五条「ククク… ここが学園都市ですか」その23

2010-12-27 (月) 18:12  禁書目録SS   3コメント  
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ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)


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835 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /27(月) 00:03:24.27 ID:Etd4zs2o
────────────
八月十九日 夏休み三十日目
────────────

『……まだお話して頂けませんの?』

朝食の片づけを終え、ソファの隣に再度腰掛けた少女が、むすっとした様子で口を開いた。

ここ数日、というよりあの花火大会の翌日を境に、風紀委員の支部に向かう前に必ず朝食の支度をしに来てくれている甲斐甲斐しい彼女のツインテールが頬を膨らませる様に併せてふわりと揺れ、そのふて腐れ具合を表現している。
惰性で眺めているテレビのワイドショーでは、急増した高齢者の四肢麻痺の予防法特集が流れていた。



五条「……すみませんが……」

隣に座る彼女、白井黒子の顔を直視出来ないまま言葉を返した。

黒子「……そこまで隠されるという事は、あのシスターさんの時とご一緒で、勝さん自身の事ではございませんのね」

五条「……ええ……」

黒子「それも現在進行形でしょう」

五条「……」

はあ、と部屋に響くため息。

黒子「……あの晩以来ここ数日、お姉さまの様子がおかしくなっておりますの。寮にもほとんど帰らず、表を出歩いてばかりで……」

それもそうだ。
きっと彼女も自身と同様、研究施設を潰して回っているのだろうから。

黒子「…… 加えて、勝さんのそのご様子」

……やはり傍目には疲れているのが見て取れるのだろうか。

黒子「……少し、寂しいですわ。わたくしはそんなに頼れませんの……?」

彼女の声が落ち込んだのを察して、その顔に目線を送る。
伏し目になっていた彼女の表情は前髪に隠れていて確認出来ないが、その小さい肩が小刻みに震えているのがわかった。

黒子「……」

耳をすませば辛うじて聞こえる程度の大きさで、その口から嗚咽が漏れている。



836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:05:27.24 ID:e6rkPt20
最早、普通の夫婦じゃねーか
くそっ クリスマスめ!




837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:06:06.85 ID:JtGDfbAo
通い妻、か…



838 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:07:54.58 ID:Etd4zs2o
五条「きっと近日中にかたが付きます……全て、全て片付いたら……」

その様を見続けることが辛くなり、ごまかす様に口を開いた。

五条「泊まりでも構いません……風紀委員の休みを貰って、何処かに遊びに行きましょう……ゆっくりと学園都市の外にでも……友人から貰った、オマエに見せてやりたいものもある……」

黒子「……」

五条「行きたい所を決めておいて下さい……どこへなりとも付き合いますので……」

黒子「……」

五条「……その折に全て話しましょう……オレの話せる範囲ならば……」

黒子「……本当ですのね……」

五条「……約束します……ククク……」

唐突に、隣の彼女が顔を上げた。
その表情はまるで今日の青空の様に晴れやかに、満面の笑みを浮かべている。

五条「へぇあッ!?」

その笑みのまま唐突にソファの上に立ち上がった彼女が、大声で言葉を吐き始めた。

黒子「うふふふふやったわ!やりましたわ黒子ッッ!ようやく!これでようやく勝さんと水入らずで過ごせるのですわッ!ましてや泊りがけともなると当然あんな事やこんな事も……うへへへへへへッッ……」

五条「……黒子?」

黒子「とは言え相手は殿方、避妊はきっちりしておきませんと……いえ、勝さんなら別に……ッてわたくし達は未だ中学生じゃありませんのッ!?バカバカッ!黒子のバカッ!!」

五条「……」

図られたのではないかとの疑念も湧いたが、立ち上がった刹那、彼女の頬から光の粒が舞ったのを見逃さなかった。
延々と一人の世界に立てこもっている彼女の足を引っ掴み、自身の方へと強く引く。

黒子「そうですわね……上は女の子で下は男の……キャッ!!」

バランスを崩し空中で横になった彼女の下へ腕を入れ、抱え上げる。

黒子「まッ……勝さん!?何をされますのッ!?」

狼狽する彼女の体を、そのままソファへ投げ落とす。



841 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /27(月) 00:09:56.99 ID:Etd4zs2o
再びキャッと小さく声を上げてソファに転がった彼女の頭の横に腰掛け、ぽんぽんと自身の太ももを叩いた。
若干の間を置いてその意味を解した彼女がずりずりと這いより、その小さな頭を太ももへと置く。

その髪を撫でながら言葉を続けた。

五条「……いつも心配をかけますね……」

黒子「……」

五条「……大丈夫です……オレもお姉さまも、そう簡単に死んだり居なくなったりしませんから……」

黒子「……この状態でそのお言葉はズルイですの」

五条「……」

黒子の頭を乗せた太ももが、少し濡れるのが判った。

黒子「……勝さん」

五条「……何でしょう?」

黒子「支部に行く時間まで……もう少しだけこのままで居てよろしくて……?」

微かに震えた声で吐かれた言葉に目線を落とす。
太ももに頭を置いた黒子の後頭部が目に入った。
自分に表情を見られない様、顔を背けているのだろうか。
その髪を再度撫で、言葉を返す。

五条「……構いませんよ……」
目線を窓に向けると、垂直にしたブラインド越しに優しい午前の陽光が街に満ちているのが見えた。
今日も、暑くなりそうだ。

────────────



842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:10:56.56 ID:JtGDfbAo
※ 中学二年生と一年生です



843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:11:13.65 ID:e6rkPt20
五条さん、マジ癒し系
俺も膝枕して欲しい……




845 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:14:38.81 ID:Etd4zs2o
『…… 残り二件ですか……』

『ようやく大詰めですね』

学園都市の外部、名も知らぬ山の中腹で礼装の修練をしていた折に出た電話にて、初春より関連施設の残数を告げられた。
ふと目線を投げた遠くに見える学園都市は丁度西日を浴び、そのビル郡が燃え上がる様に赤く染め上げられている。

五条「……お姉さまも相当無理をされていますね……」

『はい、昨晩にも一人で三件の研究所を壊滅させてます……御坂さん大丈夫でしょうか……』

五条「……大丈夫ではないでしょうね……相応に無理をしているとは思いますが……」

受話器から漏れる声色で、回線の向こうで電話を握る初春の心配そうな表情が容易に想像できた。

『……五条さん』

五条「えぇ……わかっています……今夜中にケリをつけてしまいましょう……」

『……はい!頑張って下さい!私も精一杯バックアップしますので!』

話しながらその場で外套を脱ぎ、傍らのスポーツバッグからタオルを取り出して顔の汗を拭う。

五条「……それで、本日の動き方なんですが……」

『はい』

五条「……時間がありませんが、残り二件となると派手に暴れまわって万一お姉さまも巻き添えにしてしまっては目も当てられません……」

『……となると、今までの様な力押しは使えませんね』

五条「……行動時間次第では、1/2でお姉さまと遭遇する計算になります……その時は……」

『はい。通信回線は私の方で完全に切断します。私も御坂さんを傷つけるのは不本意ですから』

五条「助かります……加えて、ここ数日の行動で完全にこちらの思惑は読まれているでしょうから、警備の増強等の妨害も考えられますね……」



846 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:16:41.03 ID:Etd4zs2o
『……』

五条「……万一があった場合は、しらばっくれて下さい……」

『……きます』

五条「……?」

『五条さんなら、きっと出来ます。私、信じてます』

五条「……ありがとうございます」

『それでは、作戦開始時刻は……』

五条「……昨日と同じく、午前0時に行動を開始しましょう」

『わかりました!でしたらまた後で連絡しますね』

五条「…… えぇ、よろしくお願いします……」

電話を切り、バッグの中からスポーツドリンクのペットボトルを取り出し、一口含んで飲み下す。

地平の彼方に沈もうとする西日が、先よりも一層赤く学園都市を照らし上げていた。

────────────

深夜0時を回った学園都市の一角に佇む病理解析研究所。
その研究棟を閉ざしている鉄製の扉の脇にある機器に、初春より渡された端末を取り付ける。

五条「……どうでしょうか?」

『……行けそうです……少し待って下さい』

周囲の様子に気を配りながら待つこと数分、分厚い鉄の扉が、音も無く開いた。
その隙間へと身体を忍ばせ、周囲の様子を伺う。

……人の気配は無い。
扉から広間へと通じ廊下を駆け広間の影へと進入したと同時、想定していたものと異なる光景が視界に飛び込んできた。

広間に散らばる瓦礫の山と、その周囲に散在する爆発らしき形跡。
立ち込める煙の量から察するに、恐らく発破からそう時間は経過していないだろう。

五条「……リナリア、もう一つの施設周辺の消防要請は……?」

『……確認出来ません』



847 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:20:06.73 ID:Etd4zs2o
五条「……間違い無さそうですね……よりにもよって……ここにピカチュウが居るかと思われます」

『……!!』

通信機越しに、彼女が息を呑むのがわかった。

五条「……回線の切断を……」

『……わかりました……ニルス・オーラヴ?』

五条「……何でしょう?」

『……幸運を。あと、約束守って下さいね?』

五条「……ニルス・オーラヴ了解。オーヴァー」

ぶつっと無骨な音が響き、耳元の通信機がノイズすら発さなくなった。
通信機を耳から外し、外套の内ポケットへと収納する。

……どこか遠くから爆発音と、次いで巨大な何か、鉄の塊の様なものが地面に落ちる音が聞こえた。

爆発を伴って暴れているのならば、最早遠慮は不要。
意識を足元へと集中し、爆発音の元へと駆ける。
空気との摩擦で足先が炎を発するのがわかったが、特に気にする必要も無いだろう。

少し駆けた後に、次第に周囲の異変が目について来た。

ところどころに散っている、焦げたぬいぐるみ。
鋭利なもので切断されたかの様な断面を晒す瓦礫。
極めつけは、完全にバラバラに解体されている階段。

……美琴が、誰かと交戦しているのだろうか。

階段の上へと目線を投げ、そちらに向かい幾度か宙を蹴る。
登りきった先にある部屋の中、周囲の様子から伺うに厚い鉄の隔壁で封鎖された部屋から、電撃の音と爆発の音が響いてくるのがわかった。

意を決し、掲げた指を鳴らす。
いつの間にか自身の後方に控えていた企鵝達がわらわらと前方へ殺到して隊伍を組んだ。
先頭で敬礼を決めた企鵝が、ころころとこちらへボールを転がしてくる。

その場で左右にステップを踏み、自身で身体が三つある錯覚を覚える程の運動エネルギーを蓄積した後、燃え盛るつま先で隔壁へと蹴り飛ばす。

激しい炎を帯び火柱を上げるボールと、それに続く五羽の企鵝。
それらが同時に隔壁に到達し、耳を劈く程の轟音と共に隔壁の中央下部に人が通れる程の穴が開く。
素早くその穴へ向かい駆け出し、部屋の中へと飛び込んだ。

────────────



849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /27(月) 00:36:20.03 ID:JtGDfbAo
自分たちはニルス・オーラヴとリナリアで、美琴はピカチュウてwwwwww



848 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /27(月) 00:35:21.55 ID:Etd4zs2o
もうもうと煙が立ち込める部屋の中に、二人の少女の姿があった。
片方の少女は夏場だというのに黒のセーターを身に纏い、長いブロンドの髪の上に黒のベレー帽を被ったまま余裕の笑みを浮かべている。

もう片方の少女は、ところどころ切れ切れの状態のTシャツにホットパンツといういでたちで、ぜえぜえと肩で息をしている学園都市第三位、御坂美琴だった。

『結構頑張るじゃない。もうちょっと遊びたかったけど、麦野たちが来るまでに終わらせなきゃね』

余裕の笑みを浮かべた金髪の少女が、自身の靴底を地面へと強く叩きつける。
鋭い金属音と共に、そのパンプスの先端から銀色に輝く刃先が姿を現した。

『さっき標的の人生なんてどーでもいいって行ったけど、止めを刺す時だけはちょっと感慨深いものがあるわね』

余裕の笑みを徐々に嗜虐の嘲笑へと変化させながら、少女が言葉を続ける。

『命を摘むまさにその瞬間、私は相手の運命を支配した気分になれるの。結局、"コイツは私に殺される為に生まれてきたんだ"ってね』

その言葉を聞いた美琴の瞳が、大きく見開かれる。

『それじゃ、最後にイイ感じの悲鳴をッ……!?』

金髪の少女がか細い足を振り上げた刹那、轟音と共に二人が立っている部屋が大きく鳴動した。

『何ッ!?』

あまりに唐突な異変に、二人の視線が音の出所へと注がれる。
先刻隔離された部屋の入り口、厚い隔壁の中央を焦がす様に、人が通り抜けれる程大きな穴が開いている。

次いで、業火を纏いながら一発の炎の弾丸、
否、弾丸と呼ぶには余りにも大きいソレが部屋の中へと飛び込んできた。

ソレは美琴と金髪の少女の間で急停止すると、停止の際により一層激しく燃え上がり、その勢いが衰えるに従い、燃え盛る炎の中に人影を浮かび上がらせた。

美琴「……ッ!?アンタ……ッ!?この煙、爆発するわよッ……!?」



851 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:38:30.87 ID:Etd4zs2o
『クックック……?それは失礼……と言っても爆発しそうな気配はありませんね……で、あの少女は……?』

炎の中より浮かび上がった人影、五条勝が美琴に向かい言葉を投げる。

その言葉を聞いた美琴が右手を掲げ、バチバチと空中に放電を行なった。

美琴「……あーそっかそっか……そーいう事かぁ、なるほどねー……あの娘?悪い娘よ」

次第に空中に放電される火花が太くなっていき、それに比例して鳴り響く放電音も強くなっていく。

美琴「結局、私も随分初歩的なハッタリに引っかかってた訳かー」

手の平に続いて、全身から空中放電をし始めた美琴が言葉を続ける。

美琴「はは……結局だって。伝染っちゃったかした……あはははははははは」
五条「クックックック……」
『は……はははは……てへっ!』
金髪の少女が舌を出し、ウインクをしながらコツンと左手で自身の頭を叩いた。

美琴「どいてて」
五条「Yes Sir.」
『ぎゃんッッッ!!!』

────────────



852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:40:23.37 ID:JtGDfbAo
フレンダwwwwwwwwwwwwww



854 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:41:34.19 ID:Etd4zs2o
美琴「……何か妙だと思ってたのよね……研究施設がこのタイミングで大量に火災なんて……」

五条「……ククク……何の事でしょうか……」

美琴「……ま、帰ってからゆっくり話しましょ。それより今は……」

美琴が傍らに這いつくばる少女へと目線を投げる。
未だに美琴の電流が残っているのだろうか、細かく痙攣しながら這う少女は、壁際に辿り着くと壁面を利用して必死にその上体を持ち上げた。

美琴「この計画を主導している面子は?アンタたちを雇ったのは誰?」

『……』

少女が口を開かないのを見た美琴の表情が、少し険しさを帯びる。

美琴「……そういえばさっき誰か来るみたいな事を言ってたわね。アンタみたいなのが他にもいるの?能力者ならその能力は?」

美琴の問いを聞いた少女が、軽く嘲笑する様な表情を浮かべた。

次いで真横へと美琴の視線が走る。
彼女の目線の先へとその右手から数多の雷撃が迸り、手近な所にあった機材に殺到する。
見る間に焦げていき、黒煙をあげながら倒壊する機材。


美琴「……黒焦げになりたくなかったら、三秒以内に答えなさい」
再び少女に向き直った美琴が、凄みを帯びて言い放った。

五条(……そろそろ頃合でしょうか……)

少女の顔色が一斉に蒼白に染まり、その目尻に微かに涙が溜まる。

美琴「3」

美琴の手の平が少女に向けられた。

『……』

美琴「2」

『……』

美琴「1」

『……』
五条「……ククク……まあ落ち着いて下さい……」

それまで静観していた五条が言葉を発し、少女と美琴の間をを遮る様に割って入り、美琴と向かいあう。



855 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:45:00.02 ID:Etd4zs2o
美琴「……何よアンタ……?」

美琴に向かい合ったまま五条の笑みが若干深くなり、彼女に向けて軽くウインクをする。
その様子を見ていた美琴が一瞬訝しげな表情を見せた後、直ぐに目を見開いて小さく頷いた。
少女は驚いた様な表情で、突然眼前を遮った五条の背中を見上げている。

美琴「……気でも違ったの?どいてくんない?」

五条「……何も殺す事まで無いのではありませんか……?」

美琴「どけっつってんのよッッッ!!!」

叫び声を上げた美琴の右手から、一筋の雷撃が迸る。
明後日の方向へと放たれたその雷撃は、その先にあった機材を感電させ見る間に黒く焦がし上げていった。

五条「……彼女にも彼女の事情があったのでしょう……?現に俺たちは生きている……それで良いじゃありませんか……」

美琴「はぁッ!?アンタ正気っ!?そのコはプロの人殺しなのよッ!?お金貰って人殺してる様な輩なのよッッ!?なんだってそんなヤツ庇うってのよッ!?」

声を荒げた美琴がまくし立てると同時に、その周囲の空間が激しく帯電を始める。

少女は小さく首を横に振りながら、座ったまま後ずさりを始めた。
が、すぐ後ろに存在している壁がその後退を無情に阻む。

五条「…… 構いません!!オマエの殺し方は余りにむご過ぎるッ!!この少女も生きたまま生皮を剥ぐつもりですかッッ!?それとも、お得意のつま先から紙ヤスリですかッッッ!?そこまでの罪科を、この少女は負っていないッッ!!」

美琴と共に語気を荒げた五条の言葉を聞いた少女が、小刻みに震え始める。
その目線は、眼前に立つ五条の背に刻まれているⅤの字を縋る様な瞳で見上げていた。

美琴「……じゃあいいわッッ!!アンタから丸焦げになってみるッッッ!?」

美琴が激しく放電を始め、その全身から迸った雷撃が部屋中の機材を手当たり次第に黒く焦がして行く。
幾千羽の鳥たちがつんざく様な轟音が部屋を支配した。

五条「彼女を手にかけると言うのなら、まずは俺を消し炭にしてからにしなさいッッッ!!!オマエがなんと言おうとッッ!!例え彼女が人殺しであってもッッ!!俺は彼女を守るッッッ!!!」

轟音に負けないほどの大声で叫び、少女を振り返る五条。
背後の少女と目線が合うと、打って変わってやさしい語調で少女に向かい口を開いた。

五条「……心配要りませんよ……オマエは俺が守ります……必ずッ……」



856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:47:34.82 ID:e6rkPt20
やばい つり橋効果だ

コレは恋に落ちざるを得ない




858 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /27(月) 00:48:11.01 ID:Etd4zs2o
言葉を聴いた少女の目じりから一筋の涙が零れ落ち、その頬に輝く軌跡が現れた。
頬をぬぐわず硬く瞳を閉じて、一度だけ頷く少女。

その様を見た五条が前方の美琴に向き直り、その微笑を強めて軽く頷いた。
頷きに気づいた美琴が、口の端をニヤリと歪ませる。

五条(俺が飴)
美琴(私が鞭)

(( 計 画 通 り ))

美琴「ッッ!!……もう好きにしなさいよッッ!!」

叫んだ美琴の周囲を包む空中放電が、次第に弱まって行く。

完全に放電が収まるのを見計らって、五条が背後の少女に向き直った。

五条「……もう大丈夫ですよ……」

五条の言葉を聞いた少女が、瞳を開く。

五条「……立てますか?」

五条が少女へと向かい、右手を伸ばした。
呆ける様にその右手を見上げていた少女が、何かに気づいて五条の手を強く掴み、自身の方へと引き寄せる。

五条「ッ……!?」

唐突に引かれた力に反応出来なかった五条が、少女の胸に抱きかかえられる様な姿勢で倒れこんだ。



857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12 /27(月) 00:47:49.17 ID:JtGDfbAo
あー、このやり口「踊る大捜査線」で見たわww
五条さん演技派だな




859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:49:02.39 ID:e6rkPt20
二人とも生き生きしてるなww



860 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 00:51:00.17 ID:Etd4zs2o
轟、という音と共に、部屋の中を巨大な光の線が蹂躙した。

その光の線は、つい先の瞬間まで五条が右手を差し出していた場所を捉えている。

三人の目線が注がれる先では、五条が破壊したものとは異なる隔壁が融解し、人が余裕をもって通れる程の大きな穴が開いている。

その穴の先に、二人の女の姿が見えた。

『後ろに跳んで』

少女が小声で五条に囁き、左手を閃かせる。
言葉に反応した五条が咄嗟に大きく後方へと飛びのくと、先に五条の首があった空間を少女が左手に握った何かが通過した。

『あんまり静かだから殺られちゃったのかと思ったけど』

ドアの前に立っていた二人の女が、足音を響かせながら室内へと歩を進めてくる。

『その状況でも相手の首を掻こうだなんて流石ね、フレンダ』

フレンダ「麦野っ……!」

フレンダと呼ばれた金髪の少女の表情が、一気に安堵の色に染まって行く。

桃色のブランドウェアに身を包んだ栗髪の女と、対照的に飾り気の無いスポーツウェアに身を包んだ黒髪の女が、フレンダをかばう様にして五条と美琴の眼前に立ちはだかった。

その二人の只ならぬ気配を感じ取った五条が、コートの裾から腕時計に視線を投げる。

午前0時15分。

五条(……お姉さまが交戦を開始した時間を考えると、援軍に来られてもおかしくはありません……か……)

その肩が、小さく吐かれたため息により僅かに落ちた。
虚空に響く嘆声。

五条(……長い夜になりそうです……)

──────to be continued──────



863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:54:18.64 ID:1sDW4I2o
乙ー
上条さんに勝るとも劣らない建築士っぷりですな




864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:55:10.54 ID:e6rkPt20
このフレンダなら……五条さんと出会えた、このフレンダなら
分離変形DXフレンダに進化せずにすむかもしれない
生き残れ フレンダ!




867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 00:57:58.75 ID:.V6uUS20
五条さんがフラグを立ててるのにまったく不安がないな



872 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12/27(月) 01:02:48.05 ID:Etd4zs2o
以上、本日投下分となります
本日もご支援頂きました皆様、関係各位の皆様、本当にありがとうございます

クリスマスについてさんざん言及して頂けている様ですが、仕事を終え、先日倒れた父のICUに足を運んだ帰り道、
病院のロビーで開かれていたクリスマスコンサートに遭遇してしまい、
何気なく足を止め聞き入っているうちに"何やってるんだろう俺"と考えてしまい、死にたくなっていたイヴでした

あれで雪でも降ってたら色々と危うかったかもしれません
チラ裏です。スレ消費したくないんでノーリアクションでお願いします

それにしても、あの壁紙には少々納得が行きません
pixivの絵師の方々のが公式より全然クオリティ高いって、凄い時代になったものですね

さて、次回投下予定ですが、可能ならば明日の夜、不可ならば明後日の夜に行わせて頂こうかと思います
お時間がございましたら、またお付き合い頂ければ幸いです



874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 01:07:37.84 ID:rC8VreUo
麦野の能力って全身ビーム砲だっけ?
五条さんだったら蹴り返しそうだけど




875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 01:08:46.88 ID:IKnVgko0
乙ゥ・・・
認識阻害と時止めは滝壺にとってはキツイな




877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 01:48:26.95 ID:sa.Yoy2o
お父さんお大事に



880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/12/27(月) 03:17:22.53 ID:b7IQaCk0
なかなかプライベートで苦労してそうだから無理はせんでくれ
気長に今後の展開楽しみにしとります






次→五条「ククク… ここが学園都市ですか」その24



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禁書目録SS   コメント:3   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
1846. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/27(月) 18:14 ▼このコメントに返信する
キター!
1851. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/28(火) 00:52 ▼このコメントに返信する
ピカチュウキター!
1892. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/30(木) 00:39 ▼このコメントに返信する
>>1もいろいろ大変なんだ。
投票騒ぎで検索かけてこれを読んで、五条さんのファンになった。
アンタのお陰だ。
応援してるぜ!
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