岡部「ギガロマニアックス?」【後編】

2013-04-26 (金) 21:01  シュタインズゲートSS   3コメント  




259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/11/04(日) 23:56:32.15 ID:1xhGCn/90

~岡部宅~



岡部(ダイバージェンスの値が変わっている……)


          『 .409420』


岡部「……」

 カタカタカタカタ カタ

岡部「……よし、通った!」

 カチッ


その文書は、この世界線の”鳳凰院凶真”がどう行動してきたかを知る鍵であり。
紅莉栖が電話レンジを持っていた謎を解く鍵でもあり。
ノア?Uの後継であるノア?Vへ迫る鍵でもあった。



Chapter 5 『焦心苦慮のアンジェロ』END



264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/11/05(月) 00:01:29.31 ID:Y2G2ggV60

Chapter 6 『禁書目録内のフェニックス』



岡部「日記のような形式になっているようだな……」


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2009年 6月

野呂瀬玄一という男が接触してきた。
どうやら俺はギガロマニアックスとかいう能力者らしい。
長年不思議に思っていたが、妄想を現実にする能力を持っているだとか。
人の心を読めるのも、そのおかげらしい。

剣の名前もディソードだと判明。
ネーミングセンス×である。
鳳凰院凶真の持つ魔剣の名は、ミストルティンと決まっているのだから。

話はずれたが、野呂瀬はギガロマニアックスのコードサンプルとやらを集めているらしい。
協力してやっても良かったが、丁重にお断りした。

プロジェクトノア?
人々の思考を支配だと?

笑わせるな。
世界の支配構造を塗り替えるのはこの狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真の役目である。

故に、奴の野望を打ち砕く崇高なる記録をここに記していく。



268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:09:58.97 ID:Y2G2ggV60

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2009年 7月

野呂瀬がしつこい。

というか脅された。
どうしてもギガロマニアックスのコードサンプルを集める必要があるという。
話によると、素質がある者を拷問し、覚醒させてサンプルを取る手法も行なっているらしい。
ファンタズムのボーカル、FESも野呂瀬に拷問されて覚醒したようだ。
もしその話が本当だとしたら非常にまずい。
俺は覚醒済みだからいいが……。

あいつは……。

俺は仕方なく奴に協力を申し出た。



270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:14:21.05 ID:Y2G2ggV60

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2009年 8月

野呂瀬に計画の概要を聞く。

プロジェクトノア……ノア?Uという人工のギガロマニアックスの装置を使い人々の思考を支配する計画。
それにより人々は攻撃性を失い、争うこともなくなるという。
だがそれは所詮作られた平和。まやかしだ。
俺は奴の野望を黙って見過ごす訳にはいかない。

なぜなら!
世界の支配構造の変革はこの鳳凰院凶真こそが担うべきだからだ。

だが正直奴の力は強大である。
畏怖を覚えざるを得ない。
正直、俺など足元にも及ばないほどのギガロマニアックスのようだ。

奴の計画を打ち砕くには慎重に事を運ばなくてはならない。
故に、ダルと共に、奴の会社である希テクノロジーを調べることから始める。

決して逃げてるわけではない。
別のアプローチから攻めるのも、立派な作戦である。

俺をナメたことを後悔するのだな野呂瀬玄一!



272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:17:56.51 ID:Y2G2ggV60

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2009年 9月

どうやら希テクノロジーには色々と黒いつながりがあるようだ。
正直、自分がとんでもないことに足を突っ込んでいるような気がしてならない。

天成神光会の教主。
明和党の議員。
大企業の名前もある。

さすが希グループのトップ。

ダルに頼んで、強固なセキュリティを組んでもらおう。



273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:20:25.13 ID:Y2G2ggV60

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2009年 10月

世間ではニュージェネ事件がお茶の間を賑わせている。
ダルの調べによると、一連の事件は、とあるギガロマニアックスを覚醒させるために起こしているらしい。
そいつのコードサンプルが手に入ればノア?Uは完璧に近い形になるという話だ。

たったそれだけのために猟奇殺人を何件も起こしてまわるとは。
プロジェクトノア……恐ろしい計画だ。



279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:24:22.61 ID:Y2G2ggV60

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2009年 11月1日

まゆりと一緒にゲロカエルんを買いに渋谷へ。
正直渋谷には行きたくなかったのだが、無理やり付き合わされた。
一人で行かれて、野呂瀬に捕まっても困るしな。
途中スニーキングフェードアウトが発動し、まゆりを見失う。

探していると、ディソードを振り回している女がいた。
非常に危なっかしい。
名を蒼井セナという。

奴らのエージェントかと思ったがどうやら違うらしい。
だが油断は禁物なので、俺がギガロマニアックスだということは伏せておく。
ごまかしたら、膝の裏に蹴りを食らって股間を踏んづけられた。
あのクソアマ……。



280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:25:38.75 ID:PbsdyQV/0

股間美少女に踏まれるってご褒美だよね
http://www.amazon.co.jp/dp/B007RUNIX2/




283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:28:23.77 ID:Y2G2ggV60

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2009年 11月3日


雷ネットの大会に出たら、決勝で思わぬ苦戦を強いられた。
どうやら俺の心理を読んでいたようだが……。
もしかしてあの女もギガロマニアックスか?

が、そんな気配はなかったように思える。
結局奴がギガロマニアックスなのかはわからずじまいだった。
訳の分からない設定ではぐらかされまくった。

にしてもフェイリスという女……。
どこか俺と似た波動を感じる。

だが俺と奴との決定的な違いは──

俺が話すことは常に真実であり──
奴のは自分を悟らせないための嘘だということだ、フハハハ。



288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:32:14.65 ID:Y2G2ggV60

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2009年 11月7日

信じられない。
渋谷が崩壊してしまった。

だがノア?Uは破壊され、野呂瀬も死んだようだ。
その他の首謀者もほとんど死亡。

これで俺の長き戦いは終わった。
ギガロマニアックスとして覚醒させられるためにまゆりが苦しむことも、もうないだろう。



野呂瀬よ、この鳳凰院凶真をナメたことを地獄で後悔するのだな!



290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:36:50.06 ID:Y2G2ggV60

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2010年 7月28日

@ちゃんでジョン・タイターという未来人が降臨して祭りになっている。
どうやら未来ではSERN──300人委員会がノア?Vを使ってディストピアを構築しているらしい。
馬鹿馬鹿しい。

希社員のいたずらか?

野呂瀬は委員会とは独立して動いていたはず。
いや、むしろ出し抜こうとすらしていた。

気になったので、再びダルにハッキングを頼み、SERNを探る。



292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:40:20.03 ID:Y2G2ggV60

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2010年 8月1日

まずいことになった。

──委員会の連中はプロジェクトノアを蘇らせようとしている。

どうしてだ?

野呂瀬は死んだし、天成神光会の教祖も明和党の議員も死んだはず。
希テクノロジーも野呂瀬という舵取りがいなくなったせいで株価は下落。

となると残るは……?

……しかもSERNはノア?Vに加えて、タイムトラベル研究すら行なっている。
もっとも、そちらはあまり上手くいっていないようだが……。

SERNのデータベースにはダルですら解析できないデータもあった。

何にせよヤバすぎる。
遊びじゃすまないぞコレ。

ジョン・タイター……本当に未来人だったのか?



296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:44:06.64 ID:Y2G2ggV60

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2010年 8月3日

過去へメールを送れる機械、電話レンジ(仮)。
ロト6を当てることはできなかったが、これは対SERNの絶大な武器になる。

さらなる実験で事象のコントロールを確実なものとしたいところである。
しかし実験となると、助手が相変わらずキャンキャンとうるさい。

少しは指圧師やルカ子を見習え。



299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:48:28.63 ID:Y2G2ggV60

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2010年 8月4日

ヤバい、ヤバすぎる。
ダルが新しく仕入れた情報によると、SERNはギガロマニアックスの連中の誘拐を企ているようだ。
コードサンプルが目的か?
それとも邪魔者は消すということか?

野呂瀬に一度コードサンプルを取られている俺は、狙われる対象に入っているはずだ。
このままだとまゆりにも危害が及ぶ可能性がある。

まずい……。
このままでは……。



302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:52:40.37 ID:Y2G2ggV60

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2010年 8月5日

まゆりを遠ざけるべきだろうか?
だがあいつが素直に言うことを聞いてくれるだろうか?
昔からあいつは強情なところがあるからな。

止むを得ないが……。
一時的に俺とまゆりの関係をなかったことにする方がいいかも知れない。
まゆりを守るためだ。

まゆりだけではない。
ラボを引き払い、ダルや紅莉栖、フェイリス、指圧師、ルカ子、フェイリス、バイト戦士、ミスターブラウン、天王寺綯。
ラボが出来たことで構築された記憶を改竄させてもらう。
俺に関する記憶も同様だ。

ラボメンはこれよりラボメンではなくなる。

だが許して欲しい。
これで彼らに危害が加わる可能性も低くなる。
電話レンジは紅莉栖に預かってもらおう。

リフターに代替する物の正体はまだ分かっていない。
──が、もし俺の身に何かあったとしても、紅莉栖ならばきっと……。



305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 00:57:10.03 ID:Y2G2ggV60

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2010年8月6日

さらにまずいことになった。
フェイリスが秋葉の大地主の娘だった……だと?
確か……希とつながっていた大企業の中に、秋葉幸高が社長をしている会社も……。

信じられない。
いや、信じたくない。

まさか彼女が人の心を読めるというのもノア?Vのおかげ?
いや、そんなはずはない。
端末を持っていないし……。
それとも、小型化された?

心を読もうにも、迂闊なことを聞いたらまずい……。
俺はすでに狙われていたのか?



306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:01:17.02 ID:Y2G2ggV60

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2010年8月8日

全てなかったことにした。
一時的とはいえ、思い出を消してしまったこと、許して欲しい。

これから俺は、SERNにプロジェクトノアを持ちかけたであろう人物を探らなくては。
そして電話レンジを使い過去を変える。

SERNがノア?Vを完璧なものとするために、まゆりに手を掛ける可能性はまだ十分ある。
敵はあまりにも強大だ。



フェイリス……信じて……いいんだよな?

彼女自身が無関係だとしても、彼女の父親が無関係だとは思えない……。
希と秋葉幸高の会社がつながったのが、2004年……。
プロジェクトノア開始の年。

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309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:05:15.28 ID:Y2G2ggV60

岡部「…………」

岡部(そうか……そういうことだったのか)


鳳凰院凶真という名前。
感じていた違和感の正体。

今、分かった。

──そうだ。
──鳳凰院凶真は。
──まゆりを連れて行かせないために生まれた俺のペルソナ。

この世界線でも鳳凰院凶真は、生まれていたんだ。
まゆりを守るために。



Chapter 6 『禁書目録内のフェニックス』END



311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:07:34.02 ID:Y2G2ggV60

Chapter 7 『不可解のアリヴェ』



~岡部宅~



岡部「この文書を見て、どう思う……」

拓巳「すごく……厨二病です……」

岡部「ウホッ、ってやかましいわっ!」

拓巳「でも、仲間を守ろうとするあんたの心意気……き、嫌いじゃないぜ……」

岡部「……」

岡部(だが結果的に、俺はラボメンの思い出を自ら消してしまっていたのか)

岡部(そしてそのわずか数日後に跳躍してきた。なんという運命のいたずら……)

岡部「にしても、こんなことが可能なのか? 記憶の改竄、などと……」

拓巳「できると思うよ、君が望めば」

拓巳「ぼ、僕と、僕の友達もやられたことあるし。き、記憶の改竄と洗脳」

拓巳「っつっても、妄想力の、つ、強すぎる人には、あんまり効かないみたいだけどね、ふひひ」



313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:11:56.91 ID:Y2G2ggV60

岡部「ふむ……」

拓巳「つ、つか自分でやったことなんでしょ?」

岡部「前に言っただろう。俺は8月14日に別の世界線から来たせいでそれまでの記憶がなかったのだ、と」

拓巳「あ、あぁ、そっか。リーディングシュタイナーだっけ、ふ、不便な力だね」

岡部「……秋葉幸高と野呂瀬の関係については、どう思う」

拓巳「じ、実際に僕が調べてた訳じゃないからなんとも」

拓巳「で、でも、彼が協力者だったとして……野呂瀬が死んで、どうしようもなくなって、計画を引き継ぎSERNにノア計画を持ちかけた……い、一応辻褄は合うんじゃね」

岡部「ふむ……」

岡部(フェイリスパパと野呂瀬が繋がっていて、計画を引き継いだ……?)

岡部(しかし、α世界線ではノア?Vではなく、タイムマシンによるディストピア構築だったはず)

岡部(それはパパさんが生きていようといまいと変わらなかった……ならばプロジェクトノアの再計画はなかった……?)

岡部(いや、それを確かめる術はない……あったかもしれないし、なかったかもしれないのだ)



315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:15:12.64 ID:Y2G2ggV60

岡部(なんにせよ……)

岡部(パパさんが生きていたことと、IBN5100を売らなかったこと──)

岡部(この二つが、この世界線での未来を変える要因──ノア?Vによるディストピアを構築する要因になった可能性は高い……)

岡部(α世界線からこの世界線への移動はその二つのDメールが要因なのだから……)

拓巳「で、でも良かった。レンジ、も、戻ってきたんでしょ? 七海たちがさらわれないように過去にメールを送れば……」

岡部「いや、Dメールはまだ送らない」

拓巳「え!? ど、どうして!」

岡部「Dメールによって改変される過去には不確定要素が多すぎる」

岡部「日本語で18文字しか送れないのだ」

拓巳「た、たった18文字……」

岡部「それに……プロジェクトノアという元を断たねば、収束によって捕まる可能性が高い」

拓巳「そんなぁ……」

岡部「やはり……接近してみる他に、ないか……」

岡部(フェイリスも一枚噛んでいるのか? いやだが、とてもそんな風には見えない……)

岡部(だがパパさんは……)



325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:54:04.30 ID:Y2G2ggV60

岡部(……パパさんはいつ帰ってくるんだ? もうあまり時間はない。早くフェイリスに……)

拓巳「に、にしても……この紅莉栖って人のこと、随分信頼してたみたいだね……」

拓巳「過去を変えることが出来る機械を、あ、預けちゃうなんて……」

岡部(恐らく……あいつが未来でSERNの研究に従事した理由は……)

岡部(過去の俺に電話レンジを返すため。そして俺たちにタイムマシンの研究データを渡すため……)


          『全部のDメールを取り消すなんて……』

          『あぁ、結構重労働だな……だがやるしかない』

          『……気をつけて』


岡部「……紅莉栖」

岡部(俺はお前の言うことを聞かず、賭けに出て……)

岡部(未知の世界線にきてしまったのにも関わらず……再び俺を窮地から救ってくれた……)

岡部「……」

岡部「奴は……最高の助手であり、大切な仲間だ」

拓巳「は、恥ずかしいセリフ乙」



328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 01:57:49.18 ID:Y2G2ggV60

岡部「……」

 プルルルル

 ピッ

フェイリス『ニャニャ、フェイリスニャ! どうしたのニャン? 珍しいニャ、凶真からかけてくるなんて』

岡部「……」

フェイリス『凶真?』

岡部「いや、その、だな……」

岡部「なぁ……フェイリス。お前のパパさんは、いつ帰ってくるんだ?」

フェイリス『パパ? それなら今日の夜ニャ』

岡部「……そうか」

フェイリス『この前といい、パパに何か用事があるのかニャ?』



330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:01:57.18 ID:Y2G2ggV60

岡部「あぁ……ちょっとな」

フェイリス『……ふ~ん、珍しいのニャ』

岡部「パパさんが帰宅したら、連絡くれないか」

フェイリス『分かったニャ』

 ピッ

岡部(まゆりが連れて行かれるのは明日……)

岡部(それまでになんとかしないと……)



332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:05:43.60 ID:Y2G2ggV60

その夜 8月24日

~フェイリス宅~



拓巳「す、すげー……こっこっ、高級マンションの最上階とかどんだけセレブなんだよう!! つかリアル執事キタコレ! メ、メイド、メイドはどこ!?」

フェイリス「ニャフフ、それならここにいるのニャ」



幸高「やあ岡部くん、久しぶりだね」

岡部「……お久しぶりです」

幸高「それと……君は?」

拓巳「あ、えっと、に、西條拓巳です。よ、よ、よろしくおながいします……」

幸高「私は秋葉幸高、岡部くんの友人かな?」

拓巳「あ、はい、そ、そうです……」

幸高「それでは私は調べたいことがあるから失礼するよ」

岡部「ま、待ってください! 今日は、あなたに用事があってきたんです」

幸高「私に?」



334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:09:52.30 ID:Y2G2ggV60

岡部「単刀直入にお尋ねします、あなたは……ノア……プロジェクトノアについて、ご存知ですね?」

幸高「……」

幸高「留美穂、しばらく部屋に行ってなさい。私は彼らと話がある」

フェイリス「嫌ニャ……」

幸高「留美穂」

フェイリス「パパと凶真が何をお話するのか検討もつかニャいけど……」

フェイリス「それでも凶真が何かしようとしてることだけは分かるのニャ!」

フェイリス「だったらフェイリスも……フェイリスも聞きたいのニャ!」

岡部「フェイリス……」

幸高「……分かった」


彼は渋々といった様子だったが、納得したようだった。
フェイリスがここまで食い下がるのは意外だったが、娘がいる前で強引な手段には出まい。

一瞬でもそう思った自分に反吐が出そうだった。



337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:14:25.30 ID:Y2G2ggV60

────
───
──



幸高「君は……どこまで知っている?」

岡部「……」

岡部「あなたと野呂瀬が繋がりを持っていたことは、すでに知っています」

幸高「なるほど……」

岡部「あ、あなたなんですか!? SERNにノアの技術を提供したのはっ!!」

幸高「ん?」

幸高「はは、ははは」

拓巳「な、なにがおかしいんだよぅ……」

幸高「いや、そう来たか、と思ってね。失礼」

岡部「……?」

幸高「結論から言おう」

幸高「私はSERNと通じてはいないよ」



344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:18:09.96 ID:Y2G2ggV60

岡部「え……?」

幸高「確かに、私と野呂瀬はお互い協力関係にあったと言っていい」

幸高「だがそれは表向き」

拓巳「ど、ど、ど、どういうこと?」

幸高「さて、どこから話したものか」

幸高「……2000年4月、留美穂が誘拐されたとの知らせが入ってね」

フェイリス「……」

幸高「身代金は1億円、とても払える金額じゃあなかった」

幸高「と、その当時、渡りに船と言わんばかりに、IBN5100を高額で買い取りたいという人物が現れていてね」

幸高「フランスの実業家……だったかな」

岡部(……またフランスの実業家)

幸高「しかし、結局売ることはなかったんだよ。私にIBN5100を預けた橋田教授にも悪いと思ったしね」



347:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:22:29.77 ID:Y2G2ggV60

幸高「それで、後々誘拐はいたずらだと分かったんだが……」

幸高「しばらくして、再びIBN5100を高額で買い取りたいという人物が現れた」

岡部「え……」

幸高「その人物こそ希テクノロジーの社長、野呂瀬玄一」

拓巳「へ……」

幸高「当時、すでに橋田教授の言いつけ通り柳林神社にIBN5100を預けていたし、彼に売ることもなかったんだが……」

幸高「誘拐のいたずらと関連して”IBN5100を高額で買い取りたい”」

幸高「これはどうも都合がよすぎる──そう思った私は彼を探るために近づいたんだ」

幸高「一度だったら不思議には思わなかっただろうね」

フェイリス「パパ……」

幸高「そして私は彼と表では協力関係を築き、裏では彼を調べていたんだ」



349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:27:01.05 ID:Y2G2ggV60

幸高「もっとも、彼は私のことを露程にも気にしていなかったようだが……」

幸高「いざとなればギガロマニアックスの力を使えばいい、とでも思っていたんだろう」

岡部「あなたは……計画をご存知だったんですか?」

幸高「あぁ……彼はとんでもない計画を立てていたようだね」

拓巳「プロジェクトノア……」

幸高「そう。去年11月、渋谷が崩壊──野呂瀬も死に、他の首謀者たちも死亡」

幸高「私は安心しきっていたんだが……」

幸高「プロジェクトノアが再び始動しようとしている……」

岡部「な、なぜそれを!」

幸高「……ジョン・タイター」

拓巳「あ……」

幸高「彼が未来人なのか確かめる術はない」

幸高「しかし私には、SERNがノアを使ってディストピアを構築するという情報──これが嘘だと思えなかった……」

幸高「だから海外へ飛び、SERNに精通している海外の友人を尋ねて色々と調べてたというわけだ」



350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:31:18.13 ID:Y2G2ggV60

幸高「プロジェクトノアを知りながら何もできなかった。今回こそはなんとかしたい、そう思ってね」

拓巳「じゃ、じゃあニュージェネ事件とかも……」

幸高「……何も力になってやれなくてすまなかった」

拓巳「し、知ってたのかよぅうぅ……」

幸高「岡部くんも君なりに調べていたようだね」

岡部「ええ……」

フェイリス「……」

幸高「友人の話ではノア?Vの開発も直に始まるらしい……」

岡部「くっ……」

幸高「しかしわからない点が一つある」

岡部「何がです?」

幸高「野呂瀬をはじめとした首謀者たちは死亡。ノアの構築プログラム、コードサンプルのデータ共々私が抹消したはずなんだが……」

拓巳「え……」

幸高「どういうわけか、それをSERNが引き継ごうとしている」



351:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:35:48.08 ID:Y2G2ggV60

幸高「いや、正確には300人委員会か……しかし、これは一体……」

フェイリス「その、野呂瀬って人が300委員会ってのと繋がっていたとかは考えられないのかニャ?」

幸高「いや、彼は委員会を出し抜くためにノアを完成させようとしていた。それは考えにくいんだ」

岡部「他に……協力者がいた、と?」

幸高「……」

岡部(どうする、Dメールを使うか? だがどう送ればいい?)

岡部(もしα世界線に戻ってしまったら……今の俺はSERNの施設に拉致されているはず……)

岡部「くそ、IBN5100さえ手に入れてれば!」

幸高「IBN5100か……私も柳林神社には行ってみたんだが……」

岡部「あなたも行かれたんですね……」

幸高「去年の12月まではあった、そうおっしゃっていたが、なかったようだね」

岡部「……はい」

拓巳「…………」



352:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:39:41.34 ID:Y2G2ggV60

拓巳「でも……ど、どうして野呂瀬はIBN5100を買い取ろうとしたんだろう……」

岡部「そういえばそうだな……。パパさん、あなたは何かご存知ですか?」

幸高「それについては分かっていない……」

幸高「だが彼はIBN5100を手に入れていたようだ」

岡部「そうなんですか?」

幸高「あぁ、私に話してくれたよ”もう手に入った”と」

拓巳「……

岡部「ふむ……」

拓巳「そ、それだ……」

岡部「え?」

拓巳「の、野呂瀬は強力なギガロマニアックスだ。ひ、人の思考を読むなんてたやすい……」



355:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:44:08.26 ID:Y2G2ggV60

拓巳「IBN5100が無いことを告げられた野呂瀬は……」

幸高「私の思考を読み、柳林神社へ向かった、と?」

拓巳「そ、そうに違いないよ! そ、そこで野呂瀬は手にしたんだ、IBN5100を……」

岡部「だ、だが! それだと去年の12月まであった、という証言と噛み合わない」

岡部「いや待て、それこそ野呂瀬がルカ子たちの思考を操作したのか……?」

岡部「IBN5100があると思い込ませていた……?」

拓巳「そ、それはありえない……だ、だって野呂瀬は2009年の11月に死んでるんだもん」

拓巳「力を使っても2009年の12月まであると思い込ませるなんて、ふ、不可能だ……」

岡部「となると……IBN5100は確かに12月まで柳林神社にあった……」

岡部「……そして野呂瀬は柳林神社にIBN5100があることを知っており、かつIBN5100を手に入れた」

拓巳「だ、だとすると──」



────
───
──



357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:48:16.54 ID:Y2G2ggV60

翌日 8月25日

~柳林神社~



栄輔「おや、これはこれは、また参拝ですか? ご苦労様です」

岡部「一つお尋ねしたいことが……あります」

栄輔「なんでしょう?」

岡部「あなたは……野呂瀬玄一という男をご存知ですか?」

栄輔「野呂瀬……? いえ、初めて聞きましたが」

岡部「……」

フェイリス「この味は……嘘をついてる味ニャ!」

岡部「……っ」

フェイリス「フェイリスの目はごまかせないのニャ!」

栄輔「……」



358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:52:12.35 ID:Y2G2ggV60

栄輔「……もしかして、そのお嬢さんはギガロマニアックスなんですか? そんな気配は感じませんが……」

岡部「や、やはり、あなたがっ──」

栄輔「るかの記憶から君のことが抜け落ちてるので奇妙だとは思っていたんですが……」

岡部「SERNとノアをつないだ──」

栄輔「気づかれたからには放っておくわけにはいかなくなりましたよ、鳳凰院くん」

岡部「協力者か──!」



Chapter 7 『不可解のアリヴェ』END



360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:55:30.97 ID:W34V+H/Y0

盛り上がってきた…!



362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:56:27.57 ID:Llc74QJO0

ただの変態ではなかったようだな…



363:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 02:56:29.57 ID:Y2G2ggV60

Chapter 8 『次元跳躍のメガロマニア』



~昨晩~



岡部「ルカ子の父上……漆原栄輔が協力者だとでも……?」

拓巳「す、少なくとも野呂瀬が神社でIBN5100を手に入れたのは、ま、間違い無いと思うよ」

拓巳「野呂瀬ほどの強力なギガロマニアックスなら、洗脳してそれでおしまい」

拓巳「で、でも、それだとその、漆原って人の証言と、あ、合わない」

岡部「……」

拓巳「だ、だとしたらその人が野呂瀬と繋がってた可能性も、考えるべき、だよ」

幸高「そのような人には、見えなかったが……」

岡部「俺も同感だ」

拓巳「こ、今回、プロジェクトノアを再始動させた人物は、の、野呂瀬より用心深いと、思う……」

拓巳「野呂瀬はさ、覚醒したギガロマニアックスを用済みと言わんばかりに、解放してたんだ」



369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:00:51.51 ID:Y2G2ggV60

拓巳「で、でも今回は違う……僕に姿を見せなかったり、ギガロマニアックスを解放しなかったり……かなり用心深いよ……」

拓巳「SERNが関わってるし、一度失敗してるってのも、あ、あるんだろうけど……」

岡部「……彼が協力者だと仮定して、IBN5100は……まだあるだろうか?」

拓巳「ど、どうかな……そればっかりはちょっと……」

岡部「鈴羽の情報によれば、まゆりが連れて行かれるのは明日……」

フェイリス「マユシィが……?」

岡部「このままでは……」

拓巳「に、逃したほうがいいんじゃないかな……」

岡部(しかし収束によって捕まる可能性が高い……)

岡部(そしてSERNに……奴らに心を壊されるんだ……コードサンプルのためにっ!)

岡部「こうなったら……俺が直接彼に話を聞きに行く」

拓巳「あ、危ないよ……。きっと君もつっ、捕まっちゃうよ……」

岡部「だがIBN5100を手に入れる可能性はそこしかっ!」

岡部(いや、もはやIBN5100などと言ってられる場合でもないかもしれない……)

岡部(IBN5100を使ってSERNサーバー内のデータを消しても、西條の妹たちが捕まってるという事実がなくなるわけではない……)



372:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:04:10.32 ID:Y2G2ggV60

拓巳「でも、協力者だったとしたら、す、素直に渡すとは、と、とても思えない、よ……」

岡部「もしそうだった場合は……Dメールを使って世界線を変える」

幸高「Dメール? 世界線? なんだねそれは」

岡部「あぁ……それは……」


俺はパパさんに世界線理論やアトラクターフィールド理論、Dメールの作用について話した。
大の大人、それも大企業の社長である彼に、信じてもらえるか自信はなかった──
が、彼の知識は豊富で、意外にもタイムトラベルに関しても肯定的であり──


幸高「そうか……未来を変えるためには、世界線というのを大きく変えなくてはいけないのか……」

フェイリス「……」

岡部「ええ、そのためにIBN5100が必要だったんです……」

幸高「それにしても……なんだか相対性理論超越委員会を思い出すよ、はは」

岡部「……なんです? それは」

幸高「いや、昔の話だ。すまない、気にしないでくれ」



374:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:09:05.01 ID:Y2G2ggV60

幸高「それでは私たちはそのギガロマニアックスの素質のある少女を逃がすために尽くそう」

フェイリス「マユシィを連れて行こうとするニャんて、絶対に許せないのニャ!」

岡部「俺はルカ子の父上にあたってみます。もし彼がSERNとつながってたら……」

拓巳「……で、できるだけ時間稼ぎ、だね」

岡部(いや、時間を稼いでも、収束によりまゆりが捕まる可能性は高い……)

岡部(その場合はDメールで過去を変えるためのヒントを探る……)

フェイリス「ならフェイリスは凶真についていくのニャ」

幸高「留美穂、お前は私と一緒に来なさい」

フェイリス「こればっかりはパパの言うことでも聞けないのニャ!」

幸高「しかし……」

フェイリス「それに、その人がもし嘘をついたりしたら、凶真に見破る方法はないんじゃないのかニャ?」

岡部「確かに、そうだが……」

フェイリス「フェイリスなら大丈夫ニャ! もし危なくなったらすぐに逃げるのニャ!」

幸高「全く……漆原さんが無関係であることを祈るばかりだ。……岡部くん、娘を頼むよ」

岡部「……はい」



375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:13:15.03 ID:Y2G2ggV60

────
───
──



気づけば、漆原栄輔の手に一本の剣が握られていた。

それは剣と呼ぶには、あまりに長く。
一振りすれば折れてしまいそうなほど細い。
極々なめらかな曲線を描いていて。
見る者を釘付けにするかのような気品と。
純粋な殺意を形にしたかのような美麗さを持ち合わせ。

まるで体の一部のような──

──剣。

いや、刀と呼ぶべきか。

その野太刀のようなディソードと宮司の格好が妙に釣り合ってる。
などと的はずれなことを考えていたら──
普段の物腰穏やかな彼からは想像もできない冷厳な声で──


栄輔「SERNの協力者というのは少々語弊があります」

岡部「はっ……!」

岡部(ルカ子の父上も……ギガロマニアックスだった!?)



377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:17:06.98 ID:Y2G2ggV60

栄輔「私は野呂瀬くんの遺志を引き継ぎプロジェクトノアを完遂させたい」

栄輔「そして争いがなくなる世の中を創りあげたい、ただそれだけなのですよ」

岡部(どうする、逃げるか……?)

栄輔「境内は目立ちますので、こちらへ……」

 キィィィン

岡部(ディソード……リアルブート……)

フェイリス「きょ、凶真ぁ……」

岡部「フェイリスは……逃げるのだっ」

フェイリス「で、でも……」

栄輔「逃げられると思いますか?」

岡部「くっ……」



378:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:21:16.12 ID:Y2G2ggV60

────
───
──



岡部(落ち着け……今俺がすべきことは……)

岡部「IBN5100は……まだこちらにあるんですか?」

栄輔「すでにノアプログラムのバックアップと共に、SERNへ送り届けてあります」

岡部(やはりもう、Dメールを送って過去を変えるしか……)

岡部「野呂瀬とは、やはりIBN5100を探しに来た時に接触を……?」

栄輔「Dメールとやらを送って過去を変えるつもりですか?」

岡部(!? 心を読まれた!?)

栄輔「じきにノアの開発が始まります。それまで、大人しくしていてもらえませんか?」

岡部「なぜあなたがプロジェクトノアを引き継ごうなどと!」

栄輔「……」

岡部(話さないつもりか……!)



380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:25:30.91 ID:Y2G2ggV60

 ピリリリリ

栄輔「……」

 ピッ

栄輔「はい……はい、分かりました。そのギガロマニアックスの素質を持った少女はくれぐれも丁重に扱うようお願いします」

栄輔「連れの方も、同様に」

岡部「まさか……まゆりがっ……捕まっ……た?」

フェイリス「そんな……パパ……マユシィ……」

栄輔「安心してください、コードサンプルを採取すればすぐにでも解放しますので……」

岡部(だが覚醒させるために心を壊されるんだろ!?)

栄輔「それに、今では比較的苦しまずに覚醒させるマニュアルも確立されてます」

岡部(そして用済みとなったら殺される……そんなの、あんまりだ……)

栄輔「ギガロマニアックスの少女たちも、ノア?Vの開発が終わり次第、解放することを約束します」

岡部「だが! 未来では俺以外全員殺されている!!」

栄輔「そんなこと、私がさせません」

岡部(……この人も結局、SERNに利用されているのだ……)



382:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:29:36.78 ID:Y2G2ggV60

岡部「まゆりをっ……まゆりを連れてなんて行かせないっ……!」


俺は彼に飛びかかろうとする。
しかし飛びかかったと思いきや、彼の姿が消え──


岡部「うぐっ」

フェイリス「きょ、凶真……? 一体……」


渾身の体当たりは虚しく空を切り、俺は前のめりに倒れこむ。
彼は数秒前とは全く別の場所に立っている。


岡部「う……まさか」

岡部(見せられていた……? くそ、こんなの勝てるわけがないじゃないか……)

岡部「……頼む、まゆりを……まゆりを連れて行かないでくれっ……!」

岡部「お願いだ……っ! なんでもする……っ!」

栄輔「もうじき、ラウンダーの方々も来るのでそれまでおとなしくしていてください」

栄輔「あまり手荒な真似はしたくないので──」


彼がそういったかと思うと、意識が次第に遠くなり、やがてブラックアウトした。



384:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:31:58.99 ID:Y2G2ggV60

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視界に光が灯り、俺の意思とは関係なしに視点は動く。

……目の前に、まゆりがいる。


(まゆり……? よかった、お前無事だったんだな……)

まゆり「あれ~? まゆしぃのカイチュ~止まっちゃってるー……」

まゆり「おっかしいなぁ……さっき、ネジ撒いたばっかりなのに……」

(え……?)


プツン、とテレビのチャンネルが切り替わるように──



385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 03:35:16.28 ID:Y2G2ggV60

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再び光が戻る。

銃が突きつけられていた。
その銃口の奥は深く闇に沈んでいる。
やがて銃口の向きはゆっくりと隣りにいるまゆりに向けられ──


(やめろ……)

まゆり「……萌郁……さん?」

萌郁「椎名まゆりは、必要ない」


 パキッ


視界の右端に、一筋の亀裂が走る。



391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:00:50.01 ID:Y2G2ggV60

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まゆり「ねえねえ、オカリンっ、ど、どこいくの?」


まゆりの手を引きながら路地を走り抜けていた。
視界に生じている亀裂がなんとも鬱陶しい。

夢中で走っていると、目がくらむほどの光とともに、路地裏から車が飛び出してくる。
俺たちは一歩も動く事ができないまま──


まゆり「あ──」

萌郁「死んだのは、椎名まゆり。ええ、岡部く、岡部倫太郎は拘束した」

(やめてくれ……)


 ピキッ


また、亀裂。



392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:04:27.82 ID:Y2G2ggV60

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地下鉄のホームで、電車を待っている。
隣には、まゆり。
まばゆい光と共に轟音が近づいてきて──


綯「まゆりおねーちゃーん!」

(もうやめてくれ……)


線路へと投げ出され、光りに照らされるまゆり。
何が起こるのか分かっているのに、体が動かない。


 ピキッ パシッ 


視界の亀裂が、増える。
三本、四本。



393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:08:09.96 ID:Y2G2ggV60

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祖母の墓の前で、鈍色の空を見つめるまゆり。
俺は、それを少し離れた場所から見つめる。

ふと陰鬱な雲が開けて。
一筋の光が、空から降ってくる。
まゆりが、その光に誘われるかのように華奢な腕を掲げたかと思うと──


(どこにも、行かせないぞ……)

「どこにも、行かせないぞ……」

(連れてなんて、行かせない……)

「連れてなんて、行かせない……」


その意志に呼応するかのように”俺”はまゆりを抱きしめていた。
まゆりがその場から消えてしまうんじゃないかと思って。



394:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:12:43.35 ID:Y2G2ggV60

「ま、まゆりは、俺の人質だ……人体実験の生け贄なんだ!」

(そう、どこにも、行かせない……)


腕に力を込めようとする。
絶対に連れてなんて──

その寸前、まゆりは光に包まれる。
光は無数の細かい粒子へと変わり──
次々に弾けていったかと思うと──
まゆりが──
俺の腕から消えていた。


(あぁ……あぁぁ……)


うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──



Chapter 8 『次元跳躍のメガロマニア』END



396:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:16:02.92 ID:Y2G2ggV60

Last Chapter



まゆり「オーカリン♪」


まゆりの声がした。

視界は縦横無尽に走る亀裂に覆われており、まゆりの姿を視認することができない。
声のした方向と光を頼りにまゆりの姿を探す。


まゆり「みーつけた♪」


見つけた。

空から降り注ぐ光を浴びてまゆりは呟く。



399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:20:37.90 ID:Y2G2ggV60

まゆり「まゆしぃはね、オカリンを追いかけて、たっくさーんの世界線のオカリンを探してきたのです」

(まゆり……?)

まゆり「ここにいるオカリンも、たくさんいるオカリンのうちの一人だっても言えるしオリジナルだっても、言えるし」

(なにを……)

まゆり「ここにいるまゆしぃも、たくさんいるまゆしぃのうちの一人だっても言えるし、オリジナルだっても、言えるの」

(言っているんだ……)

まゆり「でね。オカリンもまゆしぃも、ここで死んじゃうと思うんだ」

(殺させない……絶対に、殺させない……)

まゆり「でも、きっと別の世界線のオカリンとまゆしぃまで、意志は連続していくんだって、思うなー」

(まゆり……)

まゆり「鳳凰院凶真さんはね、この世界線には、もういないから」

(ちがう……)

まゆり「もう、大丈夫だね。まゆしぃが、人質じゃなくても」

(まってくれ……)


まゆりを連れて行こうとする強い光を当てにして、手を伸ばす。



400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:24:29.63 ID:Y2G2ggV60

だが──

届かない。
掴むことができない。

俺は結局、ここでもまゆりを助けることができないのか?
鳳凰院凶真は……。
もう……死んだのか……?

そうだよな……。

俺が消したんだもんな……。

ああ……。











「───ま」

「──うま!」

「きょうま!」



402:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:29:30.90 ID:Y2G2ggV60

俺は……。


フェイリス「凶真!!」


そうだ。
俺は。

鳳凰院凶真。

俺は。
まゆりを──

助ける!



まゆりを連れて行こうとする強い光を当てにして、手を伸ばす。


──その時。
その強い光に手が届いて──
気づけば俺の手は”それ”を握りしめていた。



404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:34:43.98 ID:Y2G2ggV60

それは、剣。


だがそれは──


剣と呼ぶには、あまりにも歪で。
あまりにも異様。
一刃の長い刃から、数本の小振りな刃が枝分かれしていて。
およそ、人を斬るためには不向きな剣。


しかし──


その一刃一刃はすべて端然としていて。
歪さすらも包み込む蒼白い優美を放ち。
今にも折れそうなほどの繊細さと。
空に向かって突き伸びようとする力強さとを兼ね備えている。

そして一際目立つ中央の刃は。
天にも届くかと思うほど、凛々しく美しかった。



──視界の亀裂は一瞬にして弾け飛び、意識は収束する。



405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:39:03.59 ID:Y2G2ggV60

フェイリス「しっかりして……凶真……!」

岡部「ククッ……クッククク……」

フェイリス「凶真……?」

栄輔「まさか……もう戻ってきたと……?」

岡部(戻ってきた)

岡部「感謝する漆原栄輔。そしてフェイリス・ニャンニャン」

岡部(戻ってこれた)

岡部「ずいぶんと長いこと……忘れてしまっていた……」

岡部「そう──」

岡部「我が名は──」

岡部「鳳凰院っ──」




岡部「──凶真だっっっ!」

フェイリス「凶真ぁ……」



403:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:30:49.45 ID:Jc03Z4qP0

覚醒キター



406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 04:41:34.95 ID:x2x/Be6n0

覚醒ktkr



410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:19:23.69 ID:Y2G2ggV60

岡部「やはりこの俺がっ! 世界をっ! 変えてやらねばならないようだなぁっ!」

岡部「このディソード──いや、魔剣ミストルティンを使ってな!」

岡部「この禍々しさ、まさに魔剣と呼ぶにふさわしいではないかぁ!」

岡部「フハ、フハハ、フゥーハハハハハッ!」

栄輔「何を……」

岡部(だが事態は好転したか、と問われればそうとも言い切れない)

岡部(何しろ奴は、セナやその他のギガロマニアックスを捕獲したほどの実力者)

岡部(覚醒したばかりの俺が奴の攻撃をかいくぐり、ラボに逃げ果せることが出来るのか?)

栄輔「逃しませんよ」

岡部「……!」

岡部(また心を……)



411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:23:43.25 ID:Y2G2ggV60

栄輔「妄想攻撃が通用しないというのであれば──」


栄輔が素早く間合いを詰め、袈裟斬りを仕掛けてきた。


岡部(まずいっ! ど、どうすれば!?)


          『できると思うよ、君が望めば』



俺は周囲共通認識を作り上げ、ディソードをリアルブート。
斬撃をすんでのところで受け止めた。
ディソードとディソードがぶつかり合い、激しく火花が散る。


岡部「くっ……」

岡部(斬り合いにしても妄想攻撃を仕掛けるにしても勝てる気がしない……!)

岡部(ならばっ……!)



412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:28:43.52 ID:Y2G2ggV60

岡部「フハハハ、漆原栄輔よ! なぜ貴様はノア計画を引き継ごうなどと思ったのだ!?」

岡部(読め、心を。思考を。”記憶”を──今の俺にならできるはず!)

栄輔「……」

岡部「……なるほど、当時いじめを受けていた我が子のためか!」

栄輔「……!」

岡部「それでノアを使って人の攻撃性や欲望といった感情を抑えこもうとしていた野呂瀬に賛同した、と!」

栄輔「私はるかのような子らが笑える平和な世界を作りたいだけなんです」

岡部「ふむ、ルカ子はルカ子のままでいい、そう言ってやったのだな」

栄輔「…………」

岡部(確かにβ世界線でルカ子と出会った時、卑屈といっても言いくらい自分を責めていたが……)

岡部「素晴らしい志だな、だが──」

岡部「なぜ我が子を信じてやらないっ!」

栄輔「……っ」

岡部(斬り合いでも妄想攻撃でも勝てないのなら──!)

岡部(精神攻撃を仕掛けるまで──!)



414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:33:30.43 ID:Y2G2ggV60

その合間に次々と襲い掛かる鋭い斬撃。
その一つ一つをかろうじて受け続けつつ──


岡部「聞かせてもらおう! 野呂瀬がIBN5100を手に入れようとした理由を!」

栄輔「……」

岡部「……そうか」

岡部「奴はSERNのタイムトラベル研究に対抗するためにIBN5100を欲していたのか」

フェイリス「タイムトラベルの……?」

岡部「なるほど、せっかくノアを完成させても、SERNにタイムマシンを開発されてしまえば大きな障害になる……」

栄輔「……」

岡部「野呂瀬は……プロジェクトノアの開始と共にSERNにクラッキングを仕掛け──」

岡部「研究データの破壊、及びIBN5100を使って通信傍受システムに重大な障害を起こさせたのか!」

栄輔「…………」

岡部(だからこの世界線のディストピア構築は、タイムマシンではなく、ノア?Vによるものだったのか!)



418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:38:15.30 ID:Y2G2ggV60

襲いかかる斬撃は速く、間合いも広い。
次の攻撃も、そのまた次の攻撃もなんとか受け止めるが、次第に受けきれなくなり──
脚、腕、脇腹、次々と斬られていく。

防戦一方。


岡部「うぐっ……」

フェイリス「凶真っ……もう……やめっ……」

岡部(……俺がここまで受け切れてるのも収束のおかげかもしれないな)

岡部(だがこのままでは俺は倒れ、捕まり……ノア?Vの完成を防ぐことも叶わない)

岡部(くそ……ここまでなのか?)


そう思った瞬間、ふっとと力が抜け、片膝をついてしまう。
そんな俺に影が近づき、腕を振り上げ──


岡部(……結局、収束には抗えないのか?)

フェイリス「や……やめてぇー!」

栄輔「野呂瀬くんは詰めが甘かった。私は──」



419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:42:05.01 ID:Y2G2ggV60

岡部「……っ」


──刀が振り下ろされた。


岡部「…………っ」

岡部「…………?」


ディソードは俺ではなく、何もない床に突き刺さっている。
これは一体……?


「それは妄想だ!」

岡部「え……」

セナ「よく耐えたな」

栄輔「なぜ君がここに……」

岡部「セナ……?」

拓巳「ふ、ふひひ、お、おまたせ……」

栄輔「西條くん、まさか……」



421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:45:05.60 ID:Y2G2ggV60

拓巳「セ、セナが今日、か、海外行きの航空便で連れて行かれることは、し、知ってた」

岡部「まゆりを逃がすために空港に行ったんじゃ……」

拓巳「そ、それだけじゃないよ、た、ただ二重の策をと、とっただけ。もしかしたら”見られてるかも”ってお、思ったから」

拓巳「だっ、だから僕が執事の黒木さんにお願いしたってわけさ、ふ、ふひひひひ……」

岡部「西條……」

拓巳「いっ、今の僕は、だっ、誰かを頼らなくちゃ何もできないけどっ。
    そ、そんな僕にも助けてくれる人は、い、いるんだようぅっ……。
    ギ、ギガロマニアックスの力がな、ないからって、な、なめないでよねっ」

拓巳「わ、わかったらさっさと降参しろおっ!」

栄輔「……」

拓巳「ひっ……に、にらむなよぅ……」

セナ「岡部! 送れ! Dメールとやらを!」

岡部「あ……」

岡部「……感謝する!」

岡部「フェイリスも来い!」

フェイリス「わ、わかったニャ!」



422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:48:40.45 ID:Y2G2ggV60

~大檜山ビル2階のドア~



岡部「うおおおおっ!」

フェイリス「凶真……ドア、斬っちゃって大丈夫なのかニャ……?」

岡部「問題ない、後で直す!」

岡部(というか、Dメールを送ればなかったことにできる)

岡部「よし……まだDメールを送るための機器は残っている!」

岡部(ミスターブラウン、あなたが物臭な性格で良かった!)



────
───
──



岡部「どうしてだよ、ここまで来たのに……」

岡部「ぐぐぐっ……電気が来てないっ」



423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 05:52:04.61 ID:Y2G2ggV60

岡部「おのれミスターブラウン、変なところでマメな性格をしおって……」

フェイリス「ど、どうするのニャ……?」

岡部(どうする……考えろ……)

岡部(セナがあの場を持ちこたえられなかったら、アウトだ)

岡部(悠長にミスターブラウンに交渉してる場合じゃない!)

岡部(考えろ……電気を発生させる方法を……!)


          『できると思うよ、君が望めば』


岡部(いけるのか……?)

フェイリス「凶真……?」

岡部(試してみる価値はある。イメージするんだ、電気が通ってると──)

岡部(俺とフェイリスの周囲共通認識にするんだ!)

岡部「…………っ」

 ブゥーン

岡部「きた! レンジが起動した!」



431:>>427 タクのセリフの回想、わかりづらくてスマン:2012/11/05(月) 07:03:13.28 ID:Y2G2ggV60

岡部「これでDメールを送ることができる!」

フェイリス「凶真……誰になんて送るのかニャ……?」

岡部「そう、後は文面だけ……」

岡部(どう送る? 誰にどういうメールを出せば未来が変わる……?)

岡部(α世界線に戻ってしまうようなメールを送るのが一番まずい。慎重に……慎重に考えなくてはならない)

岡部(フェイリスのパパさんに野呂瀬たちを止めてもらうような文面で送るか?)

岡部(もしくは、ルカ子が虐められないように……。だめだ、どちらも不確定すぎる)

岡部(いや、野呂瀬とルカ子の父上の接触が問題なんだ……!)

岡部(この世界線では俺がIBN5100を手にしなくとも、SERNがタイムマシンを完成させることはない)

岡部(となれば……)

岡部(野呂瀬とルカ子の父上が接触しなければ……)

岡部(野呂瀬が柳林神社に行く事がなければ……)



433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:14:17.18 ID:Y2G2ggV60

岡部(フェイリスのパパさんが”野呂瀬”にIBN5100を売ってしまえば……)

岡部「これだ! 野呂瀬がIBN5100を手にし、かつルカ子の父君と接触しないDメール!」

フェイリス「凶真、Dメールの内容は、決まったのかニャ?」

岡部「あぁ……」

岡部「フェイリス、お前のパパさんが柳林神社にIBN5100を奉納した日、わかるか?」

フェイリス「確か、2001年の4月ごろだったかニャ……」

岡部「となれば……2001年の3月辺りに……」

 ピッピッ ピッ


To:future-gadget8@hardbank.ne.jp
Sub:
本文:IBN5100を
    奉納せず
   野呂瀬に売れ


岡部(パパさんが文面通りに動いてくれるとは限らないが……)

岡部(奉納しなければ少なくともルカ子の父上と野呂瀬の接触は避けられるはず!)



435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:20:28.40 ID:Y2G2ggV60

岡部「後はメールを送れば……!!」


──ふと、背中に柔らかな感触。
ふわりと優しい匂いが鼻腔をくすぐった。


岡部「……フェイリス?」

フェイリス「また、行っちゃう、のかな……」

岡部「いや、お前との関係が無くなるわけでは……」


そう言いかけて、思い出す。
世界線が……未来が変わったら、俺がギガロマニアックスの素質を持つ可能性は低くなる。
恐らく素質を持った要因は91年に俺の母親が誘拐されたこと──

もともと俺には、ギガロマニアックスとしての素質はなかったのだから。

そうなれば──
こいつとの恋人としての関係は、恐らくなかったことになる。

だがこのメールを送らなければ……。
プロジェクトノアの再計画をなかったことにしなければ……まゆりが……。


岡部「まだ……他の方法があるかも──」

フェイリス「ううん、もういいの。またあなたを迷わせるような真似、したくないから……」



436:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:25:31.53 ID:Y2G2ggV60

岡部「え……?」

フェイリス「パパを助けるためにメールを送ってくれた、んだよね……」

岡部「ま、まさか……記憶が……?」

フェイリス「なんとなく、この場所に来たらデジャブみたいなのがあって、それで……」

フェイリス「パパのこと……助けてくれてたんだね……」

フェイリス「過去に送れるメールを、使って……」

岡部「あ、あぁ……」

岡部(前の世界線でリーディングシュタイナーを発動させたように、この世界線でもまた……)

フェイリス「8月14日……」

岡部(α世界線から跳躍してきた日か……)

フェイリス「あの時から、倫太郎の心の中から私は消えてしまった」

岡部「そ、そんなことは……」

フェイリス「ううん、倫太郎が見ていたのは別の世界の私」



437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:28:26.82 ID:Y2G2ggV60

フェイリス「それでもずっと……そばにいてくれたよね、倫太郎は優しいから」

フェイリス「その優しさが嬉しくて……でも寂しくて……」

フェイリス「私は倫太郎のことを縛り付けてるんだって……」

岡部「……」

フェイリス「責任、感じてくれてたんだよね……」

フェイリス「ごめんね……」


たどり着いたのは、フェイリス以外の繋がりがなくなっていた世界線。

その状況を寂しいと思った。
心のなかを、空虚さが占めていることに気づいた。
だから唯一の繋がりであるフェイリスと一緒にいることで、心に空いてしまった穴を埋めようと──

──でもきっとそれだけじゃなかった。

俺は、変えてしまった未来に対して責任を感じてもいたんだ。
そのためにこの世界線の岡部倫太郎と同化しようとしていたんだ……。



439:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:34:23.24 ID:Y2G2ggV60

岡部「すまない…………フェイリス」

岡部「俺は……また……」

フェイリス「……」

フェイリス「ニャフフ、いいのニャ! フェイリスは、もう十分、夢を見れたのニャ!」

フェイリス「マユシィたちを助けるためなら……仕方がないのニャ……」


俺はまた、こいつの前から消えようとしている。
それだけでなく、こいつの思い出すら……。
鳳凰院凶真がかけた言葉も、すべてなかったことに。



440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:38:02.26 ID:Y2G2ggV60

────
───
──



設定は完了した。
放電現象も直に始まる。


岡部「後は……メールを送信するだけだ」


フェイリスは涙をこらえたまま微笑んで。
かすかに頷いた。

賭けに勝ったはずだった。
だが賭けは終わってなんかいなかった。
まだ続いていたんだ。



442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:42:42.39 ID:Y2G2ggV60

俺は──
ボタンを押そうと──
指に力をこめて──

今度こそ──

勝つ!


 ピッ


フェイリス「バイバイ、私の王子様……」


強烈な目眩とともに世界の形は崩れ始める。


────────────────────────
────────────────────────



443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:46:13.41 ID:Y2G2ggV60

世界がぼやけている。
徐々に歪みが矯正され、感覚が戻ってきた。


岡部「うぐっ……」

岡部「ここは……」

岡部「…………」

岡部「ラジ館前前……?」

岡部(瞬間移動……? いや違う、世界線が変わったからそのように見えるだけ……)

岡部(タイムマシンは……)


ラジ館にタイムマシンがめり込んだ形跡は、ない。


岡部「……」


試しに何もない空間からディソードを取り出そうとしてみる。
が、反応はない。


岡部(やはり……)

岡部(すまない……フェイリス……)



444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 07:50:21.04 ID:Y2G2ggV60

~ブラウン管工房前~



岡部「はぁっ……はぁっ……ラボは……どうなっている?」


それは慣れ親しんだ風景。
幾度となく目にした風景。

二階へ上がればラボがあり──
みんながいて、まゆりがいて。
──俺の居場所があった。



466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 10:54:34.21 ID:Y2G2ggV60

岡部(……相変わらずあの時のまま、といった感じだ)

岡部(まるで今にも鈴羽が店から出てきそうな光景──)

鈴羽「ふんふーん」

岡部(そう、こんな風に──)

鈴羽「今日も暇だなー」

岡部(参ったな。思い出にすがるあまり、また妄想が溢れだして──)

岡部「ん?」

鈴羽「あれ、岡部倫太郎じゃん?」

岡部「鈴羽ぁっ!?」

鈴羽「ど、どうしたの? ……いきなり名前で呼ぶなんて」

岡部「お、おまっ……なんで、またここにっ……この世界線にっ……」



467:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 10:59:38.45 ID:Y2G2ggV60

岡部(鈴羽がいる、間違いなく)

鈴羽「おーい」

岡部(ま た す ず は が い る)

鈴羽「おーいってば」

岡部「きっ……きさまぁっ! タイムトラベルしてきたのだろうっ!? 何しに来た!」

鈴羽「ちょ、なんであたしがタイムトラベラーだって知ってんのぉ!?」

岡部「この期に及んでまた未来を変えろなどと言うのではあるまいな!?」

鈴羽「え? 未来を変えろ? なんのことぉ?」

岡部「おい、教えろ、何をしにきたのだっ!」

鈴羽「えーっと……それは、禁則事項で……あははは……」

岡部「ぐっ……」

岡部「わ、わかった。ならば一つだけ答えてもらおう」

岡部「SERNはノア?Vを完成させ、ディストピアを構築したのか?」

鈴羽「ノア?V? ディストピア? なにそれ」

岡部「……」



469:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:05:44.15 ID:Y2G2ggV60

鈴羽「SERNってあれだよね、研究機関の……それがどうかしたの?」

岡部「未来は平和……それでいいんだな!?」

岡部「まゆりもっ……みんな無事なんだなっ!?」

鈴羽「んー、それくらいなら問題ないか……」

鈴羽「安心してよ岡部倫太郎、未来は平和そのものだから」

岡部「……そ、そうか……良かった」

岡部(ルカ子の父上は野呂瀬とは無関係だし、SERNもディストピアを構築しない……)

岡部(平和な未来が訪れているんだ……)



470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:10:42.29 ID:Y2G2ggV60

岡部「我が子のために狂った聖者は……もういないんだな……」

鈴羽「にしてもあたしのこと存知してたんなんてねー」

岡部(いや待て)

岡部(……ならばこいつは一体何をしに?)

岡部「そ、そうだ! ラボはあるのか!?」

鈴羽「何言ってんのさー、君が設立したんじゃん」

岡部「そうなのか!? よ、よし!」

鈴羽「あ、ちょっとー!」



473:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:16:10.81 ID:Y2G2ggV60

~ラボ~



 ガターン


そこには信じられない光景があった。


ルカ子と。
まゆりと。
紅莉栖と。
ダルと。
萌郁と。
フェイリスと。


倫太郎「なん……だと……?」



475:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:21:19.33 ID:Y2G2ggV60

萌郁「え……」
ダル「ちょっ!?」
紅莉栖「岡部が……」
まゆり「ふ、二人いるよー!?」
るか「こ、これは一体……」
フェイリス「どういうことニャ!?」


うわ、なんだこれ! 俺っ!

俺!? 俺だ!


岡部「だ……」

倫太郎「だ……」



岡部・倫太郎「「誰だ貴様ぁっ……!」」



476:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:21:39.34 ID:FIk1F5H30

なんだと



478:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:24:58.77 ID:DxJpkA1Q0

笑った



480:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:26:17.80 ID:Y2G2ggV60

岡部(まさか……タイムトラベルした俺……?)

岡部「いやっ、夢か!?」

鈴羽「おー、もうこの時にはもう増えてたんだねー」

岡部「は? え? はっ!?」

岡部「まさか……妄想……? リアルブート……?」

鈴羽「うん、君のコピーじゃないかな」

鈴羽「あ、君がコピーの可能性もあるのか」

鈴羽「どっちがどっちかサッパリだね、あっはは」

岡部「…………」

倫太郎「こ、答えろっ! き、貴様は一体な、何者だっ……。こっ、このっ、機関のエージェントめっ……!」


俺が俺を指さす。
だが俺もいる。


岡部・倫太郎「「こっ……こ、これがシュタインズゲートの選択だというのかっ……」」



Last Chapter 『不死鳥のアナザーセルフ』END



483:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:29:30.16 ID:Y2G2ggV60

Epilogue 『史上最強のパートナー』



俺がリアルブートされた。

これがどういうことなのか、西條やセナに尋ねるため街を散々歩き回っていたのだが──
どうやらこの世界線でも、俺と彼らは、関わりがあったようだ。
携帯のアドレスに登録されているのを見つけた時には一日経過していた。


拓巳「な、なんでギガロマニアックスのこと、し、知ってるの? もしかして、セナ教えちゃった?」

セナ「教えていない。お前が教えたんだろ西條」

拓巳「ぼ、僕じゃないよっ……」


この世界線の俺とこいつらとは幻のレトロPCを探しあったようだ。
ダルがネット上の西條と連絡を取り合い、それに俺が付きそうという形だったらしい。
結局見つけることはできなかったみたいだが。



488:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:34:25.85 ID:Y2G2ggV60

で──

聞いたところによると、強力な力を持ったギガロマニアックスならば、人間すらも作り出すことができるらしい。
過去にも人間をリアルブートをしたおかげで1年近く眠り続けたギガロマニアックスがいたとかいないとか……。

全く無茶な話である。

俺をコピーした本人は漆原栄輔。
我が子のために狂ってしまった聖者はもういない──そう語ったが前言撤回。



やはりルカ子父は壊れておいでだった。



目覚めたら一言文句を言ってやらねばなるまい。

とは言え、未来はノア?Vに支配されることもない。
鈴羽がそういうのだから、そうなのだろう。
他のギガロマニアックスの少女らの無事も確認した。

にしても……。



489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:38:38.97 ID:Y2G2ggV60

岡部「彼はなぜ俺のコピーなどと……」

あやせ「大いなる扉が開かれたのよ。邪心の導きによって……ね」

岡部「は? 邪心……?」

梢「んーとんーとー、消したいならー、ドカバキグシャーってしたら、いいと思うのらー」

岡部「ど、どかっ……?」

優愛「じ、自分が二人いるなんて……。
   あの……やっぱり、私も消した方がいいと思います。
   消しますよね?
   消さないなんて言わないよね?
   消すに決まってる。
   消・せ」

岡部「えっ? い、いや、その……。 えっ!?」

梨深「だ、だめだよ楠さん。彼のコピーはもうすでに周囲共通認識が成り立ってるんだから、たはは……」

岡部「ふ、ふむ……」

七海「もう、おにぃのバカ!」

拓巳「っておまっ……。そ、それ言いたいだけ、ちゃうんかと……」

岡部(な、なんなのだこの濃さは!)



491:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:42:25.59 ID:Y2G2ggV60

8月27日

~ラボ~



ダル「ぐぇー! 牧瀬氏そのカードはらめぇぇぇ!」

紅莉栖「うっさい! どうせウィルスカードなんだろこのHENTAI!!」

萌郁「写真、取らせて欲しい。悪いようには、しないから」

るか「え……で、でもボク……その、こ、困ります……」

まゆり「スズさんも食べるー? ジューシー唐揚げ~」

鈴羽「おっ、もらうもらうっ」



倫太郎「……」

岡部「……」

倫太郎「おい」

岡部「なんだ」



492:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:46:35.99 ID:Y2G2ggV60

倫太郎「いい加減、どちらが妄想の存在か、決着をつけようではないか」

岡部「フッ、俺には世界線を漂流してきた記憶すらある。どちらが本物かは明白だろう」

倫太郎「馬鹿を言うな! 俺にだって岡部倫太郎としての記憶がある!」

岡部「だが、その記憶とやらも、ところどころ曖昧なのだろう? んん?」

倫太郎「世界線漂流などと妄想を垂れ流す貴様に言われたくないわっ!」

岡部「なんだと! 決して妄想などではないわっ!」

岡部・倫太郎「「ぐぬぬっ……」」

まゆり「二人ともケンカはダメだよぉ」

フェイリス「そうニャ、血を分けた分身同士で争っていてもなーにも始まらないのニャ!」

岡部「おのれっ……勝手に人のコピーを取りおってっ」



493:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:50:16.34 ID:Y2G2ggV60

ダル「最初はドッペルゲンガーきたこれって思ったけど、どっちかはルカ氏のパパが作り出した存在なわけっしょ?」

紅莉栖「ギガロマニアックスだっけ、信じがたい話よね。一度開頭して調べてみたいもんだわー……」

まゆり「奇跡も魔法も、あるんだよー☆」

ダル「おぉ、まどマジの名台詞きたこれ!」

紅莉栖「独りぼっちはさみしいもんなってか」

ダル「え?」
まゆり「え?」
紅莉栖「え?」

紅莉栖「……ごほん!」



494:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:54:22.15 ID:Y2G2ggV60

倫太郎「しかし、両親にはどう説明したものか……」

岡部「大学とかもどうすればいいのだ……?」

紅莉栖「いっそのこと漆原さんのお家にお世話になったら?」

岡部「いやいやいや!」

倫太郎「なぜそうなる!」

るか「えっ、えっと……」

紅莉栖「文字通り、あんたらどちらかの”パパ”なんだから」

るか「ぼ、ボクも……凶真さん、だったら……」

岡部・倫太郎「えっ……?」

紅莉栖「私も一人出してもらおうかしら。助手としてこき使ってあげるわ」

まゆり「えー? だったらまゆしぃも欲しいなー」

岡部・倫太郎「「これ以上増やすなっ!!」」



495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 11:59:05.20 ID:Y2G2ggV60

岡部「時に助手よ。前の世界線では随分世話になったな」

紅莉栖「はぁ? 何の話?」

岡部「今ならばお前との父親の仲を取り持つための青森行きの約束、付き合ってやるぞ」

紅莉栖「何よそれ、私がいつそんな約束した?」

岡部「なにっ!?」

紅莉栖「て、てゆーか別に、パパとケンカとかしてないし」

岡部「そ、そうなのかっ!?」

紅莉栖「まあ、そりゃ、一時期は口も聞いてくれないこともあったけど……今では仲がいいっていうか……いや、そこまでいいってワケじゃないけど!」

フェイリス「クーニャ~ン……」

紅莉栖「──ってわぁぁぁっ、もう! いきなり耳元でささやかないで!」



496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 12:02:41.49 ID:Y2G2ggV60

フェイリス「メイクイーンでバイトしてくれるって話、どうなったのかニャン?」

紅莉栖「言ってない! 一言も言ってないから! っていうかしつこい!」

フェイリス「クーニャンならフェイリスのライバルとして上り詰められると思うのニャけど~」

紅莉栖「だが断る!」

岡部「……これは……一体……」

倫太郎「……」

倫太郎「フン、やはり貴様のほうこそ妄想の存在だということが証明されたな、フハハ」



498:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 12:06:52.41 ID:Y2G2ggV60

ダル「もう、どっちがどっちだか全然わかんね」

るか「でも、どちらも、岡部さん……ですよね」

まゆり「うんうんっ、どっちもオカリンだよ~、えっへへ」

フェイリス「確かに~、本質は、どちらの凶真も凶真なのニャけど……」

フェイリス「一つだけ、決定的に違うところがあるニャ!」

鈴羽「それってなに?」

萌郁「こっちの岡部君は、私に、冷たい……」

岡部「……」

フェイリス「ニャフフ、そうじゃないニャ」

紅莉栖「じゃあ、なにかしら」

フェイリス「フェイリスにはちゃーんとわかってるのニャ!」

岡部「お、おいィ! いきなりくっつくなっ」

ダル「ちょ!」
紅莉栖「ちょ!」

倫太郎「む……?」



499:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 12:10:21.95 ID:Y2G2ggV60

岡部「よせっ、みなが見てるだろ!?」

フェイリス「こっちの凶真からは、フェイリスラブのオーラがあふれてるのニャ!」

岡部「なっ! そ、そんなわけっ」

フェイリス「ニャッフッフ、フェイリスの魔眼はごまかせないのニャ!」

まゆり「えー、フェリスちゃんずるいよ~」

るか「そ、そうですよ……!」

まゆり「じゃあまゆしぃはこっちー」

倫太郎「おいこらまゆりっ!?」

るか「あっ、まゆりちゃんっ!」

紅莉栖「あ、あんたたち!?」

萌郁「椎名さんも……ずるい」

鈴羽「あっはは、モテモテだねー、岡部倫太郎」



501:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 12:15:18.73 ID:Y2G2ggV60

フェイリス「今度パパとママにも紹介するのニャ!」

ダル「許さない、絶対にだ」


どうしてこうなった。


岡部・倫太郎「「くっ……!!」

倫太郎「俺だ……あぁ、機関が派遣したエージェントは、まだ真の姿を現さないつもりらしい」

岡部「俺だ……なに? 委員会の連中が動き出しているだと?」

倫太郎「クッククク……問題ない、必ずしっぽを掴んでやるさ」

岡部「心配は無用だ。こちらには能力者がいるのだからな」



岡部・倫太郎「「これも」」

岡部・倫太郎「「シュタインズゲートの選択だ」」

岡部・倫太郎「「エル・プサイ・コングルゥ……」」




Epilogue 『史上最強のパートナー』END



509:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 12:21:58.54 ID:6NpYwhlf0

すげぇおもしろかった 乙



520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 13:12:15.62 ID:EHXZkSX+0

力作だった乙



505:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 12:18:54.96 ID:HRoASCVD0

面白かった!
ほんと乙!
グロ平気だしカオヘやってみようかなー



525:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/05(月) 13:34:06.86 ID:0AWRPjQu0

オツ・プサイ・コングルゥ



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シュタインズゲートSS   コメント:3   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
33674. 名前 : 名無し@SS好き◆JalddpaA 投稿日 : 2013/04/26(金) 21:28 ▼このコメントに返信する
このスレの>>1しゃんはすごーく乙なのらー
33676. 名前 : 5pb好き◆- 投稿日 : 2013/04/26(金) 23:29 ▼このコメントに返信する
ふひひ >>1乙ww
37306. 名前 : 名無し++◆- 投稿日 : 2013/08/11(日) 19:13 ▼このコメントに返信する
いやいや・・・電話レンジ(仮)単体じゃDメールは送れないでしょ・・・
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