1:
◆ao.kz0hS/Q 2017/07/14(金) 02:22:17.75
ID:Vq3CUo2i0
18禁描写を含んでおりますのでご注意ください
尚、途中から台詞文が主体になります
2:
◆ao.kz0hS/Q 2017/07/14(金) 02:23:54.15
ID:Vq3CUo2i0
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『ソレ』が僕の手元に舞い込んできたのは全くの偶然だった。
年に一度の帰省の折、たまたま出かけた散歩の最中にばったりと中学時代の友人と出会ったことがすべての始まりだ。
ソイツとは当時は二人で遊びに出かけることも少なくなかった程に仲が良かったのに、別々の高校へ入学してからは二、三度会ったきり、疎遠になっていた。
だけど会ってしまえば、ほとんど十年ぶりの再会にもかかわらず、昨日まで中 学生だったみたいにバカ話で盛り上がって、ここで会ったが百年目と真昼間から飲みに繰り出した。
ベロベロに酔って居酒屋を出た後もソイツの実家で飲み続けて――それからの記憶はかなり曖昧なのだけど――性癖の暴露大会までしてしまい、その結果同好の士であることが判明したのだったか。
翌朝、見慣れないハードディスクが実家の自室の枕元にあるのを頭痛と一緒に気付いた。状況的に友人から譲り受けたものだった。
そして、そのハードディスクの中に入っていた50メガバイト足らずのデータが『ソレ』だった。
全くの偶然。確かにその通りだった。
とはいえよくよく考えてみれば、彼とは遅かれ早かれどこか、例えば共通の友人の結婚式などで会い、そうして結局同じ展開を辿ることになったのではないかとも思う。
だからそういう意味では僕がソレを手に入れたのは、実は必然であり運命であったのかもしれない。
つまりは、今こうして僕の担当アイドルである菜々さんが目をクロマグロばりに泳がせながら汗を滝のように流しているのもまた、彼女の運命だったのかもしれないわけで。
自分でその運命に引き込んでおいてこう言うのも申し訳ないが、つくづく難儀な星の元に生まれた人だと思う。いやウサミン星か。だからか。
「―――――って知ってますか?」
「あっばばばっ」
この問い掛けだけで菜々さんはそうなった。
24時が近づき、僕らしかいなくなった事務所にポンコツアンドロイドのエラー音声が虚しく響き渡る。