前→クリス「私とまゆりのどっちかが死ぬはずだった?」 岡部「そうだ」
166:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:07:34.85 ID:
+Rao7WEM0
【諸行無常のグーゴルプレックス】 14章
数十分後、岡部たちはラジ館屋上についた。
ドアを開けた瞬間からわかっていたが、そこには何もなかった。
紅莉栖「ねぇ、岡部。本当にラジ館でいいの?」
岡部「あぁ。間違いない」
ダル「誰も居ない件について」
岡部「……俺の考えだと、後少しで現れるはずだ」
紅莉栖「……何が?」
岡部「……何というより、人なんだが……、おっ、来るみたいだ……」
167:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:11:43.55 ID:
+Rao7WEM0
言い切る前に、事態は起こった。
岡部達が立っているところから前方に10歩ほど進んだ場所。
ある一点を中心として、半径数メートル程度の空間がゆがむ。
ちょうど蜃気楼のように翳りを見せたそれは、次に光を放ち、姿を見せ始める。
紅莉栖「ちょっちょっ!何!?」
ダル「オカリン!すっごいまぶしいんだけど!」
岡部「…………待ちくたびれたぞ……」
172:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:18:17.65 ID:
+Rao7WEM0
まばゆい光を放っていたその空間は、最後に一際強く光を出し、その姿を完全に現した。
岡部「……ようやく……、また姿を見ることが……できた」
果たしてそこに現れたのは、岡部が待ち望んだ、
まゆりが不可思議な死を遂げてから、いつ出てきてくれるのかと、死ぬほど焦がれた
タイムマシンだった。
174:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:19:14.70 ID:
+Rao7WEM0
プシュー、という音を立てて、タイムマシンのドアが開く。
ゆったりとしながら上部から倒れてくるドアの奥には、真っ白い煙が漂っていた。
果たして、ドアが完全に開き、奥から出てきた人物は。
「ふー……。ついた……のかな?」
岡部「久しぶりだな……。鈴羽……」
175:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:23:17.58 ID:
+Rao7WEM0
紅莉栖「……え?」
ダル「……だれぞ?」
鈴羽「……あれ?……え?何でみんながここに居るの!?」
岡部「メールをもらったんだ……。おそらく、未来の俺から」
鈴羽「……あぁー……、なんとなくわかったよ」
紅莉栖「ちょ、ちょっと!岡部どういうこと!?」
ダル「状況説明キボンヌ!」
岡部「……あー、なんて言えばいいのか……、とりあえずラボに戻るとするか……」
鈴羽「……その方がよさそうだね……」
176:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:25:44.78 ID:
+Rao7WEM0
やれやれ、という仕草を見せつつ、
俺は、内心小躍りしたくなるぐらい興奮していた。
ここに鈴羽が現れた意味。
タイムマシンが完成してるその意味。
そして、何より、未来の俺からメールが届いたその意味。
その全てが
「俺達が将来タイムマシンを作る事に成功した」事を指し示していた。
俺はようやく達成したんだ。
第一の問題にして、最大の難関のIBN5100取得。
183:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:29:27.32 ID:
+Rao7WEM0
ラボに戻り、
円卓を中心に4人が集まる。
鈴羽が、珍しそうにラボを見渡しているが、そんな時間的余裕は俺にはなかった。
岡部「……お前が、この世界に来ているって事は……、俺達はタイムマシンを完成させた……って事でいいんだよな?」
鈴羽「うん。……おじさん達は2036年にタイムマシンを完成させたよ。」
完成させた。
その一言を聞いた瞬間、胸からあふれてくる何かが止まらなかった。
185:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:35:02.78 ID:
+Rao7WEM0
ダル「まじで!?僕達タイムマシン本当に開発しちゃうの!?てかっ普通にスルーしてたけど、あなたは一体誰なん!?」
紅莉栖「そ、そうよ!まず彼女が誰なのかを私達に紹介するところから始めるべき!」
岡部「……あぁ、そうか……お前達は会ったことがないのだったな……、……彼女は…………えっと……」
一瞬口ごもってしまった。
前の世界の話をするべきか。
彼女は、お前の娘だよ。とダルに言ってあげるべきか。
β世界では、俺と一緒にSERNに立ち向かって、無限ループにも付き合ってくれたんだよ。
と、言ってあげるべきなのか。
187:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:36:03.61 ID:
+Rao7WEM0
一通り思案してみて、直ぐに思った。
言うべきではない。
彼女は、未来から来た俺達の協力者。それだけでいい。
不必要な情報は、未来改変につながる。
ここは極力、鈴羽の情報を明かさないで
鈴羽「お父さんの娘だよ」
岡部「うぉおおぃ!」
190:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:40:01.23 ID:
+Rao7WEM0
ダル「……は?」
紅莉栖「…………え?」
鈴羽「だーかーら!お父さんの娘だって!橋田至の娘の橋田鈴羽だよ!」
岡部「ちょちょちょっ!ちょっと待て!大丈夫なのか!?」
鈴羽「なーにが?」
岡部「それを言っても大丈夫なのか!と聞いてるんだ!」
ダル「……ちょ、ちょ……オカリンのそのあわてっぷり…………ひょっとしてmjbn?」
紅莉栖「この慌て様は、マジ話でしょうね……」
197:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:44:25.36 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「大丈夫だよ。だってオカリンおじさん達が言っても良いって言ったんだよ?」
岡部「……な、なんだと……」
鈴羽「その程度じゃ自分達の世界線はズレないからって、」
岡部「そ、そうなのか……」
ダル「ちょちょちょ!僕の娘って話をもっと詳しくキボンヌ!できれば妻と他の子供の話も!」
紅莉栖「た、確かに将来の話は、気になるわね……」
鈴羽「うーん、詳しく話してあげてもいいけど……」
岡部「ダメだダメだ!今は一刻も早く事態を掌握したいんだ!……ダル!お前の奥さんの話は、後で暇なときにしろ!」
ダル「そ、そんな~、オカリン……これマジで生殺しだよ……」
紅莉栖「ち、ちなみに……わ、私の話とかは……?」
岡部「紅莉栖!お前まで!」
199:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:45:32.39 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「………………」
紅莉栖「……な、何かしら……?」
鈴羽「紅莉栖おばさん、改めて思うけど、すっごい美人だね……写真で見るより美人だよ」
紅莉栖「え、えぇっ!?な、な、な、何をいきなり!?」
鈴羽「オカリンおじさんが惚れちゃうのもわかるよー」
紅莉栖「…………え?」
岡部「す、鈴羽!!余計な話はそれぐらいにして、俺の話に答えろ!」
紅莉栖「岡部うるさい。鈴羽さん。詳しく」
岡部「紅莉栖!お前までそっち側に行ってしまったら事態がぐちゃぐちゃになってしまう!」
結局、事態が掌握するまでにかかった時間は、数十分だった。
201:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:48:52.77 ID:6FXWEigF0
シュタゲほど二次創作が面白い作品もないな
211:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:04:06.35 ID:XOsutH730
>>201
別の世界線でいくらでも広げられるからな
213:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:05:19.21 ID:beXJma+v0
>>211
それでいて本編筋が揺らがないのもいいな
全部アリだと軽くなる
202:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:52:10.41 ID:
+Rao7WEM0
岡部「…………もういいだろう。鈴羽。そろそろ話に移ってくれないか?」
鈴羽「オカリンおじさんが誰と結婚するかの話?」
紅莉栖「くわしく!………、一応だからね!一応!」
岡部「もういい!、2036年の話を聞かせろ!」
鈴羽「2036年の話か、…………何から聞きたい?」
岡部「本題からだ。…………お前は何故ここに来た?」
鈴羽「……それは一番答えにくい……かな」
岡部「……答えにくい?…………どういうことだ?」
鈴羽「うーん、……なんて言えばいいのか……、おじさんを救うためって言えばいいのか…………まゆりおばさんを救うためって言えばいいのか……」
岡部「ま、まゆりを救うだと!、や、やはり救えるのか!?そのためにお前が来たのだな!?」
205:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:55:14.66 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「ちょ、ちょっと!おじさん!おちついて!」
岡部「ま、まゆりの死因はなんだったのだ!?アトラクターフィールドの収束は関係あるのか?!」
紅莉栖「岡部っ!落ち着け!」
慌てて立ち上がる俺を制するように、紅莉栖が隣に来る。
紅莉栖「……あんたが慌てちゃだめでしょ……」
岡部「…………あぁ……」
紅莉栖「あんたは私達の……ボスなんだから、もっと冷静になって……」
岡部「……すまなかった」
鈴羽「続き、話してもいい?」
207:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:56:41.43 ID:IVgAyrL90
やっぱ鈴羽は救世主であり、天使だな
208:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 02:57:39.40 ID:
+Rao7WEM0
岡部「話してくれ」
鈴羽「わかった。…………まず最初に、おじさんが一番知りたがってる事から言うね」
岡部「……あぁ」
鈴羽「まゆりおばさんは、アトラクターフィールドの収束によって死んだ」
岡部「……っ!」
紅莉栖「…………予想……通りね」
鈴羽「おばさんが死ななきゃいけなくなった原因は」
岡部「…………俺の死……か?」
鈴羽「……そう。…………2000年のオカリンおじさんの問題で、だよ」
209:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:01:16.18 ID:
+Rao7WEM0
岡部「……やはり……そうか……」
紅莉栖「ちょ、ちょっと待って!って事はやっぱり、岡部は2000年時点で死ぬ予定だったの?」
鈴羽「うん。……おじさんは、間違いなく1999年から2000年にかけての一ヶ月で死ぬ予定だった」
紅莉栖「…………」
鈴羽「でもそれを改変した人が居たんだ。」
岡部「……それがまゆり……か」
鈴羽「…………さすがおじさん達だね。……説明する前からわかってたみたい」
鈴羽「おじさんはそこで死ぬはずだったんだけど、まゆりおばさんが救った」
岡部「……ちなみに、俺の死因はなんだったんだ?」
鈴羽「……それを説明するのも……なんというか、難しいというか……」
岡部「……わかった。…………お前の好きな順序で説明してくれ」
鈴羽「…………うん。」
212:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:04:46.80 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「……えっと……それじゃ……何から言おうかな……」
岡部「………………」
紅莉栖「………………」
ダル「………………」
鈴羽「……とりあえずね。…………まゆりおばさんはリーディングシュタイナーを持っているんだよ。オカリンおじさんよりも強力な」
岡部「………………は?」
紅莉栖「………………は?」
ダル「………………は?」
214:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:07:29.01 ID:
+Rao7WEM0
岡部「……詳しく聞こうか……」
鈴羽「そもそもね。おじさんの力って、完全じゃない……らしいよ。」
岡部「……俺の力が……完全じゃない?」
紅莉栖「それってどういうことかしら?」
鈴羽「オカリンおじさんの力って、世界線移行する際に、記憶を保持したまま、移動ができるって物だよね?」
岡部「……あぁ、他の人物は、世界線移行に伴い、記憶もその世界の物に改変される。俺にはその制約がない。」
紅莉栖「……よくよく考えてみると、たいしたチートぶりよね……」
鈴羽「オカリンおじさんは、世界線移行前の記憶を保持したまま改変後の世界にいけるだけでしょ?」
岡部「……どういう意味だ?」
鈴羽「まゆりおばさんは、改変後の世界の記憶も得る事ができるの」
岡部「…………は?」
215:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:08:28.54 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「だから、まゆりおばさんは、世界線を移行すると、その世界での記憶も前の記憶も両方保つ事ができるって事」
紅莉栖「…………つまり、二度分の人生の記憶があるってこと……?」
鈴羽「まぁ、簡単に言うとそうだね」
岡部「…………信じられん」
鈴羽「だから、まゆりおばさんが世界線を移行するたびに記憶はどんどん溜まっていく」
岡部「……そんなの……脳の機能に障害が起こるに決まってるではないか……」
鈴羽「そうだね。…………だからこそオカリンおじさんは2000年に死んだわけだし」
岡部「……っ!?」
216:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:08:39.16 ID:beXJma+v0
脳みそぐちゃぐちゃで大変そう…
218:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:10:15.74 ID:Enas53Yj0
219:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:10:43.70 ID:vwaSlneK0
オカリンおじさんって原作の呼び方?
鈴羽は全員フルネーム呼びじゃなかった?
222:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:13:45.51 ID:5EkgTC7J0
>>219
ゲームやったけど鈴羽は世界線によっては性格が違うという設定だった
アニメでも最終話付近でオカリンおじさんって呼んでた気もするけどな
224:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:14:48.23 ID:Enas53Yj0
>>219
αだと未来オカリンと面識無いからフルネーム
βだと未来オカリンの事知ってるからオカリンおじさん
ちなみにまゆりおばさんも公式
274:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:12:13.41 ID:
+Rao7WEM0
>>219
この世界線上では、SERNが岡部達に気づかない。
だから、橋田も離婚する必要がなく、隠居する意味もない。
だから普通にオカリンとも接点がある。
220:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:12:59.42 ID:IVgAyrL90
αのあの記憶すらあるのだとしたら
もはや想像するだけでオカリンの胃がヤバい
リープだからないよな?な?
223:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:13:58.99 ID:
+Rao7WEM0
紅莉栖「ちょ、ちょっと!それってどういう意味!?」
鈴羽「おじさんのリーディングシュタイナーって、元々は完全だったらしいんだよ。」
岡部「……俺もまゆりと一緒の……?」
鈴羽「うん。でもさっき言った通り、普通の人間には、その力に耐えられない。必ず死ぬ」
岡部「ひょっとして、2000年の俺が救われたのは……」
鈴羽「そう。その力に制限をかけた人が居たから」
紅莉栖「……それが……まゆりなの?」
鈴羽「そうだよ」
岡部「ま、待て!お前の話からすると、まゆりも生きてちゃおかしい事になるぞ!」
紅莉栖「そ、そうよ。岡部が死ぬのならまゆりも死んでないといけないはずでしょ?」
鈴羽「うーん…………、そこらへんは詳しくはわからないんだけど、簡単に言っちゃうと、まゆりおばさんは生き残っちゃったわけ」
岡部「…………無理やりだな……」
225:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:15:54.30 ID:
+Rao7WEM0
紅莉栖「……ま、まぁ死ぬ人と死なない人が居るってわけね……それで?」
鈴羽「まゆりおばさんが能力に目覚めたのは、2004年の終わりごろらしい」
岡部「……2004年だと……、それは……まさか祖母が死んだ年か……?」
鈴羽「……うん。……直接関係があるのか、わからないけど、とにもかくにもその時に力に目覚めた」
紅莉栖「ちょ、ちょっと待って……、じゃあまゆりが、失声症になったのって……」
鈴羽「そうだよ。その時まゆりは能力に目覚めて、死ぬかどうかの瀬戸際だった」
岡部「ま、待て待て!……おかしいぞ!あの時まゆりは普通に外出できるほどには元気だったぞ?」
鈴羽「オカリンおじさんは寝込んだまま動けなかったんだよね?」
岡部「あ、あぁ……熱が出て死にそうだった」
鈴羽「まゆりおばさんは、感情を失うところだった」
岡部「…………どういう意味だ」
鈴羽「要は人それぞれ、危篤の状態は違うって事だよ。身体的病気とは違うんだ。脳の、いわば未開発領域の問題だからね」
紅莉栖「つまり、リーディングシュタイナーは、脳のどこかにその力の領域があるのね?」
脳科学専攻の助手が輝きだした。
240:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:28:16.28 ID:5CdlfFm80
オカリンはPCでたとえるとオーバーヒートして熱でて
まゆしぃは処理落ちみたいなもんかな?>>225
268:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:08:55.71 ID:
+Rao7WEM0
原作者じゃないから微妙だけど、
何かあったら質問に答えていくよ。
>>240
そうだね。
実に上手い説明だと思うよ。
226:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:17:58.17 ID:beXJma+v0
シャイニングティーナか
228:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:19:43.37 ID:vwaSlneK0
呼び方把握
難癖ごめんなさい
229:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:20:47.88 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「で、簡単に言うと、何日か峠を彷徨ったまゆりおばさんは、何とか自我を保つ事ができた」
岡部「…………」
鈴羽「それだけじゃない。さらに面白い事も起こった」
紅莉栖「……面白いこと?」
鈴羽「これはたぶん……リーディングシュタイナーの本質というか、真に能力と呼べる物なのだと思うけど」
岡部「……真のリーディングシュタイナー……」
鈴羽「まゆりおばさんは、あらゆる世界線を観測できるようになった」
紅莉栖「……つまり、…………どういうこと……?」
岡部「……お前の説明はいちいち大雑把すぎる……」
鈴羽「だーかーら!まゆりおばさんは、他世界線上の自分とリンクすることができるってこと!」
岡部「……それは俺も同じなのではないか……?」
鈴羽「全然違うよ。……おじさんは、今私の目の前に居る、この岡部倫太郎が唯一無二の存在でしょ?」
岡部「……当たり前だろう」
鈴羽「まゆりおばさんは違う。おばさんは、どの世界の自分とも記憶を共有する事ができる」
紅莉栖「…………ちょ、ちょっと待ってよ…………それってつまり……」
鈴羽「うん。……おばさんはタイムリープして、その世界線を経験しなくても、その世界線上の知識が手に入る」
230:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:21:52.05 ID:XOsutH730
マッチョしぃよりすごいな
233:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:22:51.62 ID:beXJma+v0
>>230
知識が入るなら後は体を鍛えるだけだな
231:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:22:07.20 ID:
+Rao7WEM0
俺は言葉を失ってしまった。
鈴羽のいう事を整理して考えてみると、それはつまり。
まゆりが存在している世界線上なら、どんな突拍子のない世界でも、その記憶を好きに共有できるという事だ。
ちょっと待ってくれ。
自分が存在している世界なら、どんな世界でも……だと?
たとえるなら、まゆりが80歳まで生きるとしよう。
いや、より正確に言うなら、80歳まで生きる世界があるとしよう。
まゆりは、そのどの年齢の記憶も好きに共有できるという事だ。
言っておくが、59歳のいついつの記憶なんて、簡単な話じゃない。
その全ての世界に、数十億の人間の、数百の国の、また数え切れない要素が絡んで、世界は分岐する。
234:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:22:56.91 ID:vwaSlneK0
神に近い存在じゃね?
237:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:24:56.53 ID:
+Rao7WEM0
それは、一体どんな量だ?
それは、一体どんな数なんだ?
今現在から、60年後までに、世界がどれだけ分岐すると思っているんだ?
その数は、もはや人間が数える為に作った単位を遥かに超越するだろう。
その全ての記憶が、一人間の頭にぶち込まれる。
なるほど。
俺が死ぬ理由も理解できた。
鈴羽「おばさんは、一旦力に目覚めると、その力を制御する事に成功した」
紅莉栖「要するに、死に掛かっていたのは、その他世界の記憶を得る力にでなく、その得る量に制限が効かなかったから、だと?」
鈴羽「そう。おばさんは、自分で世界の記憶を取捨選択できるようになった。つまり望む世界線の記憶だけ得られるようになったんだ」
紅莉栖「な、なんというか……もう無双状態ね……」
ダル「ヘヴン状態もいいところだお……」
243:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:29:48.00 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「で、ここからが重要なんだけど、まゆりおばさんが力に目覚めた初めての……、って何か言葉がおかしい気がするけども……」
ごにょごにょと鈴羽が口ごもる。
鈴羽「つまり能力に目覚めたのは、オカリンおじさんが死んだ世界で、だった」
紅莉栖「それはつまり……、まゆりが岡部を助けないA世界でって事ね……」
鈴羽「……A世界?……助けなかった世界の事?」
岡部「そうだ。俺と紅莉栖の間では、俺が死んだ世界をA世界。俺が生き残る世界をB世界。そして今居るこの世界をシュタインズゲートと呼んでいる」
鈴羽「シュタインズゲート……か、…………えっと、どこまで話したっけ……。」
紅莉栖「まゆりが覚醒して、からね」
鈴羽「そうそう。おばさんが覚醒した後、まず取った行動は、オカリンおじさんが死なない世界線の検索だった」
岡部「……俺が死なない世界の……検索?」
245:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:31:05.66 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「そう。おばさんは、オカリンおじさんを救える世界線を必死で探した。これから死ぬ人を事前に助ける事は、覚醒したおばさんには余裕だった」
「まゆりおばさんは、もう一人じゃない。どの世界のおばさんもどの世界の自分と共有できるんだから、もう一固体のアイデンティティは必要なかった」
「例えばD世界の24歳のおばさんが、一番望む世界線上に居るなら、そのおばさんがオリジナルになればいい」
「同じ様に、誰かに生きていてほしいなら、その人が生きている世界線上に居るおばさんが、オリジナルになればいい」
「でも、それじゃおじさんを救えない。覚醒前にだけは、どうやってもいけないんだ」
「まゆりおばさんは、どうしてもおじさんを助ける事はできなかった」
何故なら、俺が死んだのは2000年で、まゆりが力に覚醒するのは2004年だからだ。
どうしても、2000年のまゆりは、他世界の記憶を共有する事ができないまゆりは、オリジナルにはなれなかった。
247:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:34:29.77 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「おばさんは落胆……という言葉じゃ、足りないくらいに、意気消沈した。どの世界を見ても、おじさんを助ける事ができなかったから」
紅莉栖「………………」
鈴羽「でも、おばさんは諦めなかった。今、過去がダメなら、未来の世界を、と検索をかけた。」
「あらゆる世界を検索した。それこそ気が遠くなるほど。常人なら気が狂っているほどに」
「そうして何年……、いやおばさんには時間の概念はないんだけど……」
「どれくらいの時間を費やしたのか……、おばさんはついに見つけた」
「オカリンおじさんが生きている、奇跡の様な世界を。」
紅莉栖「ど、どうやって見つけたの……?……ありえないでしょ……もう死んでるんだから……」
鈴羽「まゆりおばさんは……、タイムマシンが開発された世界線を見つけた」
紅莉栖「……あっ!……そうか……その手が……」
岡部「……なるほど…………確かにタイムマシンが開発される世界ならば…………俺を救うことも…………」
249:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:37:05.97 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「……簡単に言ってるけど、これは半端じゃないほどのウルトラCだった」
岡部「……どうしてだ?」
紅莉栖「というより、タイムマシンが開発される世界なら、簡単に見つけられると思うのだけど……」
鈴羽「制限を忘れてない?……おばさんが見れるのは、おばさんが生きている世界線だけだよ」
岡部「…………?それがなんだ?」
紅莉栖「…………っ!…………も、もしかして……」
鈴羽「……やっぱり紅莉栖おばさんは頭が良いよ……本当に天才なんだと思う……」
岡部「どういうことだ!ちゃんと説明してくれ!」
紅莉栖「つまり…………まゆりが生きている時代に、タイムマシンは…………開発されない……って事……?」
鈴羽「正解だよ。さすが紅莉栖おばさん。」
岡部「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺はSERNがタイムマシンを開発した世界を知っているし、俺達が作った世界も知っている」
現にお前も、今そこにいるではないか!
俺は、たまらず立ち上がり、鈴羽に向かって指を刺す。
鈴羽「……ねぇ、本当にSERNがタイムマシンを開発できると思う?」
250:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:39:11.73 ID:
+Rao7WEM0
岡部「…………どういう意味だ?」
鈴羽「言い方が違ったかな……、本当にSERNが数十年足らずで、タイムマシンを発明できると思う?」
岡部「……そ、それは…………」
素直にYESと言えない問いだった。
タイムトラベルは、あのSERNが何十年も前から組織的にやっている実験だ。
試行錯誤を繰り返し、トライアンドエラーで成果を積み上げてきた。
その数十年の努力の結晶があのゼリーマンだ。
どう考えても、あと10や20年足らずで人を自由自在にタイムトラベルさせることができるようになるとは思えなかった。
岡部「だ、だが現にSERNはタイムマシンを開発して…………俺達だって、リープマシンを作る事に成功して………………」
そこまで言って気づいた。
【リープマシンを作る事に成功して?】
251:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:41:54.81 ID:
+Rao7WEM0
何か違和感を感じる。
何だ、この感じは。
途轍もない、お釈迦さまの手の上で踊らされているような。
何者かの意思に突き動かされているような。
そんな圧倒的気持ち悪さを感じた。
なんだ。一体なんなんだ。
鈴羽「気づいた?」
岡部「………………」
鈴羽「おじさん達が、リープマシンを作ったときの事……思い出して……」
252:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:43:34.02 ID:
+Rao7WEM0
世界がぐにゃりと、音を立てて曲がる。
吐き気を催すほどの圧倒的不快感。
今すぐにでも、トイレに駆け込んで吐きたい。
そんな俺を前に、鈴羽は容赦なく『真実』を告げる。
残酷に。無慈悲に。
そして、何より俺を思って。
鈴羽「……………本当に『最初』からタイムリープマシンを作る気だった?」
この一言を聞いた途端。
何かが俺の中ではじけた。
254:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:47:09.27 ID:
+Rao7WEM0
最初から違和感は有った。
都合よくまゆりが電子レンジをほしがり。
都合よくその電子レンジがリープマシンになり。
都合よく借りたラボの下のブラウン管がリフターになり。
都合よくラボの回線上とSERNの回線が直結しており。
そして、都合よく。
【紅莉栖と出会えた】
257:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:50:41.85 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「…………その全ては、まゆりおばさんが手を下して、世界改変を行った結果だよ」
岡部「……あ、あ、……あぁぁ…………」
鈴羽「……ショックだよね…………ごめんね。こんな話して…………」
紅莉栖「…………お、岡部…………」
俺は、膝をついて、顔を伏せ、泣きはらしたい思いでいっぱいだった。
こんな事ってあるか。
俺が、生きてきた人生。
自分で、自分の意思で、自分の力で、今の自分が居る。
そして、過去、まゆりを救うために、体感時間で何年も費やした、あの出来事が。
全て、他人の意思によるものだったのだ。
こんな事ってないだろ。
259:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:51:55.11 ID:
+Rao7WEM0
「う、……ぐ、……うぐっ…………っ…………」
紅莉栖「お、岡部…………しっかり…………」
鈴羽「…………本当にごめん。…………できることなら、伝えたくなかった。……あたしも…………おばさんも」
ダメだ。
このままじゃ『俺』は壊れてしまう。
自我が保てない。
だめじゃ
「あ、……がぁっ…………あぁがぁあ!!あああぁぁぁぁああぁっ!!!」
気を失います
【諸行無常のグーゴルプレックス】 14章 完
260:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:53:09.77 ID:Enas53Yj0
上手く出来すぎててこの>>1が怖い
262:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:58:26.15 ID:ObytV0cQ0
まさか原作をそう使ってくると思わなかったわwww
期待してるwwwww
263:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 03:59:48.91 ID:omIUBYgj0
まゆりがD4Cのスタンド使いだったとは・・・
面白い
264:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:02:40.53 ID:VhXqcFU+0
お前をみているぞ
266:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:07:01.08 ID:
+Rao7WEM0
疲れた。休憩。
てか本格的に腕が痛いんだが……、これはまさか腱鞘炎って奴か。
タイムリープして、スレ立てを止めさせねぇとな。
267:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:08:08.94 ID:XOsutH730
>>266
その世界線はない
270:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:09:15.16 ID:dBUU+yTXO
>>266
SERNに通報した
272:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:11:19.03 ID:6gzb5k/pO
原作をやってるようなゾクゾク感
276:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:15:30.56 ID:k2G+1Z0P0
面白いな
279:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:16:59.37 ID:XOsutH730
まゆしぃはタイムリープマシンを岡部達が作るよう自身が誘導した世界線を観測したってことでおk?
282:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:22:30.53 ID:
+Rao7WEM0
>>279
微妙に違う。
世界線を観測するって行為はただ『見る』だけじゃない。
例えば、ある世界を観測する。
「俺が普通にPCで19時からクッソ無駄な時間を使ってる世界だ」
この世界は、さまざまな世界に分岐している。
例えば、俺が20時で書くのを止める世界。
21時で止める世界。
その分岐は限りないほど多い。
そしてまゆりは、その分岐を一つずつしらみつぶしに探していくんだ。
それこそ数え切れないほどトライアンドエラーを繰り返して。
そうして一歩、一歩と、改変した後の世界をまた観測して、さらに改変してを繰り返して、原作のリープマシーンが完成される世界をようやく見つけた。
284:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:30:36.57 ID:XOsutH730
>>282
なるほど
本編で岡部がやってきたことをマシンも使わずに何度も過去改変を行いやったわけね
精神力すご過ぎだろ...
285:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:32:22.10 ID:IVgAyrL90
まゆしぃはまゆ神だったか
287:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:35:30.82 ID:omIUBYgj0
まゆしぃヴァレンタインだな
295:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:51:29.18 ID:
+Rao7WEM0
俺が目覚めたのは、それから数時間経った後だった。
気づくと、俺はソファーに寝ており、横には、深刻な面持ちをした助手と鈴羽が座っていた。
ダルは……まぁいいや。
紅莉栖「……あっ…………岡部…………気づいた?」
岡部「…………あ、……あぁ……」
鈴羽「………………」
鈴羽がなきそうな顔でこちらを見ていた。
そんな顔しないでほしい。
お前が悪いわけじゃないのに。
296:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:54:21.09 ID:6BHOYaly0
きたか
297:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 04:58:22.93 ID:
+Rao7WEM0
岡部「…………すまなかった……鈴羽」
鈴羽「…………え…………?」
岡部「……お前に、こんな辛い事をいわせる役目を負わせて…………」
鈴羽「……そ、そんなこと!…………こんなの……おじさんの苦しみに比べれば…………」
俺はソファから身体を起こし、頭を触ってみる。
うん。
まだ混乱は残ってるけど、
もう大丈夫だ。
もう、気持ちの整理はついた。
300:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:04:48.23 ID:
+Rao7WEM0
岡部「…………思えば…………俺はずっと加害者だったんだな……」
紅莉栖「…………え……?」
岡部「過去の世界で…………俺はお前達に…………今の俺と同じ様な事を味合わせてきたんだ……」
紅莉栖「……で、でも……それは……」
岡部「いや、…………同じ事だ。…………俺はあの世界の、……唯一無二のお前達を……自分の都合で作ったり、消したりしたんだ」
紅莉栖「…………岡部…………」
岡部「だから、今俺が味わっているのは…………罪滅ぼしのようなものなんだ…………」
鈴羽「…………おじさん…………」
301:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:09:55.93 ID:
+Rao7WEM0
岡部「……鈴羽…………だから自分を責めるのはもう止めてくれ」
鈴羽「…………うん…………わかった。…………もう逃げないよ」
岡部「…………よし。………さぁ!円卓会議の続きを始めようではないか!」
俺は、唐突にソファから飛び上がると、そう高らかに叫んだ。
紅莉栖「…………あ、久しぶりの鳳凰院凶真…………」
鈴羽「……ぷっ……、あっはっはっは!…………そのネタ、もうこの時からやってたんだ!あっはっは!」
紅莉栖「……えっ……?…………ちょ、ちょっと……もしかして未来でも……?」
鈴羽「うん!オカリンおじさんの18番だよ!」
紅莉栖「や、やめて!…………岡部!そのネタはもう今日で封印して!」
そうして俺達の円卓会議は再開した。
304:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:15:44.12 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「さて、………………どこまで話したっけ?」
紅莉栖「まゆりが、岡部が生きている世界線を見つけたところまでよ」
鈴羽「そうだったそうだった。…………えっと、そう。おばさんが見つけた世界線、……これをB世界……?だっけ?」
紅莉栖「まぁ私達が便宜上つけただけだけどね」
鈴羽「そのB世界を見つけた時のおばさんの喜びようはなかった。」
「歓喜なんて言葉じゃ補えないくらいの喜びだった」
「それはそうだよ。体感時間ではもう悠久と言ってもいいほどに年が経っているんだから」
「砂漠に落とした一粒のビーズを見つけたぐらいって言えば一番わかりやすいのかな」
だけど、喜んだ分、悲しみはそれ以上だった。
鈴羽「その世界では、抗いようの無い事態が待っていた」
岡部「…………SERNがタイムマシンを開発してしまう…………のだな……?」
鈴羽「そう。当たり前だよね。そのSERNが開発したタイムマシンによって、おじさんを助けに行くんだから」
紅莉栖「……そうね」
305:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:20:50.29 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「まゆりおばさんは、その開発したタイムマシンに載っておじさんを助けに行く世界を観測してみた」
「容易におじさんを助ける事はできた。なんたって今のまゆりおばさんはプロのリーディングシュタイナーだからね」
「でもその後が、大変だった。」
「おじさんを助けるためにSERNがタイムマシンを開発する世界線上を軸に世界を観測しているからか」
「どんなルートを辿っても、ディストピアが形成されてしまう」
「おばさんは困惑した。どんな世界をのぞいても、どんな世界を調べても、その全てがディストピアにつながるのだから」
当然だ。
SERNがタイムマシンを開発している世界線上なら、どんなイレギュラーがあったとしても、ディストピアが生まれてしまう。
306:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:23:59.84 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「それでもおばさんは諦めなかった」
「観測を止めなかった」
「その結果、あるひとつの奇策が生まれた」
「それは、SERNが作ったタイムマシンでおじさんを助けた後に、SERNではなく、別人にタイムマシンを作ってもらうという物だった」
紅莉栖「ちょ、ちょっと待って!そんな事して何の意味があるの?」
鈴羽「別人がタイムマシンを作れば、そのタイムマシンに載ってオカリンおじさんを助けに行く事ができる」
紅莉栖「それは答えになっていないわ。SERNがタイムマシンを開発してしまう世界線上なら、どっちにしろディストピアが形成されるでしょ?」
308:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:25:22.55 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「だから、別人にタイムマシンを作らせた後に、SERNがタイムマシンを作らない世界を観測すればいい」
紅莉栖「い、意味がわからないわ…………それじゃ矛盾が生じるでしょ……?」
鈴羽「いいや、起こらないよ。SERNのタイムマシンが他人のタイムマシンに変わるだけだから」
紅莉栖「ま、まゆりはSERNのタイムマシンでタイムトラベルするんでしょ……?なら制限がかかって他人のタイムマシンじゃ記憶が………………あ、……」
鈴羽「……そうなんだ。…………まゆりおばさんだけは、収束に当てはまらないで、時間改変ができる」
紅莉栖「ていうか……そもそも、他人がタイムマシンを作れるのなら…………SERNがタイムマシンを開発した世界でなく、その人が開発した世界に行けば良いんじゃ……」
鈴羽「……それは絶対に無理だよ。」
紅莉栖「な、なんで?実際に作っているんだから、観測すれば………………っ!」
鈴羽「本当に察しが良い人と話してると楽だね。実感するよ」
岡部「…………どういうことだ?」
紅莉栖「…………岡部なの……?」
309:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:30:48.73 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「……正確に言えば違うけど…………、うん。……そう、オカリンおじさんの生存が、タイムマシン開発の鍵だった」
紅莉栖「…………なるほど…………通りでSERNのタイムマシンを利用して、岡部を助けなきゃ、新たなマシンができない……」
鈴羽「……ここからが重要だよ……」
「ようやくSERN以外のタイムマシンを観測できたまゆりおばさんは、今度は如何にしてディストピアが形成されない世界に到達できるのかを探し始めた」
「これこそが、たぶん、おばさんの世界観測史上、最も時間のかかった作業だと思う」
「まず、第一条件は、おじさんがタイムマシンを開発できる環境に居る事」
「この条件は、比較的容易だった。特定のラボに、特定の機材と特定の人材を容易した世界を観測すればいい」
「その仮定の中で、第二条件が生まれた。」
「それは、牧瀬紅莉栖が父親に殺されない事。」
「後で言うけど、これが最難関だった。……その理由は…………おじさんならわかるよね?」
あぁもちろんだ。
俺が何年費やしたと思っている。
310:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:34:06.70 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽の話は、まだまだ続く。
鈴羽「そして第三条件、世界戦争が起きない様、タイムトラベル論文を流出しない事。」
「これは第二条件とリンクしているから割合するよ」
「次に第四条件、これは少し特殊なんだけど、牧瀬紅莉栖が岡部に好感を抱きつつ、タイムトラベルの危険性を認識する事」
紅莉栖「ふぉぉおい!余計な事は言わんでいいぞ!」
岡部「……紅莉栖……今はまじめな話をしてるんだ……少し黙ってくれ」
紅莉栖「……あ、……ご、ごめんなさい…………」
岡部「で、鈴羽……、その条件がクリアしてるという事は、今この牧瀬紅莉栖は俺に好感を持っているのか?」
鈴羽「もちのろんだよ。今すぐ結婚できるほどに」
紅莉栖「shut up!」
311:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:40:34.45 ID:yWG9rFJK0
今日も助手がかわいい
312:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:41:05.23 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「そして第五条件、SERNにタイムマシン開発を悟られない事」
「これはもう言わなくても理由はわかるよね?」
「この条件が意外に難しかった。何故なら、IBN5100が必要だから。」
「これは後の条件と重なるんだけど、タイムマシンが存在しない世界線上でこの条件をクリアするのは至難だった」
「何故なら、いくらまゆりおばさんが神に等しいと言っても、IBN5100はもう既に存在しないから」
紅莉栖「IBN5100がもう存在しない……?」
鈴羽「そう。おじさん達もがんばって探したらしいけど、無駄だったみたいだね。もうこの地球上にIBN5100は存在しない」
「あるとしても、それは機能しないか、内部的要素が完全に書き換えられたものだよ」
「おばさんは困った。SERNに全てのIBN5100を壊される前に、なんとか入手しないといけないのに、おばさんは2004年以前にいけない」
「こんなところでも、この制約はキバを向いた」
「おばさんは真剣に考えた。考え抜いた。そして見つけた。自分だけに仕える奇策を」
313:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 05:45:21.53 ID:
+Rao7WEM0
岡部「……タイムマシンが存在してある世界に行き、IBN5100を分析した…………のだな……?」
鈴羽「そう。これで第五条件がクリアできた」
「そして第六条件。…………SERNがタイムマシンを開発しない事。…………これはシュタインズゲートに到達……と言い換えても正しいかな」
シュタインズゲートの到達。
これは言い換えれば、俺、まゆり、紅莉栖の三名全員が生存しており、
かつ、SERNがタイムマシンを開発する事なく、ディストピアが形成されることもなく、世界大戦も起こらない。
そんな夢の様な世界線のことである。
鈴羽「でも、この条件を考えたとき、初めて矛盾が生まれる」
紅莉栖「タイムマシンが開発されない…………のね?」
321:
サル食らって!忍法帖食らって!おらこんな扱い嫌だぁ。おらこんなの嫌だぁ。:2012/07/31(火) 06:42:09.35 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「そう。シュタインズゲートでは、紅莉栖おばさんがオカリンおじさんとタイムリープマシンを製作する時間が存在しない」
「ゆえに、リープマシンも、タイムマシンも、両方製作される事の無い世界だ」
「だからこそ、矛盾する。…………オカリンおじさんが生きている事に」
紅莉栖「…………なるほど…………、確かにこの世界線上で、岡部が生きているのはおかしいわ」
鈴羽「うん。誰も岡部おじさんを助けに行く事ができないからね。私も、紅莉栖おばさんも、そしてまゆりおばさんも」
紅莉栖「なのに、岡部はこうして生存して、……世界をシュタインズゲートに移行させた。タイムリープマシンもタイムマシンも開発させることなく」
鈴羽「普通なら、矛盾が生じて、おじさんは生きていられないはずだよね?」
岡部「……あぁ、俺は死んでいるからな。」
鈴羽「でもおばさんは諦めなかった。今までも同じ様な困難にぶつかって来て、何度もウルトラCで乗り切った」
「諦めなければ道は開く。利用できるものは何でも利用した」
「そのおばさんが、最後の最後に、とんでもない物を利用した」
岡部「……いったい……なんだと言うのだ…………」
紅莉栖「…………まさか…………」
鈴羽「そう。…………おばさんは、自分の死を利用した」
323:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:45:27.58 ID:
+Rao7WEM0
岡部「……何度も悪いが…………意味がわからない……」
鈴羽「よく考えて。おじさん。…………現在この世界線上では、まゆりおばさんは生きていない。」
「なら、誰が2000年のおじさんを助けに行くの?」
岡部「……そ、それは…………だから、タイムマシンが開発されていないこの世界線上では……、俺を助ける事は絶対に……」
鈴羽「何でタイムマシンが開発されないの?」
岡部「何故って、それは、リープマシンが作成されることが…………っ!」
鈴羽「作ってるじゃん。今、この瞬間。おじさん達が。」
岡部「ま、待て…………頭が混乱する…………って事は何か…………?…………俺にタイムマシンを作らせるため……それだけの為にまゆりは死んだ……って言うのか?」
鈴羽「正確に言うと違う。…………でも大まかに言えば合ってるよ」
紅莉栖「…………一つ、いいかしら……?」
鈴羽「……いいよ」
324:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:46:14.97 ID:
+Rao7WEM0
紅莉栖「岡部自身がタイムマシンを開発するのは、矛盾が生じないかしら?」
鈴羽「そう。死ぬはずのおじさんを助けるためのタイムマシンをおじさんが作る事はできない。」
「でも他人ならそれができる」
紅莉栖「…………はぁ…………わかったわ。理解した………………私なのね?」
鈴羽「そうだよ。…………紅莉栖おばさんがタイムマシンを作るんだ」
紅莉栖「ちょっと待って……、その理論で言うと、リープマシンは岡部が作ってるんだから、私が完成させても矛盾が生じない?」
鈴羽「……これは…………その何ていうか…………オカリンおじさんに悪いんだけど……」
岡部「……ん?…………どうした?」
鈴羽「実は、タイムマシン発明に……おじさんが関与している部分って…………ほぼ0なんだよね……」
岡部「……な、なに!?」
紅莉栖「…………ぷっ!」
紅莉栖は、たまらず噴出してしまった。
シリアスな場面だと言うのに、なんと締まらない奴なのだ。
325:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:47:18.27 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「考えてみて、……紅莉栖おばさんが作成したタイムトラベル論文って、おじさんが1%でも関与してた?」
紅莉栖「…………確かに……、あれは岡部と知り合う前に書いた論文だから…………」
鈴羽「これで矛盾は解消された」
紅莉栖「ま、待って!まだ、まだまだ矛盾はあるわ!」
鈴羽「うーん……、これ以上突っ込まれても面倒くさいんだけどなぁ……」
紅莉栖「そ、そもそもまゆりが死んだ今!誰が岡部を助けに行くの!?まだ2000年の岡部は助かってないはずよ!」
鈴羽「もう薄々わかってるでしょ?……紅莉栖おばさんだよ」
紅莉栖「ちょ、それこそ矛盾が生じるわ!私はその時代の岡部を救えない!救い方を知らない!」
鈴羽「いいや、知ってるはずだよ。」
紅莉栖「なんでそんな事言えるの!?」
鈴羽「まゆりおばさんが、そうなるように布石を打っているから」
紅莉栖「……ふ、布石…………?」
326:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:48:36.13 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「例えば…………、おじさんがIBN5100の規則書を見つけた時、どうやったの?」
岡部「……あ、あれは……確か俺の中の記憶が………………っ……」
紅莉栖「……まさか…………」
鈴羽「そう。あれも全部まゆりおばさんの力」
紅莉栖「た、他人にまで彼女の力は及ぶわけ!?」
鈴羽「簡単に言うけど、直接的に脳に記憶を与えてるわけじゃない」
「彼女は、彼女の望む世界を観測した後、その世界をできるだけ他の世界でも再現しただけ」
岡部「…………さ、再現だと……?」
鈴羽「再現することで、望む世界線を多く作った。」
「そうすることによって、彼女は、彼女の望む世界線を、他の世界線より、他人の脳にほんのわずかに印象深くさせることに成功したんだ」
岡部「それに何の意味が………」
鈴羽「人は誰しもが、リーディングシュタイナーの能力を潜在的に持つ」
紅莉栖「……つまり、望む人物に、印象深く特定の世界線を刷り込むって……ことね」
327:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:49:40.93 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「そういう事」
紅莉栖「…………って事は……何かしら…………、私は2000年の岡部を救う方法を知っている……という事かしら……?」
鈴羽「そうなってくるね。ただ、今はまだ知らないと思うよ?その時になって、初めてリーディングシュタイナーが発動するようになってると思うから」
紅莉栖「…………なんだか、いろいろ煙にまかれたようにしか思えないわ…………」
鈴羽「でも、矛盾はないでしょう?」
紅莉栖「ちなみに聞いておくけど、岡部が存在しないなら、私が岡部を助けに行く理由にならないけど……?」
鈴羽「それを聞く?………今説明したばかりだよ?」
紅莉栖「…………矛盾もまゆりの力にかかれば形無しってわけね……」
328:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:50:58.03 ID:
+Rao7WEM0
鈴羽「さて、残す話はあと一つだね。」
岡部「ひとつ?」
鈴羽「オカリンおじさんは、紅莉栖おばさんが助けに行くとして、残ったのはまゆりおばさんだけだよ」
岡部「そ、そうだ!あいつの超人っぷりにすっかり忘れていたが、そもそもの目的があいつを救出することではないか!」
紅莉栖「そういえばそうだった…………自殺みたいな事をしてたからすっかり忘れていたわ……」
岡部「あ、あるのか!?あいつを救う方法が!」
鈴羽「それは私からは言えない。」
岡部「……ど、どういうことだ!?」
鈴羽「…………携帯。…………携帯に着信が着てない?」
岡部「け、携帯だと……?」
俺はズボン右ポケットに入れたままだった携帯を取り出して、画面を見る。
差出人:sg-epk@jtk93.x29.jp
件名:なし
動画添付:safwkoickse#44C
本文:なし
329:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:52:14.29 ID:
+Rao7WEM0
『よう。俺
ていうのは相変わらず慣れない物だな。
まぁ慣れようとするこの環境がおかしいんだがな。
さて、今回で二回目か?俺からメールを送るのは。
つっても、俺の記憶上じゃ、これが始めてなんだがな。
まぁ察しの悪いお前でも、俺からのメールと来れば何の事かはもうわかるだろ?
あぁそうだ。…………まゆりだ。』
330:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:53:00.60 ID:
+Rao7WEM0
『まゆりを助けるためにいろんなことをしたよな。
α世界線、β世界線、そしてシュタインズゲート。
まだお前は、まゆりがこの世界を作り出したことに対して、困惑を隠せないかもしれない。
まぁでもなんだ。
女の子に、ここまでしてもらうってのも、男冥利に尽きる。
そうは思わないか?』
331:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:53:48.00 ID:
+Rao7WEM0
『おそらくまゆりは、永遠と呼んでも間違いないほどの時間を俺達の為に使ってくれたんだ。
なら、今度は、お前が助けに行く番。
そういう物だろ?
あぁ、なに今回は、前回みたいに痛い思いはしなくていい。
お前がただ、まゆりにもう一度会いたいと、そう思えば全てが上手くいく。
その点は心配…………いらねぇよな。
だって。
俺は、お前で。
お前は、俺なんだから。』
332:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:54:36.19 ID:
+Rao7WEM0
『じゃあ最後に助ける方法を説明するぞ?
って言っても、方法は使い古された物って言ってもおかしくないのか?
こんな事言ってる時点で、もう既にネタバレなんだけどな。
あぁ、もったいぶっちまったな。
そんなつもりはねぇんだ。今言うよ。
さぁ。
自分をもう一度騙しに行こうぜ。』
俺は。
携帯を閉じて。
空を見上げて。
笑った。
333:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 06:55:23.74 ID:
+Rao7WEM0
『あ、それとな、救急救命士に変装するときな、マスクつけていけよ?
流石に、マスク無しだと、アホな俺でも気づくぞ?
あ、後親御さんに事情を説明するのを忘れるな?結構手間取るぞ。あれ。
っと、長くなっちまったな。こんなに話すつもりはなかったんだが。
まぁ何だ。
最後は、やっぱりアレで閉めるか?
アレってなんだよって寒い事言うなよ?
いいか?
準備はできたか?いくぞ?』
俺は、携帯を握った手を高らかに掲げ
そして空を見上げて、言った。
「『エル・プサイ・コングルゥ』」
334:
おつかれ!!:2012/07/31(火) 06:56:10.82 ID:
+Rao7WEM0
こんな言葉に意味など無い。
だが、物事の全てには意味がある。
『そういうものだろ?』
「そういうものだ」
俺は、空を見上げて、
これからすべき事を想像して、
その面倒くささに苦笑しながら、
まゆりに早く会おうと、そう思った。
【真シュタインズゲート 到達】
完
335:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 07:00:24.23 ID:6FXWEigF0
乙!
338:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 07:06:46.31 ID:KLtozt3lO
>>1乙
かなり楽しめたし完成度も高いし非常に良かった
最後駆け足だった印象はあるけど
341:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 07:08:41.93 ID:
+Rao7WEM0
>>338
うむ。
最後はもう少し、ゆっくりやろうと思ったんだけど、仕事の時間での。
本当は、過去おかりん救出場面と
まゆり救出場面をやるつもりだったんだが、サルと忍法のせいで。
完成させるために●まで買っちまったよ……、何してんだ俺……
342:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 07:16:44.42 ID:3SqRd3Ik0
乙リン
344:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 07:23:02.03 ID:qxk1jPWoO
読み終わったー!
いやー、久しぶりに楽しめたわ
>>1乙!
350:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:09:37.89 ID:Mr8f3AYuO
乙
久しぶりに見た良SSだった
352:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:18:29.50 ID:u1p6RZZ30
おつおつ!
また機会があったら書けなかった分もやってくれ!
353:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:24:28.54 ID:
+Rao7WEM0
TIPS No.1
『対面の価値』
「それじゃあ!お父さん!ご同行お願いできますか!?」
まゆり父「は、はい!わかりました!」
「奥さんと、彼氏さんは、ご自宅の方で待機をお願いします!」
まゆり母「……は、はい……」
岡部「……わ、わかりました……」
「よし!OKだ!発進して大丈夫だ!」
そういうと、まゆりを載せた救急車がまゆり家の前から姿を消した。
354:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:29:50.29 ID:4QYFaWqYP
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
355:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:30:09.14 ID:
+Rao7WEM0
「もう大丈夫?」
「あ、あぁ……もう姿は見えないから……大丈夫…………の、はずだ……」
「正直この服すっごい蒸れるんだけども……どうなん?」
「その文句は、そこで寝てるラボメンに言ってやれ」
まゆり「……………………」
ダル「……というわけなんだけども…………まゆ氏……」
紅莉栖「大体、救急車偽装とか、どんだけお金かける気よ……。岡部…………お金はきっちり返しなさいよ?」
「その請求もそこで寝てるラボメン行きだ」
まゆり「……………………」
358:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:33:24.80 ID:
+Rao7WEM0
「さて、いつまで狸寝入りを決め込むつもりだ?ラボメンナンバー002。椎名まゆり」
まゆり「…………普通……こういう時は、お姫様にちゅーって決まってるのです…………」
まゆりが、寝たままの姿勢で、まぶたを閉じたまま呟く。
「……スマンが、世界を自由自在に改変しまくった英雄を、俺はお姫様なんて呼べないな」
まゆり「…………じゃあオカリンは、まゆしぃの事、これからなんて呼ぶ気なのかな…………」
「そんなの決まっているだろう」
「こんな手間をかけさせて、そして自分の身体をも投げ捨てるような奴を、ほっとくことはできん」
「そんなお前はやっぱり、これからも」
岡部『俺の人質だよ』
TIPS No.1 fin.
359:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:36:14.06 ID:
+Rao7WEM0
TIPS No.2
『その合言葉は』
はぁ……はぁ……。
はぁ……はぁ……。
寝苦しい。
身体が動かせない。
死ぬほど暑い。
もう自分はこのまま死んでしまうのではないか……?
361:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:37:59.81 ID:
+Rao7WEM0
視界が霞む。
脳が焼ける。
こんな風邪……、今まで経験した事がない。
あぁ、自分はこんな年で死んでしまうのか……。
『いや、あなたは死なないわ』
362:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:38:11.30 ID:2/R4n5rs0
ダイジェスト編か
364:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:39:45.46 ID:
+Rao7WEM0
誰かの声がした。
幻聴だろうか……、今、両親は家に居ないから、
なら一体……、この声をかけてきたのは、誰なんだ。
声はまだ聞こえる。
『あなたはこんなところで死ぬべきじゃない。もっと生きないとダメ』
無茶言わないでくれ……。
今にも死にそうなんだ……。
365:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:42:32.25 ID:
+Rao7WEM0
『大丈夫……今から楽にしてあげるから……もうその苦しみは終わる』
誰なんだ。
医者なのか?
なら注射でも何でもいいから、早く俺を楽にしてくれ。
もうこんな地獄みたいなのは嫌なんだ。
366:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:45:51.59 ID:
+Rao7WEM0
『心を落ち着かせて……、空気を飲み込んで……、吐いて』
『呼吸を繰り返して、あるがままの酸素を吸いなさい』
『そして、自分の中にある、空気を自然に吐き出すの』
『あるがままに、したいがままに、全てを自然に行って』
無茶言うな……。
そんな事ができるような状態じゃないのは見てわかるだろ……?
いいから治してくれよ…………。
お願いだから…………。
367:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:48:08.90 ID:
+Rao7WEM0
『あなたはできる。私は知ってるわ。あなたならできる』
できねぇよ…………。
『なら勇気が出る言葉を教えてあげる』
……なんだよ……
『ある魔法使いの口癖よ。その言葉を口にすれば、あなたもきっと、その娘と同じ事ができるようになる』
……なんだ……、一体なにを言ってるんだ…………。
『その娘も君と同じ病気にかかったけど、気合で治しちゃったんだよ』
…………
『だからその娘の魔法の言葉を教えてあげる』
……もう、だめだ………意識が………
『良い…………?…………言うわよ…………?』
『トゥットゥルー!』
368:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:49:41.30 ID:
+Rao7WEM0
ばっ!
布団を払いのけ、上半身を勢いよく起こしてみる。
そして、あたりを見渡す。
何も、誰も居ない。
そのまま、自分の額を手で触ってみる。
ひんやりと、していた。
369:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:52:45.48 ID:
+Rao7WEM0
自分は今まで、なにをしていたのか……?
先ほどまで、確かに熱でうなされていたはず……なのに。
今は、その面影すらない。
自分は本当に死ぬほどの病気にかかっていたのか……?
何もかも曖昧な、ふわふわとした感覚だった。
ただ、それでも。
何か、大切な物を。
大切な人に、もらった気がする……。
371:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:55:09.62 ID:
+Rao7WEM0
「…………フッフフー…………だっけ…………」
頭に、微かに残る、小気味良いメロディー。
何でだろう。
すごく、いい気分だ。
俺は、意味もなく。
布団の上を飛び回ってみた。
「トゥットゥルー!……あっはっはっは!」
こんな愉快な事は、最近じゃ滅多に無かった。
あまりに愉快だから、
今度、あいつに教えてあげるとしよう。
TIPS No.2 fin.
372:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 08:56:16.09 ID:lcXTjoCpO
乙
374:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 09:05:27.28 ID:IfraPHGc0
何だただの天才か
379:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 09:24:38.42 ID:16zM7itq0
どこまでが公式設定なのかわからなくなるわ。
まゆしぃが実は天才って公式じゃないよね?
381:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 09:25:17.78 ID:
+Rao7WEM0
TIPS3まで書こうとしたけど、さすがに時間も時間だし、ここでおしまい。
物語は、謎を残したほうが終わりが綺麗なのさ!
というわけで!
おつかれ!
389:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 09:59:44.97 ID:WFWLXgMu0
>>381完全編もみたいです
398:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 10:55:27.16 ID:GUC8T9Ej0
まだ途中だけど外伝として読めるわこれ
392:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 10:18:12.04 ID:yDIqcZot0
いいもの見れた
乙
383:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/31(火) 09:31:07.38 ID:kKnxcBit0
乙だ
ありがとう
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