前→絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」その19
まとめ→きぬはた荘シリーズ まとめ
776:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:48:01.82 ID:WPO9Sa3Go
~同日夕方 第7学区 隠れ家的喫茶店(休業中)~
婚后 「ええと、お皿はこちら、と」バタン
白井 「これで全部ですの」
絹旗 「さすがに3人でやれば超あっという間ですね」
婚后 「これで今日のお役目もすべて完了ですわね」シュルシュル
絹旗 「あっ、髪解いちゃうんですか。後ろ結び婚后さんとか超レアなのに」
婚后 「調理中は邪魔だから結んでいただけですもの」
白井 「さて、みなさんお待たせしておりますし。帰り支度も初めてしまいましょう」
絹旗 「はーい」イソイソ
婚后 「お二人とも、門限は大丈夫ですか?」
白井 「まだ余裕はありますの」
絹旗 「といっても、超寄り道するほどの余裕はなさそうですけどね」
白井 「寄り道する用事もございませんでしょう」
絹旗 「そうなんですけど、ただまっすぐ帰るのも超味気ないといいますか」
白井 「それはまたの機会になさってくださいまし」
婚后 「ユリコたちもお待ちでしょうしね」クスクス
777:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:49:37.37 ID:WPO9Sa3Go
滝壺 「ほら、フレメア。コートきて」
フレメア 「はーい」イソイソ
番外個体 「もうブレーカー落としちゃうよー」
結標 「落としちゃっても大丈夫でしょ」
<ガチャ
打ち止め 「ただいまー、ってミサカはミサカは任務完了の達成感を味わいつつ戻ってみたり」トテテテ
ショチトル 「ゴミは全て裏口のところに出してきたぞ」
番外個体 「はい、お疲れさん」
滝壺 「あ、そうだ。余った材料ってどうする?」
結標 「主催者さんに持って帰ってもらったら?」
絹旗 「そんなにいりませんよ。あの寮にいる間は使いそうもないですし」
白井 「同じくですの」
絹旗 「ほしい人が持ってっちゃえばいいじゃないんですか? ムダにするより超マシです」
婚后 「あ、では……小麦粉いただいてもよろしいですか? ちょうど切らしていて」
結標 「…………他にいないみたいね。いいんじゃない?」
番外個体 「あと何が残ってるの?」
778:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:51:29.03 ID:WPO9Sa3Go
滝壺 「チョコレート、白玉粉、ピーナッツ、がそれぞれちょっとずつ」
結標 「白玉粉ってなに?」
滝壺 「求肥の材料」
ショチトル 「……すまない。いいか?」
滝壺 「どれ?」
ショチトル 「白玉粉とやらがほしい。家でも作ってみたい」
結標 「貴女、よほど気に入ったみたいね」
ショチトル 「あの食感はクセになる」
滝壺 「作り方は自分で調べて。チンすればそんなに難しくないから」ハイ
ショチトル 「あぁ、なんとかなるだろう」
絹旗 「じゃ私はピーナッツを頂いていいですか? おやつ代わりに」
打ち止め 「ミサカもちょっとほしいかも」
絹旗 「じゃ超半分にしましょう」
滝壺 「あとはチョコレートが残ってる」
番外個体 「もー、この場で食べちゃえば?」
結標 「さすがにもういいわよ……」
779:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:52:48.94 ID:WPO9Sa3Go
婚后 「家庭単位で見ると、滝壺さんのところだけ何も入手しておりませんわね」
白井 「言われてみれば。では、差し障りなければ滝壺さんがお持ちになっては?」
滝壺 「いいの?」
白井 「クーベルチュール用ですので、そのまま食べるにはあまり向きませんが」
滝壺 「分かった、もらう」
フレメア 「また何か作りたい、にゃあ」クイクイ
滝壺 「そうだね。これ使って何か作ってみようか」
ショチトル 「これで全部だな」
絹旗 「じゃ出ましょうか。あ、ミサワさん、今日は超ありがとうございました」
番外個体 「いいよいいよ。私なにもしてないのに色々食べさせてもらったし」
結標 「ま、快気祝い代わりね」
婚后 「では出るといたしましょう。戸締りもあるでしょうし」
番外個体 「ガスの元栓は?」
ショチトル 「先ほど閉めた」
番外個体 「りょーかい。じゃブレーカー落としてくるよ」
780:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:54:36.22 ID:WPO9Sa3Go
~同日 第7学区 とある路地~
フレメア 「」トテテテ
打ち止め 「」トテテテ
婚后 「ほーら、不必要に走ると転びますわよ」
絹旗 「超元気ですよね、こんな寒いのに」
白井 「わたくしたちだってそこまで歳が離れている訳ではないのですが」
結標 「……夜が近づいてくると、まだまだ寒いわね」ブルッ
番外個体 「そりゃこれだけ胸元開けてれば、風も吹き込んでくるよね。お、今日は青か」
結標 「引っ張らないでよ、伸びるでしょ」ペシッ
滝壺 「むすじめの胸で既に伸びてるような気もする」
番外個体 「あー、伸びちゃうんだよね、こういう服」
結標 「別に見せ付けてるワケじゃないのよ、私だって」
ショチトル (かつて義姉さんのお下がりばかり着ていた私もそう見られていたのか……?)
白井 「ところであちらのお二人、中学の制服は用意しておられますの?」
滝壺 「まだ」
番外個体 「そろそろ届くんじゃないかね」
婚后 「届いたら早速のお披露目会でしょうね」クスクス
781:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:56:13.46 ID:WPO9Sa3Go
滝壺 「うん、私たちが何か言うよりも先に自分で出して着ちゃうと思う」
番外個体 「いいんじゃない? サイズの確認もあるし」
絹旗 「そういえば年末に聞きましたけど、中学の制服ってブレザーなんですよね」
滝壺 「うん、ブレザー。ちなみにはまづらはブレザーかセーラー服なら、セーラー服派らしいよ」
絹旗 「超どうでもいい情報をありがとうございます」
結標 「セーラー服か。私着たことないのよね」
滝壺 「私も、学校では着たことない」
ショチトル 「私は……あ、いや、あるな」
絹旗 「え? あるんですか?」
ショチトル 「理由あってな。赤いセーラー服を」
白井 「赤いセーラー服……たまに見かけますわね」
結標 「一回ぐらいなら着てみてもよかったかも」
婚后 「女子なら一度は着てみたいと思うものかもしれませんわね」
番外個体 「そっか、霧ヶ丘も常盤台もブレザーだね。まあ、着てみたいならそのテのお店でバイトでも」
結標 「」ベシッ
番外個体 「イテェ!?」
782:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:57:15.91 ID:WPO9Sa3Go
白井 「わたくしも、もう着る機会はないのでしょうね」
絹旗 「隣の芝って超青いんですよね。ブレザー組とセーラー服組、お互いに羨ましがってるらしいですよ」
婚后 「全員が全員そうではないでしょうけど。個人の好みもあるでしょうし」
滝壺 「あの二人も、ブレザーの制服に慣れてきたらセーラー服着てみたいって思うのかな」
結標 「それなら、高校はセーラー服のとこを選べばいいじゃない」
ショチトル (詳しくないから黙っているが、制服で学校を選ぶのもアリなのか)
フレメア 「ねー、私たちは大体こっちだよ」
打ち止め 「ここでお別れ、ってミサカはミサカはくれなずむ街をバックに名残惜しんでみたり」
番外個体 「ありゃ、もうそんなところまで来てたか」
絹旗 「あ、ここで超分岐ですか?」
滝壺 「私たちはこっち」
白井 「今日はお疲れ様でした」
婚后 「帰り道、気をつけてください」
ショチトル 「マスター、くれぐれも」
番外個体 「分かってるって、大丈夫。また連絡するからね」
ショチトル 「あぁ、待っている」
783:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:58:28.08 ID:WPO9Sa3Go
フレメア 「みんな、またね!」
打ち止め 「また今度ね!」
絹旗 「ええ、また超その内に」
結標 「気をつけてね」
<それー!
<待てー!
<こらー!走るなー!
<子供は風の子だね。
結標 「元気ね、ホント」
ショチトル 「若さだろう」
絹旗 「いやいや、私たちも超若いですから。最年少だったんですから」
白井 「わたくしたちは最年少の座は譲りましたが、結標さんの最年長の称号はキープですわね」
結標 「なんか引っかかる言い方ね……」
婚后 「他意はないかと」
ショチトル 「こんなところで立ち止まっても周りに迷惑だ。行くとしよう」
絹旗 「そうですね、行きましょうか」
結標 「これ以上寒くなる前に帰りたいしね」
784:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/20(火) 23:59:20.94 ID:WPO9Sa3Go
:
:
:
ショチトル 「では、私たちは向こうだな」
結標 「ええ。じゃ、3人とも気をつけてね」
絹旗 「超お疲れ様です」
婚后 「では、またその内に」
白井 「どうぞお気をつけて」
ショチトル 「あぁ、またな」ノシ
結標 「それじゃね」ノシ
<ところで、お兄ちゃんは戻っているのか?
<あ、メールするの忘れてた。今しちゃおうか。
婚后 「……そういえば、男性陣は今日をどう過ごしておられたのでしょうね」
絹旗 「ゲームでもやってたんじゃないんですかね」
白井 「時間をつぶす手段ならいくらでもございますでしょう」
絹旗 「ジェンガとかツイスターとかですか」
婚后 (ツイスターは男性3人でやるものなのでしょうか……ルール的には問題ないのでしょうけど)
785:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:00:29.97 ID:RcdhevNro
~同日 第7学区 駅付近~
婚后 「ところで、お二人に聞いてみたかったのですが」
白井 「わたくしたちにですか?」
絹旗 「なんでしょう」
婚后 「お二人は」
<アリアタシター
<ガラッ
黒夜 「ほーしくずのくーずとなーりてー♪」トテトテ
絹旗 「あ」
白井 「あら」
婚后 「あらら」
黒夜 「……え、ええと、あららら?」
絹旗 「いやいや、何やってんですか」
黒夜 「ご覧の通り、ちょっと早めのディナーだ」
白井 「ディナー……あぁ、牛丼屋ですか」
黒夜 「そっちこそ、3人揃って……あ、言わなくていいや。匂いで分かった」
786:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:02:09.78 ID:RcdhevNro
絹旗 「え、匂い?」
黒夜 「うん、すげぇチョコの匂い。服とか髪についちゃってんだろ」
白井 (あぁ、それはきっと……)
婚后 「黒夜さんもいらっしゃればよかったのに」
黒夜 「いやぁ、食べるのはともかく作るのはなぁ。匂いだけで胸焼けしちゃいそうだもん」
絹旗 「確かに作ってる最中は嗅覚がチョコに対しては超鈍感になっちゃってましたけど」
黒夜 「というわけで、絹旗ちゃんからのチョコほしい。くれ」
絹旗 「まあ、あげますよ。今回は超量産体制でしたし」ハイ
婚后 「絹旗さんは小さいのたくさん作っておられましたものね」
白井 「大変ですの、もてる人は」
絹旗 「そういうのじゃないですってば!」
白井 (なんだかんだ言って、リクエストには応える姿勢を見せる面倒見の良さはあるのですね)
黒夜 「なんだよ、私というものがありながら」
絹旗 「そもそもあなたがそういう冗談言うから、超変な方向に勘違いされるんですからね!」ムキー
黒夜 「( ゚3゚)~♪」
絹旗 「まったく……はい、これ」
黒夜 「ちっちゃ」
787:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:03:33.68 ID:RcdhevNro
絹旗 「全部そのサイズですよ。いらないなら超返してください」
黒夜 「ううん、ありがと」パク
絹旗 「おいしいですか? ホウ酸チョコ」
黒夜 「」ブフォ
婚后 「絹旗さんも人が悪いですわね」
白井 「ホウ酸など用意していなかったではないですか」
絹旗 「」テヘ
黒夜 「……」プルプル
絹旗 「起こらないでくださいよ。超もういっこあげますから」
黒夜 「ホウ酸の次はなんだ。媚薬か? 酒か?」
絹旗 「だからなんも入ってませんてば。はい、あーん」
黒夜 「」パク
絹旗 「どうです?」
黒夜 「……甘い」
婚后 「まあ、チョコですしね」
黒夜 「よし、次は口移しだ」
絹旗 「そういうのは白井さんにお願いしてくださいよ」
白井 「なぜわたくしなのですか!」
788:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:05:20.29 ID:RcdhevNro
:
:
:
絹旗 「あれ? そういえば婚后さん」トテトテ
婚后 「はい?」
絹旗 「さっき何か言おうとしてませんでした?」
白井 「そうでしたの。黒夜さんの乱入で中断してしまいましたが」
黒夜 「乱入したつもりはないんだけど」
婚后 「あぁ、はいはい。いえ、お二人に聞いてみたいことがありましたので」
絹旗 「どうぞ聞いてください」
婚后 「お二人の進学先、決め手はなんだったのかな、と」
黒夜 「あ、高校の話?」
婚后 「そんなところですわね」
黒夜 「へー、どこいくの?」
絹旗 「白井さんは霧ヶ丘ですよね」
白井 「ええ」
婚后 「正直、意外に感じました。だからこそ、こんなことを聞いてもいるのですが」
白井 「意外……? ははぁ、さては。わたくしがお姉様を追って長点上機に行くとお思いで?」
789:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:06:58.12 ID:RcdhevNro
絹旗 「いや、私もそれがあるから長点上機だとばかり超思ってました」
白井 「もちろん、その選択肢がなかった訳でもございません」
黒夜 「てことはそうなる可能性もあったんだな」
白井 「ですが、わたくし自身のことをもっと考えた場合、霧ヶ丘も妥当な選択肢ですのよ」
絹黒婚 「「「女子高だから?」」」
白井 「ハッ、ハーモニクス!? わたくしをなんだと思っているのですか!」フギャー
絹旗 「だって他に理由なんかないじゃないですか」
白井 「ありますのー!」
黒夜 「だったらその理由を語ってくれ」
白井 「はあ……霧ヶ丘は、結標さんが籍を置いていた高校ですの」
婚后 「あぁ、なるほど。そういうことですのね」
絹旗 「え、どういうことですか」
黒夜 「空間移動能力の育成に関する実績とノウハウがあるってことだろ」
白井 「ご名答ですの。もちろん、結標さんのコピーになるつもりなどありませんが、
そのデータを活用するのも悪いことではないかと」
絹旗 「なるほど。超一理ありますね」
黒夜 「それに女子高だしな」
790:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:09:07.57 ID:RcdhevNro
白井 「それはもういいですの!」ムキー
婚后 「さ、次は絹旗さんの番ですわね」
絹旗 「私ですか……正直、白井さんみたいに超しっかりした理由じゃないんですけど」
黒夜 「絹旗ちゃんはどこいくのよ」
絹旗 「霧ヶ丘や長点上機に比べると、名もなき超平凡な高校ですよ」
婚后 「絹旗さんほどの実力があれば、もっと上も狙えたでしょうに」
白井 「"もっと上"がイヤだそうですの、絹旗さんは」
絹旗 「ええ。エリートエリートしたところよりは、ゆるいぐらいが私には超あってます」
黒夜 「あ、それわかるわー」
絹旗 「それに」
婚后 「それに?」
絹旗 「高校関係者と接触してみたら、私の能力と成績なら筆記は超免除してくれると言ってもらえたので」
黒夜 「お、超お得じゃん」
白井 「役得ですの」
婚后 「たしか……あの、青い髪の殿方がいるところでしたわね」
黒夜 「もしかして彼氏?」ニヨニヨ
絹旗 「超ないです! それに青髪さんは今年で卒業のハズですし」
791:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:11:25.29 ID:RcdhevNro
黒夜 「ふーん、どうだかなー」
白井 「そういえば黒夜さんは、進路といいますか、この先どうなさるおつもりで?」
黒夜 「さて、ね。どうしよっかな」
絹旗 「高校でもいけばいいんじゃないんですか? LEVEL4ってだけで迎えてくれるところもあるらしいですし」
婚后 「少々ズルな気もしますが」
黒夜 「楽してズルして頂き、ってね。そりゃ私らしいかもしれないな」ケラケラ
黒夜 (ま、方針はもう決めてるし、動き始めてもいるんだけどな)
黒夜 (黙っておいたほうが面白そうだし、言わなくていいや)ニシシ
婚后 「あ、見えてきましたわね」
絹旗 「おおう、ついちゃいましたか」
白井 「? 何か不都合でも?」
絹旗 「いや、ついちゃったなーと」
黒夜 「後ろ暗いことがあるんだろ、どうせ」
婚后 「絹旗さん、寮監に目をつけられるようなことでも?」
絹旗 「いや、ない……ハズなんですけどね」
白井 「もはや寮監と聞くだけで心拍数が早まりますもの」
黒夜 「調教されてんだなぁ」ケラケラ
792:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:12:43.93 ID:RcdhevNro
~同日 第7学区 常盤台新寮~
絹旗 「婚后さんたちも入ってもらえばよかったのに」
白井 「仰る通りですが、時間が時間ですし」
絹旗 「まあ……それを考えると超仕方ないですが」
寮監 「二人とも、戻ったのか」
白井 「はい、ただいま戻りました」
絹旗 「超ただいまです」
寮監 「丁度良かった。白井、お前に荷物が届いているぞ」
白井 「え」
寮監 「今持ってくる。少し待っていてくれ」
白井 「は、はい。申し訳ございません」
絹旗 「荷物ですか。なんかポチったんですか?」
白井 「ええ、そんなところですの」
白井 (宅配屋さん、お届け時間帯指定は守ってくださいまし……)
絹旗 「あ、私チョコ渡してきますね。超ほしいって言ってた人に」
白井 「はい、先に戻っていてください」
絹旗 「」トテテテ
793:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:15:14.68 ID:RcdhevNro
~同日夜 常盤台新寮 301号室~
ユリコ 「( ・ω・)」マッタリ
リック 「」スピー
絹旗 「ほらほら猫じゃらし、とれるもんならとってみやがれです」ミョンミョン
テスラ 「」バッ
絹旗 「超甘いですね! こっちですよ!」ミョンッ
テスラ 「」ダダダ
ユリコ 「( ・ω・)っ」チョンチョン
絹旗 「? どうしました?」
ユリコ 「(・ω・ )」
絹旗 「?」
アスカ 「」ガサガサ
絹旗 「あー!? 何やってんですかー!」
アスカ 「」ガサガサ
絹旗 「超ダメですよ、それ白井さんの荷物じゃないですか」ヒョイッ
アスカ 「イヤーン」ジタバタ
794:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:17:00.68 ID:RcdhevNro
絹旗 「あ、こら、暴れないでください。何をそんなに超求めてたんですか」
絹旗 「……チョコレート? 白井さんもちゃんとしまってくださいよ。チョコは猫に毒なんですから」ヒョイパク
アスカ 「」ジタバタ
絹旗 「はいはい、もう諦めてください。白井さんに超怒られますよ?」
絹旗 「」ドクンッ
絹旗 (え……なんですか、今の)
<ガチャ
白井 「絹旗さん、シャワー空きましたの」
アスカ 「」ポテテテテ
絹旗 「……白井、さん?」
白井 「絹旗さん? どうし……」ハッ
絹旗 「……」ポー
白井 「き、絹旗さん!? まさかそれを食べたのですか!?」
白井 (カエル先生に贈ろうと思って注文した、ラム酒チョコレート……!)
絹旗 「白井さん……またインナー姿でウロウロして……超誘ってんですか?」
白井 「いえ、決してそのようなつもりでは」
795:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:19:50.49 ID:RcdhevNro
絹旗 「」ガシッ
白井 「絹、旗さん……?」
絹旗 「てい」ポイッ
白井 「ひゃっ……」ボスンッ
絹旗 「えへへー。超捕まえましたー」グイ
白井 「絹旗さん! 落ち着いてください!」
白井 (まさか上をとられるなんて……)
絹旗 「」ジー...
白井 「……?」
絹旗 「白井さんってー、よく見たらー、超綺麗な顔してますねー」
白井 「いけませんの……わたくしたちは女子同士です。絹旗さん、どうか」
絹旗 「……う゛ぇ」ガクンッ
白井 「?」
絹旗 「なんか……超気持ち悪、い……」ウッ
白井 「いやぁぁぁ! 絹旗さんどいて! 吐くならそこからどいてくださいぃぃぃ!」ジタバタ
絹旗 「……か、らだが超重くて……」
白井 (こ、これは非常にマズイですの! かくなる上は……!)
796:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/21(水) 00:20:50.21 ID:RcdhevNro
といったところで、今回はここまでです。
アルコール入りチョコでも、酒に弱い人は悪酔いできます。ソースは>>1。
次回はバレンタインらしく、カップルがベタベタしてるだけの話です。
次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
797:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/03/21(水) 00:21:38.35 ID:VPMsRcodo
絹旗ェ……
乙!
807:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/21(水) 03:41:07.78 ID:6yAhiGdt0
乙です。楽してズルして頂きとか、黒夜ちゃんなんて金糸雀。
798:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/21(水) 00:22:13.26 ID:zg5OxOZuo
乙
そういや上条さんは卒業できたのかな
832:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:12:46.60 ID:PrCZmE9lo
木原ファミリーの名前見てると、落語家一門に見えてくる。
>>798
原作上条さんはとっくに危険水域な気もしますね。
さて今回、SS内で書くことが意外と少ない3カップルのベタベタシーンが入ります。
前回の続きからです。
804:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2012/03/21(水) 01:12:01.18 ID:LOD07qNLo
チョコ+酒なんて媚薬と言っても過言ではない
805:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2012/03/21(水) 02:10:40.88 ID:gITjwpmJo
ウィスキーボンボンとかラムレチョコで酔って大変なことになった先輩は居たなぁ・・・
ともあれ乙
833:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:14:05.89 ID:PrCZmE9lo
~同日 常盤台新寮 301号室 浴室~
白井 「絹旗さん、お身体の具合は?」
絹旗 「吐いて楽にはなりましたけど……」ゴシゴシ
白井 「そうですか。それはなによりですの」
絹旗 「……」ゴシゴシ
白井 「全く。カラッポの胃袋にアルコールなど入れるからですの」
白井 (浴室に咄嗟にテレポートすることで、被害はわたくしと絹旗さんだけで済みましたが……)
白井 (それにしても、能力暴走対策のAIMジャマーとやらも、貧弱な出力ですのね)
絹旗 「……あの、お背中流し終わりました、です」
白井 「はい、ご苦労様」
絹旗 「なんで私がこんなソープ嬢みたいなマネを……」
白井 「わたくしが誰のせいで汚されたと思っておりますの」
絹旗 「超悪かったとは思ってます」
白井 「まあ……前向きに考えましょう。この部屋で、こんな触れ合いの機会も、あと数えるほどしかないのでしょうし」
絹旗 「超寂しいこと言わないでくださいよ」ザブン
834:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:16:19.41 ID:PrCZmE9lo
白井 「あら、寂しいと感じてくださるなんて光栄ですわね」チャプ
絹旗 「え、なんで入ってきてんですか」
白井 「冷えてしまいましたので」
絹旗 「まあ、いいですけども」
白井 「それにしても、まさか絹旗さんに組み伏せられる日がこようとは」
絹旗 「だから超謝ってんじゃないですかぁ……」
白井 「ついてっきり絹旗さんがそちらの道に目覚めてしまったのかと」
絹旗 「ないですから。超ないですから」
白井 「ふふ、この話はこれぐらいにしておきましょう」
絹旗 「超イジワルですね」プイ
白井 「そろそろ大丈夫ですか?」
絹旗 「まだ超ちょっと、頭がグラグラします」
白井 「それほど強烈でしたのね、あのチョコレート」ナデナデ
絹旗 「あんなの注文したのが寮監にバレたらどうするつもりなんですか」
白井 「その辺は抜かりないですの」クスクス
絹旗 「超程々にしてくださいよ」
835:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:17:41.59 ID:PrCZmE9lo
:
:
:
絹旗 「はふぅ」モニャ
白井 (お湯にあてられて、すっかりたれ旗になってしまってますの)
絹旗 「白井さんはー」チャプ
白井 「はい?」
絹旗 「この中学にいる間に、何かやり残したことってあります?」
白井 「あるといえばありますの」
絹旗 「お、なんです?」
白井 「お姉様と結ばれなかったことが、唯一の」ウッ
絹旗 「はいはい、超そんなことだろうと思いました」
白井 「そういう絹旗さんは、何かあるのですか?」
絹旗 「んーーー」
白井 「まあ、思い残すことはないようにしてくださいまし。卒業してしまえば、
この寮にも学舎の園にもおいそれとは入れないのですから」
絹旗 「……あ、そうか! それです!」ザバァァァァ
白井 「あ、絹旗さん。そんな突然立ち上がったら」
836:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:19:06.75 ID:PrCZmE9lo
絹旗 「あぅ」フラッ
白井 「え、ちょ」
バシャーーン ブクブクブク
絹旗 「……ぷっ、は。超あぶねー、あんな超ひどい立ち眩みは初めてですよ」ザバァ
絹旗 「あれ? 白井さん?」
白井 「ゴボゴボゴボ」ベシベシ
絹旗 「わぁぁぁ私の下に!? すいません大丈夫ですかすいません!!」
白井 「はっ……はー……死ぬかと思いましたの」
絹旗 「超事故ですってば!」
白井 「そういうことにしておくとして……何か閃いたのですか」
絹旗 「やり残したことですよ。超正確に言うなら、今じゃないとできないことです」
白井 「と申しますと?」
絹旗 「それはお風呂でてから超ゆっくり語りますよ」ザバ
白井 「また勿体ぶって。それほどのプランだと、期待しておくといたしましょう」ジャブ
絹旗 「うーん、みんなノってきてくれるといいんですけど」ノビー
837:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:20:23.33 ID:PrCZmE9lo
~その頃 第7学区 番外通行邸~
番外個体 「」プシュッ プシュッ
番外個体 (うーん、自分じゃ分からないや)スンスン
番外個体 (白井さんがくれたこの香水、自分でも試しにつけてるって言ってたけど)
番外個体 (チョコ作り真っ最中のあの空間じゃなー、分からないよなー)
番外個体 「ま、いいや。こうしててもしょうがない」
番外個体 「とっつにゅー」
コンコン ガチャ バタン
番外個体 「やっほ」
一方通行 「オイ……ノックからドア閉めるまで3秒って随分な早業じゃねェか」
番外個体 「お忙しい?」
一方通行 「問題ねェ。で、どォしたンだ」カチャカチャカチャ ッターーン!
番外個体 「特に何も。今日はここで寝させてもらおうと思って」ギシ
一方通行 (オイ、マジかよ。こいつまだ折れた部分の痛みひいてねェだろ?)
一方通行 (手を出すワケには……いかねェよなァ)ガシガシ
番外個体 「さっき渡したチョコ詰め合わせの感想も聞きたいしね」ゴロゴロ
一方通行 「あァ……チマチマ食わせてもらってる」
839:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:21:39.00 ID:PrCZmE9lo
番外個体 (なーんか様子がヘンだな。やっぱしずりんや白井さんが言ってた通りなのかねぇ)
一方通行 「」カチャカチャ ッターン!
番外個体 「寝ないの?」
一方通行 「まだキリが悪い」
番外個体 (さすがにこの距離じゃまだ気付かないか)
番外個体 「……あのさ、ギプス取れたっつっても握力戻らないし手首もまだうまく動かないから、
私はみんなみたいにチョコ作れなかったんだけど」
一方通行 「別に気にする必要はねェよ」
番外個体 「そんな私を見かねた白井さんが、面白いものくれたよ」
一方通行 「?」
番外個体 「ちょっとでいいからこっちきて」
一方通行 「なンだよ……」
番外個体 「」ダキッ
一方通行 「……オマエ、この匂い」
番外個体 「チョコレート風味の香水だって。面白いこと考える人もいるもんだね」
一方通行 「甘ったるいな、オイ」
番外個体 「私の残り香がベッドに残るのはイヤかな?」
840:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:23:16.84 ID:PrCZmE9lo
一方通行 (いや、そりゃむしろ歓迎すべきことなンだろォが)
番外個体 「改めて聞くけど、寝ないの?」
一方通行 「……寝るか」
番外個体 「♪」
一方通行 「痛みはねェのか?」
番外個体 「普段はね。冷やしたり、激しく動かしたりすると痛いかな」
一方通行 (つゥことはまだまだお預けだな、こりゃ)
番外個体 「ね、我慢とかしてない?」
一方通行 「あァ? 何の話だ」
番外個体 「今日病院でさ。しずりんからそんな話聞かされたから」
一方通行 (あンの歩く有害図書館、余計なこと吹き込ンでンじゃねェ!!)
一方通行 「心配ねェよ。自分の身体のことだけ考えてろ。復帰も視野にいれねェとな」ナデナデ
番外個体 「……ありがと」ピト
一方通行 「オマエが仕事休んでる間、あのバイトは無職無収入の状態になってるワケだしなァ」
番外個体 「う……善処します」
一方通行 (ちょっとスキャンしてみるか)カチッ
番外個体 (? 今、私の生体電流にノイズが? 何かしやがったな?)
841:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:25:18.15 ID:PrCZmE9lo
一方通行 (骨はかっちりくっついてンな。つゥことは周辺の筋肉と神経の問題か)
番外個体 「今なんかした?」
一方通行 「なンもしてねェし、なンもしねェよ。さっさと寝とけ」
番外個体 「……うん」
番外個体 (あー、この感触もこの匂いもこの温もりも、全部がすっごい懐かしい)スリスリ
一方通行 (……)
番外個体 (うー、落ち着く。なんかふにゃーってなってきた)フニャー
一方通行 (自覚してンのかこいつ……)
番外個体 (あ、ヤバイ。寝そう……もうちょっとこれ味わってたいのに)ギュー
一方通行 (あァァァ、腹空かした野良犬にほンの一口だけ食いモン施すよォなマネしやがってェェェ)
番外個体 (……短パンじゃちょっと寒いなぁ)モゾモゾ
一方通行 (オイオイオイ、なンで脚絡ませてきてンだ誘ってンですかァァァ!?)
番外個体 (う、ここまで、か……)スゥ
一方通行 (ギプスが取れるまで3週間かかった、最低限痛みを感じなくなるまでのリハビリも同じぐらいか……)
一方通行 (俺、悟り開けるかもしれねェ)
番外個体 「」スピー
一方通行 「……いい気なモンだよな、ホントによ」ナデナデ
842:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:26:31.41 ID:PrCZmE9lo
~その頃 第7学区 エツ標邸~
ショチトル 「少し早いが、私はもう休む」
結標 「あら、今日は早いのね」
ショチトル 「すぐに寝るワケではない。……あぁ、そうそう」
結標 「?」
ショチトル 「私はこれから絹旗さんが貸してくれたCDを聞くつもりだ」
エツァリ 「?」
ショチトル 「深夜だし、近所迷惑にならないようにヘッドフォンを使う。
だから呼ばれても気付かないかもしれないし、大きな物音も聞こえないかもしれない」
エツ標 「「」」
ショチトル 「そういうワケなので、お休み」
<ガチャ バタン
結標 「ねえ……もしかして気を使わせちゃってるかな」
エツァリ 「もしかしなくてもそうでしょう」
結標 「むー」
エツァリ 「彼女は聡明なところがありますから」
843:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:28:20.96 ID:PrCZmE9lo
結標 「だとしたらちょっと悪いことしちゃったわね」
エツァリ 「埋め合わせは考えましょうか」
結標 (たまにはお兄ちゃん返したあげたほうがいいのでしょうね)
結標 (でも、今日は……ちょっと、その聡明さに甘えさせてもらおうかな)
:
:
:
結標 「で、さ。何か気の利いた感想はないの?」グイグイ
エツァリ 「と、申されますと?」
結標 「私みたいなのに押し倒されて、挙句馬乗りにされてるなんて。世の中の男子は羨むシチュだと思うけど?」グイグイ
エツァリ 「いや、あの」
――貴方、なんでこんな肩ガチガチなのよ。ちょっとそこに寝なさい。
エツァリ 「と言われたので、実際乗られてるのは背中なワケで」
結標 「そ、れ、で、も」
エツァリ 「体重増えました?」
結標 「なんか言った?」ギリギリギリギリ
エツァリ 「あぁぁぁぁぁ!? 言ってません! 言ってませんからフェイスロックはやめてください!!」
844:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:30:06.74 ID:PrCZmE9lo
結標 「ならいいけど。……よし、こんなものかな。あとは湿布のエツの字張りでもしておきなさい」ポンポン
エツァリ 「あぁ、はい、了解です」
結標 「……」
エツァリ 「……? あの、終わったのならどいて頂いても」
結標 「どいてほしいの?」
エツァリ 「自分の背中に乗り続ける必要もないかなと」
結標 「やっぱり重いんだ」
エツァリ 「そうは言ってませんよ」
結標 (何かしらね、このある種の居心地のよさ)
エツァリ (次はキャメルクラッチでしょうか)
結標 (浜面くんほどじゃないけど、こいつもそこそこ鍛えてるのよね)サワサワ
エツァリ (うわ、くすぐったい!?)ゾゾ
結標 (滝壺さん的にはあれぐらい筋肉質なのがいいのかしら……)
結標 (ま、結局は好みよね。骨と皮だけの漂白エノキみたいなのと付き合ってるのもいるんだし)
エツァリ 「そ、そういえば今日は集まっておられたのですよね。首尾はどうでしたか?」
結標 「あ、そうだ。ちょっと待ってて」ガサガサ
エツァリ 「?」
結標 「はい、これ」
845:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:32:20.46 ID:PrCZmE9lo
エツァリ 「これはまた大量じゃないですか。随分と勝ちましたね」
結標 「パチスロじゃないわよ、バカ。作ったの、みんなでね」
エツァリ 「分かっておりますとも」
結標 「ったく……みんなの作品、全部まとめて入れてあるから」
エツァリ 「……」ガサガサ
結標 「ちなみに、あえて私のも混ぜてあるわよ」
エツァリ 「結標さんのも……?」
結標 「もし一回で当てることができたら……そうね、貴方の命令1つだけ、なんでも従ってあげる」クスクス
エツァリ 「これですよね?」
結標 「えっ? な、んで……?」
エツァリ 「あ、正解ですか。やりましたね」
結標 「そんな……味は食べないとわからないとしても、形やラッピングは頑張ってみんなと同じレベルにしたのに……」
エツァリ 「わかりますとも」ニコニコ
結標 「ぐぬぬ……」
エツァリ 「さて、賭けは自分の勝ちということで。ちょっと考える時間を頂きます」
結標 「言い出したの私だし……今更逃げも隠れもしないから、好きになさい」
結標 (あぁ、もう……ちょっと強気になりすぎちゃったなぁ)
エツァリ (やはり立場の優位が入れ替わると弱いですね)
846:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:34:12.50 ID:PrCZmE9lo
~その頃 第7学区 浜滝邸~
滝壺 「フレメアは寝ちゃった?」
浜面 「バタングゥだぜ。さすがに疲れてたんだろ」
滝壺 「今日は頑張ってたからね。お茶淹れた」カチャ
浜面 「ややっ、これはかたじけない」
滝壺 「ところで、これってチョコ?」
浜面 「あぁ、麦野とミサワの姐さんからもらった分だな」
滝壺 「……みさわは分かる。今日病院に送るって聞いてたから。でもむぎのも?」
浜面 「病院で出くわしたんだよ。自分が食うのに買ったから、ついでにやるってな」
滝壺 (嘘。ついで、だったらこんな綺麗にラッピングしてるハズがない)
浜面 「ま、ついでだろうと恵んでもらえるならありがたいってもんだよな」ハハハ
滝壺 (しかもこれ、小さいのでも何千円する高級ブランド……むぎの)
浜面 「……あ、あのー、滝壺さん?」
滝壺 (負けられない。今日の私はちょっと攻撃的)メラメラ
浜面 (あれ? 俺なんかマズったか?)
847:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:35:27.33 ID:PrCZmE9lo
滝壺 「はまづら、これはみんなから」ガサッ
浜面 「おお!? なんだこの多種多様なチョコのIT革命は!」
滝壺 「今日作ってたんだよ。それはみんなの作品」
浜面 「そうか。今日はチョコ作り大会だったのか。……だからさっきフレメアのヤツ、
俺の口にチョコバナナ突っ込んできたんだな」
滝壺 「それはフレメアが作ったやつだね」
浜面 「で、滝壺さんのはどれでしょうか」ガサゴソ
滝壺 「こっち」
浜面 「え」
滝壺 「はい、あーん」
浜面 「」アーン
滝壺 「おいしい?」
浜面 「大福、か? おお、モチモチだぜ!」モキャモキャ
滝壺 「まだあるよ」
浜面 「は、はい、いただきます」アーン
滝壺 「でもよかった。気に入ってもらえて」
浜面 「当たり前だろうが! 手作りチョコ大福をアーンしてもらえるなんて、俺は世界中の男どもからの嫉妬を一身に受けてるぞ」
滝壺 「……そっか」
848:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:37:06.03 ID:PrCZmE9lo
浜面 (? 今一瞬、目の色が変わらなかったか?)
滝壺 「じゃ、次も口で受け取ってね」パク
浜面 「え?」
滝壺 「ん」
浜面 (次なるチョコ大福があるのは、滝壺のやわらかそうな唇の間。口で受け取れってつまり……にょほー!?)
滝壺 「」ジー...
浜面 (………………フリーズしてる場合じゃねぇ! ま、待たせるワケにもいかんのよな)
浜面 (こ、こ、こ、これが初めてのチュウでもないだろ! 慌てるな、俺!)
浜面 「し、失礼します」スッ
滝壺 (はまづら、真っ赤。かわいい)
浜面 (う、受け渡し成功。味がもうよく分からん)モキュモキュ
滝壺 「溶けてない?」
浜面 「だ、大丈夫です!」
滝壺 「そっか、よかった。まだあるよ」
滝壺 (次はどうしようかな)
滝壺 「」ピンポン
滝壺 「ちょっと待って」プチ プチ
849:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:39:43.91 ID:PrCZmE9lo
浜面 「」ブシュー
浜面 (なんでパジャマの前のボタンを外してるんでしょうかぁぁ!?)
滝壺 「次はここ」
浜面 (あ、ありのまま今起こったことを話すぜ! 滝壺がそのふくよかな胸の谷間に
チョコ大福を置いた。何を言っているのかわからねーと思うが)
滝壺 「早くしないと溶けちゃうよ」
浜面 (おい、チョコ大福。そこ代われ、すぐ代われ)
滝壺 「はまづら? やっぱりやりすぎだったかな」
浜面 「いやいやいや、そのお気持ちはすごく嬉しいでございますよ!」
滝壺 「じゃ、ほら」
浜面 「……やっぱり、これも口で拾わなきゃダメ?」
滝壺 「任せる」
浜面 (滝壺がここまでしてくれてんだ……俺が怖気づいてどうする!)
浜面 「……う、動かないでくれな」スッ
滝壺 (息がかかってくすぐったい)ブルッ
浜面 (……ど、どうにか大福は救出、いや回収できたが……さっき鼻血を出しすぎた、浜面もう限界)
浜面 「ハマー」バタッ
滝壺 「あれ? はまづら?……寝ちゃった、まだ半分近く残ってるのに」ツンツン
滝壺 「ちょっと攻撃的過ぎたのかも」
850:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/25(日) 01:40:52.36 ID:PrCZmE9lo
といったところで、今回はここまでです。
カップルが仲良くするシーンを、血と涙と砂糖の混合物を吐き出しながら
書くのはすごく楽しいです爆発しろ。
#9 は今回で終了で、次回からは#10となります。
次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
851:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/03/25(日) 01:42:05.85 ID:TUQn4sSIo
乙
浜面爆発しろ
852:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/25(日) 01:42:46.78 ID:jjvfruHb0
全員爆発
856:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府):2012/03/25(日) 01:49:15.35 ID:Sk/sSWzjo
乙
浜面だけは爆発しろ
859:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/25(日) 02:18:29.00 ID:7P0DtQ9Lo
エツァリは何を要求したんです⁈
874:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:47:14.43 ID:fMBrE9SLo
>>859
答えはあなたの心の中に。
それでは始めさせて頂きます。
今回からは #10 に入ります。
861:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/25(日) 02:33:47.31 ID:ial7jJNro
一方さん洗面所でパンツを洗うハメになれ
875:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:48:29.37 ID:fMBrE9SLo
――#10 きぬ散歩
876:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:49:37.71 ID:fMBrE9SLo
~2月下旬 第7学区 とある大通り~
結標 「滝壺さん」
滝壺 「うん?」
結標 「大学関係の手続きってもうしてる?」
滝壺 「うん、時期が時期だし」
結標 「私もしないとなぁ」
滝壺 「まだなの?」
結標 「ああいう書類仕事っていうの? 得意じゃないのよね」
滝壺 「でもしないと」
結標 「分かってるんだけどね」
滝壺 「なにか問題があるの?」
結標 「ううん、メンドくさいだけ」
滝壺 「そんなむすじめは応援できない。お手伝いもできない」
結標 「手厳しいわね。ま、自分でどうにかしなきゃいけないことなんだけどさ」
滝壺 「当然」フンス
877:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:50:43.95 ID:fMBrE9SLo
結標 「さて、待ち合わせって言ってた時計台はここだっけ?」
滝壺 「……うん、来てる」
結標 「AIM?」
滝壺 「ううん、そうじゃなくてあれ」
結標 「あら……ずいぶん早く来てたのね」
滝壺 「早く行こう」タタタ
番外個体 「お、ご到着だね」
結標 「待たせちゃった?」コツコツ
番外個体 「この缶コーヒーがカラッポになる程度には」
結標 「つまり全然待ってないってことね」
番外個体 「なんでだ!」
滝壺 「とりあえずこの3人?」
番外個体 「あれ? お兄ちゃんは?」
結標 「ショチトルを病院に送ってから来るって。だから現地合流ね」
滝壺 「定期健診?」
結標 「うん、そんなところ」
番外個体 「大変だねぇ、あの子も」
結標 「落ち着いてるみたいだから、定期健診の間隔も前に比べれば大分空いてるけどね」
878:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:52:36.28 ID:fMBrE9SLo
滝壺 「じゃあ、私たちも移動しよっか」
結標 「そうね。今から行けば丁度良いでしょ」
番外個体 「向かうとしますかね」ポイッ
ガランッ カランカラン
番外個体 「やべ、ゴミ箱外した……ま、いいか。頑張れお掃除ロボ」
結標 「何してるのよ、ちゃんと捨ててきなさい」
:
:
:
結標 「にしても貴女、その格好は大丈夫?」
番外個体 「別に服装の指定なんてないでしょ?」
結標 「悪目立ちしそうなのよね……」
滝壺 「今日の服、なんていうかワルっぽいよね」
番外個体 「いやぁ、クロちゃんお勧めのブランドで一式揃えたらこうなっちゃったんだよね」ニャハハ
結標 「ま、本人が楽しんでるならいいんだけどさ。お店再開すればこんな格好もできないでしょうし」
番外個体 「あ、ちなみにショチトルもこんなん買ってたよ」
結標 「え!? あの子もこんな鋲やら鎖がジャラジャラついた服買ってたの!?……らしくないっていうか」
滝壺 「イメチェンかもしれない」ウン
879:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:54:33.33 ID:fMBrE9SLo
結標 「お兄ちゃんが心配するかもね。"自分の妹がこんな不良なわけがない"って」
番外個体 「んな大袈裟な。……滝壺さんだって、今日はいつもの服じゃないじゃん」
滝壺 「うん、断られるかもしれないと思ったから」
結標 「ドレスコードなんてないハズだけど。でも、ピンクじゃない滝壺さんもなんか新鮮ね」
滝壺 「スカートなんてすごい久しぶりだし、黒ストは買ってこないとなかった」ヒラヒラ
番外個体 「なんか見覚えあるスカートだと思ったら、去年淡希が選んだヤツ?」
結標 「ケープジャケットは貴女のチョイスよね」
滝壺 「組み合わせ」フンス
結標 「お気に召してもらえてるようでなによりね」クスクス
滝壺 「むすじめは、今日は普段より落ち着いてるよね」
番外個体 「淡希が脚もヘソも晒してないなんて。今日は露出狂指数が低いな」
結標 「何よその指数は!……場所が場所だからね、普段よりは気を使ったわよ」
番外個体 「ストリーキングでもしない限り、追い出されるってことないでしょ」
結標 「それでもよ。なーんか気を使っちゃったのよね。箱入りのお嬢様ばっかいるんでしょうし」
滝壺 「今日の第一目的地、学舎の園だしね。雰囲気にのまれないようにしよう」
880:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:56:22.96 ID:fMBrE9SLo
~その頃 第7学区 学舎の園 正面ゲート~
婚后 「久しぶりですわね、ここも……」ハゥ
絹旗 「用事がなけりゃ近づきもしないでしょうしね」
白井 「おいそれと入れるところでもございませんし」
絹旗 「にしても婚后さん、やけに早い到着じゃないですか」
婚后 「学舎の園は第18学区からは程近いですから」
絹旗 「そういえば、第18学区の住み心地はどうですか。近々、白井さんがそっちに超輸出される予定なんですけど」
白井 「輸出って」
婚后 「年齢層が少し高いだけで、第7学区と大差ごさいませんわよ……あ、いや」
白井 「?」
婚后 「第7学区よりは少々お堅い感じがするやもしれません」
絹旗 「と言いますと?」
婚后 「娯楽施設の数だとか」
白井 「それであれば、問題はあまりないかと」
絹旗 「え? ないんですか? ゲーセンとか映画館とか、生活超必需品だと思いますが」
白井 「それは絹旗さんだからでしょう。わたくし一人なら、あまり利用しませんもの」
881:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:57:25.96 ID:fMBrE9SLo
絹旗 「え? でもヒトカラとか行ってましたよね」
婚后 「白井さん……?」
白井 「そ、それはあの、人伝に聞いたストレス解消法で、なかなか効果があってですね」ワタワタ
婚后 (ヒトカラってなんでしょうか? と聞こうとしたのですが)
<ギャギャギャギャギャギャギャギャ
婚后 「!?」
白井 「な、なんですの?」
絹旗 「タクシーが超ドリフトしながらこっちにきてますよ」
婚后 「なっ、なにをそんな平然と!」
キキーーーーッ
白井 「」
婚后 「あっ……あぶなっ……」ガクブル
<ガチャ
エツァリ 「いやぁ、助かりました。ありがとうございました」ペコ
絹白婚 「「「」」」
882:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 01:58:48.10 ID:fMBrE9SLo
<ブロロロ
エツァリ 「おや、みなさんお揃いで」
白井 「お揃いで、ではございませんの!」
婚后 「なぜハリウッド映画のような登場の仕方を」
エツァリ 「急ぎ目でお願いします、と言ったら運転手さんが本気になってしまったようでして」
絹旗 「超クレイジーなタクシーですね」
エツァリ 「正直、生きた心地がしませんでした」ニコニコ
婚后 「わたくしならとうに果てているでしょう」
白井 「……あら? お一人ですか?」
エツァリ 「ええ、先に用事がありましたので。現地合流という形に」
白井 「では、残るはあと3人ですわね」
絹旗 「結標さんが一緒なんですよね? だったら虚空から超沸いて出てきそうですけど」
エツァリ 「うーん、余程時間に余裕がなければそれもあるでしょうが」
白井 「しないでしょうね。連続で空間移動は疲れますもの」
絹旗 「あ、やっぱりそうなんです?」
白井 「そうなんです」
883:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:00:43.95 ID:fMBrE9SLo
絹旗 「でも普段からナギナギ飛んでますよね」
白井 「自分一人ならまだ……絹旗さんが加わると負荷が高まりますが」
絹旗 「え、それじゃ私が超重いみたいじゃないですか!」
婚后 「白井さんの転位限界重量だと、絹旗さんと白井さんの2名でもう3分の2ですものね」
絹旗 「超お言葉ですが、それは白井さん自身の重量の増加も関係してるんじゃないかと」
白井 「んなっ!?」
エツァリ 「そうなんですか?」
絹旗 「白井さんが体重計ってるの覗いたら、よんじゅう」
白井 「ちぇすとぉぉぉぉぉ!」ドキャッ
絹旗 「ほぎゃ!」ドサッ
白井 「お兄様、大したことではございませんの。どうぞお忘れになってくださいまし」ホホホ
エツァリ (困りましたね……定着しつつあるようですが)
<あれ?どうしたの?
エツァリ 「おや、皆さんご到着ですね」
番外個体 「これはどういう状況?」
滝壺 「きぬはた、大丈夫?」ツンツン
絹旗 「」ピヨピヨ
884:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:02:33.18 ID:fMBrE9SLo
婚后 「端的に言えば、白井さんの膝が絹旗さんの側頭部にクリーンヒットしまして」
番外個体 「あ、なるほど。そりゃピヨりもするわ」
結標 「どうしてそういう展開になったのよ……」
絹旗 「あいたたた」ムクリ
滝壺 「あ、起きた。触れる……ちっそアーマー、展開してなかったんだね」ポムポム
絹旗 「ええ、まあ。っていうか白井さん、いきなりテレポ式シャイニングウィザードは超ヒドイですよ!」
白井 「先日、寮の部屋でもらったジャーマンスープレックスホールドのお返しですの」
婚后 「何をしておられるのですか、二人とも……」ハァァ
結標 「まるっきりキャットファイトよね。この二人だと、なぜか余計にそう感じる」
番外個体 「名門女子中学の実態ってのも、こんなもんなのかな」
滝壺 「女子校なんてどこも似たようなものだよ」
エツァリ (いやぁ、会話に参加しづらいですね)
:
:
:
絹旗 「ええと、それで。これで全員ですか」
結標 「小さいコンビは今日来てないのね」
885:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:04:26.49 ID:fMBrE9SLo
番外個体 「二人ともウチにいるよ。勉強会と料理の練習だとか。これは前々から決めてたから、今日はいいって」
滝壺 「お世話になってます」ペコリ
白井 「LEVEL5の家庭教師とは。お二人の将来が楽しみですの」
エツァリ 「それで、一方通行さんも今日は不参加なのですか」
番外個体 「それもあるんだけどさ、極力外出たくないらしいよ。今年から花粉症デビューしちゃったから」
婚后 「あら、災難ですわね」
結標 「反射頼みの人生送ってきたもんだから、そういうのに弱いんでしょ」
番外個体 「仰るとおりで」ケラケラ
絹旗 「あとは……一応、あくまで超一応聞いておきますが、浜面は?」
滝壺 「はまづらもお勉強。"そろそろ本気にならないとヤバイ"って」
結標 「あぁ、資格の?」
滝壺 「うん」
白井 「浜面さん、そちらの業界を目指すと宣言してから結構経つような気もしますが」
エツァリ 「それだけ難関の資格ということではないですか」
婚后 「頑張って頂きたいものですわね」
絹旗 「それじゃ、揃ったところで確認しときましょうか」
886:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:07:11.82 ID:fMBrE9SLo
結標 「確認って?」
白井 「まず、なぜここに来たか、なのですが」
滝壺 「そういえば、なんで学舎の園なの?」
絹旗 「私と白井さんが超卒業しちゃったら、もう入れなくなっちゃうからですよ」
白井 「なので、せめて今のうちに皆さんと見て回ろうと思いまして」
番外個体 「でもそれって卒業できれば、の話でしょ?」
絹旗 「できますよ!」プンスコ
婚后 「ですが確かに、お二人が卒業してしまえばわたくしたちも入る伝手がなくなりますわね」
エツァリ 「だから今日はお招き頂けた、と」
絹旗 「まあ、大したものがあるかっていうと、ないんですけど」
婚后 「町並みは素敵だと思いますわよ」
結標 「普段行けないような場所なら、歩くだけでも楽しいじゃない」
白井 「さて、この中に入るにあたって注意事項があるのですが」
滝壺 「AIM酔いに注意、とか?」
絹旗 「それは滝壺さんだけですよ」
白井 「この後、そちらのゲートで手続きをして頂きます。身分を証明できるものをご準備ください」
887:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:10:00.30 ID:fMBrE9SLo
番外個体 「IDカードか免許証でいいよね?」ゴソゴソ
絹旗 「超問題ないと思いますよ」
婚后 「わたくしは免許証がないので、こちらになりますわね」スチャ
エツァリ 「他、注意はございますか。男子禁制だとか」
白井 「男の人でも正規の手続きを踏めば大丈夫ですの、きっと。ただ、良くも悪くも目立つのは覚悟して頂きますが」
エツァリ 「……」
結標 「誰かに変装しようとか考えないでよ」
エツァリ 「いやだなぁ、するワケないじゃないですか」
絹旗 「あと目立つ行為は超控えてください。雷を落とすとか服を脱ぐとか」
番外個体 「それ、私と淡希を狙い撃ちで言ってるよね」
結標 「待って、なんで後者が私なのよ」
婚后 「それぐらいではないですか? 少々特殊な環境というだけで、外国に行くという訳でもございませんし」
絹旗 「じゃ、そろそろ行くとしましょうか」
白井 「みなさん、準備はよろしいですか?」
絹旗 「……あれ? IDカード……」ゴソゴソ
白井 「……絹旗さん、忘れたというならここに置いていきますの」
絹旗 「あります! ありますから置いてかないでください!」ガサゴソ
888:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:11:32.90 ID:fMBrE9SLo
~同日 第7学区 学舎の園~
滝壺 「おお」キョロキョロ
結標 「話は聞いてたけど、ここまでとはね」
番外個体 「いいね、この雰囲気。ヨーロッパみたいで」
婚后 「はあ、約一年ぶりですわ」
エツァリ 「……すでに居辛いのですが」
絹旗 「あー、やっぱ男の人は超目立っちゃいますね」
白井 「お兄様ですと複合的要因で余計に、ですわね」クスクス
<あら、殿方なんて珍しい。
<外国の方でしょうか。
<顔立ちが整っておられて。
番外個体 「せめてこっちに聞こえないボリュームで話せっての」
結標 「……手繋ぎましょ」
エツァリ 「はい?」
結標 「あ、それとも腕組んだほうがいい? あててほしい?」
エツァリ 「いや、あの」
結標 「いいから、ほら」グイ
889:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:13:41.56 ID:fMBrE9SLo
滝壺 「対抗心だよね」
番外個体 「んもう、メラメラだね」
白井 「あの、多少好奇心を含んだ目を向けてくるのは許してあげてください。ここには、
ここから殆ど外に出たこともない生粋の箱入りも少なくありませんので」
絹旗 「そういう意味では、私と白井さん以外の人は多かれ少なかれ超注目されますよ」
婚后 「ミサワさんなど、今日の服装だと女性ロッカーか何かだと思われるかもしれませんわね」クスクス
番外個体 「え、そこまで?」
白井 「まあ、どう思うかは人次第ですが」
番外個体 「……言われてみりゃ、なんかチラチラ見られてるような」
結標 「自意識過剰」
番外個体 「あー、そうだねー。私なんかよりどこぞのカップルが注目されてるみたいだねー」
<まあ、手を繋いで……
<妊娠してしまいますわ。
結標 「」
エツァリ 「……移動しましょうか」
絹旗 「お兄ちゃん、超ビビっちゃいました?」
白井 「しっかりなさってください、お兄様」
890:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:15:21.43 ID:fMBrE9SLo
婚后 「気後れすることもございませんわよ、お兄さん」ポンポン
滝壺 「定着してるよね、お兄ちゃんってニックネームが」
結標 「ショチトルが"お兄ちゃん"って呼ぶのを解禁して人前でも憚らなくなっちゃったからね」
エツァリ 「はは……とは言っても、冷やかし半分でしょう」
絹旗 「じゃ、ここでじっとしててもしょうがないですし、超適当にフラつくとしましょうか」
白井 「そうですわね、参りましょう」
番外個体 「カフェってあるかなー。なにか参考になるようなものを得られるかもしれない」
白井 「もちろんございますの。後で参りましょう」
滝壺 「あ、見たことない信号機」
結標 「信号とか街灯のデザインまで拘ってるのね」
エツァリ 「ここまで来ると、ちょっとした異国気分ですね」
婚后 「建物や路面舗装も含めて、意匠は全て統一されておりますのよ」
番外個体 「……」
絹旗 「どうしました?」
番外個体 「いや、警備員とかドライバーもみんな女性なんだなぁと思って」
白井 「そうですの。ここでは働いている方も全員女性です」
エツァリ (なるべく目立たないようにしませんと)
891:
◆8GNB4AEvC.:2012/03/28(水) 02:16:36.71 ID:fMBrE9SLo
といったところで、今回はここまでです。
学舎の園って殿方は入れましたっけ、大丈夫ですよね。
散歩、と言ってますが実際はただノリと思いつきで遊び歩くだけの話です。
次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
895:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:34:10.88 ID:us6R1hsO0
乙!
何で女子って体重気にするんだろ
897:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 05:45:16.71 ID:C0WiN4Kn0
>>895
女性の体重を気にする男性がいるから
やせ気味のスリムな女性が美しいと世間一般に認識されているから
898:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 07:51:47.33 ID:qi7EWqQDO
乙
うん懐かしいな、この男がエツァリだけうらやま爆発しろ感
913:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:06:51.65 ID:tLnBzmgBo
既にお気付きの方もおられますが、今回の話は初期メンバーだけで進んでいきます。
海原はエっツァんに戻っちゃったし、当初掲げていたLEVEL4のSSというのも
看板に偽りありな状態となってますが、ゆるりとお付き合い頂ければ幸いです。
初期メンバーだけにした理由は二つありますが、語るもんでもないので黙っときます。
さて、最近こんな時間にばかりなってしまって申し訳ございません。
前回の続きから始めさせて頂きます。
914:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:08:02.17 ID:tLnBzmgBo
滝壺 「あ、メイドさんのグループだ」
番外個体 「こんなところにまでサブカルチャーの波が」
絹旗 「違いますってば。あの人たちは超本職ですよ。繚乱の生徒さんたちです」
エツァリ 「繚乱というと、繚乱家政女学校ですか」
婚后 「実地研修でしょう。あちらの生徒さんが派遣されてくるのは珍しいことではございませんし」
結標 「そういえば、街中でもたまーに見かけるわね」
白井 「彼女らはあちらこちらに研修で赴いておられますから」
番外個体 「ふーん……あれが正統派のメイドさんか。あの服が似合いそうな人はこの中にゃいなさそうだね」
結標 「私たちが着込んでも、戦闘用メイドとか思われるのがオチよ」
エツァリ 「いつぞや拝見しましたが、絹旗さんと白井さんはよくお似合いだったと思いますよ」
絹旗 「え、なんでそこで私が出てくるんですか」
婚后 「昨年の盛夏祭のときのことを仰っているのでしょう」
白井 「ああ……あの時は確かにメイド服を着ておりましたわね」
絹旗 「普通のメイド服か、婚后さんが持ち込んだ和風メイド服の二者択一を迫られて、結局超普通のメイド服にしたんですよね」
婚后 「あれのどこに不満を持てるのか、納得しかねますわ」ムー
滝壺 「和風……そっちも気になる」
婚后 「滝壺さんなら、あれのよさがきっと分かって頂けるかと」キラキラ
915:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:09:27.26 ID:tLnBzmgBo
エツァリ 「気になりますね。どのようでデザインで?」
絹旗 「なんていうか……戦闘用巫女?」
白井 「ベースは巫女さんなのでしょうね」
滝壺 「つまり陰陽師?」
番外個体 「あー、なんかの格ゲーにそんなキャラがいたような」
結標 「いっそ貴女のところで制服に採用したら?」
番外個体 「別にいいけど着るのはショチトルだよ。その辺、お兄ちゃんはどうよ?」ツンツン
エツァリ 「いやぁ……こういうのは本人がどう望むかですから」
婚后 「試着をご所望ならいつでも声を掛けてくださいな」
絹旗 「でも制服の採用なんて、予定あるんですか?」
番外個体 「んー……どうだかね」チラッ
エツァリ 「」
結標 「貴方、何か企んでるんじゃないでしょうね。あのメイド好きと結託して」
エツァリ 「それは! それはないです! 義妹をあの変人の趣味に関わらせると思いますか!」
結標 「……それもそうなんだけど、さ」
白井 (変人……いったいどのような方なのでしょう)
婚后 (そこまで変なのでしょうか、あの服は)
916:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:10:45.58 ID:tLnBzmgBo
:
:
:
滝壺 「ねえ、ここでしか見られないものって何かあるかな」
絹旗 「あー、なんでしょうね……常盤台の校舎とかですか?」
番外個体 「もっとこう、名物とかないの?」
婚后 「名物ですか」ウーン
エツァリ 「例えば、ここでしか入手できない銘菓とかでしょうかね。"学舎の園のお嬢様が端正込めて焼いた煎餅"だとか」
絹旗 「それを学舎の園限定で売って誰が得するんですか」
白井 「あ、それでしたら」
結標 「あるの? 煎餅」
白井 「さすがにお煎餅はございませんが、学園都市内ではここにしか出店してないパティスリーがございますの」
婚后 「あぁ、あの絹旗さんお気に入りのお店ですわね」
滝壺 「きぬはたの? 何かあるの?」
白井 「絹旗さんはあそこのチーズケーキが大好物で、この間もホールサイズをそのままかじってましたの」
絹旗 「こっ、後半は超ウソですからね! で、行くんですか? 行かないんですか?」
番外個体 「私は賛成」ハイ
917:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:11:34.69 ID:tLnBzmgBo
結標 「ちょっと早いけど、休憩にはいいんじゃない?」
滝壺 「ケーキ食べたい」wktk
白井 「お兄様は?」
エツァリ 「ええ、構いませんよ」
絹旗 「どうやら決まりですかね」
婚后 「この人数だと、多少待つことになるかと思いますが」
番外個体 「大丈夫でしょ。時間はあるんだし」
白井 「ではご案内いたしますの」
~同日 学舎の園 超有名パティスリー~
滝壺 「あれ? このお店の名前、なんか見たことある」
結標 「雑誌かなにかで見たわね」
婚后 「そこそこ名の知れたお店らしいですわね。味も悪くはないかと」
白井 「さ、入りましょう」
絹旗 「すみません、7名なんですが」
店員 「ええと……申し訳ございません、少しお待ち頂くことになりますが」
918:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:12:37.06 ID:tLnBzmgBo
絹旗 「超いいですよ」
店員 「申し訳ございません。では、お待ちの間にケーキをお選びになってください」
エツァリ 「とのことですよ」
結標 「貴方、大分慣れた? 比喩とかじゃなく、見渡す限り男は貴方しかいないけど」
エツァリ 「慣れたというか、麻痺と言ったほうが近いですね」ニコニコ
番外個体 「あれ?」
滝壺 「どうしたの?」
番外個体 「私が間違えてるのかな。パティスリーって平たく言えばケーキ屋だよね」
滝壺 「そうだね」
番外個体 「私には、ショーケースに洒落たディスプレイ小物が並んでるように見えるのだが」
白井 「大きいお姉様、こちら全部ケーキですの。食べれますの」
婚后 「造形が凝ってますもの。机に飾られていても不自然さはありませんわね」クスクス
絹旗 「ちょっと食べづらいですけどね」
滝壺 「どれにしよう」ウーン
結標 「お勧めってある?」
919:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:14:10.66 ID:tLnBzmgBo
絹旗 「ベイクドチーズケーキ一択です!」キッパリ
番外個体 「そっか。じゃ、私レアチーズケーキ」
絹旗 「」ムー
エツァリ 「では自分は絹旗さんのお勧めにしてみましょうか」
絹旗 「さすが、お兄ちゃんになる人は超分かってますね」
滝壺 「迷う……」
婚后 「迷ったのなら、いっそ全部食べてしまえばよろしいですわ」
滝壺 「さすがに5個は食べれないよ」
結標 「5個ぐらいなら、後を気にしないのなら軽いのでしょうけどね」
番外個体 「気にしてどうするの、ここまで来て。次がいつかなんて分からないんだよ?」
白井 「そうですの。先ほども申し上げた通り、こちらのお店は学園都市内ではこちらにしかないのですし」
結標 「……分かった。だったらこうしましょ。貴女、自分が食べたいのと合わせてこれとこれ、一緒に頼みなさい」
番外個体 「…………あぁ、なるほど。そういう魂胆ね。じゃ淡希はこれ、一緒に頼んでよね」
滝壺 「ちょっと待った。その取引、私も乗った」
<ワイワイ
<アラアラ
920:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:15:44.71 ID:tLnBzmgBo
白井 「で、絹旗さんはもうショーケースに目を向けていないようですが。お決まりですか?」
絹旗 「私ですか? ベイクドチーズケーキ3つです」
白井 「本当にお好きなのですね」クスクス
~しばらくして~
店員 「ごゆっくりどうぞ」ペコリ
絹旗 「ようやく食べれます」キラキラ
番外個体 「……コーヒーが苦めなのは、ケーキに合わせたからかな」
婚后 「おそらくは。甘いものでたるんだ口中を引き締めるためでしょう」
滝壺 「むすじめ、フルーツタルト食べたいんだったよね。ここからこっち、食べていいよ」
結標 「……私、出来ればそっちのピーチがある側が欲しいんだけど」
滝壺 「だめ。ピーチは私の」
結標 「そこをなんとか」
滝壺 「だめ」
結標 「……付き合ってもらった手前、逆らえないわね。じゃ、頂きます」
エツァリ 「これは結構なお点前で。この後の予定がなければお土産に買いたいところでしたね」
白井 「買ってもよろしいかと。保冷剤はサービスですし、外に出た後は冷蔵コインロッカーに預ければよろしいですし」
921:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:17:43.18 ID:tLnBzmgBo
番外個体 「私も買ってくかな……でないと、恨み節が長引きそうだし」
滝壺 「同じ理由で私も買っていこう」ウン
婚后 「あの子たちが"ズルイズルイ"と言うのが目に浮かびますわね」クスクス
エツァリ 「自分のところはズルイとは言わないでしょうが、逆に数日は口をきいてくれないでしょうね」
白井 「お兄様という立場も大変ですのね」
結標 「ほら、イチゴのショートは貴女のリクエストでしょ。残り半分は食べなさい」
番外個体 「……しまった。イチゴには手を出すなって言い忘れてた」ガックシ
結標 「ゴメンねー、言われなかったから気付かなかったわー」
番外個体 「ぐぬぬ」
滝壺 「むすじめも。このチョコのヤツ」ハイ
結標 「あっ……てっぺんのチョコ細工は……」
滝壺 「?」パリポリ
結標 「……なんでもない」
婚后 「熾烈な駆け引きの応酬ですわね」
白井 「甘いものを目の前にした女子は、さながらハンターですの」
エツァリ 「ところで、先程からやけに無口な方がおられるようですが」
922:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:19:33.00 ID:tLnBzmgBo
結標 「そう言えば、一言も喋ってないわね」
婚后 「あの、大丈夫ですか?」ツンツン
絹旗 「ふぇ? 何がですか?」モキュモキュ
滝壺 「食べるのに夢中だったんだね」
白井 「というよりは、好物を久しぶりに口にしてヘブン状態になったのかと」
番外個体 「食べてる最中、幸せそうな顔してたもんねぇ」
絹旗 「え、どうしたんですか? なんで私注目されてるんですか?」
白井 「絹旗さん、お口元に食べカスが」フキフキ
絹旗 「モゴ」
結標 「この口拭きシーンを見るのも何度目かしらね」
番外個体 「……私、絹旗さんの口拭いてあげたことないかも」
婚后 「よろしければ今どうぞ。こちらの口元に」
絹旗 「超いいですから! 自分でやりますから!」
白井 「」コソコソ
滝壺 「しらいはなんで口元にクリーム塗ってるの?」
白井 「なんでもございませんの」フキフキ
923:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:20:47.10 ID:tLnBzmgBo
:
:
:
エツァリ 「では、自分はちょっと持ち帰り用を見繕ってきます」
番外個体 「あ、そういうことなら私も」
滝壺 「私もいくよ」
結標 「急がなくていいからね」
<あ、もしかしてお兄ちゃんのおごり?
<さすがお兄さん。
<え?いやいやいや。
結標 「はー、それにしても絹旗さんと白井さんも卒業かぁ」
婚后 「あら、何か思うところでも?」
結標 「なんか私も歳とったなーって」
絹旗 「そういう結標さんは今年から大学で、来年には成人式じゃないですか」
白井 「事実歳をとってますの」
結標 「黙りなさい。……そっか、成人式か。言われて思い出したわ」
婚后 「結標さんが、ということは。滝壺さんとミサワさんもということになりますわね」
絹旗 「行きますよね? 成人式とやらに」
924:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:22:26.93 ID:tLnBzmgBo
結標 「どうかしらね。時期が近づいてきたら相談してみようかな」
白井 「一生に一度なのですから、参加すればよろしいですのに」
結標 「前向きに考えておくわ」
絹旗 「あ、そうだ。結標さんと滝壺さんは同じ大学を受けたと、ミサワさんから超聞いたんですけど」
結標 「うん、目指す分野が同じだったからね。合わせたんじゃなく、被ったって感じかな」
絹旗 「どんなところなんですか?」
結標 「教育分野の従事者の育成にはかなり強いところだって評判だけど」
婚后 「なるほど。お二人が目指す職を考えると、適切な選択ですわね」
絹旗 「……なんかどっかで聞いたような」
白井 (あれですの。第7位様がおられるところですの)ヒソヒソ
絹旗 (あぁぁぁ、超思い出しました!)ヒソヒソ
結標 「どうしたのよ」
絹旗 「いえ、きっと結標さんと滝壺さんのキャンパスライフは超騒がしいものになるのかなぁと」
結標 「まあ、この一年は割とゆっくりしてたから、ギャップはあるでしょうけど」
白井 「そうではなく……きっと入学したらお分かりになるかと」
結標 「?」
925:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:24:27.77 ID:tLnBzmgBo
番外個体 「おっまたせー」
滝壺 「買ってきた」ホクホク
エツァリ 「お待たせしました」
絹旗 「あ、超お帰りなさい」
結標 「あら? 結構買ったんじゃない?」
婚后 「その箱は最大10個入れられるサイズですが」
滝壺 「自分用込み」
番外個体 「だね。それに一個じゃ満足してもらえないだろうし」
エツァリ 「ミサワさんは大丈夫ですか? あまり日持ちはしませんよ」
絹旗 「オイ、クソガキ! 一日一個までつってンだろォが!……って言いそうな人がいますけど」
白井 「地味に似てですの」
番外個体 「いないときか、もしくは追い出してから食べさせりゃいいよ」
婚后 「服装通りにワルの発想ですわね」クスクス
結標 「黒夜さんお勧めブランドだから、黒夜さん属性が伝染ったかしら」
絹旗 「あ、なんか超見たことあると思ったら、そこだったんですか」
番外個体 「まーね」ニャハハ
滝壺 「……」
926:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:26:18.82 ID:tLnBzmgBo
エツァリ 「滝壺さん? どうされました?」
滝壺 「食べたら眠くなってきちゃった」
結標 「滝壺さんが寝入っちゃう前に次行きましょうか」
絹旗 「次なんて決めてないですよ」
婚后 「では歩きながら決めるといたしましょう」
白井 「もとより、今日はそういったプランなのですし」
番外個体 「じゃ、そろそろ行こうか」
結標 「いつまでもこの人数で席を占有してるのも悪いしね」
婚后 「いつの間にやら待ち行列まで出来てますし」
絹旗 「ありゃ、いつの間に」
エツァリ 「ではそろそろ」
結標 「ね、こういう場面では男の人が気前よく払うものよ」
エツァリ 「あのですね、自分はモグリの留学生で皆さんのように奨学金を得ていない身分でして」
絹旗 「いいじゃないですか、お兄ちゃん」グイグイ
エツァリ (しばらく昼食は水道水にすればなんとかいけますか……?)
白井 「はいはい、それまで。お兄様もお困りでしょう」グイ
絹旗 「いたたたた! ちぎれるっ! 耳超ちぎれますから!」
927:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:27:58.33 ID:tLnBzmgBo
~同日 学舎の園 とある通り~
絹旗 「白井さんのせいで福耳になっちゃったじゃないですか……」
白井 「そのうち戻りますの」
絹旗 「ミサワさん、大丈夫ですか? 超目立ってませんか?」
番外個体 「んー? ついでにピアスホールでもあけたら? 病院でやりゃ痛くないよ」
絹旗 「超遠慮しときます」
結標 「ね、ちょっと気付いたんだけど」
エツァリ 「何かございましたか?」
結標 「これだけ歩いてて、服の類を売ってるところを一回も見てないのよね」
婚后 「あるにはありますが、ごく小規模です。殆どの人間は制服のまま過ごしますし」
滝壺 「そっか、なら仕方ないのかもね」
結標 「こういうところではどんな服売ってるか、ちょっと気になってたんだけどな」
絹旗 「じゃそういうお店行ってみます? セブンスミストみたいな複合施設とかには超及ばないですけど」
番外個体 「興味あるかもしれない」
白井 「いいかもしれませんの。見るだけならタダなのですし」
928:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:29:17.67 ID:tLnBzmgBo
:
:
:
絹旗 「服とかのお店は大体この通りに超固まってると思いますけど」トテテテ
結標 「ホントだ。ブティックとか並んでるわね」
白井 「……あの、大きいお姉様! わたくしがよく利用するお店があるのですが」
番外個体 「へー、どんなところ?」
白井 「百聞は一見にしかず、こちらですの!」グイ
番外個体 「え? ちょ、ちょっと……!?」
結標 「白井さんの、か。面白そうね、私たちもいってみましょうよ」
エツァリ 「ええ、構いませんよ」
<ちょっと待ってー。
<急がずとも大丈夫ですよ。
婚后 「……あのお店って」
絹旗 「あぁ、あそこは確かに白井さんの趣味というか、超好みの店です」
婚后 「変な気を起こさなければよいのですが……」ハァ
滝壺 「私たちはどうしよう? ついていってみる?」
929:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/01(日) 02:31:25.68 ID:tLnBzmgBo
婚后 「いえ、この際ですから他のお店を見つつ待つのもよいでしょう」
絹旗 「その内出てくるでしょうしね」
滝壺 「でもこういうところってなんか新鮮だね。普段はショッピングセンターだから」
婚后 「お店が集まって通りを形成しているという点では、どちらも変わりはございませんわ」
絹旗 「言われてみれば、確かに」
婚后 「絹旗さんも卒業すれば私服復帰ですわね」
絹旗 「そうですね、きつくなってたらと思うと。主に胸とか」
婚后 「心配ないかと」
絹旗 「言い切られるのも超悲しいんですが……」
婚后 「そこが絹旗さんの……あら?」
絹旗 「どうしたんですか?」
婚后 「滝壺さんは?」
絹旗 「え? あれ?」
滝壺 「」フラフラー
絹旗 「ちょ? 滝壺さん? どこ行くんですかー!」
婚后 「仕方ございませんわね。追いかけましょう」
961:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:13:28.92 ID:C44vvm+Eo
:
:
:
絹旗 「婚后さん、そっちは見つかりましたか」
婚后 「そういうセリフはあちらこちらを探しまわってから仰ってください」
絹旗 「いやでも、見える範囲に見当たらないんですけど」
婚后 「おられるではないですか、そこに」
絹旗 「……あ、そうか。今日は違う服でしたね」
婚后 「?」
絹旗 「滝壺さんではなく、むしろピンク色のジャージを超探しちゃってました」
婚后 「いけませんわね」ハァ
絹旗 「で、滝壺さんはショーウィンドウに超張り付いてますけど」
婚后 「主人が食事する横で凝視する猫のようですわね」
絹旗 「私はトランペットを凝視する子どもを連想しました」
婚后 「どちらにしても、真剣に見ておられるようですが」
絹旗 「あそこって何の店ですか?」
婚后 「行けばわかるでしょう」
絹旗 「それもそうですね。滝壺さーん」トテテテ
962:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:14:53.62 ID:C44vvm+Eo
婚后 「滝壺さん、何か見つけられました?」
滝壺 「あ、うん。これ、すごいなと思って」
絹旗 「……おわー、こりゃまた超ゴージャスなドレスですね」
婚后 「使ってる素材も裁縫の腕も一級ですわね」
滝壺 「私がびっくりしたのはむしろお値段」
絹旗 「値段って……」
絹旗 「( д) ゚ ゚」
婚后 「まあ、これぐらいはしますでしょう」
絹旗 「なんですか、コレ。私詳しくないですけど、結婚式とか呼ばれたらこういうの着るんですか?」
婚后 「これは結婚式用としてはアウトですわね」
絹旗 「アウト?」
滝壺 「花嫁より目立っちゃダメだよ」
絹旗 「あぁ、なるほど」
滝壺 「でも、ここって住民のほとんどは中高生だよね? こういうの着る機会あるのかな」
絹旗 「去年の常盤台の卒業パーティにはこんなの着てる人もいましたけど」
婚后 「あとは……そうですわね、年頃の娘が豪奢に着飾る場面というと」
滝壺 「いうと?」
963:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:16:14.43 ID:C44vvm+Eo
婚后 「社交界デビューでしょうか」
絹旗 「その発想はなかった」
滝壺 「庶民だもんね、私たち」
婚后 「あっ、い、いえ、そういった意味で言ったのではなくて……」
絹旗 「いやいや、超大丈夫ですよ。分かってますって」
滝壺 「気にしすぎ」
婚后 「す、すみません」
絹旗 「んで、滝壺さんはコレお買い上げですか?」
滝壺 「買わないよ」
婚后 「試着もできるようですが」
滝壺 「動きづらそうだから、あまり気が進まないかな」
絹旗 「……なんであんな超熱視線を送ってたんですか?」
滝壺 「高いなー、と思って」
婚后 「まあ、一着の服としてはとてつもないお値段ではありますわね」クスクス
滝壺 「いつものが何着買えるかな」
絹旗 「いつものって、ピンジャーですよね? 一生分買えるんじゃないですか?」
婚后 「一生分はやや盛りすぎでは」
964:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:17:53.01 ID:C44vvm+Eo
<あ、こっちにいたのね。
絹旗 「お?」
結標 「探しちゃったじゃない」
婚后 「あら、申し訳ございません」
滝壺 「? 何か買ったの?」
結標 「うん、せっかくだから選んでもらった」ガサッ
エツァリ 「難儀な選択でした」ハハハ
番外個体 「」ハァー
絹旗 「なんか超疲れてますね」
番外個体 「絹旗さんなら分かってくれるよね。白井さんとあの店に入るのが何を意味するか」ナデナデ
絹旗 「超同情しますけど、頭は撫でないでください」
白井 「今回は大きいお姉様のお眼鏡に適う品がなかったのは残念でしたが」
滝壺 「結局なんのお店だったの?」
結標 「ランジェリーショップよ」
滝壺 (……はまづらはどんな下着なら喜んでくれるかな……ううん、やっぱりバニーだ)ウン
番外個体 「ていうか、白井さんチョイスのあれは下着なの? 私には紐で作ったステルス戦闘機の模型にしか見えなかったけど」
965:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:19:33.21 ID:C44vvm+Eo
白井 「あれぐらい、空間移動能力者なら普通ですの」
結標 「その言い方だと私まで同類だと思われるでしょ!」
白井 「気合を入れるときは水着同然の服装をしておられますのに、何を今更」
絹旗 「やっぱテレポ屋さんって超変態ばっかです」
結標 「白井さんよりはマシよ!」
白井 「結標さんには負けますの!」
結標白井 「「」」バチバチ
番外個体 「はいはい、やめやめ。変態同士仲良くしないと」
婚后 「お二人とも、優劣は競っても変態であるという点は否定なさらないのですね」
結標白井 「「」」
滝壺 「自覚はある、ってこういうときに使うんだよね」
婚后 「しかし、下着店ですよね……お兄さんは居辛くありませんでしたか?」
エツァリ 「それは大丈夫でしたが、首が痛いですね」コキコキ
絹旗 「なんで首が?」
エツァリ 「ずっと天井とにらめっこしてましたので」
婚后 「ああ、目のやり場を持て余しておられたのですね」
結標 「別に二人でランジェリーショップ入るのなんてこれが初めてじゃないでしょう。何を狼狽えてるんだか」
エツァリ 「学舎の園ですからね。店員さんや他のお客さんの視線の鋭さが外のお店以上でしたよ」
966:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:21:18.59 ID:C44vvm+Eo
滝壺 「じゃあ、そろそろ行こうか?」
番外個体 「あれ? 滝壺さん、コレお買い上げじゃないの?」
結標 「値段含めていろいろすごいわね。一点物なんじゃない?」
白井 「結標さんの仰る通り。こちらのお店は一から百までハンドメイドで仕上げてますので全ての商品が一点物ですの」
エツァリ 「普段使いとも思えませんね。結婚式等で着るものでしょうか」
絹旗 「そう思いますよね? でも超アウトですよ。主役より目立っちゃいますから」
結標 「それは私でも分かるわよ。でも、主役ならOKでしょ?」
絹旗 「えっ?」
婚后 「花嫁のお色直し用にはよいかもしれませんわね」
絹旗 「ちょ、婚后さん? さっきと話が」
婚后 「先程は招待された場合の話だったではないですか」
滝壺 「結婚式、かぁ」
白井 「いずれはわたくしと大きいお姉様の」ムフフ
番外個体 「なんでよ。白井さんには絹旗さんがいるじゃん」
絹旗 「いやいや、その理屈は超おかしいです!」
婚后 「ふと思ったのですが、そちらのお三方で最初にご結婚されるペアはどちらでしょうね?」
967:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:23:06.44 ID:C44vvm+Eo
結標個体 「「滝壺さんでしょ」」
滝壺 「え、私?」
エツァリ 「おや、即答ですか」
結標 「私は……大学卒業まではまだ、って今は考えてるし」
番外個体 「いつかは、とは思いつつまだ本格的に考えてないってのが本音かな」
絹旗 「で、滝壺さんはどうなんですか?」
滝壺 「はまづらが良ければいつでもいける」フンス
結標 「ね?」
番外個体 「さすが最有力候補」ケラケラ
滝壺 「でもはまづらは、口には出さないけど"ちゃんと仕事するまでは"って考えてるみたい」
白井 「殿方として思うところもあるのでしょう」
婚后 「ある種の矜持なのかもしれませんわね」
エツァリ 「まあ、浜面さんなら大丈夫ですよ。普段はアレですが、やるときはやる人ですから」
滝壺 「うん、はまづらなら大丈夫だよ」
絹旗 「大丈夫なんですかねー……」
白井 「大丈夫でしょう。今日も誘いを断ってまで資格の勉強をなさっているらしいですし」
絹旗 「まあ、いつになるかはともかく、式には超呼んでくれますよね?」
968:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:25:23.51 ID:C44vvm+Eo
滝壺 「うん。それは約束する」
結標 「絹旗さんは、ほら。ベールガールとかトレーンベアラーとかやるんでしょ?」
絹旗 「え、なんで私が!?」
番外個体 「いいんじゃない? 白井さんとセットで」
白井 「わ、わたくしまで?」
エツァリ 「自分はこちらの冠婚葬祭には詳しくないですが、重要な役と聞いてますよ」
婚后 「ええ、何せ入場という出だしの重要シーンですものね」
絹旗 「待ってくださいよ。ああいうのって小さい女の子がやるもんじゃないんですか?」
番外個体 「小さい女の子、って条件はクリアしてるじゃん」ニヨニヨ
絹旗 「ホントに殴りますよ!?」ガオー
白井 「ベールガールやトレーンベアラーなら、もっと適任の二人組がおられるではないですか」
婚后 「あの子たちなら喜んで引き受けてくれそうですわね」クスクス
滝壺 「でもそうすると、どっちにしてもリングボーイがいないよね」
番外個体 「そこはほら、淡希に調達してきてもらえば」
結標 「聞き捨てならないわね。どういう意味よ」
白井 「結標さん、いくら身内とはいえ未成年男子略取など犯したら、わたくしも風紀委員として」
結標 「しないってば!」
969:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:27:11.87 ID:C44vvm+Eo
エツァリ 「まあ、どちらにしても今すぐという話でもないでしょう」
婚后 「時間をかけて、入念な準備をしておけばよろしいですわよ」
番外個体 「何年単位で先の話だろうしね。だから、絹旗さんはそれまで身長伸ばさないでね?」
絹旗 「まだ言いますか!」
婚后 「それにしても」
結標 「?」
婚后 「お三方とも、今のお相手と続いていくと信じて疑わないのですね。少しうらやましいですわね」
滝壺 「当然」フン
番外個体 「放さないよ。こっちゃやっとの思いで捕まえたんだもん」
結標 「そういうこと、ね」ギュゥ
エツァリ (あたってます、と言わないほうがいいのでしょうね)
白井 (まだですの、まだわたくしには小さい大きいお姉様というチャンスが)
絹旗 「白井さん、変なこと考えないでくださいよ」ポンポン
婚后 「わたくしにも出会いがあれば……親が持ち込んだ見合い話などではなく、もっとこう、自然な」ハゥ
滝壺 「大丈夫だよ、こんごうなら。なんだかんだ言って器量良しだし」
番外個体 「お金持ちだしね」
結標 「財産目当ての男なんて願い下げでしょうよ」
970:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:29:09.61 ID:C44vvm+Eo
~同日 学舎の園 正面ゲート付近~
滝壺 「あれ? あそこって入り口だよね」
絹旗 「超ぐるりと周って、一周してきたみたいですね」
番外個体 「思ったよりは広くないんだね」
結標 「そりゃね。私たちは学校の敷地には入ってないもの。歩いてたのはあくまで居住区だし」
白井 「さすがに学校の敷地までは……申し訳ございませんが」
エツァリ 「いやいや、そこは当然の判断ですよ」
婚后 「下手を打てばお兄さんが捕まるかもしれませんしね」
エツァリ 「おやおや、女子校の敷地など恐れ多くて踏めませんね」
絹旗 「さて。この後どうしましょ? もうここにはあまり見るものはないかもしれませんが」
滝壺 「今何時?」
番外個体 「12時をちょっと過ぎたところだね」
滝壺 「じゃお昼ご飯?」
結標 「んー、ちょっとお腹がね……」
番外個体 「お腹まわりが気になるか。あ、だから今日はヘソ出してないの?」
結標 「そうじゃなくて! さっきあれだけケーキ食べたから、まだ空腹感はないのよ」
971:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:30:13.67 ID:C44vvm+Eo
白井 「お腹が空いているか空いていないかで言えば、空いておりませんわね」
婚后 「昼食は少しずらしてもよろしいでしょう。この時間ですとどこも混んでいるでしょうし」
エツァリ 「ではどうしましょうか。なにか時間を潰せる手段があるといいのですが」
絹旗 「……あの、いいですか?」
滝壺 「どうぞどうぞ」
絹旗 「超寄りたい場所があるんです。行きましょうよ」
番外個体 「それって、学舎の園の外?」
絹旗 「外です」
結標 「じゃあ、出なきゃならないってことね」
白井 「みなさん、やり残したことはございませんか?」
滝壺 「うーん、ぐるっと一周したんだよね?」
番外個体 「それでここまで辿り着いたってことは、もう平気なんじゃない?」
婚后 「そうですわね……他に特別見るものもなさそうですし」
白井 「出ても平気ってことでよろしいですのね?」
エツァリ 「この分なら大丈夫そうですね」
結標 「何気にもう2時間以上いるんだしね」
番外個体 「出るときって何か注意点ある?」
972:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:31:44.74 ID:C44vvm+Eo
白井 「いえ、特には。敢えて言うなら、入場したときと同じゲートを通過してください」
滝壺 「あそこのガードマン……むしろガードレディ? がいるところだよね」
結標 「他のゲートだと自動改札になってるから、どの道私たちじゃ通れないわね」
エツァリ 「となると、出るときも身分証明が必要ですね」
婚后 「そうですわね。入退場記録の照合が必要ですので」
番外個体 「じゃ、いくとしよっか」
滝壺 「あ。外でたらまずケーキ預けたい」
エツァリ 「おお、そうでした。そろそろ保冷材もぬるまる頃ですね」
番外個体 「駅前まで行けば冷蔵機能つきのコインロッカーあるでしょ? そこに入れりゃいいよね」
婚后 「では、まずは駅前まで参りましょうか」
結標 「決まりね。せっかくのケーキがとろける前に行きましょ」
滝壺 「じゃ行こう」
絹旗 「……あれ? あれれ?」ガサゴソ
白井 「絹旗さん……」ハァー
絹旗 「大丈夫です! 超大丈夫ですから!」ゴソゴソ
973:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:33:43.30 ID:C44vvm+Eo
~同日 第7学区 とある駅前~
【ロッカー】<バタン
滝壺 「これでよし」ウン
エツァリ 「後は、帰るときに忘れないようにしませんと」
番外個体 「しっかしボッタくってるよね、コインロッカーの分際で」
結標 「有料冷蔵庫と考えれば妥当でしょうよ」
婚后 「さて、この後はどちらに?」
絹旗 「ええと、ここから歩くと少しありますけど」
番外個体 「よし、バス」
白井 「天気も良いのですし、歩きません?」
滝壺 「うん、今日はそんなに寒くないし、いいかもしれない」
結標 「そうね、少しぐらいは歩かないと。特に貴女は引き篭もり明けで運動不足でしょ?」
番外個体 「ま、そこまで言われちゃしょうがないか」ガシガシ
エツァリ 「絹旗さん、これからどちらに?」
絹旗 「ええと、こっちです!」
974:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:35:37.67 ID:C44vvm+Eo
:
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:
結標 「私、これから行こうとしてるところが分かった気がする」
滝壺 「私も」
絹旗 「みなさんって、こっちの方来てました? 私、実を言うとあまり近付いてなかったんですけど」
白井 「わたくしは久々にこちらに来ましたわね」
婚后 「同じく。第18学区に転居してからは来る機会がありませんでした」
番外個体 「なんでかな、来ようと思えば来れたハズなんだけど」
エツァリ 「なんとなくですが、せめて記憶の中のまま残しておきたかったのかもしれませんね」
滝壺 「あれ?」
結標 「どうしたの?」
滝壺 「あそこに、よく使ってたコンビニがあったんだけど」
婚后 「なくなってしまいましたか?」
滝壺 「ううん。違うコンビニになってる」
番外個体 「ホントだ……あそこでよくファミチキ買ってたんだけどなぁ」
エツァリ 「次からはLチキになりそうですね」
白井 「なんだか……しばらく見ない間に景色も変わってしまいましたのね」
975:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:39:32.76 ID:C44vvm+Eo
結標 「でも、どうして来ようって気になったの?」
絹旗 「超なんとなく、ですよ。あれからもうすぐ一年ですし、時間を持て余してる今の内に来てみたかったんです」
エツァリ 「また次の一年が過ぎたとき、ここまで近づけるとも限りませんからね」
白井 「来る途中に看板がありましたの。一応、何か造る予定ではあるとか」
婚后 「では、訪問には良いタイミングだったかもしれませんわね」
滝壺 「あ、ここらへんじゃないかな」
婚后 「あら……言われてみれば、どことなく面影が」
番外個体 「なんだ、辺り一帯更地じゃん。まだ手つけてないんだね」
結標 「そのお陰でここまで入ってこれたんじゃない」
絹旗 「」トテテテ
婚后 「戻ってきた、というと少々違うかもしれませんが」
白井 「改めて考えると、実に不思議なものですの」
エツァリ 「人間同士の出会いなんて、案外いつもそんなものかもしれませんよ」
滝壺 「きぬはた? 何か見つけたの?」
絹旗 「ええ、超見つけました!」
絹旗 「ここが、私たちが一番最初に出会ったところですよ」
976:
◆8GNB4AEvC.:2012/04/06(金) 00:40:17.87 ID:C44vvm+Eo
といったところで、今回はここまでです。
あまりしんみりさせ続けるつもりはありませんのでご安心を。
次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
979:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県):2012/04/06(金) 01:00:18.79 ID:fXMCnW+V0
乙です
982:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/06(金) 01:38:56.71 ID:yCNQcD0IO
垣根いいバイト見つけたな
続きます。
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