岡部「紅莉栖!」千早「はい?」【後編】

2013-05-15 (水) 21:01  シュタインズゲートSS   5コメント  

405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:03:50.84 ID:IL7gvhYS0

岡部(撮影は無事に終わった。監督も千早のことを褒めてたし、よかった)

岡部(だが千早はかなり疲弊しており、タクシーで一緒に千早の家に向かうことになった)

千早「ご迷惑おかけしてすみません……」

岡部「気にするな。お互い様だろ」

千早「ここが私の部屋です。今日はありがとうございました」

岡部「上がってもいいか?」

千早「え!?」

岡部「なぜ驚く。今の千早じゃ飯もろくに作れまい。だが何も食べないのはよくない。おかゆでも作ってやろうと思ったんだが」

千早「そんな、別に大丈夫です」

岡部「明後日までには元気になってもらわないと困る。というわけで入るぞ」ガチャ

千早「ダ、ダメですよプロデューサー!」



407:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:11:54.60 ID:IL7gvhYS0

岡部「慌てふためくから、てっきり汚いのかと思ったら……ちゃんと片付いてるではないか」

岡部「これならいつ誰が来ても安心だな」

千早「よく春香や我那覇さんが来るので……でも男の人はプロデューサーが初めてです」

岡部「ほう、それは光栄だな」

千早「無理やり入った人が何を……」

岡部(無理やり挿入(はい)った人がナニを……?)

千早「鼻の下、伸びてますよ。もし変なことしたら、椎名さんに言いつけますからね」

岡部「それは勘弁してくれ。俺はまだ死にたくないのだ」



411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:16:56.91 ID:IL7gvhYS0

千早「未来ガジェット研究所の方には、ちゃんと顔を出してますか?」

岡部「あぁ。ラボでお前たちのライブをみんなでよく見てるぞ。結構いいスピーカーも買ったしな」

千早「そうなんですか? いいなぁ……私、マンションだからあまり大きな音では聞けないので、買っても仕方ないんですよね」

岡部(やっぱり音楽のことになると食いつきがいいな)

岡部「ならば今度ラボにこないか? 千早なら大歓迎だ」

千早「そうですね。機会があれば、ぜひ行きたいです」

千早「でも自分のライブを見るなんて……少し恥ずかしいですね」

岡部(千早の照れた顔……いいなぁ。めったに見られないが。いや、むしろそれがいいのか?)



412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:21:16.88 ID:IL7gvhYS0

岡部「おかゆ、できたぞ」

千早「ありがとうございます。いただきますね……熱っ!」

岡部「ぷっ……ほら、水飲め」

千早「ごくごく……はぁ。プロデューサー、今笑ったでしょう」

岡部「そりゃ笑うだろ。あのクールな千早が……おかゆ食べて熱っ! だぞ? あーはっはっは!」

千早「……えい」

岡部「もぐっ!? 熱っ! 水、水! ごくごく……ぷはぁっ!」

岡部「いきなり人の口におかゆを突っ込むな!」

千早「さっきのお返しです」

岡部「意外と子どもなんだな、千早は」

岡部(待てよ? 千早が口に入れたスプーン、そして千早が口をつけたコップ……こ、これでは関節キスではないか! )



413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:25:22.59 ID:IL7gvhYS0

千早「プロデューサー、何だか顔が赤いですけど……もしかして私の風邪がうつったんじゃ?」

岡部「あー、違うから気にしないでくれ。さっき関節キ……おっとなんでもない」

千早「……あ」

岡部(口が滑ってしまった)

千早「このHENTAI!」バシッ

岡部「いってぇええええっ!」



416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:31:36.20 ID:IL7gvhYS0

岡部「千早のビンタはなかなか強烈だな」

千早「すみません、つい手が……」

岡部「まぁ俺の発言が悪かったな、うん」

岡部「ところで……千早は一人でここに住んでるのか?」

千早「はい」

岡部「家族は……」

岡部(事務所のプロフには家族構成が一切書いてなかったんだよな……ってこれ地雷じゃないのか?)

千早「父と母がいます」



418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:37:03.86 ID:IL7gvhYS0

岡部「よかった……」

千早「? もしかして、家族がいないとか思ってました?」

岡部「あぁ。事務所のプロフにも家族構成が書いてなかったんでな……」

千早「せっかくだし、その理由も話しておきます」

岡部「いいのか?」

千早「プロデューサーも、その……それなりに信頼できる人になってきましたし」

千早「今からする話は他言無用ですからね」

岡部「もちろんだ」



420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:43:02.42 ID:IL7gvhYS0

千早「私の父は、科学者なんです。でも世間では色物科学者として見られていて……」

岡部「アイドルとしてのイメージが下がる恐れがあるため、か?」

千早「はい……」

岡部「なるほどな」

千早「父の名前はドクター中鉢。あ、本名は牧瀬章一です」

岡部「ドクター中鉢だと!?」

千早「ご存知なんですか?」

岡部(色物科学者ということは、きっとこの世界線でも今までと似たようなものだろうな)

岡部「タイムマシンを作るとか言ってたりするのだろう」

千早「そうなんですよ。最近は全然表舞台にはでてきませんけどね」



422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 16:55:29.21 ID:IL7gvhYS0

岡部「それじゃ、父親とはあまり仲がよくないのか」

千早「いえ、そんなことありませんよ。ライブにも都合がつく限り、母と一緒に来てくれますし」

千早「芸名を使うことを強く勧めたのも父なんですよ」

岡部「そうだったのか」

岡部(α世界線では父親と上手く行ってなかったみたいだが、ここでは違うんだな。よかった)

千早「優にも、見て欲しかったな……」

岡部「優?」

千早「あ……」

岡部「まぁ無理に聞いたりするつもりはないが」

千早「優は、私の弟です。さっき言わなかったのは……もう、亡くなっているから」

岡部「そう、だったのか」

岡部(紅莉栖には弟なんていなかったと思うが。世界線によって家族構成も変動するんだな)



423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:01:36.73 ID:IL7gvhYS0

千早「優は私の歌やダンスを聞いて、すごく楽しそうにしてくれたんです」

千早「でもある日、交通事故でなくなってしまって……あれからですね、父親がタイムマシンの研究を始めたのは」

千早「絶対にタイムマシンを作って、優を助けてやるからなって……泣きじゃくる私に何度も言ってくれたんです」

千早「タイムマシンは完成してないけれど、あの時の父の言葉がなかったら、立ち直ることができなかったかもしれないです」

岡部(ドクター中鉢……ただのいやみったらしい親父にしか見えなかったが、裏ではいろいろとあったんだな)



428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:07:33.36 ID:IL7gvhYS0

千早「私も、やっぱり科学者になって優を助ける為に父の手伝いをしようと思ったんです」

千早「でも父に止められまして。千早はアイドルになって、生き返った優を楽しませてやってほしい……と」

千早「そういえば優が産まれる少し前に、Dメ……じゃなくて、突然変なメールが届いたんですよ」

千早「信じられないでしょうけど、未来からメールが来たんです」

岡部「ははは。千早は面白いことを言うんだな」

千早「……そうだ。そのメールこそ、私がアイドルを目指すようになったきっかけ」

千早「それからお父さんがもう一人子どもが欲しいって言いだして、優が生まれた……」

千早「科学者としての後を継いでくれる人が、どうしても欲しかったみたいなんですよね」



431:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:10:48.52 ID:unK+rcOI0

助手は一体何を送ったんだ



430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:09:52.58 ID:90jQqaTX0

覚えてんのかなこの子



432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:12:10.65 ID:IL7gvhYS0

岡部「さて、そろそろ寝た方がいいぞ」

千早「そうですね。薬も飲んだし」

岡部「俺は床で寝るよ」

千早「えっ、泊まっていくんですか!?」

岡部「夜中に千早の調子が悪くなったら困るからな。」

岡部「あと、もう終電がないんだよ……このままでは俺は野宿することに」

岡部(ラボで寝ればいいというのは内緒だ)

千早「それなら未来ガジェット研究所に行けばいいんじゃ……」

岡部(こいつ、俺の心を読んでやがる! フェイリスと似たような能力の持ち主か……?)

岡部「こんな暗くて寒い中を歩いては、俺まで風邪を引いてしまうぞ。いいのか?」



434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:16:20.34 ID:IL7gvhYS0

千早「……分かりましたよ。勝手にして下さい」

千早「でも床でなんて寝ないで下さい。そこにお布団入ってますから」

岡部「本当だ……しかし何故」

千早「春香とかがたまに泊まるんですよ。だから買っておいたんです」

岡部「つまりこれは春香が使った布団……ごくり」

千早「ちゃんと干してありますから。というかこれ以上HENTAI発言をするようなら、追い出しますよ?」

岡部「それはご勘弁願いたいな。いつ"機関"の攻撃を受けるか分かったもんじゃない」

千早「それじゃ、おやすみなさいプロデューサー」

岡部「おやすみ千早」



437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:21:32.21 ID:IL7gvhYS0

千早「プロデューサー! 起きて下さい、プロデューサー!」

岡部「Zzz……」

千早「遅刻しちゃいますよ。あなたはお仕事あるんでしょう?」

岡部「あとちょっとだけ……むにゃむにゃ」モミモミ

千早「なっ! どこを触ってるんですかーっ!」バシーン

岡部「げぼぁ!」



440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:27:25.33 ID:IL7gvhYS0

千早「次やったら、椎名さんに言いますからね?」

岡部「ごめんなさい。反省してます」

岡部(バスト72ってバカにされてるけど、それはとても柔らかくて、女の子なんだなぁ……って実感させられた)

千早「プロデューサー……?」

岡部「俺は決して千早の胸の感触を確かめたりなどしていないぞ、断じてだ!」

千早「あ、もしもし椎名さん? あのね、プロデューサーが……」

岡部「ストーップ! それはマジでシャレにならんぞ!」

千早「冗談です。ほら、早く支度をしてください」

岡部「あ、あぁ……寿命が十秒は縮まったぞ」



438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:26:02.35 ID:ddmbONbP0

モミモミ?



442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:30:18.07 ID:zyUw40dT0

実際胸あるから
いつもにわかが何か言っとるが



444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:31:05.55 ID:qxa6K8Oo0

>>442
紅莉栖乙



445:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:33:12.89 ID:IL7gvhYS0

千早「ご飯作っておきましたよ」

岡部「おぉ! 千早、料理できたのか!」

千早「春香や我那覇さんに教えてもらったんですよ。お口にあうといいんですが」

岡部「いただきます」

岡部「…………」

千早「どうですか?」

岡部(なんというか、ものすごく普通。いや、普通ってすごいことなんだけどさ)

岡部(なんせラボメンガールズは料理できない奴らばかりだからな……るか子は料理できるけど)

岡部(だが男だ)

岡部「普通にうまいぞ、うん」

千早「よかった」



449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:40:05.85 ID:IL7gvhYS0

岡部「さて、それじゃあ行くとしよ……」ピリリリ

岡部「社長から? 何かあったのだろうか」ピッ

高木『岡部、今日入ってた仕事が急にキャンセルになってしまったんだよ。すまない』

高木『というわけで今日は君はオフだ。疲れをじっくり取ってくれたまえ』

岡部「そうなんですか? 分かりました、失礼します……」ピッ

千早「何の電話だったんですか?」

岡部「今日、オフになった」

岡部(なんかえらく都合がいいな……これも運命石の扉の選択か?)



451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:47:25.78 ID:IL7gvhYS0

高木「本当に彼の仕事を代わりにやるのかね律子君。君にも仕事があるだろう」

律子「えぇ。時間はうまくずれてますから」

小鳥「しかし驚きましたね、まさかプロデューサーさんが千早ちゃんの家にお泊りなんて」

春香「今日の朝、千早ちゃんからメールが来て驚きましたよ……」

亜美「兄ちゃんと千早お姉ちゃん、一日中お家で二人っきりか、いいなー」

真美「うんうん。真美、兄ちゃんと一日中ゲームやりたいよー」

亜美「だよねー。兄ちゃんゲーム下手くそだけど、リアクションがすっごく面白いもん!」

美希「ミキ、今から千早さんのお家に行ってきてもいい?」

律子「良いわけないでしょ? 美希、アンタこれから仕事じゃない。サボったりしたら岡部君に失望されるわよ?」

美希「そ、それはイヤなの。ミキ、お仕事行ってくるね!」



454:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:54:17.52 ID:IL7gvhYS0

岡部「だいぶ顔色よくなってるな」

千早「えぇ……明日には仕事もちゃんとできそうですね」

岡部「さすが千早だな」

千早「…………」

岡部「…………」

岡部(そろそろ話題が尽きそうなんだが。女の子と二人っきりってのはどうも苦手だ)



455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 17:59:09.75 ID:IL7gvhYS0

千早「あの、プロデューサー」

岡部「ん?」

千早「プロデューサーは、何で私にここまでよくしてくれるんですか?」

岡部「そりゃ俺が千早のプロデューサーだからだろ」

千早「でも他の子達とは、どこか接し方が違う気がします」

千早「他の子よりもより厳しく、でもより優しく……そんな風に感じられます」

岡部「それが事実だとして、何か問題でもあるのか? 悪いことではないと思うのだが」



456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:03:19.58 ID:IL7gvhYS0

千早「そうですね。でもプロデューサーは私じゃなくて、私の後ろにいる誰かを見ている……そんな気がします」

岡部(……鋭いな)

岡部「そんなことはないぞ。いきなりどうしたんだ千早」

千早「ごまかさないでください」

岡部「ごまかす? 俺はちゃんと千早の事を見て……」

千早「プロデューサーは、私に科学者である牧瀬紅莉栖を重ねて見ているんでしょう!」

岡部「なっ!?」



462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:09:51.20 ID:IL7gvhYS0

千早「今まで隠していてごめんなさい。私、聞いていたんです。あなたがフェイリスに全てを話しているのを」

岡部(何ということだ……)

千早「椎名さんを助けるために何度も時間を巻き戻したり、数多くの世界線を渡り歩いた……」

岡部「そうか、迂闊だったよ……。なぜあの場に千早がいるという可能性を、考慮できなかったんだろうな」

千早「あなたが私に積極的に接してきたのは私のためなんかじゃない。全部自分のため」

千早「だから私はあなたとあまり関わり合いたくなかったんです」

千早「なのに、あなたはそんな事は関係なしに、どんどん私に関わってくる。でも次第に、一緒にいるのが……うれしくなって」

千早「その感情は自分に向けられてるのではないと、分かっているのに」

岡部「千早……俺は、プロデューサー失格だな」

岡部「一番近くで見ていると思ってた。一番お前のことを分かっていると思ってた」

岡部「でも、それはただの思い上がりだったんだな」

岡部「お前がこんなに苦しんでいるのに、俺は気づいてやれなかった……すまない」



464:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:15:20.65 ID:IL7gvhYS0

岡部「千早と出会ったばかりの頃は、確かに科学者である紅莉栖の姿を重ねていた」

岡部「千早のことを、紅莉栖って何度も言いかけていたぐらいだしな」

岡部「でも今は違う。俺は千早に紅莉栖を重ねてたりはしない」

千早「口では何とでも言えます」

岡部「そうだな。だがそもそも、重ねてみるなんて出来る訳がなかったんだよ」

岡部「千早と紅莉栖は元は同じ人間だとしても、成長するまでの過程が大きく異なる」

岡部「幼少期における経験などが、人間としての人格形成に大きく影響を与えると言われているのは有名な話だろう?」

岡部「如月千早と牧瀬紅莉栖では、あまりにも別人すぎるんだ」

千早「それで、別人だと分かったらポイ捨てですか?」

岡部「はぁ? 何を言ってるんだ。俺が千早を捨てたりするものか」

千早「記者の桐生さんと、夜遅くに歩いてたじゃないですか!」

岡部(見られてたのか……)



466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:19:53.09 ID:IL7gvhYS0

岡部「桐生萌郁は……詳しくは言えないが、以前の世界線で顔見知りだったんだ」

岡部「それだけの話だ、そこに他意はない」

千早「でもフェイリスとの話には、出て来ませんでしたよ」

岡部「全てを話したとは言っても、本当にすべてを話せるわけ無いだろう」

岡部「俺は何十回……いや、何百回も時間を巻き戻しているんだからな」

千早「確かに……」

岡部「それに、お前をポイ捨てなんてするような奴が、せっかくのオフを潰してまで看病なんてするものか」

岡部「俺は科学者である牧瀬紅莉栖が大好きだ」

岡部「だが、アイドルである如月千早も……大好きなんだよ」

千早「えっ、そそそ、それって……告白、ですか?」



470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:25:54.64 ID:IL7gvhYS0

千早「あ、待ってください。椎名さんのことはどう思ってるんですか?」

岡部「まゆりか? そりゃー、大好きだぞ。うん」

千早「ちょっと、それじゃ二股ってことじゃないですか!」

岡部「いや、そもそも俺は恋愛感情としての好きとは一言も言ってな……」

千早「言い訳なんて許しません。誰が一番好きなのか、よーく考えておいてくださいね」



475:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:31:20.02 ID:IL7gvhYS0

数ヶ月後――

亜美「これが最後の戦いだ! 平たい胸全開!」

亜美・真美「いっけぇえええ! キサラギィイイイッ!」

千早「…………」

亜美「千早お姉ちゃん、無視しないでよー」

真美「そうだよー、真美たちノリノリだったのにナエナエになっちゃうよー」

千早「くっ……なんで私がロボットの声優なの。しかもツルペタ万歳って何よ……」

律子「私もよ。なんなのリッチェーンって……」

伊織「私はなかなかいい感じの役でよかったわ。伊織ちゃんにふさわしいわ、にひひっ♪」

響「自分、ものすごく噛ませ犬っぽいさ……」





477:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:36:01.09 ID:IL7gvhYS0

高木「まさか765プロの皆がメインの映画が、製作されることになるとはね……」

小鳥「台本もらって、みんな楽しそうですねぇ。あら、羨ましそうに見てますねぇプロデューサーさん」

岡部「う、羨ましくなんかないですよ! ハルシュタイン閣下とかかっこいいなーとか思ってません、断じて!」

春香「プロデューサーさんも一緒に練習しませんか?」

岡部「いや、俺は出番なんてないんだが……」

春香「練習なんだし、細かいことはいいじゃないですか。ほら、行きましょう!」



478:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:40:23.41 ID:IL7gvhYS0

春香「恐れ!」

岡部「ひれ伏し!」

春香「崇め奉りなさいっ!」
岡部「崇め奉るがいいっ!」

亜美「おぉ! 息ぴったり!」

真美「こりゃー真美たちも負けてられないっしょ!」

千早「プロデューサー、今度は私と一緒に……」

岡部「いや、千早はロボの声優だろう。ちょっと無理じゃないか?」

千早「くっ……」



479:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:46:16.16 ID:IL7gvhYS0

千早(いつまでも……いつまでも、こんな楽しい日々が続くと思っていた)

千早(しかしそれは儚い幻想だった)

千早(幸せというものは、わずか一瞬で壊れるものなのだ)

千早(私は、身を持ってそれを実感することになる――)



482:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:53:03.55 ID:IL7gvhYS0

数ヶ月後――

高木「なんということだ……」

小鳥「やられましたね」

岡部(事務所の机に置かれてるのは『如月千早、熱愛発覚!?』という見出しが書かれた雑誌のページ)

岡部(載っている写真は、俺が千早を看病するために部屋に入った時のものだろう)

岡部「完全に俺の失態です。本当に申し訳ございません!」

高木「あの時の如月君を一人で返すのは危険だった。君の判断は間違っていない」

小鳥「でもこれってだいぶ前のものですよね? なぜ今頃になって……」

律子「おそらく765プロが更に人気になると踏んで、そのタイミングを狙っていたのでしょう」

高木「おそらく違うと思うが、念のために黒井に連絡して」プルルルル

小鳥「はい765プロです。あ、黒井社長!」



483:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 18:58:07.36 ID:IL7gvhYS0

黒井『今回の件だが、私は何も知らないぞ!』

小鳥「はい、社長もそう判断していますから、落ち着いて下さい」

黒井『765プロに何かしたらあの女が……ひぃいいいっ!』

黒井『む、ななななぜキサマがここにいる!? 今回の件は私ではないぞ!』

小鳥「あの、黒井社長……?」

黒井『ほ、本当だとも! なに? それならなんとかしろ? わ、分かった……出来る限りの火消しをしよう』

黒井『だがこれだけ鮮明な写真があっては、厳しいかもしれんな』

まゆり『あ、765プロさんですか? ダルくんや黒井社長にいろいろお願いしておいたのです。それじゃー』ガチャ

小鳥「切れた……あ、どうやら黒井社長が火消しに協力してくれるみたいです」

小鳥「あとダルって誰だろ? ダルビッシュ……なわけないか」



486:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:01:01.16 ID:czTgI0WZ0

まゆしぃが怖いな・・



488:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:02:26.56 ID:IL7gvhYS0

岡部(クソッ! 俺がもう少し注意してれば……)プルルルルルルル

小鳥「はい765プロです。あ、その件はただいま確認中でして……はい、申し訳ございません」

岡部(大量にある電話が引っ切り無しになり、小鳥さんたちが懸命に対応している)

岡部「そういえば千早は!?」

小鳥「困ったわね。事務所の周り、完全に囲まれてるわ」

律子「千早の自宅も張られているでしょうね。完全に後手にまわってしまったわ……」

千早「遅くなってごめんなさい!」

岡部「千早!?」

萌郁「自宅が囲まれていたから、車で強行突破してきました……危うく引くところだったけど」

岡部「萌郁!」



491:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:07:28.79 ID:IL7gvhYS0

高木「君は桐生君……助かったよ」

萌郁「765プロにはお世話になっていますので、これぐらいは」

千早「私のせいでこんなことに……本当に、申し訳ございません。謝って済むことでは、ありませんが」

律子「あまり思いつめないで千早。時間が経てば、みんなすぐに忘れるわ」

岡部「今は知らぬ存ぜぬで通して耐えるしかない、か……」



493:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:12:15.96 ID:IL7gvhYS0

岡部(今日は事件の処理などをして仕事が終わった)

岡部「すっかり遅くなってしまったな……早く家に帰ろう」

「岡部倫太郎だな?」

岡部「!」

「よくも千早を汚してくれたな……死ね!」ヒュン

岡部(ナイフ!? だがラウンダーの連中と比べたら、素人の動きだな。軽くかわせる)

「なにっ!?」

岡部「使い方がなってないな、素人の動きだ」



500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:18:15.78 ID:IL7gvhYS0

「くそっ、あたれ!」ヒュンヒュン

岡部(しかし、いつまでもかわし続ける自信はない。手刀でも入れて眠ってもらおう)

岡部「はっ!」ドスッ

「バ、バカめ……」バタリ

岡部「? 負け惜しみか……うぐっ!」ブスリ

岡部(背中からナイフを……? クソッ、一人じゃなかったのか!)

岡部「ガハァッ! ゲホッ、ゲホッ……」

岡部(地面に俺の血がこぼれ落ちていく。だめだ、意識が――)



514:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:49:44.97 ID:IL7gvhYS0

次の日――

高木「遅いな、岡部君。今の765プロには彼の力が必要だというのに」

律子「どこのニュースも千早のことやってま……え?」

アナウンサー『……において、男性が刺されているのを発見。すぐさま警察に通報したようです』

アナウンサー『なお、死亡したのは芸能事務所765プロ所属のプロデューサー、岡部倫太郎(19)と見られています』

小鳥「嘘……」

真「なんで、なんでプロデューサーが……!」

雪歩「うぅ、プロデューサー……ぐすっ」

あずさ「こんなの、あんまりでしょ……?」

やよい「もう、プロデューサーに会えないんですか? そんなの、そんなの悲しすぎます。うぅ、うわぁああああんっ……!」

真美「兄ちゃん、今度一緒にゲームするって約束したのに……」

千早「私の、私のせいだわ……」



521:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 19:57:31.29 ID:IL7gvhYS0

春香「違う、絶対に千早ちゃんのせいなんかじゃない!」

亜美「そうだよ。千早お姉ちゃん、何も悪いことなんてしてないじゃん!」

貴音「自分を追い詰めてはなりません、千早」

響「そうだぞ……そんなことしたら、プロデューサーも悲しむぞ」

伊織「一体どこのどいつが……許せない。水瀬財閥の総力をあげて探して、ギッタンギッタンにしてやる」

美希「絶対に、絶対に許さないの……」



524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:03:01.03 ID:IL7gvhYS0

――ラボ

まゆり「なんで、なんでオカリンが死ななくちゃいけないの!? なんで、なんで……」

ダル「やっていいこと悪いことがあるだろ……何でそんなに簡単に人を殺せるんだよ。ちくしょう……ちくしょう!」

るか「岡部さん、岡部さぁん……ぐすっ」

フェイリス「キョーマ……キョーマの仇は、フェイリスが取るからね。どんな手段を使ってでも」



527:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:08:48.98 ID:IL7gvhYS0

数日後――

高木「あれから、765プロはボロボロになってしまったな……」

小鳥「ショックから立ち直れずに、まともに活動が出来ない子が大勢いますからね……」

美希「おはようございますなのー!」

小鳥「美希ちゃん! もう大丈夫なの……?」

美希「うん、もう休んでる暇なんてないの。だってね、美希にはたくさんお金が必要だから」

小鳥「美希ちゃん……?」

美希「お金集めてね、ハニーを殺したやつを探しだしてもらうの。それで、ミキの手でそいつを……」

美希「あ、今のは他のみんなにナイショだよ?」



535:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:14:19.94 ID:IL7gvhYS0

真「おはようございます。あ、美希!」

美希「真君、おはようなのー。真君はいつ頃から事務所に来てるの?」

真「おとといだよ。いつまでも落ち込んでたら、プロデューサーに申し訳ないと思って」

真「プロデューサーのおかげでここまで有名になれたんだし、もっと頑張らないと」

美希「さすが真君、強いんだね」

春香「おはようございまーす! あ、来てくれたんだね美希」

美希「春香、おはようなの。昨日までに、他には誰が来てるか分かる?」

春香「律子さんと貴音さんかな」

美希「そう……あんまり来てないんだね」

小鳥「無理も無いわ。あんなことがあったんだもの……」

高木「如月君が特に心配だ。まったく連絡が来ない」



536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:16:45.51 ID:/3Dkrcng0

バイト戦士さん助けてください



537:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:18:02.93 ID:WxfYgPT20

バイト戦士なら未来で復興した765プロのアイドルしてるよ



540:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:19:59.52 ID:IL7gvhYS0

――千早の家

千早「この坂道をのぼる度に、あなたがすぐそばにいるように……感じてしまう」

千早「私の隣にいて、触れて欲しい」

千早「遠いかなたへ旅だった、私を一人置き去りにして」

千早「側にいると約束をしたあなたは……嘘つきだね」





542:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:25:26.34 ID:IL7gvhYS0

千早「プロデューサー、早く帰ってきてください」

千早「あなたがいないと私、何もできないんですよ……?」

千早「大好きって言ってくれたのに……それで終わりだなんて許しませんよ」

千早「プロデューサーが寝た布団……まだ、少しだけプロデューサーの匂いが残ってる」

千早「私に悪いところがあったら直します。言われたことは何でもします」

千早「だからお願い……帰ってきて、帰ってきてよ……!」

千早「…………」

千早「分かってる。プロデューサーは、もう帰ってこないって」

千早「私が殺したようなもの、よね」

千早「あの日、私が熱をだなさければ、熱があるのに仕事に行ったりしなければ……こんなことにはならなかった」

千早「そう。私なんかが、いなければ……」

千早「…………」

千早「今からそちらに行きます、待っててくださいね、プロデューサー」



547:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:30:03.50 ID:IL7gvhYS0

ダル『オカリン、行け! もうもたねー!』

紅莉栖『あうっ……!』

岡部『紅莉栖!?』

紅莉栖『岡部っ! 本当にいいの!?』

紅莉栖『タイムリープしてもいいの!? ねぇっ!』

岡部『やれ、紅莉栖! マシンを動かすんだ!』

岡部『跳べよぉおおおおおおおおおおっ!』



551:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:37:55.17 ID:IL7gvhYS0

千早「なに、今の光景……?」

千早「もしかしてこれが、リーディング・シュタイナー?」

千早「タイムリープ、マシン……」

千早「そうだ。時間を巻き戻せば……また、プロデューサーに会える!?」



552:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:42:21.49 ID:IL7gvhYS0

――ラボ

千早(ここに来るのは初めてね。プロデューサーと一緒に来たかったな)

千早「すみません、どなたがかいらっしゃいますか?」コンコン

まゆり「オカリン!?」ガチャ

千早「椎名さん……」

まゆり「あはは……そんなわけないよね。いらっしゃい千早ちゃん。何かご用かな?」

千早「電話レンジ(仮)を見せてもらえないかしら」

まゆり「なにそれ?」

千早(そうか。この世界線の椎名さんは知らないのね。おそらく橋田さんも……)



553:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:42:27.26 ID:CqYcSwZv0

SERN復活か・・・



559:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:47:47.32 ID:IL7gvhYS0

千早「とりあえず、上がってもいいかしら?」

まゆり「どうぞ。まゆしぃ以外誰もいないけど……」

千早「橋田さんは?」

まゆり「オカリンがいなくなってから、ずっと来てないんだ……」

千早「そう……。あら、これは……」

まゆり「電子レンジがどうかしたの?」

千早(きっとこれが電話レンジ(仮)……タイムリープマシンはなくても、これを使って世界線を変えれば……)

千早(……駄目だわ。それでは、プロデューサーの今までの苦労が水の泡)

千早(だって、世界線を渡り歩いたプロデューサーはすでに死んでしまっている)

千早(今Dメールで世界線を変更したら、例えプロデューサーが生きていても……

千早(それは、世界線を渡り歩いたプロデューサーではない。おそらく何も知らないでしょうね)

千早(それだけは絶対に駄目。何百回もタイムリープをしてきたプロデューサーの存在を、なかったことにしてはいけない)



562:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:53:53.36 ID:IL7gvhYS0

千早(ならば、やはりタイムリープマシンが必要になる)

千早(タイムリープマシンで過去に戻り、世界線を渡り歩いたプロデューサーがいる状態で、別の世界線に移動する)

千早(これしか方法はない)

千早(待って。でもこのタイムリープマシンは……SERNが存在したから、使えたんじゃない!)

千早(難しいことはよく分からないけれど、SERNのブラックホールだか何だかを利用して記憶を小さくするのよね)

千早(そして小さくなった記憶を過去に送る……つまりそのブラックホールがないと、タイムリープはできない)

千早(でもプロデューサーの話によればこの世界線にはSERNが存在しな……違う、そんなことは言っていない)

千早(あくまで、SERNがディストピアを築いていないというだけ。ならばまだ可能性は残っているはず!)



563:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 20:59:41.05 ID:IL7gvhYS0

フェイリス「チヒャー」

千早「フェイリス……なぜここに?」

まゆり「千早ちゃんが何だか難しそうなことを考えてそうだから、まゆしぃが呼んでおいたのです」

ダル「僕もいるのだぜ」

千早「橋田さん……」

ダル「全部、フェイリスたんに聞いた。これはうじうじしてる場合じゃないっすな」

まゆり「全部って?」

フェイリス「マユシィにも今から教えてあげるのニャ」



568:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:08:26.41 ID:IL7gvhYS0

千早「橋田さん。ここの回線が……」

ダル「SERNと直接繋がっているかどうか確かめろですね、分かります。さっそくやるとしますか」

千早(お願い、繋がっていて……!)

ダル「ビンゴ! マジで直通じゃん。うはwwwこれやりたい放題じゃねwwww」

千早「橋田さん……?」

ダル「ジョ、ジョークだお。そんなに怖い顔で見つめられるとビクンビクンしてしまいます」

千早「…………」

ダル「反省してます、すんませんっした!」



573:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:13:55.43 ID:IL7gvhYS0

千早「どう、ブラックホールだか何だかは使えそうなの?」

ダル「うーん、出来ないこともないけど……いくら僕でもかなり時間かかるぜ」

千早「ありがとう、橋田さん!」

ダル「ちょ、いきなり抱きつかれたら胸があたって……あれ、あたってない? あいてっ!」ドゴッ

千早「おだてようとした私がバカでした」



577:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:20:21.65 ID:IL7gvhYS0

フェイリス「……と、要点をかいつまんで話すと、こんな感じニャ」

まゆり「オカリンが、まゆしぃのために……?」

千早「ちょっと嫉妬しちゃいますね、椎名さんに」

まゆり「えへへ……」

フェイリス「あとチヒャー、チヒャーのパパさんに連絡してくれるかニャ?」

千早「え……なぜ?」

フェイリス「自分のパパの職業を忘れたのかニャ?」

千早「あ……!」



583:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:26:35.17 ID:IL7gvhYS0

中鉢「なるほどな……まさか、そんなことになっているとは」

中鉢「すまなかった。いくらマスコミが騒いでるとはいえ、すぐに駆けつけてやるべきだったのに」

中鉢「紅莉栖……いや、千早と呼ぶべきか?」

千早「紅莉栖って呼んで」

中鉢「分かった。しかしSERNが見にブラックホールの生成に成功したというのは、以前話題になったが……それを利用するとは大胆な作戦だ」

中鉢「だが待てよ? タイムマシンが完成したら、SERNが未来を牛耳る可能性がでてくるのではないのか?」

フェイリス「キョーマは、世界線変動率が大きく変わる分岐点は2010年にあるって言っていたニャ」

フェイリス「だから今より何年も先にタイムリープマシンを作れば、世界線が大きく変わることはないはず……」

千早「万が一SERNが未来を牛耳るような世界線になったら、その時点でプロデューサーは今までのプロデューサーはなくなるわね……」

ダル「どれだけ世界線が変動すると、個人の脳みそが変わっちゃうんだろうな」

フェイリス「キョーマの話からすれば多少の変動なら大丈夫みたいニャんだけど……具体的な数値は分からないニャ」

千早「そもそも、私達には世界線変動率を確かめる術がないわ」

まゆり「一歩間違えたら、こうやってオカリンの事を考えているまゆしぃ達も、消えちゃうんだね。何だか怖いな……」



585:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:31:48.29 ID:IL7gvhYS0

千早「そう。私達が今からやることは、世界線を大きく動かしかねない行為」

千早「それでも私は……こんな結末、絶対に認めない」

ダル「オカリンいないと静かすぎてつまんねーしな」

中鉢「紅莉栖が世話になったようだしな、岡部君とやらには」

中鉢「何より娘が助けを求めているのだ。娘を助けるのに理由は必要あるまい」

まゆり「まゆしぃは難しいことは分からないけれど……オカリンと一緒にいたいのです」



588:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:36:36.91 ID:IL7gvhYS0

数年後――

千早「これが、タイムリープマシン……」

中鉢「フッ、とうとう念願のタイムマシンが出来たのだな」

フェイリス「クーニャンはあっという間に完成させたのに……結構時間がかかったニャン」

中鉢「α世界線の紅莉栖が優秀すぎるだけだろう。それに、すぐに作り始めるわけにはいかなかったからな」

ダル「あと、α世界線のマシンとは違って、ニ日しか戻れないという制約がないお。格段にパワーうpしてる」

フェイリス「そうだったニャ。ごめんニャ……」



598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:46:59.67 ID:IL7gvhYS0

――事務所

小鳥「はぁ。かつての栄光が懐かしいですね……」

高木「何を弱気になっているんだね音無君。私は信じているぞ。彼女たちなら、きっと再びトップアイドルに戻れると……」

春香「ただいま帰りましたー!」

真「ふぅ、今日も疲れたなぁ」

貴音「えぇ、早くかっぷらぁめんを……」

小鳥「おかえりなさい、みんな」

高木「疲れているだろう。どれ、天海君の肩を揉んであげよう」

春香「きゃっ! くすぐったいですよ社長ったらぁ」



608:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:52:54.81 ID:IL7gvhYS0

真「貴音? どこを見ているんだい?」

貴音「プロデューサーが居た時の事務所の方を、見ていたのです」

真「懐かしいね。大きなビルだったなぁ。まぁ僕は今のおんぼろ事務所、嫌いじゃないけどね」

春香「前の事務所は……今の私達には広すぎるかな。この事務所でさえ、広く感じるぐらいだもん」

真「みんな、いなくなっちゃったもんね」

小鳥「あの時と比べると、お給料もすごく下がっちゃって……美希ちゃんは別の事務所に行ったわね」

貴音「そして律子は結婚して退社……羨ましいものです」

小鳥「結婚は、もう諦めてるわね……」

高木「まだまだ3X歳ではないか」

小鳥「全然フォローになってませんよ、社長」



609:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 21:58:51.35 ID:IL7gvhYS0

貴音「他の皆はどうしているのでしょう……」

真「分からない……。プロデューサーが亡くなった直後は連絡取り合ってたけど、今は音沙汰なし……」

春香「あ、昨日……千早ちゃんにあったよ。何だかすごく嬉しそうなかおしてた」

春香「ようやくプロデューサーに会える! とか言ってたよ。話しかけようとしたんだけど、いつの間にか居なくなってたんだ……残念」

真「それ、かなりヤバイんじゃないの……?」

貴音「プロデューサーは、遠くへ行ってしまいました。私達が会うことは、もう二度とないのです」

小鳥「もしかして千早ちゃん、死ぬつもりじゃ……」

春香「うーん、私もそう思ったんだけどね……千早ちゃんのメはすごく輝いてた。だから、きっと大丈夫だと思う」

高木「如月君と付き合いの長い君がそういうのなら、きっとその通りなのだろう」



613:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:03:51.66 ID:IL7gvhYS0

高木「そういえば、こんな事を言うのはあれなんだが……なぜ君たちは別の事務所への移籍をしないんだね?」

真「やだなぁ社長、決まってるじゃないですか」

貴音「愚問ですね、高木殿」

春香「そうそう。私たちは……」

真・貴音・春香「この事務所が大好きだからです!」



616:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:08:40.29 ID:IL7gvhYS0

まゆり「世界線の大きな変動は起きなかったんだね、よかった……」

中鉢「うむ……多少は変化してるだろうがな。そもそも、世界線は常に変動しているもののような気がするぞ」

ダル「あとはこれで過去に戻れば……頼むぞ、ちーちゃん」

千早「えぇ。ありがとう橋田さん」

まゆり「オカリンにボディガードつけてね?」

千早「分かってるわ、まゆり」

フェイリス「仕事、やっちゃだめニャよ?」

千早「そうね。あれが全ての元凶なのだから……」

中鉢「手を尽くしても駄目だったら、おそらく世界線は岡部君が死ぬという結果に収束するだろう」

中鉢「タイムリープマシンの作り方は頭に叩きこんだな?」

千早「大丈夫よ、お父さん」

千早「それじゃ……行ってきます」



624:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:14:39.07 ID:IL7gvhYS0

数年前――

岡部「千早! 連絡ぐらいは……っておい、どうした!?」

千早「…………」

千早(戻って来れたのね、この日に)

美希「千早さん、顔真っ赤なの」

春香「おでこ、すっごく熱い……」

千早「そうね、ごめんなさい。今日はお仕事、休んでもいいですか?」

岡部「そうだな、先方には俺が謝罪しておく。一人で帰れるか?」

千早「はい。明日はオフですし、じっくり身体を休めることにします」



629:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:22:52.46 ID:IL7gvhYS0

――千早の家

千早(まずは手はず通りフェイリスさんに連絡を……)

フェイリス『チヒャー? どうかしたのかニャ?』

千早「フェイリス、私……タイムリープで未来から戻って来たの」

フェイリス『ニャッ、ニャんですとー!?』

千早「次にメイクイーンで行うイベントは男装執事喫茶」

フェイリス『ニャッ、ニャぜそれを!』

千早「未来のあなたに聞いたのよ。未来から来たという証拠のためにね」

フェイリス『ニャるほど……それで、チヒャーは何のためにタイムリープをしてきたのかニャ?』

千早「それは……」



631:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:27:11.19 ID:IL7gvhYS0

フェイリス『そんな、キョーマが!?』

千早「えぇ。だから彼のにボディガードをつけて欲しいの。あと何か起きた時にマスコミを封殺する用意も」

フェイリス『分かったニャ。チヒャーはどうするのかニャ?』

千早「プロデューサーが誰かとふたりきりで帰ろうとしたら阻止する」

千早「とにかくスキャンダルになりかねないことが起きないように、注意するわ」

千早「嫌われるかもしれないけれど……それでプロデューサーが助かるのなら、お安いものね」



635:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:32:18.57 ID:IL7gvhYS0

数ヶ月後――

千早(プロデューサーは、死んでしまった)

千早(以前殺された時と同じ日に……)

千早(警護は完璧だった。周囲に怪しい人物はいなかった)

千早(スキャンダルなんてまったく起きていない)

千早(でも、交通事故なんて……防ぎようがないじゃない)

千早(ううん、そんなことはない。そうよ、あの日だけ事務所にずっと居てもらえばいい)

千早(みんなに相談して、もう一度タイムリープマシンを作らないと……)



642:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:36:55.69 ID:IL7gvhYS0

3回目。プロデューサーはすっ転んだ春香にぶつかり、勢い余って机の角に頭をぶつけて死亡。

4回目。プロデューサーにはずっと座ってもらうことにした。しかし春香が料理をしているときに包丁がすっぽ抜け、プロデューサーに刺さって死亡。

5回目。春香には悪いけど早めに帰ってもらった。プロデューサーはもちろん座らせている。
      しかしトイレに行きたいと言い出したプロデューサーを止めることが出来なかった。トイレに行く最中に転んで死亡。

6回目。トイレに行きたいと行った所で尿瓶を渡した。しぶしぶ承諾してくれたものの、
     大きな方がしたくなった時に対処できず、トイレに行かせてしまい……途中で転んで死亡。

7回目。申し訳ないのだけれど、完全に動きを封じさせてもらった。でも……心臓麻痺で突然死。どうやって対処すればいいの!?



644:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:37:46.02 ID:AWWw3Hoo0

oh…無残すぎる



645:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:39:09.81 ID:xDVVoLkh0

トイレに行く時に死ぬとかキチャナイ



647:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:39:58.99 ID:hK9RbNdz0

死因が割と酷いwww



649:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:40:59.67 ID:EDGvN64s0

春香ぎるてぃ



651:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:41:24.00 ID:IL7gvhYS0

千早(心臓麻痺。これはもう……打つ手なし、ね)

千早(プロデューサーの死は、確定事項だと認めるしかないわ)

千早(ならばもう、世界線を大きく移動するしか……方法はない)

千早(でも、それをするということは……)

千早(プロデューサーと私達との思い出が、なかったことになってしまう)

千早(でも、それしかプロデューサーが助かる道がないのなら……)

千早(…………)

千早(それに、プロデューサーだけは覚えていてくれる)

千早(例え私達がすべてを忘れたとしても)

千早(プロデューサーに私が体験してきた全てを話しましょう。再びタイムリープをして……)



658:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:45:58.46 ID:IL7gvhYS0

岡部「この世界線では俺がその日に死亡するということが、確定しているんだな?」

千早「はい。何度も、何度も時間を巻き戻したけれど……駄目でした」

岡部「だが、俺が死ぬだけで済むのなら……」

千早「プロデューサー。それ、本気で言ってるんですか!?」

千早「私はあなたを死なせないために、何度も過去に戻ってきたんです」

千早「今のあなたの発言は、その想いを踏みにじる言葉ですよ……」

岡部「……!」

岡部(俺は何てことを言ってしまったんだ)

岡部(千早同様、俺も大切な人を助けるために何度もタイムリープしてきたというのに)

岡部(なぜ、その想いを踏みにじるようなことを……)

岡部「すまない。軽率な発言だった……」

千早「次に言ったら、許しませんからね」



661:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:49:38.65 ID:IL7gvhYS0

岡部「この世界線もダメなのか……どうすればいいんだ」

千早「何か抜け道があるかもしれない。諦めるのは早いですよ」

岡部「早い? 俺はな……数えきれないほどタイムリープをしてきたんだぞ」

岡部「それなのに、このザマなんだ。全員の身に何も起こらずに済むなんて、望みが高すぎたんだよ……」

千早「…………」

千早「岡部さん、教えてください。あなたが体験してきたことのすべてを」

岡部「フェイリスから聞いたのではないのか?」

千早「えぇ。でも全てを話せたわけではないと、未来のあなたは言いました。言っていない所に、何かヒントになるようなものがあるかもしれません」

岡部「……いいだろう」



663:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:54:15.62 ID:IL7gvhYS0

岡部「すべての始まりは、ラジ館……秋葉原のラジオ会館だ」

岡部「俺はそこで行われる、ドクター中鉢のタイムマシン記者会見を見に行った」

千早「お父さんの……」

岡部「だが彼の会見は正直、残念なものだった。だから俺は途中で席を外した」

岡部「その後、何者かの悲鳴が聞こえた。俺は急いで悲鳴の方向へ向かったんだ」

岡部「そうしてそこで見たのが、血にまみれて倒れる牧瀬紅莉栖だった」

岡部「恐ろしくなった俺は急いでラジ館から逃げ出した。そしてダルにメールを送ったら、その瞬間……眼の前の景色が消え去った」

岡部「そして、気づいたらラジ館の外に居たんだ」

千早「それが初めてのDメール……」

岡部「あぁ」



664:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 22:58:59.81 ID:IL7gvhYS0

千早「ひとつ気になることがあるわね」

岡部「ん?」

千早「私って、本当に死んでたのかしら?」

岡部「あれだけの血が出ていたら、まず死んでいると思うが……」

岡部「いや、恐ろしくなってすぐに逃げたから……絶対に死んだとは言い切れないな」

千早「それなら、私が死んだように見せかければ……」

岡部「見せかける?」

千早「確定した出来事は変えられない。でも、β世界線で私が死ぬことは確定事項ではない」

千早「血まみれで倒れていた……確定してるのはそれだけ」

岡部「つまり、何らかの小細工をして……紅莉栖を死んだように見せかけ、それを俺に目撃させる……ということか!」



667:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:03:16.55 ID:IL7gvhYS0

岡部「しかしそれは無理だ」

岡部「世界線を超えて記憶を継続できるのは俺一人」

岡部「だがそれでは、紅莉栖に細工をすることが出来ない」

岡部「Dメールを使えば過去に干渉できるが、使ったらα世界線に戻ってしまう」

千早「それなら、タイムマシンを使えばいいんじゃ。タイムリープマシンじゃなくて、正真正銘のタイムマシンを」

千早「タイムマシンを用いて、未来から過去に直接干渉する」

千早「エシュロンとかいうのは通信傍受システムよね。それなら、物理的なタイムトラベルを監視するのは無理じゃないかしら?」

岡部「待ってくれ。タイムマシンなんて、どうやって作るというのだ」

千早「私、α世界線ではタイムマシンの母って呼ばれてるんでしょう?」

岡部「確かそうだ。だが、今のお前は科学者ではない」

岡部「タイムリープマシンを作ったとは言え、α世界線の紅莉栖ほどの能力があるかは分からない」

岡部「それに、β世界線ではお前の力なんて借りれないじゃないか。だってお前は……」

千早「そう。だからプロデューサーと橋田さんに、タイムマシンを作ってもらわないといけない」



671:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:10:54.87 ID:IL7gvhYS0

千早「幸い、時間は無限にあるのだし……今からありとあらゆる学問について学ぶとしましょう」

岡部「時間だと? この世界線では俺の命はさほどないだろう……というか、いきなり勉強の話ってどういうことだ?」

千早「プロデューサーには寿命ぎりぎりまで勉強してもらって、タイムリープで戻ってきてもらいます」

千早「そしてひたすら勉強をする。もちろん、たまには息抜きも必要ですが」

千早「何度繰り返すことになるかは分かりませんが、なんとかして物理的なタイムマシンを創り上げる」

千早「タイムマシンを作ることができたらα世界線へ戻り、β世界線に行きましょう」

千早「β世界線についたら、再びタイムマシンを作ってください」

岡部「そんな無茶苦茶な……」

千早「無茶苦茶じゃありませんよ。α世界線では遅くとも、2036年にはタイムマシンが完成しているんですよね」

千早「無限に時間があれば、何とかなると思いませんか?」

岡部「だが俺は素人もいい所で……」

千早「最初は誰でも素人です。プロデューサーは明日死ぬ、というわけでもないんですし」

千早「正直嫌ですけど、SERNに入社して最先端の科学を学ぶ……そういった手段もありますね」

岡部「フッ、なかなか言うではないか千早。そうだな……では、再び終わりの見えない旅を始めるとしよう」



673:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:15:43.80 ID:IL7gvhYS0

岡部(俺は、何度タイムリープを繰り返したのだろう)

岡部(最初は回数を数えていたが、千を超えたあたりで数えるのをやめてしまった)

岡部(ある時は大学で学び、ある時は研究所で学んだ)

岡部(SERNにも非常に長い間、勤めていたな……)

岡部(吐き気がする行動だったが、SERNに勤めなければタイムマシンは完成しなかっただろうな)

岡部(まぁこの世界線のSERNはディストピアなんて作ってないんだが、やはりα世界線でのことを考えると嫌悪感を抱いてしまう)

岡部(…………)

岡部(千早にはどれだけ世話になったか分からないな)

岡部(休むことも必要だからと、彼女と様々な場所にでかけたりもした)

岡部(しかし……その生活にもとうとう終止符を打つ時が来たようだ)



680:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:20:29.75 ID:IL7gvhYS0

千早「タイムマシン、完成したのね……」

岡部「あぁ……気の遠くなるほどの時間をすごして、ようやくたどり着いたのだ」

岡部「やっと……悲しみのない世界に行けるんだ!」

千早「ねぇ、プロデューサー。最後にひとつ……お願いしたいことがあるの」

岡部「何だ? 何でも言ってくれ!」

千早「その……デート、してくれますか?」

岡部「千早?」

岡部「そうか、これでお前とは……」

千早「そんな悲しそうな顔をしないでください。これは、私が望んだことなんですから」

岡部「…………」

岡部「どこに、行こうか?」



684:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:25:33.62 ID:IL7gvhYS0

千早「今までお世話になったみんなに、お礼を行って言いに行きましょう」

岡部「それは果たしてデートと言えるのだろうか?」

千早「デートで一番重要なのは……どこに行くかじゃなくて、誰と行くかですよ」

岡部「なるほど……確かに、その通りだな。千早と二人で行くなら、どこへ行くとしても楽しいに違いない」

千早「プロデューサー」

岡部「ん?」

千早「今日だけ、岡部君って呼んでも良いですか?」

岡部「……っ!」

千早「嫌、でしたか……」

岡部「フ、フッハッハ! そ、そんなワケがないだろう。ちょっとドキッとしたとかそんなんでもないぞ!」

千早「……ぷっ! 本当にプロデュー……じゃなくて、岡部君は分かりやすいですね。最初の頃と全然変わってないです」

岡部「フッ……今も昔もぶれぬ男、それがこの鳳凰院凶真だッ!」



688:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:31:48.83 ID:IL7gvhYS0

岡部「なぁ、俺もひとつ頼みがあるんだが……」

千早「なんですか?」

岡部「岡部君って呼ぶなら、敬語はやめてくれ。違和感が半端ない(ヘァンパない)のでな」

千早「へぁんぱって何ですか?」

岡部「なぜそんな微妙なところに齧り付くのだ。とにかく、違和感があるということだ」

千早「なるほど……でも、今まで男性と親しい仲になったことがないんです。どうやって話せばいいんでしょう……」

岡部「ふむ……そうだな、俺を春香だと思ってはどうだ?」

千早「春香だと思って……そうね、やってみます」



693:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:38:01.65 ID:IL7gvhYS0

千早「春香、まずは事務所に行きましょう。私達が一番お世話になったところだし」

岡部「カット! カットカット! 春香じゃなくて岡部君で頼む」

千早「あ、そうでした……じゃなくて、そうだったわね」

岡部「よし、さっきの台詞をもう一度だ」

千早「別にその必要はないのでは……」

岡部「この世に必要ないことなどないっ! そして物事は最初が肝心なのだ!」

千早「はぁ……岡部君ってたまに変なこと言うわよね」

岡部「それは違うな千早よ。たまにではなく、常に……だ」

千早「…………」

岡部「む、無視はいけないな。俺のガラスのハートがブロークンしてしまう」

千早「やれやれ……本当に変な人。でも、そんなところも嫌いじゃないかも」



697:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:45:49.90 ID:IL7gvhYS0

――事務所

岡部・千早「おはようございます」

小鳥「あら? 二人とも今日はオフのはずじゃ……」

岡部「今日は事務所の皆にお礼を言いに来たんですよ」

小鳥「お礼……? も、もしかして二人とも……事務所をやめちゃうんですか!?」

千早「結果的には、そういうことになりますね」

岡部「散々お世話になったのに、それを仇で返すような形になってすみません」

高木「君たちがどういう経緯で、やめるという決断を下したかは分からないし、無理に聞こうとも思わない」

高木「だが君たちの顔は非情に晴れ晴れとしている。実にいい顔だ」

岡部「社長……」

高木「君たちの未来が良きものとなるように、祈っているよ」

岡部・千早「今まで、本当にありがとうございました!」



701:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:50:48.91 ID:IL7gvhYS0

小鳥「綺麗に締めた所でアレなんですけど、もうすぐ他の皆も帰ってくると思います。だから、少しだけ待っていてくれると嬉しいです」

岡部「はい、もちろんですよ。ちゃんと皆に別れを告げるつもりですから」

千早「あら、大勢の足音が……噂をすればなんとやらですね」

春香「ただいま帰りましたー……ってあれ、千早ちゃんにプロデューサーさん。今日はオフだったはずじゃ……」

岡部「お帰り、みんな。実は俺と千早は、本日をもって765プロを辞める」

春香「えぇっ!?」

真「いきなり何を言ってるんですかプロデューサー。冗談にしても笑えないですよ」

伊織「ははーん、ドッキリか何かでしょ。この伊織ちゃんには全てお見通しなんだからね」

雪歩「ということは事務所のどこかにカメラが? 何だか恥ずかしいですぅ……」

響「なんだ、ドッキリか。自分、見事に騙されちゃったぞ!」

千早「いいえ。これは、ドッキリなんかじゃないわ」

小鳥「二人は、本当に765プロを辞めるの」

「えぇええええっ!」



703:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:56:02.65 ID:UytjDgKL0

フルメタの技術の発展の仕方みたいな方法だ



704:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/08(木) 23:56:27.97 ID:IL7gvhYS0

貴音「プロデューサー、そして千早……これは一体、どういうことなのですか?」

律子「そうですよ。納得の行く説明をお願いいたします」

亜美「兄ちゃんと千早お姉ちゃんが居なくなるなんてやだよー!」

真美「そうだよ。今度なんとか研究所に行って、一緒にゲームやるって言ったじゃん!」

やよい「うっうー……すごく寂しいです」

美希「なんで千早さんと一緒にやめるの? すっごくアヤシイの……」

あずさ「もしかして、結婚するのかしら?」

雪歩「それとも、駆け落ち……?」

岡部「そういう類のアレではない」



708:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:01:51.58 ID:BkqQqoB90

響「じゃあ何でなのさー! 自分、プロデューサーや千早と離れ離れになるなんて絶対に嫌だぞ!」

伊織「ていうかプロデューサー……私に借りがあることを、忘れてるんじゃないでしょうね?」

岡部「忘れたりなんてしていないさ、一秒たりともな。あの時は本当に助けられたからな、伊織に」

伊織「な、なに真顔で言ってんのよ! まったく……」

美希「あぁ、デコちゃんの顔……真っ赤なの」

伊織「うるさいわねっ! そういうアンタはどうなのよ。あんなにプロデューサーにベッタリしてたくせに」

美希「えっとね……悔しいけど、プロデューサーと千早さんはお似合いだと思うの」

千早「やだ、美希ったら……」

春香「そうだ、みんなで写真取りませんか?」

高木「ほう、いいね……ティンときた! すぐにカメラを持ってくるとしよう」



713:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:07:39.79 ID:BkqQqoB90

高木「四条君、もう少し真ん中に……そうそう、その辺りだ」

高木「寂しいのは分かるが、涙を拭いてくれたまえ萩原君。そう、いい笑顔だ」

高木「よし……タイマーを押すぞ」カチッ

小鳥「ゆっくり慌てずに来てくださいね、社長」

高木「はぁっ、はぁっ……」

春香「大丈夫ですか社長?」

高木「なんのこれしき。まだまだ若い者には負けんよ」

岡部(たかが数メートルだろうというツッコミは野暮だな)

パシャッ



716:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:11:41.65 ID:BkqQqoB90

小鳥「デジカメって便利ねぇ。すぐに見れるんだもの」

亜美「おぉ、いい感じですなぁ」

伊織「ふふん♪ やっぱ私が一番ね!」

響「いや、一番は自分さ!」

あずさ「何だか前にもありましたねぇ、こんなやりとりが」

伊織「プロデューサー!」

響「どっちが一番だと思う!?」

岡部「どっちも一番さ」



718:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:16:38.53 ID:BkqQqoB90

伊織「上手いこと行って誤魔化そうったってそうはいかないんだから! ねぇ響……ってあら?」

響「自分はこれで満足だぞ。だって自分、大人だもんね」

伊織「むっきー! 何だか負けた気がするわ……」

美希「ふたりともまだまだ子どもなの、あふぅ」

岡部(この写真も、世界線が変われば消えてしまう)

岡部(だが俺は絶対に忘れないぞ。この目にしっかりと焼き付けておかねば)



721:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:20:39.09 ID:BkqQqoB90

春香「あ、今日クッキー作ってきたんですよ。作りすぎたのでどうぞ! 餞別っていう程のものでもありませんが」

岡部「ありがとう春香。大切に食べるからな」

やよい「何かあげたいのに、何も持ってないです……」

千早「その気持ちだけで十分よ。ありがとう、高槻さん」

岡部「それじゃ、そろそろ……」

真「プロデューサー、また会えますよねー!?」

雪歩「もし近くに来たら事務所に顔を出して欲しいです」

岡部「あぁ、必ずまた会えるさ! なぜならそれが……」

亜美・真美「運命石の扉の選択だからだー!!」

岡部「おい、流星の双子よ! 人の決め台詞を取るとは……まさに外道!」

岡部「これはこの狂気のマッドサイエンティスト兼プロデューサー、鳳凰院凶真による説教が必要だな!」

千早「もう、バカやってないで行くわよ岡部君」ズルズル

岡部「おい! 服を引っ張るな! 歩く、自分で歩くから!」



727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:26:59.86 ID:BkqQqoB90

――ラボ

岡部「鳳凰院凶真、ただいま帰還したっ! さぁ、ラボの主を盛大に迎え入れるがいい! フゥーハハハッ!」

千早「お邪魔します……」

ダル「生ちーちゃんktkr! うは、こんな間近で見れるとは……感動したっ!」

岡部「俺は無視か!」

ダル「あー、ちーちゃん連れてきたオカリンGJ!」

岡部「あくまで千早にこだわるんだな……」

ダル「当たり前だろ常考。ちーちゃんのためなら死ねる」

まゆり「ただいまー……ってあれ、オカリンに千早ちゃん?」

フェイリス「ニャニャッ、チヒャーがラボにいるなんて珍しいのニャ」

るか「お、お邪魔します……」

千早「椎名さんにフェイリス……それに、漆原さんだったかしら。こんにちは」



732:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:31:38.07 ID:BkqQqoB90

千早「なんだか一気に人が増えたわね……」

岡部「うむ、まぁ丁度いいな」

ダル「ん? なんかやるん?」

千早「えっと……みなさん、今まで本当にありがとうございました!」

岡部「俺からも礼を述べよう。ラボメン諸君、今まで実にご苦労だったな!」

ダル「おいオカリン。まさか、ちーちゃんと結婚するのか?」

岡部「はぁ? なぜそうなる……」

フェイリス「私たち結婚します! のノリとしか見えないニャ……」

まゆり「うんうん。でも、千早ちゃんならオカリンをお願いできるかな。ちょっと羨ましいけど」

るか「その……おめでとうございます」



737:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:38:29.77 ID:BkqQqoB90

千早「あの、私達は今までお世話になった人達にお礼を言っているだけなんだけど……」

岡部「千早の言う通りだ。結婚するわけでもなんでもない」

千早「そこまで言い切られると腹が立つわ」

岡部「いや、決して千早と結婚したくないわけではないのだぞ?」

岡部「しかしだな、やはり結婚というのは二十歳過ぎてからでないとだな……」

千早「それ以上言わないで。恥ずかしいから」

ダル「うん、もうお腹いっぱいだから。ご馳走様です」

フェイリス「ラブラブすぎて見てるこっちがもたれてきそうニャン……」

萌郁「お邪魔、します……」ガチャ

千早「桐生さん?」

萌郁「動かないで」

岡部「……っ!?」



739:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:39:49.72 ID:DuznXwPC0

もえいくさん…



740:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:39:59.22 ID:S2Igz9QR0

何だと…



742:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:40:13.49 ID:zqFlrlUI0
744:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:41:46.25 ID:BkqQqoB90

萌郁「くっつき虫、取れた」

岡部「驚かせるなよ……」

フェイリス「心臓が止まるかと思ったニャ」

千早「えぇ……」

ダル「なんでみんな、そんなにビビッてるん?」

まゆり「不思議なのです……」

岡部「まぁ色々とあるんだよ……萌郁、なぜここを知っているんだ?」

萌郁「高木社長に教えてもらった。765プロに行ったら大騒ぎしてて、何があったか聞いたら……岡部君がやめるって」

萌郁「本当、なの?」

岡部「あぁ。萌郁にも随分とお世話になったな。今までありがとう」

千早「ありがとうございました、桐生さん」



750:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:47:23.22 ID:BkqQqoB90

岡部「よし、大勢集まったことだし……写真を取るか!」

ダル「ちーちゃんと写真とか……駄目だ、今夜は眠れそうにない」

千早「あの、橋田さん……ちょっと近いです」

まゆり「ダメだよダルくん、千早ちゃん怯えさせちゃ」

ダル「まゆ氏の一見ただの細い腕にしか見えない中に、秘められている怪力の方が怖……」

まゆり「何か言ったかな?」

ダル「何でもないでござる! ってこの記者さんもかなりの美人! オカリンマジ爆発しろ!」

萌郁「美人? 私が……?」

るか「萌郁さんはとっても綺麗ですよ……スタイルもいいし」

萌郁「るか君も、とっても可愛い……と思うわ。また記事を、書かせてね」

岡部「タイマー、セーットォ! 行くぞ、とぉっ……ってしまった、身体のバランスが!」ドンガラガッシャーン

千早「岡部君っ!?」

ぱしゃっ



753:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:50:57.98 ID:BkqQqoB90

ダル「これはひどい」

まゆり「見事にずっこけてるねぇ」

フェイリス「カッコ悪いのニャ……」

るか「岡部さん、大丈夫ですか?」

岡部「これぐらい大したことないわ、フゥーハハhッ!」

千早「もう、本当に心配したんだからね! バカッ!」

ダル「ちーちゃんに怒られるオカリンマジ裏山」

萌郁「橋田君って……変態?」

まゆり「その通りなのです☆」



757:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:55:39.07 ID:BkqQqoB90

千早「ラボは本当に騒がしいわね。でもラボのみんなには、本当にお世話になったわ」

岡部「あぁ。みんながいなければ……ここまでたどり着くことはできなかった」

千早「えぇ……」ピロリロリン

岡部「メール?」


From:フェイリス
Subject:運命石の扉の選択
――──────────
キョーマとチヒャーなら、絶対
にみんなが幸せな世界線へと
辿りつけるって信じてるニャ。

さようならは・・・言わないのニ
ャ。


千早「フェイリス……ありがとう」

岡部「さようならは言わないぞ、フェイリス……」



760:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 00:59:38.00 ID:BkqQqoB90

岡部(新幹線に揺られることおよそ三時間……)

岡部「ついたな、青森」

千早「うん。最後は……私のお父さんに会いに行きましょう」

岡部「まるで娘さんをくださいと言わんばかりだな」

千早「違うの?」

岡部「いや……間違いではないな。では、道案内を頼むぞ」

千早「分かったわ」



764:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:04:06.30 ID:BkqQqoB90

――中鉢の家

中鉢「ほう、君が紅莉……ではなく千早のプロデューサーか。いつも娘がお世話になっている」

中鉢「それで、私に何の用だね?」

岡部「あなたにお礼を言いに来たのですよ」

中鉢「? どういう意味なのだ」

千早「お父さんがいなかったら、今の私達はないの。本当にありがとう……」

中鉢「ま、まさか……結婚するのか!?」

中鉢「娘の幸せを願うのが親の役目……しかし、娘にくっつく悪い虫を追い払うのも親の役目」

中鉢「悪いが、君を少し試させてもらうよ」

岡部「ほう……面白い。受けて立ちましょう」



767:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:09:08.65 ID:BkqQqoB90

中鉢「き、君は一体何者なのだね……?」

中鉢「プロデューサーなどではなく、どこかの研究員じゃ……」

岡部「俺は狂気のマッドサイエンティスト兼プロデューサー……鳳凰院凶真ですッ!」

千早「ちょっと、親の前でそれやらないでよ……」

中鉢「何を言ってるのかよく分からないが、君には娘を任せられそうだ」

岡部「はい、お任せ下さい!」

千早「お父さんもやっぱりどっか変よね……こんな厨二病に娘を任せるとか」



768:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:12:21.07 ID:BkqQqoB90

千早「今日はありがとう。すごく楽しかった」

岡部「俺もだよ。ドクター中鉢はなかなか手ごわかった」

千早「岡部君、少しあのベンチで休まない?」

岡部「そうだな。今日は随分とはしゃいでしまったし」

千早「ふふ、そうね」



771:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:17:04.96 ID:BkqQqoB90

千早「もう、悔いはないわ」

岡部「千早……」

千早「駄目じゃないですか、そんな顔しちゃ。朝も言いましたよね、プロデューサー?」

岡部「そう、だったな……。しかしそういう千早も、敬語に戻っているぞ」

千早「うーん……私達はこっちの方が自然かな、と思いまして」

岡部「はは、それもそうだな。タメ口の方が何だか堅苦しい気がする……変な話だが」



775:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:21:36.16 ID:BkqQqoB90

千早「プロデューサー、この世界線での私や765プロの皆、そしてラボメンの事……忘れないで下さいね」

岡部「あぁ。俺は、この世界線で起きたことを……ずっと覚えている」

岡部「だめだ……こういう時こそ、笑わなくてはならんと言うのに。涙が、止まらん……」

千早「本当に長い間……ありがとうございました、プロデューサー」

岡部「こちらこそありがとう、千早……」



778:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:27:00.79 ID:BkqQqoB90

千早「プロデューサー、寝ちゃったのね。無理もないか、本当に長い間頑張ってきたのもの」

千早「…………」

千早(消えたく、ない。ずっと、プロデューサーと一緒に居たい)

千早(でも、それは叶わぬ夢)

千早(駄目。これ以上一緒にいると……私の決心が鈍りそう)

千早(寝ている内に立ち去りましょう。最後に一曲、送って……)

千早「いつまでもこのままでいたいね。ずっとずっと一緒にいられたらいいね」

岡部(Zzz……ん? 歌が、聞こえる……)

千早「元気が戻ってきて良かった。フタリでがんばってきたよね。でも、それも終わり……」

岡部(これは『フタリの記憶』……?)

千早「何も言わずにさよならするよ。キミと出会えて、すごく嬉しかったな……」

岡部(千早……ごめんな。俺は如月千早というアイドルを、助けることが出来ない)

千早「いつまでも忘れないでいるよ。ずっとずっと空で見守っているよ――」

千早「さようなら、プロデューサー」





782:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:34:04.39 ID:BkqQqoB90

岡部(……行ったか)

岡部(ようやく、誰も悲しまずにすむ世界線に行けるんじゃないか)

岡部(なのに、なぜだ?)

岡部(なぜ、涙が止まらんのだ!)

岡部「千早……」

岡部「千早、千早……! ちくしょう……俺は、俺は何て無力なんだ!」

岡部「うわあああああああああああああっ!」



786:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:37:45.66 ID:BkqQqoB90

――ラボ

岡部「まずはタイムリープで、この世界線に来た日まで戻ろう」

岡部「この時点でDメールを送り、α世界線に戻ったらどんな状況か分からないからな」

岡部「…………」

岡部「さようなら、如月千早」



788:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:39:03.56 ID:UvYwxpFOO

アニメ化希望



790:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:42:31.27 ID:CJq3TqVc0

>>788激しく同意
何かになってほしい。



789:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:40:54.85 ID:BkqQqoB90

岡部(タイムリープ完了)

岡部(…………)

岡部(今なら、まだ引き返せるんじゃないのか?)

岡部(何も知らないフリをして、千早に会いに行けば)

岡部(また一緒に、765プロの皆と笑い合ったり、デートしたりする日々が……)

岡部(……弱気になるな、それはただの逃げだ)

岡部(俺の主観からすれば、タイムリープを繰り返すことで俺は死なないように見える)

岡部(だが千早や他の皆からすれば、俺の死は絶対的なものだ)

岡部(それに千早は自分の気持ちを犠牲にして、俺をここまで連れてきてくれたのだろう)



791:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:46:27.38 ID:BkqQqoB90

岡部(俺は、何があろうとも前に進まねばならんのだ……もう、迷いはない)

岡部(Dメールの準備を始めよう)

岡部「電話レンジ(仮)セット完了」

岡部「紅莉栖が送ったDメールを打ち消す」

岡部「…………」

岡部「送信!」



793:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:50:11.03 ID:BkqQqoB90

岡部(リーディング・シュタイナーが発動した)

岡部(戻ってきたんだな、α世界線に)

紅莉栖「はぁ、はぁ……舌まで入れるなんて、やっぱりHENTAIじゃない」

岡部(なっ!? こ、これはDメールを送る直前の……)

岡部(α世界線に戻って来る前に行ったタイムリープ、時刻調整を少しミスったようだ!)

紅莉栖「……岡部?」

岡部「ただいま、紅莉栖」

紅莉栖「へ? ま、まさかアンタ……」

岡部「お前がDメールを送った先の世界線に行ってきたぞ。まさか本当にアイドルになるというメールを送るとはな……」

紅莉栖「な、なななななな! うぅ、穴掘って埋まりたい……」

岡部「アイドルの紅莉栖も可愛かったぞ」

紅莉栖「馬鹿! それ以上恥ずかしいこと言うなーっ!」



798:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 01:54:47.88 ID:BkqQqoB90

紅莉栖「へぇ、タイムマシンを……」

岡部「あぁ」

紅莉栖「何だか悔しいわね。あの岡部がタイムマシンなんてものを作り上げるなんて……」

岡部「フッ、嫉妬するなよ」

紅莉栖「嫉妬するに決まってんでしょーが。でも、アンタって本当に強いのね」

岡部「俺が、強いだと?」

紅莉栖「タイムマシンを作り上げるほどの知識なんて、いくらSERNなどを利用したとしても……想像もつかない時間がかかるでしょ」

紅莉栖「人の一生よりも遥かに長い時間でしょう……発狂してもおかしくはない」

岡部「俺一人だったら、くじけてたかもな」

岡部「だが俺は一人ではなかった。お前やダル、まゆり、フェイリスに萌郁、るか子……そして、765プロのみんなが居てくれた」

岡部「だから俺は、ここまで来ることができたんだ」

岡部(ドクター中鉢の名前は出さないでおこう……こっちの世界線では険悪だからな)



806:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:01:21.72 ID:BkqQqoB90

岡部「さて、名残惜しいが……そろそろβ世界線へ行かねばな」

紅莉栖「まだまだ折り返し地点だからね、岡部からしたら」

岡部「あぁ。タイムマシンを作るのには、それなりの設備と時間が必要だ」

紅莉栖「アテはあるわけ?」

岡部「とりあえずフェイリスに頼み込む。今の俺の叡智を持ってすれば説得は容易だ」

紅莉栖「否定出来ないのがムカつくわね……」

岡部「フッ……では、ラボに戻るとしよう。ダルとまゆりがまだいると良いんだが……」

紅莉栖「橋田が居なかったらエシュロンのデータベースにアクセスして、最初のDメールを削除することが出来ないからね」

紅莉栖「……ってそんな訳ないか。今のアンタならそれぐらい余裕じゃない?」

岡部「まぁな。だが、門出を祝う際にはラボメン全員居たほうがいいだろう」

岡部「ようやく、すべてを終わらせることが出来るのだ……」

紅莉栖「ま、岡部がそういうなら好きになさい」



808:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:03:46.03 ID:BkqQqoB90

岡部「これより現在を司る女神作戦(オペレーション・ベルダンディ)最終フェイズを開始する!」

ダル「オカリンの話、正直眉唾ものだけど……牧瀬氏が言うなら本当なんだろうなぁ」

まゆり「オカリンは誰も知らない所で、一生懸命頑張っていたんだね……」

岡部「だがそれも、あと少しで終わる。ダル! 始めてくれ」

ダル「ぶっちゃけオカリンがやったほうが早くね?」

岡部「そのマシンはお前が一番触っているだろう。お前の方が使いこなせるはずだ」

ダル「やれやれ、タイムマシンを作っちゃうような人間にそこまで言われたら……やるしかないっすなぁ」



811:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:07:57.52 ID:BkqQqoB90

ダル「SERNのデータベースにマジであったぞ、オカリンのメール!」

岡部「よし……!」

ダル「Enterキーを押せばメールは削除される。その儀式は、オカリンに任せるぜ」

紅莉栖「岡部」

岡部「なんだ?」

紅莉栖「あと少しだから……頑張ってね」

岡部「無論だ」

岡部「勝利の時は来た! この俺はあらゆる陰謀に屈せず、己の信念を貫き、ついに最終聖戦(ラグナロック)を戦い抜いたのだ!」

岡部「この勝利のため、我が手足となって戦ってくれた仲間たちに感謝を!」

岡部「訪れるのは、俺が望んだ世界なり! すべては運命石の扉(シュタインズ・ゲート)の選択である!」

岡部「世界は、再構築される――!」



820:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:13:54.04 ID:BkqQqoB90

岡部「ここが、β世界線……」

岡部「まゆりは死なないが、紅莉栖が死んでしまう世界線」

岡部「…………」

岡部「まずは、フェイリスに会いに行くとしよう」ピリリリリ

岡部「電話? ……非通知か。もしもし?」

『ラジ館屋上に来てくれるかな、オカリンおじさん』

岡部「その声は……鈴羽?」

鈴羽『あったりー』

岡部「お前がタイムマシンを持ってきてくれたのか」

鈴羽『そういうこと。じゃ、ラジ館の屋上で待ってるよー』

岡部「うまくやってくれたみたいだな、未来の俺は」



821:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:17:41.22 ID:BkqQqoB90

――ラジ館屋上

鈴羽「久しぶり、なのかな? オカリンおじさんからしたら」

岡部「!?」

鈴羽「全部聞いたよ、α世界線とかのことも。未来のオカリンおじさんからね」

岡部「そういうことか……やれやれ、未来の俺は随分とお喋りなんだな」

鈴羽「うーん、あまり変わってない気がするなぁ」

岡部「そうなのか?」

鈴羽「うん、見た目はかなり変わってるけどね」

鈴羽「それじゃ、必要なものを揃えたら行こう。すべての始まり、2010年7月28日へ――」



823:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:20:31.41 ID:BkqQqoB90

鈴羽「ついたよ、オカリンおじさん」

岡部「ここからすべては始まったんだな……」

岡部「これが俺の最後のミッション……過去を司る女神作戦(オペレーション・ウルド)だ」

岡部「鈴羽はどうするんだ」

鈴羽「タイムマシンに人が近づかないように見張ってるよ」

鈴羽「あ、いい忘れてた。中鉢を逃がすな……とか言ってたよ、未来のオカリンおじさんが」

岡部「中鉢?」

岡部(おそらくドクター中鉢だろう。しかしなぜ彼の名前がでてくる?)



826:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:26:49.77 ID:BkqQqoB90

岡部(ここが、紅莉栖が血まみれになって倒れていた場所)

岡部(がらくたやダンボールが大量に置いてあり、隠れる場所には困らない。さて、身を潜めるとしよう)

岡部(…………)

岡部(足音が近づいてくる……来た、紅莉栖だ)

岡部(どうやら誰かを待っているようだな)

岡部(再び足音が近づいてくる。ドクター中鉢……なるほど、そういうことか)

紅莉栖「話があるの、パパ」

中鉢「その封筒は何だ」

紅莉栖「私もタイムマシンが作れるかどうか考えてみたの。だからパパの意見を聞いて、手直しして……学会に発表しようと思ってるの」

中鉢「見せてみろ」

中鉢「…………」

中鉢「悪くない内容だ」



829:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:29:28.94 ID:BkqQqoB90

紅莉栖「本当? それ、私とパパの共同署名でもいいと思ってるの……」

中鉢「学会には出すな。この論文は私の名前で発表する!」

紅莉栖「私の論文、盗むの……? そんなことだけはしない人だと思っていたのに!」

中鉢「親に対してなんという口の聞き方だ!」

中鉢「私はお前が憎い、憎くて仕方がない! お前など、お前などいなければ……っ!」

紅莉栖「っ!」

岡部(なんていうことだ……今までいた世界線の中鉢は、あんなにいい人だったのに)

岡部(娘が天才すぎるあまり、嫉妬する気持ちは分かるが……限度があるだろう!)



831:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:31:16.40 ID:FHPWn5Oj0

いい人?違うな、これこそが中鉢の本質なのだよ!フハハ



832:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:32:04.18 ID:BkqQqoB90

中鉢「お前など、首を絞めて……殺してやる!」

紅莉栖「パパッ……! やめて……苦し、いっ!」

岡部「やめろ中鉢!」バキッ

中鉢「がはぁっ!」

紅莉栖「はぁ、はぁっ……!」

中鉢「貴様は……私の会見をメチャクチャにした若造ではないか! そうか、やはり紅莉栖とグルだったのだな」

紅莉栖「私、その人とは今日あった……げほっ、げほっ! 今日あったばかりだよ……」



834:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:35:32.04 ID:BkqQqoB90

中鉢「どいつもこいつも、私をバカにしおって……」

岡部(……ナイフ。そんなもので俺を止められると思っているのか)

岡部(中鉢を逃がすなと言っていたな。ならばとりあえず動きを封じ込めるとしよう。紅莉栖は後回しだ)

中鉢「うぉああああっ!」ヒュン

岡部「当たらんな」

岡部(腕の一本でも折ればおとなしくなるだろう。紅莉栖の目の前であまり乱暴なことはしたくないが、あまり時間もない)

岡部「これも未来のためだ、許せ」バキッ

中鉢「あぎゃぁあああああああああああああああああああっ!!!!!」

紅莉栖「パパ!? やめて、パパに乱暴しないで」

岡部(逃げられると厄介だ。ロープでがんじがらめにしておこう)



838:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:39:16.42 ID:BkqQqoB90

岡部「さて、次は紅莉栖……お前の番だ」

紅莉栖「やだ、来ないで!」

岡部(鈴羽が持ってきた未来のダルお手製スタンガン。人を気絶させるには十分な威力を持っている)

岡部「ごめんな、紅莉栖……」バチィ

紅莉栖「あっ……」バタリ



842:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:42:30.73 ID:BkqQqoB90

岡部(あとは倒れた紅莉栖に、鈴羽が持ってきたサイリウムセーバーver3.16を使う)

岡部(こいつは剣のような形をしたサイリウム。血糊がでる機能付きだ)

岡部(よし、これで血まみれで倒れた紅莉栖……あの時見た光景が再現できたな)

岡部(とりあえず屋上まで中鉢を引っ張っていくか)



845:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:46:39.13 ID:BkqQqoB90

――ラジ館屋上

鈴羽「おっ、上手く行ったみたいだね……って、それ誰? 何で口にガムテープ貼ってるの?」

中鉢「もご! もごごごご!」

岡部「騒ぎになっても困るからな」ベリベリ

中鉢「ぷはぁ! 貴様、こんなことをしてタダで済むと思うなよ!」

岡部「それはこっちの台詞だ! 実の娘によくもあんな真似ができるじゃないか、えぇ!?」

中鉢「黙れ! 貴様に私の気持ちなど分かるまい! 優秀すぎる実の娘と比較され、馬鹿にされ続けた私の気持ちなど!」

岡部「分かるわけないだろう、人の気持ちなんて。だが……あなたが本心から紅莉栖を嫌っていないということは分かる」

中鉢「は! 何を甘っちょろいことを。私は紅莉栖が大嫌いだよ」

岡部「あなたは知る由もないが……別の世界線のあなたは、紅莉栖を本当に愛していた」

岡部「紅莉栖のために必死でタイムリープマシンを……何度も作り上げた!」

岡部「この世界線とあの世界線の分岐点は紅莉栖が小さい頃。既に大人であるあなたの人格はさほど差がないはずだ」

中鉢「何をわけのわからないことを……うぐっ!?」



849:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:50:34.39 ID:BkqQqoB90

中鉢『すまなかった。いくらマスコミが騒いでるとはいえ、すぐに駆けつけてやるべきだったのに』

中鉢『何より娘が助けを求めているのだ。娘を助けるのに理由は必要あるまい』

中鉢『フッ、とうとう念願のタイムマシンが出来たのだな』

中鉢『娘の幸せを願うのが親の役目……しかし、娘にくっつく悪い虫を追い払うのも親の役目』



850:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:53:54.19 ID:BkqQqoB90

中鉢「はぁ、はぁ……! な、なんだったんだ、今のは……?」

中鉢「娘を助けるのに理由はいらないだと? 私が、そんなことを考えるはずが……」

中鉢「それにタイムマシンが完成したとは一体……?」

岡部「見えたんですか、あの世界線のあなたが」

中鉢「…………」

岡部「今からでも遅くはない。まだ、やり直せますよ」

中鉢「はっ。娘の首を絞めた親が、やり直せたりできるものか」

岡部「できますよ。諦めなければ、必ず」

中鉢「…………」

中鉢「この論文は、燃やしてしまおう」ボッ

岡部「いきなり何を……!?」

中鉢「先程、いくつも妙な光景を見た。その中の一つに、タイムマシンを狙い……紅莉栖が狙われる光景が見えた」

中鉢「私のこれまでの全てを否定することになるが……タイムマシンなど、あってはならないのだろう」



852:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:55:21.12 ID:BkqQqoB90

鈴羽「オカリンおじさん、そろそろ戻らないと」

岡部「あぁ」

岡部「さようなら、ドクター中鉢」

中鉢「小僧、名前は?」

岡部「狂気のマッドサイエンティスト兼プロデューサー……鳳凰院凶真」



854:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:56:53.20 ID:j1qUaL5n0

どの世界戦でも綺麗な中鉢だ



856:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 02:57:54.32 ID:BkqQqoB90

岡部(鈴羽のタイムマシンで元の時間に戻ってきた)

岡部(しかし目を開けると、そこにタイムマシンなどなかった)

岡部(どうやら上手く行ったようだ)

岡部(あぁ……なんだか、とても疲れた)

岡部(少しだけ、ここで眠ってしまおう……)



861:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:01:36.55 ID:BkqQqoB90

数日後――

岡部「ふぅ、やっぱり765プロは最高だぜ!」

ダル「まさかオカリンがドルオタとはね……いい趣味してるぜ、アンタ」

まゆり「ダルくんは誰が好きなんだっけ?」

ダル「そりゃ、もちろんいおりんだお! 罵られたい! 踏まれたい!」

まゆり「ダルくんはエッチなのです……」

岡部「自重しろ、このHENTAIめ!」

ダル「オカリンは誰が好きなん?」

岡部「俺か? それは……秘密だ」

ダル「えー! なんでだよー」

岡部「少し出かけてくる」



862:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:04:45.96 ID:BkqQqoB90

岡部(765プロのみんなと再び出会えて、よかった)

岡部(もちろん以前とは違い、俺はただのファンだが……)

岡部(そしてみんなとは言ったが、一人だけいない)

岡部(そう……アイドル、如月千早はもういないのだ)

岡部(ググッてみたのだが、彼女の持ち歌である『蒼い鳥』も、この世界線には存在していないようだ)

岡部(俺の一番好きな歌だったんだがな……)



864:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:06:05.62 ID:BkqQqoB90

岡部(千早と、別れた公園に来てしまった)

岡部(感傷に浸っても何の意味もないんだけどな……)

岡部(…………)

岡部(ん? 歌が、聴こえる……)

岡部(この声、そしてこの歌は……!)

紅莉栖「蒼い鳥……もし幸せ、近くにあっても」

岡部「あの空へ、私は飛ぶ……未来を信じて」

紅莉栖「なっ!? あ、あなた……なんでこの歌を?」



873:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:11:51.43 ID:BkqQqoB90

岡部「どうした、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして……らしくないじゃないか、紅莉栖」

紅莉栖「あの……紅莉栖って呼ばないで頂けませんか、プロデューサー」

紅莉栖「ってあれ? 何で本名で呼ばれて困るのかしら」

紅莉栖「そもそもプロデューサーって一体……うーん、何だか今日は脳が上手く働いていないわね」

紅莉栖「……って何ニヤニヤしてるんですか、人の顔を見て。気持ち悪い人ですね」

岡部「すまないな。嬉しくて、つい……」

岡部(これが、運命石の扉の選択だよ――)





                                                          おわり



885:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:15:40.25 ID:aRki/Txk0

モバマスにクリスが参戦する夢をみた



874:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:12:44.20 ID:0Dmq+1BE0

良くやった! 乙!!



880:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:13:52.85 ID:JvxOxrAl0

盛大に乙



881:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:14:40.12 ID:FHPWn5Oj0

大作だったな、乙



887:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:15:59.82 ID:t80Sqbuw0

これレベル高かったわ

乙!
すげーーーよかった



883:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 03:15:20.85 ID:GhAVIvc80

ここ最近のSSで最高レベルだったわ

マジで乙



938:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/09(金) 08:57:47.75 ID:juLK9oplO

乙・プサイ・コンガリィ



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シュタインズゲートSS   コメント:5   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
34320. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/05/15(水) 21:11 ▼このコメントに返信する
どこかで見たスレタイだと思ったらやっぱ古いスレか。
34340. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/05/16(木) 18:11 ▼このコメントに返信する
フタリの記憶がフタナ…いや、なんでもない
34353. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/05/17(金) 00:04 ▼このコメントに返信する
レベルが高いな...脚本作る練習すればそれなりのところまでいけそうじゃないか?やる気さえあれば
41070. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2014/01/22(水) 21:44 ▼このコメントに返信する
かにしのの殿子もほしいわ
ミンゴス最高のキャラ
42636. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2014/04/03(木) 00:31 ▼このコメントに返信する
難点があるとすれば、紅莉栖表記のときは助手を、千早表記のときは72の顔が浮かぶことくらいか…
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