上条「バレンタインをぶっ飛ばせ!」

2011-03-14 (月) 12:17  禁書目録SS   0コメント  
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〈リア充〉幻想―真実があるということの思い込み

まとめ依頼より、まとめさせてもらいました。ありがとです!

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:04:43.28 ID:IvKslDLro

・スレタイ通り今更ネタ

・キャラ崩壊あり

・たぶんほのぼの

・特定カップリングのエンディングなし



2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:05:26.46 ID:IvKslDLro

青髪 「今日集まってもらった理由は分かってもらえてると思うんやけど、もう一回説明するわ」

上条 「土御門、マリオカートやろうぜ、マリオカート」

土御門「……カミやん、バイクしか使わないしにゃー」

上条 「いや、おまえらだってそうだろ? いいじゃん、マリオカート」

青髪 「きたる十四日! 二月の十四日の月曜日! 何の日かは言わずもがなって感じやけど……」

上条 「じゃあスマブラやろう。デラックスの方」

土御門「何で今更ゲームキューブの方なんだにゃー?」

上条 「俺、未だにジャンプの浮翌遊してる感じに慣れないんだよなぁ……」

青髪 「聞けや君たち」



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:05:56.98 ID:IvKslDLro

上条 「さっきから何だよ、青髪。二月十四日二月十四日って、そんなに二月十四日が大事かよ」

土御門「最近、耳にする回数が多すぎて、来てもいない二月十四日に食傷気味だぜい」

青髪 「……君らね、もうこういうやりとりするのも飽き飽きって感じやけど、二月十四日が何の日か知らないわけやないでしょ?」

上条 「グラハム・ベルが電話の特許を申請した日だろ? 『ワトソン君、用事がある。ちょっと来てくれたまえ』の人」

土御門「『夕焼け小焼け』を作曲した草川信の誕生日かにゃー」

上条 「夕焼ーけ小焼ーけーの、って奴?」

土御門「いんや。そっちは赤とんぼだぜい」

青髪 「ええねんそういうの……。
    そういう『二月十四日って何の日?』って聞かれたときに核心から話題を逸らす為に用意しておいた答えはええねん……」



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:06:23.10 ID:IvKslDLro

上条 「……言えよ。聞いてやるよ。
    ただ覚えておけよ青髪、それを言ったが最後、おまえの心も自分の言葉によって深く抉られるって事を……!」

青髪 「え、なに? そんなシリアスになるようなタイミング? ここ」

土御門「どっちも大袈裟だにゃー。たかだかバレンタインくらいで」

青髪 「え、話題避けた割に、あっさり言うてまうん?」

上条 「……ぐ、グググ、ぐォおオぉォ……ばれン……たいン……!」

青髪 「カミやんはカミやんで、何で呻いとるん……?」

土御門「バレンタインなんて、所詮チョコレート業界の策略だにゃー」

青髪 「本当は欲しいのにもらえない男子の定番の言い訳やないのそれ……」



5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:06:49.39 ID:IvKslDLro

上条 「や、やめろよ! 男三人でバレンタイン前に集まって、チョコだとか何だとかそういう話しなくたっていいじゃねえか!」

青髪 「いや、まだ何も言うてないんやけど」

土御門「つってもにゃー。もらえないことが確定してると、イベント意識なんて逆に薄れちまうもんだぜい」

上条 「もらえないって言うな!」

青髪 「まあ、そんで、三日後に迫る十四日に向けて対策を取るために集まってもらったわけなんやけど……」

上条 「対策?」

土御門「対策……かにゃー?」

青髪 「そ、対策。男として生まれたからにはバレンタインがドキドキとワクワクと絶望の日なのは確定事項や」

上条 「……絶望って言うな、ホントに」

青髪 「すまんカミやん。話進まんから、ちょっちガマンしてな」



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:07:15.55 ID:IvKslDLro

青髪 「それで、や。バレンタイン。ギャルゲーで一月か二月から物語が始まったら、確実にイベント起こる日やで」

上条 「こういう場合はギャルゲー脳って言うのか? 現実とごっちゃにするんじゃねえよ。何もないよ。ただの平日だよ」

土御門「なんつーか、カミやんはもうちょっと期待してもいいと思うんだけどにゃー」

上条 「ねえよ……なんだかんだでガックリ肩を落として家に帰ることになるんだよ。期待させんな土御門」

青髪 「カミやんが言った通り、今年のバレンタインは月曜、平日やね」

上条 「それが?」

青髪 「バレンタインが日曜だったりすると、結構めんどくさいわけですよ、予想が。
    でも今年は月曜やから、その日に起こることが集中することが分かる。
    日曜だと、当日のみならず、その前の金曜と次の月曜も含めて、計四日やから……」

土御門「計四日、期待しては裏切られ、を繰り返すはめになるってわけだにゃー」

上条 「一日で済む今年はだいぶ楽ってことだな……気分的に」



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:07:41.37 ID:IvKslDLro

青髪 「バレンタイン……この時期、憂鬱やねん。いや、いいのよ、どうせもらえないし、もらえても義理やから」

上条 「まぁ、そう……かな」

土御門「でも、十四日が近くなると、男子と女子の間に見えざる壁が出来るぜよ。男子も女子もソワソワしはじめるし」

青髪 「そう! 特に男子! 頼むから廊下に出るのはやめろや! 教室に居づらいねん!」

上条 「ああ、まぁ、それはあるよなぁ……」

土御門「……カミやん、さっきから反応が他人事みたいだにゃー」

上条 「えっ。あ、いや。どうせもらったこともないはずだし、他人事みたいなもんだろ、実際」

青髪 「……『はず』?」

上条 「いや、ホント何でもないから。大丈夫、続けて」



8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:08:07.19 ID:IvKslDLro

青髪 「それで、一応、一応な。聞いとこう思うんやけど、君らふたり、チョコをもらえるアテは?」

上条 「…………」

土御門「どんなんだにゃー? カミやん」

上条 「お、俺?」

青髪 「他に誰がおるねん」

上条 「……俺は別に……」

上条 (禁書目録には期待できないだろうし……かと言って他にくれそうなアテもないし……)

上条 (小萌先生が義理でチロルチョコくれるかもってくらいかなぁ……そのときはみんなにだろうけど)

上条 「……うん。ないな」

青髪 「えっ」

上条 「えっ」



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:08:59.78 ID:IvKslDLro

青髪 「……ないん?」

上条 「いや、ないよ。ホントに」

土御門「……にゃー」

青髪 「……なんか怪しい自己申告やけど、まぁおいとこか。つっちーはどうなん?」

土御門「義妹」

上条 「オーケイ、てめえは俺を怒らせた」

土御門「――からはもらえないんだにゃー。残念ながら」

上条 「えっ」

青髪 「え、なんで?」



10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:09:25.96 ID:IvKslDLro

土御門「……いや、舞夏の奴、今年はなんだか張り切ってたんだにゃー。「どんなのがいい?」とか聞いてくるくらい。
    受け取る側にそんなの聞くなって言ったんだが、妙にひとりで盛り上がってたんだにゃー」

青髪 「……それで?」

土御門「そしたらな、カミやんにも渡すとかいいはじめたんだ」

上条 「は」

青髪 「……ん?」

土御門「……にゃー」

青髪 「……カミやん」

上条 「は、はい?」

青髪 「さっそくカミやんの自己申告の誤りが発覚したわけなんやけど」

上条 「ちょ、待て! ひとまず土御門の話の続きを聞こう!」



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:09:52.40 ID:IvKslDLro

土御門「カミやんに渡すっていうんだぜい? 何で? って聞いたら、「なんとなく」って」

土御門「……なんとなくってなんだって言うんだにゃー」

上条 (……なんか怖え……)

土御門「気合入ってたし、楽しそうだったし、別にいいかとも思ったんだが、
    カミやんに渡すのを考えてウキウキしてるんだと思うと……」

土御門「……殺してえ、と……」

青髪 「いや、怖すぎですよつっちー」

土御門「だから、「カミやんに渡すのはやめとけ」って言ったんだにゃー」

上条 「おい、オイ待て土御門、テメエなんてことしてくれてやがる」

土御門「テメエこそなに人の義妹たぶらかしてんだにゃー! 万死に値する!」

青髪 「いや、ええねん。とりあえず落ち着けや君たち。つっちー、続けて」



12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:10:19.15 ID:IvKslDLro

土御門「そしたらめちゃくちゃ嫌な顔されて、それでも頼み込んでみたんだにゃー。カミやんにチョコはやめるんだーって」

上条 「……おまえと俺は相容れない関係なのかもな」

土御門「そんで、なんやかんやでカミやんにチョコを渡すのを阻止できたんだが、その影響で俺の分のチョコもナシにされ……」

青髪 「……得るものは何もない戦いやったんやね」

土御門「いやもうホントに」

上条 「……なんてことしやがる……チョコが……」

土御門「……俺もつらかったんだにゃー」

上条 「いや、そもそもおまえが余計なこと言わなきゃどっちも幸せだったろうが!」

土御門「男には、それでもやらなければならない瞬間ってものがあるんだぜい」

上条 「そういうキメっぽいセリフ吐くタイミングじゃないから、今」



13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:10:45.79 ID:IvKslDLro

青髪 「……まぁ、ふたりともチョコもらう予定はないんやね」

土御門「未知の女性から告白を受ける可能性は、十四日が過ぎるまで消えないにゃー!」

上条 「……十四日の記憶を失ってしまうというのはどうだろう。
    そうすればチョコをもらった可能性ともらわなかった可能性は量子論的には同時に存在できる……」

青髪「エセシュレディンガーの話はええから。絶対間違おとるし。とにかく、まぁボクら三人、非モテってことなんやけど」

上条 「や、やめろ! 明確な言葉にするのはやめてくれ……!」

土御門「俺は舞夏さえいればそれでいいにゃー」

青髪 「まぁ、義妹がいても非モテは非モテやね」

土御門「……」イラッ



14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:11:11.94 ID:IvKslDLro

上条 「それで、青髪。結局おまえは何が言いたいんだよ」

青髪 「……ボクな、思うねん」

青髪 「『男』という字と……『恋』と言う字ほど不似合いな字はないって……」

土御門「…………」

上条 「…………」

上条 「……え、それが何?」

青髪 「あ、あれっ? 不似合いですよねっ?」

上条 「……いや、まぁ……」

青髪 「あれ? 何この空気! 反応薄ッ!」



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:11:38.90 ID:IvKslDLro

上条 「まぁ、確かに不似合いっつーか……気持ち悪い感じはするな。「男」と「恋」」

土御門「でも、それがなんだっていうんだにゃー?」

青髪 「な、なんだもなにもないでしょう! バレンタインだのなんだのにうつつを抜かす男なんて気持ち悪いじゃないですか!」

上条 「……なんか敬語になってる」

土御門「イントネーションは関西弁のままなのが不思議なところだぜい」

上条 「……まぁ、恋だの何だの言ってる男は気持ち悪い……かも知れない」

青髪 「ですよね?! ボク間違ってないですよね!?」

土御門「いや、だから、それがなんだっていうんだにゃー」



16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:12:05.50 ID:IvKslDLro

青髪 「つまりボクが言いたいのはね……バレンタインは悪しき慣習だってことなんですよ!」

土御門「……悪しき慣習」

上条 「……たとえそうでも、チョコもらえれば嬉しいと思うけどな」

青髪 「待ってカミやん、それは正しいけどひとまずおいといてや! 話進まんから!」

上条 「わ、悪い……」

土御門「悪しき慣習、かにゃー」

青髪 「そう、悪しき慣習。バレンタインなんておかしい。外国の文化。日本文化に誇りを持ちましょう」

土御門「……女性が男性に想いを伝える為にチョコを渡す文化は、日本が発祥だった気が」

青髪 「気のせい! 気のせいですよ土御門くん!」



17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:12:32.52 ID:IvKslDLro

青髪 「このまま三日後を迎えれば、朝さんざん期待しても一日の終わりに待つのは間違いなく落胆と絶望と男泣き!」

青髪 「いやでしょそんなん! 悲しいし悔しいでしょ!」

土御門「……うーん」

上条 「……チョコ、かぁ……」

青髪 「それでね、考えたわけですボクは」

上条 「……? 何を?」

青髪 「『バレンタインをぶっ飛ばせ!』や!」

上条 「……バレンタインをぶっ飛ばせ?」



18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:12:58.51 ID:IvKslDLro

土御門「色恋に溺れる男の気持ち悪さは認めるにゃーが……人様の恋路を邪魔するのは……」

上条 「正直、近頃の妙にソワソワしている女子の姿を見るだけでほほえましい気持ちになるから別にいいんだが」

土御門「ああ、あのチラチラって男子を気に掛ける感じな。あれはいいものだぜい」

青髪 「……キミらは何を言うとるねん」

上条 「って言っても、別に……なあ?」

土御門「もらえないならもらえないで仕方ないにゃー。諦めて寂しく過ごすのもまた一興」

青髪 「何日和っとんねん! ええから話進めんで!」

上条 「ああ、うん。つか、マリオカートやりたい。一人でやってていい?」

青髪 「あとで相手したげるから! 今は話聞いて! お願い!」



19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:13:24.99 ID:IvKslDLro

青髪 「とにかく! 『バレンタインをぶっ飛ばせ!』プロジェクトに参加してもらいます! ふたりには!」

上条 「……え、一人でやれよ」

土御門「……正直、巻き込まれるのは遠慮したいぜよ」

青髪 「え、なんで?! 何でよ、二人ともこういうイベント好きやん! 悪戯とか超好きでしょ!」

上条 「……まぁ、いいや。内容聞いてから決めるから、具体的な内容言ってみろよ」

青髪 「……参加するって言うてくれんなら説明しない」

上条 「そっか。土御門、マリオカートしようぜ!」

土御門「俺はスマブラがいいにゃー」

上条 「俺のメタナイトが火を噴くぜ……!」

土御門「……カミやん、メタナイトかよ……」

青髪 「ごめんなさい説明するから聞いてくださいホントお願いします!」



20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:13:51.31 ID:IvKslDLro

青髪 「具体的に説明するけどな」

上条 「うん」

土御門「そうだにゃー。どんなことするかにもよるんだぜい、協力するかどうかは」

青髪 「実は、何も決まってないんですよ」

上条 「は?」

土御門「カミやん、このセーブデータ、トゥーンリンクが出てないんだが……」

上条 「えっ、何でだよ! おい青髪! 全キャラ出そうぜそこは!」

青髪 「ええ、ちょっとまってちょっとまって、何でボク怒られとるん?」



21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:14:17.28 ID:IvKslDLro

上条 「で、何も決まってないってなんだよ。計画とか言っといて」

青髪 「いや、だからね、二人のお知恵を拝借しようかなぁ、なんて」

土御門「バレンタインをぶっ飛ばす手伝いかにゃー?」

上条 「人様にいやがらせみたいなことするのはなぁ……」

青髪 「いや、ええねん、いやがらせはしなくて。ただ、バレンタインの、
    むなしさというか寂しさというか人恋しさというか、そういうものをぶっ飛ばしたいわけですよ。
    それができればなんでもええよ。男三人でボーリング行くだけでもいいよ」

土御門「……それは家に帰ってからむなしくなりそうだ」

上条 「バレンタインなのにな……」

青髪 「いや、ボーリングはたとえですよ。他になんか良い案あればそれしましょうってことで」



22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:14:49.54 ID:IvKslDLro

上条 「……つってもなぁ……」

土御門「バレンタインをぶっ飛ばす、というのも微妙な話だにゃー」

青髪 「あ、そうそう。二人、森見登美彦って作家さんの、『太陽の塔』って小説知らん?」

上条 「知ってるも何も、おまえが熱心に進めてきたんだろ。ちゃんと読んだよ」

青髪 「あれの「ええじゃないか騒動」みたいなことやりたいわけ」

上条 「……「ええじゃないか騒動」」

青髪 「そう! あのバカ騒ぎする奴!」

土御門「現実でやろうとしても、「ハア?」って言われて終わりそうなアレか……」

青髪 「うん。風紀委員か警備員に突き出されて終わりそうなアレな。いや、アレみたいなのなら何でもええねん」

上条 「おまえのオーダーは少し抽象的過ぎるな……」



23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:15:15.45 ID:IvKslDLro

上条 「とりあえず、学校サボってナンパとか?」

青髪 「カミやん、あのね、学園都市ですよ。学校行ってますよみんな。誰をナンパするのよ」

土御門「そもそもこの時期に女だけで歩いている集団っていうのも少ないと思うぜい?」

上条 「クラスの女子にねだってみるとか。同情されればひとつくらいもらえそうな気がしないか?」

土御門「……それは、すごく悲しそうだにゃー……」

上条 「小萌先生に土下座すれば……たぶん」

青髪 「それはまぁ、実際に試してみるとして、他にもうちょっと盛り上がりそうな案が欲しいね」

土御門「ていうか、さっきからカミやんが挙げてる案だと、全然バレンタインをぶっ飛ばせてないわけだが」

上条 「じゃあおまえらもなんか言えよ! なんで俺だけが案出してるんだよ!」



24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:15:41.76 ID:IvKslDLro

青髪 「もっとこう……バレンタインの概念を根底から覆すような……
    雰囲気をぶちこわしながら、バレンタインにそぐわないというわけではない感じの……」

土御門「間接的に恋する乙女の勇気を萎ませてしまいそうで怖いぜよ……」

上条 「パーティーでも開けば? 夜にみんなで集まって。二人きりにならなけりゃそういうことも起きないだろ」

青髪 「いいセンいってるんやけど、三日後やし、人集まらんでしょう」

上条 「じゃあどうすんだよ。みんなにチロルチョコでも配るか?」

青髪 「……え、なんで?」

上条 「いや、そういうお祭りっぽい雰囲気にすれば、みんなシリアスにチョコの受け渡しとかしなくなりそうじゃね?」

青髪 「……案その一、やね」



25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:16:08.29 ID:IvKslDLro

上条 「さっきから挙げてるの俺だけじゃねえか。土御門、なんかないの?」

土御門「そうだにゃー……。というか、他の人間のことはともかく、青髪のバレンタインをぶっ飛ばせばいいわけだよな?」

青髪 「……まぁ、そうやね。視界に入らなければ……」

上条 「難儀な奴だなぁ……。つか、喉乾いた。何か飲み物ない?」

青髪 「カミやんカミやん、空気読んで。あとでコンビニ行こう、後でな」

土御門「じゃあ、合コン、かにゃー」

青髪 「……相手は?」

上条 「ダメだろ、土御門。恋と男という字は不似合いだって、さんざん本人が言ってたじゃないか。恋愛系は省くべきだよ」

土御門「それもそうか」

青髪 「……え、いや別に、恋をするのが悪いとかそういうアレではなくて」

上条 「他になんかないかなぁ……」

青髪 「……」



26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:16:34.57 ID:IvKslDLro

青髪 「か、カミやん。ブレインストーミングって知ってる?」

上条 「……なにそれ」

青髪 「どっかの誰かが言ってたんやけどね、
   「判断・結論をすぐに出さない」「どんな案でも利用できないか考える」
   「様々な角度から多くのアイディアを出す、内容の質よりも量を優先する」
   「様々なアイディアを結合・発展させる」っていう会議における四原則っていうのがあるんよ」

土御門「つまり……?」

青髪 「ボクは確かに、恋と男という字は不似合いだと思う。けど、そのせいで発想を縛られるのはよくない。
    合コン、という発想はたしかに男らしくないけど、その発想は何かに使えるかも知れない。
    つまり合コンというアイディアを捨ててしまうのはあまりにもったいないとボクは思うんや!」

上条 「え、なに、合コンしたいの?」

青髪 「そんなことはまったくこれっぽっちもいってまへんがな!」

土御門(……関西弁、崩れはじめたにゃー)

上条 「まぁそもそも相手がいないんだけどな」



27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:17:00.65 ID:IvKslDLro

上条 「んー。どう転んでもパーティーでも開く以外に解決策が浮かばないなぁ」

土御門「……もし、みんなで集まってパーティーすることになって、舞夏も参加するとしたら、チョコ食べられるかにゃー?」

上条 「アイツ、マメだし、みんなが食べれるように準備するんじゃね?」

土御門「パーティー、アリだぜい」

上条 「いや、おまえ以外の人も食べれるってことなんだけど、分かってるか?」

土御門「別にかまわない。カミやんさえ食べなければ、オレとしては何も問題ないぜよ」

上条 「何でだよ!」

土御門「あのなぁカミやん! ウチの義妹がだぞ!? 二週間も前から「どんなチョコにするかなー」とか考えてたんだよ!
    誰にあげるんだって言ったらカミやんだぞ!? ソワソワして妙に落ち着きがなくて妙に幸せそうで、
    ふっと耳を澄ませたら「どんな顔するかなぁー」とか言ってるんだよ! 
    人の義妹たぶらかすのもいい加減にしろよ……!」

上条 「まったく、これっぽっちも、心当たりがないんですが……っ!」

青髪 「あの、もしもーし? おふたりさーん?」



28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:17:33.14 ID:IvKslDLro

青髪 「まぁ、パーティーってことで進めていいん? 独り者多いし、不可能ではないと思うけど」

上条 「会費は?」

土御門「えっ」

上条 「いや、会費。どうすんの、会費。大事だよ、金の話は」

土御門「……うわあ」

青髪 「場所とか時間とかよりも先に金のこと気に掛けるって……カミやん、さすがにそれはないわ」

土御門「そういうのも混ぜて、具体化していくぜよ。でも一番の問題は、今日が金曜日の放課後ってことだにゃー」

青髪 「土日挟んで当日やもんね。いきなりじゃ、みんな予定入れてそうや」

上条 「みんな寮暮らしだし、大丈夫っちゃ大丈夫だと思うけど、一応、当たれるところにメールしとくか」



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:17:59.65 ID:IvKslDLro

青髪 「それよりも先に、場所と時間を決めとかなね。
    やることは、まぁ、食べ物と飲み物用意してバカ騒ぎするだけでええと思うけど」

土御門「……場所。何人くらい呼ぶかにもよるけど、ウチとかカミやんの部屋じゃあ狭いよな……」

青髪 「そういうツテないん? ふたりとも」

上条 「どれくらいの人数になるかにもよるよな。数人なら俺や土御門の部屋でも大丈夫だけど、十数人となると難しい」

青髪 「ちょっと整理してみよか」

上条 「……えーっと。ウチの禁書目録は確実に参加だな。
    たぶん、スフィンクスも連れて行きたがるから、ペット可のところじゃないと……」

土御門「寮もペット禁止だけどにゃー。舞夏もたぶん、呼べば面白がって参加する」

青髪 「クラスメイトたちも大事ですよね。……うん。何人か呼ぶとして」

上条 「それだけでも十人近くなるな。いっそ、知り合い全員呼べばいいんじゃない?」

青髪 「多くなりすぎるのはちょっとアレやし……。知らない人ばっかりになるのもなんかなぁ」

上条 「じゃあ、ステイルや神裂たちはナシ、と……」

土御門「その二人を呼ぼうという発想がすごいにゃー、カミやん」



30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:18:25.40 ID:IvKslDLro

青髪 「パーティーなら、女の子は大事やね。カミやん、知り合いで暇な子いないん?」

上条 「……アテがないではないが、連絡先が分からない」

土御門「使えないにゃー」

上条 「……」イラッ

上条 「つか、最初の趣旨とずれてきてるな。実はバカ騒ぎできれば何でもいいんだろ」

青髪 「てへっ」

上条 「……はあ。まぁ、分かったよ。一応当たってみる。できる限りな」



31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 08:19:18.17 ID:IvKslDLro
投下終わり
書きためしてくる


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 09:18:34.82 ID:+8ASbEu00
上条メタ厨かよ

俺もだけど



34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 12:03:38.03 ID:VRBEmoIAO
メタのB連打が果てしなくウザい


35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 13:20:20.10 ID:DUVg5KyAO

ところで、バレンタインってなに?



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 13:36:22.73 ID:9s6252DQ0
>>35
学園都市特有のお祭り、大覇星祭とか




40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:34:33.16 ID:IvKslDLro

 ◆小萌宅


禁書 「今日集まってもらった理由は言わなくても分かると思うんだけど、一応もう一度説明しておくんだよ」

姫神 「ぱちぱち」

禁書 「たくさんの拍手ありがとう! 今日の議題は三日後に迫るバレンタインのこと。つまり、チョコの話だね」

小萌 「……何でウチに集まることになったのかが疑問なのですが……」

禁書 「だってとうまのお部屋で相談してたらバレちゃうもん。こういうのはサプライズが重要だよね!」

姫神 「サプライズは。確かに重要」

禁書 「きたる月曜! 乙女にとっての戦場であるところのバレンタインの日!」

禁書 「イギリスと日本ではバレンタインの形式もちょっと違うけど、郷に入りてはってことわざもあるしたぶん大丈夫!」

姫神 「そうなの?」

禁書 「ちょっとくらい間違ったってみんな見逃してくれるんだよ!」

姫神 「それで。いったい今日は何を話せば?」



41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:35:04.90 ID:IvKslDLro

禁書 「バレンタインは秘めた想いを伝える日……日本では女性が男性に向けてチョコを渡すことで想いを告白するという!」

禁書 「ここで言う「想い」は何も恋心とかに限定されていないわけであって。感謝でも何でも、とりあえずはいいんだよね?」

小萌 「まぁ、そうですね。一般では恋愛事のイベントとして取られることが多いと思いますけど」

禁書 「そこで、私、禁書目録は考えました。とうまにチョコを渡して驚かせてやろう、と!」

姫神 「え。驚かせる必要はどこに……?」

禁書 「肝心なのはサプライズ、なんだよ、あいさ!」

禁書 「ちなみにイギリスでは、バレンタインには名前を明かさずに贈り物をするわけだけど、
    日本でそんなことやったらたちまち御用だよね」

小萌 「……まぁ、確かに。バレンタインだからと言って不審物を見逃す人はいませんよね……」

禁書 「まぁ、ともあれ、日本のバレンタインの話をするよ」



42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:35:33.16 ID:IvKslDLro

姫神 「チョコを思い人に渡す。手作りが望ましい」

禁書 「あいさ、良いこと言った! 私が言いたいのはまさにそこなんだよ!」

禁書 「とうまは最近、私が年がら年中寝転んでばかりのぐうたらシスターだと思ってる節があるんだよ」

小萌 (……違ったんですか、というのはさすがに失礼ですよね……)

禁書 「だから、とうまを見返してやるためにも、ここはひとつ、
    それこそほっぺが物理的に落ちるくらい美味しいチョコを作ってあげようと思うの!」

姫神 「物理的には。さすがにまずいと思う」

小萌 「つまり、シスターちゃんが手作りチョコを上条ちゃんにプレゼントですかー?」

禁書 「そう。私だってやればできるってところをちゃんと見せてあげないとね!」



43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:36:11.48 ID:IvKslDLro

小萌 「どうしてそれが、私の部屋に集まって内緒のお話をすることに繋がるんです?」

禁書 「あ、いやそれは……」

姫神 「……」

禁書 「……チョコレートとか、作ったことないから、教えてもらえないかなあって……」カァァァ

小萌 「……健気ですね、シスターちゃん」

禁書 「そ、そんなんじゃないんだよ!」

小萌 「大丈夫! 私が手伝います! 必ずシスターちゃんが美味しいチョコを作れるように協力するのです!」

姫神 「せんせ。私も」

小萌 「大船に乗った気でいてください!」

禁書 「なにはともあれ、心強いんだよ!」



44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:36:37.43 ID:IvKslDLro

小萌 「それで、シスターちゃん。どういうチョコを作るつもりだったんですか?」

禁書 「……えっと。そういうのも、よく分からなくて。
    あんまり簡単なのもいやだけど、手の込んだものを作ろうとして失敗するのもちょっと……」

姫神 「私。ちょうどバレンタインのチョコレート特集されてる雑誌を持ってる」

小萌 「ナイスなのです! それを見てみましょう!」

禁書 「……ど、どれも美味しそうなんだけど」

小萌 「シスターちゃんシスターちゃん? 自分で食べるわけではないのですよー?」

禁書 「わ、分かってるけど……味見する機会だってあるはずなんだよ……どうせなら、味見が楽しくなるようなのを……」

小萌 「ち、違うのですシスターちゃん! 優先するべきなのは上条ちゃんの好みなのですよー!」

禁書 「と、とうまなら、どんなチョコでも喜んでくれそうな気が……!」

小萌 「それは受け取る側が言うべきことであって、渡す側が言い訳に使っていい言葉じゃないのですー!」



45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:37:03.70 ID:IvKslDLro

小萌 「チョコチップケーキ、ガトーショコラ、トリュフチョコ……男の子ですし、あんまり甘すぎない方がいいんですかねー?」

禁書 「そういえば私、とうまの味の好みって、あんまり知らないかも……」

姫神 「……リサーチ不足」

小萌 「だ、大丈夫なのです! 甘いのが苦手でも苦いのが苦手でも、大丈夫そうなのを選べば……!」

禁書 「そんなのあるの?」

小萌 「……ないんですかね、やっぱり」

姫神 「ないことはないような。でも。咄嗟には思いつかない」

小萌 「……直接訊いてみるわけにもいきませんし、味を何種類かに分けるしかないのです」

禁書 「ううん、直接訊いてみればいいんだよ!」

小萌 「えっ」



46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:37:34.52 ID:IvKslDLro

禁書 「私がとうまに、「とうま、チョコレートはどんな味が好き?」って訊いてみるじゃない?」

小萌 「で、でもでも。そうすると、チョコを渡そうとしてるのがばれちゃうのです。サプライズはどこに行っちゃったのですか?」

禁書 「こもえ、そこが盲点なんだよ。期待させておいて、当日になっても何事もないような振りをして生活するんだよ」

禁書 「そうなるととうまは、「あ、あれ? やっぱりないの……?」と思うはず!」

姫神 「……なるほど。そして落胆しているところに」

禁書 「そう! 二重でサプライズなんだよ!」

小萌 「どのあたりが二重になってるかは分かりませんけど……上げて下げて上げるという発想は悪くないのです」

禁書 「というわけで、さっそく電話してみよう! こもえ、電話借りるんだよ!」

小萌 「あ、はいなのです」



47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:38:00.90 ID:IvKslDLro

禁書 「……も、もしもし! 禁書目録ですけれども……ッ!」

小萌 「……すごく緊張してますねー」

姫神 「……」

禁書 「と、とうまー? あ、れ?」

小萌 「……?」

禁書 「……留守電なんだよ」

姫神 「え」

小萌 「け、携帯の方は……」

禁書 「かけてみる!」



48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:38:27.26 ID:IvKslDLro

禁書 「も、もしもし! とうま?」

禁書 「あ、え、ええと……」

禁書 「……うぅ……顔を見ないで話すのは未だに慣れない……」

禁書 「あ、そ、それでね、とうま。とうまって、甘いの苦手?」

禁書 「じゃあ、チョコレートは?」

禁書 「そ、そっか。分かったんだよ!」

姫神 「…………」

小萌 「…………」

禁書 「それじゃあ……え?」

小萌 「……?」



49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:38:53.90 ID:IvKslDLro

禁書 「あ、うん。分かった。ばいばい、とうま」

小萌 「……終わりましたね」

禁書 「寿命が縮むかと思ったんだよ……」

姫神 「口では。余裕そうなことを言ってたのに」

禁書 「口で言うのと実際にやるのは全然ちがう! ほんとにつかれた……」

小萌 「それで、上条ちゃんの好みは?」

禁書 「あ、えっと。どんなものでも大丈夫だって。甘いのも別に、苦手とかじゃないみたい」

小萌 「ですかー。じゃあとりあえず、適当なものを選んで作ってみます?」

禁書 「うん!」



50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:39:36.54 ID:IvKslDLro

禁書 「……トリュフ。材料のとこにお酒が入ってるんだけど……」

姫神 「気持ち程度入れるなら。問題なさそうだけど」

禁書 「で、でも、こういうのに使うお酒って高そうだし……!」

小萌 「でも、大抵のには入ってますね。ラム酒とかブランデーとか」

禁書 「……変に気取ってお酒とか入れない方がいいんじゃないのかなぁ。癖が強くなりそうな気がするんだけど」

小萌 「まぁ、お酒は入れても入れなくてもかまわないでしょう。
    むしろ、ウチのキッチンで作れるかどうかも考えなきゃいけないですねー」

禁書 「そ、そういう問題もあるんだね……!」

小萌 「あるのです。いろいろ、考えなきゃならないことは山積みなのですよー。材料費とかね?」

禁書 「……!」

姫神 「……まさか。お金。ないんじゃ」

禁書 「……い、一応、とうまからもらったお小遣いを貯めておいたへそくりが、ここに……」

小萌 「いち、にい、さん、しい……八千円、ですか」

禁書 「い、いくらくらいかかるのかな……?」

小萌 「こんなに良く貯めましたねー……。上条ちゃん、万年金欠みたいなこと言ってるのに」



51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:40:16.32 ID:IvKslDLro

禁書 「とうま、毎月のはじめに、欲しいものが買えるように、って必要な分とは別にお小遣いくれてるの」

禁書 「でも、私、あんまり欲しいものとか、ないし……」

姫神 「なるほど」

禁書 「折りを見てとうまに返そうとも思ったんだけど、バレンタインが、ちょうどいいタイミングで……!」

小萌 「……チョコでお返し、ですか」

禁書 「……うん」

姫神 (……かわいい)

小萌 「よし! じゃあまずは材料の買い出しにいくのですよ!」

禁書 「お、おー!」

姫神 「落ち着いて。ふたりとも。今からすぐに作るの?」



52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 15:41:35.27 ID:IvKslDLro

禁書 「あ」

小萌 「……明後日の方がいいですかね。月曜、渡すには……」

姫神 「……当日の午前中。というのはさすがにダメだとしても」

禁書 「日曜の夜になるのかな?」

小萌 「ですね。だとすると、月曜の夜に渡すことになるんでしょうか?」

姫神 「私は。学校で渡せると思うけど」

禁書 「そ、それじゃあ、明日までに何を作るかを決めて、材料の買い出し、明後日チョコレートを作る、ってことかな?」

小萌 「そうなりますねー。今のうちに、いろいろと見てみましょう。美味しそうなのあるかも知れないですし」

姫神 「他の雑誌でも。似たような特集がされてるかも。本屋さん行ってみる?」

禁書 「……よし。俄然、燃えてきたんだよ……!」



54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 16:28:26.13 ID:9hubqyqio
インデックスが生き生きしてる
素晴らしい



55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 16:34:22.56 ID:qd372NgO0
俄然の部分でアウレオルスを思い出した
そういう癖が脳じゃなく胸に残っていたのかなとか考えると泣ける



56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 17:37:12.12 ID:/eMCPKAJ0
あいつ記憶なくして顔もかえられて何やってんだろうね


57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 18:05:38.86 ID:B2bYmQsco
突然、泣ける話が展開されていて
愕然、言葉をなくしたのである

垂涎、しかし健気にお小遣いをためている禁書目録はなんてかわいいのであろうペロペロ




60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:43:58.64 ID:IvKslDLro

 ◆ファミレス


白井 「今日集まってもらった理由……は言うまでもないと思いますけど、一応説明しておきますの」

初春 「いや、必要ないですよ。バレンタインのことですよね?」

佐天 「まぁ、この時期だし、どうするかの相談ですよね。私は友だちだけに配って終わる予定でしたけど」

白井 「そうなんですが、そうじゃないんですの。ご覧ください。テーブルに顔をくっつけて真っ赤になってるお姉様の姿を」

初春 「……今日はなんだか様子がおかしいですよね、御坂さん」

佐天 「今の流れだと、やっぱりバレンタイン関係の悩みなんですか?」

白井 「そうですの。わたくしとしては大変遺憾なのですけれど、お姉さま、ずっとこの調子で……」

初春 「それはやっぱり、男の人のことで?」

白井 「殿方のことで、ですの」

佐天 「御坂さんが、ですか……いいなぁ」



61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:44:27.61 ID:IvKslDLro

御坂 「…………」プシュー

初春 「……すごく大変そうで、「いいなぁ」って感じじゃないんですけど」

佐天 「た、たしかに……」

白井 「今日ふたりに来てもらったのは、
    この蒸気機関車みたいな音を立ててゆでだこになっているお姉様にアドバイスしてもらうためですの」

佐天 「あどばいす、ですか」

初春 「といっても、御坂さんは何を悩んでるんですか?」

白井 「バレンタインに関するすべて、だと思いますの」

佐天 「すべて? バレンタインの誕生とか、意義とかですか?」

白井 「そうではなくて。「どうすればいいか」というお話ですの。お姉様、起きてくださいまし」ペシペシ

御坂 「……う、な、なに……?」

白井 「おはようございますお姉様」



62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:44:53.53 ID:IvKslDLro

佐天 「それで、バレンタインの話ですけど」

御坂 「え、えっ?」

初春 「あ、すみません御坂さん。話が進まなくなっちゃうので、質問には簡潔に答えてくださいね?」

御坂 「え……え、なに?」

初春 「チョコ、誰かに渡したいんですか?」

御坂 「べ、べつに、バレンタインだからってそんなの……!」

佐天 「……」

白井 「……」

御坂 「…………う、うん」カァァァ



63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:45:19.93 ID:IvKslDLro

白井 「……こまったものですの」

佐天 「いいじゃないですか。初々しくてかわいいし」

初春 「渡したいんですかー。そうですかー。がんばってくださいね!」

御坂 「え、え?」

佐天 「いやぁ、私も相手がいればなあ」

初春 「佐天さんには私がいるじゃないですか。期待してますよ、私は作りませんけど」

佐天 「なにそれ、ずるいー!」

白井 「……はあ。お姉様が、殿方にチョコ……」

御坂 「あ、あのっ!」

初春 「はい?」

佐天 「どうかしました?」

御坂 「……そ、相談に乗って欲しいんだけど……」



64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:45:46.66 ID:IvKslDLro

初春 「相談、ですか」

御坂 「う、うん」

初春 「それはどのような?」

御坂 「その、ね……」

御坂 「あの。男の人って、突然チョコとか渡されても、変に思わないかな……?」

白井 「……」

初春 「私は男の人じゃないので分かりませんが……嬉しいんじゃないですか? ふつうに」

御坂 「たとえばその、そういうのって、どういう風に渡せば……」

佐天 「うーん……ふつうに、「はい、これ!」じゃダメなんですか?」

御坂 「そんなの……」

御坂 「自然に出来る気がしない……」



65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:46:13.26 ID:IvKslDLro

佐天 「なんていうか、普段は自信満々で怖いものナシって感じがするのに……」

佐天 「御坂さんって、色恋沙汰になると途端に引っ込み思案なんですね……」

御坂 「い、色恋とか、そういうんじゃなくてっ!」

初春 「え、違うんですか?」

御坂 「……うぅ……」カァァァ

白井 (お姉様、かわいらしいですけど……黒子は複雑な気分ですの)

初春 「まぁ、相手がどんな反応するかは、その人との距離感にもよると思いますよ」

御坂 「距離感?」



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:46:39.37 ID:IvKslDLro

初春 「たとえば、いつも冗談を言い合ったりしてる仲だったら、
   「はいこれ」って、気軽に渡せますよね。気まずくなりそうだったら義理だから、とでもいって」

御坂 「うん、うん」

初春 「逆に、普段からちょっと距離があったりすると、チョコを渡す理由が希薄ですから……。
   『ひょっとして俺のこと好きなのか?』と思われる懸念が……」

御坂 「距離がある、っていうと?」

初春 「あんまり話をしたことがない人にチョコを渡されたら、「もしかして」と思うんじゃないかなぁ、と」

御坂 「それには当てはまらない、と思う。冗談を言い合うって仲でもないけど……」

初春 「ちなみに御坂さん、手作り? 購入?」

御坂 「……買った奴」

佐天 「え、手作りじゃないんですか?」



67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:47:05.79 ID:IvKslDLro

御坂 「だ、だって。手作りってなんか……恥ずかしいじゃない」

佐天 「……そうですか?」

初春 「失敗するかも、とか、美味しくできないかも、と思うことはあっても、恥ずかしいっていうのはないかと……」

御坂 「え、私だけ?」

佐天 「ちょっとよく分からないんで、もうちょっと詳しく説明してもらっていいですか?」

御坂 「いや、だからさ。チョコを渡すじゃない? 作る以上」

御坂 「でも、手作りのチョコって、なんかこう……本気っぽくて……」

佐天 「……ん?」

御坂 「だから、気合が入りすぎてる感じがして、なんかいやじゃない?」

白井 「……つまり、ええかっこしいなんですのね、お姉様は」

御坂 「な、なんでっ!?」



68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:47:33.14 ID:IvKslDLro

佐天 「つまり、本気だと思われたくないってことですよね? 本気だと思われるのが恥ずかしいと」

御坂 「……そういうこと、になるのかな?」

初春 「つまり……『勘違いしないで! 義理なんだからね!』っていうことですか?」

白井 「初春。それだとちょっとしたツンデレみたいですの」

初春 「ていうか、御坂さん、本気っぽく見られたくないって言いますけど、『本気』じゃないんですか?」

御坂 「ほ、本気って……本命、ってこと?」

白井 (……かわいいですの)

初春 「本命ってことですね。というか、そこ、最初にはっきりさせましょう。義理か本命か」



69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:47:59.73 ID:IvKslDLro

御坂 「本命ってわけじゃない、わよ。うん、義理」

佐天 「ちなみに、他の人にチョコを渡す予定は?」

御坂 「……? えっと、一応、ここにいる三人と、固法先輩と、水泳部の二人と……」

初春 「あ、すみません。チョコはありがたいんですけど、女性は抜きで」

御坂 「他の男性でってこと? 誰にも渡さないわよ?」

初春 「……ん?」

佐天 「……それ、本命とは違うんですか?」

御坂 「ち、違うわよ! どうしてそうなるのっ!?」

御坂 「た、ただアイツには世話になってるから! お礼とか、そういうのも兼ねて……」



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:48:26.00 ID:IvKslDLro

初春 「御坂さん」

御坂 「えっ、何?」

初春 「認めちゃいましょう?」

御坂 「なに、なにを!」

初春 「好きなんですよね?」

御坂 「だ、だれが! だれを!」

初春 「御坂さんが。その男の人を」

御坂 「だ、だから! そんなんじゃないってばっ!」

白井 「……この寂しげな気持ちはなんですの?」

佐天 「よしよし、ですよ白井さん。寂しげなだけで済むんだから、成長しましたね」

白井 「こんな成長なら、したくありませんでしたの……」



71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:48:53.08 ID:IvKslDLro

初春 「まぁ、ひとまず義理ってことで話を進めますか。このままだと話が進みませんし」

御坂 「だから義理なんだってば!」

白井 「そんなに力いっぱい主張されなくても分かってますの……」

御坂 「うぅ……」

佐天 「そ、それで。義理で、チョコレートを買って、渡そうと思ってるんですよね?」

御坂 「そう! そうなの!」

初春 「そう難しいことじゃないような気がしますけど……経験がないからなんとも言えません」

佐天 「渡すって言うくらいですから、十四日にチョコを贈りたいわけですよね?」

御坂 「う、うん」

佐天 「十四日は平日ですから……放課後、会えないかを訊いてみたらどうですか?」



72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:49:24.37 ID:IvKslDLro

御坂 「……でも、連絡先わからないし……」

佐天 「……道のりは険しいですね」

御坂 「だ、第一! 十四日に会う約束なんて、なんか……、なんか、本気っぽいじゃない!」

佐天 「ま、またそれですか……」

初春 「でも、約束しなきゃ会えませんよね。その人の学校まで行って校門前で待ってるとかしない限りは」

御坂 「!!」

白井 「お姉様? 『その手があったか!』みたいな顔しても、その殿方が校門につくより先に帰ってしまう可能性も……」

御坂 「……だ、だよね……」



73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:49:52.26 ID:IvKslDLro

初春 「つまり、その人と十四日にコンタクトを取る方法が必要なわけですよね」

佐天 「連絡先がわからないのが痛いねー。三日後だし、その人の方も予定入ってるかも」

御坂 「そ、それは……その、女の人と一緒に、という?」

佐天 「あ、あくまで可能性の話ですよ!」

御坂 「ううん。でもありえる……もしそうだったら」

初春 「……御坂さん」

御坂 「え?」

初春 「ファイアーエムブレム、というゲームをご存知ですか?」

御坂 「……な、名前だけなら」

佐天 「……なぜに今ファイアーエムブレム?」



74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:50:37.79 ID:IvKslDLro

初春 「乱数は悪い可能性の方を前提にして行動するのが普通です。
    ヒットポイントゲージの残りが3しかないのにこちらの命中70%を信じてトドメを刺そうなど愚の骨頂。
    距離を取って森に隠れてきずぐすりでも使うか騎兵に救出させるのがベター。
    でもですよ、御坂さん。時には、そう、時には……天馬騎士で弓兵に接近しなければいけない時もあるんです」

御坂 「……ごめん、言わんとしていることがまったく伝わってこないんだけど……」

白井 「分の悪い賭けに出なければならない瞬間もある、ということですの」

佐天 「……あれ? 今、そういう流れでしたっけ?」

初春 「つまり、悪い可能性なんて全部度外視して、勇気を出さなければならないタイミングというのがあるんです! この世には!」

白井 「ペガサスを接近させるくらいなら、賢者でサンダーストーム打ちますの、わたくしなら」

佐天 「白井さんも白井さんで何か語り始めちゃったし……」



75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:51:21.83 ID:IvKslDLro

御坂 「そ、そうよね。悪い風に考えたってはじまらないわよね……!」

白井 (別の女性と十四日を過ごす可能性はなくなったわけではないはずなのですが)

初春 「その意気です、御坂さん!」

御坂 「分かったわ、初春さん!」

佐天 「乗せられてるなぁ……」

白井 「元々乗せられやすい方ですから……」

御坂 「あ、でも、ちょっとまって、あっちの予定はともかく、こっちから誘う手段の話が全く進んでないわよね?!」

佐天 「あ、そうですね。とにかく、誘う手段を考えなきゃ」



76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:51:51.80 ID:IvKslDLro

初春 「……書庫で住所調べます?」

白井 「情報の私的利用は……さすがに」

佐天 「学校に電話したら教えてもらえませんかね?」

御坂 「そもそも、どこの高校に通ってるかが……」

初春 「あ、高校生なんですか」

佐天 「大人ですね……」

御坂 「あの、ホントにそういうのじゃなくて……!」

佐天 「そうですね。とにかく、方法、ですか……」



77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:52:20.82 ID:IvKslDLro

初春 「しかし、お手上げですね。その人を見つけだす方法が分かりません」

白井 「……噂をすれば影とも申しますから、もしかするとこの辺りにいるかも知れませんわね」

初春 「まさか、そんな都合のいい話――」

御坂 「……い、いたああああああああああ―――!!」

初春 「え、ええー?」

佐天 「もはや運命じみてますね……」

白井 「ホントですの」



78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:53:14.63 ID:IvKslDLro

御坂 「ど、どうしよう! どうすればいい!?」

白井 「どうすればも何も、直接つかまえてくればいいじゃありませんの」

御坂 「どうやって!? ちょっとまって、十四日会うにはどうすればいいの? 待ち合わせ!?」

佐天 「お、落ち着いて御坂さん。とにかく十四日の予定を訊けばいいんです」

初春 「もしそれが聞けなかったら、連絡先だけでも訊けばいいじゃないですか」

御坂 「転んでもただじゃ起きない計画ね……!」

白井 「ただの行き当たりばったりな計画だと思いますの……」

御坂 「それじゃ、私! ちょっと行って来る。すぐ戻ってくるから!」

佐天 「……壮絶だなあ」

初春 「いつになくハイテンションですね」

白井 「たぶん、緊張してるだけですの」



79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:53:51.06 ID:IvKslDLro

白井 「さて。戻ってくるまでに、何か飲み物でも持ってきますか……」

佐天 「ですね。話し込んでて、ドリンクバー取りに行くタイミングありませんでしたし」

初春 「メロンソーダって、何であんなに毒々しい色してるんですかね」

佐天 「……言われるまで気付かなかったけど、確かに毒々しい色してるなぁ」

白井 「そんなこと言ったらウーロン茶だって泥水ですし、コーラなんて墨汁ですの」

佐天 「……食欲なくなるなぁ」

御坂 「……た、ただいまー」

佐天 「え、早いですね」



80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:54:17.98 ID:IvKslDLro

白井 「どうでした? 予定、聞けましたの?」

初春 「まさか別人だったとか……」

御坂 「……う、ううん」

佐天 「な、なんだか妙に静かになって帰ってきましたね。どうしたんですか?」

御坂 「……どうしよう」

白井 「ど、どうしたんですのお姉様! 何があったんですの!?」

御坂 「……なんか、十四日に」

初春 「十四日に?」

御坂 「パーティーみたいなのやるから来ないかって」

佐天 「……パーティー?」



81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:54:45.36 ID:IvKslDLro

御坂 「な、なんかね、内輪だけでどこかに集まってバカ騒ぎするっていうのを企画してるらしくて」

御坂 「友だち連れてきてもいいっていうんだけど……どう答えたらいいか分からなくて」

御坂 「そしたら、メールでどうするか教えてくれって、電話番号とメールアドレス教えてもらった」

佐天 「…………初春、これはどうなの? 成功なの? 失敗なの?」

初春 「正直分かりませんけど……これは、天恵では?」

白井 「天恵、ですの?」

御坂 「で、でも。チョコ渡したいだけなのに……」

佐天 (正直、チョコ渡したいだけには見えない……)

初春 「距離を縮めるチャンスじゃないですか、御坂さん!」

御坂 「だ、だからそういうんじゃないんだってば……!」



82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:55:41.68 ID:IvKslDLro

初春 「十四日に集まるって事は、バレンタインに合わせた企画ですよね、たぶん」

白井 「まぁ、ですわね。意図はさておき」

初春 「御坂さん、僥倖です。手作りチョコを作っても不自然じゃないですよ、パーティーなら!」

御坂 「…………!」

佐天 「まさに、おあつらえ向きってわけだね!」

白井 「パーティーという言葉のうさんくささが気になりますけれど」

初春 「そこは気にしない方向で!」



83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:56:08.45 ID:IvKslDLro

初春 「何人ぐらいになるかにもよりますけど、大人数で集まるなら、ふたりきりになっても不自然ではないタイミングがあるはず」

初春 「そのときを狙えば……個人的にチョコを渡すことも可能!」

御坂 「ふ、ふたりきりって……!」

佐天 「見事にお膳立てが済んでますね……。あとは御坂さん次第です」

白井 「お姉様がその、パーティーに参加すると言うなら、わたくしも参加しますの」

初春 「私もです! どうせ予定ありませんでしたから、できればこの四人で集まりたいって思ってましたし!」

佐天 「どうします? 御坂さん」

御坂 「わ、私は……」



84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 20:56:41.24 ID:IvKslDLro

御坂 「で、でも、知らない人と会うのは、ちょっといやというか……」

佐天 「御坂さんって、人見知りとかするタイプでしたっけ?」

御坂 「ちがうけど……でもなんか、いやじゃない? 月曜ってことは放課後からでしょ? 夕方から夜にかけてってことだし」

初春 「でもほら、何か失礼なことをしてきたり、変なことをしてこようとしたら、白井さんと私がいますし」

御坂 「アイツの知り合いが変なことをしてくるとか考えてるわけじゃなくて!」

御坂 「こう、行っていいのかな、って。部外者だし」

初春 「……御坂さん」

御坂 「は、はい?」

初春 「簡潔に答えてください」

初春 「行きたいですよね?」

御坂 「……」

御坂 「……うん」



93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 23:58:45.15 ID:IvKslDLro

 ◆上条宅


禁書 「ただいまー」

上条 「おー、帰ってきたか。どこいってたんだ?」

禁書 「こもえの家! とうまとうま、晩ご飯なに?」

上条 「ちょっとまってな、今作ってるから」

禁書 「はーい。あ、とうま。結局、電話のとき、何の用だったの?」

上条 「待て待て。飯を食いながら話そう。コロッケあるぞ。食うか?」

禁書 「たべる!」



94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 23:59:12.00 ID:IvKslDLro

禁書 「……」モグモグ

上条 「美味いか?」

禁書 「……」コクコク

上条 「そうかそうか」

禁書 「……モグモグ」

上条 「あ、んで、さっきの話なんだけどな。禁書目録、十四日の予定ってなんかあるか?」

禁書 「……!!」ングッ

上条 「あーあー、待ってろ。水持ってくるから」



95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 23:59:39.77 ID:IvKslDLro

禁書 「じゅ、十四日? なんで?」

上条 「いや、それがさ。十四日に、青髪とか土御門と一緒に遊ぶことになって」

禁書 「え、ええっ!!」

上条 「……な、なんでそんなに驚いてるんだ?」

禁書 「な、なんでって……ううん、なんでもないよ……?」

上条 「……そうか?」

禁書 「うん! で、その、遊ぶ予定って……? 帰ってくる時間は? 夜には帰ってくる?」

上条 「ど、どうしたんだよおまえ……」

禁書 「た、大した意味はないけど! 大した意味はないんだけど、教えてほしいかも!」



96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:00:17.43 ID:/xYkkV/qo

上条 「いや、というか、ウチなんだよ、場所が」

禁書 「ま、まさかとうま……私が邪魔だから外に遊びに行っててくれとか言わないよね?」

上条 「言うわけないだろそんなこと」

禁書 「……」ホッ

禁書 「……え? でも、それだとウチで遊べないんじゃ……?」

上条 「いや、そうじゃなくてな。青髪が、十四日は一人でいたくないんだと」

禁書 「……」

上条 「「バレンタインをぶっ飛ばせ!」とか言って」

禁書 「……!!」ギクッ



97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:00:44.44 ID:/xYkkV/qo

上条 「まぁ、そんで。十四日に集まって騒ぐことになったんだよ」

禁書 「……ここで?」

上条 「そう。一応知り合いとか呼んでな」

禁書 「……夜?」

上条 「たぶん。あんまり遅くはならないと思うけど……どうだろうな。まだ分からん」

禁書 「……う、うぅ……」

禁書 (ふたりきりになれなかったら、とうまを驚かせるのは難しいかも……!)

上条 「それで、禁書目録。おまえも参加するだろ?」

禁書 「えっ。あ、う、うん! もちろん!」



98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:01:28.64 ID:/xYkkV/qo

上条 「そっか。ならいいんだ」

禁書 「あ、あの。とうま、念のために訊きたいんだけど……女の人は来たりするの?」

上条 「ん? ああ、御坂とその友だちは誘ったよ。土御門は舞夏も誘ってみるって。姫神にもメールしてみようかと思ってるけど」

禁書 「……十四日の夜、なんだよね?」

上条 「世間で言うところのバレンタインだな」

禁書 「そ、そんな……」

上条 「……?」

禁書 「こ、これは由々しき事態なんだよ……!」



99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:01:53.97 ID:/xYkkV/qo

 ◆小萌宅


禁書 「と、いうわけで! 本日はゲストのツチミカドマイカさんに来てもらいました!」

姫神 「ぱちぱち」

舞夏 「盛大な拍手をどうもありがとうー!」

小萌 「シスターちゃーん? 今日はどんなチョコにするか決める予定だったのではー?」

禁書 「それよりも大問題が発生したんだよこもえ……! 下手をすると、とうまの貞操が……貞操が……!」

小萌 「て、貞操って……そんな、まさか……」

舞夏 「くふふ。貞操だけで済めばいいけどなー」

禁書 「……そ、そんな……」

姫神 「……ごめんなさい。この空気には。ついていけない」



100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:02:20.75 ID:/xYkkV/qo

禁書 「こもえ、大変なんだよ! わたしはもうどうすればいいのか……!」

小萌 「お、落ち着いてくださいシスターちゃん。私は何がなんだかわからないのですよ……」

姫神 「たぶん。今日の議題は。このメールのこと」

小萌 「メール?」

姫神 「これ」

小萌 「……『十四日、みんなで集まってバレンタインパーティー』……」

小萌 「……バレンタインパーティ……変な響きです」

禁書 「いいの? 教師として! 見逃して良いの? 時間夜だよ!?」

小萌 「……うーん。非行にさえ走らなければ見逃すのはやぶさかではないのです」

禁書 「そ、そんな……こもえまで……!」



101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:02:47.74 ID:/xYkkV/qo

姫神 「悪いけど。私はこのメールの文面に従わせてもらう」

禁書 「う、うらぎりもの!」

姫神 「十四日。楽しみ」

小萌 「き、昨日までの和やかな雰囲気が跡形もないのです……!」

舞夏 「ゲストとして招かれたところ悪いけど、私もパーティーには参加させてもらうぞー」

禁書 「ま、まいかまで……う、うぅ……私がとうまをひとりじめするつもりだったのに……!」

姫神 「独占はよくない。平等であるべき」

禁書 「平等じゃいつまで経ってもふたりっきりになれないじゃない!」

舞夏 「なりたいのかー? ふたりきり!」

禁書 「なりたいとかなりたくないとか、そういうレベルの話じゃないんだよ!」

禁書 「みんなの前でチョコを渡すとか……! 恥ずかしいにも、ほどがある……!」



102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:03:16.01 ID:/xYkkV/qo

舞夏 「……チョコ渡すためにふたりっきりになりたいのかー?」

禁書 「そ、そういう言い方をすれば、そうとも言える……」

姫神 「私は。ふつうにみんなのまえでも渡すけど」

小萌 「シスターちゃんには悪いですけど、今回はどう考えても二人に理があるのです。みんな仲良く、ですよ……?」

禁書 「うぅ……とうまに日頃の感謝を込めて、ちょっとまじめなことを言おうと思ってたのに……」

小萌 「パーティーが終わって、みんなが帰ってから言えばいいじゃないですか。祭りの後なら自然とそういうことも言えますよ」

禁書 「…………!!」

姫神 「同居というアドバンテージ。恐るべし」

舞夏 「最後まで一緒にいるわけだしなー。有利っていえば有利かもー」



103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:03:42.96 ID:/xYkkV/qo

禁書 「……そう、そうだね、こもえ。私は勘違いしてたんだよ……バレンタインは甘いわたあめみたいな幻想じゃないんだよ……。
    言うなれば二月十四日は……乙女の、戦争……!」

舞夏 「くふふ。ようやく気付いたかー」

姫神 「勝負は既に。始まっている」

禁書 「あ! 私が読む分の雑誌がない! ふたりとも、どっちか貸してー! うぐぐ、ひ、卑怯なー!」

小萌 「い、一緒に仲良くみてくださいー!」

舞夏 「まぁ、チョコレートなんてイベントのおまけみたいなものだしなー」

姫神 「それは。渡す側が言うセリフではないのでは」

禁書 「ど、どれにすれば……いったい、どれに……」

小萌 「収拾がつかなくなってしまったのです……」



104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:04:15.47 ID:/xYkkV/qo

小萌 「三人とも! 注目ー! 注目ですー!」

姫神 「なに?」

禁書 「……うぅ、こもえ、わたしはどうすれば……!」

舞夏 「んー。チョコはどうせみんな用意するだろうし、ちょっと変わり種にするか?」

小萌 「シスターちゃんは落ち着いてください! あと話はちゃんと聞いて!」

舞夏 「はーい」

禁書 「……」スー、ハー

小萌 「静かになりましたね」



105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:05:06.91 ID:/xYkkV/qo

小萌 「どっちにせよ、チョコを作るのは昨日までの予定通りです。人が増えたからって慌てることはないのですよ」

禁書 「そ、そういえば、そうだね……」

姫神 「慌てすぎ」

禁書 「……うぅ……」

小萌 「まだ午前中ですし、午後までに何をつくるか決めましょう」

小萌 「決まったら、必要な材料をメモして、買い出しにいくのですよ」

小萌 「作るのは明日になると思いますけど、下ごしらえみたいなのが必要なタイプのもあるはずです」

小萌 「渡す相手のことを考えて、しっかり決めるのです」

禁書 「……う、うん。分かったんだよ……」



106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:05:39.43 ID:/xYkkV/qo
投下終わり 
寝る


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:07:23.67 ID:c8iAOGbEo
おつ
インデックスさんかわいい



108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 00:12:49.82 ID:wp+Kcgxgo
ペガサスナイトorドラゴンナイトにデルフィの護りを持たせて特攻させるのが私の生きがいです


109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 09:14:22.62 ID:VuT/K/zfP
>禁書「とうま、毎月のはじめに、欲しいものが買えるように、って必要な分とは別にお小遣いくれてるの」

この上条さんは、爆発しなくても許せる




112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:24:16.40 ID:/xYkkV/qo

 ◆ファミレス


御坂 「参加することが決まったのはいいのよ、連絡しといたし、人数も報告したし……」

白井 「何か心配事でもありますの?」

御坂 「なにか、って心配ごとだらけよ!」

御坂 「お菓子作りなんてあんまりしたことないし……服とかどんなの着てけばいいか分からないし……!」

御坂 「第一、時間によっては門限破りも視野にいれなきゃ……!」

白井 「……寮監の折檻は恐ろしいですけれど、まぁ、仕方ありませんの」

佐天 「目下の問題点はチョコですかね? 服はどうにでもなりますし」

御坂 「ど、どうにもならないよ! どうしよう、どんなの着てけばいいの……パーティーって!」

初春 「たぶん御坂さんが考えてるようなパーティーじゃないと思いますから、普段着でいいのでは?」

御坂 「ふ、普段……制服だし……」



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:24:44.81 ID:/xYkkV/qo

佐天 「御坂さん。逆に考えましょう」

御坂 「ぎゃ、逆に?」

佐天 「チャンスです。ここぞとばかりに、普段とは違う自分をアピールです」

御坂 「あ、あぴーる?」

佐天 「そうです。普段よりちょっと気合入れた服装で、軽めにお化粧もして!」

初春 「……佐天さん、テンション高いですね」

白井 「お姉様はそのままでも十分かわいらしいと思いますの」

佐天 「そんなことではダメです白井さん! 御坂さんがかわいいからこそ、ここぞというときには更に磨きをかけて……!」

御坂 「あ、あんまりかわいいかわいい連呼しないで!」

初春 「事実ですから大丈夫ですよ」

御坂 「そういう反応に困る話はやめてよ……」



114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:25:26.37 ID:/xYkkV/qo

御坂 「というか……服に関しても、あんまり自信ないし……」

初春 「どうしてですか?」

御坂 「だ、だって……」

御坂 「私の趣味って、こどもっぽいでしょ?」

白井 「お姉様……自覚あったんですの?」

御坂 「あれだけ言われ続けてればそうなのかなって思うわよ!」

初春 (あ、自分で気付いたわけではないんですね)

佐天 「とにかく! 服装に関してはいつもより気合を入れて……なんならこの後セブンスミストに行く勢いで!」

初春 「そうですねー。なんならみんなで見繕ってもいいですし」

白井 「お姉様だけじゃなくて、わたくしたちも参加するわけですし、必要に応じて買い物した方がいいでしょうね」



115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:26:01.03 ID:/xYkkV/qo

初春 「服に関してはひとまずそれでオーケーですね。次は……チョコですか」

白井 「手作り……となると、ちょっと資料が必要ですね」

佐天 「あ、私、雑誌買ってきました! 手作りチョコ特集の!」

初春 「準備いいですね、佐天さん」

白井 「……ふむ。味も大事ですけど、見栄えも重要ですわよね、手が込んでるかどうかはそこで判断されやすいですから」

初春 「まぁ、美味しい方がいいとはいえ、あんまり手の込んだもの作ろうとしてよくわからない味になってもダメですし……」

佐天 「じゃあ見栄え優先? 量とかは……パーティーだし、考えた方がいいよね」

御坂 「あ、あれ……。なんか私、当事者なのに蚊帳の外……?」



116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:26:31.45 ID:/xYkkV/qo

白井 「そうですわね。お姉様の意見も聞かなければなりませんの」

初春 「どうします? 味ですか? 見栄えですか? いっそラッピングですか?」

佐天 「ラッピングに関しては……この雑誌、あんまり載ってないね……」

御坂 「う、うぅ……?」

御坂 「……な、なにがなんだか……」

佐天 「そんなんじゃだめですよ御坂さん! その人に手作りチョコつくってあげなきゃならないんですから!」

初春 「そうですよ、ちゃんとその人が食べて美味しいって言ってもらえるようにしないと!」

白井 「私たちが決めた通りにチョコレートを作ったところで、お姉様の気持ちは三分の一も伝わりませんの」

御坂 「……うぐっ」



117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:27:03.15 ID:/xYkkV/qo

御坂 「と、というかそれ以前に! 私の気持ちってどういうことよ、黒子!」

白井 「ですから、お姉様はその方に気持ちを伝えるためにチョコを作るんですわよね?」

御坂 「アイツとはそんなんじゃないって……!」

佐天 「え、じゃあなんでチョコを渡すんですか?」

御坂 「……あれ?」

御坂 「……なんでだっけ」

白井 「いつの間にか目的がすり替えって分からなくなってきたんですのね……」

初春 「ちなみに御坂さんは最初、「感謝の気持ちを伝えたい」って言ってましたから、白井さんの言い分は間違ってませんね」

佐天 「御坂さんが勝手に勘違いしただけ、ってことですか……」

御坂 「な、なんか今日、みんなちょっと辛辣じゃない? 私に対して」



118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:27:34.40 ID:/xYkkV/qo

白井 「当たり前ですの」

白井 「もう一度言わせてもらいますけど」

白井 「当たり前ですの!」

佐天 「え、そんな強調するようなタイミングですか? 今」

白井 「わたくし、お姉様が殿方にチョコを渡そうとするなんて、それだけで心が苦しくなりますの……!」

白井 「ですけど、お姉様、この際、お姉様がその殿方に好意を抱いているかどうかなんてどうでもいいんですの」

白井 「重要なのは、わたくしが敬愛するお姉様が、その方に感謝していて、その感謝を少しでも伝えたいというところ……!」

白井 「お姉様がそう望むなら、黒子は協力するにやぶさかではありませんのに……」

白井 「ですのに、何でお姉様はこの期に及んで及び腰なんですのっ!?」

御坂 「…………!!」

初春 「唐突に雰囲気が一変しちゃいましたねー」



119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:28:15.45 ID:/xYkkV/qo

御坂 「そ、そうよね。ぐだぐだ考えてる場合じゃないわ。ありがとう黒子」

白井 「どういたしまして、ですの」

御坂 「とにかく、アイツを喜ばせてやらなくちゃ。余計なことは考えないで……」

佐天 「そうですね。とりあえず、どんなチョコにします?」

御坂 「写真だけ見てもイメージ湧かないわね……これ、どのくらいの大きさなんだろう」

白井 「パーティーですし、大勢で食べられるようなものがいいかもしれませんけど……」

佐天 「……んー。みんながチョコ作ってきてたら飽きそうですよね……」

初春 「チョコ以外の可能性も模索しといた方がいいですね。クッキー……あ、飲み物とかどうするんでしょう」

白井 「一応、わたくしたちの側でも用意していった方がいいでしょうね」



120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 20:28:44.55 ID:/xYkkV/qo

御坂 「とりあえず予算はあるから、いろんなのを試しに作ってみましょうか……」

初春 「えっ」

佐天 「み、御坂さん? 作り終わったら当然、味見するんですよね? その役はいったい誰が……」

御坂 「みんな協力してくれるわよね?」

佐天 「……」

初春 「……」

佐天 「……は、はい……」

初春 「……私、こないだ、体重計に追いかけられる夢みたんです」

白井 「正夢ですわね。よかったじゃありませんの」

初春 「なにがっ! どこがっ! いいんですかっ!?」



125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:51:28.46 ID:/xYkkV/qo

 ◆上条の部屋


青髪 「一応、カミやんの部屋でやることは確定したわけなんやけど……」

上条 「れいぞうこあけーてー!」

土御門「なんもーありゃしなーいや! ってカミやん、そこは「冷蔵庫開けりゃ」だにゃー」

青髪 「……ふたりとも、何やっとるん?」

上条 「何って……どちらかが挙げた曲を歌詞を見ないで熱唱するゲームだけど」

土御門「今のところ歌詞間違いはカミやんが三回、俺が二回なんだにゃー」

青髪 「なにくだらないことしてんねん自分ら……」



126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:51:57.83 ID:/xYkkV/qo

上条 「これが結構楽しい。大声で歌うのも結構楽しい。上手い下手気にせずに済むのも結構大きい」

青髪 「いやええねん、その何とかゲームは。カラオケでも行っとけやそこは。あと結構って何回言うんや」

上条 「採点……怖いじゃん。九十点台出せないし」

土御門「にゃー」

青髪 「採点しなきゃええ……いや、いいわ。ひとまず歌うのやめ。
    パーティーの細部決めていこう。こらこら、ゲームキューブやめろや」

土御門「なんでWiiがないんだにゃー……」

上条 「新型買う余裕なんてありませんよ、上条さんには……これも青髪から譲ってもらった奴だし」

青髪 「いや、やから。ゲームやめてこっち向こう、君たち」



127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:53:17.64 ID:/xYkkV/qo

上条 「んーっと。まだ決めなきゃいけないことあったっけ?」

青髪 「決めなきゃいけないことも何も、まだ何にも準備してないでしょう」

土御門「人数、はっきりしてるだけで何人なんだにゃー?」

青髪 「ちょっと数えてみよか」

土御門「まずここにいる三人に、禁書目録、舞夏で五人……」

上条 「御坂たちはメールで人数報告来たぜ。四人だってさ」

青髪 「姫やんも誘っといたから……合計で十人やね」

土御門「……んー。結構多くなったけど、まだ少ない気がするにゃー」

青髪 「男女比……3:7なんやけど……君ら、男の知り合いは?」

上条 「……」

土御門「……」

青髪 「ですよね」



128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:53:45.72 ID:/xYkkV/qo

青髪 「まぁ、もうちょっと人数増やしてみよか。小萌センセとかどうやろ」

上条 「おいおい……いいのか、教師呼んで」

土御門「まぁ、あの人なら大丈夫って気もするんだぜい」

青髪 「監督だとかなんとか名目つければ来てくれるやろ」

上条 「……そうかなあ」

青髪 「それにカミやんの知り合いの子、常盤台の子なんやろ? 監督の先生が面倒見るっていえば、大丈夫なんちゃう?」

上条 「そんなに甘くないとは思うけど……。言い訳がないよりマシか?」

土御門「そうなると先生に迷惑がかからないように、常盤台の方に確認してもらわなきゃならないにゃー」

上条 「確実に許可がとれるか分からないし、ちょっとした賭けになるな」

青髪 「ひとまず、小萌センセの予定を訊いて、そこらへんも相談してみよか」

上条 「んじゃ、電話して見るか」



129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:54:12.01 ID:/xYkkV/qo

青髪 「さて……あと考えなきゃいけないことは……なんかある? つっちー」

土御門「食い物と飲み物とか。どのくらい用意するかとか。あとまぁ、バカ騒ぎするのに必要なものがあるにゃー」

上条 「必要なもの」

土御門「酒」

上条 「先生いるんだぞ……ねーよそれは。パーティーグッズとかいっとけ」

青髪 「……パーティーグッズ、て、どんなん?」

上条 「……」

土御門「……」

上条 「……お金なんかは」

土御門「ちょっとでいいのだあああ!」

青髪 「考えるの面倒になったからって歌うなや。しかも何でそこなん? 「大迷惑」やろそれ……」



130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:54:38.80 ID:/xYkkV/qo

上条 「……ひとまずそっちはおいといて、食い物のこと考えるか」

青髪 「そうやね。あんまり多くてもアレやし、分量考えんと」

上条 「いや、普通に多くて大丈夫だと思うぞ」

土御門「だにゃー」

青髪 「え、なんで?」

上条 「うちの同居人も、たまにはたらふく食いたいだろうし」

土御門「奴の胃袋は宇宙だにゃー。想像の倍は用意しとかないと追いつかないぜい」

上条 「それは言い過ぎにしても、まぁ多めに用意しとくに越したことはないだろう」

青髪 「そ、そうなん? まあ予算の関係上限界はあると思うけど」

上条 「会費とるワケにもいかないし、俺ら三人で払うしかないわけだな」



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:55:06.57 ID:/xYkkV/qo

土御門「まぁ、たまにはこういうことにパアッと使うのも悪くないにゃー」

上条 「……だな」

青髪 「万年金欠のカミやんからそんなセリフが出るなんて……成長したなぁ、カミやん」

上条 「や、やめろ。なま暖かい目でこっちを見るんじゃない。ニヤニヤすんな」

土御門「ちょっと前まで不幸だ不幸だって毎日のように言ってたのに、最近は数が減ってきたしにゃー」

上条 「……そりゃ、ね。なんでもないようなことが幸せだったと気付く程度には大人になったんですよ」

青髪 「そやね……バカ騒ぎしよか、カミやん」

土御門「もう計画するのが楽しくなってきて、バレンタインとかどうでもよくなってきたにゃー」

青髪 「ばれ……ああ、そういう話やったね、最初」

上条 「おい、おまえは忘れちゃダメだろ」



132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:55:34.38 ID:/xYkkV/qo

青髪 「参ったなぁ……このままやと普通に楽しいままで終わってまうね。バレンタインぶっ飛ばしとかんと……」

土御門「無理矢理ぶっ飛ばす必要はないような気がするが……」

青髪 「いやいや、ダメですよ。看板に偽りありはいかんでしょう。
    美味しい味噌ラーメンの店って書いてあるのに醤油ラーメンしかなかったら嫌でしょう」

上条 「いや、嫌っていうよりは……まぁ、確かに「看板に偽りあり!」って感じだが」

青髪 「でしょ。やっぱり考えとかんとね、ぶっ飛ばす方法」

上条 「ちょうど食い物の話してたわけだし……食い物でぶっ飛ばす方法を考えてみるか」

青髪 「えっと……全部和食とか?」

土御門「パーティーで全部和食はさすがにないにゃー。雰囲気ぶちこわしって意味では正しいけど、空気が凍り付きそうだぜい」

上条 「ピザとかオードブルとか、そういうのだとクリスマスっぽいよな」

青髪 「くりすます? なんですかそれ。リスの仲間? どっちかっていうと魚の仲間?」

上条 「あーわかったわかった。クリスマスも嫌いだったのな、おまえ」



133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:56:36.42 ID:/xYkkV/qo

青髪 「嫌いじゃないですよ……! 嫌いなものですか……! 嫌いじゃない! 嫌いじゃないよカミやん!」

上条 「やめろ、主語を抜いて話すな、微妙な感じになるから」

土御門「かといって、パーティーって言って食べ物で手を抜くのもなぁ」

上条 「お菓子とかだけでっていうのも難だし……」

上条 「……いっそ、作るか?」

青髪 「……ん? どういう意味、カミやん?」

上条 「料理。作っちまわない? バレンタインっつったら手作りだし」

土御門「いや、いやいやいや。手作り料理と手作りチョコじゃあ意味合いがだいぶ違うと思うにゃー」

青髪 「ぶっ飛ばすためにバレンタインに則ってどうすんねん。のせられとるやないの」



134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:57:23.47 ID:/xYkkV/qo

上条 「だから、バレンタインをぶっ飛ばすために手作り料理なんだよ」

青髪 「……ん?」

土御門「それはアレかにゃー、チロルチョコ配ろうってのと同じ理屈で?」

上条 「そう。男が手作り料理するなんて誰も思わないだろ。驚くはずだ」

青髪 「……驚かせてどうすんの?」

上条 「脅かすことができればそれでいいじゃないか。ドッキリ大成功、的な」

土御門「……んー、実際驚くかどうかは微妙とはいえ、食べ物についても解決するし、アリって言えばアリか……?」

青髪 「え、アリなんですかつっちー、これ」

土御門「食い物は確かに大事だにゃー。つーか、自分たちで作るってパーティーっぽくてなんか良くね?」

青髪 「……良くね? と訊かれればたしかに悪くはないでしょうけど……」



135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:58:31.96 ID:/xYkkV/qo

上条 「でも、料理とかできないしな……土御門、舞夏に協力を仰ごう」

土御門「オーケイだにゃー。しかし、料理とか具体的なことも考えとかないとな」

青髪 「パーティー料理って言ったらどんなんやろねー……」

上条 「……フライドチキン?」

土御門「ピザ?」

青髪 「んー……油っぽそうなものばっかりやねえ……しかも手作りできなさそうなの」

上条 「そこらへんも舞夏に相談してみよう。予算のことも考えて」

青髪 「よし! 決めなきゃならんことはまだまだあるで……!」



136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 23:59:28.40 ID:/xYkkV/qo

上条 「あ、そうだ。この部屋でやるのはいいんだけど、大きめのテーブルないんだよな。場所はまぁどうにかなると思うんだが」

青髪 「小萌センセも混ぜたら十一人やし、手狭なんはしゃあないけど……テーブルは必要やね……」

土御門「後は食器の類。紙コップと紙皿と割り箸の使い捨てできる感じにするのかにゃー?」

青髪 「テーブルはウチにもあるけど、持ち運び面倒やな……誰かが車出してくれるとええんやけど」

上条 「つか、場所を青髪の部屋にすれば良かったんじゃねえの?」

青髪 「そんなん、広さも確定してない部屋でやるなんて無理に決まっとるでしょ」

上条 「……は? どういう意味?」

土御門「そのままの意味だと思うが、まぁこの部屋でやるのはどっちにせよ決まりだぜい、カミやん」



137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:00:38.24 ID:yrZSlJSyo

青髪 「んー。つっちーの部屋に、持ち運びやすいテーブルない?」

土御門「ない……けどまぁ、手配はできると思うにゃー」

上条 「んじゃあ、そこんとこは土御門に任せるか。
    食器類は使い捨てでいいとして……あとは舞夏に早めに相談しないと準備が間に合わないな」

土御門「じゃあさっそく連絡してみるんだぜい」

上条 「小萌先生にも一応、料理の相談しといた方いいだろうな……」

青髪 「だんだん形になってきたなぁ」

上条 「忙しいのはこれからだろうけどな」

土御門「そうだにゃー」



138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:01:22.59 ID:yrZSlJSyo

上条 「……授業が終わってすぐに料理を始めたとしても、結構スケジュールはギリギリになりそうだな……」

青髪 「そこはほら、カミやんが言い出しっぺやから、責任は……ね?」

土御門「にゃー」

上条 「ね? じゃねーよ。にゃー、じゃねーよ。連帯責任だろ」

青髪 「まぁ、間に合わなくたって殺されるわけじゃないんやし」

土御門「いざとなればみんな一緒に作るのも悪くないと思うぜい?」

上条 「ま、そうな。ポジティブに考えようか」

青髪 「それにつけても、この部屋の広さが一番のネックやなぁ。
    ベッドがなければ違うんやろうけど、さすがに運び出すわけにはいかんし」

上条 「そこは仕方ないが、十何人が集まるにはやっぱり……」

土御門「大丈夫大丈夫」

青髪 「何を根拠に?」

土御門「ちょっと近すぎるくらいの方が、みんなすぐに打ち解けるんだぜい」

上条 「……おまえはポジティブに考えすぎだ」



139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:01:48.60 ID:yrZSlJSyo

青髪 「って言っても、広さはどうにもならんしね。しゃあない。ひとまずはそんな感じでやろか」

上条 「一応、邪魔になりそうなもんはどけとくよ。後は暇つぶしになりそうなものも用意しとかないとな」

青髪 「人生ゲームとか?」

土御門「定番だにゃー」

上条 「大人数だし、そこまでモノが必要になるとは思えないけど、必要になりそうなものは土御門の部屋においといてもらおう」

土御門「オーケイ」

上条 「んじゃあ、舞夏と小萌先生の連絡を待つか……」



140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:02:18.37 ID:yrZSlJSyo

 ◆小萌宅

小萌 「……上条ちゃんから、メール……」

禁書 「な、なんて?」

小萌 「……あ、パーティーのお誘いのメールなのです。監督として来てもらえないかって」

禁書 「あの節操なし……! 教師にまで手を出そうとするなんて……!」

姫神 「そういう言い方は。さすがに可哀想」

禁書 「……むぐう」

舞夏 「なあなあー」

禁書 「な、なに?」

舞夏 「なんかよくわかんないんだけど、兄貴に呼び出されたから私は先に帰るぞー」

禁書 「え、帰っちゃうの? チョコ、どんなの良いか決まってないのに!」

舞夏 「ひょっとしたら十四日のことかも知れないし。そこはまあ、がんばって自分で決めるんだぞー」



141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:03:05.58 ID:yrZSlJSyo

禁書 「こ、こもえ……?」

小萌 「あ、まってください、すぐ済みますから。えっと、常盤台の学生さんですか……上条ちゃんも隅に置けないのです」

姫神 「…………」

禁書 「……と、とりあえず……どのチョコにするかを決めないと」

禁書 「あいさはどんなのにするの?」

姫神 「シンプルに。トリュフでも」

禁書 「定番……って書いてあるね」

姫神 「固くなりすぎないように作るのが。意外と難しい」

禁書 「奥が深いんだよ……お菓子作り……!」

小萌 「……よし。これでおーけいなのです。ってあれ? またメールが……」

小萌 「……料理、ですか」


142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:03:30.53 ID:yrZSlJSyo

書きため尽きた
終わり


144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 09:43:24.82 ID:SDtkTbMIO
これは面白い


143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:05:18.92 ID:3BlaWzNNo
吹寄も呼んでやれよ!


145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 13:21:36.67 ID:dGwTmCgAO
乙~
吹寄呼んだら、上条さん達の仕事がなくなっちゃうww



146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 17:40:24.21 ID:IEsIEXJNo
手狭なのはこの際壁をぶち破って土御門の部屋と連結させちまおうぜ




次→上条「バレンタインをぶっ飛ばせ!」【後編】

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