( ^ω^)は十回死ぬようです その3+番外編

2010-05-29 (土) 09:58  ( ^ω^)(´・ω・`)('A`)   2コメント  
前スレ(その2)→( ^ω^)は十回死ぬようです その2
その1→( ^ω^)は十回死ぬようです

12 名前:1 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:00:13.31 ID:2AjG3eR80
…………。

始めまして。

……誰?

私はあなたを消しに来たの。

……なんで?

あなたがとても、邪魔だから。

…………。


13 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:00:53.18 ID:2AjG3eR80
■( ^ω^)は十回死ぬようです。
■四日目の朝・開始。

( ^ω^)「……お、朝かお」

目が覚めると、そこは普段から変わらぬ自分の部屋だった。
ヲタグッズ、ポスター、フィギュア、抱き枕に腐女子御用達のBLノベルまである。

( ^ω^)「……なんか体が重いお」

なんだか深い倦怠感がある、溶かした鉛が体の先端に溜まっているようだ。
のろのろと荷物をまとめ(学校で読むラノベと漫画)、制服に着替え(しわだらけ)、朝食を食べる為に1階へと降りる。

( ^ω^)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「な、なによ、人の顔見たら挨拶ぐらいしなさいよ……」

( ^ω^)「おはようだお……」

ξ゚⊿゚)ξ「暗いわね……、死人みたいな顔してるじゃない」

今日は鏡を見ていないが、物事をはっきり言うタイプのツンがそう言っているなら(特に彼女は、ブーンには容赦が無い)そうなのだろう。
夏休みが終わり、宿題が終わっていない時のような倦怠感は身体を犯している、

J( 'ー`)し「おはよう、ご飯できてるからちゃっちゃと喰ってとっとと行ってきなさい」

( ^ω^)「…………」

バターの塗られたトーストがぽつんと皿にのっていた。


14 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:01:15.09 ID:2AjG3eR80
……何か違和感がある。

ξ゚⊿゚)ξ「ん、どしたの?」

ブーンはツンがもくもくと食べている目玉焼きを眺めながら言った。
ツンの皿は二枚あり、一枚にはトーストが乗っていたことが伺えるパンくずが残っていて、もう一枚には黄身が少し残っていた。

( ^ω^)「いや、僕の目玉焼きは?」

ξ゚⊿゚)ξ「ごちそうさまでした」

( ^ω^)「貴様」

喰いやがったな。


16 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:01:55.65 ID:2AjG3eR80
J( 'ー`)し「まあいいじゃない、カーチャン今日はタッキーのコンサート行かなきゃいけないから夕食はピザでもとって食べてなさいな」

( ^ω^)「ピザ! トッピングにベーコンは大丈夫かお!」

ξ゚⊿゚)ξ「いや待ちなさい、サラミは譲れないわ」

基本的にブーンの家で頼むピザは「マルガリータ」という、トマトとチーズのみのシンプルなものだが(安上がりの為)、二人は何時も追加トッピングについて激しく語り合っていた。

( ^ω^)「ええい、僕の目玉焼きを食べたお前に何か言う権利などないお!」

ξ゚⊿゚)ξ「それとこれとは無関係じゃない! ていうかいきなり元気になってんじゃないわよ!」

J( 'ー`)し「トッピングの余裕はないから素で頼むわね」


17 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:02:15.59 ID:2AjG3eR80
( ^ω^)「…………」

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

二人は顔を見合わせて

( ^ω^)「いただきます」

ξ゚⊿゚)ξ「いってきます」

それぞれの行動をとった。


19 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:04:39.56 ID:2AjG3eR80
ξ゚⊿゚)ξ「あ、そうだこれ」

ツンがカバンを持って、早々それを投げ渡してきた。

( ^ω^)「はい?」

それは一冊の本。
カバーがコーティングされているので、直に図書館のものだとわかった。

ξ゚⊿゚)ξ「それ返しておいてー」

( ^ω^)「お前そんな断るに断れないタイミングで」

表紙は美男子とショタがほぼ半裸で抱き合っているイラストがしっかりと載っていた。

( ^ω^)「そう、そのまま飲み込んで……、僕のエクスカリバー……」

ξ゚⊿゚)ξ「読むな」

( ^ω^)「スマンカッタ」

そんな、普段と変わらないはずの、四度目が始まった。


…………。


23 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:06:35.48 ID:2AjG3eR80
('A`)「よぅ」

( ^ω^)「おいすー」

何時もの交差点で何時ものように、二人は合流した。
特に何をするでもなく二人は歩き出す。

('A`)「俺今日すげぇいい夢みたんだけどよ」

( ^ω^)「僕も美人さんの出てくる夢を見たお」

('A`)「当然グングニルを貪る様にほお張られる夢だよな」

( ^ω^)「さすがに無いわ」

('A`)「いやお前、これがなかなか奥が深くてな」

( ^ω^)「この流れで奥が深いとか……、いやらしい子ね!」

('A`)「いやいやいやいやいや!?」

そんな他愛ない会話が続いていく。


24 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:07:17.01 ID:2AjG3eR80
('A`)「そういえばお前今日暇? 久々にゲーセンでギルティとかどうよ」

ドクオの提案に、速攻で賛成と言おうとしたブーンだが、すぐに思いとどまる。

( ^ω^)「いや、今日はちと用事があるお」

('A`)「え? 何よ」

( ^ω^)「ツンに本返して来いとか言われたお」

('A`)「あー、図書館か、ゲーセンからだと遠いなぁ」

学校から図書館まで行き、そこからゲーセンまで移動すると軽く二十分はロスできる。
ドクオは少し悩んだ仕草をしたが、あっけらかんと言った。


25 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:07:28.83 ID:2AjG3eR80

('A`)「んじゃ俺も付き合うわ」

( ^ω^)「お前……そこまでして僕と熱い死合を……」

('A`)「当たり前じゃねぇか……相棒」

二人のテンションが上がったところで。

( ^ω^)「所で時間は?」

('A`)「超ピンチ」

話し込んでいる間、歩行ペースが下がっている事は言うまでも無いのであった。

…………。


26 名前: :2007/01/05(金) 00:07:36.52 ID:NrxzEfUQ0
ハァハァ・・・wktkwktk


31 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:10:15.89 ID:2AjG3eR80
('A`)「ぁー、満腹だぜ畜生」

( ^ω^)「カツカレーとは贅沢な奴だお」

('A`)「今日は死合が控えてるからな……」

( ^ω^)「素うどんだった僕はどうすれば」

('A`)「敗北フラグだろ」

( ^ω^)「ちょwww」

昼休み、学食で食事を終えた二人は廊下をてくてくと歩いていた。
腹ごなしと言うわけでも無いが、学食前の廊下は、割と人が少ない。
大概が昼休みが終わるまで駄弁っているし、来ないやつらは大概弁当だからだ。
なので、ドクオとブーンはその周囲を適当にうろついたり留まったりして会話をしていた。

('、`*川「おーい、そこの二人」

( ^ω^)「お?」

('A`)「げ」

その空気を破壊する、かけられたあまりに聞き覚えのあるその声に、二人は振り向く。


32 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:11:41.81 ID:2AjG3eR80
('、`*川「ちょっち手伝ってー」

そこにいたのは平均より割かしちっこい二人の担任、ペニサス伊藤その人であり、両手で大量のプリントを抱えていた。

('、`*川「何の因果か三クラス分全部纏めて刷っちゃったのよね」

総計で百枚近くの用紙を二つに分けて、ぐらぐらと体をよろめかせながらペニサスは二人に近づいてきた。

( ^ω^)「……わかりましたお」

('A`)「しゃーねぇなあ」

しぶしぶというか、断ったら肉体的ダメージや精神的苦痛が後で降り注ぐ事は間違いないので、保身の為に二人は従う。
……いい先生なんだよ?


34 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:12:14.69 ID:2AjG3eR80
('、`*川「助かるわー」

ブーンが分けられた半分を彼女の腕から取り、残り半分をドクオが手渡される。

('、`*川「じゃあ職員室まで行くわよ」

そして二人を残して悠々と歩き出した。

( ^ω^)「あれ?」

('A`)「普通三分割だろ、常識的に考えて……」

('、`*川「がんばれ日本男児」

そんな教師の後をえっちらおっちらとついていく二人。
周囲の生徒達は教師がいる事を認識し、多少意識するもののすぐに興味をなくし自分達の世界へ戻る。
その反応は至極辺り前のものなので、三人とも気にしては居なかった。

(´・ω・`)「……あれは」

一人の生徒の視線に、気がつくこともなかった。


…………。


35 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:12:30.60 ID:2AjG3eR80
('、`*川「ありがとね二人とも」

職員室に到着し、プリントを各教室の配布箱へと入れ終えて、ようやく一息ついた。

(;^ω^)「あの……先生……」

(;'A`)「ちっといいっすか……」

('、`*川「な、なによぅ」

( ^ω^)「何であの位置から一階上にあるだけの職員室に辿り着くのに階段を八回昇り降りする必要があったんだお……」

('、`*川「だって、ほら、何所にプリント届けるか忘れちゃったから……」

('A`)「俺らが何回も『配布箱』いれときゃいいんじゃね!? って叫び続けてましたよねぇ!?」


36 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:12:51.63 ID:2AjG3eR80
('、`*川「き、教師の言う事に間違いは無いのよ!」

負け惜しみのように言うペニサスだが、成人女性がそれを言っても二人の心には響かない。

( ^ω^)「ていうか何で最初から間逆方向に歩きだすんだお数学教師!」

('A`)「赴任二年目なんだから校内の構造ぐらい把握しておけよ怠惰教師!」

('、`*川「う……」

一歩後ずさるペニサス、そしてブーンとドクオの二人はこれをまたとない攻撃の機会だと捉えた。
二人の視線が横目で交わるのはほんの一瞬。

そして攻撃が始まった。


37 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:13:49.67 ID:2AjG3eR80
( ^ω^)「そもそもプリント二十三枚あまるってどう言う事だお数学教師!」

('、`*川「なんでわかるの!?」

('A`)「大体一人で先走るから走って追いかけなきゃいけなかったじゃねぇか怠惰教師!」

('、`*川「だってアナタ達遅いから……」

( ^ω^)「荷物あるんだから遅いのは当たり前だお数学教師!」

('A`)「枚数チェックぐらいちゃんとやっておけよ怠惰教師!」

('、`*川「い、いいじゃないそれぐらいあまったって!」

ふ、とダンディズムに富んだ(気がしないでもない)ドクオの笑みを見てペニサスがさらに後ずさる。
甘いねぇ、と言いたげなあまりの余裕っぷりに、ペニサスは目の前の生徒に圧倒的な可能性を見た。

('、`*川「(……来るっ!)」


38 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:14:49.57 ID:2AjG3eR80
('A`)「いいや違うね! 二十三枚即ち二人で分割したところで十一枚ずつ(一枚あまり)!
運ぶ量が減れば数秒ではあるが俺たちの行動速度も増したし疲労も少なくなるはずだ! 
そしてその積み重なった疲労が結果次の小テストの予習さらには本番での思考力を奪い俺たちの成績を下げる! 
先生のその気軽なアクションのおかげで自分のクラスの全体学力が低下するんだ!」

( ^ω^)「な、なんだってー!」

('、`*川「何でアナタはこういうときだけ屁理屈ごねる思考力と言語の回転速度が上がるのかしら!? ていうか長い、長いわ!」

気のせいだったらしい。


40 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:17:11.41 ID:2AjG3eR80
調子に乗ったドクオとブーンはさらに追撃を続けた。
それが最大の命取りであると気がつく余裕が、色んな意味でなかった。

('A`)「しかも目元の小じわが隠しきれて無いぜ!」

( ^ω^)「まぁ、なんて致命的なのかしらマイケル!」

('A`)「そうだろステファニー、二十代前半でこれは辛い」

何故か深夜の外人通販のノリになってきた二人は、ペニサスの表情の変化に気がつかない。
ちなみに、回りには誰も居なかった。
この学校内に置いて

( ^ω^)「これはもう解決できないのかしら!」

('A`)「大丈夫さステファニー、こんな時の為にDHA! ドコサヘキサエン酸があるんだからね!」

( ^ω^)「それをいうならDHCだお!」

('A`)「あーっはっはっはっはっは……は、は」

ペニサス伊藤と言う数学教師に対し。

('、`*川「…………」

禁句を発する生徒は命知らずの極わずかな連中のみである。


41 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:17:49.87 ID:2AjG3eR80
('、`*川「……チャイムがなるまで、後何分あるかしら」

あまりに底冷えしたその声に、二人は沈黙する。

('、`*川「ああ、五分もないのね、早めに済ませないと」

答えを待つまでも無く、自らの腕時計を確認する。

(;^ω^)「ねぇマイケル」

(;'A`)「なんだいステファニー」

その圧倒的な気迫に押される二人は、思わずコントを続けてしまった。

(;^ω^)「私達、生きて帰れるかしら」

(;'A`)「ステファニー、それはね」

目の前の存在が移動を開始した。
それは瞬きの時間も要さない瞬殺。

(;'A`)「運命だけが知っているんだぜぇぇぇぇ!!」

数学教師の拳がうなるのと二人が振り返り逃走を始めたのは偶然にもぴったり同じ刹那だった。

…………。


42 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:18:30.93 ID:2AjG3eR80
('、`*川「……酷い顔ね」

( )ω()「誰の所為だかわかってますかお」

放課後、結局二秒で捉えられて一秒で死刑を執行され、小テストも満足に受けられぬまでにHPゲージを減らされた二人は、例によって職員室に呼び出されていた。

('、`*川「まぁ今回は色々あったから大目に見てあげましょう、今度からは気をつけなさい」

()A()「何にっすか」

('、`*川「言動よ」

きっぱりといわれて黙る二人。


43 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:18:57.56 ID:2AjG3eR80
('、`*川「再テストはまた別として、内藤君、これ」

ペニサスが机の上から取り出したのは、二人が運んだプリントだった。

('、`*川「例によって例の如く、わかるわね?」

( ^ω^)「クーに届けるんですかお?」

('、`*川「さっすが私の教え子、事情把握が早い」

手渡されたそれを受け取る。

('、`*川「じゃあ、よろしくー」


44 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:19:09.52 ID:2AjG3eR80
ひらひらと手を振る、とりあえず用事が済んだので出て行けというモーションである事は疑いようがなかった。

( ^ω^)「なんや色々ありすぎたけどお疲れ様ですおー」

('A`)「さよならっす」

これ以上痛い目を合う前に二人はそそくさとその場を立ち去った。

('、`*川「さて、ちゃっちゃと終わらせますか」

残りの書類仕事を片付ける為に、ペニサスは机へと向き直る。


…………。


45 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:19:49.46 ID:2AjG3eR80
('A`)「さて、どうすっぺか」

( ^ω^)「お?」

職員室から出て、昇降口へ歩く二人。
ドクオがわかってねぇなぁ、と溜息をついた。

('A`)「だってあいつん家と図書館反対方向だろ、どうすんだよ」

( ^ω^)「あー」

二箇所を回っていたらずいぶんな時間をロスしてしまう。
ただでさえ学生達の多い時間帯なのに、このままだと筐体を使えるかどうかすらわからない。

( ^ω^)「じゃあ今日は中止と言う事で……」

('A`)「超却下」

超っすか。


46 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:20:04.24 ID:2AjG3eR80
( ^ω^)「じゃあどうするお?」

('A`)「任せろ、俺になぁいすな考えがある」

下駄箱に辿り着き、靴を履き替えながらドクオは言う。

('A`)「俺が本を図書館に返す、お前はプリントを届ける、中間地点で合流してダッシュでゲーセン、これしかない!」

( ^ω^)「さすがドクオ! 遊びに関わる発想だけは僕を軽々上回るお! そこに(ry」

('A`)「てことで本貸してくれ」

( ^ω^)「わかった――――」


47 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:20:32.70 ID:2AjG3eR80




待て。

渡すな。

不味い予感が――――。





48 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:20:44.38 ID:2AjG3eR80
それは一瞬だった。
一瞬、頭を何かがよぎった。

( ^ω^)「(……あれ?)」

そのもやもやは間違いなく危険信号だったが、今の彼がそれを具体的な形として把握する事は。

('A`)「……どした?」

( ^ω^)「いや、なんでもないお」

無かった。


50 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:21:42.06 ID:2AjG3eR80
ブーンはカバンをあけるとツンから預かった本をドクオに手渡し、正門まで歩く。

('A`)「じゃあ何時もの場所であおうぜ戦友」

( ^ω^)「把握した」

逆方向へ歩き出す二人。
この、たったこれだけの違いが、もっとも最悪な結末に繋がっているということを。

ブーンはまだ知らなかった。

…………。


51 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:21:58.21 ID:2AjG3eR80
( ^ω^)「そういえば最近クーと会ってなかったお」

クー、引きこもりのクラスメイトにしてブーンの友達の事を考えながら小走りしていた。
学校から彼女の家へは割かし時間がかかるので、少しでも時間を短縮する為に彼は走っていたのだった。
ドクオとの約束が無ければ、彼女に会いに行っていたかもしれないが、今日はパスだ。

( ^ω^)「クーは話長いしお」

見た目は幼い割りに、知的な笑みと怪しげな雰囲気を持つ彼女は、どうにも物事を理屈で説明するのが好きだった。


53 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:22:58.48 ID:2AjG3eR80
川 ゚ -゚)「つまりだな、異端や、異質であると言う事は、全ての物事に置いて発生するんだ」

( ^ω^)「どういう意味だお?」

数週間前に彼女の家で、お茶とクッキーを食べながらした会話を思い出す。

川 ゚ -゚)「例えば製品ならば、百万あれば一つぐらいは不良品があり、そして人間ならば極度に突出した天才や、すべてに置いて優れない不遇な者もいる」

( ^ω^)「僕のことかお」

川 ゚ -゚)「君は異端というよりは異常だな」

( ^ω^)「言い切ったー!?」

爽やかに無視して、硝子の割れるような澄んだ声で、続きの言語を紡ぐ。



55 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:25:53.48 ID:2AjG3eR80
川 ゚ -゚)「そして世界という物は、どちらであれ常々異端を排除したがる者だ」

( ^ω^)「排除?」

川 ゚ -゚)「ああ、無能で愚鈍な者の前には社会という壁が立ちふさがり、優秀で有能な者の前には嫉妬という壁が立ちふさがる。 生まれや地位もそうだ」

音も無く紅茶をすすり、クーは続ける。

川 ゚ -゚)「人は自らに、他人と違う何かを求める。しかし周囲と外れ、異端となる事を、本能として恐れる。
世界というものがそれを排除する事を無意識下で察するからだ、だからそれを縛るルールを作り、安定を求める」

ことり、と乾いた陶器が少しだけ鳴った。

川 ゚ -゚)「それをいかにして解き、そして進んでいくかが、異端を備えた者の人生なのだろうな」

まあ、普通の人間には時としてそれ以上の壁が立ちふさがるがね、と最後に彼女は付け加えた。


56 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:27:11.69 ID:2AjG3eR80
( ^ω^)「到着ー」

角を曲がると、クーのマンションが見える。

その位置に、彼はいた。

(´・ω・`)「……やあ」

上級生の証、蒼いネクタイをした、彼が。


57 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:28:47.66 ID:2AjG3eR80
今度は、一撃だった。

ドクオに本を渡した時のような曖昧な違和感ではない。

経験した『それ』そのものがブーンに溢れてくる。


( ^ω^)「――――っ!」

(´・ω・`)「どうした!」

その場でいきなり屈み込み、頭を抑えるブーンの姿を見て、血相を変えて近づいてくるショボン。



だが、ブーンの中にはそれ以上に。


58 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:30:14.18 ID:2AjG3eR80
( ^ω^)「……っ!」

そう、彼は。


思い出した。


全てを把握したブーンは、何故此処にショボンが居るのかという一切の疑問を放棄し、

そしてすぐに、自分が最も多く、そして激烈に経験している死の記憶を手繰り寄せ、気がつけば振り返り走っていた。

⊂二二二( ^ω^)二⊃ 「あ、ああああ!!」

(´・ω・`)「ちょっと……っ!」

それは尋常では無い速度だった。
少なくとも普段のブーンではありえない、圧倒的な速さ。

(´・ω・`)「……ええいっ!」

既に距離は開いていて、そもそも角を速攻で曲がったブーンの姿は既に視認できなかったが、ショボンも後に続いた。


59 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:30:43.86 ID:2AjG3eR80
⊂二二二(  ω )二⊃「急げ急げ急げ急げ――」

不味い、このままでは。

このままでは。

そう、ルールにのっとるならば。

今までの経験と出来事を総合するならば。

間違いなくあの場で交通事故は起こる。

そして今までと同じタイミングで校舎を出て同タイミングで図書館へ向かった彼は、間違いなくその時刻にあの場所にいることになってしまう。

そこから、何を考えていたのかもわからない。

ただ走り、走り、走り、走り、図書館への道を失踪する。


60 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:31:50.31 ID:2AjG3eR80
⊂二二二(  ω )二⊃ 「ドクオオオオオオオオオオオオオオオっ――――――!!」

それは奇跡だった。

クーの家の前から、図書館を目で見れる場所で、彼を目視できる場所まで移動できた事は奇跡だった。


63 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:32:50.34 ID:2AjG3eR80
('A`)「……あん?」

彼はそこにいた。

信号が点滅していて、赤に変わろうとするところだった。

(  ω )「そこから離れろー! ドクオオオオオオオオ!!」

その声に、ドクオは首を傾げるだけだった。

表情はよく見えないが、ただ『何でお前がここに?』という、その雰囲気だけは読み取れた。


64 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:33:01.07 ID:2AjG3eR80
なにやってんだよ。
何時も信号なんか無視するくせに。
まだ点滅してるんだよ。
何で律儀に待ってるんだよ。
お前は――――!


そしてそのドクオの横を一人の学生が通り過ぎる。


65 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:33:13.98 ID:2AjG3eR80
ブーンは走った。
一度はショボンを助けられた、今度だって。

出来る――!


メギィ。

そして気がついたときには顔面を地面に打ち付けていた。
勢いよく鼻と地面がキスをして、顔が擦れて皮が剥ける。


66 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:33:26.79 ID:2AjG3eR80
(  ω )「がっ……」

転んだのだと認識する時間すらなかった。
ただ前へ、前へ進もうとする。

そのブーンの姿を見て表情を変えたドクオは、次の瞬間。

('A`)「え?」

今まさに学生をよけて歩道につっこんで来たトラックに、勢いよく弾き飛ばされ、地面に打ち据えられた。
同時に響いた轟音に、周囲にいた全ての視線が、そこへと突き刺さる。


:( ^ω^)は十回死ぬようです・続く。


69 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 00:36:05.27 ID:2AjG3eR80
gdgd感が強い第六話ですが、投下を終了させていただきます。
スレたてしてくださった方、一日から投下を待ってくださった方、ありがとうございました。

ちょっと書いた文章を見直してみたらものっそい量になったので、ちょっと投下量の調整してきます。

とりあえず明日の投下で完結は無理っぽいですが、今週中には終わらせるつもりです。

次回投下は明日22;00前後より、場合によって多少遅れるかもしれませんが、絶対にやらせていただきます。

それではお付き合いいただき、ありがとうございました。


70 名前: :2007/01/05(金) 00:37:15.46 ID:NrxzEfUQ0
>>69
乙!!!
wktkして待ってるぜ!

73 名前:うめ :2007/01/05(金) 00:38:11.75 ID:Hl6qP6xAO
乙!

生々しい内容だったな…(((( ゚д゚)))

83 名前:きょうな :2007/01/05(金) 00:45:10.45 ID:oHW5p1af0
作者乙

88 名前:ふき :2007/01/05(金) 00:50:09.73 ID:5cBUltFU0
全然頭が回らないこのド低脳に説明を

89 名前:鰻 :2007/01/05(金) 00:50:17.74 ID:FyXR/ulp0
え?ドクオが死んだんじゃないの?

95 名前:エコーウイスル :2007/01/05(金) 00:55:56.37 ID:u4z7IARJO
ドクオが轢かれたと思ったが・・・


97 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/05(金) 01:00:54.68 ID:2AjG3eR80
物凄いややこしく書いてしまいました……。
が、これはこれでなので、明日まで結論をお待ちくださると幸いです。

>>92
どうみても影響受けまくってます、本当にありがとうございました。

では本日はPCを落とさせていただきます。
推理などという物が成立するかどうかわからないレベルの作品ではありますが(というか予想では解決できない部分が多々ありますが)
「真の犯人」などの予想をしてくだされば幸いです。


100 名前:アンデス :2007/01/05(金) 01:05:08.93 ID:LLmX+IiB0
ふぇ?黒幕しぃじゃないの?

107 名前:くわい :2007/01/05(金) 01:12:55.68 ID:pDIa88zmO
犯人はヤス

108 名前:うど :2007/01/05(金) 01:16:20.23 ID:5cBUltFU0
犯人は作者

109 名前:マスカットベリーA :2007/01/05(金) 01:17:23.53 ID:1KHfitTv0
犯人はブーン

163 名前:みつば :2007/01/05(金) 23:40:35.74 ID:yxLZqxvdO
ブーンとドクオが死んでなかったとしたらショボンが死んだとしか思えない。


167 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:23:21.52 ID:TLyvpw4B0
大変長らくお待たせしました。

トウカハジマルヨー


168 名前:烏インフルエンザ :2007/01/06(土) 00:23:41.24 ID:Er36Ccmj0
把握。


169 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:23:45.69 ID:TLyvpw4B0
川 ゚ -゚)「例えば一日に九十九同じ行動をしたとしても、たった一つ違う事をすればそれだけで違う一日になる」

クーの長話は今に始まった事ではないが、それは私の行動が行き詰った時の指針となることが多いので、耳を傾けていた。

川 ゚ -゚)「そして次の日にまた一つ、また一つと変えていけば、百日後には百日前とまったく違う自分がいる事になる」

よく使われる比喩ではあるが、しかしその真意は読み取れない。

川 ゚ -゚)「まあ、人間毎日一挙一動同じ行動をとる事など無いわけだが……」

「……つまり、何が言いたいの?」

川 ゚ -゚)「逆に言えば何か一つでも違う事をすることが出来れば、必ず何かが変わってくる」

見透かしたような声だった、それが、答え。

川 ゚ -゚)「大体見当がついたよ、後は彼次第、だな? しぃ」

呼ばれた自分の名前に、私は顔を上げて反応する。

(*゚ー゚)「……どうでしょうね」

私は部屋の隅でじっと、にやりと笑う彼女の瞳を見つめた。

…………。


171 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:24:26.86 ID:TLyvpw4B0
■( ^ω^)は十回死ぬようです。
■四回目の放課後・開始

小説や漫画ではありふれた表現すぎて、形容するのもどうかと思った。
だが、これほどこの光景を如実に表しているものはない。

ブーンが痛みに軋む体を起こし、その瞳に映った物は。

最大の親友の死体だった。

当たり前だ、人間の首はあんなふうに曲がる事など決して無い。
『ギリギリ生きているかもしれない』などという希望などまったく持てない形状。

(  ω )「う、あ、うあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」


172 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:24:40.50 ID:TLyvpw4B0
焦りすぎて足を絡ませ、大地に倒れたブーンに視線を向けていた周囲の人間は、もう彼を見ていない。
ドクオを跳ね飛ばし、そのまま止まったトラックからはガソリンが漏れ出していた。
運転手は無事らしく、早々トラックから抜け出していた。

(  ω )「ド、クオ……」

死なせてしまった。

守れたのに。

助けられたのに。

ただ自分が思い出すことができなかったというそれだけのことで。

(  ω )「ド、ク、オォ……」


173 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:24:52.70 ID:TLyvpw4B0
(´・ω・`)「何があったんだ……っ」

ブーンを追いかけ、数十秒のタイムラグをおいて、ショボンもその場に到着した。

悲鳴と、それを聞きつけた野次馬、それをみてまた野次馬が集まり、それの繰り返し。
事故の周囲は人の山になっていた。

「おい! 危ねぇぞ!」

そして誰かが叫ぶ。
その声を火種にしたかのように、まもなくガソリンが燃え上がった。
ドクオの死体と、周囲を同時に焼き始める。

( ^ω^)「……ん、な、馬鹿な」


174 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:25:10.03 ID:TLyvpw4B0
(´・ω・`)「おい、しっかりしろ! 何がどうなってこうなったんだ!」

そのショボンの姿を見て、ブーンは何かを思い出しそうになる。

(´・ω・`)「怪我は大丈夫か!」

ショボンは何所にいた?

二回目の『今日』と同じ、クーの家の前に居た。

そして、事故が起きたその数分後に。

(  ω )「な、クー! クーがっ!」

よろめく体を起こそうとして、また転びかけ――――

(´・ω・`)「っ」

それをショボンが支えた。


175 名前:愛のVIP戦士 :2007/01/06(土) 00:25:32.63 ID:kXnQlQcD0
はじまってたああああああああ


176 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:25:26.10 ID:TLyvpw4B0
(´・ω・`)「落ち着いて、落ち着くんだ、あの場所からこんな短時間で此処まで来たんだ、体が動くはずが無い」

( ^ω^)「駄目だお……っ! 急がないと……クーが! クーがっ!」

(´・ω・`)「クー?」

( ^ω^)「僕の友達でっ! 早く行かないとクーが飛び降りっ……」

この時のショボンには、死相が映っていた。
濃密な死相は、ブーンにまとわりついており、禍々しい気配を感じた。
腕の中で暴れるブーンを見て、ショボンは手を離す。

( ^ω^)「……っ」

すぐに振り向き、そして走る。
親友の死が心を侵食し、怒りと焦りと悲しみしかない心で。


177 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:26:00.91 ID:TLyvpw4B0
(´・ω・`)「……そうか、だからか」

それは長い経験と、感覚で覚えた事だった。
ショボンには、それが『もう無理だ』と思えてしまった。
よろけながら走るブーンの後姿を見送り、彼は溜息をついた。
これが、四日目の『今日』におけるブーンとショボンの最後であり。

(´・ω・`)「……また、駄目だった」

ショボンの希望が、四度潰えた瞬間だった。

…………。


178 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:26:16.53 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「ぜっ、はっ、ぜっ」

体がふらつくが、それでも歩くよりは上等な速度でブーンは再び来た道を引き返す。
クーが消える、死んでしまう。


(  ゚Д゚) 『つまりさ、クーちゃんはお前を守ってるんだよ』


優しいから。
彼女はひきこもりで理屈的で、性格は悪いが。
友達である彼を護るために、全ての事情を把握した上で。
本当かどうかも定かで無いその言葉を信じそして自らの命で自分を守ってくれていた――。


179 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:27:15.14 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「あ、れ?」

そうだ、違う。


『ブーンが体験してる死の記憶と同じ情報を持ってないといけない――――』


自分が三日目の『今日』で死の間際に聞いたその台詞を、思い出す。

( ^ω^)「クー、もう一回話しあう必要がありそうだおっ……」

間に合えば、だが――。


180 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:27:29.60 ID:TLyvpw4B0
ドン。

前を見ていなかったのが悪かったのか。
あるいは考え事をしていたのが悪かったのか。

( ・∀・)「……ってぇなぁ」

まだ中間地点となる学校にすら辿り着いていないというのに。

( ・∀・)「何所見て歩いてんだコラァ!」

( ^ω^)「ぐぇっ」

何よりぶつかった相手が悪かったのか。
それは単なるDQNだったが、元々非好戦的なブーンでは万全な状態でもどうにもならなかっただろう。
腹を殴られてうずくまって、初めて自分がこの目の前のDQNとぶつかってしまったのだ、と言う事を認識した。


181 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:27:59.91 ID:TLyvpw4B0
( ・∀・)「おいコラ、テメェなにしやがんだ、あぁ?」

容赦ないその罵倒に、ブーンは反応できなかった。
これまで保ってきた体力や、色んなものが、一気に切れて、その場に倒れこんでしまう。

( ・∀・)「……テメェなめったらっかんっろうがぃ!」

もはや聞き取れない台詞と共に蹴りが飛んできた、容赦なく顔面を貫き、体が一瞬浮いた。

( ^ω^)「げふ……」

周囲の人間は勿論ではあるが、見て見ぬフリをしていた。
DQNの着ている制服が、この市内で有名な不良高校である事が禍しているのかもしれない。

( ・∀・)「っんとかっかいっらぁ!」

もう一発蹴り上げようとしたところで――


182 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:28:15.72 ID:TLyvpw4B0
ぽむ、とDQNの肩に手が置かれた。

( ・∀・)「ぁん?」

くるりと振り向いた、攻撃を覚悟していたブーンも何事かと顔を上げた。

そこに居たのは。

('、`*川「――ねぇ、あなた」

DQNと比べてふた回り以上小さい、その人物は、積もった新雪以上に無表情かつ底冷えする声で、言った。

('、`*川「私の生徒に何してるの?」


183 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:29:09.30 ID:TLyvpw4B0
ドゴッ。

ブーンにとっては聞きなれた音ではあるが、DQNが喰らったのは実際に経験した事のある痛みより遥かに酷いはずだった。
何せ人間の体が半メートルも吹っ飛ぶほどの一撃を顔面に直接受けたのだから。

( ・∀・)「がっ」

吹っ飛び、体をコンクリートに打ち据えられたDQNは、自分を殴った存在を確認した。

('、`*川「失せなさい」

( ・∀・)「……っ、テメェ」

('、`*川「消えろ、と言っているんだけど」

ぎりぎりと悔しそうに歯噛みし。

ば、と起き上がると、そのままよろけながら走り去っていった。



185 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:29:57.66 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「せ、先生……?」

('、`*川「ええ、先生よ」

ペニサスは屈むと、ブーンを抱き起こし、体を支えた。

( ^ω^)「何でこんなところに……」

('、`*川「事故があったって聞いてね、その子がうちの制服を着てるみたいだから確認して来いって言われたのよ」

それがすぐにドクオのことであると、ブーンは察した。


186 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:30:18.76 ID:TLyvpw4B0
('、`*川「それより、大丈夫?」

( ^ω^)「はい、大丈夫……ですお」

('、`*川「そう、一人で平気?」

平気です、と答えようとして体がぐらついた。
世界が回る。

('、`*川「……どうしようかしら」

( ^ω^)「先生……、事故は……」

('、`*川「え?」

困ったように首を傾げるペニサスに、ブーンは言う。

( ^ω^)「うちの学校の生徒は関係なかったですお……」


187 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:30:51.56 ID:TLyvpw4B0
それは嘘だった。
どうにもなら無い嘘だったが、しかし。

このままペニサスを現場に向かわせれば、彼女は担任として警察へと行くだろう。
そしてその間のクーが自殺したという情報が入り、彼女のまた現地へ向かうだろう。
行きは大丈夫だろうが、しかしまた事情を聞くために警察署へ戻らないとは限らない。
その時、間違いなく事故は起きるだろう。

脱線事故、が。

この発想は本当にぱっと思いついたものだった。
もう遅いのは、認めたくないがわかっている。
死んでいるというのなら、もうクーは死んでしまっている。
ブーンを護るために。


188 名前:とうがん :2007/01/06(土) 00:30:56.73 ID:hZSF81BHO
ペニサスすげーよー


189 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:31:02.66 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「……野次馬してきたら、人の波に押されちゃって……」

('、`*川「わかった、とりあえず落ち着けるところへ行きましょう」

彼女に支えられながら、二人は近場の公園へと歩いた。


190 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:31:23.37 ID:TLyvpw4B0
水にぬらしたハンカチで顔を湿らせ、ペニサスが買ってきた消毒液と絆創膏で処置をする。

('、`*川「まぁ、これでいいでしょ」

ベンチに深く座ると、ペニサスの顔の位置が多少自分より高い位置に来る。
それがやけに不思議で、ブーンは現状を省みずに何故か笑ってしまった。

('、`*川「……不謹慎な子ねぇ」

そしてデコピンを一発喰らった。

('、`*川「見に行きたくなる気持ちはわかるけど、危ないわ」

( ^ω^)「わ、かり、ま、した、お」

だがこの人は自分の指一発がどれほどの破壊力を秘めているか把握していないのか居るのか、よくわからない。
はぁ、と息をついて、ペニサスはブーンの隣に座る。


191 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:32:05.70 ID:TLyvpw4B0
('、`*川「今日はとりあえず許してあげるわ、なんだか、辛そうだしね」

優しい聖母のような笑みだった。
その姿を見て、ああ、この人は教師なんだ、と思った。


そして気がついたら、涙が出て来た。


( ;ω;)「お……」

('、`*川「ど、どうしたの? 今になって痛みが来た?」

( ;ω;)「ちが、ちがいま……、す、お……」

肩を戦慄かせて、顔を俯かせて。

( ;ω;)「せ、せんせ、ごめ、な……さ」


192 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:32:18.62 ID:TLyvpw4B0
僕はクーを守れなかった。
僕は親友を守れなかった。
ペニサスはブーンに言った。

('、`*川『クーさんの事を、お願いね』

( ^ω^)『まっかせてくださいお!』

それが生徒と教師という、陳腐で、簡単で、だがとても強い二人の信頼関係の始まりだった。
まだ高校生になって一年も立っていないけれど、彼女は確かに教師で。
だからこそ。


193 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:32:48.06 ID:TLyvpw4B0
( ;ω;)「お、お、おおおおおおおおおおお!!」

初めて、十回の死が始まってから、初めて彼は大声で泣いた。
約束を破ってしまったから。
誰も守れなかったから。
自分自身が死ぬのがとても怖いから。
それら全ての感情が混ざった泣き声は、暫く続いた。
その様子を見て、ペニサスは立ち上がり、そっとブーンの肩を抱きしめた。


…………。


194 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:33:02.82 ID:TLyvpw4B0
('、`*川「……そう」

ひとしきり泣き終えて、ブーンは気がついたら全てを打ち明けていた。
死んでしまったのがドクオである事、もうクーも死んでいるであろう事。
自分が今十回の死の最中にいて、そしてこれから最も大きな事故が起こる事。
気がつけば時間はずいぶんと過ぎて、夕日が沈み始めていた。

('、`*川「大変、だったのね」

( ^ω^)「…………嘘、じゃないですお」

('、`*川「うん、わかってる、あなたは嘘をつく子じゃないものね」

ぽむ、と頭に手が置かれる。

('、`*川「丸呑みして信じる訳にも行かないし、あの二人が死んだなんて思いたくないけど、とりあえず事実の確認と、今できる事をしましょう」

( ^ω^)「今、出来ること……」

('、`*川「ええ、だってあなたはまだ生きているんだから」

僕はまだ生きている。
まだ、死んでいない。

僕は――――


195 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:33:28.66 ID:TLyvpw4B0
('、`*川「携帯電話とか買っておくべきだったかしら、とりあえず駅に行きましょう」

( ^ω^)「え?」

('、`*川「事故が起こるんだったら、止めないといけないもの」

――そうだ。

まだ脱線事故は起こっていない。

まだおきていないなら、起こさない事もできるんじゃないのか?


( ^ω^)(ん?)

なんだか今、自分がとても重要な発想をした気がした。

( ^ω^)(起こさない、事故を?)

('、`*川「さぁ、今からなら走れば何とか間に合うわ」

( ^ω^)「っ、はいですお!」

立ち上がり、二人が歩き出そうとしたところで。

( ・∀・)「――――」

そこにそいつが居た。

196 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:33:39.63 ID:TLyvpw4B0
('、`*川「……あら?」

( ・∀・)「テメェ、テメェ、ゆ、ゆるさねぇ……」

そいつは手にナイフを持っていた。
コンビニで買えるような果物ナイフではなく、バタフライナイフ。

( ^ω^)「ひっ」

( ・∀・)「やっと見つけたぜ……、死ねぇぇぇ!!」

ナイフを腰ためにつっこんでくるDQNに、ペニサスは構えて備える。
だがブーンはその時やってはならない行動をした。

197 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:34:00.57 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「先生っ!」

ドン、とペニサスの体を弾き飛ばし、自らがその斜線上に飛び込むという、自殺行為を。

('、`*川「――馬鹿っ!」

その突撃により、ペニサスが相手を無力化して押さえるための構えが解け、体がもつれた。
そして瞬きの間にDQNは接近し、そして。




ドン、と軽い感触が腹にあたった。

198 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:34:47.29 ID:TLyvpw4B0
ブーンはナイフが刺さったのだと思った。

だが痛みは無かった。

DQNはブーンを刺したのだと思った。

だが、違う。

('、`*川「オラァッ!」

それはペニサスという埒外な身体能力を持っていたからこその芸当だった。
突き飛ばされたベクトルに対し、そのまま姿勢を崩しつつも踏ん張り、逆にブーンをかばう様に前に出て、そのまま相手を一本背負いするなどと。

背中を地面に打ち据えられて、DQNは悶絶した。

( ・∀・)「げぅっ!」

( ^ω^)「す、げぇ……」

感嘆の声しかでなかった。


199 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:35:06.31 ID:TLyvpw4B0
だが、しかし。

ポタ。

ペニサスはその、投げ飛ばした体勢のまま、動かない。

ポタ、ポタ


200 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:35:21.63 ID:TLyvpw4B0

( ^ω^)「せ、せんせ……」

('、`*川「……平気? 内藤君」

笑顔でそう聞いてくるペニサスの

ポタ、ポタ、ポタ。

( ^ω^)「せんせぇぇぇぇぇぇぇえええ!!」

その腹にナイフが深々と突き刺さっていた。


201 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:35:59.05 ID:TLyvpw4B0
('、`*川「平気……みたいね」

そのまま膝をつき、体をよろめかせ、そして。

('、`*川「私、教師だったかな、ねえさん……」

無事な生徒の姿を確認すると、にこりと微笑み、倒れ。

どば、と血が流れ出した。


202 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:36:17.39 ID:TLyvpw4B0
( ・∀・)「あ、お、俺、俺……」

倒れながら、流れだす血を流すペニサスを見て、DQNが声を漏らした。

( ・∀・)「俺、そんな、殺すつもりじゃ……」

( ^ω^)「違うお!」

ブーンは叫んだ。

203 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:36:27.19 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「まだ死んでないお! 心臓にぶっ刺したわけじゃないお! 携帯あるかお!」

( ・∀・)「あ、ああ」

( ^ω^)「なら救急車呼んで! 任せたお!」

( ・∀・)「え、おい、どこ行くんだよ!」

懐から携帯を取り出し、119番を押した事を確認すると、ブーンは走り出した。

( ^ω^)(先生、ごめん、ごめんっ!)

もう引き返せない。
自分が近くにいたら、余計に死の要因が増えるかもしれない。
ならば自分は離れて、いや、走って。

駅へと向かい、一人でも――――っ!

もうずいぶんと後ろでは、DQNが携帯で必死に、救急隊員の指示に従い止血を行っていた。


…………。

204 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:36:38.43 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「乗っちゃ駄目だお! 乗っちゃ駄目なんですお!」

「んだよ、邪魔だ!」

「なぁに? この子」

「ママー、あのおにいちゃん」

「しっ、見ちゃいけません」

駅のホームに入り、切符を買って辿り着いたのは、今まさに電車の扉が開いた瞬間だった。

(;^ω^)「駄目なんですお! 乗ったら死んじゃうかもしれないんですお!」

「おい、服を掴むなよ!」


205 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:36:51.66 ID:TLyvpw4B0
何とか電車にのらせまいとするが、しかし誰もそれに従わない。
当たり前だった。
少しでも考えればわかる、こんな事、誰も信用する訳が無い事に。
ペニサスという大人(外見上は子供だが)が、身分証明をして、そして細かな理屈を駅員に並べ立て始めてそれが成立するのだ。
例えば『うちの生徒の一人が爆弾を仕掛けたと叫んでいた、その生徒はその方面に詳しいので、危険です』と述べればそれだけで電車は発車を見送らせるだろう。
だが、そんな発想はできなかったし、時間も足りなかった。

「君、いい加減にしないかっ!」

駅員の一人が、ブーンの襟元を掴んだ。

( ^ω^)「ぐっ」

「イタズラが過ぎるぞ、学校は何所だ!」

そうこうしている間に、扉が閉まってゆく。


206 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:37:03.85 ID:TLyvpw4B0
( ^ω^)「あ、あ――っ」

そしてブーンは見てしまった。
見てはならないものを。

見なければ幸せである筈の光景を。

閉まりきった扉の奥だった、反対車線側の扉に寄りかかっている姿が、一瞬だが見えた。

他の誰かと見間違う訳がない。

だって、それは。

207 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:37:19.74 ID:TLyvpw4B0





――カーチャン今日はタッキーのコンサート行かなきゃいけないから


208 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:37:33.54 ID:TLyvpw4B0
当たり前だ。

コンサートに行くには電車に乗って街を出なきゃいけない。

もっと早く、それこそ記憶を取り戻した瞬間にでも思いつかなければいけないことだった。

( ;ω;)「カーチャァァァァァァァァァン!!」

駅員を振り払い、ブーンは閉まりきった扉を叩く。
ヴン、と電車が揺れて、移動を始めようとした。

( ;ω;)「カーチャンカーチャンカーチャンカーチャンカーチャン!! 駄目だぁぁぁ! 降りて! 降りてぇぇぇ!!」


209 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:37:49.21 ID:TLyvpw4B0
ドンドンと扉を叩くその存在を、電車内に居た人間達は怪訝な顔で見る。

そしてカーチャンも、気がついた。

あらあら、という困った顔をした。

厚い化粧でコーティングされたその顔を、少しだけ微笑ませて。

手をひらひらと振った。


210 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:38:30.52 ID:TLyvpw4B0
( ;ω;)「カーチャンカーチャンカー――」

「貴様、いい加減にしろっ!」

駅員がブーンの体を扉から引き離すと同時に、電車は一気に加速し、動き出した。

( ;ω;)「ああああぁぁあぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」

その叫び声が消える前に、電車は見えなくなっていった。

:( ^ω^)は十回死ぬようです・続く。


211 名前:マンゴ- :2007/01/06(土) 00:38:53.21 ID:Z0n+SJf20
作者乙!!

212 名前:鷲インフルエンザ :2007/01/06(土) 00:39:00.89 ID:2GMsgGh20
乙!
凄い伏線が潜んでたんだな


217 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 00:40:07.77 ID:TLyvpw4B0
展開が曖昧すぎる第七話ですが、投下を終了させていただきます。
結局6日になってしまいましたorz

正確には今日の23時、明日の23時にそれぞれ投下予定です。
微妙に一時間伸びてますが、よければお付き合いくださいませ。

保守してくださった皆様、ありがとうございました。


219 名前:クレソン :2007/01/06(土) 00:42:05.76 ID:ITwNaalX0
作者乙!

221 名前: :2007/01/06(土) 00:48:07.74 ID:tPpJx5Xe0
乙!!

ペニサスの「ねえさん・・・」発言にも伏線があるのか・・・!?

222 名前:かんしょ :2007/01/06(土) 00:48:10.88 ID:3epedPXVO
最終話の想像がつかない

225 名前:たかな :2007/01/06(土) 00:56:07.02 ID:fzQWKTS60
これ読んでると毎度鳥肌立つわ
作者乙!

226 名前:いちじく :2007/01/06(土) 00:59:03.66 ID:GWv+TPWd0
最後のカーチャンとこで泣いた

227 名前:さやいんげん :2007/01/06(土) 01:01:40.61 ID:RbKu3YKqO
なあ・・・このままこの日ブーンが生き残れても
ドクオもクーも死んでるし、ペニサスもカーチャンも死ぬかもしれんのだから、
精神的にやられて自殺するんじゃね・・・?

229 名前:さんとうさい :2007/01/06(土) 01:10:09.21 ID:y7zGyquV0
>>227

というよりみんなを助けるために、あの朝に戻るために死ぬんじゃないかな

246 名前:にんじん :2007/01/06(土) 13:12:11.46 ID:HgmYw+oL0
先読み厨uzeeeeeeeeeeee

249 名前:わけぎ :2007/01/06(土) 13:41:14.79 ID:yr5c+4EGO
先よみ厨のウザさは異常


283 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/06(土) 23:35:39.68 ID:7fN6z++f0
えー、はい、例によって投下があと三十分ぐらい遅れそうです御免なさい。

お詫びの言葉ばかりで申し訳ありませんがもう少々お待ちくださいませorz


284 名前: :2007/01/06(土) 23:35:55.59 ID:tPpJx5Xe0
アッー!!!

285 名前:えだまめ :2007/01/06(土) 23:36:28.12 ID:ztxVuaoI0
ktkr

306 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:10:45.73 ID:VeFvpx/b0
お待たせいたしました。
多少短めかつ急ピッチですが、投下をさせていただきます。


309 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:12:10.70 ID:VeFvpx/b0
彼が死亡へと導かれる最大の要因。

誰かがそれを行っているというのなら、意志という力の直下に彼の死は確立している。

そして、これはゲームであり、それが意味する事は勝利条件はお互いに必ずあるということになる。

ならば、彼が掴むべき勝利条件は『相手の意思に対し反抗する手段を見つけること』に違いない。

このゲームの参加者が誰であるかは、各々の主観で大きく変わってくるだろうが、なんにせよ、このシークエンスにおいて彼は気がついても良い状況下である事は間違い無い。

川 ゚ -゚)「思ったよりも、早かったな」

( ^ω^)「思った時には、遅かったんだお」


310 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:12:23.15 ID:VeFvpx/b0
本来ならば物語の本質である現象に、彼女が関わるべきではなかった。

イレギュラーとは、それ自体が不確定な要因である事、そのものだ。

川 ゚ -゚)「何か言いたいことがあるかね?」

( ^ω^)「聞きたいことなら山ほどあるお」

川 ゚ -゚)「そうか、ならば、やる事は一つか――」



『答え合わせを始めよう』


今を生きる、そのために。

…………。


311 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:12:59.95 ID:VeFvpx/b0
『VIP市発の電車が――脱線し――』

テレビから漏れて聞こえる声を聞いていた。

それは、自分が一歩一歩勝利に近づいている音だ。

まだ『あいつ』は死んでいないらしい、自分がこうしていると言う事は、つまりそう言う事なのだろう。

『あいつ』の死は確定している、二つの因果によって。



312 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:13:10.44 ID:VeFvpx/b0
と。


視界が暗転した。

『アイツ』が、死んだらしい。

また次の『今日』を迎える事になる。

さて、今度はどうしよう。

…………。


313 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:13:40.96 ID:VeFvpx/b0
■( ^ω^)は十回死ぬようです。
■四回目の放課後・再開。

空は暗くなっていた。

電車は予想通り、否、経験どおりにと言うべきか、綺麗にあの場所で脱線したらしい。
らしい、というのは、すれ違う全員が全員、『電車が脱線した』と大騒ぎしているからだった。
すぐに行きたかったが、歩いて踏み切りの位置まで向かうならば、歩きだと三時間かかることになる。
向かったとしても一般人は立ち入り禁止だろうが。

( ^ω^)「……ドクオ、クー、先生、カーチャン……」

何より今現在、ブーンは駅で拘束を受けていた。
駅員に絞られている最中に、本当に脱線事故が起きたのだ。
問い詰められるのは当たり前、である。


314 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:13:56.41 ID:VeFvpx/b0
「おい」

「あ、来てくださいましたか」

その声に、ブーンは聞き覚えがあった。
自分が座っている駅員室奥から、開いた扉の前に立つ影。

「こいつか、この胸糞悪い事故を予言してたのは」

サラリーマン調のスーツを着ているその男は。

「……なんだ、その顔は」

( ^ω^)「あ、ジョ、ジョルジュさ……」

( ゚∀゚)「あ? 何でお前、俺の名前知ってんだ?」


315 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:14:18.40 ID:VeFvpx/b0
二人は駅から移動し、ジョルジュの車の中に居た。

( ゚∀゚)「何でお前があの事故の事を知ってたのか、俺は知らん、つーかこれから直接事故現場へ向かう」

( ^ω^)「へ?」

( ゚∀゚)「人手が足りねぇんだよ、家まで届けてやっから、後日警察署にきやがれ」

あのまま駅で事情聴取を続けられるかと思いきや、ジョルジュはブーンの首根っこを掴むと、『長い話になるので』と駅員を切り捨て、速攻で移動を開始したのだった。

( ゚∀゚)「今ヘリで自衛隊も向かってきてる、言っておくがお前、大事故なんだぜ、これ」

わかっている。
文字通り目の前で体験し、そして死んだのだから。


317 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:14:47.53 ID:VeFvpx/b0
ブーンは、確認の意を込めて、ジョルジュに聞いた。

( ^ω^)「刑事さん、今日、マンションから若い女の人が飛び降りませんでしたかお……?」

( ゚∀゚)「……お前、何で知ってんだよ」

ぎん、と運転しながらだが、ジョルジュの視線がブーンへ向く。

( ^ω^)「いえ、その、聞いただけですお」

( ゚∀゚)「誰から、何で、何所でだ」

( ^ω^)「ええと……」

( ゚∀゚)「前も言ったろうが、この俺の前で嘘は吐けねぇんだっつー……」


319 名前: :2007/01/07(日) 00:17:14.80 ID:qKgoYvgJ0
!!!!!!!!!!!!


320 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:17:25.82 ID:VeFvpx/b0


あれ?




322 名前:にんじん :2007/01/07(日) 00:17:50.01 ID:t15CjfNOO
前も…?

323 名前:葉しょうが :2007/01/07(日) 00:17:54.23 ID:oeZpKsSQ0
これは面白いwwwww


325 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:18:07.37 ID:VeFvpx/b0
ジョルジュは自分でも不思議そうな顔をした。
首をかしげて、横目でブーンをにらみつける。

( ゚∀゚)「……おい小僧、俺とお前は初対面だよな?」

( ^ω^)「え、あ、一応そうですお」

( ゚∀゚)「……おかしいなぁ、何か前にもこんな会話した気がするんだが……」

……何で。

( ゚∀゚)「ちぃ、色々あったから混同してんだな、畜生」

覚えてるんだ?

( ^ω^)「刑事さん……、図書館の前で交通事故は……」

( ゚∀゚)「ああ、なんだよ」

( ^ω^)「死んだのは一人だけ……ですかお」

( ゚∀゚)「一人だけじゃなくて、一人も、だよ。 学生だ」

そんな内容をぺらぺらと話していいのかどうかは、この男に求めても無駄だろう。
何でこんな事を聞いたのか、自分でもわからなかった。


…………。


327 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:18:46.57 ID:VeFvpx/b0
それから終始、無言だった。

ブーンは何か言う気になれなかったし、ジョルジュはイライラした様に煙草をすい続けていた。

ジョルジュがブーンの元へ来たのは偶然ではないだろう。
事故が起きた場合、ジョルジュは事故のほうへ調査に向かう。


やがて、車が止まる。

ブーンの家の前だった。

( ゚∀゚)「テメェ、後で絞るからな……」

( ^ω^)「……はいですお」

ついていく気にはなれなかった。
カーチャンの安否は気になるが、今の彼にとっては。

車はエンジン音を立てて走り去っていった。


330 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:19:53.68 ID:VeFvpx/b0
鍵をポケットから取り出し、開錠する。
すぐにどたばたと騒がしい足音が聞こえてきた。

ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿っ!」

( ^ω^)「ぐえっ」

ツンが、扉を開けたブーン目掛けて鳩尾に拳を放ったのだった。

ξ#゚⊿゚)ξ「何のための携帯電話よ! 出なさいよ! ええ!?」

どうやらずっと電話をしていたらしい。
ポケットの中を探ってみると、電話は確かにあったが、しかし同時に画面が割れているのも確認できた。

……壊れてたらしい。

( ^ω^)「ごめ、ごめんだお…………」

ξ#゚⊿゚)ξ「ごめんですんだら警察も消防署もマカロニもいらないのよー! それよりお母さんが!」


331 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:20:07.47 ID:VeFvpx/b0
ツンも知っているらしい、強かった口調が、ゆっくりと弱くなっていく。

ξ゚⊿゚)ξ「コンサートに行くって、出て行って、それで……」

それで、電車が。

ξ ⊿ )ξ「大丈夫かな、お母さん、大丈夫だよね、ね……!」

( ^ω^)「……絶対に大丈夫だお」

普段、こんな姿を見せない妹の頭を撫でて、ブーンは言った。


332 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:20:21.40 ID:VeFvpx/b0
居間に入ると、テレビがついていた。
ずっと見ていたのだろう、音量は大きめだ。
地方局にチャンネルがあわされていて、ニュースでは現地にいるキャスターが何かを叫んでいた。



潰された、救急車を背景に。




333 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:20:38.81 ID:VeFvpx/b0
『えー、こちら事故現場です、現在確認できているだけで死者数十名、重軽傷者合わせて数百名――』

『踏み切りを待っていた救急車両も巻き込まれ――』

『女性教諭一名と、救急隊員一名が死亡、付き添いの男性ともう一名は重症で――』

( ^ω^)「な、あ、ああ?」

その情景が把握できなかった。
あの時間、救急車に乗っていた女性教諭など、あの人以外に誰がいるだろうか。

ξ゚⊿゚)ξ「ど、どうしたのよ……」

( ^ω^)「な、んで……」

それに、ブーンは思い当たった。


335 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:21:11.77 ID:VeFvpx/b0
それに、ブーンは思い当たった。

脱線事故は起きる。

だがブーンが死んだのは車の中だ。

つまり、脱線事故が起きたことにより→車が潰されて→死ぬ、という現象。

脱線事故は、あくまでおまけ。

あの場所であの時間に車に乗っている事こそが本当の死。

『起こるべくして起こる死』だと、言う事か。


336 名前:にんじん :2007/01/07(日) 00:22:40.52 ID:t15CjfNOO
ペニサス…恐いよ作者…


337 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:22:43.71 ID:VeFvpx/b0
( ^ω^)「――二人?」

アナウンサーはまだ何かを言っていたが、死亡したのは確かに『女性教諭』と『救助隊員』、一名ずつだと言っていた。
ジョルジュがさっき言っていたように、各シークエンスでは同じ出来事が起こり、同じ結果が成立している。
違うのは、誰が死ぬか、と言う事だけで。

( ^ω^)「ならあの時――、僕と、もう一人以外は、生きていた?」

誰が生きていた。

誰が生きていた。

何で、生きていた?

そこに、追い討ちだった。

テレビにはテロップが流れていた。
確認された死亡者の中で、身元が判明している人たちの名前が次々と羅列されていった。


338 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:23:00.66 ID:VeFvpx/b0
ξ゚⊿゚)ξ「う、そ」

( ^ω^)「……」

そこには、一番見たくない名前が。

ξ ⊿ )ξ「おか、あ、さん……?」

( ^ω^)「……っ!」

ブーンは振り返ると、走りだし、居間から飛び出た。

339 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:23:14.86 ID:VeFvpx/b0
ξ ⊿ )ξ「あ、あああああああんっ!」

妹が泣く声を背中に、ブーンは走る。

待ってろ、ツン。

すぐ、全部、元に戻してやるから――

ブーンが走り、辿り着いた場所。

オートロックというシステムは、外側から鍵を使ってあけるか、内部の住人からあけてもらうかのどちらかで入る事ができる。
当然のことながらブーンは鍵を持っていないのが、しかしもう一つ入る手段がある。

管理人に見付からないように、じっと影を潜めて待つ。
十分程度で、それは実現した。


340 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:23:26.45 ID:VeFvpx/b0
中から人が出てきて、扉が開く。

それとすれ違うように、ブーンもまた移動する。

辿り着いたのは、九階。
クーの部屋の前だった。

902号室の周囲には『立ち入り禁止』のテープが張ってある以外、無人だった。

本来ならば警官がいるのだろうが、事故の問題があるので、皆そっちに行ってしまったのだろう。

それは、考えてはいけないことだったが。
しかし、最も最良な手段だった。


341 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:23:36.45 ID:VeFvpx/b0
ブーンが死んだ場合、次の『今日』が始まり、今までのシークエンスは彼の記憶を残し無かったこととなる。

ならば。

自分が死ねば。



『皆が死んでしまった現実はリセットされて、やりなおせる』




342 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:23:48.15 ID:VeFvpx/b0
ドクオ、たった一人の親友。
クー、僕を護るために消えた少女。
ペニサス、生徒を護る為に、そしてその所為で死んだ教師。
カーチャン、僕を、この世界に産んでくれた人。

( ^ω^)「待ってて、今、助けるから――」

ゆっくりと、体を乗り上げる。

落下は一瞬だった。
この高さから落ちるのは二度目。

だが、もう見逃せない。
許す訳には行かない。

皆を死なせる訳には、行かない。

( ^ω^)「僕が、必ず、皆を――っ!」

決意とともに、ブーンの意識は、地面と接触した瞬間、途絶えた。

:四回目の死亡・転落死/自殺
:実行犯・ブーン
:死亡時刻・八時十五分
:( ^ω^)は十回死ぬようです・続く。


343 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 00:25:17.86 ID:VeFvpx/b0
>>227
>>229
に完璧にオチを読まれていた第八話の投下を、これで終了と致します。
保守してくれた皆様、ありがとうございました。
明日はなるたけ早く投下できるよう努力いたしますorz

スレが落ちていたら自分で立てますが、立ててくださればそちらを利用させていただきます。
それでは、お付き合いありがとうございました。


345 名前:葉しょうが :2007/01/07(日) 00:25:48.67 ID:oeZpKsSQ0
激しく乙!

348 名前:愛のVIP戦士 :2007/01/07(日) 00:26:42.29 ID:QW7JZMhb0
すげえよ・・・このブーン小説は


359 名前:ばれいしょ :2007/01/07(日) 00:29:09.71 ID:fY78jAoX0
1回目:トラックによる事故死
2回目:転落死
3回目:脱線事故により死亡
4回目:自殺

把握!



377 名前:雲雀インフルエンザ :2007/01/07(日) 00:46:05.59 ID:PIrcc22+0
自殺したか。
だがこのまま自殺しなかったら。ブーンの勝ちだったのでは?

379 名前:かぶ :2007/01/07(日) 00:49:46.60 ID:f+cF4TuHO
>>377
( ^ω^)「大切な人達が根こそぎいない世界なんて・・・生きる価値ないお・・・!」

383 名前:ミニトマト :2007/01/07(日) 00:54:07.86 ID:kcLeiJjr0
所で思ったんだがこれってブーンが死を回避すると次の事が起こるのか?
それともブーンが最初の死亡のきっかけになることで死んでも電車事故とかは起こるのか?


385 名前:にんじん :2007/01/07(日) 00:59:02.88 ID:t15CjfNOO
>>383
たぶん内藤が死んでも起こると思う


386 名前:むつかおり :2007/01/07(日) 01:00:21.40 ID:Ablkq9wG0
ブーンが死を回避したら次のことが起こるのではなくて
既に事象は決定しててブーンがトリガーになって出来事が起こってると考えてる


387 名前:ごぼう :2007/01/07(日) 01:02:59.71 ID:t15CjfNOO
>>386が言いたかった
もうこの世界はRPGのように全て設定された道なんだな
RPGだって違う出来事を起こしても決まったイベントが起こるのと同じで


388 名前:啄木鳥インフルエンザ :2007/01/07(日) 01:03:19.49 ID:dLwN2pX5O
つまり、まだわからないと

390 名前:ほうれんそう :2007/01/07(日) 01:17:03.27 ID:pRW2k3YIO
どのように完結するのか楽しみだw

391 名前:女峰 :2007/01/07(日) 01:22:43.52 ID:8s1FDrvt0
1回目:トラックによる事故死
2回目:転落死
3回目:脱線事故により死亡
4回目:自殺
って言ってるけど

最初の方の背骨が折れて炎で炎上死したやつが1回目で、実は

1回目:トラック事故に巻き込まれ焼死
2回目:トラックによる事故死
3回目:転落死
4回目:脱線事故により死亡
5回目:自殺

ってのが真実、っていう予想は既出?

392 名前:パセリ :2007/01/07(日) 01:26:29.21 ID:LzRQK5ip0
>>391
自分もそれ気になってる。
ミステリなら地の文に嘘があるのはアンフェアになるわけだが
これはミステリじゃないしな…

394 名前:さやいんげん :2007/01/07(日) 01:29:28.05 ID:UBRTmuweO
炎上死が一回目とは限らなくね?炎上死の前にも死んでる可能性もあるくね?

395 名前:さといも :2007/01/07(日) 01:29:51.87 ID:fY78jAoX0
予想はやめようぜ

396 名前:かき :2007/01/07(日) 01:31:00.76 ID:r8/FjKvS0
予想するのは勝手だがレスにするな

398 名前:さやいんげん :2007/01/07(日) 01:34:06.17 ID:UBRTmuweO
今日までの話を整理してるだけじゃね?

399 名前:パラインフルエンザ :2007/01/07(日) 01:34:06.95 ID:XdiK+2bCO
設定が複雑になりがちなものなのに、あまり頭を使わなくても読めるところに才能を感じる
この読みやすさ保ってガンガレ作者

405 名前:さんとうさい :2007/01/07(日) 01:40:27.61 ID:sTAm9Km2O
よそうはよそうぜ

406 名前:デラウェア :2007/01/07(日) 01:41:16.29 ID:R8XY+XOI0
そして氷河期が到来


415 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:03:09.82 ID:VeFvpx/b0
一応各話チェックして、伏線以外の矛盾が出てこないようにしているつもりですが、ペニサスの担当のような思い込みが多々あるので油断できない状況です orz
スレが落ちる前に、こっそり番外編を投下しようと思ったのですが、それは避難所の方が良いでしょうか。


418 名前:豊水 :2007/01/07(日) 02:06:33.88 ID:KoIetVHE0
>>415
作者ktkr
番外編も是非ここで

それから次の投下はこのスレ残っていても新スレでお願いしますお


419 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:07:18.56 ID:VeFvpx/b0
了解しました。
次回投下は新スレを使わせていただきます。
ではこっそり番外編の投下をこっそり始めさせていただきます。


420 名前:とよのか :2007/01/07(日) 02:07:32.29 ID:8s1FDrvt0
うっひょおおおおおおおおおおおおおお(゚∀゚)


421 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:08:53.84 ID:VeFvpx/b0
■( ^ω^)が十回死ぬようです・こっそり番外編 その1
■( ^ω^)と川 ゚ -゚)は友達になったようです



川 ゚ -゚)「ふむ」

クーは何時ものように部屋で本を読み、何時ものように紅茶を飲んだ。
小うるさいあの娘は、今日は部屋の隅に居ない。

川 ゚ -゚)「久しぶりに、ゆっくりできそうだ」

積んでいた本を一気に消化すべく、読書に集中しようとした次の瞬間。

ぷー。

それは普段鳴らないチャイムの音だった。

川 ゚ -゚)「…………」

無視をしていると、二度、三度と音がなり。

ぷー。

川 ゚ -゚)「……誰だ」

インターホンをとると、できるだけ底冷えする声で、クーは言い放った。


422 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:09:16.48 ID:VeFvpx/b0
『え、えーっと、クーさんはオタクで間違いないですかお?』

川 ゚ -゚)「私はオタクではないが」

『違う違う違うクーさんのお宅で間違いないですかお!?』

……誰だ、コイツ。

川 ゚ -゚)「間違いないが、お前は」

『同じクラスの内藤ですお! プリントを届けに来ましたお!』

記憶にある名前だった。
確か入学式に貰ったクラス表に、その名があったはずだ。


423 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:09:26.42 ID:VeFvpx/b0
川 ゚ -゚)「……ならポストに」

入れておいてくれたまえ、と言おうと思ったが。

川 ゚ -゚)(また来られても困るしな……)

あいつが家に現れてから、一人の時間は減っている。
これ以降、妨害される事も、面倒だ。
ならば。

川 ゚ -゚)「上がってきてくれたまえ」

最低最悪と言われたこの人間性で、二度と来る気をなくしてやるとしよう。


…………。


427 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:11:01.59 ID:VeFvpx/b0
( ^ω^)「これがプリントですお」

カバンから一枚の用紙を取り出し、手渡してくる。

川 ゚ -゚)「ふん、教師に言われて届けに来たのかね」

( ^ω^)「え、はい、そうですお」

それをなるたけ相手の気分を損ねるようにばっ、と奪い去り、クーは続ける。

川 ゚ -゚)「いいな、他人に奉仕をして上機嫌になって、偽善者気取りか」

( ^ω^)「……はい?」

川 ゚ -゚)「君みたいな凡人のくだらない優越感を満たす事に付き合うつもりは無い、二度と来ないでくれたまえ」


428 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:11:14.71 ID:VeFvpx/b0
そのまま扉を閉めようとする。
ここまで悪態を吐かれたらもう此処に来る気力は無くなるだろう。
ていうか普通の人類ならぷっつんするはずだ。
ありきたりな台詞だが、生で言われると、辛いものだ。

( ^ω^)「お」

川 ゚ -゚)「……ん?」

( ;ω;)「おおおーん! おおおおぉおぉぉおおーん!」

川 ゚ -゚)「キモッ!」

思わず本音が漏れてしまった。
とりあえず、何か泣いていた。


429 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:11:35.85 ID:VeFvpx/b0
川 ゚ -゚)「ああもう! 泣くな鬱陶しい!」

( ;ω;)「おるろれーん! おらりらるらるろおおお!」

川 ゚ -゚)「もう私はわけわかんねぇよ!」

クーは泣き喚く高校一年生の首根っこを引っつかむと

川 ゚ -゚)「近所迷惑だ馬鹿たれが!」

とりあえず部屋に引っ張り込んだ。

…………。


431 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:13:17.55 ID:VeFvpx/b0
>>430
サーセン、ミスですorz

( ^ω^)「……広い部屋だお」

川 ゚ -゚)「二秒で泣き止んでるんじゃない君は」

初めて部屋に男を入れてしまった。
と言う後悔はさておき、クーはとりあえず来客用のカップに紅茶を入れるためにキッチンへ向かう。

川 ゚ -゚)「座って待っていろ、その間、口を開くな」

数分でその作業を終えて、戻ってくる。


432 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:13:32.43 ID:VeFvpx/b0
川 ゚ -゚)「飲め」

ティーカップを目の前の男、内藤の目の前に置いて、自分も対面に座る。

( ^ω^)「お、うまいお……」

川 ゚ -゚)「そうか」

( ^ω^)「こんな美味い紅茶は初めて飲んだお」

川 ゚ -゚)「そ、そうか?」

( ^ω^)「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

川 ゚ -゚)「いや、それは無い」


433 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:13:54.37 ID:VeFvpx/b0
内藤が紅茶を飲み終えるまで数分、クーもとりあえず自分の分に手をつける。

川 ゚ -゚)(なんなんだこいつは……、ペースが乱れる……)

相手が言葉の通じる相手ならば、どんな因数分解できてしまうクーだったが、目の前の存在は無理だった。

川 ゚ -゚)(ああ、言語が通じないのかもしれない)

すっげぇ失礼な考え方だった。

( ^ω^)「いや、ごめんお。 いきなり酷い事言われたから混乱したお」

川 ゚ -゚)「混乱っつーかなんつーかお前凄いな」

( ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「いや、家主に断りも無く自ら率先してお代わりを……」

( ^ω^)「こりゃ失敬」

勝手にポットからカップに中身を注ぎ足すブーンを見てクーは呆れ半分の声を出した。



434 名前:たけのこ :2007/01/07(日) 02:13:59.40 ID:t15CjfNOO
川 ゚ -゚)「おるろれーん! おらりらるらるろおおお!」

( ;ω;)「おるろれーん! おらりらるらるろおおお!」

川 ゚ -゚)「おるろれーん! おらりらるらるろおおお!」

クーは泣き喚く高校一年生の首根っこを引っつかむと

川 ゚ -゚)「おるろれーん! おらりらるらるろおおお!」

とりあえず部屋に引っ張り込んだ。

…………。




437 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:15:19.69 ID:VeFvpx/b0
川 ゚ -゚)「君は変な奴だな」

( ^ω^)「へ」

間抜けな声が出た。

川 ゚ -゚)「そして、面白いな」

( ^ω^)「ほ?」

さらに間抜けな声が出た。

川 ゚ -゚)「ふむ、少々虐めたくなった」

(;^ω^)「ほわーっと!?」

思わず立ち上がるブーンをにやにやと見つめながら、クーは思う。


438 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:16:31.64 ID:VeFvpx/b0
久しぶりだな、と。

こんな気持ちになったのはいつ以来か。

川 ゚ -゚)(やっぱりいいな、理屈で説明できないものは)

解き甲斐がある――。

彼女にとっては人間ですら、思考回路の解読などお茶の子さいさいだったから。

こういう存在は珍しい。

愉しい。

だから。


439 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:17:08.30 ID:VeFvpx/b0
彼が何かを伝えるのなら、私がそれを開いてみよう。

それは必ず、彼を理解し、全てを把握する鍵となる。

いつか彼の思想を根こそぎ奪って、私の糧とする為に。

…………。


440 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:17:22.16 ID:VeFvpx/b0
川 ゚ -゚)「いちいち呼んだと言う事は、何か話があるのだろう。普段なら郵便受けに入れてはい終わり、なのだから」

時折尋ねてくる内藤の声を、クーは聞く。

今日も、面白く、なりそうだ。

川 ゚ -゚)「……で、何の用件かな?」

( ^ω^)「……僕の、命に関してだお」

息を切らす彼を見て、笑う。

川 ゚ ー゚)「それは、なによりだ」

■( ^ω^)と川 ゚ -゚)は友達になったようです・fin


441 名前:VIP皇帝 :2007/01/07(日) 02:18:50.35 ID:t15CjfNOO
番外なのに伏線があり回収をする

いいわねぇあなた

442 名前:十回死ぬ作者 ◆E9cmLlSr.Y :2007/01/07(日) 02:19:10.55 ID:VeFvpx/b0
ということで謎も何も無いこっそり番外編1、( ^ω^)と川 ゚ -゚)は友達になったようです、の投下を終わらせていただきます。

>>434
吹いた。



次スレ→( ^ω^)は十回死ぬようです その4


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( ^ω^)(´・ω・`)('A`)   コメント:2   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
28692. 名前 : にゃぁ◆- 投稿日 : 2012/11/12(月) 22:04 ▼このコメントに返信する
もうこれ漫画になんねーかな・・・
買うわ、
32580. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/03/24(日) 01:33 ▼このコメントに返信する
自殺も死にカウントするとすると、回避した場合…
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