36:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:07:22.69 ID:
+mIY4lIDO
上条「もうすぐ……春、だな」
黒子「そうですわね……」
上条「……あ、あのよ」
黒子「……何ですの?」
上条「……何でもない」
黒子「……そうですか」
何故、こんなことになっているのだろう。
上条当麻は途方にくれながらも、夕陽を背中に受けて思う。
二人の座るベンチの影が、闇に溶けていく。
横をちらと見ると、細い線で描かれた横顔があり、慌てて視線を前に戻す。
初めは、ささいな好奇心だったのだ。
THE ABNORMAL SUPER HERO HENTAI KAMEN 1 (集英社文庫―コミック版)
休み時間、学校のパソコンでインターネットを弄くっていたときのことである。
――「露出の会……?」カチカチッ
――「……何だこれ」
そこで見たのは、新しい世界だった。
投稿された写真と、掲示板しかないシンプルなサイトであったが――上条当麻は、魅了されたのである。
その、背徳にまみれた世界に。
光の中で、それこそ光のような存在を守ってきた上条当麻には、それは新鮮であった。
37:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:07:56.50 ID:
+mIY4lIDO
――「第一ステップは、下着を穿かない……か」
ギリギリ可能だろう第一ステップ。これがもし、最初から全裸で街に繰り出す――などだったら、上条当麻も過ちを起こすことはなかったのかもしれない。
しかし現実は数奇なものだ。
上条当麻が、ギリギリ、大丈夫だろう――やってみても、試してみてもいいだろう! と思える範囲だったのだから。
それからの上条当麻は違った。
口癖であった「不幸だ」という言葉を口に出すことも減り、代わりに――
――「カミやん、最近明るくなったなぁ」
――「何か良いことあったのかにゃー?」
――「とうま、最近ご機嫌だね!」
気分が良く、周りの評判も良い。
これは、上条当麻を次のステップに進ませるには充分だった。
――「第二ステップ……が、ふむ」
上条当麻は次の日から、ぴっしりと学ランの前を閉めるようになった。
男は、守るべき存在が多いほど強くなる。
そのときの上条当麻は、自身の両胸と股間に目線を送りながらそう言ったという。
日に日に、上条当麻は――自身の興奮が抑えきれなくなっているのを感じていた。
38:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:08:24.00 ID:
+mIY4lIDO
――「第三ステップ……は、っ!? パスワードだと!?」ガタガタッ
そんな中での――絶望。上条当麻はまさに顔面蒼白になった。
まさか――まさか、こんなトラップがあっただなんて!
そんな中で掲示板に上がったレス、それが――
――「ようやく第五ステップに進みましたの! ……だって?」
嫉妬、羨望、様々な感情が入り交じる中、上条当麻は閃いた。
――「もしかしたら、パスワードを教えてもらえるんじゃないか?」
そう考えてからの上条当麻は早かった。
接触をはかり、まずは露出についてのトークで相手の気分をおだて――そしてようやく、上条当麻はターゲットに会う約束を取り付けたのであった。
ちなみに何故掲示板上で教えないのか、それは簡単なことだ。
掲示板は、誰にでも見ることができる。
そこでパスワードを教えるなんてしたら――厳しい罰則があるのだという。
ならばメールは?
そう、メールならば可能だ。
しかし、上条当麻は――そして相手も――思ったのだ。
ニッチな趣味を持つもの同士、仲良くしたい。
――友達に、なりたい!
ただただ、純粋に、そう思ったのである。
39:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:08:50.06 ID:
+mIY4lIDO
そして現在――上条当麻は悩んでいた。
上条(もしかして……本当に白井、なのか?)
上条(いやいやいやそんな)
上条(つか! 「デスノ」さんは漫画好きな男の人じゃないのかよ!? 名前的に!!)
上条(……あー、どうすっかな)
上条(わかんねぇ。間違ってたら「間違ってました」ですまねぇし)
黒子「……あの」
上条「はひ!?」ビクッ
黒子「……その、あの……が、学ラン、そんなにぴっしりと閉めて苦しくはないんですの?」
上条(――っ)
上条「だ、大丈夫だ!」
上条(これは、どっちだ!? 知っててか、いや普通の会話だとしても有り得る――っ)
黒子「そ、そうですの」ソワ
上条「そっそれよりお前ずいぶんデカイコートを着てるんだな!」
黒子「」ビクッ
上条「お前らってスカート短いからさ、スカート見えないから穿いてないみたいに見えるな――……って」
上条(あ、あれこれセクハラ?)
上条「……え、えっと白井?」
黒子「……」
上条(まずった!?)
40:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:09:17.76 ID:
+mIY4lIDO
上条「い、いやセクハラとかじゃ……っ」
黒子「……デスノ、ですの。あなたはソゲブさんでよろしいですか?」
上条「っ」
黒子「――おそらく、このコートの下は、あなたの学ランの下と一緒ですわ」
上条「白井……いや、デスノさん……」
黒子「すこし、驚いてしまいましたの。まさか、あなただとは――いえ、申し訳ございません。……パスワード、ですわよね」
黒子は少し肩を震わせたかと思うと、パッと顔をあげた。
その表情は笑ってはいるが、どこか陰りがあって――。気がつくと、上条当麻は強く黒子の細い肩を掴んでいた。
上条「それより……っなんで! なんでお前がこんなこと!!」
――失言。言ってしまった後に口を抑える。
これはステップ五までいっている彼女に言う――言っていい言葉ではない。
白井は睫毛を伏せると、はぁと息を吐いた。
黒子「――それは、あなたも一緒ではないですか?」
上条「……え――」
黒子「わたくし、お姉さまを敬愛しております」
上条「……」
黒子「お姉さまはとてもお強い――けれど、とても弱い方」
黒子「守られるだけでなく、守りたいと」
黒子「――お姉さまの、パートナーでいたいと思っていますの」
黒子「あなたも、……守りたい存在があるのでは?」
上条「……そう、だな。悪かった。何でこんなこと――なんて、バカな質問だったな」
黒子「えぇ……守るべきが多いほど、強くなる。そして、その守るべきものを捨て、本当に大切なものを守れたときこそ――」
上条「わかってる」
黒子「――そうでしたわね」クスッ
41:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:09:47.66 ID:
+mIY4lIDO
黒子は立ち上がった。影が地面を走り、伸びる。
風がコートを捲りあげるが――黒子は、抑えない。
黒子「パスワードを教える前に一つ、お聞きしなくてはなりませんの」
上条「――おう」
黒子「――あなたは、大切なものを守るために、全裸になれますの?」
夕陽を背に受けた黒子の顔はよく見えなかった。
しかし、と上条当麻は拳を握りしめる。
自然と唇が弓を描いているのがわかった。
上条当麻はその熱い決意を胸に灯しながら、腹からわきあげてくる熱情そのままに、叫ぶ。
上条「もちろん!」
守るべきもの。
人によってそのベクトルは違くとも、その思いは同じである。
上条当麻は白井黒子に笑い、白井黒子は上条当麻に笑う。
二人の気持ちが、本当に繋ぎあった瞬間であった。
上条「――で、パスワードって何なんだ?」
黒子「管理人さんがいらっしゃるんですけれどね、その方のハンドルネームだそうでして」
黒子「漢字がちょっと変わっていまして――」カチカチ
黒子「――悪世羅、さんだそうですわ」
おわり
42:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 00:10:40.60 ID:
+mIY4lIDO
おわり
僕は穿いているおパンツ派です
44:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2012/02/06(月) 00:18:07.35 ID:5rhollVfo
乙
俺はフトモモ半ばまで下ろしたおパンツ派です
続編:食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」
58:
食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」:2012/02/06(月) 12:29:04.39 ID:
+mIY4lIDO
打ち止め「……」ペチペチ
一方通行「……」ペチペチ
打ち止め「……あのってミサカはミサカは勇気を出して口を開いてみる」ペチペチ
一方通行「あァ?」ペチペチ
打ち止め「何この状況ってミサカはミサカは仁王立ちのあなたのおちんちんに頬を叩かれている状況に疑問を抱いてみたり」ペチペチ
ある日のこと、打ち止めと一方通行以外は家にいなかった。そして一方通行はまだ寝ている。テレビはニュースしかやっていない。
打ち止めは暇だった。どうしようもなく暇だった。
その退屈という気持ちが、「そうだ、全裸になろう!」という発想を生み出すのは想像に固くない。
幸い打ち止めが好んで着るのは着脱のしやすさを誇るワンピースであり、打ち止めはこのときもワンピースを着ていた。
さて、パンツから脱ぐか、服から脱ぐか。
打ち止めは数秒悩むような仕草を見せたが、思いついたように瞳に一筋の光が走った。
そして打ち止めは片手でワンピースの肩紐を掴み、もう片手でパンツの端を掴んだ。
打ち止め「――せぇのぉってミサカはミサカはタイミングを合わせてみる!」
ズルッスポンッ
――打ち止めは全裸になった。
まだ未発達の、白く艶かしい肢体が晒される。
打ち止めは「はぁ……っ」と甘い息を吐いた。
ベランダの方向に身体を向けると、カーテンがかかっていない窓に見せつけるように足を広げる。
滑らかな曲線が光に当てられ、輝きを増したように白さを放つ。
打ち止めは唾を飲み込むと、窓へより近づくために――
一方通行「何やってンだクソガキ」
――そうして、今に至る。
59:
食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」:2012/02/06(月) 12:29:47.18 ID:
+mIY4lIDO
打ち止め「み、ミサカはてっきり叱られるのかとってミサカはミサカはあなたに頬を叩かれながら言ってみる」ペチペチ
一方通行「あン? 叱ってンだろ。お仕置き中だよ」ペチペチ
打ち止め「あなたからミサカにお仕置きって何だか新鮮……じゃなくて! 何でミサカはパンツだけ穿かされたの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ペチペチ
一方通行「あン? パンツ無しが良かったか?」ペチペチ
打ち止め「違うけど……」ペチペチ
打ち止めは一方通行の顔を見上げた。
一方通行はズボンのチャックだけをおろし、そこから蟹身のように出した一方通行自身を打ち止めの頬に当てている。
ちなみに、一方通行の瞳は真剣そのものだ。
打ち止めの惑いの視線がわかったのだろうか、一方通行は一瞬眉を潜めると、打ち止めの頬を叩くのを止めた。
赤の瞳が、打ち止めを映す。
一方通行「あのな、オマエにまだ全裸は早ェ」
一方通行「それにオマエは……なンだ、その」
一方通行「……性的に興奮、してたろ」
打ち止めはびくりと肩を竦めた。
一方通行は打ち止めのパンツの割れ目付近に目線を送る。
そこは、少しの染みをつくっていた。
一方通行「全裸……いや、露出ってのは性的なもンじゃねェ。もっと神聖な……いや、人の覚悟みてェなもンだ」
打ち止め「覚悟……ってミサカはミサカは反復してみる」
一方通行「あァ……覚悟だ」
64:
食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」:2012/02/06(月) 12:54:12.78 ID:
+mIY4lIDO
「覚悟なんてバカみたぁい」
一方通行「っ!?」
一方通行は突然開かれた扉にバッと顔を向ける。
打ち止めもそれにつられ、扉に顔を向けた。
食蜂「露出は性的興奮があるからこそ、よぉ?」
一方通行「……第五位か」
打ち止め「えっあっだ、誰……?」
食蜂「あなたが打ち止めちゃんねぇ……あなたには素質もありそうだしぃもっと教えてあげたいけど」
一方通行「……ガキに手を出したら、約束は破棄だからな」
食蜂「仕方ないわねぇ。ま、そんなに興味が惹かれるこじゃないしぃ。いいけどぉ☆」
一方通行「ほら、オマエが来た理由はこれだろ」パカッ
一方通行は携帯電話を操作し、画像ファイルを起こす。
そこには、色とりどりの――子どもじみた――パンツが写っていた。
食蜂ははふぅと艶かしい吐息を漏らす。
食蜂「これが今日御坂さんが穿いている……?」
一方通行「あァ。伝のある会員に聞いたから間違いねェ」
食蜂「……やぁん、かぁわいいわねぇ」
食蜂はしたなめずりをすると、指で画面を愛しそうに触る。
一方通行は眉を潜めると、
一方通行「だが、何でオリジナルにそこまで興奮するのか、俺にはわかンねェな」
食蜂は画面から視線を外さないまま言う。
食蜂「御坂さんは特別なのよぉ」
食蜂「最初はぁ? 邪魔なこだと思ってたわぁ」
食蜂「だって露出オナニーの組織をつくるのを邪魔するんだものぉ」
食蜂「けどねぇ?」
食蜂は目尻を下げた。
食蜂「御坂さんって勢い良くお漏らしをすると快音がなるのよぉ」
一方通行「ンだと……っ!?」
食蜂「ま、あなたには無理でしょうけどぉ☆」
65:
食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」:2012/02/06(月) 12:55:02.66 ID:
+mIY4lIDO
重い雰囲気の中で話す二人から少し離れて、打ち止めはもじもじと脚を擦らせていた。
打ち止め(おしっこしたい……っ)
しかし扉には食蜂がいるため、勝手に出ていくこともできない。
だからといってこの雰囲気の中、そう言い出せるはずもなかった。
打ち止めは膀胱が破裂しそうなのを感じながら、目を潤ませて――あぁもう我慢できない――!
目の前が、真っ白になった。
パァンッ!!
食蜂「!?」
一方通行「!?」
快音が鳴り響き、二人は一斉に音の方向へ顔を向けた。
そこには、気持ち良さそうに顔を蕩けさせた打ち止めと、床に広がった黄色い液体があった。
食蜂「な……この子もぉ……っ」
一方通行「」チッ
徐々に喜色に溢れていく食蜂の顔を見ながら、一方通行はヤバい――と感じていた。
食蜂は頬を弛めながら、打ち止めに話しかける。
食蜂「ねぇ、打ち止めちゃん」
打ち止め「ふ、ふぇ……?」
放心状態の打ち止めになお一層笑みを深めると――
食蜂「あなたの心、操っちゃうぞ☆」
リモコンを打ち止めに向けた。
66:
食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」:2012/02/06(月) 12:55:45.17 ID:
+mIY4lIDO
――しかし、食蜂の思惑は外れる。
打ち止め「な、なに……? リモコン? ってミサカはミサカは疑問に思ってみる」
食蜂「え、あ、あれ!? 効いてないのぉ!?」カチカチ
何度もリモコンのボタンを押すが、打ち止めの様子は変わらない。
食蜂(なんでぇ……っパンツを脱いでオナニーを始めるようにしたはずなのにぃ……っ)カチカチッ
一方通行「ハッだからオマエには覚悟がねェって言ってンだよ」
バカにしたような声に、食蜂はぎりと歯を噛み締め、一方通行を振り向く。
そして――、目を見開いた。
食蜂「……全裸、ですって?」
一方通行「オマエがリモコンをガキに向ける一瞬でなァ」
食蜂「で! でも! 全裸と何の関係があるのよぉ!」
一方通行「だからオマエは第五位なンだよ」
一方通行「誰かを守るために大切なもンを捨てる……これでパワーアップしねェ奴がどこにいる?」
一方通行「オマエはガキに能力を使おうとしたなァ」
一方通行は一方通行をぶらりと揺らしながら、ニヤリと笑う。
一方通行「――スクラップの時間だぜェ」
高い悲鳴が響き渡った。
67:
食蜂「覚悟なんてバカみたぁい」:2012/02/06(月) 12:56:35.59 ID:
+mIY4lIDO
――――――
――
―
尿やらいろいろな汁が飛び散ったあとを掃除しながら、打ち止めは知らず口許を微笑ませていた。
打ち止め「ありがとう、あなた」
一方通行「……たりめェだ」
一方通行はもはや全裸ではない。
けれど、打ち止めには彼の言った「覚悟」というものが何なのか、わかった気がする。
守るものの――覚悟。
打ち止めは思う。
守られるものの覚悟を、しなければいけないのだと。
打ち止め「ねっあなた」
一方通行「あァ?」
打ち止め「ふふ、なんでもないってミサカはミサカは笑ってみたり」
空はまだ高い。
太陽の光が、二人を照らす。
おわり
69:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/02/06(月) 13:13:09.52 ID:Xr2s10wyo
乙
色々面白かったというよりおかしかったどういうことなの…
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