五条「ククク… ここが学園都市ですか」その10

2010-12-02 (木) 02:03  禁書目録SS   6コメント  
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14 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 22:37:54.37 ID:awFqAhP6O
────────────
八月三日 夏休み十五日目
────────────

出頭しろとの命を受けた記憶はあるが、わざわざ病院にまで使いの者を寄越してくれるとは、統括理事長も随分と気が効いている。

これでは出頭ではなく、連行じゃないか。

両脇をサングラスをかけた体格の良い男に囲まれながら、高速で流れていく窓の外の風景に目をやる。
退院をしたら挨拶に行きたかった人間が何人か居るのだが、この調子では最悪もう挨拶も出来なくなるのではないだろうか。

五条「……ククク……オマエは統括理事長の用向きを伺っていますか?」

右隣の席に座る男に声をかける。

『…………』

男は、何も言葉を発そうとはしない。
よく訓練されているのだろうか。
或いは自身の意思など存在していないのだろうか。
懐の携帯電話に手を伸ばし、ディスプレイの表示を確認した。

──────圏外。



18 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 22:42:49.19 ID:awFqAhP6O
当たり前かと小さくため息をつき、再度窓の外に目をやった。
トンネルに入った為だろうか。
先刻まで見えていた夏の街並みは一変し、昼とはいえ薄暗いその空間の中、無機質なコンクリートの壁を橙色の照明が浮かび上がらせている退屈なものへと変化していた。

その様子はこれより向かう陰鬱な部屋を想起させ、ただでさえ低迷している気勢をさらに低く押さえつけてくれる。

五条(……あまり、長くならなければ良いのですが……)

携帯電話を懐にしまい、両腕を組んで眼を閉じた。
暗くなった視界を、チラチラと規則的に流れるトンネルの明かりが照らしていた。

────────────

『急に済まない、"認識阻害(デコグニション)"』

眼前の橙色に発行する円筒の中、その上方に逆さに漂っている人間が口を開いた。

五条「……ククク……まぁ病み上がりでゆっくりしたかったのも確かなんですが……建前としては"別に構いませんよ、統括理事長"と言っておきましょうか……」

『賢明だ』

こちらの皮肉に眉の一つを動かすこともなく、眼前の人間が続ける。

『さて、もう呼ばれた理由は理解しているね?』



20 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 22:47:59.00 ID:awFqAhP6O
五条「……ククク……なんの事でしょうか?オレにはさっぱり……」
『……』

両腕を水平に開き、オーバーな調子で言ってみたものの、眼前の人間は黙り込んで静かにこちらを見下ろしているだけだった。
何も語らぬその姿にさえ威圧感を感じ、背筋をつうと冷や汗が伝うのがわかった。

五条「……能力の乱用についてですね……ヒヒヒ……」
『……その通りだ、"認識阻害"』

五条「……」
『……君の能力が負っているリスクは前に伝えた通りだ』

以前、学園都市に来て直ぐの事。
身体計測(システムスキャン)が行なわれて直ぐに、此度と同様この部屋へ連行された際の事を思い出す。

『そして君が先に行なった空間、ひいては世界そのものへの干渉により、君が負っているリスクの度合いが飛躍的に高まった。時計の針が大幅に進んでしまったのだよ』

上条当麻の傍に舞っていた羽を、能力で除去した際のことを思い出し、ずきりと目の奥が痛む。

五条「……少々、やり過ぎましたかね……」

『先の干渉を起した君が今現在、未だ人の形を成していることに私は驚きを隠せないんだがね』

眼をそらし、ぽりぽりと頭を掻いた。



22 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 22:53:01.86 ID:awFqAhP6O
『万一君が"最悪の事態"を起こしてしまう事になるのならば、私は知り得るものとして、それを抑制しなければならない責務がある』

五条「……わかっていますよ……」

『ならば問おう。君は"最悪"が起こりそうになった際には、どう対処しようと言うのかね』

五条「……」

『……返答次第によっては、ここ「捧げます」
相手の言葉を遮り、自身の覚悟を語る。

五条「……"最悪"が降る前に、この身を世界に捧げると誓いましょう……」
『……』

五条「……ククク……話は以上ですか……?」
『君の意思は確認させて貰った。重ねて告げるが、以後も能力の乱用は控える様に。可能な限り、私は君を観測していたい』

五条「……留意しておきましょう……では……」

円筒へと背を向け、来た道を歩む。

『それとは別に、一つ頼みたいことがある』
立ち去ろうとした矢先声を掛けられたので首だけ振り返り、肩越しに円筒の中を見た。

『詳細は近いうちにまた使いを送ろう。君にはLevel0としてはあり得ない程の対価を支払っているんだ。身代金以外にもいくらか役に立ってもらわなければ勿体が無いだろう?』



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /01(水) 22:54:22.97 ID:DgkcFqkf0
0なのか・・・



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /01(水) 22:56:29.12 ID:sxmQFqVI0
必殺技はあれでもあくまで「サッカーの技術」だからなww
目の能力も天然なら上条と一緒で扱いとしては0判定だろうさ。




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /01(水) 22:56:43.17 ID:XGqJyii20
『可能な限り、私は君を観測していたい』

 情熱的だな
 五条さんは格好いいから無理もないが




27 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 22:59:06.57 ID:awFqAhP6O
五条「……内容次第でしょうか……まぁ、使いを送るというのは了解しました……」

言葉を返し、視線を前方に戻して左手を掲げたまま歩を進める。
光源から遠ざかるにつれ、次第に大きくなっていく自身の影に少し怖気を感じた。

────────────

窓の無いビルを抜けると、日は随分と高い位置に届いていた。
先刻までの陰鬱な風景が嘘の様に、街に射す日は眩しく、忙しさにかまけて忘れ去っていた季節の実感が一気に押し寄せて来るのを感じた。

五条(……ククク……さて……溜まっている"約束"を消化しに行きますか……)

そのままの足でタクシーを拾い、先の一軒で世話になった木山が留置されている留置場へと向かった。

本日二箇所めの居心地の悪い場所に腰を据えて待つと、先日と同じく拘束服姿の木山が重そうな扉から姿を現し、強化ガラス越しの対面に座った。

五条「……ククク……お世話になりました……お陰で、先の少女を救うことが出来ました……」



34 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:04:30.45 ID:awFqAhP6O
真実を全て伝えるのは躊躇われた為、
・少女が苦しんでいたのは別の要因でした
・木山先生のお陰で原因を特定出来たので、彼女は無事です
とだけ掻い摘んで伝えると、乏しい印象を受ける表情を僅かながらに嬉しそうに変え、

木山「役に立てたのなら何よりだよ」

と溢していた。
礼を言った去り際に、

木山「五条…勝だったな。何時になるかはわからないが、私が再び外に出ることが出来たら、詳しく今回のことを聞かせてくれ」

と言葉を投げられた辺り、こちらに只ならぬ事情があったのを察されてしまったのだろうか。
能力を得て暴走した彼女が、今度は魔術に傾倒する事となったら……
想像するだけで恐ろしい。

軽く首を振って邪念を払い、次の目的地へと向かった。

────────────

『……なっ!?』
『五条さん!来てくれたんですか!』

自分の姿を視認するなり、あんぐりと口を開けたまま固まったツインテールの脇で、色とりどりの花飾りが嬉しそうにぴょこぴょこと揺れた。
こちらも先の一件で世話になった初春飾利に礼を言う為、二度目となる風紀委員第一七七支部に足を踏み入れる。



36 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:09:28.02 ID:awFqAhP6O
五条「……ククク……先の礼を兼ねて、遊びに来ましたよ……先日はありがとうございました……」
初春「お礼なんていりませんよ、私と五条さんの仲じゃないですか。今お茶入れますから、そこで少し待っててくださいね!」

ぱたぱたと給湯室へと姿を消す初春。
と、唐突に風景が支部の外へと切り替わった。
何事かと肩に置かれた手の先を見る。

満面の笑みを浮かべて肩に手を置いている、見慣れた転送能力者の少女。

黒子「……勝さん。どういう事ですの?」
五条「……?」

話が見えず、首を傾げる。

黒子「なああああああああああああんであなたと初春がそんなに親しげですのおおおおおおおおおう!?」

突然鬼の様な表情になり、彼女が雄たけびを上げた。
叫びながらむんずと前髪を掴まれ、ブンブンと左右に揺さぶられる。

五条「……!?違ッ、これはッ!痛ッ!」
ふっと再び景色が切り替わり、第一七七支部の天井と地面が逆になっている不思議な光景が眼に入る。
刹那、自身の身体を逆になった重力が襲う。
ごちんと頭部に強い衝撃。
五条「……へぇあッ!?」

初春「お待たせしましたー、ハーブティーが……?どうされましたか?」



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /01(水) 23:10:22.74 ID:Cd9OZWeA0
嫉妬黒子かわええなぁ



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /01(水) 23:11:28.78 ID:sxmQFqVI0
「へぇあッ」にそんな使いかたがwww



40 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:14:39.88 ID:awFqAhP6O
額を抑えて蹲っている自身に対して、初春が怪訝な眼差しを向けてくる。

黒子「あらあら五条さん、そんな所で転ばれましたの?日ごろの行いにはもう少しご注意遊ばせ!」

言うなりツンとした表情で書類に向かう黒子。

その様を見た初春がニヤリと笑い、ハーブティーを自身のデスクへと置いて近寄って来た。

初春「あら?オデコにコブが出来てますね」
初春が机の上の救急箱から軟膏を取り出し、その指に少量を取り分け、再び自身へと向き直る。

初春「すぐ済みますから、動かないで下さいねー」

互いの膝が付きそうな程の距離で対面に座った彼女の指が、自身の額に触れた。
誰かに額に軟膏を塗られた経験など無かったが、思った以上にこそばゆい。
ましてや塗っているのが異性の指ともなると、流石に気恥ずかしいものだ。

五条「……ククク……すみません……ッ!?」

と、只ならぬ殺気を感じ、殺気の元へと目線を走らせると初春の背の向こう側の黒子と眼が合った。

先に肩に手を乗せた時と変わらぬ満面の笑みを浮かべながら、声を発さずパクパクと口を動かしている。



43 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:20:42.20 ID:awFqAhP6O
五条(……?)
なんだろう、一体何を言ってるんだろう。
一定の間隔でパクパクと開閉する口から、読唇術を試みてみる。

オオイアウアオ?
こおいますあよ?

──────コ・ロ・シ・マ・ス・ワ・ヨ?
ピシィ、と音を立てて、メガネにヒビが入る様な錯覚を覚えた。

五条「……ヒヒヒ……ッ!」
黒子の口が示す言葉を理解した瞬間、咄嗟に黒子から下方へと目線を逸らした。
必然的に、間近に居た初春のセーラー服の胸元が視界に入る。

初春「…やだ五条さん、どこ見てるんですか?恥ずかしいです」

慌てて初春の声に慌てて視線を戻すと、顔を仄かに赤く染め俯いている初春と、その向こう側で、変わらぬ笑みを湛えている黒子が眼に入った。
その黒子の手のひらに、一粒の画鋲がちょこんと鎮座している。

五条「……!違っ」
眼前で照れる少女を挟んで、黒子の手のひらに置かれた画鋲が、ふっと消失するのが見えた。
五条「ひぎぃッ!?」

次いで、足の裏を襲う洒落にならない程の激痛。

初春「……?どうしました?」

唐突に奇声を発し、足の裏を押さえてピクピクと悶絶している自分を見て、初春が心配そうに声を掛けてくる。



46 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:25:27.09 ID:awFqAhP6O
五条「……すみません……用事を思い出したので帰ります……ヒヒヒ……」

画鋲の刺さっていない方の足に体重を掛けながら、ひょこひょこと出口に向かった。

初春「え!?もう帰られちゃうんですか!?」

少し悲しそうにこちらを見つめる初春少々申し訳の無い気持ちは抱いたが、これ以上ここに居ると、いつ胃袋に釘を転送されるか判ったものではない。

いや、それならばまだマシな方だろう。
ここ最近間近に居すぎたせいか、すっかり黒子の元来の通り名を忘れていた。
今後初春に用事がある時は、黒子が留守の時に訪れる事にしよう。

五条「……えぇ、また時間がある時に来ますよ……」

言って、第一七七支部の出口へと向かう。
ようやくこの惨憺たる地獄から逃れる事が出来る。

黒子「あら五条さん、帰られますの?偶然ですわね、わたくしも丁度警邏に行こうかと思っておりましたの」

背後から、縋る亡者の声を聞いた気がした。
カンダタは、きっとこんな気持ちだったのだろうか。

────────────



47 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:30:19.68 ID:awFqAhP6O
────────────

僅かに西に傾いた日がその光を茜色へと変え、窓から見える通りを暖かい色へと染め上げていく。
とかく学生の多いこの街においては、夏休み中のこの期間のこの時間は、普段のそれとは殊更に人通りの様が変化しているのを感じ取れた。
普段は学生服を纏って闊歩しているのであろう少年や少女が、短い夏を謳歌する蝉の様にその制服という抜け殻を脱ぎ捨t『どういう事ですの?』

左耳へと響いた声で、意識が現実へと引き戻される。
声のした方向へと目線を送ると、テーブルの上に並ぶスイーツと、憤怒の表情でそれにフォーク伸ばす少女という、酷く対角的な光景が眼に入った。

五条「……ククク……どういう事とは……?」

声の主である、白井黒子の目を見つめ、問いを投げ返す。
途端に憤怒の形相を一変させ、親に叱られて拗ねている子どもの様な表情で、黒子が再び口を開いた。

黒子「あ……その……どうして勝さんと初春があんなに親しげでしたの?」

五条「ああ……それに関してですか……」



49 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:36:49.96 ID:awFqAhP6O
七月二十七日。
完全記憶能力者の少女(以前黒子も会ったシスター)が苦しんでおり、その原因を特定する為に、急いで優秀な脳医学者を探す必要があった。
その為、以前黒子が"情報能力に長けた同僚が居る"と初春を称していた事を思い出したので、木山の起した事件を処理した際に初春より教わった番号に連絡をし、彼女とコンタクトを取った。
彼女にアンチスキルに拘束されている木山との面会を取り付けて貰った。

これらの事実を整理しながら語る。

ええ、ええと話を聞いていた黒子の表情に、話が進むにつれて次第に恥ずかしさの色が混じるのが見て取れた。

黒子「……そうだったんですの、私てっきり……」
五条「……てっきり?」

黒子「……まあ良いじゃないですの、オホホホホホ!」
五条「……?」

黒子から目線を外し、再び窓の外に眼を向ける。
喫茶店の前の植え込みから栗色の髪の毛の様なものがチラチラと見えるが、子どもがかくれんぼでもしているのだろうか。

そんなことを考えていると、不意に懐の携帯電話が鳴動した。
ディスプレイに写る、見慣れない番号。

一瞬黒子と目を合わせ、電話に出る。

五条「……ククク……オレです……」



53 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:41:42.16 ID:awFqAhP6O
五条「……ククク……オレです……」
『あ、五条……さん……で合ってますよね?』

聞き覚えのある声に、少しの思案を挟んで問いかける。
五条「……上条さんですか……?」

『……合ってたか、良かったぁ。上条だけど、携帯電話買ったから、登録よろしくな』

五条「……了解しました……登録しておきましょう……」
『あ、それと今夜何してる?少し話したい事もあるから、こないだの礼も兼ねて銭湯でも行かないか?』

対面の黒子へと眼を向ける。
電話の内容が会話口から漏れていたのだろうか、いつも通りの笑顔に戻った彼女は、困った様な微笑みで親指を自身に向けた後、手を開き横に振った。

五条「……了解しました。それでは後ほど……」
『おう、後で』

電話を切り、黒子に向かい口を開く。

五条「……失礼しました……」

黒子「あのつんつん頭の殿方ですの?」

五条「……えぇ、この間の礼も兼ねて、風呂にでも行かないかと……」

黒子「あら、広いお風呂は少し羨ましいですわね」



54 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:46:18.47 ID:awFqAhP6O
五条「……オマエも来ますか?」
黒子「……実は、未だ始末書が少々残っておりますの」
はあ、と深くため息を吐く彼女。

五条「……ククク……」

そんな彼女を見て、自然と笑顔がこぼれた。

────────────

上条「それで、あの娘と明日約束をしてると」

湯船に浸かる上条が、隣のペンギンの頭を撫でながら言葉を吐いた。

五条「……ククク……」

別れ際に黒子が「明日お暇なら一日お付き合い下さいませ、私も暇ですので」と言って来たので、構わないと返答したは良いものの……

上条「そりゃどう見てもデートなんじゃないかって、上条さんは思いますよ?」

五条「……冷静に考えてみれば……そうですね……」

いざそうなってみると、黒子と二人でどこかに出かける等、事件現場に共に行った事や事後処理を除いては、一切ありはしない。
そもそも、プライベートでの白井黒子という人間を、自分は全く知らない。

上条「まぁ、大いに悩め少年よっ!可能ならその幸せを少しオレにもわけてくれっ!」

楽しそうにゲラゲラと笑う上条を脇目にため息を吐く。



60 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /01(水) 23:52:38.64 ID:awFqAhP6O
楽しそうにゲラゲラと笑う上条を脇目にため息を吐く。

五条「……そういえば、お話したい事とは……?」

本来の目的から反れた話を、一息つき終え本流へと返す。

上条「んん、話したい事っつーか質問なんだわ……答えたくなかったら構わないんだけどな」
五条「……?」

次がれる言葉を待っていると、上条が大きく深呼吸した後、表情を堅いものへと変化させ、言葉を吐いた。

上条「オマエの能力って、何なんだ?」

五条「……」

上条「あの時、俺達の傍の羽が消えたのって、きっとオマエの能力だよな?」
五条「……ええ……」
少し俯きながら言葉を返す。

上条「……いや、結構な魔力で出来たものだったろ、あの羽。それを能力で消すってのが、どうも考え辛くてさ」

あまり踏み込まれたくない部分に触れられたのが表情に出ていたのだろうか。
取り繕う様に少し軽い雰囲気で、上条が言葉を続けた。



66 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /02(木) 00:00:13.10 ID:QHKzse28O
上条「オレもこんな右手を持ってるし、もしかしたらオマエも似た様な何かなのかなって思って、ちょっと気になって……」

上条「あ、話したくなければ無理に話さないで良いぞ!少し気になったって程度だから!」

五条「……」

男性浴場内には、自分と上条を除き誰も居ない。
ふと横を見ると、企鵝の一羽と目が合った。
少しの間目を合わせていると、人間でいう耳の部分に両の羽を沿え、ふるふると首を横に振った。

少々逡巡した後、生まれ持った右手が原因となって不幸な運命を背負った目の前の男にならば或いは、との考えにたどり着き、間を置いて言葉を紡ぐ。

五条「……話しましょうか……ククク……いえ、オレもオマエに聞いておいて頂きたい……」

もったいぶるわけでもないが、大きく深呼吸をした後に、言葉を吐き出した。

五条「……オレがこの学園都市に来る前からの話になるので……少し話が長くなるのですが……」

──────オレはね、ただ、サッカーが大好きだったんですよ。

──────fin──────



72 :五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /02(木) 00:13:26.15 ID:QHKzse28O
以上、本日投下分となります
代理スレ立てを頂きました>>1様
並びに支援を頂いております皆様
本日もありがとうございました

文量が少なく、寸劇を挟みながらの説明回となりましたので少々盛り上がりに欠けた感は否めないかと自省しております
次回も似た様なノリで消化し、週末辺りには本格的に三沢塾をあつかえればなー等と考えております
お嬢に一票入れました

次回の投下に関してですが、明日は私事で開始時刻が遅れまして、午後11時(若干遅れるかもしれません)より投下を開始させて頂こうかと思います
お時間がございましたら、またお付き合い頂ければ幸いです



73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /02(木) 00:13:40.77 ID:3UAB4zxt0
次回も楽しみにしてますぜ



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /02(木) 00:15:22.93 ID:KXVZAqWm0

次回も超期待しています




82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 01:15:31.92 ID:Jt26Rc5x0
しかしここまで黒子が可愛いのは久し振りに見た



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 01:17:31.44 ID:b//UUtCjO
乙。二人きりの時とそれ以外で呼び方変えるとか、黒子さん本気で惚れてるじゃないッスか。





次→五条「ククク… ここが学園都市ですか」その11



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禁書目録SS   コメント:6   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
1209. 名前 : 名無し@SS好き◆yE7IycBI 投稿日 : 2010/12/02(木) 02:28 ▼このコメントに返信する
おおお
黒子かあいいな
1210. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/02(木) 02:30 ▼このコメントに返信する
初春もかぁいい
1211. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/02(木) 02:37 ▼このコメントに返信する
まさか、アレイスターにまでフラグを・・・!?
1216. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/02(木) 03:27 ▼このコメントに返信する
五条とサッカーが交差するとき、物語は始まる……
1217. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2010/12/02(木) 11:19 ▼このコメントに返信する
今度こそ…きっと今度こそ、黒子とのデートでハンバーグを食べる五条さんを見ることが出来るはず…!
1221. 名前 : 名無し@SS好き◆m5TdrrV. 投稿日 : 2010/12/02(木) 15:42 ▼このコメントに返信する
フラグ的な意味では盛り上がってたなw
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