ネガティブ・ツインタワー!52 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/04(日) 23:05:06.40
ID:hWLjymM0 浜面「なになに、『この薬を一錠飲めば、ガサツなアナタもたちまち魅惑のレディーに大変身。
大丈夫!特力研のお薬だよ。』
…なんじゃこりゃ」
フレンダ「ふっふっふ~、私の学園都市に張り巡らせているコネとパイプを駆使すれば
こんな貴重な物を手に入れるのも朝飯前なのよ」
滝壺「…フレンダ、すごい」
浜面「喜んでるところ悪いが、この薬一体どこで手に入れてきた?
滅茶苦茶胡散臭いんだが…万一、人体に有害だったらどうするんだよ?」
絹旗「浜面に同意するのは超しゃくですが、私も超同じ意見ですね。
第一、その薬誰が飲むんですか?」
53 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:11:01.09
ID:hWLjymM0 フレンダ「そうね、滝壺と私は飲むまでもなく貞淑なレディーだから除外して…
結局、絹旗が飲まないというなら麦野にでもあげようかしら」
絹旗「超救いようのないオバカさんですね」
浜面「麦野がそんなもん飲むとは思えないが…?」
フレンダ「何言っていんのよ、仕込むのよ、バレないように」
浜面「お前、また体を上下に裂かれるぞ」
フレンダ「あら、この薬を飲んだ後のレディーな麦野なら、そんな野蛮なことしないわよ。
それどころか、『フレンダ、あなたが私のことをそこまで気遣ってくれてたなんて…。
あなたに優しさに気付けない私はなんてお馬鹿さんだったのかしら。
せめてものお詫びに、今日の夜は鯖缶パーティーよ』みたいなウフフでデヘヘな展開に」
絹旗「超ありえません」
54 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:14:27.21
ID:hWLjymM0 浜面「しかし、人の性格を変える薬ってのもすごいな。
まあ、麦野は鼻っ柱が強すぎて人の意見を聞かなくなる時があるからな。
少しぐらい大人しくなってもらったほうがいいとは俺も思う」
絹旗「確かに、素直で優しい麦野というのも一度超見てみたいですね」
フレンダ「でしょでしょ!?麦野がもう少し丸くなれば『アイテム』のメンバーはもっと仲良くなれそうだし、
結局強い組織になるんじゃないかなー。滝壺もそう思うでしょ?」
滝壺「…うん、むぎのは私にはいつも優しくしてくれているけど、フレンダやはまづらに優しいむぎのも見てみたいな」
浜面「フレンダ、その薬ホントに害はないんだな?」
フレンダ「私が大丈夫って言ったら大丈夫なのよ。大船に乗ったつもりで安心しなさい」
滝壺「…フレンダ、がんばって。私は陰ながらフレンダのことを応援してる」
55 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:16:47.98
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
ガチャッ
浜絹滝鯖「おかえりー」
麦野「あー、ムカつく、ホントマジで顔に下呂吐きたくなるレベルの早漏×××共に会ったわ」
絹旗「(帰ってきても挨拶一つない上に、聞くに耐えない下品な言葉遣い。これは超ご機嫌ななめですね)」
麦野「ド低脳のスキルアウトがぁぁっ!!レベル5の『原子崩し』の肩に馴れ馴れしく手をかけていいと思ってんのかよぉぉっ!。
ウゼェから全員ミンチにしてやったが、あいつに触られた服の汚れが取れねえよ」
浜面「(これは…あいつにとって良い薬になるかもな)それは災難だったな。
早く風呂に入りたいかもしれないが、ちょうど飯出来たから先に晩ご飯にしないか?」
フレンダ「今日は私がジュース買って来たよー、麦野一緒に飲も!」
滝壺「いっしょに飲もう、むぎの」
絹旗「超飲みましょう」
麦野「ん、今日ってなんかの記念日だっけ?」
56 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:22:22.22
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
浜面「おい、ちゃんとジュースの中に薬は仕込んでおいたか」ヒソヒソ
フレンダ「心配いりません、私を誰だと思っているんですか、泣く子も黙る闇組織『アイテム』の一員ですよ」ヒソヒソ
麦野「あんたたち、何ヒソヒソ言ってんのー、早く飲みもん持ってきてよ」
フレンダ「あ、はい、ただいまー」
フレンダ「さーて、全員分ジュースは回った?」
滝壺「大丈夫だよ、フレンダ」
絹旗「フレンダが場を仕切るとは…ですが、今日だけは超許します」
麦野「だから、今日なんかあったの?」
浜面「まあまあ、それは乾杯が終わった後話すから」
フレンダ「それでは、『アイテム』の今後の発展と私たちの幸福を祈って!」
5人「かんぱ~い!」ガチャン
麦野「」グイッ ゴクゴク
他4人「」グイッ→飲んだふり
浜面「(さあ、どうなる…!?)」
絹旗「(とりあえず、ジュースは超綺麗に飲み干しました)」
滝壺「(…楽しみ)」
フレンダ「(さあいでよ!綺麗な麦野ぉぉっ!)」
麦野「」
麦野「あ…」
麦野「あ…あ…」ホロホロ
4人「?」
麦野「アンタたち!今まで本当にごめんなさい!」
57 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:25:18.79
ID:hWLjymM0 浜面「えぇ、む、麦野!なんで土下座なんてするんだよ!」
麦野「い、今まで私はなんて酷いことをしてきたんだろう…
私はチームのリーダーなのに、アンタたちの気持ちなんて全然考えないで、罵ったりこき使ったり。
レベル5でほんのちょっと能力が強いというだけで、威張り散らしてばっかりだった。
でも考えてみると、私の取り柄なんて『原子崩し』の能力に、あとは精々親の財産とこのルックスぐらい。
私自身の力で勝ち取ったものなんて一つもないじゃない。
それなのに自分は優れた人間なんだって思い違いをして、
私ってなんて滑稽なのかしら。そのことに今、唐突に気づいたわ」
58 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:27:53.46
ID:hWLjymM0 絹旗「麦野!一体どうしたのですか!」
麦野「絹旗…いえ、呼び捨てなんて畏れ多いわね、絹旗さん。
別に私はどうもしていないわよ。
今まで私の心に巣食っていた傲慢さを、恥じているだけ。
絹旗さんみたいに、年下なのにすごい冷静沈着で優秀、
そのうえとっても可愛い女の子を部下に出来たこと、私は一生の誇りに思うわ。
私なんかには本当にもったいない子だった…頼りないリーダーに散々こき使われて、本当は不満で一杯だったんでしょ?」
絹旗「え、いや、そんなこと超少しも」
麦野「ううん、絹旗さんの考えていることはわかってる。本当にごめんなさいね。
ほかのみんな…みなさんにも迷惑をおかけしました。
滝壺さんは体調だってそんなに良くないのに、身を削って『アイテム』のために働いてくれて。
滝壺さんの『能力追跡』無しでは『アイテム』は一日たりとも回らなかったわ。
その上、誰にでも優しくて、とっても家庭的で。爪の垢を煎じて飲みたいぐらい、素敵な女の子でした。
こんなリーダーに今まで着いてきてくれて、本当にありがとう」ペコリ
滝壺「……」ゾワッ
59 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:30:40.11
ID:hWLjymM0 麦野「浜面君、あなたにはいくつ頭を下げても足りないわ。
もっとも、私の頭なんかどんなに下げても許してくれないと思うけど。
私、あなたのことレベル0ってだけで見下して、こき使って、嘲け笑っていたわよね。
あの頃の馬鹿丸出しで笑ってる私の口に、スキルアウト共の×××を突っ込んでやりたいと真剣に思ってるわ」
浜面「」
麦野「ごめんね、汚い言葉遣いで。幻滅させちゃった?でも、これから少しずつ直していくから。
だからお願い、私のこと見捨てないで」ウルウル
浜面「(うっ、なんか乙女オーラが出てて可愛い…まてまて落ち着け。いくら可愛くてもこいつは麦野)」
麦野「もし、私のことを見捨てないでいてくれるなら…恥ずかしいけど、私の体を自由に使っていいよ。
太もも周りの肉付きが良すぎてみっともないかもしれないけど、満足してもらえるかな?」
浜面「!」
浜面「ぜ、是非」
絹旗「窒素パーンチ」グボシャ
浜面「そげぶっ!?」
絹旗「ふん、超最低ですね」
滝壺「…最低」
浜面「ぐぉ…、た、滝壺まで」
フレンダ「まあ浜面は自業自得として…麦野!
いくら浜面相手だからっておふざけが過ぎるんじゃないの!?
大体『レディーになるための特効薬』を飲ませたはずなのに、結局どうなってるのよ!」
麦野「ひっ」ビクゥ!
麦野「ご、ごめんなさいフレンダさん。
私なんかにそんな貴重な薬を飲ませちゃって良かったのかしら?」ブルブル
麦野「そうよね、フレンダさんは私のことなんて大っ嫌いだろうから怒るのも当たり前よね。
そういうことなら、私は今日で『アイテム』のリーダーを辞めさせてもらいます」
4人「!」
60 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:33:18.16
ID:hWLjymM0 麦野「これ以上アナタたちに迷惑掛けたくないし、
メンバーに嫌われてまで『アイテム』のお仕事したくないから…
本当は浜面といっしょに雑用のお仕事させてもらえたらと思ってたけど、
やっぱりみなさん嫌われ者の私と一緒にいたくはないわよね。
それに厄介者がいなければ、みなさんもっと仲良くやっていけるでしょう?
…だからフレンダさん」
フレンダ「」
麦野「虫のいいお願いかもしれないけど、フレンダさんには『アイテム』のリーダーになってもらいたいの。
絹旗さんは優秀だけどこの中では一番年下。だからあなたが、滝壺さんと浜面君を守ってほしい」
フレンダ「え?え?」
麦野「大丈夫、フレンダさんには持ち前の機転と人望があるから、
私より立派に『アイテム』を引っ張っていけると思うの。
だから…どうか他のみんなのこと、お願いっ!」ドッ
浜面「あ、おい、麦野!どこに行くんだよっ!」
62 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:35:58.53
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
滝壺「…むぎの、何処かに行ってしまった。今現在『体昌』を切らしてしまっているから、私の能力で探すこともできない」
絹旗「しかし、超一体全体これはどういうことなんでしょうか。
…まさかと超思いますが――」
浜面「そう、フレンダ、お前違う薬を盛っただろ!
あれのどこが『魅惑のレディーに大変身する薬』なんだよ!」
フレンダ「……………………… てへっ」
浜絹「ごまかすなぁー!」
滝壺「大丈夫だよフレンダ。私はそんなフレンダを応援してる」
フレンダ「ホント!?」
滝壺「うん。
ほんとにほんとにほんのちょっとだけ」
フレンダ「」
64 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:38:18.35
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
絹旗「とりあえず状況を超整理しましょう。
あの麦野の挙動不審ぶりから察するに、あの薬の本当の効果は『飲んだ人が極度の自己不信に陥る』ことだと思われます」
浜面「おそらくはな。あの傲岸不遜の麦野があそこまで卑屈になるということは、効果は本物だ。
あの薬、確かに体にはなんの害もないようだが、人が培ってきた自我を徹底的に破壊する。
最低最悪の猛毒だな。
なんか、すっかり卑屈になったあいつの話を聞いているうちに、こっちまで悲しくなってきた」
滝壺「はまづらに同感する。
親しい人が変わり果ててしまうということが、ここまで胸が痛むことだとは思わなかった」
フレンダ「私も同じく。殺しても死なないような麦野が、あんな風になってしまうなんて。
あんなヘタレた麦野、2度と見たくない」
絹旗「その原因を作ったフレンダがよくそんなこと言えますね」
フレンダ「わ、悪かったわよ!
とりあえず、早く麦野を連れ戻しにいかないと!」
65 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:39:05.63
ID:hWLjymM0 絹旗「まあ、そうですね。フレンダがやることに私たちだって超同意したのですから、
フレンダだけを責めるわけにはいかないでしょうね」
浜面「とりあえず、麦野のヤツがひょっこり戻ってくるかもしれないから、
誰かはここで待機してて欲しいんだが」
絹旗「じゃあ滝壺は体調良くなさそうだから超お留守番。
万一敵対勢力に滝壺が狙われた時のことも考えて、私もここに残る。
あなたはフレンダと一緒に麦野を探して」
浜面「まて、それで良いのか?麦野はあんなでもレベル5の『原子崩し』だぜ、
身の心配はないだろう。
それより、フレンダの交渉先に当たって薬の解毒剤を手に入れるのが先じゃないか?」
フレンダ「…ごめん、あの薬を受け取ったヤツは多分今日中には捕まらない。
明日の夜にまた会う約束があるけど、それより前にアポを取るのは正直厳しい」
滝壺「なら、なによりさきにむぎのの確保が最優先。
今のむぎのは精神的にかなり参ってる。
変なことに巻き込まれる前に、早く助けてあげないと」
浜面「そうだな、わかった。絹旗、滝壺のことよろしく頼む」
絹旗「超言われるまでもないです」
滝壺「はまづら、フレンダ。むぎののこと、おねがい」
66 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:40:03.30
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
麦野「…寒い」グスッ
麦野「辛い、悲しい、寂しい」
麦野「今から戻って謝ったら、みんな私のこと許してくれるかしら」
麦野「ううん、そんな訳ない。私のこと、嫌っているもの」
麦野「あそこから逃げ出してきたのだって、あのままいたらあの子たちに殺されるかもと思ったからだし」グスン
麦野「今更どこにも帰れない…」グスングスン
麦野「お願い、誰でもいいから私を助けて…」
不良A「もしもし、そこの綺麗なお姉ちゃん。良かったら僕たちと一緒にあそびませんか~?」
麦野「えっ」ビクッ
不良B 「さすがタクさん、すっげー美人見つけますね~。
どう、俺達と一緒に夜の街で遊び回らない!?
色々楽しいところ知ってるよ」
麦野「あの、私はちょっと」ドキドキ
不良A「遠慮しなくていいって。…どうせ、今暇しているんでしょ?
知っているんだから、お姉ちゃんのこと」
麦野「え、どうしてそんなこと」アセッ
不良A「やっぱそうか~。
お姉ちゃん、すっごい綺麗なのに男慣れしてないね~。
キツい見た目に似合わず、清純派なんだ」ニヤニヤ
不良B「ウシシシ。タクさんあんまり女の子イジメちゃだめですよ~。
…あ、それならひょっとして、お姉ちゃんまだおぼこちゃん?」ニヤニヤ
68 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:41:13.37
ID:hWLjymM0 麦野「………(昔の私なら、こんな下品なスキルアウト共、問答無用で一発でのしてたのに)」
麦野「(なんでだろう。破れかぶれになってるせいか、こいつらに引っ張られて遊びにいくのも悪くない気がする…)」
麦野「(こんな低俗なヤツらとなんて!…いや、こいつらにはしょーもない悪事繋がりとはいえ心を許せる友達がいる)」
麦野「(今まで気づけなかったけど、何にも持ってない私よりはよっぽど高次元の人間なのかしら…)」
麦野「(だったら…)」
麦野「ええ、そうなの。私、こんな引っ込み思案の性格のせいか、今まで誰とも付き合ったことすらないの。
…良かったら、私の初めてのお相手、お願いできないかしら」
不良B「………」
不良A「 ………こ、こいつは驚いた。はは、面白い姉ちゃんじゃねえか!
いいよ、俺が相手してやるよ!テクも経験もばっちりあるから、姉ちゃんは安心して俺に身を任せてりゃいい。
ベッドの上でひいひい言わせてやるよ」
不良B 「た、タクさん。独り占めはズルイすよ」ヒソヒソ
不良A「うるせえ、こんな上玉の初体験をテメェなんかに譲れるか、ボケがぁ!
ヤるなら俺の後にしろ」ヒソヒソ
麦野「………(これでよかったのかしら)」
不良A「じゃあ行こうか。ここからすぐ近くに、すげぇムードのあるホテルがあるんだ」
麦野「(どうせ後で何度も後悔するんでしょうね、でもそんなこと今はどうでもいい)」
不良B「おう、今夜は姉ちゃんにとって一生忘れられない日になるぜぇ」
麦野「(私みたいな人間のクズを、たとえ身体目当てでも想ってくれる人がいるなら、別に―――!)」
「―――そこのアンタたち。こんな時間に何してるのよ」
69 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:42:17.55
ID:hWLjymM0 何事かと不良二人が声のした方に振り向く前に、麦野沈利がその声の主に気づいたさらにその前。
一陣の雷撃が、不良二人の間にある僅かな空隙を引き裂いた。
不良B「ヒッ」ペタン
不良A「テメェ、何モンだ」
腰が抜けた不良Bを捨て置き、慌てて折りたたみナイフを手にした不良Aが見たのは、闇に紛れて黒く染まった一人の人間。
自分たちより一回りほど小柄なシルエット。
「人に名前を聞くときは自分から名乗るもんでしょ?
あんたたち、そんなことも学校で習わなかったの?」
ま、スキルアウトに名乗る名前なんかないけどね。
影の一点に小さな光球が出現する。それは次第に大きくなり、やがて影の顔を照らし―――
「これに懲りたら、危険な火遊びは止しなさいよ」
学園都市230万人中の第3位能力者、御坂美琴の不敵な笑顔が覗いた。
その事実を認識した瞬間、不良Aの意識は衝撃で吹き飛んだ。
70 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:44:16.26
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
「二人とも気を失っているだけだから心配要らないわ。
まああんたにとってこいつらの命なんてどうでもいいかもしれないけど」
「……………」
「まだだんまり?どっかの研究所で戦ってたときはあんなにギャアギャア吠えてたのに」
「……………」
「……………はぁ。まあそんなに何も喋りたくないというならわかったわよ。
お礼の一つも言わなくったって我慢してあげる。
ただ、一つだけ教えなさいよ。あんたなんだってあんなアブない奴らの誘いに乗ってたわけ?」
「……………」
「……………」
「…………み」
「み?」
「み、御坂さん」
「みさかさ…え?」
「御坂さん、本当に素敵な方なんですね。
一度はあなたを殺そうとした人にもそんなに優しくなれるなんて…
私も一応レベル5なのに、人間としての価値は満月とシデムシ。
御坂さん、もしよろしければ、私をあなたの弟子にしていただけませんか。
この通りです!」
「はぁぁぁぁぁっ!?ちょっ、こんな道端で土下座なんかやめなさいよっ!」
「そうですよね、やっぱり私なんか弟子にしたくないですよね…」シュン
「そ、そんなこと別に言ってないわよ…。
…ああもう、なんか色々複雑な事情があるみたいね。
ここまで来たら乗りかかった船だし、話してみなさいよ」
71 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:45:19.06
ID:hWLjymM0 「なるほどね…。要するに、麦野さんは今日突然、
レベル5兼組織のリーダーという肩書を取っ払った後に残る、麦野沈利という人間に自信をなくしてしまった。
元メンバーに詫びを入れまくって、挙句の果てには組織の脱退宣言して飛び出した。
絶望の挙句捨鉢になって、不良たちに身を任せようとした、と。
アンタ馬鹿じゃないの?」
「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない…」
「何度でも言うけど、あんたは馬鹿よ大馬鹿!
なんでそんなに後ろ向きの考え方しかできないのよ。
そりゃレベル5ってのは世間から見れば人間である以前に化物みたいな超能力者で、
人間扱いされないことだっていっぱいあるわよ。
でもね、あんたみたいのにも仲間や部下がいるんでしょ!?
なに、まさかソイツらもアンタを化物みたいな扱いしているわけ!?」
「そんなわけない…とは思うわよ。
ただやっぱり、私はみんなにとって、『レベル5の第4位』に過ぎないんじゃないかなー、って思うようになったの。
本当はみんなと仕事抜きで仲良くなりたいわよ。
でも、みんなの方が私と仲良くなりたいのかどうか、自信が持てなくて」イジイジ
72 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:46:41.62
ID:hWLjymM0 「あぁ~~~~、今日のアンタはホントイライラさせてくれるわね。
まあ前会った時も大概ウザかったけど。
ねえ、まさかとは思うけどあなた、
『私はレベル5のとっても強い女だとみんなに思われてるけど、
ホントはとってもか弱い乙女なの。
でも、ありのままのワタシを見てくれる人は誰もいない。
私ってとっても不幸せ~』
とかいう、頭がお花畑な思考しているんじゃない?
アンタは一人の化粧のケバイ女であると同時に、レベル5であり、どっかの組織のリーダーであり、
全部紛れもない本当の麦野沈利なのよ。
それなのに、『闇組織のリーダーというのは世を忍ぶ仮の姿で、ホントの私じゃない』
なんて、アンタの脳内でしか通用しない理屈じゃない。
特に仲間たちは『レベル5の麦野沈利』と一緒に仕事してるんだから、
ますアンタを『レベル5の人』と捉えるのは当たり前よ。
大事なのはそこから先。同僚である『レベル5の麦野沈利』を見て、
仲間が『この人と仲良くなりたいな』と思うかどうかじゃないの?
そしてそれはアンタの頑張り次第。
だからアンタも、こんな所でへこたれてないでもっとシャキッとしなさいよ!」
「は、はい!」
「……それに、アンタは少なくとも最低限は慕われているみたいじゃない。
そこにいるのはわかってるんだから、さっさと出て来なさいよ。
心配しないでも、別にとって食ったりしないから」
浜面「……バレてたか」
フレンダ「ヒィィッ、こ、殺されるゥゥッ!!」
73 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:48:46.28
ID:hWLjymM0 浜面「アンタ、俺たちのこと見逃していいのか?
うちらが大体どんなグループなのかはあんたも検討ついているんだろ?」
美琴「まあ確かにアンタたちは限りなくクロね。
けど、精神的にちょっとおかしいとは言え仮にもレベル5の一人と、
能力もわからない奴らを相手に不用意に喧嘩を挑むほど馬鹿じゃないつもり。
あんたは知らないけど、そっちの女二人には以前散々手こずらされたしね」
フレンダ「ま、まあ賢明な判断といったところなんじゃないかしらね!?(アブねー、あの時頑張っておいてよかったよ)」
美琴「それに、以前そっちの金髪に命の保証と引換に仲間の能力について話すよう脅したときも、
最後まで口を割らなかったしね。結構団結力のある組織みたいね」
フレンダ「あ、当たり前よ、仲間を売るなんてマネするわけないじゃない
(実際はあんたの電撃で痺れてしゃべれなかっただけなんだけどね。
おまけに第二位に脅されたときは喋っちゃったし)」
美琴「そんなわけで今日のところはお預け。でも次会う時は覚悟しなさいよ」
浜面「ああ、わかったよ。しかしアンタもなんだ。
話聞いてたけど、うちらのリーダーのこと結構気遣ってくれたんだ」
美琴「べ、別に気遣ってなんかいないわよ!!
ただ、同じレベル5として、それに一人の女として見てて腹ただしかったから、
ガツンと言ってやっただけ!!それ以上の意味なんてないんだから!!」
浜面「でも、うちのリーダーはそうは思っていないみたいだぜ?」
麦野「御坂さん…いえ、御坂『お姉様』のお陰で私、目を覚ましました。
今度お会いするときは、どこか二人っきりで、楽しくおしゃべりさせてくださいね。
良いお店を紹介しますわ」キラキラ
美琴「ま、まあ元気になったようで何よりだけど(なんだか戦闘意欲削がれるなあ)」
美琴「そうね、レベル5同士積もる話もあるだろうし。
次に会うときは敵味方に分かれていないよう祈ってるわ」
美琴「それじゃあ、またね」
74 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:50:34.99
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
浜面「…………行ったな」
フレンダ「何がまたどこかでよ、もう二度と会いたくないって。
緊張した~、死ぬかと思った~」ヘナヘナ
麦野「何を言ってるのよ、フ、フレンダ。
御坂お姉様に会いたくないなんて―――」
浜面「まあまあ、んなことで喧嘩すんな(学園都市第3位、御坂美琴。
話には聞いていたが、思ってたよりずっとマトモでいいヤツだったな)」
~~~~~~~~
ヒュゥゥ~
美琴「へっくし。うう、寒い」
美琴「(麦野さん、ガサツで自己中なオバサンみたいなイメージしか無かったけど、
意外と仲間に好かれているみたいじゃない)」
美琴「(アイツの幸せを願うなんてなんかしゃくだけど、上手く行けばいいわね)」
美琴「(しかし、あの歳で恋愛経験無いってのはヤバイわよね…私はあんな風にはならないようにしようっと)」
75 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:53:22.21
ID:hWLjymM0 ~~~~~~~~
浜面「と、言うわけだ。俺たちが余計なことしたばっかりに、麦野には辛い思いをさせてしまった」
フレンダ「麦野、本当にごめんなさい」
麦野「…もういいのよ。
みんなに威張ってばっかりだった元の自分には、良い薬になったと思うから。
解毒剤を飲んた後の私が、もし懲りずにあなたたちに威張り散らすようだったら、
またこの薬を飲ませちゃって構わないからね?」
フレンダ「それもどうかと思うけど」
麦野「浜面、今日は助けに来てくれてありがとね。
私、すっごく嬉しかった。これからはすっごく優しくしてあげるから」ニコッ
浜面「」ドキッ
フレンダ「あー、浜面ばかりずるい~、私にも優しくして~」ギュッ
麦野「はいはい、勿論よ」ナデナデ
浜面「さ、さてやっと隠れ家に着いた。
麦野、滝壷と絹旗の二人も反省してるから許してやってくれよな」
麦野「勿論よ」
浜面「そうか良かった、これでひとまず一件落着だな。
おーい、滝壷、絹旗~?」
滝壷「お帰りなさいませ、はまづらさま。
私みたいな女性的魅力に欠ける役たたずにも優しく声をかけてくださるなんて、はまづらさまの慈悲は海よりも深いんだね」
浜面「」
76 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:55:36.09
ID:hWLjymM0 滝壷「すぐ体を悪くして、戦闘員として頭数にも入らないグズでノロマな私と今まで口を聞いてくれて本当にありがとう。
でもよく考えたら、あなたたちと同じ空気を吸っている事自体が犯罪だとついさっき気づいた。
今首を吊るためのロープを見つけてきたから、もうちょっとだけ呼吸するのを許して」
浜面「だぁぁぁっ、何を言ってやがる!?絹旗、これは一体どういうことだよ!?」
絹旗「ちょ、超申し訳ありません!これは全て私の責任です!
大体、私みたいな幼児体型の超お馬鹿なお子ちゃまが、
浜面様たちのような超素晴らしい方々と一緒にいるのが超間違いだったことに気づいたんです。
ですからお願いします、私の体を超好きなだけ弄んで構わないので、どうか許してください!」
浜面「な、なんだよこれっ!まさか…」
フレンダ「浜面~、うちらが乾杯した時のグラスが二人分空になってる…
多分、二人はうっかりジュースに薬を仕込んだことを忘れて飲んじゃったんじゃないかなー」
浜面「なんでお前はそんなに人事なんだよ!?」
フレンダ「いや~、なんかもう、ここまで来たんなら私と浜面で『アイテム』乗っ取らない?
多分今の麦野と滝壷と絹旗なら、私たちが頼めば結局どんなことでも喜んでやってくれるんじゃないかな~?
…こほん、浜面。
今初めて明かすけどね。ここまでの展開、すべて私の計画通りなんだよ…!」
浜面「嘘つけぇ!」
おしまい
77 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/04(日) 23:57:43.27 ID:oNjnuXo0
乙!これどう収拾つけるんだよwww79 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/05(月) 00:01:34.61 ID:8pv6zcDO
乙!
どうでもいいがフレンダは俺の嫁80 :
貼り忘れてたおまけ、美琴の帰り道2010/07/05(月) 00:02:39.22
ID:fOfyVD20貼り忘れてたおまけ、美琴の帰り道
美琴「(しかしまあ、今日はアイツらの前でちょっと格好つけすぎたわね)」
美琴「(しかも説教臭かったし)」
美琴「(これはもしかしなくてもアイツの影響ね)」
美琴「(麦野沈利を見てなんか無性にイライラしてたのも)」
美琴「(なんか自信なさ気にオドオドしてるところが、アイツと被ってたせいかも)」
美琴「(アイツも、もっと自分に自信を持ったらさらにカッコよくなるのになあ…)」
美琴「って、あああああアタシってばなんて恥ずかしいこと考えてるのよ!!??」
美琴「でも、自信満々な当麻って、やっぱり素敵かも…」ポワァァン
上条『美琴、お前だけを愛してる。この気持ち、誰にも邪魔はさせない』キリッ
美琴『ふ、ふ~ん。でも、言葉だけなら何とでも言えるわよね。
私に認めて欲しかったら、態度で表してもらわないと…って、きゃっ!!』ギュゥッ
上条『これでいいか?俺はもう、お前しか見えないんだよ…!』キリッ
美琴「しょしょしょしょ、しょうがないわね~~~~!!?
アンタがそんなにど~~してもって言うなら、私は別にアンタのことなんかど~~だっていいんだけど、
エヘヘへへへ、プロポーズOKしても構わないわよ!!??
勘違いしないでよね、別にアンタのことが大好きだってわけじゃないんだからね、そこのところ」
寮監「何気持ち悪い独り言をつぶやいている、御坂。門限に30分遅刻だ。
覚悟は出来ているんだろうな?」
美琴「」
83 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/05(月) 00:08:40.60 ID:okcq4S2o
おまけワロタww
GJ!!82 :
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/05(月) 00:06:47.00 ID:riiADGwo
元から卑屈な浜面が飲んだら洒落にならなそうだなww
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