だってきかないんだよ?」
優しく、諭すようにインデックスは言葉を続ける。
結局、二人は二手に別れて打ち止めを追った。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:02:20.97
ID:QTEgx5bj0 ―――それが、最大の間違いであったことに気付かずに。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:04:14.87 ID:dNPNXE/N0
いやああああああああああ108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:11:52.56 ID:2pTCOC/a0
やめてえええええええええええええ109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:12:11.12
ID:QTEgx5bj0 それは、インデックスが一方通行と別れてから、わずかに十分後のことだった。
インデックスは足を止める。
目の前に、得体の知れない少年が立っている。
その少年は前髪をめんどくさそうにかきあげながら口を開く。
垣根「てめえ自体にゃなんの恨みもねえんだけどよ」
少年の――学園都市第二位、『未元物質(ダークマター)』、垣根帝督の背中から天使のような羽が生える。
垣根「恨むならアレイスターを恨みな。恨むなら一方通行を恨みな。あぁ、もちろん俺を恨んでくれても全然かまわねえ」
インデックスは自分の体が震えていることを自覚した。
何故?
インデックスは困惑する。
『歩く教会』は無敵だ。無敵の防御結界だ。そのはずだ。
なのに何故、少年の白い翼はこんなにも不安を掻き立てる?
垣根「注意しろよ」
インデックスの怯えを知ってか知らずか、垣根帝督はニヤリと笑った。
それはとても酷薄な笑みだった。
垣根「俺の『未元物質(ダークマター)』に、常識は通用しねえ」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:19:02.38
ID:QTEgx5bj0 垣根「てめえの力はレポートで読んだ。どんな攻撃も効かないんだってな。一方通行さえ無効化するってんだから驚きだ」
垣根帝督の白い翼がインデックスの体を薙ぐ。
ゾクリ、とインデックスは震えた。
ダメージはない。ダメージはないのに。
どうしてこんなに逃げ出したい恐怖に駆られるのか。
インデックスは震えを噛み殺して、垣根帝督に相対する。
インデックス「あの子を攫ったのはあなたなの!?」
垣根「あの子? オマエどっちのことを言ってんの?」
インデックス「ど、どっちって…」
垣根「まあ、どっちにしろ俺は知らねえよ。…あの馬鹿女、わっかりやすく動きやがって」
垣根帝督の翼がはためく。
再びインデックスに翼が迫る。
垣根「悪いな。ちょっと急がなきゃならん事情が出来た。手早く済ませるが、かまわねえな?」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:25:58.73
ID:QTEgx5bj0 その言葉の後は、本当に容赦がなかった。
垣根帝督の背中から生える六枚の翼が間断なくインデックスに襲い掛かる。
だが、通じない。
全ての翼はインデックスの体を通り抜けるだけで、何の痛みももたらさない。
インデックスの瞳に力が戻る。体の震えが収まってきた。
垣根「いや、ほっとしてるとこ悪ぃがよ。そろそろ『見つかる』ぜ?」
その言葉と同時だった。
垣根帝督の翼がメキリ、とインデックスの体にくい込んだ。
インデックス「か…は…!」
そんな。そんな馬鹿な。
インデックスは混乱した。
つい先ほどまで、何の影響も与えてこなかった翼が、いきなり『変質』した。
垣根「やっぱりそうか。てめえの防御力も一方通行の『反射』と一緒だな」
お腹を押さえ、その場に膝を着くインデックスに、垣根帝督は声をかける。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:35:59.58
ID:QTEgx5bj0 垣根「自分に害のある攻撃を受け流すオマエと『反射』する一方通行。だが、それは無害であるはずのモノなら通るってことだ」
垣根帝督がインデックスに迫る。
垣根「当然の話だよなあ? じゃなきゃお前らは物も持てねえし飯も食えねえし息もできねえ。ま、そんな風に『穴』が空いてるなら簡単だ」
六枚の翼が、不気味に蠢いている。
垣根「俺の『未元物質』でてめえらが『無害』と判断しちまう『有害』を作っちまえばいい。朝飯前だぜ、実際」
垣根帝督の翼がインデックスを薙ぎ払う。
吹き飛んだインデックスの体が宙を舞った。
垣根帝督は笑う。
垣根「とまあ、俺の予測は当たってたようで何よりだ。予行練習に付き合ってくれてありがとよ」
地面に落ちたインデックスは、もう動かなかった。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:45:42.06
ID:QTEgx5bj0 心理定規「殺したの?」
赤いドレスを纏った少女が、垣根帝督の後ろからインデックスを覗き込む。
垣根「殺すかよ。アレイスターにキツく言われてんだ。さすがに自重するさ」
心理定規「ふーん、よかった。これで私も実験できるわね」
対象者との『心の距離』を自在に調節する『心理定規(メジャーハート)』の能力を持つ少女がインデックスに歩み寄る。
垣根「ソイツに効くのかよ? 確かに防御は一級品だぞ?」
心理定規「まあ、効かなかったら優しく服を脱がしてあげてからやればいいんじゃない?」
『誰か』にとっての友人にも、恋人にも、神にすらなることが出来る少女は笑う。
心理定規「この子、一方通行の『反射』も無効化しちゃうんだよね? ふふ、どうなるか楽しみだな」
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 18:58:51.33
ID:QTEgx5bj0 一方通行は立ち尽くす。
彼の目の前には打ち止めが羽織っていたシャツが落ちていた。
シャツには赤い字で行くべき場所が指定されている。
その赤色が、一体何の色なのかは、考えないようにした。
一方通行「クハ」
一方通行の口が歪に曲がる。
一方通行「ったくよォ、たっけェシャツを見事に汚してくれちゃってまァ……」
一方通行「よっぽど死にてえらしいな、クソ共が」
一方通行は嗤う。
嗤いながら、ヒタリ、ヒタリと歩を進めた。
彼の眼前には、ただ深い闇が広がっている。
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:10:15.80
ID:QTEgx5bj0 指定された場所で、一方通行が目にした光景は、本当に分かりやすいものだった。
そこには黒い特殊装備を身に纏った男が3人居た。
一人は鋭い刀を持っていて。
一人は小型の携帯型テレビを持っている。
そして残りの一人は――ぐったりとした打ち止めを抱えていた。
打ち止めを抱える男の片手には鋭く光るナイフが握られている。
男の持つ携帯型テレビの中で、麦野沈利が笑っていた。
麦野『こんにちは第一位。私が誰かわかる?』
一方通行「おォ、じめっとしたキッチンでよく見る顔じゃねェか。触覚はどォした。いつもの茶色い服はどォした。ダメだぜ、ゴキブリ如きがオシャレなんてあと一億年早ェよ」
麦野『ほんっとにムカつく奴で嬉しいわ。良心が痛まないもの』
画面の中でこめかみをヒクつかせ、麦野沈利は言葉を続ける。
麦野『私は第4位のLEVEL5、『原子崩し(メルトダウナー)』、麦野沈利。ちっちゃい脳みそによく刻んでおいて?』
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:20:33.40
ID:QTEgx5bj0 一方通行「よォく覚えておくぜチャバネさン」
麦野『…この……! チッ、本当はこんなありふれたセリフを吐きたくはないんだけど。その子の命が惜しかったらじっとしていてね?』
一方通行「ぎゃははは!! 取り繕ってンじゃねェよ!! 俺を笑い死にさせンのがテメエの作戦ですかァ!?」
麦野『もう喋んなクソがぁ!!』
刀を構えた男が一方通行に近づいてくる。
一方通行は動かない。
麦野『ふん、いい子ね』
男の持つ刀が振り下ろされた。
鋭い刃が一方通行の肩口に食い込み――男の手首がグチャリと曲がった。
男A「があああああ!!!!」
麦野『てめえ!! ガキがどうなってもいいのか!!』
一方通行「オイオイ、俺は約束通りジッとしてただろが。どォしたのボク? カルシウム不足ですかァ?」
男A「いてえ…! 手が、俺の手が…!!」
悶える男を見下ろして、一方通行はケタケタと笑っていた。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:28:00.93
ID:QTEgx5bj0 麦野『次に『反射』を使ったらガキの腕を飛ばすよ? 肝に銘じておけ』
一方通行「オイオイ、俺は知らねェっての」
麦野『茶番に付き合う気はないの』
麦野の言葉と同時に新手が現れた。
新たに現れた黒服は悶える男の傍から刀を拾い上げる。
一方通行「……ホンットワラワラ涌いてくンなァ」
男D「……」
男は黙って刀を構える。刀を構えた男は打ち止めを抱える男に目配せをする。
打ち止めを抱えた男はこくりと頷いた。
それは明確な脅しだった。
一方通行「クソが…」
一方通行の顔から余裕が消える。
男の持つ刀が容赦なく一方通行の脳天目掛けて振り下ろされた。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:29:55.06
ID:QTEgx5bj0 しかし。
一方通行には欠片も傷はなく。
直後に切り飛ばされた片腕が宙を舞い。
打ち止めの体が崩れ落ちた。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:37:31.88
ID:QTEgx5bj0 「ぎゃああああああああああ!!!!!!」
絶叫。まさにソレは絶叫だった。
絶叫を上げたのは――打ち止めを抱えていた男だった。
男B「いてえ! 腕が! 俺の腕がぁぁぁあああ!!」
打ち止めを抱えていた腕がぼとりと地に落ちた。
この場のいる誰もが状況を理解していなかった。
一方通行の体が弾ける様に動き出す。
ただ一直線に、打ち止めの元へ。
一方通行「ヒャッハァ!! 反射がだめって言われたから『操作』してみましたァ!!」
一方通行は嘲り笑う。
その手にしっかりと打ち止めの体を抱えて。
男B「クソが!! 何でもありかてめえ!!」
一方通行「おォ! ケッコウなンでもありなンですよォ!!」
涙交じりの男の叫びに、一方通行は快哉の叫びで答えた。
麦野『あーあ、やっちゃったね一方通行』
携帯テレビの画面の中で、麦野沈利が笑った。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:43:49.47
ID:QTEgx5bj0 一方通行「あァ?」
麦野『ペナルティだ。約束通りガキの片腕を飛ばす』
ずっと麦野をアップで映していた画面が引いていく。
学園都市製の小型テレビは、麦野のいる部屋の様子を克明に映し出す。
一方通行「おィ…」
麦野沈利は椅子に腰掛けている。
その足元に、『誰か』が転がっていた。
一方通行「おィ…!!」
『誰か』はミサカだった。
麦野は笑う。
どうベクトルを操作しようとも届かない画面の中で、麦野が笑っている。
誰かに渡されたノコギリを持って。
一方通行「テメェェェえええええええええ!!!!」
麦野『実はこっちが本命の人質でした。コッチは別に殺すなって言われてないしね。好き勝手やっちゃうよ?』
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:54:26.28
ID:QTEgx5bj0 麦野の持つノコギリの刃がミサカの腕に食い込む。
数人の男に押さえ込まれたミサカはぐったりとして動かない。
麦野『そーれ、そーれ』
ギコギコ、ギコギコと、ノコギリの刃が進む。
ビクン、ビクンとミサカの体が跳ねた。
ぶちぶち、ぶちぶち、ぶしゅう、ぽたぽた。
学園都市製の小型テレビは一切ぼかすことなくその光景を見るものに伝える。
一方通行「あ…?」
麦野『あははは!! やぁっととれた!! 全く、やっぱ刃こぼれしたノコギリじゃうまく切れないねえ!!』
麦野の手で切り離されたミサカの左手がブラブラ揺れる。
麦野『ああやばいやばい血ぃ出過ぎだって! 簡単に死なれちゃ困るんだから!! 止血止血! ほら急いで!!』
麦野に手渡される真っ赤に焼けた鉄の棒。麦野は何のためらいもなくその棒を切断面に押し付けた。
じゅう、と肉のこげる音が響く。
麦野『ああヤバイ思ったよりくっさいなあコレ! 匂いまでは向こうに届かないもんねえ、私だけ大損じゃん!』
一方通行の思考は完全に止まっていた。
テレビの中で行われている『ソレ』が、どうしても現実に思えなかった。
まるで、出来の悪いホラービデオのような。
そうとしか思えなかった。
――そうとしか、思いたくなかった。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:55:18.28 ID:wUOqqG9Z0
この人なんでこんなに勝ち誇ってるんだろ137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:21:55.28 ID:TBifTTGJ0
むぎのんの噛ませ臭がすごいwww161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/27(土) 19:59:45.84 ID:+RsPqtdc0
いやあああ麦のんが殺されちゃうよおおおお次→
インデックス「行こ!あくせられーた!!」一方通行「…おォ」【後編】
The Elder Scrolls IV: オブリビオン Game of the Year EditionOVA「テイルズオブシンフォニアTHE ANIMATION」 初回限定版 コレクターズ・エディション 第4巻 [DVD] 化物語 戦場ヶ原ひたぎ (1/8スケールPVC塗装済み完成品)
- 関連記事
-
Amazonの新着おすすめ
おすすめサイトの最新記事