絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その9

2011-05-06 (金) 09:54  禁書目録SS   5コメント  
前→絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その8
まとめ→絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」まとめ



28 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:15:23.17 ID:/D7gXnwo


~同日夜 きぬはた荘~


滝壺 「あれ? みさわは?」

絹旗 「なんか、超体調不良らしくて。夕食食べれそうもないみたいです」

浜面 「おい、大丈夫なのか?」

婚后 「毎週病院に通ってらっしゃるようですし……持病でもお有りなのでは」

白井 「そうであったとしても、こういうことはご本人から話されるのを待つべきすの」

結標 「……」

結標 (そういえば、電話で話したときもなんかおかしかったわね)

結標 (アイツとなんかあったのかしら)

結標 「私があとで様子みておくわよ」

海原 (一番の友人である結標さんも事情を知らない……? これは何かありましたか)



29 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:16:33.67 ID:/D7gXnwo


~同じ頃 番外個体個室~


番外個体 「……」

番外個体 「私、なにに怒ってんだろ……」

番外個体 「ウサギさん、分かる?」モフモフ

番外個体 「……見苦しい嫉妬だよね、聞きゃ分かるだろうにさ」

番外個体 「」カチカチ


 件名:ちょっと聞きたいんだけど
 日付:20yy/m/d 19:38
 ───────────────
 今日どっか行ってた?
 あなたっぽい後ろ姿見かけたんだ
 けど


番外個体 「送信、っと」ピッ



30 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:18:12.67 ID:/D7gXnwo

番外個体 「電話すりゃ早いんだろうけど、なんでか怖い……」

番外個体 「あ、もう返信きた」ピッ


 差出人:いっつう
      
 件名:Re:
 日付:20yy/m/d 19:42
 ───────────────
 オマエに報告する義務はない


番外個体 「ッ……!」

番外個体 「な、なんだよそれ……」

番外個体 「……チッ」ポイッ


 ガシャン カラン...


番外個体 「つい電話ブン投げちゃった……壊れちゃったかな、ははっ……」



31 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:19:43.81 ID:/D7gXnwo


~同日深夜 きぬはた荘 リビング~


番外個体 「食べる気はしなくてもお腹は空くもんだ」モグモグ

番外個体 「誰もなんも言ってこなかったな……空気読んでくれたのかな」


<誰かいるの?(ガチャ)


番外個体 「!?」ビクッ

結標 「あ……」

番外個体 「……」

番外個体 (何から話すか考えてないよ……)

結標 「あの、大丈夫?」

番外個体 「だ、大丈夫って……?」



32 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:21:10.17 ID:/D7gXnwo

結標 「体調悪いって聞いてたから」

番外個体 「あ、うん、平気」

結標 「もしかして、一方通行となにかあったの?」

番外個体 「……え?」

結標 「つい最近行ってたでしょ? その時に何か 「ないよ」

番外個体 「なんにもない」

結標 「そう? 昼間電話したときもなんか様子おかしかったじゃない」

番外個体 「……人の気も知らないで」ボソッ

結標 「え?」

番外個体 「ちょっと、聞いていいかな」

結標 「なに?」



33 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:22:24.16 ID:/D7gXnwo

番外個体 「ええと……」

結標 「どうしたのよ、深刻な顔して」

番外個体 「……今日、どっか行ってたの?」

結標 「地下街だけど?」

番外個体 「誰と?」

結標 「え? あ、それは、ね……」

番外個体 「……いや、やっぱいいや。プライベートなこと聞いて悪かったね」

結標 「ちょ、ちょっと待って。……その質問をするってことは、見たのよね?」

番外個体 「偶然、見かけただけだよ。じゃ、私もう寝るから……」

結標 「待って、貴女ぜったい誤解してる!」ガシッ

番外個体 「そんなことないから……ねえ、離してよ」



34 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:23:58.64 ID:/D7gXnwo

結標 「……離したら、どっか行っちゃうでしょ?」

番外個体 「それは……」

結標 「確かに貴女から見れば疑問に思うかもしれない。でもちゃんと理由があって」

番外個体 「だからそんなんじゃないから!」

結標 「ねえ、お願いだから最後まで聞いて!」

番外個体 「もういいから! ほっといてよ!」バチッ

結標 「いたっ……!」

番外個体 「あ……」

結標 「……」

番外個体 「……」

結標 「……言い訳も聞いてくれないの?」

番外個体 「……ゴメン、今は何聞かされてもひどい事言っちゃうかもしれない」



35 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:25:13.78 ID:/D7gXnwo

結標 「真琴……」

番外個体 「本当にゴメン。あなた達は何も悪いことしてないのにね」

結標 「あ、待って……」


<バタン


結標 「……そんなことないのに」

結標 「経緯はどうであれ、誤解されるようなことしたのは本当なんだから」

結標 「はあ……憎まれ役は慣れてるつもりだったけど……今回ばかりは堪えるわね」ポスン

結標 「…………はぁ」


<ガチャ



36 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:26:46.13 ID:/D7gXnwo

海原 「いやいや、派手にやりましたね」

結標 「海原? 貴方、何しにきたの」

海原 「騒ぎを聞きつけて慰めにきた、ということにしておきましょうか」

結標 「その優しさに泣いちゃいそうね」

海原 「泣いてもいいんですよ?」

結標 「冗談…………でも、私どうしたらいいのかな」

海原 「……」

結標 「誰かとここまで仲良くなったの初めてだから……ケンカしたとき、どうすればいいのか分からない……」

海原 「ミサワさんは、色々あって少し不安定になっているのでしょう」

結標 「不安定、ね……」

海原 「こういう時は遠くから見守ればいいんです。
    友人として続けてきたんですから、話し合いは後からでも間に合いますよ」

結標 「……そうね」



37 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:28:17.91 ID:/D7gXnwo

 :
 :
 :

結標 (海原はああ言ってたし、今回に関しては時間が解決するだろうけど……)

結標 (でもやっぱ、このままってのも……居辛いわよね)

結標 「……ねえ、起きてる?」コンコン

結標 「……入っちゃうわよ?」


 ガチャ


結標 「あれ? 真琴?……ウソ、いない」

結標 「……なんで携帯電話が床に」ヒョイ

結標 「うん? メール表示しっぱなし……なによ、これ」

結標 「あの白モヤシ……なんでこんな言い方しかできないの」

結標 (知らぬこととは言え、私も傷付けるようなこと言っちゃったのね……)



38 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:30:29.44 ID:/D7gXnwo


~同じ頃 とある公園~


番外個体 「なんでかな……なんであんな言い方しかできないかな」

番外個体 「……頭より先に口が動いてた、どうにかできないのかコレ」

番外個体 (想い人と親友を同時に失うことになるのかな)

番外個体 「私、どうすれば……」

番外個体 「……さむ」

番外個体 「帰るか……いや、でも」

番外個体 「どんな顔して、どう接すればいいんだろ」

番外個体 「わかんないよ……」



39 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:33:51.91 ID:/D7gXnwo


~翌日 昼食時~


結標 「」チラッ

番外個体 「……」

絹旗 (いったい何があったっていうんですか……)

浜面 (仲良かったのにな)

滝壺 (ケンカしちゃったのかな)

番外個体 「ごちそうさま」

絹旗 「あ、はい」

白井 (朝からずっとこんな調子ですの……)

婚后 (口を挟みにくい雰囲気ですし……)

海原 「……」



40 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:35:15.21 ID:/D7gXnwo

番外個体 (いつまでもこのままじゃ……みんなも心配してるみたいだし……)

番外個体 (誰かに相談……でも、誰に……)

番外個体 (経験豊富で、完全に第三者視点になれるような……そだ!)

番外個体 「ちょっと出かけてくるね、夕方には戻るから」

浜面 「お、おう。気をつけてな」


<バタン


結標 「……」

滝壺 「ねえ、むすじめ。ケンカしちゃったの?」

結標 「そんなところ……ゴメンなさいね、みんなにも心配かけちゃって」

白井 「わたくし達はいいのですが……見てて居た堪れないですの」

婚后 「早く仲直りできるとよろしいですわね」

結標 「その点は大丈夫。多分今日か明日……そのタイミングもあると思うから」



41 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:36:36.63 ID:/D7gXnwo


~とある病院~


麦野 「で、私のところに来たワケか」

番外個体 「」コクリ

麦野 「……ま、患者のアフターケアも仕事の内か」

番外個体 「ゴメンなさい……」

麦野 「いいけどさ。話はそれで全部?」

番外個体 「うん」

麦野 「要約すると、片想いの彼と親友が仲良く歩いてました」

麦野 「彼もちゃんと答えてくれないし、親友とは気まずくなった、と」

番外個体 「……うん」

麦野 「そいつら付き合ってんの?」



42 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:37:56.34 ID:/D7gXnwo

番外個体 「それは分からないけど……」

麦野 「……はあ、妄想で凹んでりゃ世話ないわね」

番外個体 「だ、だって!」

麦野 「彼に問い詰めれば? それが一番てっとり早いでしょ?」

番外個体 「でも……私とそいつだって、まだ付き合ってるとかじゃ……」

麦野 「関係ないね。結局アンタ怖いだけだろ?」

番外個体 「え……」

麦野 「問い詰めた結果、付き合ってますっていわれるのが怖いだけだろ?」

麦野 「だから聞けないんだ。ウジウジしやがって見てられない」

麦野 (って、私が言えたクチじゃないけどね)

番外個体 「ぐぬ……聞きゃいいんでしょ、聞きゃ!」



43 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:39:40.86 ID:/D7gXnwo

麦野 「よーし、今電話しな」

番外個体 「は……今?」

麦野 「そうだよ。今やらないと後回しにし続けそうだもん」

番外個体 「……」

麦野 「あっれー? 怖気付いちゃった? アンタの想いはその程度なんだにゃー」ニヤニヤ

番外個体 「」カチカチ


 Prrカチャ


番外個体 「あ、もしもし? 私だけど……」

一方通行 『おォ、丁度よかった。オマエに用事があったンだ』

番外個体 「え?」

一方通行 『今夜時間ないか? 30分でもいい』



44 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/26(日) 00:42:09.60 ID:/D7gXnwo

といったところで、今回はここまでです。
誰かが悪い訳ではなく、タイミングだけが最悪だったんです。
一方さんの返信メールも最悪かもしれませんが。

お付き合い頂き、ありがとうございました。
それでは、これにて。


47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/12/26(日) 00:51:33.68 ID:WxQYm6AO
ここでやめるなああああああああああああああああ




52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/12/26(日) 02:10:03.43 ID:h5E2c5Io

>海原 「こういう時は遠くから見守ればいいんです。

海原さんが言うと、すごく説得力がありませんね。




65 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:28:08.18 ID:YOXMd8Qo

番外個体 「用事って……?」

一方通行 『それは会ってからだ。電話だとやりづれェ』

番外個体 「分かった。時間は任せるよ、どこ行けばいい?』


麦野 「ところでアンタ、なんでさっきから一言も喋らないの?」

19090 「ミサカでは的確なアドバイスはできません、とミサカは己の経験の無さを恥じます」

麦野 「ま、これからせいぜい経験積むこったね」

19090 「はい、ミサカもしずりんのような立派な耳年増に(メキッ)いひゃいでふいひゃいでふ」

麦野 「だーれーがー、耳年増だって? あ?」ニコニコ


番外個体 「じゃ、後で(ピッ)……何してんの、あなたたち」

麦野 「んー? いやほら、こいつ無表情だからさ。表情筋をほぐすマッサージをね」ゴキゴキ

19090 「たひゅけてくだひゃい!」ジタバタ



66 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:29:18.47 ID:YOXMd8Qo

麦野 「それより、どうだった?」グニグニ

番外個体 「……今夜会うことになった」

麦野 「お、やったじゃない」ポイッ

19090 「ふぎゃ」

番外個体 「いや、来いとしか言われてないから。何言われるかは……」

麦野 「ネガティブな方向に考えてどうすんの。それじゃさっきまでと変わらないじゃん」

番外個体 「うぅ……」

麦野 「下らない心配するヒマがあるなら、腕のいい産婦人科でも探しておきな」

番外個体 「だからなんでみんなしてそっちに持ってくかなぁ!」

麦野 「え? 年頃の男女が密会してヤることなんて、一つしかないでしょ?」ニヤニヤ

番外個体 (白衣の悪魔だ……)

19090 「ま、まだ痛いです、とミサカは頬をさすりまふ」



67 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:30:31.66 ID:YOXMd8Qo


~同日夜 とある公園 ベンチ~


番外個体 「ここって……」

番外個体 「学園都市に戻ってから、初めてあの人とまともに会話した場所だ」

番外個体 「こんなところ指定してくるなんて……皮肉のつもりなのかな」

番外個体 「」ポスン

番外個体 「ベンチ冷たい……寒いよ……」ブルッ

番外個体 「やっぱコート買っときゃ良かったかな」

番外個体 「……用事ってなんだろ」

番外個体 「これが済んだら……淡希にもちゃんと謝ろう。元通りになれるか、分からないけど……」

 :
 :
 :

番外個体 「あ……」



68 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:31:51.47 ID:YOXMd8Qo

一方通行 「よォ、今来たところか?」

番外個体 「……遅い」

一方通行 「」ヒタ

番外個体 「!? (ほ、ほほほっぺに、手、手……!)」

一方通行 「冷てェな……こりゃ悪かった、待たせちまったみたいだな」

番外個体 「……もうちょっと、こうしてて」ギュ

一方通行 「もうちょっと、だからな」

番外個体 「で、何の用?」

一方通行 「オマエに渡したいものがあってな」

番外個体 「引導?」

一方通行 「なンで引導渡さなきゃいけねェンだよ」



69 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:33:25.74 ID:YOXMd8Qo

番外個体 「じゃあ、何?」

一方通行 「……受け取れ」つ□

番外個体 「なにこれ……?」


  【Happy Birthday】


番外個体 「ちょっと、これどういうこと!?」

一方通行 「……前にな、クソガキがこんなこと言ってたンだよ。自分の誕生日は8月31日だってな」

番外個体 「? そうなの?」

一方通行 「実際の誕生日なンざ誰も知らねェよ。だから、俺と初めて会った日が誕生日なンだとよ」

番外個体 「あの子らしい考えだね……で? その話とこれと何の関係があるの?」

一方通行 「クソガキがな、もォすぐオマエの誕生日だから何かしてやれって言うンだ」

番外個体 「……?」



70 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:34:58.26 ID:YOXMd8Qo

一方通行 「ま、オマエにはクソガキの面倒も見てもらってるしよ。日頃の礼も兼ねたって訳だな」

番外個体 「待って……私だって、誕生日なんかないんだけど……」

一方通行 「今日は何日だ?」

番外個体 「……10月30日?」

一方通行 「去年の10月30日、オマエは一回死に損なっただろ? それを堺に、別な生き方を始めた訳だ」

番外個体 「……」

一方通行 「今日が誕生日だと主張しても、誰も咎めやしねェよ」

番外個体 「い、いいのかな……私なんかが」

一方通行 「なンかって言うンじゃねェ」ペシッ

番外個体 「いたっ」

一方通行 「オマエだって普通に生きていいンだよ。この半年、そうしてきたようにな」

番外個体 「……うん」



71 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:36:49.88 ID:YOXMd8Qo

番外個体 「これ、開けていい?」ベリベリ

一方通行 「開けながら言うンじゃねェ……」

番外個体 「(パカッ)ピアス……」

一方通行 「オマエ、いつも赤珠のネックレスしてンだろ? 赤が好きなのかと思ってよ」

番外個体 「これって、ルビー?」

一方通行 「ルベライトだ。10月の誕生石らしいぜ?」

番外個体 「へえ、あなたにしては気が利いてるね」

一方通行 「いや、俺も詳しくねェからよ。選ぶ時、ちっと知り合いの手を借りた」

番外個体 「知り合い、って?」

一方通行 「オマエの携帯にプリクラ張ってあっただろ? 二人で写ってるヤツ、そいつだよ」

番外個体 「えっ」

番外個体 (じゃあ、あの日見たのは……)



72 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:38:05.22 ID:YOXMd8Qo

番外個体 「……昨日さ、あなたからすごい冷たいメール来たんだけど」

一方通行 「……アレは、悪かった。渡す前にバレたら面白くねェと思ってよ」

番外個体 (てことは、私が一人で勝手に思い込んで……)

番外個体 「あ……あぁ……」ポロポロ

一方通行 「あァ? 泣くほど嬉しかったかァ?」

番外個体 「それもあるけど……私……なんてことを……」グス

一方通行 「? おい、何があったンだよ?」

番外個体 「うっ……ゴメン、ちょっと……」ダキ

一方通行 「どォしたっつうンだよ……」

番外個体 「うぅぅぅ……!」グリグリ

 :
 :
 :



73 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:39:39.20 ID:YOXMd8Qo

一方通行 「落ち着いたか?」

番外個体 「うん……ゴメン、今日はもう帰るね。帰ってやることができちゃったから」

一方通行 「あァ」

番外個体 「これ、ありがとね。嬉しいのは本当だよ」

一方通行 「……またいつでも来い。クソガキも……俺も待ってるからよ」

番外個体 「うん。次行き時には、これ着けてくから。似合うかどうか評価してよね」

一方通行 「大丈夫だろ。馬子にも衣装つうからなァ」ケラケラ

番外個体 「またそんな…………ねえ、あなたってピアスしてないの? ちょっと耳見せて」グイ

一方通行 「着けるかよ、そんn


  chu☆


一方通行 「」

番外個体 「……お、お礼だよ。じゃ、ま、またね!」ピュー



74 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:40:50.44 ID:YOXMd8Qo


~同日 きぬはた荘~


番外個体 「はぁはぁ……う……ふー」

番外個体 「ほっぺに、くれてやった……」

番外個体 「」ブンブン

番外個体 「よし……もう一仕事」



~きぬはた荘 結標個室~


<コンコン


結標 「はい、どなたー?」


<ガチャ


番外個体 「」ヒョコッ



75 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:42:23.32 ID:YOXMd8Qo

結標 「あっ……」

番外個体 「淡希」

結標 「ど、どうしたの? こんな時間に」

番外個体 「すみませんでした」ペコリ

結標 「あの、ちょっと?」

番外個体 「誤解した上に暴言と電撃まで……わ、私、その……」ウルウル

結標 「……頼まれたとはいえ、誤解されるようなことしたのは本当だし」

結標 「それに電撃ってなんのこと? あれって静電気でしょ?」

番外個体 「え……」

結標 「……ほら、もう泣かないで」ナデナデ

番外個体 「……うん」グス

結標 「誕生日おめでとう」

番外個体 「ありがと」



76 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:43:48.64 ID:YOXMd8Qo

結標 「私も謝らないとね。アイツに口止めされてたから……辛い想いさせちゃったでしょ?」

番外個体 「いや、そんな……」

結標 「それに、大丈夫よ。私はあんな性悪エノキなんて眼中にないから」

番外個体 「……それ、私の前で言うかな」

結標 「あれ? 怒っちゃったかなー?」

番外個体 「こんのー!」ガシッ

結標 「やっ……こら、やめなさいって……この!」ヒュ


<わっ!?(ボスンッ)


番外個体 「……座標移動ってずるい」

結標 「貴女こそ体格差考えなさいよ。10cm近く差があるんだから、単なる取っ組み合いじゃこっちが不利でしょ」

番外個体 「まー、ベッドの上に転移してくれたことは評価してあげよう」



77 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:45:09.35 ID:YOXMd8Qo

結標 「なにそれ……ふ、ふふっ」

番外個体 「……ははっ」

結標 「(ヒュ)よっと。もうこのまま寝ちゃいましょ」ポスッ

番外個体 「そうだね、今日は色々ありすぎて疲れた」ゴロン

結標 「あ、枕返しなさい! それじゃないと寝れないのよ」

番外個体 「淡希の香りが(ガンッ)痛いよ……」

結標 「白井さんみたいなこと言わないでよ」

番外個体 「はいはい、じゃもう電気消すよ」ビリッ

結標 「……便利ね、それ」

番外個体 「たまに壊しちゃうけどね」

結標 「ちょっとやめてよ」

番外個体 「にひひ」



78 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:46:36.92 ID:YOXMd8Qo


~翌日~


番外個体 「あーわーきー、冬物コート買いたいから付き合って」

結標 「何、持ってなかったの? ロシアでどう過ごしてたのよ」

番外個体 (バトルスーツなんて言えないよね……)

結標 「まあ、いっか。じゃ準備できたら出掛けましょ」


絹旗 「超仲直りできたみたいですね」

浜面 「よかったよかった」ウンウン

滝壺 「仲がいいからこそ、ケンカしちゃうんだよね」

浜面 「てことは、お前たちでもケンカするのか?」

絹旗 「しようとも思わないです。滝壺さんは怒らせると超怖いので」

浜面 「あー、そりゃな。一理あるな」

滝壺 「……」



79 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:48:10.02 ID:YOXMd8Qo


~数日後 とある病院~


番外個体 「…………ちょ、ちょっとタンマ!」

冥土帰し 「はぁ、またかい?」

麦野 「なーに耳に穴開けるぐらいでビビってんのさ」

番外個体 「だ、だって……」

冥土帰し 「もういっそ全身麻酔でやるかね?」

番外個体 「それはそれで、ちょっと……」

冥土帰し 「しょうがないね。医者として褒められた行為ではないが……二人とも」

麦野 「はーい☆」ガシッ

19090 「番外個体、失礼します、とミサカは番外個体を羽交い絞めにします」ゴキャッ

番外個体 「ぐぇ……あ、あなたたち……」

冥土帰し 「一瞬だから、動かないようにね?」

番外個体 「ひっ……ま、待って……!」


  バチュン



80 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/27(月) 23:49:24.33 ID:YOXMd8Qo

といったところで、今回はここまでです。
大方の予想通りなオチとなってしまったでしょうか。
いや、(作中時刻で)最低でもあと半年は一緒に住んでもらわないと困るので、破綻エンドはないです。

さて、長かった寄り道も終わり、次からは本編に戻ります。
次回、きぬはた荘に見えない敵が襲いかかります。
あわきんとはまづらが奮闘するお話です。
次回投下は明日の夜を予定しています。

お付き合い頂き、ありがとうございました。
それでは、これにて。



82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/12/27(月) 23:52:09.58 ID:xYSPcXoo

冥土帰しの無駄遣いワロタ




86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/12/28(火) 00:48:10.70 ID:evU25sAO
乙であった
今年も残りわずかだが、来年は一方さんの年だな




87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/12/28(火) 00:49:10.83 ID:o8Wd5tUP
白くて赤目だからな



88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/12/28(火) 00:51:59.29 ID:ZOxw4V.o
浜面歓喜の年じゃないのか



105 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:13:13.33 ID:320QewAo

次って23巻じゃなくて新約なのか。
内容次第では、きぬはた荘終わったら書こうと思ってる番外個体の話が
まるっとそげぶされるな……。

それはそれとして、始めさせて頂きます。
きぬはた荘に見えない敵が襲いかかるようです。



106 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:14:38.94 ID:320QewAo


~11月初旬 某日早朝~


 [[目覚まし時計]]<クロコォォォォォォ


白井 「……朝ですの」

白井 「さて、仕度をいたしませんと」

白井 「」ズキッ

白井 「……あ、あれ?」

白井 「う……頭が……」ズキズキ

白井 「これはまさか、キャパシティダウン……!?」

白井 「みなさんは……このことを知らせませんと……」ズキズキ

白井 「あ、その前に着替えを……あいたたた」



107 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:15:58.02 ID:320QewAo


 ガチャ バタン


白井 「……みなさんはリビングでしょうか」フラフラ

結標 「あら、白井さんおはよ……ちょっと、どうしたの?」

白井 「む、結標さん……なんとも、ございませんの……?」

結標 「貴女こそどうしたのよ。顔色すごく悪いじゃない」

白井 「キャパシティ、ダウン、が……」

結標 「キャパシティダウン? って、音響兵器だっけ? 何も聞こえないけど……?」

白井 「? では、この頭痛、は……あれ?」フラッ

結標 「ちょ、ちょっと!?」

白井 「あ、頭が……」

結標 「しっかりなさい。……これって」



108 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:17:09.56 ID:320QewAo


~同じ頃 きぬはた荘 リビング~


浜面 「うん、いい朝だ! おはようございまっs」

滝壺 「」グテー

絹旗 「」ガタガタ

浜面 「? おい、どうしたんだ、お前ら」

滝壺 「あ、はまづらだ……」

絹旗 「さむ……」ガクブル

浜面 「!? 二人とも顔真っ赤じゃないか!(ピト)けっこう熱があるな」

滝壺 「」グテー

絹旗 「超さむいです……」

浜面 「参ったな、こりゃ……とりあえずお前ら、部屋戻って寝てろ」



109 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:18:33.57 ID:320QewAo

滝壺 「うー」

絹旗 「」ガクブル

浜面 「戻った戻った。必要なモンがありゃ届けてやるから」

結標 「なに、貴女達もなの?」

浜面 「おお、結標の姐さんか。……今、あなたたちも、って言ったか?」

結標 「ついさっき、上で白井さんが倒れそうになってて。たぶん風邪ね」

浜面 「もしかして、今朝になってから顔を見てない連中もマズかったりするか?」

結標 「かもね。いつもこの時間には全員起きてるし」

浜面 「ちと様子を見てきたほうがいいな」

結標 「私が行ってくるから、貴方はそっちの二人をなんとかしてあげて」

浜面 「おう、頼んだぜ」



110 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:20:49.54 ID:320QewAo

結標 「さて、まずは……あの子の部屋から行くか」


 コンコン ガチャ


結標 「生きてるー?」

番外個体 「」

結標 「ダメそうね」

番外個体 「……でかい声でしゃべるな……頭に響く……」

結標 「頭が悪いの? 他に悪いところは?」

番外個体 「ちょっと何その言い方……ぅぐ……」ズキズキ

結標 「ほーら、落ち着きなさい。熱もちょっとあるみたいだし、多分風邪ね」

番外個体 「へー、これが風邪か……風邪ってこんなにツライんだ……」



112 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:22:27.31 ID:320QewAo

結標 「初めて風邪ひいたの?」

番外個体 「う……ねえ、私、死ぬの……?」

結標 「はい?」

番外個体 「やだ……まだ死にたくない……」ウルウル

結標 (病気のときは弱気になりがちだけど、これは重症ね)

結標 「大丈夫よ。ちゃんと寝てればよくなるから」ナデナデ

番外個体 「……ホント……?」

結標 「ホントよ。私が貴女にウソついたことある?」

番外個体 「あるような、ないような……」

結標 「あーはいはい、下手に頭使うと治らないわよ。いいから寝てなさい」

番外個体 「はーい……」



114 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:23:53.36 ID:320QewAo

結標 「じゃ、また後でくるからね。ちゃんと寝てるのよ」


 バタン


結標 「無事な人間の方が少ないわね……」

結標 「この分だと、あとの二人もダメかな」


 ガチャ


婚后 「あら、おはようご ケホケホ……」

結標 「婚后さん?……もしかして、喉が痛いの?」

婚后 「ええ、昨夜から咳が止まらなくて……お陰で眠れませんでしたわ」ケホケホ

結標 「貴女は喉か……」

婚后 「?」



115 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:25:18.68 ID:320QewAo

結標 「ああ、ゴメン、なんでもないの。動きまわると悪化するから、寝てなさい」

婚后 「一つだけ ケホッ 頼まれて頂けませんか……?」

結標 「なにかしら」

婚后 「お水を……」

結標 「喉が乾いたってこと? 分かった、何か持ってくるから」

婚后 「申し訳 ケホッ ございません……」


 バタン


結標 「……はあ、ここまで生存者ゼロか」

浜面 「よう、姐さん。他の連中はどうだった」

結標 「今のところ全滅。絹旗さんと滝壺さんは?」

浜面 「どうにか寝かしてきた」



116 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:26:34.03 ID:320QewAo

結標 「……どうにか?」

浜面 「まあ、なんだ。絹旗のやつが、な……ほら、病気のときってナーバスになるだろ?」

結標 「ついさっき生きた実例を見たわね」

浜面 「それで、なかなか解放してもらえなかったって訳だ」

結標 「ご苦労様。それにしても、こんな一斉に倒れちゃうなんて……」

浜面 「風邪だろ? たっぷり食ってたっぷり寝れば大丈夫だ」

結標 「貴方だけ無事なのはおバカだから?」

浜面 「そういう発言をブーメランって言うんだぜ?」

結標 「黙りなさい。とりあえず私、キッチン行ってくるから。海原の様子見てきてくれる?」

浜面 「おお、任せといてくれ」


 コンコン


浜面 「うーなーばーらーくーン」



117 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:27:47.82 ID:320QewAo

浜面 「……返事がない。入っちゃうぞ? 肯定とみなす」ガチャ

海原 「おや、浜面さん……おはよう、ございます……」

浜面 「大丈夫……そうじゃないな。風邪か?」

浜面 (素人の俺が見ても分かる……こいつが一番重症だ)

海原 「はは……いやいや、お恥ずかしい、ところを……」

浜面 「起きるな起きるな! いいから安静に……っておい、すごい熱じゃないか!」

海原 「ええ、それに加えて、頭痛と、喉の痛みも、酷くて……」

浜面 「こりゃいかんな。取り合えず、今は寝てろ。後でまた来っから」

海原 「お手数、おかけ、しますね……」

浜面 「もういい、無理して喋るな。安静にしてろよ、いいな」


 ガチャ バタン


浜面 「ふう、こりゃ大変だ。海原が一番ヤバイな」ガシガシ



118 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:29:02.91 ID:320QewAo

結標 「…………」

浜面 「お、なんだ。戻ってたのなら一言」

結標 (あいつが一番重症だなんて)

浜面 「? なんか言った?」

結標 「いえ、何も」



~きぬはた荘 リビング~


結標 「もー、傷薬とか消毒液はあるのに、なんで風邪薬がないのよ……」ガサゴソ

浜面 「買ってくるしかねえか。症状も度合いもバラバラだしな」

結標 「症状か……そうね、ちょっと整理しましょう」

浜面 「ああ。まず滝壺と絹旗は熱だ。測らせたら39度ちょっとあったぞ」



119 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:30:34.12 ID:320QewAo

結標 「よく出歩いたものね……白井さんと真琴は頭痛ね。熱は微熱だけど、まともに動けないみたい」

浜面 「で、お嬢は咳か? 部屋の前通ったとき、ずっとゲホゲホ聞こえてたな」

結標 「確実に悪化してるわ……海原は?」

浜面 「全部」

結標 「え?」

浜面 「熱が高くて、頭が痛くて、喉も痛いんだとよ」

結標 「なんてこと……あいつもついてないわね」

浜面 「さて、何からすりゃいいんだ」

結標 「……食事の用意と必要なモノの買出し。まずそれからかしら」

浜面 「なるほど。料理とかまるっきしダメなんで任せていいか? 俺は必要なモン買ってくるからよ」

結標 「え? あ、え、ええ、任せておきなさい」

浜面 「ありがてえ。じゃ、頼んだぜ!」



120 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:31:53.25 ID:320QewAo


<ガチャ バタン


結標 「……うん、なんとかなる。なんとかなるわよ」

結標 「ええと、たしかここらへんに……」ガサゴソ

結標 「あったあった。"週刊 今日の晩ごはん"」

結標 「風邪の時って……うーん、早く治るためにはやっぱ栄養価が高いほうが……」ペラペラ

結標 「ペッパーハンバーグか……」

結標 「香辛料が入ってるし、身体温まっていいかも」

結標 「他に候補は……」パラパラ

結標 「色々あるわね」

 :
 :
 :

結標 「あーん、決められない」



121 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:33:27.17 ID:320QewAo

結標 「これ以上時間かけてられないし、素直に聞きましょ」カチカチ


 件名:質問
 日付:20yy/m/d 7:22
 ───────────────
 風邪引いたときにオススメの
 メニューってなにかしら


結標 「送信……」ピッ

結標 「さて、他になにか」

結標 「あら? 相変わらず返信早いわね」ピッ


 差出人:月詠小萌
      
 件名:Re:
 日付:20yy/m/d 7:24
 ───────────────
 風邪をひいたときは消化機能が弱
 り気味なので、消化がよい食べ物
 が良いのですー。お粥とかおじや
 とかオススメなのですよ。ついで
 に身体が冷えないように生姜やネ
 ギ、栄養価が高いタマゴを入れれ
 ば効果抜群なのです。あとはビタ
 ミン類と水分の補給に、すりおろ
 した林檎も摂るといいかもなので
 すー。



122 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/28(火) 23:35:16.17 ID:320QewAo

結標 「……メールの長さも相変わらずね」

結標 「でも、そっか。お粥ね……ネギとか生姜とか卵も残ってたハズだし」

結標 「林檎はないか……買ってきてもらわないと」カチカチ


 件名:買い物追加
 日付:20yy/m/d 7:29
 ───────────────
 林檎人数分


結標 「送信。こっちはこれでOKね」ピッ

結標 「よし」

結標 「お粥ね、作りましょう」

結標 (みんな、もう少し待っててね)



149 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:23:21.61 ID:k.ivvX6o


~きぬはた荘 キッチン~


結標 「お粥って……どうやって作ればいいのかしら」

結標 「うーん、いつもなら料理のときは滝壺さんか真琴が居てくてるんだけど」

結標 「あー、ダメダメ。頼りっぱなしもダメよね」

結標 「まずはお米」ザラザラザラ

結標 「で、水につけて……」

 :
 :
 :

結標 「……」ウーン


<たでーまー


結標 「あ、おかえりなさい」

浜面 「買ってきたぞー。各種の風邪薬に、冷えピタに、水に、あと林檎な」ガサガサ



150 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:24:39.40 ID:k.ivvX6o

結標 「随分な量になったのね。重かったでしょ」

浜面 「こんなの重いのうちに入らないぜ」エヘン

結標 「力持ちなのね、滝壺さんも惚れる訳だわ」

浜面 「いやいやいやいや、今関係なくね!? そそそ、それよりだな!」

結標 「?」

浜面 「姐さんは、なんで糊なんか作ってるんだ?」

結標 「糊? なんのこと?」

浜面 「いや、そこの鍋……」


 【鍋】<グツグツグツ


結標 「…………これ、お粥なんだけど」

浜面 「いや、これは糊だろ! 米の形残ってねえじゃん!」



151 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:25:58.46 ID:k.ivvX6o

結標 「な、なんでよ! 食べれるでしょ!」

浜面 「食っても死なねぇだろうけどさ! これはあんまりだろ!」

結標 「」ジワ

浜面 「あ、あー、そういえば俺メシまだなんだ! ハラが減って死にそうだ! これは俺が食う!」

結標 「……いいわよ、無理しなくて。自覚はあるから」

浜面 (なんだ、あるのか)

結標 「ダメな女だと思ってるでしょ? 料理もマトモにできないんだから」

浜面 「出来ることと出来ねえことは人それぞれだろ」

浜面 「滝壺だって料理はできるけど、身体動かすようなことはてんでダメなんだぜ?」

結標 「はぁ……お気遣いどうも。一応修行中なんだけどね」

浜面 「? 手料理を振舞いたい相手でもいるのか?」

結標 「……ナイショ。で、これは食べてくれるのよね?」



152 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:27:17.74 ID:k.ivvX6o

浜面 「」

結標 「さすがの私も、病人にコレだす程腐れてないから。改めて作らないとね」

浜面 「」ヒョイパク

結標 「レシピ検索、と……最初からこうしてればよかったわ」

浜面 「よかった、味は普通だ」

結標 「さて、これ出来たら食べさせて、薬飲ませて……を全員分か」

浜面 「やっぱ人手が足りねえな」モグモグ

結標 「ネコの手も借りたいってこういうことかしらね」


 チョンチョン


結標 「?」

ユリコ 「゚+.(・ω・)゚+.゚」



153 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:28:25.62 ID:k.ivvX6o

結標 「……ええと」チラッ

浜面 「なんでそこで俺を見る!?」

結標 「そうよね、ユリコも自分のご主人が心配なのよね」ナデナデ

ユリコ 「(・ω・三・ω・)」

浜面 「なんか違うっぽいぞ?」

ユリコ 「オアーン」

結標 「……ご飯?」

浜面 「あー、そっか。絹旗がダウンしてるから、ユリコにメシやってないのか」

結標 「そういうことね……そこにネコ缶あるから、あげてくれる?」

浜面 「おお、これか。よしよしユリコ、メシだぞ。これ食ったらお前のご主人のところに行ってやってくれな」

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」



155 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:29:37.72 ID:k.ivvX6o


~1時間後~


結標 「どうにかお粥っぽくできたわね……」

浜面 「これで完成か?」

結標 「いえ、あと風邪に効果のあるネギとか生姜とか卵とか……」

浜面 「あー、なるほどな。その方が冷えなくていいかもしれねえな」

結標 「もうそこに用意してあるから、あと入れるだけよ」

浜面 「……これ、全体的にでかすぎないか?」

結標 「え? そう、かな?」

浜面 「もうちっと刻んでおこうぜ」トントン

結標 「刻んだら入れちゃって」

浜面 「よーし、投入」ドボドボドボ



156 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:30:49.61 ID:k.ivvX6o

結標 「かんせーい」

浜面 「うん、見た目はお粥っぽいな」

結標 「ねえ、味見してみて……はい、あーん」ズイ

浜面 「お、おう。(パク)あふっ、あふあふあふ……」

結標 「」ジー

浜面 「ゴクッ……あ、熱いけど、うまいぜ!」グッ

結標 「良かった……」

浜面 「よし、あとは食わせて薬飲ませるだけだな」

結標 「だけって言うけど、結構な人数よ。手分けしましょ」

浜面 「6人だから、3人3人か」

結標 「そういうこと。まず6等分しないとね」



157 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:32:02.55 ID:k.ivvX6o


~滝壺個室~


浜面 「滝壺、大丈夫か?」

滝壺 「うん……」

浜面 「結標の姐さんがお粥つくってくれたぞ。食えるか?」

滝壺 「むすじめが……?」

浜面 「一口二口でも食わないと、薬飲めないからな」

滝壺 「ちょうだい……」

浜面 「おお。熱いから気をつけてな」

滝壺 「……むすじめ、腕あげたね……」

浜面 「そ、そうなのか?」

滝壺 「ただのお粥じゃなくて……風邪向けに工夫されてて……」

浜面 「本人が聞いたらきっと喜ぶぜ」



158 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:33:28.53 ID:k.ivvX6o


~絹旗個室~


浜面 「おーい、メシだぞー」

絹旗 「イヤですぅ……食べる気なんて超しないですぅ……」

ユリコ 「(´・ω・)」

浜面 「ダーメーだ。食べないと薬飲めねえし、治らねえぞ」

絹旗 「うぅぅ……じゃ、超アーンってしてください……」

浜面 「しょうがねえな。ほれ」

絹旗 「」ハムッ

浜面 「食ったら薬飲んで寝てろよ」

絹旗 「苦いのは超イヤです……」

浜面 「カプセル剤だから大丈夫だ」ナデナデ

ユリコ 「(´・ω・)ノ」ナデナデ



159 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:35:01.80 ID:k.ivvX6o


~番外個体個室~


結標 「はいっと」ペタシ

番外個体 「あー、なにこれ気持ちいい……ねえ、もっと……」

結標 「勘違いさせるようなセリフ吐かないの」

番外個体 「いや、だって……この、冷えピタっていうの? すごい、これ、マジ学園都市クオリティ……」

結標 「これは外でも売ってるハズだけど?」

番外個体 「」

結標 「替えは置いておくからね。ぬるくなったら取り替えなさい」

番外個体 「……もう、行っちゃうの?」

結標 「また後で来るから、ちゃんと寝てなさいよ。いいわね?」

番外個体 「はーい……」



160 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:36:16.30 ID:k.ivvX6o


~白井個室~


結標 「調子はどう?」

白井 「寝てる分にはどうにか……」

結標 「とりあえず、今日いっぱいは安静にしてるようにね」ナデナデ

白井 「う……あ、ありがとうございますの……あ、あの」

結標 「どうかした?」

白井 「他の方は……?」

結標 「……みんな似たような状態だけど。私がいるから大丈夫よ」

白井 「……」

結標 「貴女の性格上、難しいかもしれないけど。今は自分の心配だけしてなさい」

白井 「お手数おかけしますの……」



162 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:37:57.31 ID:k.ivvX6o


~婚后個室~


婚后 「申し訳、ございません……ケホケホ……色々と……」

結標 「無理して喋らなくていいわよ。はい、コレね」つ△

婚后 「?」

結標 「ヴィックスよ。私の経験上、喉にはこれが効果あるの」

婚后 「」パク

結標 「噛み砕いちゃダメだからね。ゆっくりと溶かして」

婚后 「」コクリ

結標 「あと、お水買っておいたから。お腹壊さないように、ぬるいままだけど」ゴトッ

婚后 「」ウズウズ

結標 「じゃ、また後で様子見に来るから。安静にね」



163 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:39:37.16 ID:k.ivvX6o


~海原個室~


浜面 「おい、メシだぜ。しんどいのは分かるが、ちょっとは食べておかないとな」

海原 「いやいや……お手数おかけしますね……」

浜面 「熱いから気をつけてな」

海原 「これは、浜面さんが……?」

浜面 「まさか。作ったのは結標の姐さんだぜ」

海原 「ほう……これは、期待できますね……」

浜面 (お、海原の味覚にはあってるんだな)

浜面 「食ったら薬飲んで寝てるようにな」

海原 「ええ……どの道、動けませんしね……」

浜面 「あとで様子見に来るけど、必要なモンがあったら俺か姐さんを呼んでくれ」



164 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/29(水) 23:40:58.63 ID:k.ivvX6o


~同日 きぬはた荘 リビング~


結標 「つっかれたぁ……もうお昼近いじゃない」ドサッ

浜面 「全員にメシと薬とその他は行き渡ったし、俺らもメシにしとくか」

結標 「……どうしよっか。もうピザとかでいい?」

浜面 「俺はなんでもいいぜ」

結標 「じゃ頼んどいてもらえる? もうなんでもいいから」

浜面 「はいはいっと」ピッピッ

結標 「看病も大変ね、まだ半日だっていうのに」

浜面 「はい、シーフードピザ1つで」

結標 「あ、サラダも頼んどいて」

浜面 「すいません、サイドメニューのサラダも1つ」



196 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:07:41.83 ID:byt3qTco


~25分後~


<毎度どーもー


浜面 「はいはい、来たよ、来ましたよっと」

結標 「……考えてみたら私、朝も食べてなかったわ」

浜面 「バタバタしてたもんな」

結標 「ところでさ、貴方から見て重症の人っている?」

浜面 「あー、絹旗と海原」モギュモギュ

結標 「海原は聞いてたけど、絹旗さんも?」

浜面 「アイツの場合は、弱気になってるんだろ」

結標 「弱気ね……病は気からって訳じゃないけど、そんな調子じゃ治るものも治らないわよ」

浜面 「こればっかりはなぁ」

結標 「とにかく、明日まで様子見て、よくなってなかったら病院行きね」

浜面 「ここで出来ることも限度があるしな」



198 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:09:06.35 ID:byt3qTco

結標 「あと、アレね」

浜面 「?」

結標 「私たちもミイラ取りにならないように気を付けないと」

浜面 「俺は大丈夫だぜ、鍛えってからな!」フンス

結標 「おバカは風邪ひかないらしいけど、一応マスクぐらいしときなさい」

浜面 「ガキの頃に風邪ひいた俺はバカじゃないってことだな!」

結標 「おバカでも風邪ひくのね」

浜面 「さっきからひどくないですか!?」

結標 「冗談よ」クスクス

浜面 「くそ、俺は死ぬまでいじられキャラという宿命なのか……」

結標 「きっとね」

浜面 「(´;ω;`)」



199 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:10:50.06 ID:byt3qTco

 :
 :
 :

結標 「~♪」ベリベリ

浜面 「なあ、林檎はどれぐらいの大きさに摺りおろせばいいんだ?」ザリザリ

結標 「ちょっと荒いぐらいで丁度いいんじゃない? はい2個目」

浜面 「さっきから気になってるんだが、剥いた皮ちょっと分厚くないか?」

結標 「摺りおろすんだから、いいでしょ」ベリベリ

浜面 「まあ、そうなんだけどな」ザリザリ

結標 「海原の皮剥いたら、何が出てくるのかしら」

浜面 「おいおい、何恐ろしいこと口走ってんだ」

結標 「え? あ、声に出てた? ゴメンなさい、気にしないで」

浜面 「?」ザリザリ



200 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:12:11.44 ID:byt3qTco

結標 「~♪」ベリベリ

浜面 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

結標 「どうしたの?」

浜面 「すりおろ林檎でボウルがいっぱいになった」


 【ボウル】<アフレソウデス


結標 「あら……」

浜面 「さすがに、これだけりゃ十分じゃないか?」

結標 「むしろ余るわね……そうだ!」ピコーン

浜面 「?」

結標 「夜のお粥に入れてあげましょ、きっと美味しく」

浜面 「やめてあげよう、な?」



201 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:13:36.73 ID:byt3qTco


~きぬはた荘 2階~


浜面 「えーと、手前の部屋から行くか」


 コンコン ガチャ


浜面 「絹旗? 起きてるか?」ソォー

絹旗 「あ、浜面……」

ユリコ 「」スピー

浜面 「寝れないか?」

絹旗 「さっきまで寝てました……喉が、超渇いて……」

浜面 「お、ちょうど良かった。ほら、林檎おろしだぜ」

絹旗 「……アーンって」

浜面 「はいはい、手のかかるお嬢さんだ」



202 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:14:59.39 ID:byt3qTco

絹旗 「超うるさいですぅ……」パク

浜面 「どうだ? 俺がおろしたんだぜ?」フンス

絹旗 「……超おいし……林檎ってこんなに、美味しかったんですね……」

浜面 「なんだ、今日はやけに素直だな」

絹旗 「私は、いつも素直ですぅ……」

浜面 「あー、そうだったな。おし、食ったら夜まで寝てろ」

絹旗 「夜に来てくれるんですよね……超約束ですよ……?」

浜面 「あぁ、約束だ」


 ガチャ バタン


浜面 「……あれ、ほんとに絹旗か?」

浜面 「風邪ってな怖いね……侮れんな」



203 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:16:11.23 ID:byt3qTco

浜面 「よし、お隣さんいくか」


 コンコン ガチャ


浜面 「滝壺、起きて……」ソォー

滝壺 「」スピー

浜面 「起きてないか……」

滝壺 「」スピー

浜面 「起こすわけにもいかないよな……また後で来るからな」


 バタン


浜面 「次は……一番の重症患者か」

浜面 「一番奥の部屋だったよな」



204 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:17:53.25 ID:byt3qTco


 コンコン ガチャ


浜面 「海原、入るぞ」

海原 「」

浜面 「おい、大丈夫なのか?」

海原 「寝ようとしているんですが……頭痛に、悪寒がひどくて……」

浜面 「病院行ったほうがいいか?」

海原 「いえ……今朝よりはマシですので……」

浜面 「なんかあったらすぐに言えよ、遠慮なんざいらねえから」

海原 「ご迷惑を……すみませんね……」

浜面 「それは言わねえ約束だぜ」



205 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:19:17.89 ID:byt3qTco


~同じ頃~


結標 「まずは……あの子からでいっか」


 コンコン ガチャ


結標 「起きてる?」

番外個体 「」スピー

結標 「お休み中か……ぬいぐるみ抱くなんて、可愛いところあるのね」

結標 「じゃ、後で来るから。それまで傍に居てあげてね、ウサギさん」


 バタン


結標 「さー、次いきましょ」



207 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:20:51.41 ID:byt3qTco


 コンコン ガチャ


結標 「入って大丈夫?」

白井 「はい、どうぞですの」

結標 「朝よりはラクそうね」

白井 「お陰様で……薬も効いておりますし」

結標 「今日いっぱい休めば、あとは大丈夫かしら」

白井 「ええ、わたくしは平気ですので。他の方を……」

結標 「分かってるわよ。はい、コレ」

白井 「これは、林檎ですの?」

結標 「水分とビタミンの補給にね」

白井 「(パク)まあ……こんなに美味しく感じるなんて……」

結標 「身体が求めてる証拠よね」



208 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:22:21.31 ID:byt3qTco

白井 「重ね重ね、お手数お掛けいたしますの……」

結標 「病気の時ぐらいはお互い様でしょ? じゃ、何かあったら呼んでね」

白井 「はいですの」


 バタン


結標 「何人かは回復に向かってるみたいね」

結標 「次の部屋、と……」


 コンコン ガチャ


婚后 「あら、結標さん……」

結標 「調子はどう?」

婚后 「朝よりは大分……結標さんのお陰ですわ……ケホ」



209 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:23:42.97 ID:byt3qTco

結標 「油断しちゃダメよ。明日の朝までは安静にしててね」

婚后 「かしこまりました……」

結標 「林檎たべる? はい」

婚后 「まあ……懐かしいですわね」

結標 「?」

婚后 「幼い頃、風邪をひくと……よく作ってもらってましたわ……」

結標 「お母さんに?」

婚后 「いえ……執事に……」

結標 「あぁ、あのおじ様ね」

婚后 「これを食べれば……元気になれそうな気がしてきますわね……」クスクス



210 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:25:03.17 ID:byt3qTco


~きぬはた荘 リビング~


結標 「……そっか。やっぱり絹旗さんと海原ね」

浜面 「あの2人は、ちょっと目を離せないかもな」

結標 「付き添ってあげたほうがいいかもね……それも後で考えましょ」

浜面 「そうだな。夜中になんかあったら大変だもんな」

結標 「さて……色々やってたら、もう夕方か」

浜面 「俺らのメシはどうすっか」

結標 「ピザの残りと林檎おろしよ」

浜面 「ですよねー」

結標 「寝込んでる人の分は、朝と同じでお粥として……あ」

浜面 「どうした?」

結標 「着替えさせないと。けっこう汗かいてるでしょうし」



211 : ◆r462iqU2Ag:2010/12/31(金) 21:26:31.74 ID:byt3qTco

浜面 「あー、それがあったな」

結標 「……こればっかりは、貴方と分担できないわね」

浜面 「……ですよねー」

結標 「まあ、仕方ないわ。他の人は私が行くから、貴方は滝壺さんの着替え手伝ってあげて」

浜面 「俺は買い物でもってえぇ!? なんで滝壺狙い撃ち!?」

結標 「なんでって? 他にいないでしょ?」

浜面 「ま、まあ……そうかもしれねえけど」

結標 「ついでに身体でも拭いてあげなさい」

浜面 「そ、そこまでっすか!?」

結標 「よし、決まりね。私は夕食作ってくるから、貴方は蒸しタオル用意しといて」

浜面 「あ、ちょっ……行っちまった」

浜面 「……お、怒られねえよな?」

浜面 「おっしゃ、タオルだなタオル! やってやるぜ!」



261 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:00:21.75 ID:d0O73hoo


~1時間後 きぬはた荘 キッチン~


結標 「すっかりお粥が得意料理になっちゃったわね」

結標 「もっと手の込んだことが出来ればなぁ……」

浜面 「よお、タオルは用意できてるぜ」

結標 「あ、お疲れ……様?」

浜面 「なんだよ、その反応」

結標 「ちょっと一枚貸してくれる?」ヒョイ

浜面 「?」

結標 「えい」ベチッ

浜面 「うぉぉぉ! あっちぃーーーー!!」

結標 「熱いでしょ?」

浜面 「な、なにすんだ!」



262 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:01:49.63 ID:d0O73hoo

結標 「貴方ねぇ、人の身体を拭くものなのよ? 持つのもツライぐらい熱くしてどうするの」

浜面 「いや、この方がすっきりすると思ったんだが」

結標 「冷たいよりはいいでしょうけど……使うときに冷ませばいいか」

浜面 「メシの方はどうなんだ?」

結標 「もう出来てるわよ」

浜面 「おし、じゃ出動するか」

結標 「っ……」ズキッ

浜面 「? おい、なんか疲れてないか?」

結標 「ちょっとだけね、大丈夫よ」

浜面 「あまり無理してくれるなよ」

結標 「分かってるって。ほら、行きましょ」

結標 (頭いたい……でも、私までダウンする訳には……)



263 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:03:24.28 ID:d0O73hoo


~絹旗個室~


絹旗 「あ、結標さん……」

結標 「調子はどう?」

絹旗 「はあ、朝よりは……あの、浜面は……?」

結標 「んーと……着替えもしなきゃいけないから、私が来たの」

絹旗 「そ、そうでしたか……」

ユリコ 「(´・ω・)」

結標 「あ、ユリコのご飯も後で持ってくるからね」ナデナデ

絹旗 「……」

結標 「どうしたの? 大丈夫?」

絹旗 「あ、はい……大丈夫です……」

結標 (病は気から、か……浜面くんに来てもらってもよかったかな)



264 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:05:14.69 ID:d0O73hoo


~白井個室~


白井 「しかし、本当に口惜しいですの」

結標 「何が?」ゴシゴシ

白井 「わたくしが万全の状態であれば……」

結標 「そんな気にしないでも……」ゴシゴシ

白井 「大きいお姉さまに付きっ切りで看病とか人肌で暖めてさしあげたりとか……」グフフ

結標 (ああ、いつも通りだ)

結標 「まあ、貴女と真琴は一番軽症だから。そんなに心配しなくてもいいわよ」

白井 「そ、そうなんですの?」

結標 「うん。あの子も頭痛がひどいだけで、他はそれほどでもないから」

白井 (チッ)

結標 「確信した。貴女はもう大丈夫ね」



265 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:06:55.59 ID:d0O73hoo


~番外個体個室~


結標 「ほら、腕こっち」

番外個体 「よっと……ねえ、淡希さ」

結標 「ん?」

番外個体 「今の状況、海原さんを落とすチャンスだと思わない?」

結標 「……何言ってんのよ」

番外個体 「いやほら、献身的な看病でガッチリとハートキャッチあわきん☆」

結標 「」バシッ

番外個体 「……私、病人なんだけど」ズキズキ

結標 「減らず口を叩く元気があるなら大丈夫ね」

番外個体 「そそ、私は寝てれば大丈夫だから。海原さんのところに行ってあげて」

結標 「言われなくともそうするわよ。あいつが一番重症だしね」



266 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:08:35.82 ID:d0O73hoo


~滝壺個室~


滝壺 「着替えも……?」

浜面 「お、おう。あー、なんだったら俺は外で」

滝壺 「手伝って」

浜面 「はい」

滝壺 「着替えは2段目の引き出しに入ってるから」

浜面 「失礼します」ガラッ

浜面 (っておい、下着と服を一緒にしておくなぁぁぁ!!)

滝壺 「? ねえ、はまづら。このタオルは?」

浜面 「汗をかいているようであれば、身体を拭こうかと」

滝壺 「じゃあ……お願いね」プチッ

浜面 (俺の理性頑張れぇぇぇ!)



267 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:10:14.22 ID:d0O73hoo


~婚后個室~


結標 「だいぶよさそうね」

婚后 「ええ、お陰様で楽になりましたわ」

結標 「油断しちゃダメよ。夜は冷えるからね」

婚后 「心得ております」

結標 「まだちょっと声が変だしね」

婚后 「う……」

結標 「じゃ、着替えましょうか」

婚后 「はい、お願い致しますわ」シュルッ

結標 (すごい、高級ブランドばっかじゃない……部屋着にここまでお金かけるなんて)

結標 (今度借りようかなぁ)

婚后 「結標さん? この格好で放置されるのはきついのですが……」



268 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:11:39.09 ID:d0O73hoo


~海原個室~


結標 「大丈夫? 起きれる?」

海原 「う……すみません、色々と……」

結標 「無理しないでいいわよ」ヨイショ

結標 (あら、思ってたより硬い)

海原 「」ブルッ

結標 「寒いの?」

海原 「ええ、少々悪寒が……」

結標 「じゃあ、さっさと済ませましょ」

海原 「お手数おかけしますね……回復した暁には、ちゃんとお返しを……」

結標 「今はそんなこと考えなくていいわよ」



269 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:13:04.19 ID:d0O73hoo


~その頃 滝壺個室~


浜面 「はい、着替えに身体拭き、完了ですよっと」

滝壺 「はまづら、ありがとね」

浜面 「いえいえ、お安い御用ですことよ!」

浜面 (鼻血耐えるのに必死だったぜ)

滝壺 「でも、はまづらとむすじめのお陰で朝よりは楽になったよ」

浜面 「そうか? それを聞いて安心だぜ」

滝壺 「……ねえ、はまづら」

浜面 「どうした? まだ何かあるか?」

滝壺 「もう寝るから、それまで傍にいて?」

浜面 「おお、任せとけ!」



270 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:14:25.36 ID:d0O73hoo

滝壷 「」スピー

浜面 「よし、寝たな……それにしても滝壷は冷えピタが似合うぜ」


<ガチャ


絹旗 「浜面、ここにいたんですか……」

浜面 「絹旗? どうしたんだ? なんか必要か?」

絹旗 「超必要ですぅ……浜面が……」

浜面 「?」

絹旗 「超心細いんです……一人にしないでください……」

浜面 「あぁ、分かった、分かったからな。今行くから。寝ないと治るもんも治らねえぞ」

滝壷 「」ガシッ

浜面 「……ええと」



271 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:15:44.66 ID:d0O73hoo

絹旗 「浜面ぁ……うー、寒いです、超寒いですぅ……」ガシッ

浜面 (どうすんだ、コレ)

 :
 :
 :

結標 「で、携帯使ってまで全員分の洗濯中だった私を呼んだワケね」

浜面 「左様でございますの」

結標 「この部屋に布団敷いてあげればいいじゃない。で、貴方も付き添ってればいいわ」

浜面 「……その手があったな」

結標 「今持ってきてあげるから。それまで絹旗さんが冷えないようにしてあげなさい」

浜面 「お、おお。すまねえ」

絹旗 「」ブルブル

結標 「……その体勢、まるで携帯の充電器ね」



273 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:17:29.84 ID:d0O73hoo

浜面 「ん? なんか言ったか?」

結標 「いえ、なにも。それじゃ、ちょっと待っててね」


 ガチャ バタン


結標 「はーぁ」

結標 (私にも充電器になってくれる人いないのかしらね)

結標 「……なに言ってるんだか」

結標 「布団のスペアってどこにあったかしら……」

結標 「……絹旗さんの持ってくればいっか」



~10分後~


結標 「よいしょっと」ボスン



274 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:18:55.78 ID:d0O73hoo

浜面 「いや、すまねえ」

結標 「別に貴方の為じゃないわよ。ほら、絹旗さん、こっち」

絹旗 「あぅぅ……」モゾモゾ

結標 「じゃ、あとは任せちゃって平気よね?」

浜面 「あぁ。本当なら俺が海原のとこに行くハズだったんだが……」

結標 「いいわよ、それぐらい。海原のところには私が行くから」

浜面 「ああ、頼んだぜ」


 ガチャ バタン


結標 「海原のところか……」

結標 「……さて、そろそろあいつはくたばったかな?」



275 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:20:24.15 ID:d0O73hoo


~海原個室~


結標 「生きてる?」

海原 「え、えぇ……どうにか」

結標 「なにかあったら言いなさい。ここに居てあげるから」

海原 「……すいませんね……付きっきりにさせてしまいまして……」

結標 「貴方が一番重症だからね。家の中で死なれても寝覚めが悪いし」

海原 「ふふ……病人相手でも、容赦がないですね……」

結標 「もう喋らないの。いいから寝てなさい」

海原 「そうしたいのですが……悪寒がひどくて中々……」

結標 「しょうがないわね……毛布持ってくるわ」



276 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:21:45.25 ID:d0O73hoo

 :
 :
 :

結標 「……ねえ、寝ちゃった?」

海原 「」スピー

結標 「はあ……手のかかること」

海原 「うっ……」ブルッ

結標 (真琴にはああ言ったものの……何かしてあげたいのは確かよね)

結標 「……私がしてやれること」

結標 「」プチッ プチッ


 シュル バサッ


結標 (ブラもない方がいいかな)パチン



278 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:23:20.10 ID:d0O73hoo

結標 (お邪魔します)モゾモゾ

海原 「」スピー

結標 (今だけだからね、ここまでしてあげるのは)

海原 「……?」

海原 (なにか温かくて、柔らかい……これは……?)

結標 (気付かないでね……気付かれたら死んじゃう……)

海原 (ですが……なんだか安心しますね……今なら寝れそうです……)

海原 「」ギュゥ

結標 (うひゃぁぁぁぁぁ!?)

海原 「」スピー

結標 (あ、明け方近くなったらこいつが起きる前に退散しようと思ってたのに……)

結標 (あまり気が進まないけど、座標移動で逃げるしかないか……)



279 : ◆r462iqU2Ag:2011/01/02(日) 23:25:02.51 ID:d0O73hoo

といったところで、今回はここまでです。
何人かは回復に向かっているようです。
ここの海原はあまりいい目にあってないので、これぐらいの得はあってもいいよね。
次回投下は明日の夜を予定しています。

お付き合い頂き、ありがとうございました。
それでは、これにて。



281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/02(日) 23:31:53.65 ID:G0iInwA0
ショチトル「おにいちゃんどいてそいつ殺せない」



284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/02(日) 23:50:58.25 ID:jSlsJoAO
海原あわきんは俺得!
エロスとか抜きで母性愛が出てて何か良いよね。そういうシチュ好き




287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/03(月) 00:23:22.46 ID:fCTfw6AO
>>285
>>284の言う通り、母性(主におっぱい)で安心させる為だろうね
歯医者でもおっぱい当てるのはその為らしいよ




次→絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その10

関連記事

禁書目録SS   コメント:5   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
6645. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/05/06(金) 13:18 ▼このコメントに返信する
他のサイトでもこの話見ていってたが
海原俺と代われ
それかもげろ むしろ爆ぜろ
6646. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/05/06(金) 15:58 ▼このコメントに返信する
あわきん嫁に欲しい
6675. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆Vlv9gDmU 投稿日 : 2011/05/07(土) 01:34 ▼このコメントに返信する
あわきんはお母さん役が似合うなぁ
俺の息子の母親になってくんねえかな
19540. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/19(月) 23:51 ▼このコメントに返信する
海原と浜面、激突して対消滅爆発しろ
26097. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/09/05(水) 15:53 ▼このコメントに返信する
絹旗に付っきりで看病したい。
というか一人にしちゃいけない。
コメントの投稿