【禁書SS】とある夜間の接待『ウォータービジネス』

2011-03-16 (水) 18:12  禁書目録SS   12コメント  
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都立水商! 22 (ヤングサンデーコミックス)

173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 23:32:08.44 ID:ldcWITdfo
【注意】
パラレルです。
この話の登場人物は全員成人しています。
が、外見は皆さんの脳内で好きなようにご想像ください。
なんだかちょっとアダルト風味(風味だけ)かもです。



174 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:32:38.64 ID:ldcWITdfo

ある晴れた午後。
少年、上条当麻はいつものように職場の寮の一室で目を覚ました。

上条「あ、暑ッ!」

台所に換気扇を入れに行く。

ロ―テーブルの上に置いた携帯電話で時間を確認すると
どうやら午後というよりも夕方に差し掛かっているらしい。

と、突如手の中の携帯電話がけたたましい音と振動で暴れ始める。

上条「うわっ!? も、もしもしっ!?」

喧噪のなかでも聞こえるように、いつでも音量は大きめだ。
普段、自室ではマナーモードにしているのだが、どうやら昨晩は忘れてしまったらしい。
                     .
電話の相手は上条当麻の務める「店」のマネージャー。
名物の「合法ロリ」こと、月詠小萌である。

曰く、「上条ちゃーん、業務成績が悪いから早番でーす」とのラブコール。

上条「……こんなに綺麗な夕焼けだっつのに、お先は真っ暗……」

がくりと肩を落とす。
が、そんな場合ではない。

もうすぐ夜だ。
今日は早番。出勤時間まであと五分しかない。
せめてこの沈みかけた夕日に、布団だけでも当てておこう。

そう思い、慌ただしく布団を抱え、ベランダに目をやった。

上条「……は」

ずるり、と布団が腕から抜け落ちる。

「おなかすいた……」

その日、なんやかんやあって、結局彼が遅刻することは言うに及ばない。



175 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:32:54.06 ID:ldcWITdfo

「ご飯ありがと! 私の名前は、インデックスっていうんだよ!」

インデックス、そう名乗った少女が妙だったのは、その驚異的な食事量からではなかった。

腰まである長い絹糸のような銀髪に、ものをよく見る翡翠色の瞳。
たおやかな笑みを浮かべる顔立ちは若干幼さを感じさせる。
白い肌がただでさえ細い輪郭をぼかして、儚げな印象を与えていた。

そして、その清廉そうな少女を包み込む衣服もまた特殊である。
きめの細かい布でできた長いローブとフードには金色の縁飾り。
いわゆる、修道服を平然と纏っている。

奔放に振る舞ってもすそを乱さない様子は、
その衣服を常日頃から身につけていることを示していた。

薄暗い部屋の中で、白色がほんのり輝くように浮かび上がる様に、
場に居あわせた者はどこか神聖なものを感じる。
. . . .. .
このような場ではどんな服装のものがいてもおかしくは無いのだが、
彼女の場合「本物らしさ」が加わって、どうにも悪目立ちを避けられそうにない。

上条「目次か!」
                                    (源氏名)
インデックス「うーん、禁書目録って意味なんだけど……あっ、魔法名はDedicatus545
        「献身的な子羊は強者の知恵を守る」っていう意味だね!」

上条「はあ……? そのインデックスさんは、何で追われてんだ?」

インデックス「私の持つ10万3千の接待テクニックが目的なんだよ。
        あ、あとついでに10万3千冊の魔導書も!」

話を聞けば、この少女、インデックスはコスプレカフェ・ネセサリウスの従業員に、
完全記憶能力を用いて脳内に記憶している膨大な接客術(カフェ用)を狙われているとのことである。

少年はふと考える。
たしかに少し変ってはいるが、源氏名持ちということは、
何らかの形で、この少女も「同業者」に近いものなのだろう。

上条「10万3千冊ねぇ……そう言うなら俺にだって不思議な力はあるよ」

インデックス「ふぇ?」

上条「近くに居る人なら、たとえそれが初対面の女の子だろうと、
    確実に仲良くなって接待できます。はい!」

インデックス「」

上条「あ、あとついでに右手にはどんな異能の力も打ち消せる力もある」

インデックスはとうとう吹き出してしまった。



176 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:33:11.88 ID:ldcWITdfo

上条「……って、もうこんな時間か!? やべぇ!!」

慌ててカバンを取りあげる少年を、インデックスは不思議そうに見上げた。

上条「俺、これから仕事いかなきゃなんねーんだけど……お前どーすんの?
    ここに残るなら鍵渡すけど……」

インデックスは一瞬確かに面喰ってから、ふわりと笑った。

インデックス「いい。出てく。いつまでもいると連中ここまで来そうだし、
        君だって、この部屋をアンティーク調にしてお出迎えされたくないよね?」

上条「あ、おい、待てよ!」

ずっと座っていたせいでよろける上条当麻を尻目に、
玄関のドアノブに手をかけた少女が、ちらりと振り返った。

インデックス「君のその能力、もしかするとフラグを建て過ぎちゃう能力なんだと思うよ?」

上条「はぁ?」

インデックス「存在居ているだけでフラグが乱立して、周囲の全員の好感度が均一すぎて、
        なかなかルートに入れないのかもね」

この一言は彼女いない歴を絶賛更新中の上条当麻のハートにぐさりと突き刺さった

上条「……不幸だ」

インデックス「何が不幸って、そのフラグイベントにすら無自覚なことが一番不幸だよね!」

うずくまる背中に、笑顔で追い打ちがかけられた。

上条「お前、行くあてあるのか?」

インデックス「うん……別のコスプレ系喫茶店まで行けば匿ってもらえると思う」

上条「ちょっと待てよ! そう言われて放りだせるか!」


インデックス「じゃあ、私と一緒に地獄の鬼まで接待してくれる?」

上条「っ」

インデックス「……それじゃ!」

玄関のドアをするりと抜けて行く白い姿を、少年は追った。

上条「困ったことがあったらまた来ていいからなッ!」

インデックス「うん! おなか減ったらまた来るね!」

そうしてエレベーターホールに消えて行くインデックスに、上条当麻はため息を禁じ得なかった。

上条「……! やっべ、仕事!」



177 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:33:31.09 ID:ldcWITdfo

水商都市。
ここは何十もの夜の歓楽街がひしめく、水商売の街。

東京都の三分の一もの広さに、人口は230万。
その8割が水商売の従業員で、殆どがここに住んでる。

そして、昼には廃墟みたいに静まり返ってしまう、ちょっと変わった街だ。

この街では、昼にはほとんど人通りが無い。
しんと静まり返った通りは電源を切られた看板が目立ち、妙に退廃感を醸している。

見る人が見れば廃墟とも見まごう町並みは、しかし、夜ごとに華々しく生まれ変わる。

ネオンの光る看板。
煌びやかな装いの男女。
そこここで起こる歓声と嬌声。

その片隅にある小さな店内では、一人の少女が店中の視線を集めていた。

小萌「はーい! それじゃミーティングを始めますー!」

にこりと笑う少女は、その実この店、「コスプレガールズバー月詠」の支配人である。
店の従業員たちには親しみをこめて「小萌先生」と呼ばれている。

小萌「先生、気合いを入れて今日の予約表を作ってきましたから、早速くばるです!
    成績が悪かったら、お外で客引きですよ?」

えー! と店中に不満の声が広がる。
この場に居るのはそもそも成績不振な従業員か、もしくは遅刻サボリの多い不真面目な輩だ。

店の制服である黒服に着替えた上条当麻の近くに立つ二人の友人も、似たような反応だ。

土御門「この前も朝まで立ちっぱなしだったにゃー」

青ピ「僕もや」

小萌「あっ、上条ちゃんは今日も遅刻したので、どの道客引きですよー?」

上条「げぇえ……」



178 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:33:48.60 ID:ldcWITdfo

その言葉に横に居た青髪ピアスが反応する。

青ピ「小萌ちゃんは上やんが可愛くて仕方ないんやねぇ」

上条「悪意は感じねえのか!」

青ピ「あないな合法ロリに言葉攻めなんて、上やん。経験値高いでぇ!」

上条「ロリコンの上にMかよ……救いようがねぇな」

青ピ「ロリが好きなんとちゃうでー! ロリも好きなんやでー!」

上条「あのな!」

小萌「はーいそこー! それ以上一言でも喋りやがったら、
    バニーボーイのサンドイッチマンになってもらいますよー?」

上条「不幸だ……」

視線をそらし、今朝の「インデックス」に思いをはせる。
フードを忘れて行ったこと。
10万3千のカフェ接客術。
去り際の台詞。





青ピ「せんせー! 上条くんが女子テニスコスプレの子をガン見して話しきいてませんー!」

上条「え」

月詠小萌に慌てて視線を戻すと、分厚いリストを握り締めた支配人は、
大きな瞳に涙を溜めて、必死に上条当麻を睨んでいた。

小萌「ふぎゅ……ふぇ……」

辺りから泣かした泣かしたと恨めしそうな声が聞こえて来る。
月詠小萌は従業員からの信頼の厚い支配人だ。

敵意ある視線が刺さりまくる中、上条当麻はこぼれ出そうになるため息を必死でこらえていた。



179 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:34:03.62 ID:ldcWITdfo

朝焼けの中、全店舗完全閉店時刻を告げる放送が流れている。

上条「結局この時間まで掃除で居残り……不幸だ」

ゾンビのようにふらふら歩く上条当麻の背中に、凛とした声がかけられた。

「見つけた! アンタよアンタ!」

上条「……なんだ、ビリビリバーテンダーか……」

声の主はその一言に、文字通り雷に打たれたかのような反応を返す。

「ビリビリ言うな! 私には、御坂美琴って名前があんのよ!」

そう言い放ってふん、と息を漏らす。

栗色のセミロングを耳元で掻き上げピンで止める独特のヘアスタイルに、
ぴっしり折り目正しいYシャツ、艶消しの棒タイに黒いベスト、ひざ丈のタイトなスカート。
薄手の黒いストッキングを張り付かせた脚がすらりと伸び、うっすら筋を浮かせてヒールに収まる。

いかにも夜の仕事を思わせる出で立ちだが、本人の意思の強そうな目がそれを打ち消す。
怪しげな色気を漂わせるよりも、仕事のできそうな切れ味の鋭さを感じさせてしまうのは、
彼女の胸や腰に余計な贅肉がついていないからだろうか。

瑞々しさを湛えた姿は同性も見とれるほどだが、
生憎上条当麻の目はそのレベルにすら慣らされているのだった。

美琴「あんた、始めて会った時からずっとビリビリいってるでしょ!?」

上条「……で、何の用だ? ビリビリ。お前も居残り掃除やらされたとか?」

美琴「うっさいわね!」

そう言って身を乗り出す彼女の左胸で金色のバッジがきらりと輝く。

そのバッジの意味は、この都市有数の名店
「ショットバー常盤台」のバーテンダーであることを示している。

しかもこの御坂美琴はバー常盤台のチーフ。
水商都市230万人の長点、業務成績レベル5の第3位という驚異の実績の持ち主である。

最もこのレベル5において御坂美琴ほど
表だって職種を述べられるほどの者は他に居ない事を付け加える。

美琴「今日こそ電流流したカエルの足みたいにヒクヒクさせてやるから、
    遺言と遺産分配やっとけやコラァ!」

上条「……やだ」

美琴「なんですってぇえええ!?」



180 :とある夜間の接待営業 :2011/03/14(月) 23:34:17.71 ID:ldcWITdfo

彼女の不満はただ一点。
その身に宿る能力、「目の前の人間が真に欲しがっているカクテルを当てられる力」に
上条当麻だけが当てはまらなかったのだ。

勿論ついでに10ボルトほどの電気を操り超電磁砲を毎分8発放てる電撃使いでもある。

美琴「だいたいアンタはお酒の作り方からしてなってないのよ!
    なんなのあの店! メジャーカップもバースプーンもなし!
    適当に酒をグルグルグルグルかきまわして「はいどうぞー♪」ってナメとんのかコラァ!!」

何故ここまで詳しいのかと問われれば、それはもちろん彼女が悪目立ち覚悟で
「ガールズバー月詠」に訪れたことがあるからである。

上条「その分うちはサービスと値段が適正だろうが! 良心的な店だって有名なんだぞ!?」

美琴「サービス!? カウンター越しにコスプレの女の子にお説教喰らうのが、サービス!」

上条「うぐ……あ、あれはそういう担当の奴で……」

そしてたまたま当たった吹寄制理(セーラー・体操服日替わり)の健康談議と姿勢矯正に関する
ありがたすぎる薀蓄と、豊満すぎる胸元に圧倒されてしまったのだった。

美琴「うう……ちょっとくらい大きいからって……」

上条「いい加減にしとけよ、お前も。
    はぁ、夕方はエセウエイトレス、朝はビリビリバーテンダーと来たもんだ」

美琴「うえい、とれす?」

御坂美琴が首をかしげるのも無理はない。
この街で飲食物を席まで運ぶのは、精々コンパニオンやバニーガール、もしくは黒服がいいところだ。

上条当麻がずりずり足を引きずりながら帰宅しても、彼女はそこで、なぜウエイトレスなど
この街で一番似つかわしくない言葉が出てきたのかと首をかしげるばかりだった。



181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 23:34:36.94 ID:ldcWITdfo

( ゚д゚ )φ
書き溜めはここで終わっている……

本当はこの後執事喫茶のステイルさんじゅうよんさいとか、堕天使メイド喫茶のねーちんとか
ナンバーワンホストな第一位が騙されてソープ嬢にさせられちゃった御坂妹に2億円貢がせたりとか
色々あったのですが気力が付きました。
読み方は「とあるやかんのウォータービジネス」で。


186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 00:02:50.53 ID:Fq5R1kXPo
>>181
一方さん最低過ぎるww
乙乙



182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 23:38:48.77 ID:2p7oA73So
二億円貢がせたらレベル6のホストになるのか……


184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 23:52:55.27 ID:EuJ2BACt0
この都市なら垣根が第1位になれそうな気がする…


185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 23:58:10.61 ID:53nauseDO
こ、小萌てんてーでお願いします!!


187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 00:21:38.55 ID:aOeayNrU0
>>181
乙!
そして第一位は2億円貢がせた女の妹(打ち止め)に8兆円貢ぐことになるのか…






196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 12:00:07.79 ID:zMr1zY4To

続き?です。閲覧注意で!

【注意】
この話の登場人物は全員成人しています。
が、外見は皆さんの脳内で好きなようにご想像ください。
今回は微妙に 18禁 かつ、微妙に痛いかもです。

一方通行と御坂妹で、ラブラブじゃないSMです。



197 :とある夜間の接待営業2 :2011/03/15(火) 12:00:39.58 ID:zMr1zY4To

   「さァて問題です。水商都市最強のレベル5と言えば誰でしょうか?」





 水商都市三位の売り上げを誇るビリビリバーテンダーこと御坂美琴。


    記憶を失う前の俺の知り合いらしい。

                            更に突然現れた瓜二つの妹。

  この二人に振り回される私こと上条当麻。


               その時俺はまだ気づいていなかった。


               この妹の存在が、何を意味するかを。



198 :とある夜間の接待営業2 :2011/03/15(火) 12:00:53.92 ID:zMr1zY4To

暗い室内に、二つの影が浮かび上がる。

一つは、まだ少女と言って差し支えない。
細い肢体は下着だけを纏わせ、毛足の長い絨毯に拘束された手足をついて四つん這い。

いや、下着だけというには語弊がある。
首輪、アイマスク、手枷に足枷。膝の間には堅い鉄のバーが仕込まれた開脚錠がはめられ、
両足を閉じることも出来ない。

その女の荒い息が部屋を支配している。

それを裂くようにもう一つ、中性的な声がよく通った。

「ンだァ? その逃げ腰はァ」

「っ、ん!」

「愉快にケツ振りやがって、誘ってンのかァ?」

下品極まりない台詞に女が息を呑んだその瞬間を見計らい、
椅子にゆったりと腰掛けた影がしなやかな腕を振り上げた。

破裂音。

「んあ゛っ!? あっ、ふう゛、っ……」

口が閉じられないように嵌められているオープンギャグの所為で声は殺せず、
女の苦しそうな、しかしどこか嬉しそうな嬌声が響く。

肘が痙攣し、がくりと上体を崩す。

「問題です」

椅子の上の影が立ちあがり、彼女の顎を革靴のつま先で上げさせた。

「この俺、一方通行は……果たしてナニをやっているでしょォ?」

「は、っあ! あう!」

声が耳に入った瞬間、女はぶるりと震え、革靴に頬をすりよせる。
ベルベットのような小さな舌を出し、冷たいなめし皮に這わせようとする。

また、破裂音が響く。

「ああ゛!」

ぱらりと、極限まで薄く引き延ばした本革のバラ鞭が白い手に撫ぜられる。
彼女の背中、下着から零れた尻、脇腹、太股……服で隠せるすべての部分は、
うっすら薔薇色に染まるみみず腫れで埋め尽くされている。



199 :とある夜間の接待営業2 :2011/03/15(火) 12:01:09.43 ID:zMr1zY4To

血が出ないよう、計算されたギリギリのライン。
痕も残さないが痛みの一歩手前の熱さだけがいつまでもちりちり燻ぶる絶妙の技だ。

彼女の皮膚の下に、打たれれば打たれた分だけの熱が籠っていく。
それは出口を求めて彼女の体中を駆け巡り、脊柱に集まって、一瞬で脳天まで駆けあがる。

ふと、革靴が彼女のこめかみを蹴り飛ばした。
噛むだけにしてあった開口錠が吐きだされる。

「む、鞭打ち?」

「残念。惜しいけど、俺の本質とは違うンだよねェ」

人影が彼女のアイマスクを取り去る。
間接照明しかない部屋ですら、彼女は眩しそうに眼を細めた。

目の前の赤い瞳が彼女を見つめる。

「答えは、躾。立つのも、歩くのも、喋るのも……あらゆる動作は俺の命令一つで変更可能。
デフォじゃァ鞭打ちで躾けてるけどなァ?」

彼女がその輝きに目を奪われている間に、人影はテーブルの上から飲みかけのラム瓶を取りあげる。

「それでは敗者復活戦の問題です」

瓶は、勢いよく彼女の背の上でひっくり返される。

「あぐぅ……ッ!?」

純度の高いアルコールが薄く火照っていた肌にぢくぢくと滲みた。
熱さと痒みとが彼女を襲う。
匂いだけで酔ってしまいそうだ。

その背中を先ほどの革靴が容赦なく踏みつけた。

「あ!」

痛い。熱い。痒い。そして、気持ちいい、が彼女の中で暴れ出す。

「俺は今、お前の背中を踏んでいる。この手の中のビンを、オマエのXXXに突っ込んだら、」

彼女の瞳がめいっぱい見開かれる。

「雌犬はどうなっちまうンでしょうか?」

その瞳に映るのは、嫌悪、苦痛、怯え、懇願、そして、大きな大きな期待だ。
人影の唇がゆっくりと笑みの形を作る。

「正解者には天国にイッてもらうとすっかァ?」

断末魔とすら思える嬌声が部屋中に響き渡った。



200 :とある夜間の接待営業2 :2011/03/15(火) 12:01:24.74 ID:zMr1zY4To

「良かったです、とミサカはお肌をツヤツヤさせて振り返ります」

ほくほくと暖かい湯気につつまれ、先ほどの少女はバスローブ姿で満足げだ。
照明をきちんとつけた部屋は、先ほどの暗く淫靡な雰囲気を払拭したように穏やか。

「あそォ……って、オイオイ、今日は随分少ねェな」

先ほどの椅子に腰かける赤い瞳の人影も、だらしなく胸元を緩めている。

その細い指がもう一度札束の枚数を数え直してテーブルに叩きつけた。

「この額じゃァ、今月はあと一回納入してもらわねェと」

「そうですか……わかりました、とミサカは素直に頷きます」

テーブルの上には数十枚の紙片が散らばるが、二人にとってそれははした金でしかない。
月々に請求される「お小遣い」はどんどん増えて行くのだが、それはいつも
ギリギリ支払える額に設定され、払えなくなると新しい仕事が紹介された。

立ちあがりついでに栗色の濡れた髪を一瞬だけくすぐって、その人物はバスルームに向かった。

「ん、貴方もシャワーを浴びますか? お湯は抜いてしまいましたが……」

「バカ言え。犬の入った湯に俺が浸かる訳ねェだろォが。俺が出てくる前に消えてろ」

「わかりました、とミサカはてきぱき服を身につけながら返答しました」

羞恥心も無くバスローブを脱ぎ捨て、真っ先に身にまとうのは
先ほど身につけていた物より大分簡素な下着と衣服。

バスルームでシャワーが床を打つ音が聞こえるころには、女はドアノブを握っていた。

「また夜にお店に行きますね、ご主人さま。とミサカは約束しました」

裏稼業のあるホストに嵌った女は、どんどん落ちて今やそこそこ名の知れたソープ嬢。

方やホストクラブと女性向けSMデリヘル、高給取りの研究員のヒモまで兼任する
この水商都市の第一位も、目標の達成を未だ遠く感じているのだった。

目標二億円中、一億三十一万円。
また一つ高みに近づいた夜だった。



201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 12:01:54.26 ID:zMr1zY4To

( ゚д゚ )φ
ギャグです。
苦手なのに見ちまった!って人はごめんなさい。

それでは、ありがとうございました。


202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 12:27:51.38 ID:3mmOW+Mu0
おつ。

昼間っからいけないモノを見てしまった



203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/15(火) 12:31:54.59 ID:0cXv7/JAO
乙です、次で止められたりするのだろうか
これ見てなぜか都立水商思い出したよ





B004HEXWDWAre you Alice?(通常版)


アイディアファクトリー 2011/4/7

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禁書目録SS   コメント:12   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
4819. 名前 :  ◆yaOfXLAg 投稿日 : 2011/03/16(水) 19:32 ▼このコメントに返信する
やべぇ、読みやすかったわ
一方さんマジ鬼畜wwwww たまらんww
4822. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 19:56 ▼このコメントに返信する
ていとくンまだかなァ
4824. 名前 : 名無し@SS好き◆QfU8/X0I 投稿日 : 2011/03/16(水) 20:17 ▼このコメントに返信する
1億31万って10万3千冊くらい中途半端だなwwww
4825. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 20:28 ▼このコメントに返信する
セロリよりていとくんのが人気ありそうなんだけどなww
どうなんだろ
4826. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 20:38 ▼このコメントに返信する
ていとくん冷蔵庫だから無理だよ
4827. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 20:39 ▼このコメントに返信する
こういう設定改変ものはなかなか無いから面白いな。

しかし173で全員成人していると言っておきながら
174でいきなり少年ときてるんだから、そこはちょっとマイナスかな。

2図書だったかで性的開発を受けた230万人の学生が住んでる設定のSSがあったな。
タイトルは忘れてしまったが。
4836. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/17(木) 01:58 ▼このコメントに返信する
水商都市でくすりときた
4839. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/03/17(木) 05:58 ▼このコメントに返信する
これはwww

作者の方続き書く気ないのかな??
ものすごく面白いんだけどwww

麦のん本当はドSなのに、仕事ではM嬢をやってるとか
ていとくんは一方さんのライバルでもいいけど、あえてゲイバーで働いてるとか
心理掌握は最強の手練手管を持つキャバ嬢

…まで受信した。

軍覇くんだけ想像つかなかったわ、流石ナンバーセブン。
4847. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/17(木) 12:02 ▼このコメントに返信する
軍覇くんはアレだよ。ワイルドで男前で熱いホストだろうなぁ…

しかし173で外見は皆さんの脳内で好きなようにご想像くださいと言っておきながら
179でいきなり美琴の描写がこと細かくてワロタw
4851. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/03/17(木) 13:34 ▼このコメントに返信する
わ、わっふるわっふるううううううう
4852. 名前 : 名無し@SS好き◆IY7bLZJE 投稿日 : 2011/03/17(木) 14:25 ▼このコメントに返信する
※4824
1人1万ずつ貰ってんだろ
10000×10031=100310000で1億31万
目標は2万×1万=2億
4998. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/21(月) 06:37 ▼このコメントに返信する
これ福引き一方通行の人らしいから続編は暫く先かもな
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