QB「感情が芽生えたからと言って……」

2012-09-26 (水) 19:17  まどか☆マギカSS   0コメント  
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:26:42.58 ID:SWqmCQgE0

QB「はっ、はっ、はっ……!」

ほむら「……追い詰めたわ」

QB「っ……!」

ほむら「終りよ、さようなら」

QB「やっ……やめてよ!お願いだから殺さないで!」

ほむら「……!?」



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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:28:50.94 ID:SWqmCQgE0

ほむら「今、なんて……」

QB「死にたくないよ!お願いだ!」

ほむら「なっ……」

QB「くっ……!」

ほむら「!逃がさない……!」

 パァン



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:30:52.06 ID:SWqmCQgE0

QB「」

ほむら「…………」

一体、何だったんだろう。
今のキュゥべえは、あの反応は……。
咄嗟に引き金を引いてしまったけれど、失敗だったかもしれない。
もう少し詳しく話を聞きだすべきだったか……。

QB「うわ、ないわ……命乞いする小動物容赦なく殺すとかないわ……。ドン引きだわ……」

ほむら「ッ!?」



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:35:01.06 ID:SWqmCQgE0

新しい、キュゥべえ……!?
でも、こいつ……

QB「まぁ俺には別に関係ないから良いんだけどさぁ。ってか何なのお前?いきなり現れて殺すとk」

 パァン

ほむら「っ……何なのよ、これ……!」

QB「で、出た~wwwww人の話最後まで聞かな」

ほむら「ッ!」

 パァン

QB「やべぇ……やべぇy」

 パァン

ほむら「はぁ……はぁ……はぁ……」



6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:40:07.17 ID:SWqmCQgE0

なに、何なの……!?
出てくるキュゥべえ、その全てがおかしい……私の知ってるキュゥべえじゃない……!
もう、わけが……

QB「まったく、わけがわからないよ」

ほむら「っ……!き、キュゥ、べえ……?」

QB「君は一体何者だい?どうして僕たちのことを執拗に追い回すのか説明してはくれないかな」

この喋り方は……やっと、私の知ってるキュゥべえに出会えた……!
あんなに耳障りだった感情の篭もっていない喋りに、
まさか安心感を得る瞬間が来るなんて……。

ほむら「どういう、ことなの?さっきのキュゥべえや、その前のキュゥべえは……!?」



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:44:50.43 ID:SWqmCQgE0

QB「先に質問したのは僕なんだけどな。それに質問の意図が分からないよ」

ほむら「だから……!どうして、あのキュゥべえ達は、あんな……あれじゃまるで、感情が……!」

QB「?僕たちが感情を持っていることに、何かおかしな点でも?」

ほむら「だって、あなたたちインキュベーターは、感情は精神疾患で……」

QB「へぇ、驚いたな。どうして君がそのことを知っているんだい?」

ほむら「じ、じゃあやっぱり……!」

QB「そうだよ。本来、僕たちインキュベーターは感情なんてものは持ち合わせていなかった」

ほむら「……“いなかった”……?」



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:50:18.07 ID:SWqmCQgE0

QB「僕たちは今からずっと昔、感情を与えられてしまったんだ。ある1人の魔法少女の願いによってね」

ほむら「……!」

QB「その瞬間から、僕たちにとって感情とは精神疾患なんかじゃなくなった。
  1つ1つの個体が別個に感情を持つようになったんだよ。
  それに伴って、情報の共有も必要最低限に留められてしまうし……不便なものだ。
  今までは全ての個体が全ての情報を、記憶はもちろん何から何まで共有できていたのに」

ほむら「じゃあ、あなたも……?」

QB「感情を持ってるかどうかかい?もちろん僕だって例外じゃない。
  まぁ、僕は仲間の中でも感情が表に出にくい方だから分かり辛いとは思うけどね。
  こう見えて、さっきから君にいつ殺されるか分からないから不安で仕方ない。
  だから訊かれたことにはすべて正直に答えたんだ。君の機嫌を損ねないようにね」



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:51:46.09 ID:AFPc62Yp0

感情持ったらウザさ3倍ぐらいになるな



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:53:04.91 ID:6MSybzNe0

可愛いの下さい



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 21:55:21.42 ID:SWqmCQgE0

ほむら「本当に……あなたたちに、感情が……!
    それじゃあ、魔法少女は!?もう契約はしてないの!?」

QB「え?」

ほむら「だって、感情があるのなら、もう人類を騙して契約なんて……」

QB「あぁ……君もあの子と同じ考えなんだね」

ほむら「あの子?」

QB「さっき言った、感情を与えることを願った子さ。彼女は僕たちに感情がないことを知り、
  人類を家畜同様に扱っているという事実にショックを受け、そして、全てを知りながらも契約したんだ。
  僕たちに感情が生まれれば、もうそんな可哀想なことは出来なくなるはずだ、ってね。
  でも実際はそうはいかなかった」



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:01:08.70 ID:SWqmCQgE0




少女「あなたたちインキュベーターに、感情を与えて!それが私の願い!」

QB「君は、本気なのかい……?そんなことを願うなんて、訳が分からな……」

少女「……契約、完了だね」

QB「…………僕たちは、今までなんてことを」

少女「!これで、もうあなたたちは、あんな酷いことなんてしな……」

QB「あっ……ははははははは!あんな面白いことをしてたなんて!全然気付かなかったよ!」

少女「え?」

QB「あ~思い出しただけで興奮してくる!人間たちが絶望した時のあの表情!
  どうして今まで気付かなかったんだろう!あんなに素晴らしいものだったのに!」

少女「き、キュゥ、べえ……?」

QB「感謝するよ!感情がこんなに良いものだったなんて!これなら今まで以上に契約も捗りそうだ!」



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:07:00.83 ID:SWqmCQgE0




ほむら「そんな……」

QB「感情が芽生えたからと言って、それが良いことだとは限らないよね。
  よりによってその個体に芽生えたのが特に残虐な感情だったなんて。不運としか言いようがないよ」

ほむら「っ……」

QB「今の話で分かったと思うけど、感情と言ってもその種類は様々だ。
  もちろん中には彼女の望んだような優しさを持った個体が現れることもあったけど、
  そういった契約に支障をきたすような個体はすぐに処分される。
  疑わしい者には監視がついて、確定し次第すぐにね。
  仕方ないよね、宇宙の寿命を延ばすためなんだから。
  仲間を殺すのは僕たちも気が引けるけど、宇宙には変えられない。
  魔法少女システムが素晴らしいシステムであることには変わりないんだし」

ほむら「くっ……!」

QB「おっと、僕を殺すのかい?それは君にとってもあまり都合が良くないんじゃないかな。
  君はどうやら、鹿目まどかとインキュベーターとの接触を避けたがっているようだけど……。
  僕以外だったら、どんな手段に出るか分からないよ?」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:14:00.91 ID:SWqmCQgE0

QB「今まで契約した子の中には、ひどい嘘に騙された子、しつこすぎる勧誘に折れた子、
  恐喝紛いの勧誘で無理矢理契約させられた子、様々だ。
  でも少なくとも僕は、そんな手段に出るつもりはない。
  あくまでも理性的に、君たちの意志を尊重して契約を結ぶつもりだよ。
  君にとっても、僕を相手にした方がやりやすいんじゃないかな?」

ほむら「ッ……!」

QB「分かってくれたみたいだね、嬉しいよ。
  とりあえず、今日はもうまどかと接触するのは無理みたいだ。引き下がるとしよう」

ほむら「待って!……感情を与えることを願ったその子は、その後どうなったの?」

QB「君なら言わなくても分かるんじゃないかな?色々と知ってるみたいだし」

ほむら「…………」

QB「まぁ、1つだけ言うとしたら……自分の祈りが全て無駄だったと知った時。
  その絶望は計り知れないものだっただろうね」



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:19:58.66 ID:SWqmCQgE0

マミ宅

QB「ただいま、マミ」

マミ「キュゥべえ!もう、どこに行ってたの?心配したのよ?」

QB「ごめんよ」

マミ「……あら?あなた、もしかして」

QB「うん。昨日まで君と一緒に居たのは僕の仲間だ」

マミ「やっぱり……でも、どうして?」

QB「担当の区域が替わったんだよ。
   昨日まで見滝原の担当だった“僕”は、遠くの方へ行っちゃったんだ。残念だけどね」



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:24:56.15 ID:SWqmCQgE0

マミ「そう……」

QB「寂しい気持ちも分かるけど、仕方ないことだ。
  でも僕たちは必要な情報は全部共有してるから、困ることはあまりないと思うよ。
  その点については安心してくれて良い」

マミ「そう、ね。それじゃ、これからよろしくね、新しいキュゥべえ」

QB「うん。よろしく、マミ。ところで早速なんだけど、君に話しておきたいことがあるんだ」

マミ「?なぁに?」

QB「新しい魔法少女についてのことさ」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:29:01.08 ID:SWqmCQgE0

翌日、学校

ほむら「…………」

見たところ、まどかと美樹さやかに変わった様子はない。
どうやら本当に、キュゥべえは昨日はあの子たちと接触しなかったみたいだ。

と、その時。
何気なく廊下にやった視線のその先に、見覚えのある影が。

ほむら「……巴、マミ」

そしてその肩には……キュゥべえが居た。
どうして3年生の彼女がここに……まさか。



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:33:07.62 ID:SWqmCQgE0

マミ『キュゥべえ、本当にこの教室であってるの?』

QB『うん、間違いないよ』

マミ『よし、それじゃあ……』

ほむら「何をしているの?」

マミ「!あなた、このクラスの子?えっと、ちょっと用がある子が居て……」

ほむら「用なら私が聞くわ……巴マミさん」

マミ「えっ?どうして私の名前を……」

QB「マミ、この子だよ。この子が昨日言った子だ」

マミ「あら、そうなの?それじゃ、ちょうど良かったわ。私が用があるのはあなたなの」

ほむら「え……?」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:39:09.16 ID:SWqmCQgE0




ほむら「……それで、用って何?」

マミ「まずは名前から聞かせてもらっても良いかしら?」

ほむら「暁美ほむらよ」

マミ「暁美さんね。それで、一応確認するけれど……あなた、キュゥべえが見えるのね?」

ほむら「えぇ」

マミ「魔法少女、なのよね?」

ほむら「……えぇ」

QB「だから昨日からそう言ってるじゃないか、マミ。僕を疑っていたのかい?」

マミ「ごめんね、一応ね。それで……あなたはこれからどうするつもり?」



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:42:56.80 ID:SWqmCQgE0

ほむら「……どうすると言うのは?」

マミ「私の縄張りを奪うつもりなのか……そう訊いてるんだけどな」

……相変わらず、敵意むき出しね。
まぁ、仕方のないことだけど。

ほむら「安心して。私は、あなたの敵になるつもりはないわ」

マミ「!ほ、本当に……?」

ほむら「本当に。私は縄張り争いなんかには興味ないもの」

マミ「だ、だったら、その、もし良かったらなんだけど……私と、チームを組まない?」

ほむら「…………」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:47:49.92 ID:SWqmCQgE0

マミ「えっと、2人で戦えばその分負担も減るし、安全でしょう?
   あなたが手柄は自分だけの物にしたいってタイプじゃなければ、悪くない提案だと思うけど……」

ほむら「……そうね、あなたの言う通り」

マミ「!それじゃあ……」

ほむら「えぇ、チームを組みましょう。これからよろしくね、巴さん」

マミ「う、うん!よろしくね、暁美さん!」

……まさか、こんなにあっさりと上手く行くなんて。
キュゥべえは、私に襲われたことを巴マミに話さなかったの?
それに、まどかたちのことも……。
感情が生まれていることと、何か関係が……?

QB「…………」



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:52:34.44 ID:SWqmCQgE0

放課後、帰り道

さやか「いやー、今日も1日勉強して疲れたわよねーホント」

まどか「……さやかちゃん、ずっと寝てたよね」

さやか「そっ、そんなことないよ!一応授業の最初の10分くらいは起きてるって!」

まどか「全然弁解できてないよ、それ……」

さやか「え、えぇい、うるさい!嫁が夫に口出しするんじゃなーい!」

まどか「わっ!?さ、さやかちゃん、きゃははは!ちょっ、やめ、あはははは!」

さやか「ん~?えぇのんか?ここがえぇのんか~?」

QB「盛り上がってるところ悪いけど、ちょっと良いかな」

さやか「へっ?」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 22:57:57.19 ID:SWqmCQgE0

さやか「ま、まどか、あんた何か言った?」

まどか「な、何も……さやかちゃんじゃないの?」

QB「ここだよ、ここ」

まどか「な、何、あれ?ぬいぐるみが、喋ってる?」

さやか「キモっ!」

QB「酷い言われようだなぁ。それに僕はぬいぐるみなんかじゃないよ」

まどか「さ、さやかちゃん、これ夢じゃないよね……?」

さやか「た、多分……何なのよ、あんた……」

QB「僕の名前はキュゥべえ!僕、君たちにお願いがあって来たんだ!」

まどか「お願い、って……」

QB「2人とも、僕と契約して、魔法少女に」

ほむら「その必要はないわ」



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:04:25.74 ID:SWqmCQgE0

さやか「えっ?あんた、転校生の……」

まどか「ほ、ほむらちゃん?」

QB「やれやれ……もしかして、見張っていたのかい?」

ほむら「油断も隙もあったものじゃないわ。やっぱり、2人を諦めたわけじゃなかったのね」

QB「当然だよ。素質のある子と契約するのが僕の仕事だからね」

まどか「あ、あの……?」

さやか「えっと……暁美さん、だったよね。あんた、そいつのこと知ってるの?」

ほむら「えぇ。知ってるわ。詳しく話すと長くなるけど……。
    1つだけ言えることは、こいつの言葉に耳を貸してはダメ。それだけは絶対よ」

マミ「暁美さん?それはちょっと言いすぎだと思うな」

QB「マミ……!」

ほむら「……居たのね」



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:08:27.66 ID:SWqmCQgE0

マミ「私はね、この子たちには権利があると思うの。だって、キュゥべえに選ばれたんですもの」

ほむら「じゃあ訊くけど、あなたはこの子たちをわざわざ危険に巻き込みたいの?」

マミ「そういうわけじゃないわ。ただ、魔法少女のことについて知っておくべきだって、そう言ってるの」

QB「2人とも、無駄な言い争いはやめるんだ」

ほむら「誰のせいだと思ってるのよ」

QB「ちょっ、そんな持ち方をしたら耳がちぎれ……」

マミ「暁美さん!キュゥべえにあんまり酷いことをしないで!」

ほむら「……。まぁ、良いわ。確かにあなたの言うことも一理ある。
    この子たちには、私たちの口から説明しておいた方が良いかも知れないわね」

キュゥべえに余計なことを吹き込まれる前に、ね。

マミ「……それじゃ、決まりね。2人とも、今から私の家に来ない?
  色々と話したいことがあるし、あなた達も知りたいことがあるでしょう?
  美味しいお茶とお菓子を食べながら、ゆっくり……ね?」

さやか「は、はい……。まどか、行こ」

まどか「う……うん」



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:11:02.82 ID:SWqmCQgE0

マミ宅

マミ「どうぞ、召し上がれ」

さやか「いただきます……ん!このケーキめちゃうまっすよ!」

まどか「わぁ……お茶も、とっても美味しいです!」

マミ「ふふっ、ありがとう。それじゃ……早速だけど本題に入っても良いかしら」

まどか「あ、はい……」

さやか「その……さっき言ってた、魔法少女?とかのことですよね」

ほむら「…………」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:16:04.75 ID:SWqmCQgE0




マミ「――この説明で理解できた?」

まどか「魔女……そ、そんなのが居たなんて……」

さやか「なんていうか……実感ないなぁ……」

QB「まさか、疑っているのかい?現に僕という、君たちの理解を超えた存在を目の当たりにしてるじゃないか」

さやか「あ、ごめん、別に信じてないわけじゃないんだよ。
    ただやっぱ……命がけで叶えたい願い事なんて、急に言われても……」

QB「そうか。まぁ無理強いはしないよ。
  さっきも言ったとおり、魔女との戦いは決して甘いものじゃないからね。
  軽い気持ちで契約するとあっという間に命を落とすことになる。
  僕としてもそんな結果は可能な限り避けたいから、よく考えると良い」

ほむら「…………」

こいつは、本当に感情があるのだろうか。
強く押しもせず、引きもしない。
この態度は、私の知るキュゥべえそのものだ。



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:20:12.43 ID:SWqmCQgE0

それとも、何か考えがあってのことなのか。
また何か企んで……

マミ「暁美さん?」

ほむら「あ……ごめんなさい。何?」

マミ「どうしたの、そんな怖い顔をして……何か考え事?」

ほむら「いえ、別に。ただ、2人に魔法少女になって欲しくないと、そう考えていたの」

マミ「……やっぱり、あなたはあくまでも反対なのね」

ほむら「当然よ。この2人は、何不自由なく生活してる。契約する理由なんて、どこにもない」

マミ「まぁ……確かにね。願い事なんて、無理して考えるようなことじゃないものね」



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:24:52.72 ID:SWqmCQgE0

ほむら「2人とも、今日はもう帰った方が良いわ。家族が心配するわよ。途中まで送るから」

まどか「え?あっ、もうこんな時間……!」

さやか「意外と長居しちゃってたなぁ……」

マミ「……今日の話は、しっかり心に留めておいてね。
  何か、どうしても奇跡か魔法に頼らないといけない場面に立たされた時……
  そうなった時、この話を思い出して。絶対に、安易な気持ちで契約なんてしてはダメよ?」

まどか「あ……はい、わかりました」

さやか「その、お茶とケーキ、ありがとうございました」

ほむら「それじゃ、巴さん。また明日」

マミ「えぇ。2人をよろしくね、暁美さん。またね」



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:26:58.64 ID:SWqmCQgE0

帰り道

さやか「は~、魔法少女ねぇ……まさかそんなものが身近に存在していたとは」

まどか「命がけで叶えたい願い事、かぁ……。あ、じゃあほむらちゃんも……?」

ほむら「……そうね。私の場合は、命をかけるのに値する願い事があったわ」

さやか「そっか……。やっぱ、あたしたちが幸せ馬鹿なのかな」

まどか「幸せ馬鹿……?」

さやか「そう。不幸を知らない幸せ馬鹿。幸せすぎて馬鹿になっちゃってる、ってね」

ほむら「そんな風に言うものじゃないわ。幸せであることを卑下するなんて、間違ってる」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「幸せに暮らせるのなら、それが一番。あなたたちはそのままで良い。
    だから……危険な魔法少女の世界になんて、飛び込む必要なんてないわ」



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:29:18.53 ID:SWqmCQgE0

さやか「……そっか。あはは、ありがとう、心配してくれて」

ほむら「お礼なんて。とにかく2人とも、私の言ったことを決して忘れないで、覚えていて」

まどか「うん……わかった。覚えとく」

ほむら「ありがとう。……それじゃ、私はここで。さようなら」

さやか「ん、また明日ね、ほむら!」

ほむら「!」

さやか「え、何その反応。まどかは良いのにあたしは名前で呼んじゃダメなわけー?」

ほむら「……いいえ。突然だったから少し驚いただけ。……改めて、さようなら」

さやか「おう、バイバイ!ほーむら!」

まどか「またね、ほむらちゃん!」

……今回は、美樹さやかとも上手く行きそうね。
キュゥべえの問題さえなければ順調だと言えるんだけど……。



54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:33:09.97 ID:SWqmCQgE0




マミ「はい、キュゥべえ。ご飯できたわよ」

QB「ありがとう、マミ。いただくよ」

マミ「どう、美味しい?前のキュゥべえは美味しいって言ってくれたけど、あなたのお口には合うかしら」

QB「……?以前君と一緒にいた僕の仲間は、君の料理を美味しいと言ったのかい?」

マミ「え?う、うん、そうだけど……。ごめんね、もしかしてあんまり美味しくなかった……?」

QB「…………。そんなことはないよ。美味しいなんて表現じゃ済まないって言いたかったのさ。
  すごく美味しいよ、マミ。まるで味の宝石箱だ」

マミ「ふふっ……もう、キュゥべえったら。でも良かった、安心したわ」

……僕たちインキュベーターには、味覚はない。
どうやら以前ここに居た固体は、希望を“与えておく”のが上手かったみたいだね。
参考にさせてもらうとしよう。



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:35:17.46 ID:SWqmCQgE0

マミ「そうだ、ねぇキュゥべえ。この首輪付けてくれない?」

QB「首輪……?」

マミ「うん。前のキュゥべえのために新しく買っておいたんだけど……。
   担当が替わっちゃったって言うから。代わりに、ね?」

QB「……前の僕の仲間は、首輪を付けていたのかい?」

マミ「え?うん、そうなんだけど……。ごめんね、嫌だった?」

QB「そんなことはないよ、マミ。すごく嬉しいさ。ありがとう、じゃあ早速付けさせてもらおうかな」

マミ「良かったぁ!それじゃ、付けてあげるね!」

QB「…………」

マミ「ふふっ、とっても似合ってるわよ、キュゥべえ!」

QB「そうかい。嬉しいよ、ありがとうマミ」



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:38:08.29 ID:SWqmCQgE0

マミ「ねぇ、キュゥべえ。1つ提案があるんだけど」

QB「今度はなんだい?」

マミ「えっとね。暁美さんを誘って、一緒にお食事をしたいな、って」

QB「暁美ほむらを?」

マミ「えぇ。せっかく魔法少女コンビを結成することになったんですもの。
   コンビ結成記念パーティか何かを開くのも良いかもしれないわね!」

QB「君はずいぶん彼女のことが気に入ったようだね」

マミ「気に入った、って言うのはちょっと違うと思うけど……。
   せっかくできた魔法少女の仲間ですもの。もっと仲良くなりたいと思うのは当たり前でしょ?
   特にキュゥべえ、あなたとはあまり仲良くなさそうだったから……仲直りも兼ねて、ね?」

QB「……そのことなんだけど。本当に暁美ほむらを信用して良いのかい?」

マミ「え?それって……暁美さんが、私を騙してる、ってこと?」



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:39:41.48 ID:TMi1TvnT0

きゅっぷい!



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:43:49.99 ID:SWqmCQgE0

QB「その可能性も否定できないということだよ。君が仲間を欲しがっているのは知っていたけど、
  ちょっと彼女に対して無用心すぎるんじゃないかな。もう少し警戒するべきだ」

マミ「暁美さんのことを私に教えてくれたのはキュゥべえでしょう?なのに、今度はあの子を疑えだなんて……」

QB「マミ。勘違いして欲しくないんだけど、僕は暁美ほむらと仲間になるなと言ってるわけじゃない。
  もう少し慎重に、信用できるかどうかを判断するべきだと言ってるんだよ。
  もし本当に彼女が君を騙していて、君が何かあれば大変だからね」

マミ「キュゥべえ……」

QB「わかってくれたかい?」

マミ「えぇ……ごめんね、キュゥべえ。心配してくれてたのね」

QB「そうだよ。ぜんぶ、君を思ってのことだ」

マミ「ありがとう……。そうね、キュゥべえの言う通り。私、ちょっと浮かれてたわ。
   暁美さんのこと、もう少し警戒しておくわね」

QB「うん、よろしく頼むよ。友達の君を危ない目に遭わせるわけにはいかないからね」



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:46:58.14 ID:SWqmCQgE0

数日後

魔女「ギャァアアアアアアアア……!」

ほむら「…………」

今日もまた、1人で魔女退治。
それ自体は構わないのだけど……巴マミのことを考えると明らかに不自然だ。
チームを組んだはずなのに、明らかに彼女の方が私を避けている。
彼女の性格を考えると、ようやくできた仲間を避けるなんて、そんなことはあり得ない。
まさか、キュゥべえ……余計なことを。

巴マミと会ってから既に1週間ほどが経過しているが、ここ数日は一緒にパトロールすることすらなくなっている。
彼女がキュゥべえに何か吹き込まれたのだとすれば、信用が回復するのを待つしかなさそうね。
もう数日もあれば、なんとかなるとは思うけれど……。



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:49:18.45 ID:SWqmCQgE0




マミ「キュゥべえ、どうだった?」

QB「うん、彼女が狩ったのは、今日も魔女だ」

マミ「そう……。やっぱりあの子も、グリーフシードが目当てなのかしら……」

QB「何度も言ってるけど、決して使い魔を狩っていないというわけじゃない。
  ただ、魔女を狩っている割合の方が高いということだよ」

マミ「ん……一応もう少し様子を見たいの。キュゥべえ、まだお願いできる?」

QB「わかった。君がそう言うなら、もう少しほむらを観察するとするよ」

マミ「ありがとう、ごめんね」

QB「気にすることはないよ。友達のためだからね」



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:51:53.22 ID:SWqmCQgE0

まどかの部屋

まどか「…………」

QB「何をしているんだい、まどか」

まどか「わっ!き、キュゥべえ……びっくりさせないでよぉ」

QB「ごめんよ、驚かせるつもりはなかったんだ。
  ところで、机に向かって何をしていたんだい?ずいぶん楽しそうだったけど」

まどか「あ、えっとね……えへへ」

QB「イラスト?それは……魔法少女かい?」

まどか「うん。命がけで悪い魔女と戦う魔法少女ってどんなだろうって考えてたら、
    ちょっと手が止まらなくなっちゃって……」

QB「……君はひょっとして、魔法少女に憧れているのかい?」



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:55:00.81 ID:SWqmCQgE0

まどか「ん……そう、なのかな。よくわかんないや……」

QB「…………」

まどか「ほむらちゃんの言ってた通り、命がけっていうのはちょっと怖いし、
    危ないってことも分かってはいるんだけど……でも魔女と戦ってみんなを救うっていうのも、
    正義の味方みたいですごくかっこいいって思っちゃったりもして……」

QB「つまり、願い事を叶えたいというよりは、魔法少女そのものに憧れているんだね」

まどか「そう、なるのかな?」

QB「願い事はまだ決まっていないのかい?」

まどか「うん……。それに、“魔法少女になりたいから”なんて理由で契約しちゃったら、
    きっとほむらちゃんにもマミさんにも怒られちゃうから」

QB「ということは、願い事さえはっきりすれば契約する、ということだね。
  それが聞けて良かったよ。それじゃ、僕はそろそろ失礼するよ。じゃあね、まどか」

まどか「あ、うん。おやすみ、キュゥべえ」



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/09(日) 23:57:22.79 ID:SWqmCQgE0

放課後

さやか「お待たせ、まどかー。いやー、先生の話やけに長引いちゃってさ、ごめんごめん」

まどか「ううん、大丈夫」

さやか「あれ?仁美とほむらは?」

まどか「仁美ちゃんはお稽古で、ほむらちゃんも今日はなんか用事があるんだって。
    2人とも先に帰っちゃった」

さやか「そっか。そんじゃ、今日はあたしたちだけで帰ろっか」

まどか「うん。今日も病院、寄るんだよね?」

さやか「ごめんね、毎回付き合せちゃってさ」

まどか「良いよ、気にしないで!それじゃ、行こっ」



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:00:08.89 ID:0fTYbASz0




さやか「はぁ……」

まどか「あれ?……上条くん、会えなかったの?」

さやか「うん、なんか都合悪いんだってさ。せっかく会いに来たってのに、失礼しちゃうわよねー」

まどか「……ねぇ、さやかちゃん」

さやか「ん、何?」

まどか「あそこ、壁のとこ……なんか、黒い変なのが」

さやか「……?な、なに、あれ……」

まどか「わかんない、わかんないけどなんか……」

QB「やぁ、まどか、さやか。こんなところで何をしているんだい?」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:02:43.26 ID:0fTYbASz0

まどか「キュゥべえ!」

さやか「いや、あたしたちはお見舞いに来てたんだけど……
    それより、アレ見てよ!キュゥべえ、何かわかる?」

QB「……よく見えないな。もう少し近付いてみよう」

まどか「ほ、ほんとに何なんだろ……なんか、嫌な感じ……」

さやか「う、うん……キュゥべえ、あんたこれほんとに……」

QB「……まずい!これはグリーフシードだ!」

まどか「えっ……!?ぐ、グリーフシードって確か……!」

さやか「こないだマミさんが言ってた、魔女の……!」

QB「そう、卵だよ!しかも孵化しかかってる!2人とも、早く逃げ……」

まどか「っ……な、なに、景色が……!」



67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:03:27.85 ID:wAkiIWmw0

こいつ……

真っ黒じゃねえか



68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:05:33.25 ID:0fTYbASz0

QB「……遅かったみたいだね」

さやか「う、うそ……!じゃあこれが、結界……!?」

まどか「わ、わたしたちどうなっちゃうの!?」

QB「今はマミがパトロールをしている時間帯だ。マミがこの結界を見つけてくれる可能性がないわけじゃない。
  でも、君たちが今危険な状況にあることには変わりない。だから、もし本当に命の危険を感じた時は……」

まどか「っ……」

さやか「わ、わかったよ……。でも、ほんとにギリギリになってからだからね!
    あたしたちだって、いい加減な気持ちで契約したくないからさ……」

QB「そうかい、わかったよ。僕の方はいつでも準備できてるからね」



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:11:11.33 ID:0fTYbASz0




まどか「あっ……!さ、さやかちゃん、あそこ!」

さやか「っ!さ、さっきの、グリーフシード!?」

QB「完全に孵化するまでにはもう少し時間がかかりそうだね。
  それまでに助けが間に合えば……。…………」

まどか「……キュゥべえ?どうしたの?」

さやか「何、急に黙っちゃって……」

QB「……ううん、なんでもないよ。とにかく、今僕たちに出来ることは助けを待つことだけだ。
  ここで大人しくしていよう」

まどか「う、うん……」


QB『……とにかく、まだもう少し余裕がありそうだからあまり焦らなくても大丈夫だよ。
  迂闊に大きな魔力を使って卵を刺激する方がまずいからね』

マミ『えぇ、わかったわ!すぐに助けに行くから、待っててね、キュゥべえ!』



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:13:15.43 ID:0fTYbASz0




マミ「それにしても、病院に結界を作るなんて……」

ほむら「……巴さん」

マミ「あ、暁美、さん!?いつの間に……!」

ほむら「ついさっきよ。……こうしてあなたと一緒に結界の中に居ることも、何日ぶりかしらね」

マミ「そう……ね」

ほむら「……とにかく、早く魔女を倒してしまいましょう。誰かが犠牲になる前に」

マミ「え、えぇ」



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:20:27.75 ID:0fTYbASz0




まどか「ッ……や、やだ、グリーフシードが……!」

QB「孵化が始まった!まずいよ2人とも……!」

さやか「そ、そんな……!」

マミ「お待たせ、キュゥべえ!」

まどか「ま……マミさん!!」

さやか「ほむらも一緒だ!よ、良かったぁ……」

ほむら「なっ……!?」

マミ「ど、どうして鹿目さんと美樹さんが……!?」

QB「あれ、2人が一緒だって言ってなかったかな。不運なことに、偶然巻き込まれてしまったんだ」

ほむら「っ……キュゥべえ、あなた……!」



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:23:39.48 ID:0fTYbASz0

マミ「2人とも、怪我はない!?使い魔に襲われたりしなかった!?」

まどか「あ、はい。大丈夫です……」

さやか「ていうか、使い魔とか見てないですし……」

マミ「そう……良かった。不幸中の幸いだったわね」

QB「そんなことより、今は魔女だ……出てくるよ!」

ほむら「……巴さん、早くあの魔女を倒してしまいましょう。2人でなら……」

QB「提案なんだけど、せっかく2人居るんだし、役割を分担したらどうかな。
  マミが魔女を倒し、ほむらがまどかとさやかを守る、という具合にね」

ほむら「あなた、何を……」

マミ「……そうね、そうしましょう。暁美さん、あなたは2人をお願い!」

ほむら「え……待って、巴さ……っ」



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:25:55.95 ID:0fTYbASz0

やっぱり、彼女は私を信用し切っていない……!
2人で戦って、隙を見て私に攻撃されたりしないかを恐れてるのか……。

いや、私に2人の保護を頼んだところを見ると、疑っているという自覚はないのかも知れない。
けれど、心の底では無意識に……。

ほむら「キュゥべえ、本当に余計なことを……」

QB「何のことだい?」

ほむら「…………」

今私が行っても、余計に彼女の不安を煽ってしまうだけ。
見守るしかない……。

けれど、高い確率で巴マミはこの魔女に負ける。
すぐにでも時間を止められる準備をしておこう。



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:28:38.72 ID:0fTYbASz0

マミ「ティロ・フィナーレ!」

まどか「わっ……!すごい!」

QB「…………」

さやか「やったあ!マミさんの勝……」

ほむら「まだよ!終わってない!」

マミ「……え」

まどか「ッ!?」

魔女の口から巨大な影が伸び、巴マミの眼前に……

ほむら「っ……」

 カチッ

さやか「マミさ……!あ、あれ?」

QB「!」

マミ「ッ……え?わ、私……生きて……え……?」

ほむら「下がって。こいつを倒すのは……私」



79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:31:52.59 ID:0fTYbASz0




ほむら「……終わったわね」

マミ「あ、あの……暁美、さん……」

ほむら「これで……信用してもらえたかしら」

マミ「え……」

ほむら「あなたの態度を見れば分かるわ。私のこと、信用しきれていなかったんでしょう?」

マミ「……ごめんなさい。私……」

ほむら「良いの、気にしないで。仕方ないわ。そういう魔法少女も居ないわけじゃないから」

マミ「その……本当に、ありがとう……!私、なんてお礼すれば良いか……」

ほむら「だから、気にしないで。それより……2人とも、これでわかったわね。
    魔法少女の戦いが、どんなに危険なものか」



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:34:01.31 ID:0fTYbASz0

まどか「ぁ……そ、その……」

マミ「そう、ね……。もし暁美さんが助けてくれなければ、多分、私は今頃……」

まどか「っ……」

さやか「う、うん……よ、よく、わかったよ……」

ほむら「ベテランの巴さんでさえ、こういうこともあるの。
    わかったでしょう?魔法少女なんて、ならなくて済むのなら、ならない方が絶対良いって。
    もし少しでも魔法少女への憧れを持っていたなら、そんなものは捨ててしまいなさい」

QB「…………」



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:36:10.27 ID:0fTYbASz0




ほむら「あなた、どういうつもり?」

QB「何がだい?あの2人が結界に飲み込まれたのは偶然だよ。別に僕が仕組んだわけじゃない」

ほむら「…………それじゃあ、2人が居ることを巴マミに知らせていなかったのは?」

QB「言い忘れてただけだよ。それに、わざわざ言う必要があったとも思えないね」

ほむら「巴マミに2人の存在を知らせれば、きっと彼女は2人にテレパシーで話しかける……。
    それを避けるために何も言わなかった。違うかしら」

QB「……どういうことだい?」

ほむら「つまり、鹿目まどかと美樹さやかに、助けが来たことを知られたくなかった。
    2人の危機感を煽り、契約しやすくするためにね。そうでしょう?」



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:38:13.13 ID:0fTYbASz0

QB「ふーん……良い推理だね。でも、前も言った通り僕はずいぶんマトモだと思うよ。
  僕じゃなければ、きっと過大な嘘を織り交ぜて必要以上に危機感を煽って契約に運んだだろうからね。
  だから、僕を殺すのはやめた方が良い。まぁこれはお願いに近いけどね」

ほむら「…………」

こいつは、私の“出来れば殺したくない”という思いを理解した上で、ギリギリの線を歩くつもりだ。
“他のキュゥべえに比べればまだマシ”、そう思わせるラインを見定めつつ、契約を狙っている。

私が殺せないという意味では、一番厄介かも知れない……。
でも、仕方ない。
今のところは確かに、こいつは“まだマシ”なんだから。

ほむら「……あと少しでも強引な手に出れば、すぐに殺してあげるわ。インキュベーター」

QB「わかったよ、肝に銘じるとしよう」



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:41:36.88 ID:0fTYbASz0

学校

QB「やぁ、2人とも」

さやか「キュゥべえ……!」

まどか「どうしたの?」

QB「昨日あんなことがあったからね。一応現時点での2人の考えを聞いておこうと思って」

まどか「……わたしは……ん……」

さやか「……命がけってのはさ、分かってたつもりなんだよ。
    でもやっぱ、実際にあんな危ないとこ見ちゃったら……」

まどか「うん……もしほむらちゃんが居なかったら、って考え出したら、すごく、怖くなっちゃって……。
    嫌な夢まで見ちゃって……。やっぱりわたしには、命がけの戦いなんて……」

QB「……そうか、わかったよ。でも、気が変わったらいつでも言ってくれ。待ってるからね」



86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:45:21.92 ID:0fTYbASz0

放課後、病院の外

さやか「はぁ……」

QB「どうしたんだい、さやか。ため息なんかついて」

さやか「キュゥべえ……あんたいっつも突然現れるわね」

QB「落ち込んでいるように見えるのは、やっぱり上条恭介のことかい?」

さやか「あぁ、うん……まぁね。ちょっとあいつ、参っちゃってるみたいでさ……」

QB「そうか。だったら、元気にしてあげれば良いじゃないか。僕ならすぐにその望みを叶えられるよ」

さやか「契約、でしょ?最初はやっぱ、それも考えたよ……。
    でも、考えれば考えるほど、自分が何を望んでるのかわかんなくなっちゃって……」

QB「?君の望みは上条恭介の腕を治すことだろう?」

さやか「いや、それは確かにその通りなんだけどさ……まぁ色々複雑なのよ」

QB「あぁ、君は確か、上条恭介に恋してるんだったね」



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:48:10.83 ID:0fTYbASz0

さやか「ちょっ!?な、何言ってんのよいきなり!?あたしは別にそんな……」

QB「隠すことはないよ。僕は人類との関わりは長いんだ。恋愛感情に気付くくらいは造作もない」

さやか「うっ……」

QB「それに、恋をすることは人間として当然だ。何も恥ずかしがることじゃないよ」

さやか「っ……ま、まぁ、うん……そうかもね……」

QB「それで、君の悩みはその恋愛感情が原因だろう?ただ単に上条恭介の腕を治したいのか、
  それとも彼の腕を治して、感謝されたいのか。それが分からないってことじゃないのかい?」

さやか「ぐっ……な、なんでそこまで……。あんた何者よ……」

QB「このくらい僕じゃなくても分かるよ」

さやか「ま……まぁとにかく、そういうわけだから。
    自分の気持ちもはっきりしてないのに、契約なんてするわけにはいかないよ」

QB「でも、恋心は確かなんだろう?早く彼に告白しておいた方が良いと思うけどなぁ。
  志筑仁美に先を越される前にね」

さやか「……は?」



89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:51:09.69 ID:0fTYbASz0

QB「聞こえなかったかい?志筑仁美に先を越される前に、上条恭介に告白した方が良いと言ったんだよ」

さやか「いやいやいやいや、ちょっと待ってよ……。な、なんでそこで仁美が出てくんの」

QB「?君は思ったよりも頭の回転が遅いんだね。志筑仁美も上条恭介に恋をしているからに決まってるじゃないか」

さやか「まっ……まっさかー!そ、そんなわけないじゃん!大体なんであんたにそんなことわかるのよ!」

QB「さっき言っただろう?人間の恋愛感情に気付くくらい、造作もないって」

さやか「っ……で、でも、あの2人、話したことだってほとんど……」

QB「会話を多く交わさないと恋愛感情は生まれないのかい?そんなはずはないだろう?」

さやか「ほ……本当なの……?ほんとに、仁美が……?
    あ、あたしに契約させようとして、適当なこと言ってるんじゃないでしょうね!」

QB「嘘だと思うのなら、本人に確かめてみれば良いじゃないか。
  ……まぁ、確かに君の言う通り、契約を促す思惑がなかったとは言わないけどね。
  上条恭介との恋を成就させたいのなら、先に行動を起こした方が良い。
  僕と契約して彼の腕を治せば、一歩その目標に……」

さやか「っ……!」

QB「あ……。まったく。話は最後まで聞くのが礼儀だと思うけどなぁ」



90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:52:47.96 ID:wAkiIWmw0

なんだいい奴じゃないか



91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:53:51.05 ID:0fTYbASz0

さやかの部屋

さやか「…………」

な、なんでよりによって仁美なのよ。
あの子が相手じゃ、あたしに勝ち目なんて、あるわけないじゃん……。

ど、どうしよう……。
やっぱ、何か行動を起こした方が?
でも、行動って何を……。

……契約……?
っていやいやいやいや!
契約して腕治して、それでどうしろって言うのよ!
“あたしが腕治したんだから付き合ってよ”とか言って告白でもするの?アホか!
仮に契約して腕を治したとしても、告白とは全然別の話だよ!

だからって、“恭介と付き合えますように”とかで契約したって、
そんなので恭介と付き合えたって何の意味もないし。

やっぱ、自分の力でなんとかしなきゃ、ダメだよね……。



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:54:18.16 ID:RfsEzKFK0

久しぶりの良SSの予感



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:54:19.35 ID:Y5A22IxI0

QBちゃんマジ天使



94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 00:57:28.57 ID:0fTYbASz0

翌日、病院

さやか「……ね、ねぇ、恭介?」

恭介「……なんだい」

さやか「恭介は、さ。ヴァイオリン一筋、なんだよね……?」

恭介「……そうだよ。ヴァイオリンは、僕の人生のすべてだ」

さやか「じゃ、じゃあさ……もしも、もしもだよ?
   恭介のことを好きな美人の女の子が居て、その子に告白されたら、恭介、どうする?
   ヴァイオリンが全てだからって、断る?」

恭介「……?急に何を言い出すんだい……?」

さやか「やっぱり、付き合っちゃうの?美人で、勉強も出来て、お金持ちで、性格も良いような……
    た、例えばほら、ひ、仁美……みたいなさ。
    そんな子に告白されちゃったら、やっぱり、付き合っちゃうの……?」



95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:00:18.66 ID:0fTYbASz0

恭介「……さやか。悪いけど、今は冗談に構ってあげられるような気分じゃ……」

さやか「じ、冗談なんかじゃ……!」

恭介「……?」

さやか「あ、ご、ごめん……。えっと、その……」

恭介「……多分、付き合うと思うよ。わからないけど、多分……。
   ヴァイオリンは大切だけど、やっぱり結婚はしたいからね」

さやか「……!あ、はは……そ、そう、だよね。そ、そりゃそうだよね!
    仁美みたいな子に告白されたら、そりゃ、つ、付き合うしかないよね!」

恭介「……さやか、君は……」

さやか「あ、じ、じゃああたし、今日はもう帰るよ!それじゃ、またね、恭介、ばいばい!」

恭介「……さやか……?」



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:03:00.94 ID:0fTYbASz0

学校

まどか「おはよう、さやかちゃん!体調、もう大丈夫?」

さやか「あ……うん!大丈夫だいじょーぶ!さやかちゃん完全復活ですよ!」

ほむら「……風邪で欠席なんて、あなたにもそういうことがあるのね」

さやか「そりゃーあたしだって人間なんだから、風邪くらいひくよ!
    もしかして、馬鹿にしてる!?馬鹿はなんとかをひかないとでも言うのか!」

まどか「さやかちゃん、逆だよ……。風邪の方をぼかしてどうするの……」

さやか「へっ?あ、そっか」

ほむら「…………」

本当にただの体調不良なら良いんだけど……。

仁美「あら、さやかさん!もう風邪は治りましたの?」

さやか「あ……ひ、仁美……」



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:05:32.99 ID:0fTYbASz0

仁美「……?さやかさん?」

さやか「あ、あー、ごめんごめん!風邪ね、もう治った治った!」

仁美「そうですか?なら良いんですけど……まだ少しぼーっとしてるようですから、
   あまり無理はなさらないようにしてくださいね」

さやか「あはは、ありがと!やっぱ優しいね仁美は!うん、パーフェクト!」

仁美「?ふふっ、変なさやかさん」

……何か、美樹さやかの様子が変だ。
志筑仁美を妙に意識しているような……。
まさか……いや、そんなはずは……。

……でも、この時間軸は正直何が起こるか分からない。
一応、探りを……。

さやか「ところでさ、仁美。今日の放課後、ちょっと時間ある?」



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:08:17.68 ID:0fTYbASz0

ほむら「……!?」

仁美「放課後、ですか?えぇ、大丈夫ですわ。今日はお稽古もありませんし」

さやか「そっか、良かった」

まどか「なに?今日の放課後、どこか行くの?」

さやか「あ、ううん。ちょっと仁美と話したいことがあってさ。
    だから悪いんだけど、まどかとほむらは先に帰っててくれないかな」

まどか「へっ?うん、良いけど……大事な話?」

さやか「ちょっとね。というわけだから、仁美!今日の放課後、空けといてよね!」

仁美「えぇ、わかりましたわ」



102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:11:02.81 ID:0fTYbASz0

休み時間

ほむら「美樹さん、あなた……今日の放課後、志筑さんと何を話すつもり?」

さやか「何を訊かれるかと思えば……。ダメだよ、言えない。これはあたしと仁美の問題なんだからさ」

ほむら「……上条くんのこと?」

さやか「えっ!?な、なんで!?あんたも知ってたの!?」

ほむら「やっぱり……。どうしてあの子の想いに気付いたの?まさか自分で気付いたということはないでしょう?」

さやか「あ、うん……それが、キュゥべえに……」

ほむら「っ……契約を、迫られたのね……!?」

さやか「まぁ、ね。あ、でも安心してよ。契約なんてする気はないからさ」



103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:13:22.22 ID:0fTYbASz0

ほむら「……それで、何を話すつもり……」

さやか「だから、あたしと仁美の問題なんだって!こればっかりは友達相手でも言えないよ」

ほむら「…………」

さやか「心配してくれてるのはありがたいけどさ。ごめんね」

ほむら「……絶対に、あいつの言葉に踊らされてはダメよ。約束して」

さやか「うん、大丈夫。……それじゃ、もう行かなきゃ。休み時間終わっちゃうよ!」

ほむら「…………」

今回は、この子はまだ契約していない。
だから、もし失恋してしまったとしても、それが魔女化に直結するということはないでしょうけど……。

志筑仁美の名前を出されただけでは契約しなかったみたいだけど、
それでも、失恋を契約のダシに使われる可能性は十分にある。

キュゥべえ……。
本当に、この時間軸のあいつの行動は読めない。



104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:15:38.29 ID:RfsEzKFK0

感情あるQBでシリアスなのは珍しい



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:16:13.56 ID:0fTYbASz0

放課後

仁美「それで、話と言うのは……?」

さやか「うん……。あの、さ。単刀直入に訊くけど……仁美、恭介のこと、どう思ってる……?」

仁美「……!さやかさん、あなた……」

さやか「し、正直に答えて……!ど、どうなの……?」

仁美「……お慕いしてましたわ。ずっと前から」

さやか「っ……ほ、本当に、そうだったんだ……」

仁美「いつから……気付いてましたの?」

さやか「つい、最近……」

仁美「……そうですか。それで?まさか用件はそれで終わりではないでしょう?」

さやか「……うん。あの、さ。い、今から病院、行ってきなよ。時間、あるんでしょ?」

仁美「……え……?」



106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:17:29.25 ID:hF8ri1SfO

これだからヘタレは



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:18:28.40 ID:0fTYbASz0

さやか「えっと……昨日さ、その……さり気なく、訊いてみたんだよ、恭介に。
    もし、仁美みたいな子に告白されたらどうするか、って……」

仁美「ッ……!?」

さやか「そしたらさ、恭介、付き合うって言ってたよ!だからさ、今から行って、告白してくれば、きっと……」

仁美「あなたは……!さやかさんは、それで良いんですか!?」

さやか「えっ……?」

仁美「さやかさんも上条くんに想いを寄せていたはずです!それなのに、あなたはそれで良いの!?」

さやか「あ、いや……だって、ほら。あたしなんかじゃ、仁美に敵いっこないし……
    仁美の方が、恭介を絶対幸せにできるって言うか……」

仁美「っ…………わかりました。今から、上条くんのところへ行ってきます」

さやか「……うん」

仁美「では、これで。失礼しますわ」



108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:18:54.17 ID:RfsEzKFK0

おいさやかちゃん…



109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:20:36.00 ID:0fTYbASz0




さやか「……ぅ……っく……っ……」

QB「君は本当にそれで良かったのかい?激しく後悔してるようにしか見えないけど」

さやか「……!き、キュゥ、べえ……!うる、さいなぁ……!ほっといてよ!
    何言われたって、あたしは契約になんて頼らないからね!死んでも頼ったりするもんか!」

QB「……君は友人の恋を成就させて満足しているつもりだろうけど、果たして君の思い通りに行くかな?」

さやか「……なに、言ってんの……どういう意味……!」

QB「どういうも何も、言ったままの意味だよ。他意はない」

さやか「っ……」

QB「まぁ、何が起ころうと……最終手段だけは残されているからね。
  死んでも頼らないなんて無意味な意地を張らずに、頼るべき道があるということを覚えておいてくれ。
  僕の準備はいつでもできてるからね」



110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:22:53.20 ID:0fTYbASz0

夜、さやかの部屋

さやか「…………」

どう、なったのかな。
仁美はちゃんと、恭介に告白できたのかな。
できたよね。
あたしとは、違うもん。
あたしみたいな弱い奴と違って、仁美は強いから……きっと、はっきりと告白したに決まってる。

それで、恭介は……オッケーしたに決まってる。
だって、そう言ってたんだし。
断る理由なんて、ないもんね……。

良いじゃん、お似合いだよ。
どこからどう見ても、お似合いのカップルだ。



111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:26:25.81 ID:RfsEzKFK0

魔法少女にはなってないけど耐えられるのか



113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 01:44:39.61 ID:CxqHugXb0

魔法少女じゃなくても絶望するさやかちゃんかわいい



116:さるった:2012/09/10(月) 02:00:18.84 ID:0fTYbASz0

って……あーあ。
あたし、自分で決めたことのはずなのに、いつまで経ってもグダグダと……。

さやか「はぁ…………あれ」

メール来てる。
携帯ずっと放置してたから全然気付かなかった……。

相手は……

さやか「ッ……仁美……!?」

な、なんで、仁美から……。
まさか、告白の結果報告……!?

震える手でボタンを押し、内容を確認する。
すると、そこには……

 『明日、上条くんのところへ行ってください。
 質問の答えを聞いて、どうなさるかご自分で決めてください。』

さやか「は……?な、なに、どういうこと……?」



117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:03:00.16 ID:0fTYbASz0

翌日、病院

さやか「……なんでこんなことに……」

昨日、仁美にメールで訊いても電話をかけても、返事は返って来なかった。
しかも今日は休日だから、学校で仁美に直接訊くこともできない。

どういうことか、まったく分からない。
仁美は告白しなかったの?
恭介に会いに行きはしたんだよね?
会いに行って、何を言ったの?
質問の答えって何?

恭介に、訊くしかないのか……。

さやか「……き、恭介……入るよ~?」

恭介「……さやか……」

さやか「あの、さ……。昨日、仁美、来たんだよね……?」

恭介「うん……。話は聞いてるみたいだね。えっと……」

さやか「ま、待って……!そ、その前に……昨日、仁美とどんな話をしたのか、
    ちょっと詳しく教えてくれない……?実は、あたしもあんまりよく分かってなくて……」

恭介「……うん、わかった」



122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:06:06.15 ID:0fTYbASz0




仁美「こんにちは、上条くん」

恭介「……志筑さん……?えっと、さやかは一緒じゃないのかい?」

仁美「さやかさんは……今日はご都合が悪いみたいで」

恭介「……そっか……それにしても、志筑さんが来てくれるなんて珍しいね」

仁美「そう、ですわね……」

恭介「……?」

仁美「そうだ、上条くん?ちょっとした質問に答えてはもらえませんか?」

恭介「質問……?」

仁美「えぇ。もしもの話ですけど……さやかさんのような方に愛の告白を受けたとすれば、
  上条くんはどうなさいますか?その告白を受けますか?それとも、断りますか?」



124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:11:05.71 ID:0fTYbASz0

恭介「……?昨日さやかにも同じような質問をされたよ。
   志筑さんみたいな人に告白されたらどうするか、って……。
   今、学校でそういうのが流行ってるのかい?」

仁美「えぇ、まぁ……それで、どうですか?」

恭介「……たぶん、受け入れると思うよ」

仁美「!……どうして?」

恭介「僕は……告白されれば余程の理由がない限りは受け入れると思う。
   もちろん、相手が誰でも良いってわけじゃないけど……。
   僕なんかを好きになってくれて、せっかく勇気を出して告白してくれたんだから、
   その想いには出来るだけ答えてあげたいからね」

仁美「……次の質問をしても良いですか?」



127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:14:05.39 ID:0fTYbASz0

恭介「……うん、どうぞ」

仁美「もしも……さやかさんのような女性と、私のような女性に告白されれば……どちらを選びますか?」

恭介「……それは……分からないな。さやかみたいな子も、志筑さんみたいな子も、
   それぞれ魅力的だとは思うけど……そんな、特徴だけでどっちか選ぶのは難しいよ」

仁美「……では、もしも……さやかさんと私に告白されれば、どうしますか?」

恭介「さやかや志筑さん本人に告白されたら、ってことかい?
   それは……ちょっとあり得ないよ。さやかにとって僕はただの幼馴染だし、
   志筑さんが僕なんかのことを好きになるはずもないだろう?」

仁美「上条くん、今はあり得るかあり得ないかを考えるのではなくて、
    もしあり得たらどうするかを考えてください」

恭介「……そうか。だったら――」



132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:19:46.60 ID:0fTYbASz0




恭介「――さやかかな、って。そう答えたんだ……」

さやか「…………なんで……?」

恭介「え……」

さやか「なんで、仁美じゃないの?なんであたしなの……?
    あたしなんかより、仁美の方が可愛いし、おしとやかだし、女の子っぽいし……」

恭介「さやか……」

さやか「仁美の方が絶対、恭介とお似合いだし……絶対、その方が幸せになれるのに……!
    なんであたしなの……!?仁美じゃなくて、なんで……!」

恭介「さやかは……ずっと僕を支えていてくれたじゃないか」

さやか「っ……!」

恭介「確かに、志筑さんはすごく魅力的だよ。でも、どっちが僕にとって大切かって訊かれたら、
   それはやっぱり……さやかだよ。それ以外に、考えられない」

さやか「ひ、仁美は……?そう答えた後、仁美は、なんて……」



134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:24:11.86 ID:0fTYbASz0




仁美「……即答、ですのね」

恭介「志筑さん……。こんな考えは自意識過剰になるかも知れないから、
   あまり考えないようにしてたんだけど……もしかして、この質問は……」

仁美「……上条くんって、案外鈍い方なんですね。もう少し、早く気付いて欲しかったです」

恭介「それじゃあ、やっぱり……」

仁美「ふふっ……まさか、こんなにあっさり振られてしまうなんて」

恭介「っ……ごめん」



135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:26:49.04 ID:0fTYbASz0

仁美「謝らないで。さやかさんに仕返しが出来て、ちょっとだけすっきりしました。
   さやかさんってば、勝手に上条くんに私の気持ちを話してしまうんですもの。
   私はしっかり自分の口からお伝えしたかったのに」

恭介「志筑さん……」

仁美「それから、私に謝るのならさやかさんにも謝ってください。
   上条くんの鈍さに傷付けられたのは、私は今の1回ですけど……
   さやかさんは、もっともっとたくさん傷付いているはずですから」

恭介「……君は、すごい子だね。僕なんかじゃ到底釣り合わないよ」

仁美「そう言っていただけて、光栄ですわ。……私、もう行きますわね。
   さっきの質問の答え……さやかさんにも、言ってあげてください。それでは、失礼しますわ」

恭介「……ありがとう、志筑さん」



137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:30:13.66 ID:0fTYbASz0




さやか「……仁、美……」

恭介「……だから、さやか。君の告白はもう終わって、僕の返事も終わってるんだ。
   志筑さんの、“仕返し”で……。つまり、もう君と僕とは……両思いなんだ」

さやか「馬鹿……仁美の、馬鹿……ばか、ばかばかばかぁ……!
    何が、仕返しよ……そんなの、あんたが辛いだけじゃない……ばか、ばかぁああ……!」

恭介「しかも、それだけじゃない……。志筑さん、腕の良い先生を紹介してくれる、って……。
   僕と、さやかに、幸せになってほしいから、って……」

さやか「っ……あ、あたし……仁美に会ってくる……!
    会って、謝って、お礼言って、それから、それから……!」

恭介「うん……僕の分まで頼んで良いかい、さやか」

さやか「う、うん……!じゃあね、恭介!」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:33:03.61 ID:0fTYbASz0




さやか「はぁ、はぁ、はぁ……!」

もうとっくに日が暮れて、足元が暗くて走りづらい。
こんなことなら、変に迷ったりしないでもっと明るいうちに病院に行っておけば良かった……!
仁美の家までは、まだしばらく走らなきゃ……あれ?

あそこ、歩いてるの、もしかして……

さやか「……!仁美!」

仁美「……?」

さやか「仁美、ちょうど良かった!え、えっと……恭介の、ことなんだけど……」

仁美「あらぁ……?美樹さん、ごきげんよう……!」



141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:33:26.27 ID:uKc5FFD/0

そう来たか



142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/10(月) 02:33:30.77 ID:+Q9jWWJz0

うわぁぁあぁあああぁぁあぁああああぁあああああ



次→QB「感情が芽生えたからと言って……」【後編】

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