( ^ω^)は十回死ぬようです その4

2010-05-30 (日) 01:52  ( ^ω^)(´・ω・`)('A`)   0コメント  
前スレ(その3+番外編)→( ^ω^)は十回死ぬようです その3+番外編
その1→( ^ω^)は十回死ぬようです


188 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:41:21.96 ID:ush0Aiju0
何かを犠牲にして生き延びようと思うか。

誰かを犠牲にして生き延びようと思うか。

自分を犠牲にして生き延びようと思うか。

全てを犠牲にして生き延びようと思うか。

あなたが生を望む限り、あなたは死に続ける。

私が死を望む限り、あなたは死に続ける。

…………。


189 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:41:50.05 ID:ush0Aiju0
■( ^ω^)は十回死ぬようです
■五日目の朝・開始

( ^ω^)「……お、朝かお」

目が覚めると、そこは普段から変わらぬ自分の部屋だった。
ヲタグッズ、ポスター、フィギュア、抱き枕に腐女子御用達のBLノベルまである。

( ^ω^)「……なんか体が重いお」

なんだか深い倦怠感がある、溶かした鉛が体の先端に溜まっているようだ。

( ^ω^)「…………なんだか、凄く嫌な気分だお」

そのまま数分間、だるー、と、ベッドの上でごろごろとしていた。
だがそのままでいる訳にも行かないので、のろのろと荷物をまとめ(学校で読むラノベと漫画)、制服に着替え(しわだらけ)、朝食を食べる為に1階へと降りる。


190 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:42:12.77 ID:ush0Aiju0
( ^ω^)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「な、なによ、人の顔見たら挨拶ぐらいしなさいよ……」

( ^ω^)「おはようだお……」

ξ゚⊿゚)ξ「暗いわね……、死人みたいな顔してるじゃない」

今日は鏡を見ていないが、物事をはっきり言うタイプのツンがそう言っているなら(特に彼女は、ブーンには容赦が無い)そうなのだろう。
夏休みが終わり、宿題が終わっていない時のような倦怠感は身体を犯している。

J( 'ー`)し「おはよう、ご飯できてるからちゃっちゃと喰ってとっとと行ってきなさい」

( ^ω^)「…………」

……何所に朝ごはんがあるのでせうか?


191 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:42:28.04 ID:ush0Aiju0
テーブルの上、ブーンの定位置にあったのはパンくずが散っている皿だけであり、それ以外の何もなかった。

( ^ω^)「……お姫様?」

ξ゚⊿゚)ξ「何」

( ^ω^)「何故に僕の朝食がないのでせうか?」

ξ゚⊿゚)ξ「喰った」

( ^ω^)「誰が」

J( 'ー`)し「私が」


お前か。


193 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:43:16.07 ID:ush0Aiju0
( ^ω^)「ただでさえ体調悪いのに朝飯抜きは簡便だお……」

だるそうにするブーンを、ツンが少し心配そうな顔で眺める。

ξ゚⊿゚)ξ「本当に大丈夫?」

( ^ω^)「休むほどではないお……」

腹は減ってるがな。

J( 'ー`)し「あー、夕飯はピザだから我慢しなさい」

ξ゚⊿゚)ξ「え、まじで?」

自分はがっつりと朝食を食べ終えているツンが身を乗り出してきた。

J( 'ー`)し「カーチャン、今日はタッキーのコンサート行って来るから、デリバリーで頼むわ」

ξ゚⊿゚)ξ「よっし、トッピングはサラミね!」

( ^ω^)「……いや、ベーコンを」

死にそうな表情の兄を無視して母親と交渉を続ける妹。
ブーンの意見が聞き届けられるか否かは、実際の注文時にすべてがかかっているようだ。


196 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:44:55.89 ID:ush0Aiju0

ξ゚⊿゚)ξ「あ、そうだ兄貴ー」

( ^ω^)「はい……?」

結局あまっていた生食パンを一枚だけ口に放りこみ、二秒で咀嚼し五秒で飲み込み、出かける準備を整えたところで、ツンがそれを差し出してきた。

ξ゚⊿゚)ξ「これ返しておいて」

手渡されたのは一冊の文庫本だった。

( ^ω^)「飲み込んで、僕のエクス・カリ。」

ξ゚⊿゚)ξ「そこで切るなぁぁぁぁ!!」

鉄拳がブーンの頬を綺麗に打ち抜いた。

…………。


197 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:45:40.91 ID:ush0Aiju0
( ^ω^)「カリにバーってエロいような気がするんですが」

('A`)「そんな体調悪そうな顔しながら放たれる第一声がそれってお前」

何時もの定位置でドクオと合流し、歩き出す。
ブーンの歩行速度が普段より遅いので、ドクオもそれに付き合っていた。

( ^ω^)「いやぁ……、だるいわぁ」

('A`)「まじで大丈夫かお前、学校休んだ方がいいんじゃね?」

( ^ω^)「いやいや、優等生な僕がそんな真似をしたら……」

('A`)「優等生じゃありえないけどなんだよ」

( ^ω^)「先生が家に殴りこみ☆ とかありそうで嫌だお」

('A`)「…………」

ああ、ありうるな、という顔をしているドクオ。


198 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:46:35.26 ID:ush0Aiju0
('A`)「久々にゲーセンでメルブラとかどうかと思ったんだけどなぁ、無理っぽいか」

( ^ω^)「ぁぁ、どっちにしても本返しにいかないといけないから……」

('A`)「本?」

疑問符で尋ねてくるドクオにブーンはぐったりとした顔で言う。

( ^ω^)「ツンが本返してきてくれってお……」

('A`)「あー、なるほど」

ドクオも察したらしい、一人で頷くと一歩前に出る。


199 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:46:47.56 ID:ush0Aiju0
('A`)「んじゃまあ、放課後までにお前の体調がよくなってたらっつーことで」

( ^ω^)「お、ついてきてくれるのかお」

('A`)「当たり前だろ、戦友」

( ^ω^)「……友よ」

がっしりと拳を交える二人。

('A`)「ところで時間は?」

( ^ω^)「大ピンチ」

当然の如くだが、急がないと遅刻します。

…………。


200 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:48:26.16 ID:ush0Aiju0
('、`*川「あなたはいい子なんだけどね……、なんというか、ベクトルを少しでもいいから勉強の方に向けてくれないかしら」

( ^ω^)「精一杯の努力はしましたお……」

居眠りしなかっただけ。
放課後、職員室。
今日の小テストの結果について、担任のペニサスから一言あるようだった。

('、`*川「10点中0点は不味いでしょう……、まぁ、今日は顔色も悪かったみたいだけど」

( ^ω^)「はぁ、色々ありましてお……」

朝からの気だるさは取れなかった、昼食の素うどんも結局半分程度で残してしまい、ドクオから本気で早退しろと迫られてしまった。

('、`*川「しょうがない、ちょっとおいで」

( ^ω^)「お?」


201 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:49:12.86 ID:ush0Aiju0
手招きのままに、ブーンはペニサスへと近寄った。
そのままぼーっとしていると、額に冷たいものが当たる。

ペニサスの手のひらだった。

( ^ω^)「あ……」

('、`*川「ふうん、少し熱っぽいわねぇ、君にしてはよくがんばった」

そのままぐい、と体を持ってこさせて、抱きしめられた。

肩をぽむぽむと叩かれる。

小さな教師の体から、暖かい体温が伝わってくる。

( ^ω^)「せ、先生?」

('、`*川「……うん、心臓は動いてる、生きてるね」

そりゃアンタ。

死んでたまるか。


202 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:49:33.72 ID:ush0Aiju0

('、`*川「今日は家に帰って、ゆっくり休みなさい」

( ^ω^)「あ、はいですお」

解放されて、ひんやりとした額の感触と、暖かい抱擁の感触が消えた。

('、`*川「本当は頼みごとがあったんだけど、今日はいいわ」

( ^ω^)「へ?」

('、`*川「ん、なんでもない」

( ^ω^)「はぁ」

何か何時もと違う、変に優しい担任の態度に困惑しつつ、ブーンは職員室を後にしようとする。


203 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:50:01.71 ID:ush0Aiju0
('、`*川「内藤君」

( ^ω^)「へ?」

扉を開けて、今まさに外へ出ようとしたところで、呼び止められる。

('、`*川「気をつけて、帰りなさい」

( ^ω^)「はぁ、わかりましたお」

そして、閉まる扉。

('、`*川「本当に……、嫌な予感が……、ね」

…………。


204 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:51:39.28 ID:ush0Aiju0
('A`)「おー、大丈夫かお前」

外に出て目に飛び込んできたものは、頭にカバンを載せてバランスをとっている戦友の姿だった。

( ^ω^)「お、まぁ、なんとか」

だるさは変わらないが、まあマシになってきた、といったところだ。
朝に比べれば。

('A`)「本返してきてやろうか?」

昇降口に向かいながら、ドクオが言う。


205 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:52:01.50 ID:ush0Aiju0
( ^ω^)「いや、一応頼まれ物だし、僕が行きますお」

('A`)「……つれねーなぁ、『ついてきてくれ、頼りなる英雄ドクオ様』とか言えば一緒にいってやらんでもないのに」

( ^ω^)「ずべこべ言わずついてこいや」

('A`)「くぉら」

下駄箱で靴を履き替えた二人の足は、そのまま図書館へと向かう。

…………。


208 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:53:26.62 ID:ush0Aiju0
十数分後、横断歩道の向こうに図書館が見えた。

( ^ω^)「信号青だお……、急ぐお」

('A`)「テメェ、落ち着けコラ」

ぐい、と襟を引っ張られて停止するブーン。

図書館前の横断歩道は、歩行者側の信号が青になるのが遅く、また青から赤になるのが非常に早い為、急いで渡るべく周囲の人間は小走りになっていた。

('A`)「体調悪いのにトドメさしたら本末転倒だろうが」

( ^ω^)「……いやでも」

('A`)「でもも糞もすももももももねぇんだよ」


207 名前:ぶた♂ :2007/01/09(火) 01:52:08.82 ID:Xcc0wk4P0
これの何が面白いか俺にはさっぱりわからない

209 名前:もぐら♀ :2007/01/09(火) 01:53:59.16 ID:z7BSOaTf0
一回呼んだときはわからんかったが、意味がわかったら面白すぎる
少し暗い雰囲気がいい

212 名前:ライオン♀ :2007/01/09(火) 01:55:23.76 ID:GQ/ysBblO
ぶたさんにはちょっと難しいか


210 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:54:39.20 ID:ush0Aiju0
信号機の色は変わらず、二人は歩みを進める。

確かにだるいが、もうそこまで気を使うほど消耗している訳でも無いのに。

( ^ω^)(でも、嬉しいお)

誰かが自分の為に心配してくれると言う事は。

('A`)「あ」

二人が残り数歩、というところで、信号が点滅し始めた。

('A`)「ちっ、待つか、しゃーねぇ」

( ^ω^)「お手数かけるお」

('A`)「今度ハンバーガー奢れよ」

( ^ω^)「ちょwww」

数秒後に、二人の脇を通り過ぎるように、一人の学生がかけて行った。

信号機の点滅は、もうすぐ赤に変わろうと――――。


211 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:54:52.04 ID:ush0Aiju0


……赤に。

……なる前に。

……何か。

……なかったか?



213 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:56:05.93 ID:ush0Aiju0
何気なく、ブーンは横を振り向いた。

何故そうしたのか。

過去の経験からか。

あるいは、音を読み取ったのか。

遠くにあると認識できるそれは、瞬きの間に突っ込んでくるというのに。

そこには。

( ^ω^)「ドクオっ!」

とっさの判断だった。


215 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:56:24.35 ID:ush0Aiju0
('A`)「へ?」

ほうけた顔をする親友を、その手で突き飛ばす。

歩道側へと。

同時に。

まるで直下型地震を局地的に、そして破壊の方向性を明確にしたような衝撃が。

自らの体を吹っ飛ばし、地面に当たって大きくバウンドした。



216 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:57:22.91 ID:ush0Aiju0
皮肉な事だった。

あの瞬間。

記憶にある限り『始めて死んだあの瞬間』は即死だったのに。

今こうして生きていて。

そして同時に。

『トラックに吹っ飛ばされた経験で記憶が蘇る』なんて。


217 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:58:01.15 ID:ush0Aiju0
('A`)「ブーン!! ブーン!! おいふざけんなよ!! おい!!」

意識があった。
次の朝かと思った。

だが、違う。

まだ、生きていた。

(  ω )「……………………ぁ」

声が出てくるなんて思いもよらなかった。
周囲が熱い。
どれぐらい気を失っていたかはわからないが、自分が死にそうな事ぐらいはわかる。
味わった事の無い痛みと、人間にありえない体勢。
ガソリンがもれ出て、炎が広がったんだと理解するのに、時間はかからなかった。
あるいは、既に経験した記憶を、そのまま引っ張ってきただけなのか。


218 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:58:22.44 ID:ush0Aiju0
(  ω )「ド……ク……僕……は……」

('A`)「喋るな! 今救急車呼んだから! 糞ッ、こんな事のために携帯買ったんじゃねえぞ!」

ドクオのメモリには、多分僕と家族の名前ぐらいしか登録されていないのだろう。
涙を流しながら、この手を握り、名前を呼ぶ声。

(  ω )「死……で……また……」

('A`)「喋るなって! 死ぬな! お前が死んだら俺はまた引きこもるぞ! 次はお前が家に来てくれたって家にいれてやらねえぞ!」

それは――困る。

(  ω )「聞い……て……、次……」

('A`)「え?」

ただ、確信した。
意識がゆっくり遠のいていく中で、僕は。

もう駄目だ。


220 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:59:14.15 ID:ush0Aiju0
許しておけない。

わかっていたことだ。

この不条理な死は容赦なく僕以外にも襲い掛かる。

止めなくてはならない。

絶対に。

誰一人、死なすこと無く。

だから言う。

一人じゃ無理だ。

この言葉を、お前なら――――

「次の僕を 助けてくれお」

その瞬間、意識はぷっつりと途絶えた。

…………。

221 名前:しかさん♀ :2007/01/09(火) 01:59:45.05 ID:yZr074Ri0
でじゃぶ


222 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 01:59:55.55 ID:ush0Aiju0
「次の僕を、助けてくれお」

次? 次ってなんだ。

命なんか一つっきりだろう。

皆、だから、がんばって、生きてるんじゃないのか。

だが、それが、友人の望みならば、答えよう。

('A`)「わかった、絶対、絶対助けてやるから!」

涙がこぼれる、止められない、ふざけんな。

助ける? 誰から?



223 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 02:00:24.47 ID:ush0Aiju0
違う、誰だ。

こんな事をしたのは誰だ。

助けてくれってこいつが言ったんだ。

俺に、こいつが。

『誰か』が『何か』を『こいつ』にしてるんだ。


('A`)「俺が! 絶対に! 死なせたりするもんかぁぁぁぁ!!」

もう動かない友の体を、尋常じゃない力で担ぎ上げる。

('A`)「う、あ、あああああ!!」

…………。


225 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 02:04:14.63 ID:ush0Aiju0
それから起こった出来事に、たいした事情は存在しない。

ドクオが燃え上がる炎の中から、ブーンの体を引きずり出して、体にまわった炎を消した直後に、救急車が到着した。

たまたま近くにいた、というのが、幸いした。

その時、ブーンは仮死状態、正確に言えば、脳内の出血により脳の圧迫が始まっていた頃だった。

まだ、生きていた。

死んでいないという意味で、だが。


227 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 02:05:11.56 ID:ush0Aiju0
母親と妹が、涙を流しながら、緊急手術室の前で涙を流すのを、ドクオは見ていることしか出来なかった。

不運なことに、その間に起きた女学生の飛び降り自殺や、脱線事故が発生し、人手が足りなくなった。

既に助かる見込みのないとされた彼の手術が、ギリギリの部分で放置されていた、と言う事は、後で明らかになる事実だが。

どちらにせよ、手の施しようが、無かったと言う事だ。

脳死状態となった人間は、体だけならば生きてゆける。

生命維持装置をつけて、循環機能を何とかすれば、だが。

彼を延命するかどうかの判断は、遺族へとゆだねられた。


228 名前:カラス♂ :2007/01/09(火) 02:05:30.81 ID:2/6ZQ8gIO
植物人間…

231 名前:マングース♀ :2007/01/09(火) 02:06:31.93 ID:/Ti1OZiy0
あれ?ループが…


232 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 02:06:49.08 ID:ush0Aiju0
('A`)「畜生、畜生、畜生、畜生――――」

待ってろ、俺が絶対に。

助けてやるから――――!!

遺族が選んだのは。

その道は。

数分後、事故から実に四時間以上、細かい波長を刻んでいた心電図から、波が消えた。

:五回目の死亡・安楽死
:実行犯・医者
:死亡時刻・八時二十五分
:( ^ω^)は十回死ぬようです・続く。


237 名前:ひよこ♀ :2007/01/09(火) 02:08:17.79 ID:7kwvbF/VO
これは予想できなかった

238 名前:ニャンまげ♀ :2007/01/09(火) 02:08:37.50 ID:4hgTEccm0
実行犯・医者
ふいたwww

これはメモ帳に書き溜めしてコピペしてるのかな?


240 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 02:08:56.51 ID:ush0Aiju0
安楽死と呼ぶかどうかはわかりませんが、第九話の投下を終わらせていただきます。
長い時間をかけた割りに拍子抜けで申し訳ありません。

一応最終話への布石になる予定です。

こんな時間まで保守・投下待ちしてくださった皆様、ありがとうございました。

11~13話の間で終わらせたいと思っています、お付き合いくだされば幸いです。


241 名前:イルカ♂ :2007/01/09(火) 02:09:06.93 ID:/Ti1OZiy0
あと5回以内にみんな助けるルートを成立させなきゃ…

244 名前:しゃけ♂ :2007/01/09(火) 02:09:42.42 ID:QqDOKeWP0
なぁ?ドクオに伝えられたのは良いけど
何かの理由でドクオもループしない限り助けられなくね?


250 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/09(火) 02:11:10.71 ID:ush0Aiju0
>>238
前のテキストをコピペ・改変して使いまわしてるので、前回のようなミスが起こったりorz

次の話は、五日目の蛇足になります。

明日は……遅刻する可能性大ですが、一応23時から投下予定とさせていただきます。

よろしければお付き合いくださいませ。


251 名前:うしくん♀ :2007/01/09(火) 02:13:26.63 ID:ojJfjecqO
乙っす

252 名前:うさぎ♀ :2007/01/09(火) 02:13:26.59 ID:Xdoy/Zj80
>>250
何時でも良いよ
あんたのペースでやってくれ

あらためて乙!

255 名前:あしか♂ :2007/01/09(火) 02:15:07.28 ID:rdp8OIh2O

ここで植物人間になってドクオに主人公交代したら…とwktkしてしまったwwwwww

258 名前:エチゼンクラゲ♂ :2007/01/09(火) 02:23:05.34 ID:CXpkfuPq0
脱線事故は起こったんだよな 事故当時ブーンはまだ脳死状態だからカーチャンも逝ってしまったんだよな
遺族ってツンだけか・・・?
余計なこといってたらすまん

261 名前:わらじむし♀ :2007/01/09(火) 02:27:13.48 ID:S29X9DP70
>>258
>>227をよく読むんだ

268 名前:ししゃも♀ :2007/01/09(火) 02:33:18.96 ID:fQBFcU0KO
一番最初に出てきた死の記憶は今回のコレか


明日wktkぁぁぁあああいあああああああい

302 名前:ウーパールーパー♂ :2007/01/09(火) 17:29:49.41 ID:mF6hthn+0
まとめ読み返して気づいたんだが
ペニサス先生最初科学の担当だったのに
いつの間にか数学担当になってる。

304 名前:コオロギ♂ :2007/01/09(火) 18:43:37.35 ID:umeEbcqz0
>>302
それはミスだって作者言ってた


352 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 00:26:21.47 ID:aBfIUhaG0
遅れてて申し訳ありません.
ちと量が多いのですが、分割する訳にもいかないので、少々時間かかりそうです。
赤庭が終わる前には投下できるようがんばります、極力早く。

絵を描いてくださった皆様、ありがとうございます。
物凄い栄養源です。

本日の投下分は、ブーンが一切登場しない蛇足的な物語になります。
五日目の、ブーンが生きていた間の出来事だと思ってくだされば幸いです。

では今しばらくお待ちくださいませーorz


361 名前:ニホンザリガニ♂ :2007/01/10(水) 00:43:45.34 ID:+NI/UXdt0
今日は異様に眠く更新は諦めて飯喰ってすぐ寝た。さっきなぜかバチッと目が覚めた。ナイス寝てた俺。

362 名前:うまさん♂ :2007/01/10(水) 00:48:23.75 ID:UAy6byHS0
落ちてもまとめに保管されるから安心して寝るんだ
俺はもちろん見るまで寝ないぜ

364 名前:ライオン♀ :2007/01/10(水) 00:54:32.76 ID:OghfxjjEO
はwwwwwwwwやwwwwくwwwwwwwwwwwwねwwwwwwwwwwwwwwwwむいwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

365 名前:ゴキ♂ :2007/01/10(水) 00:59:20.23 ID:Hve76MMbO
>>364
じゃあ寝れば?

366 名前:かんがるー♂ :2007/01/10(水) 00:59:41.82 ID:LvBrLhes0
作者にも都合があるんだから急かさず待っとこうぜ。
     ∧_∧
     ( ・ω・ )
      (====)
   ______( ⌒) )
 /\   ̄`J ̄ ̄ ̄\
  ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄
         | |
       / \

367 名前:すずめ♂ :2007/01/10(水) 01:00:03.75 ID:GAh0A9p2O
>>364
作者に投稿の催促はやめようぜ。
はっきり言って見苦しい。

372 名前:しろうさぎ♂ :2007/01/10(水) 01:06:44.98 ID:YM/Ge9Ag0
催促ぐらい、レスがついてないよりかはいいんじゃないか?
催促反対レスのほうが荒れた感じしない?

373 名前:ねずこう♂ :2007/01/10(水) 01:07:41.84 ID:SmdnWIJg0
何この異空間・・・これは流石に引くわ

374 名前:トリケラトプス♀ :2007/01/10(水) 01:08:41.45 ID:eZF6Q3Sj0
>>372
何言ってんだ?考えてからもの言え

377 名前:うしくん♂ :2007/01/10(水) 01:10:23.64 ID:OBmQ1r/NO
楽しみwうふふふふふwww

403 名前:ひよこ♀ :2007/01/10(水) 01:41:30.16 ID:juf5VQZy0
昨夜まとめ一気に読んでファンになりまんた。
wktk

405 名前:、うしくん♀ :2007/01/10(水) 01:49:02.87 ID:FoSD2LLu0
にしてもこれだけの人を寝なせない作者の力は凄いなwww


420 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:26:33.95 ID:aBfIUhaG0
お待たせしました。
このまま延々長引かせてもあれなので、前半戦・後半戦わけて投下したいと思います。

後半戦は3:10以降か、早ければ書き終わり次第投下したいと思います。

保守ありがとうございました、それでは前半戦の投下を始めます。


421 名前:こうもり♂ :2007/01/10(水) 02:27:05.56 ID:eZF6Q3Sj0
ktkr

422 名前:パンサー♀ :2007/01/10(水) 02:27:09.52 ID:OapwTNfOO
ktkr!!!!11


423 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:27:14.88 ID:aBfIUhaG0
蛇足が必要でしたら、どうぞご覧ください。

不必要でしたら、そのまま今暫くお待ちください。

ハッピーエンドもバッドエンドも。

決めるのはあなたです。

…………。


425 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:27:33.93 ID:aBfIUhaG0
■( ^ω^)は十回死ぬようです。
■五日目の放課後・開始

川 ゚ -゚)「……ふむ」

クーの目から見える光景は、今まで見たものと同様だった。

即ち、図書館前の横断歩道での交通事故。

川 ゚ -゚)「この調子だと……無理そうだな」

部屋に戻り、ピシャリと戸を閉じる。
椅子に座りなおすと、彼女は何時もと変わらず紅茶を含み、本に目を通す。


……ねぇ。


声が聞こえた。


426 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:27:58.10 ID:aBfIUhaG0
部屋には彼女しか居ないはずだが、しかしクーはそれが日常通りであるかのように反応した。

川 ゚ -゚)「何だ?」

……いい事を、教えてあげましょうか

川 ゚ -゚)「ゲームの最中は、何もヒントを与えないのではなかったのか」


気が変わったの、というか、もうそろそろおしまいだもの。


川 ゚ -゚)「……おしまい?」

ええ、だってね――――

…………。


427 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:28:18.15 ID:aBfIUhaG0
「おい! 危ないぞ!」

「大丈夫か!」

それは、ブーンとドクオが救急車に乗ってこの場を去ってから、数十分後の出来事だった。
燃え上がった炎を消す為の消防車も、放水を終えて、現在多数の警官が野次馬の処理に動いていた。

そして。

( ゚∀゚)「……ひでぇな」

人事のように言いながらそこに立ち、燃え上がったトラックの中から運び出される、黒こげの死体を見下ろすのは、サラリーマン調の服に身を包んだ一人の男。
VIP市の警察署所属の刑事、ジョルジュだった。


428 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:28:46.37 ID:aBfIUhaG0

「お疲れ様です!」

先に現場に駆けつけていた警察官が、自分より階級が上の男に向かい現状説明を開始する。

「被害者は高校一年生の少年、現在救急車で病院に運ばれました、重症です」

( ゚∀゚)「んで、こっちが」

「はい、目撃証言によると、横断歩道を渡ろうとした学生を避けたところに、ガイシャがいたらしいです」

( ゚∀゚)「両方とも信号無視か、救いようがねぇなぁ」

それからジョルジュは、す、と目を細める。

( ゚∀゚)「んで、飛び出したガキは捕まったのか」

「いえ、この近辺の高校生徒である事は間違いないのですが……」

( ゚∀゚)「探し出せ」

「はっ」

悪の組織のような会話だが、れっきとした警官同士のものである。


429 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:28:58.92 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「さて、俺も探すとするかねぇ……」

本当は、被害者と一緒に居たと言う少年にも話を聞きたいのだが、今は酷だろうと判断したジョルジュは、それを行わなかった。

( ゚∀゚)「……ふざけやがって、こんなに毎回毎回……」

無意識に出た呟きは、本人すらも意図できないほど、極自然にもれ出た物だった。


…………。


431 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:29:11.30 ID:aBfIUhaG0
川 ゚ -゚)「……ん、だと?」


あら、意外だったかしら。


川 ゚ -゚)「……そうか、そうだな、その可能性も、あったな」

クーは珍しく。本当に珍しく頭を抱え、言った。

川 ゚ -゚)「結果的に、私が彼の命を削減していた訳か」


そうなるわ。


声は何の感慨も見せずに、淡々と言う。


432 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:29:28.58 ID:aBfIUhaG0
川 ゚ -゚)「……だが、やらない訳にもいかない、か」

クーは何時もどおりに、ゆっくりと立ち上がり、歩みを進める。

川 ゚ -゚)「すまない、ブーン、後はお前の力だけ、だ」


……意地悪だったかしら?


川 ゚ -゚)「相当にな」

ベランダの戸を開ける。
風とともに、焼けた臭いが漂ってきた。
だいぶ小さくはなってきているが、炎はまだ燃えていた。


443 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:29:57.66 ID:aBfIUhaG0
川 ゚ -゚)「ああ、空しい」

この世界が。

川 ゚ -゚)「ああ、悲しい」

今の私が。

川 ゚ -゚)「……『次』は会いたいな、内藤ホライズン」

ブーンが普段滅多に呼ばれる事の無いフルネームをつげて、直後、少女の体は宙を舞う。

話したいことが、沢山ある。

…………。


448 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:30:38.13 ID:aBfIUhaG0
(  ゚Д゚) 「…………」

「どうしました」

(  ゚Д゚) 「いや、なんでもねぇ……」

ギコ、ジョルジュと同じく刑事であり、そして同日に起きた別の事件を担当している。
彼は今、一つの死体を見下ろしていた。

若い娘だ、ぱっと見では中学生程度に見えるが、資料では高校一年生であるらしい。

九階と言う高さから落下したにしては、死体は綺麗なものだった。

まだゆるゆると口元から流れる血は、彼女が生きていた証。


450 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:30:52.05 ID:aBfIUhaG0
(  ゚Д゚) 「何でだろうなぁ……、こんな辛そうな顔して死ぬんじゃねえよ……」

「家族とは連絡がつきませんし、やはり家庭の事情でしょうか」

(  ゚Д゚) 「なんっか、ひっかかるなぁ」

「へ?」

隣でギコに報告をしていた捜査官が、間抜けな声を漏らした。

「他殺の可能性もあり、と?」

(  ゚Д゚) 「いや、そうじゃねぇ」


452 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:31:03.05 ID:aBfIUhaG0
多少イライラしだした様子のギコの顔を見て、捜査官は間を取るように言う。

「し、しかし、綺麗な子ですよね、何で自殺なんか……」

(  ゚Д゚) 「それをこれから調べんだよ、部屋からなんか出てきたか」

「いえ、これといったものは……」

ちっ、と舌打ちをしてから、もう一度死体を見る。
現場保存の意もあり、流れる血を拭き取ることも出来ない自分に、腹が立った。


…………。


453 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:31:26.11 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「おい、そこの」

聞き込みを続けていたジョルジュは、ターゲットを学生服の少年に絞っていた。
故に、近くを歩いている学生に声をかける事は、至極当然の行動だ。

「……はい?」

そして声をかけられた学生が、振り向き対応する事も、また必然であった。

( ゚∀゚)「警察だ、話を聞きたい」

途方も無い作業の一欠けらであるはずの遭遇。

( ゚∀゚)「拒否権は無しだ、ちと付き合ってもらおうか」

その少年は、ジョルジュの顔を見るとはっ、としたような顔になった。
そして、暫くそのスーツ姿を、下から上まで眺めていた。


455 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:31:37.95 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「……あぁ、んだよ」

「……あ、いや、なんでもありませんが、一ついいですか」

少年は首をかしげて、尋ねてくる。

(´・ω・`)「ヤクザ屋さん?」

( ゚∀゚)「…………」

ジョルジュは思い切り息を吸い込み、怒鳴る。

(#゚∀゚)「 警 察 だ ! 」

…………。


459 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:31:59.14 ID:aBfIUhaG0
('、`*川「……内藤君が、事故? クーさんが自殺……っ」

十数分の差で起きた、二つの事件は、既に学校へと連絡が回っていた。

('、`*川「……当たったわね、嫌な予感……」

ぐ、と拳を握りしめて、ペニサスは立ち上がる。

「ぺ、ぺニサス先生、とりあえず内藤君のほうへ向かってくれますカナ?」

頭の薄い校長が、どたどたとペニサスの方へと向かってくる。


466 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:33:20.10 ID:aBfIUhaG0
「い、一応クーさんのほうには私が向かいますカナ! 内藤君の容態が確認できたらこっちにきてくれますカナ?」

('、`*川「ええ、お願いします」

それだけ言うと、ペニサスは駆け出した。

('、`*川「……っ」

職員室の扉を出て、そのまま直線へと進む。
窓を開けると、彼女はそのまま。

('、`*川「はっ」

飛び降りた。
飛び降りて、地面に着地し、そのまま自らの車へと走る。
病院は『下』にあるので、二十分程度か。

('、`*川「私は何も守れないの……っ」

呟きとともに車は発進し、かくして主役を欠いた世界で、糸は静かにねじれ、繋がり始める。


…………。


467 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:33:47.18 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「――――っつーことでだな、何か知ってたら答えろ」

人にものを尋ねるにはあまりに高圧的な態度だが、少年、ショボンは特に臆した様子も無く淡々と答える。

(´・ω・`)「いえ、知りません」

( ゚∀゚)「即答だな、おい」

ジョルジュはショボンの顔をじっとのぞきこみ、様子をうかがっていた。

( ゚∀゚)(嘘は……ついてねぇな)

ジョルジュと言う性格破綻者にして、人外なスペックを持つ男が、何故刑事と言う役職にいられるのか。
それは偏に『人の嘘を見抜く才能に長けている』からに他ならない。


468 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:34:04.33 ID:aBfIUhaG0
(´・ω・`)「……やらないか?」

( ゚∀゚)「殺すぞテメェ」

ショボンの瞳に本気の色を見た彼は思わず拳を握り締める。

( ゚∀゚)「ぁー、時間とらせて悪かったな、さんきゅ」

とりあえず、知りたい情報は持っていないようなので、ジョルジュは会話を切り上げて『次』へ向かおうとした、その時。

ちゃーちゃーちゃーちゃちゃー。

ジョルジュの胸ポケットから、音が鳴り出した。

(´・ω・`)「……天国と地獄?」

( ゚∀゚)「うるせぇ趣味だ」

言いながら素早く、振動する携帯電話を取り出し、着信ボタンを押す。


469 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:34:30.75 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「どうした」

『そっちの調子はどうだ』

お互いの名を確認する間でもない、応答するなりすぐさま本題へと切り込む。

( ゚∀゚)「人手が足らん、事情聴取するにはまだ時間が早い」

数秒間の空白があった。
傍目から見ても、それがお互い無言の状態であると言う事が認識できる。

『……一度落ち合うか、余裕はあるか?』

( ゚∀゚)「所轄の連中にゃ心苦しいが、あるっちゃあるぜ」

『なら、駅前にファミレスがあったな、一時間後にあそこでいいか?』

( ゚∀゚)「わかった、一時間後に駅前のファミレスだな」

ぷ、と電話を切る。


470 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:34:43.83 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「……お前、まだいたのか」

(´・ω・`)「立ち去りにくい雰囲気だったので」

( ゚∀゚)「ああ、もういい、ありがとよ。 じゃあな」

ジョルジュはかっ、とかかとを鳴らして振り返り、歩き出す。


471 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 02:34:57.19 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「…………」

(´・ω・`)「…………」

( ゚∀゚)「…………」

(´・ω・`)「…………」

( ゚∀゚)「……なんでついてくんだよ」

(´・ω・`)「僕もファミレスに行こうと思ってたので」

いけしゃあしゃあと抜かすショボン。

( ゚∀゚)「……一時間後だぜ?」

(´・ω・`)「……僕も一時間後に行こうと思ってました」

沈黙。
数十秒にらみ合い、そしてジョルジュは諦めたように言った。

( ゚∀゚)「勝手にしろ」

…………。


494 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:02:56.65 ID:aBfIUhaG0
前置き無しで後半戦、投下開始いたします。

495 名前:ヤドカリ♂ :2007/01/10(水) 04:03:29.90 ID:+NI/UXdt0
把握。


497 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:03:57.55 ID:aBfIUhaG0
('A`)「……先生?」

('、`*川「ドクオ君っ!」

ペニサスが病院に到着した時、そこにいたのはドクオと、ツンと、カーチャンだった。
ツンは俯いたまま顔を上げず、カーチャンは涙を流しながら、やはり俯いている。

J( 'ー`)し「あ……先生」

入学後、保護者会や三者面談などで数度顔を合わせているだけだが、教師の顔は覚えていたらしい。
軽く会釈して、ペニサスはドクオに向き直る。

('、`*川「何があったの……?」

('A`)「わかんねぇっす……、ただ、アイツは俺を庇おうとして……、それで」

が、と地面に膝を突いた。
額を地面に擦り付けて、その場にいる全員に対して土下座した。


498 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:04:07.03 ID:aBfIUhaG0
('A`)「俺の所為っす! 俺を助けてくれたからアイツは! アイツは――ッ!」

J( 'ー`)し「違うわドクオ君、あの子は――」

('A`)「違わない、俺が無理してでも、朝に早退させてやりゃ良かったんだ! そうすればこんな事にはならなかった!」

('、`*川「…………」

頭を下げたまま、ドクオは叫ぶ。

('A`)「俺がっ、俺がっ、俺が!」

('、`*川「いい加減になさいっ!」


499 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:04:22.46 ID:aBfIUhaG0
叱咤。

普段ドクオが悪ふざけをして怒鳴られるより尚強い声が、緊急手術室前の廊下に響いた。

('、`*川「あなたが今すべき事は土下座して謝る事でもない、後悔することでもない、私達が出来る事は彼の無事を祈り願うだけ」

顔を上げたドクオの襟を掴み、自らの顔の位置まで引き上げる。

('、`*川「泣き喚くな! 内藤君は二度あなたを救ってくれたんでしょう! ――そのお前がこの様で、どうするんだっ!」

猛々しい声だった。
その圧倒的な威圧と存在に、ドクオは黙り、そして。

('A`)「……は、い」

涙を流し、呟いた。

('A`)「……俺は、俺は」


500 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:04:38.68 ID:aBfIUhaG0
('、`*川「……信じなさい、彼の無事を。 あなたは内藤君の親友なのだから」

('A`)「……」

ドクオを解放すると、ペニサスはカーチャンに一礼した。

('、`*川「……私も、彼も、同じ気持ちです。 申し訳ありませんでした」

J( 'ー`)し「いえ……」

そして、ペニサスは彼等に背を向ける。

('A`)「先生?」

('、`*川「……ドクオ君、こっちに来て」

頭に疑問符を浮かべたまま、ドクオはペニサスへと近寄ってきた。

('A`)「なんすか」

('、`*川「クーさんが、自殺したわ」

彼にしか聞こえないよう、声を抑えて、言った。


501 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:04:57.25 ID:aBfIUhaG0
('A`)「――ッ」

('、`*川「内藤君は事故で、クーさんは自殺。だけど私は」


『この二つが無関係だなんて思えない』


('、`*川「だから、行って来るわ。 ……お願いね」

何をお願いするのか。
聞くまでも無い。

('A`)「……任せてください」

('、`*川「ありがとう」

私の生徒。

…………。


502 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:05:08.72 ID:aBfIUhaG0
ファミリーレストランの一角。

サラリーマン調のスーツを着た男に、コートを着た男。

そして学生服を着た、一回り小さい少年。

ぱっと見、かなり妙な光景だった。

(  ゚Д゚) 「……何一般人連れてきてんだよ」

( ゚∀゚)「いいじゃねえか、事故や自殺のガイシャと同じ学校の生徒だ、何か知ってるかもしんねーぜ」

(  ゚Д゚) 「まぁ、お前が連れてきたんだったら、それでいいけどよ」

(´・ω・`)「……」

三人がこの場に集って、交わされた会話はお互いの事件の事。


503 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:05:21.93 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「まぁ、こっちは実行犯が死んじまってるし、被害者は病院だ。 一緒にいた学生には明日辺り話しが聞けるだろうよ」

(  ゚Д゚) 「俺の方も、自殺で決まりだと思う。 他の人間がいた形跡がまったく無いしな」

(´・ω・`)「決定なんじゃないですか」

(  ゚Д゚) 「……そうなんだよなぁ」

ギコはコーヒーを啜りながら、どこか遠い目をしていた。

(  ゚Д゚) 「……なぁ、ジョルジュ」

( ゚∀゚)「んだよ」

(  ゚Д゚) 「昔お前にさ、妹が二人いた話しただろ?」

それは、二人がコンビを組んでから数ヶ月後に、とあるタイミングでなされた会話のことだった。


504 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:05:34.05 ID:aBfIUhaG0
( ゚∀゚)「あぁ、聞いたな」

(  ゚Д゚) 「片方の妹が死んだっつー話も、したよな」

( ゚∀゚)「あぁ、聞いたな」

(´・ω・`)「いや、あの、そんな滅茶苦茶濃厚な話を僕が聞いてもよいのでしょうか」

( ゚∀゚)「テメーが勝手についてきたんだろうが」

そういわれると黙るしかないので、ショボンは口を噤んだ。

(  ゚Д゚) 「……俺の妹さ、上の方な。結局なんで死んだのかわかんなかったんだよ」

( ゚∀゚)「部屋の隅で、突然、だったんだろ?」


505 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/10(水) 04:05:51.16 ID:aBfIUhaG0

(  ゚Д゚) 「ああ、心臓麻痺が一番近い表現なんだろうけどよ、異物が発見された訳でもない、誰かと一緒にいた訳でもない、外傷も無い、本当にただ死んでるっつー、それだけでさ」

悲しむというわけでもなく、ただ思い出して淡々と語るように言葉を繰り出していく。

(  ゚Д゚) 「ただその顔が、滅茶苦茶納得したような顔だったんだよ」

(´・ω・`)「納得?」

(  ゚Д゚) 「ああ、凄い満足そうな顔しててな、顔真っ白なのによ。ガキん時の話だけど、今でも覚えてるよ」

こと、とコーヒーカップが置かれる。
静かに目を閉じて、述懐するように。

(  ゚Д゚) 「自殺した奴ってのはさ、何らかの未練っつーか、悔しい事が必ずこっち側にあるんだよ」

( ゚∀゚)「……」

(  ゚Д゚) 「俺が今まで見てきた奴等、数人だけどな。 そいつら皆、そんな顔してた」

(´・ω・`)「……それが、妹さんと何の関係が?」

(  ゚Д゚) 「今日の娘はさ、滅茶苦茶悔しそうだった、自分のした事が全部失敗だった、みたいな顔してた」



513 名前:ニホンザリガニ♂ :2007/01/10(水) 04:18:06.33 ID:+NI/UXdt0
とりあえず作者乙

514 名前:レッサーパンダ♀ :2007/01/10(水) 04:24:22.43 ID:u2HQHRip0
こんな時間まで乙でした

515 名前:パンサー♀ :2007/01/10(水) 04:31:11.89 ID:pFdpMXSqO
乙!
生き残った二人はそいつらか

517 名前:七面鳥♂ :2007/01/10(水) 04:33:44.57 ID:+NI/UXdt0
じゃ、みんなおやすみ
14日にはいよいよカタストロフか。果たしてその意味が大団円になるか破局となるか・・・


次スレ→( ^ω^)は十回死ぬようです その5


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