上条「キミハダレ?」 美琴「私は、ア、アンタの恋人よ!」【後編】

2011-03-16 (水) 00:17  禁書目録SS   11コメント  
前→上条「キミハダレ?」 美琴「私は、ア、アンタの恋人よ!」



469:11月 4日 :2011/02/13(日) 17:29:44.13 ID:i08ahiIe0
★11月5日

【ロンドン行きの飛行機の中】

上条「そういや、今度はちゃんとパスポートを用意してたんだな」ボソボソ

美琴「当たり前でしょ。まあ、アンタのは私がまたICチップを偽造したんだけど」ヒソヒソ

上条「…………」

美琴「…………」

美琴「ねえ、私ずっと、あの力のこと考えていたんだけど、
   要塞が衝突した直前のことって何か思い出せない?」 



471:11月 5日 :2011/02/13(日) 17:32:45.22 ID:i08ahiIe0
上条「う~ん、はっきりとはしねえんだが、少し思い出してきた」

美琴「……話してみて」

上条「ああ、確かに俺は要塞に乗っていた記憶がある。
   このままコレを地上に墜としちゃいけねえと思って、
   必死にその中を走り回っていた…………」

美琴「じゃあ、やっぱり海の上に誘導したのはアンタだったの?」

上条「分からねえ。
   たが、同時に何かヤバイ巨大な力が北で浮上しようとしていて、
   俺は向きを変えてそっちへ…………」



472:11月 5日 :2011/02/13(日) 17:40:18.10 ID:i08ahiIe0
美琴「巨大な力?」

上条「ああ……。なんつーか、自然とか人間の普通の力なんかじゃねえ。
   神とか天使つーか……」

美琴「…………」

上条「はは、何言っているんだろうな。こんなこと言っても信じられねえよな」

美琴「ううん。いいから、思い出したこと、全部話してみて」



474:11月 5日 :2011/02/13(日) 17:45:59.95 ID:i08ahiIe0
上条「ああ、それで俺はその巨大な力を追いかけて、
   要塞ごとそいつとぶつかりながら、必死で爆発を止めようとしていて…………」

美琴「…………」

上条「だが結局、俺の力では持ち堪えられずに、そもまま爆発しそうになって…………」

上条「……………………ここまでだ。
   …………あとは、何も思い出せねえ」

美琴「そう……」



478:11月 5日 :2011/02/13(日) 18:02:34.61 ID:i08ahiIe0
美琴「あの要塞ね、半径が数十キロにも及ぶ超巨大な浮遊物だったんだけど、
   あれが墜ちても周囲に伝わった衝撃はとても軽かったの」

上条「…………」

美琴「私がVTOLでアンタを迎えに行った時は、高度が1万メートルを超えていたわ。
   ロシア空軍や学園都市の部隊が伝えた情報によると、
   その後緩やかに下降しながら北に向かったようなんだけど、
   突然北極海のあの地点で急降下したらしいの」



480:11月 5日 :2011/02/13(日) 18:18:00.29 ID:i08ahiIe0
美琴「半径が数十キロっていったら、佐渡島より大きなサイズよ。
   そんな巨大な質量の物体が自由落下したら、いくら低い高度から海に墜ちたとしても、
   前代未聞の大惨事になっていたはずだわ。 
   本来なら、巨大な津波がロシアや北欧の海岸を襲っていたはずなの。
   でも、実際には村や町が呑み込まれるどころか、人一人、死ななかったのよ」

上条「…………」

美琴「これって、科学的にはまったく説明できないことなの。
   だから、あの要塞は、質量を持たない蜃気楼のような幻だったんじゃないかとさえ言われているわ。
   でも私はアンタがあの要塞に乗ってしっかり歩いているところをこの目で見ているのよ」

上条「あるはずの質量が消えたということか?」



481:11月 5日 :2011/02/13(日) 18:26:58.60 ID:i08ahiIe0
美琴「ええ。それで、科学的な説明をつけるために苦しい仮説がいろいろ出されているのね。
   さっきの当麻の話を聞いていて、ちょっと気になったんだけど、
   その仮説の中のひとつに、要塞の質量を相殺するような何かが
   下から打ち上げられたんじゃないかっていう主張があるのよ。
   当時、周辺の北極海の氷が急速に融けていたこともその説の裏づけになっているわ」

上条「それが、あの巨大な力ってわけか…………」

美琴「ええ、なんとなく結びつく気がしたの。
   でもその説だって、説明がつかないことが残るのよ」

上条「?」

美琴「そんな巨大な物体に拮抗する何かが下からぶつかったとしたら、
   空中で大爆発を引き起こしていないとおかしいでしょ。
   考えてみて。
   佐渡島を超える大きさの物体が爆発したら、飛散する粉塵は火山の噴火の比じゃないわ。
   世界中の大気を厚い灰が覆って、地球は氷河期になっていたはずよ」

上条「それがなぜか爆発しないで消えた…………」



482:11月 5日 :2011/02/13(日) 18:33:57.89 ID:i08ahiIe0
美琴「私は、あの要塞が衝突する瞬間に、ほとんどの質量を失ったんじゃないかって思ってる。
   事実、後から回収された要塞の残骸はあまりにも少ないのよ」

上条「…………じゃあ、一体どうやって?」

美琴「アンタにはね、超能力のような異能の力を打ち消すことができる、
   常識はずれな力がもともと備わっていたって話、前にしたでしょ」

上条「ああ。右手の力だっけ?」

美琴「うん。そんな非常識なアンタだったら、衝突の瞬間、追い詰められた土壇場で、
   能力だけでなく、自分の周りのものも、
   すべてまとめて無かったことにしちゃったんじゃないかなって、
   ふと思ったんだ。
   ……………………要塞が爆発で飛散するのを防いで、みんなを守るためにね」

上条「じゃあ、…………自分も含めて、周りの存在をすべて打ち消しちまったっていうのか?
   俺に記憶がなくなったのも、そのせいだと?」

美琴「うん。他人の記憶とかバンクのデータとか、
   あんたの存在の痕跡まで全部消えていたのは、そのせいかもね」



485:11月 5日 :2011/02/13(日) 19:02:04.74 ID:i08ahiIe0
上条「だが、異能の力を消す力なら、要塞のような物理的な構造物なんて消せないだろ?」

美琴「そこなのよね。でもあんなバカでかい空飛ぶ要塞なんて前代未聞だし、
   アレを造ったのはロシア軍でも学園都市でもないようなのよ。
   というより、まあ不可能でしょうね。
   あの要塞自体が、超自然的な何かだったとしても、別に驚かないわ」

上条(そういや、俺、右手であちこち触って破壊しながら、
   要塞の中を走り回っていたような記憶があるな……)

上条「いやでも、その異能を消す力が、一緒に俺のことまで消しちまったんだとしたら、
   俺自身まで、もともと異能の存在だったってことになるだろ?」



487:11月 5日 :2011/02/13(日) 19:14:46.39 ID:i08ahiIe0
美琴「異能の存在かあ。
   フフッ、案外当たっているかもしれないわね。
   まさか幽霊だとは思わないけど、バケモノとか……。アンタ、超人的に打たれ強いし」

上条「オイオイ…………。
   でも俺の体は消えないで、現にこうしてちゃんと残っているぞ」

美琴「そうね。
   結局消えないで、今ちゃんとここにいる…………。
   ………………………………
   ……………………だから、別にいいじゃない!」バンバン

上条「って、それじゃお前の理屈は根本から破綻しちまうだろうが!
   ン? 天才中学生 御坂美琴さんよォ?」

美琴「あははっ 何その口調、一方通行のつもり?」ケラケラ



490:11月 5日 :2011/02/13(日) 19:33:21.68 ID:i08ahiIe0
美琴「それよりね、もっと引っかかっているのは、
   何で学園都市の外には、当麻のことを覚えている人たちがいたのかなってことなの」

上条「ああ、そういや俺の映像が残っていたのも海外の動画サイトだったしな」

美琴「うん、もし仮にアンタが、何かの事情で自分自身の存在を打ち消す力を発揮したんだとして……」

美琴「心の中で、あのシスターには自分のことを忘れて欲しくないって思ってったんじゃないかしら?」

上条「…………だからインデックスがいない学園都市の中だけに効果が限定されたということか?」

美琴「そう」

上条「…………」



494:11月 5日 :2011/02/13(日) 19:44:35.44 ID:i08ahiIe0
上条「……なあ、それってこうも考えられるんじゃねえか?
   俺は、お前がロシアに来ていることも知っていたんだよな。
   俺は、お前に忘れてほしくなくて、学園都市の中だけに……
   ……………………って、イッテェ! 何すんだ? 
   てめぇ、思いっきり蹴りやがったな!」

美琴「アンタさあ、そういうの最低だって言ったでしょ」

上条「いや、お前勘違いしてんぞ。
   確かに、インデックスとは帰るっていう約束をした。
   でも今の俺の気持ちでは、お前が一番大切なんだ」

美琴「これからあの子に会いに行くつーのに、何言ってるワケ?
   じゃ、あの子に再開したとき、今のセリフ、もう一度言える?   
   そんな残酷なことがアンタにできる?」



497:11月 5日 :2011/02/13(日) 19:51:40.55 ID:i08ahiIe0
上条「お前を残すことだって、残酷だろ?
   どちらかを選ぶとか、どちらかが不幸になるとか、おかしいだろ?
   そんなこと、俺が望んでいたことじゃねえんだ!!」

美琴「サイテー……。
   何その天然ジゴロのセリフ……。
   やっぱ、アンタって最低だわ」

上条「ぐ…………」

美琴「……………………。
   大体、恋愛に、誰もが幸せになるハッピーエンドなんてないのよ」

上条「…………美琴」

美琴「ま、でも、別にアンハッピーでもないか…………。
   少なくとも私は楽しかったわ。
   ……この4日間のアンタとの恋愛ごっこ」



498:11月 5日 :2011/02/13(日) 20:03:07.33 ID:i08ahiIe0
上条「ちょっと、待てよ!
   何終わったことにしてんだよ! 勝手に決め付けんじゃねえ!
   俺が今好きなのはお前なんだ!
   そもそもなんで、俺たちが別れなきゃいけねえことになってんだ?
   そんなこと、いつどこのどいつが決めたんだよ?」

美琴「あきれた……
   アンタのそういう態度が一番人を傷つけるって、まだわからないの?」

上条「ふざけんじゃねえ、それはこっちのセリフだ。
   お前が『恋人』だって言ったんだぞ!
   自分で言っといて、勝手になかったことにしてんじゃねえよ!
   今さら嘘だったなんて、俺は絶対認めねえ。
   ああ断じて認めないね!!」

美琴「だからそれは謝っているでしょ! 
   じゃあ、どうするって言うのよ!!」



501:11月 5日 :2011/02/13(日) 20:19:21.76 ID:i08ahiIe0
上条「いいぜ、お前がどうしても別れなきゃならねえってなら、
   まずはそのふざけた幻想をぶちコロす!!!」

美琴「はあ? まあいいわ。
   私とあの子の二人がいる前で、アンタがどんな態度をとれるのか今から楽しみね」

上条「ああ、いいとも。インデックスにはお前の前できっちり説明してやるよ。  
   そもそもアイツとは恋愛とかそういう関係ではなかった気がするし……」

美琴「ちょ、ちょっと、待って! どんだけ女の気持ちに鈍いのよ?
   それに、あの子だってアンタのことずっと待っているはずでしょ?
   そんなひどいこと、できるわけないじゃない!!」



503:11月 5日 :2011/02/13(日) 20:34:05.14 ID:i08ahiIe0
上条「分かったよ。インデックスが俺のことどう思っているかわからないが
   どっちにしろ、アイツには、もう少し後で機会をみて話をするさ。
   でも、お前の方こそ、なんで自分ばっかり身を引こうとするだよ?」
  
美琴「ふん、私は、アンタが記憶喪失だったり行方不明だった隙に
   横取りした形になっているのが気に食わないだけよ」

上条「横取りってなあ……。
   だからそもそもインデックスとは付き合っていたかも分からねえんだよ」

美琴「でも必ず帰るって約束した大切な相手なんでしょ?
   大体、全部記憶を思い出したわけじゃないなら、
   あの子との大切な絆だっていろいろあるかもしれないじゃない?」

上条「…………ぐ」

美琴「アンタはまず、あのシスターに会って、あの子とのことすべて思い出しなさい。
   少なくともそれまでは、私、アンタと付き合えないわ。
   私のプライドが許さないの」

上条「…………分かったよ、美琴」



506:11月 5日 :2011/02/13(日) 20:58:48.70 ID:i08ahiIe0
美琴「…………」

上条「…………」

美琴「ねえ、ひとつだけお願いがあるんだけど」

上条「何だ?」

美琴「その、これからも私のこと『美琴』って呼んでほしいんだけど……。
   それで、私もアンタのこと『当麻』って呼んでてもいい?」

上条「当たり前だろ! 何水臭いこと言ってんだよ!」

美琴「………………うん」



507:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:12:11.20 ID:i08ahiIe0
美琴「え? ちょ、ちょ、ちょっと、何いきなり手握ってんのよ!!!///」

上条「いいだろ、別にこれくらい。///」

美琴「………………いいけど。///」

上条「…………」

美琴「到着まであと一時間だね」

上条「ああ」

美琴(いいよね? あと一時間だけなら……)ギュ



510:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:23:09.57 ID:i08ahiIe0
【ロンドン 聖ジョージ大聖堂】


アニェーゼ「まったく、ネセサリウスの連中ときたら、葬式みたいに湿っぽくなっちまって、
      辛気臭くて一緒になんかやってられないっつんですよ」

アンジェレネ「で、でも……ローマ正教を抜け出してきた私達が、
       ほ、本当に、バチカンなんかに行ったりしても大丈夫なんでしょうか?」

オルソワ「それはきっと大丈夫でございましょう。
     ローマ正教とイギリス清教の間には和解が成立しておりますし、
     今ならば資料の提供にも好意的に応じてもらえると思うのでございますよ」



513:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:28:06.39 ID:i08ahiIe0
美琴「あ、あれね! 
   大聖堂っていう割にはけっこうこじんまりとしてるのね。
   ここに見覚えはある?」

上条「いや、外から見た記憶はないな。
   中の部屋でインデックスが横たわっていた記憶はあるんだが」



アニェーゼ「シスター・アンジェレネ。
      あの少年を救う方法がここの連中にも分からねぇってんなら、
      私達が探してくるしかねぇじゃありませんか」

ルチア「ですが、シスター・アニェーゼ。
    彼にかけられた魔術が、あの禁書目録と呼ばれる少女の知識にもないものだとすると、
    バチカンに封印されている魔道書の中にも、該当するものがある可能性はほとんど……」



514:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /13(日) 21:30:09.73 ID:tt2Az9M30
魔術・・・?



518:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:37:27.06 ID:i08ahiIe0
美琴「あ、中からシスターたちが出てきたわね。
   あの人たちに見覚えは?」

上条「…………いいや」

美琴「声かけてみるわね」



アニェーゼ「シスター・ルチア。
      そんなもん、探してみねぇとわからねぇんですよ!」

美琴「Excuse me?」

アニェーゼ「!?」



520:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:42:27.18 ID:i08ahiIe0
美琴「We are looking for a girl in her teens.
   Do you know the girl named "Index"?
   Or, have you seen this guy?」ニコ-

アニェーゼ「…………」

ルチア「…………」

アンジェレネ「…………」

オルソラ「あら、あちらのお方は……」



522:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:50:41.33 ID:i08ahiIe0
上条「アイツら鳩が豆鉄砲喰らったような顔して固まってんぞ」

美琴「……………………^ ^;」

美琴「お、おかしいわね。そんなにヘタクソな発音のはずはないんだけど。
   ブリティッシュアクセントじゃないから、聞き取りにくいのかしら?」

アンジェレネ「ひ、ひぃいい!! な、何なんですか?
       あなた幽霊?? 
       どっから来たんですか? 生き返ったんですか???」

上条「に、日本語……」

美琴「当麻のこと知ってるの?」



523:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /13(日) 21:51:08.15 ID:phIcUR5/0
美琴さんぱねえっすww


524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /13(日) 21:52:12.87 ID:cDGR1U/g0
上条ひどい言われようだなwww



526:11月 5日 :2011/02/13(日) 21:57:56.13 ID:i08ahiIe0
アニェーゼ「お、落ち着きなさい、シスター・アンジェレネ。
      そもそも彼はまだ死んじゃあいませんよ!」

ルチア「それにしても、奇怪な……」

オルソラ「やっぱり、貴方様は上条当麻様でございますわね!」

美琴「どうやら、アンタのお知り合いのようね」

上条「はは、そうみたい……」



528:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:04:31.21 ID:i08ahiIe0
ステイル「こ、これは一体、どういうことなのかきちんと説明してもらおうか、
     上条当麻!!!」ダン!

神裂「…………」

上条「ちきしょう、不幸だ…… これで何回目だ?
   また一から説明し直さなきゃいけないのかよ!」

美琴「つーか、アンタの知り合い、多すぎ……」

ステイル「君のために、あの子がずっと心配して眠らずに祈りを捧げていたというのに、
     君っていうやつは、今まで一体どこをほっつき歩いていたんだ?」バン!

上条「てか、この暗くて寒くて殺風景な部屋、明らかに客間とかじゃないよな。
   まさか取調べとか異端審問とかに使う部屋だったりして……ははは……」



529:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:07:05.43 ID:i08ahiIe0
ステイル「しかもあろうことか女連れで、今頃になってノコノコと姿を現すとは、
     君という男は……」クドクドクドクド

上条「このちょっとパンク入ってる怖そうなお兄さん、
   なんかスゲー怒ってるみたいなんですけど……」ボソボソ

神裂「…………」

上条「しかも……その隣でずーっと無言のまま睨んでいるお姉さん、
   腰から下げている日本刀が妖しく光ってるんですけど……」ボソボソ



530:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /13(日) 22:10:20.08 ID:1gi64U3K0
そりゃ怖ぇわな



531:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:11:04.20 ID:i08ahiIe0
美琴「つーかさ、私たちインデックスっていう子を訪ねて来ただけなんだけど。
   いきなりこんな所に連れて来られて、この扱いは何なの!?
   さっきから何でアンタらに説教されているワケ?」
   
ステイル「な、何なんだ、この品の欠片もない少女は……」

美琴「何ですって!?
   そっちこそ、神父の服着て、赤髪にピアス、咥えタバコ、
   おまけに目の下にバーコードだなんてあり得ないのよ!」

ステイル「ぐっ…………」



533:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:16:30.58 ID:i08ahiIe0
上条「あっちゃー。
   ま、まあ、美琴さん、頼むから電撃とかは止めてくれよ、
   絶対に面倒なことになるからな……」ボソボソ

美琴「うっさいわね!
   人のこと、まるでキレやすいDQNみたいに言うな!」

上条「はは……」(いやあ、けっこう、当たってると思うけどなぁ……)

ステイル「何をとぼけているんだ、上条当麻!! さっきの僕の質問にきちんと答えろ!」

美琴「アンタこそ、先に私たちをこんなところに押し込めている理由を説明しなさいよ!」

上条「やって来た早々、なにこの拷問…………

         ……………………不幸だああああああああああああ!!!!!」



534:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:20:10.94 ID:i08ahiIe0
神裂「事情は大体、理解しました。
   その挙動や口癖から察する限り、貴方はどうやら上条当麻本人のようですね」

上条「ああ、だから、さっきから何度もそう言ってるじゃねぇか……」

美琴「それで、インデックスっていう名前のシスターに、アンタたち心当たりない?」

神裂「ええ、あの子ならこの聖堂の中にいます。
   今から案内するので、こちらについて来てください」

上条「ホントか?」

美琴「やっと、会えるわね」

上条「ふぅ。さっきは赤髪のお兄さんに変な部屋に連れ込まれて、
   何をされるのかと不安になっちまったぜ」

ステイル「…………」



536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /13(日) 22:21:13.09 ID:4HEU48Ap0
まさか歳下とは思わないよな



537:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:22:53.90 ID:i08ahiIe0
神裂「貴方達に不快な思いをさせたことは、心からお詫びします。
   部屋も適当なところがあそこしかなかったのです」

上条「そういえば、あっちこっちの部屋が崩れたり焼け焦げたりしているな。
   この廊下にも穴があいているところが多いし……」

美琴「この壁や床一面に、やたらペタペタ貼ってあるのは何? 
   何か書いてあるみたいだけど」ビリビリ

ステイル「ちょっと君! 何てことしてくれるんだ!
     僕のルーンを勝手に剥がしてしまって!
     この一枚が欠けると、せっかく敷いた魔方陣が意味を成さなくなるんだぞ!」



539:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:29:20.09 ID:i08ahiIe0
美琴「まほうじん? アンタってオカルトが趣味なんだ。 
   これ、おフダのつもり?」ビリビリ

ステイル「貼り直したそばから剥がすな! 一体、なんなんだ君は!」

美琴「あ、ごめんごめん。
   アンタ、コレ、マジでやってるんだ。
   戻しておくわよ、ホラ」

ステイル「そこじゃない! 場所が全然違うだろ!!」

美琴「こまかい男ねえ……」



540:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /13(日) 22:35:06.89 ID:VtyBj2iT0
ステイルェ・・・



542:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:38:04.67 ID:i08ahiIe0
上条「一体、この聖堂で何があったんだ? 襲撃でも受けたのか?」

神裂「それはおいおい説明します。今はあの子に会ってもらうことが先決です」

上条「ああ、そうだな!」

神裂「本当は、すぐにでも引き合わせたかったのですが、
   あの子に会わせる前に、貴方が本物かどうか確認する必要があったのです」



543:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:43:03.12 ID:i08ahiIe0
上条「なぜだ? インデックスに何かあったのか?」

神裂「いえ、貴方のおかげであの子の意識も戻り、危機は脱しました。
   しかし、フィアンマの行方が分からない以上、まだ油断はできないのです」

上条「フィアンマ? あまりよく覚えていないが、インデックスの精神を拘束していたヤロウだったか?」

神裂「ええ、そうです」



546:11月 5日 :2011/02/13(日) 22:50:52.84 ID:i08ahiIe0
美琴「でも、アンタたち、当麻の知り合いなんでしょ? ならそこまで警戒しなくても……」

神裂「魔術の中には、その人の顔かたちをすっかり模倣できるものもあります」

美琴(魔術?)

神裂「それに私達には、そちらの『上条当麻』が本物かどうかを疑ってしまう理由があるのです」

上条「はい?」

美琴「それって、どういう……」

インデックス「とうま…………、本当にとうまなの???」

上条「!? い、インデックス!!!!」

インデックス「とうまああああああ!!!!!!!!!!」

上条「無事だったか! インデックス!!!」

美琴(良かった……。やっぱり、これで良かったんだ……)



554:11月 5日 :2011/02/13(日) 23:26:41.61 ID:i08ahiIe0
インデックス「一体、何がどうなってるの? 今までどうしていたの?
       でもとうまは約束どおり帰ってきてくれたんだね!」

上条「ああ、そうだ、インデックス!! お前との約束だったからな!!」

美琴(あのシスターったら、あんな顔もするんだ。
   目を真っ赤にして、今まで泣きはらしていたのね……)

美琴(二人とも、本当に嬉しそう……)

美琴(………………)



558:11月 5日 :2011/02/13(日) 23:40:04.41 ID:i08ahiIe0
美琴(…………そうよ、これで良かったじゃない。
   アイツがあんなに喜んでいるんだから……)

美琴(さあて、じゃあ私は帰りますか。
   あの子とアイツの再会に私が立ち会っても邪魔なだけだし)

美琴(それに、覚悟はしてたけど、
   こうやって二人が抱き合っている姿を見るのはつら過ぎるよ…………)

ステイル「………………」(つらくなんかないさ…………)



566:11月 5日 :2011/02/13(日) 23:53:11.78 ID:i08ahiIe0
ステイル「感動の抱擁はすんだかい?」

上条「あ、ああ、サンキュー」

ステイル「その子と話したいことも諸々あるだろうが、
     その前に、今は君に見てもらいたいものがあるんだ」

上条「ん、何だ?」

ステイル「そこの祭壇の中央だ」

美琴「!!! な、なんなのよ、これ?」

上条「こ、これは…………俺!???」



570:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:02:34.50 ID:HYCEY/Dc0
ステイル「ソイツは、3日前にあの要塞が墜ちた海域で、
     ネセサリウスの捜索隊が見つけたものでね。
     一晩かけて、一昨日ここまで運んできた」

上条「俺にそっくりだな…………」

美琴「クリスタルの彫像?
   ……にしては、質感が違いすぎるわね」
   
美琴(あまりに透明で、存在感が希薄。
   言われるまで気がつかなかった。
   まるで今にも消えそうな…………)

上条「なんかこれ、俺に似すぎていて、気色わりぃな。
   まるで動き出しそうだな」

神裂「ええ、動きましたよ」

上条・美琴(?)



575:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:10:40.03 ID:HYCEY/Dc0
美琴「…………こんな彫像、誰が一体何のために作ったんだろう?」

ステイル「それは彫像ではないよ。ソイツ、右手を前に張り出しているだろう。
     見ていたまえ」

ステイル ブォオオオオ パキーン

上条「右手が炎をかき消した?」

美琴(あの彫像の右手、パイロキネシスを無効化できるというわけ?)



582:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:20:24.61 ID:HYCEY/Dc0
神裂「それだけではないのです」

インデックス「今は透明に見えるけど、昨日はとうまの姿に一度戻ったんだよ!
       私が呼びかけたら、『インデックス』って名前まで呼んだんだから!!」

美琴「!!!」

ステイル「僕達は、今は透けているがアレこそが『上条当麻』本人だと考えていたんだ」

上条「じゃ、じゃあ、この俺は一体…………」



585:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 00:22:04.38 ID:jOw+R9Bj0
昨日って一時的に透けたアレか


589:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 00:26:36.94 ID:37BTl+CfO
ここにつながるのか



592:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:30:19.50 ID:HYCEY/Dc0
インデックス「でも私にはわかるんだよ! 
       こっちのとうまもあっちのとうまも、とうまであることに変わりはないんだよ!」

上条「どういうことなんだ? 俺が二人いるってのか?」

美琴「…………ねえ、アンタたち。
   昨日、一度元に戻ったって言っていたけど、それが何時ごろだったか覚えている?」

神裂「朝の6時ごろです」

美琴「学園都市で15時…………。やっぱりあの時だ」



598:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:40:13.89 ID:HYCEY/Dc0
インデックス「学園都市で何かあったの? 短髪は何を知ってるの?
       とうまはどうして二人に分かれちゃったの?」

美琴「それは、多分、アンタとの約束を守ろうっていう
   コイツの気持ちが強すぎたんじゃないかしら……」

インデックス「?」

美琴「コイツは自分の存在を跡形もなく消し去ろうとしたんだけど、
   結局、アンタのおかげでそれができなかったのよ」

インデックス「どういうことなんだよ、短髪? 
       短髪はどうして泣いてるの?」

美琴「大丈夫よ、アンタの『とうま』は、私がちゃんと戻してみせるから!」



604:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:48:10.72 ID:HYCEY/Dc0
ステイル「どういうことだ? 
     この子にも分からなかった魔術の解き方を君が知っているとでもいうのかい?」

美琴「魔術? これはそんなものじゃないわ。
   さあ、当麻、インデックスを連れて学園都市に帰るわよ!」

上条「ちょっと、待て、美琴! 
   まさか、お前、もう一度、一方通行にアレを頼むつもりか?」

美琴「ええ、そうよ。アンタを元に戻すにはきっとそれしかないわ」



607:11月 5日 :2011/02/14(月) 00:55:52.37 ID:HYCEY/Dc0
上条「だが、アレをやったら、俺は元の記憶を取り戻す代わりに、新しい記憶をなくしちまう」

美琴「アレは精神操作ではなかったの。
   あの時アンタが昏倒している間、体が透けて消えそうになったって言ったでしょ。
   でも、代わりにこっちでは、アンタが一時的に姿を取り戻したっていうじゃない」

神裂「!!!」

美琴「アレを最後まで続ければ、きっとアンタはひとつになって元にもどれるわ!」



611:11月 5日 :2011/02/14(月) 01:05:03.55 ID:HYCEY/Dc0
上条「じゃあ、今のこの俺は何なんだ? どうなるんだ?」

ステイル「君は彼が、その本体から抜け出した生き霊とでも言うのかい?」

美琴「当麻は要塞が衝突して爆発する寸前で、
   地上の人たちを助けるために、自分もろとも要塞のほとんどを消し去ったのよ」

インデックス「………………」

美琴「だから本当は、その透明の当麻のように、そのまま消えてなくなるはずだった。
   でも当麻にはインデックスとの約束の記憶だけが残ってしまったの」



613:11月 5日 :2011/02/14(月) 01:12:59.27 ID:HYCEY/Dc0
インデックス「私との約束? じゃあ、短髪と一緒に来たとうまは……」

美琴「うん。その約束のことしか覚えていなかった。
   アンタのおかげで、こうして残ることができたのよ」

インデックス「短髪…………」

美琴「ふふ。フラフラ彷徨っていたから、私がここまで連れて来てやったわ」

上条「この俺は、インデックスとの約束を果たすために生まれた幻みたいなものなのか?」

美琴「大丈夫よ、当麻。
   アンタが要塞でやったことの逆をやれば、アンタは元の自分に戻れる!」

インデックス「短髪にはとうまを元に戻すあてがあるの?」

美琴「ええ。7日前のアイツにね」



616:11月 5日 :2011/02/14(月) 01:20:20.19 ID:HYCEY/Dc0
美琴「ただ、消したはずの要塞も一緒に復活する可能性がある。
   昨日の朝、当麻が一時的に戻った時に、
   ロシアの海上では、何か要塞の残骸とかが降ってきたりしなかったのかしら」

神裂「いいえ。付近の海上では、今でもロシア軍や十字教の人間が残骸の回収にあたっていますが、
   新たに残骸が空から墜ちてきたという話は、まったく聞いていませんね」

美琴「じゃあ、もし復活するとしても、本来墜ちていたはずの海の底に現われるだけか」

神裂「いずれにせよ、事前に分かっているならば、対処の方法はあると思います」

上条「おい、ちょっと待て、美琴!」

美琴「…………」



626:11月 5日 :2011/02/14(月) 01:43:11.74 ID:HYCEY/Dc0
上条「もし、お前の予想が当たっているとしてだ。
   一方通行に頼んで、消去した自分を元に戻すとしても、
   それって7日前の俺に戻ってしまうってことだろ?」

美琴「ええ、そうよ」

上条「昨日アレをやったときも、要塞が衝突する直前の記憶は少し取り戻したが、
   替わりに俺は直近の病院での記憶を失ったんだろ?」

美琴「…………」

上条「7日前の俺に戻すってことは、
   ロシアで目覚めてからの4日間の記憶をすべて失うってことになるじゃねーか!!」

美琴「……………………そうなるわね」



630:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 01:48:14.39 ID:HYCEY/Dc0
すみません。
残りの話は、まだラフしかできていないので、
今日はここで終わりにさせていただきます。

なるべく今日中に終わらせたかったんですが、持ち越してしまいました。

明日は、21~22時くらいから始められると思います。

間を空けてしまい大変申し訳ないですが、保守していただければありがたいです。

よろしくお願いします。


632:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 01:52:06.09 ID:Gn9tpO6v0

次で終わりそうってことかな?



631:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 01:48:54.42 ID:DCzOySs9O
仮に、海底で要塞が復活した場合、その巨大な体積が一瞬で再現される事になるから、観測史上最大級の大津波が発生するのは間違い無いな。


635:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 01:53:53.91 ID:9nZMQAuw0
>>631
うるせーよいちいち…
作者が起こらんと思えば何も起こらねーんだよ。



638:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 01:58:51.94 ID:DCzOySs9O
>>635
ああ、ご都合主義てやつか。

だったら津波なんて概念を出さなきゃいいのに。



640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 02:03:10.12 ID:37BTl+CfO
まあそれを言いだしたら原作の設定自体が矛盾だろ


642:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 02:06:29.66 ID:DCzOySs9O
>>640
まぁ確かに禁書の矛盾点上げてたらキリないな。

はい、以後レスしなくていいよ。俺もレスしないから。
粘着したらスレ潰れるよ。



645:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 02:31:50.50 ID:9zoKqOAhO
原作まだ読んでないけど、このSSより面白くなかったりして


646:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 02:48:49.60 ID:reOwzXVfI
むしろ原作読んでないのにこのSS 面白いの?


647:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 02:49:48.74 ID:7VuOTrUhO
すげー練られた話なのに地の文使わないのが逆に好感持てる



738:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 20:10:35.05 ID:HYCEY/Dc0
※補足です

消えた要塞が戻ったらという話が出ていますが、
確かに>>631の方の指摘のように、海の底に現われたとしても大変なことになってしまうんですよね。

何せこの要塞は「半径数十キロ」ですから(ラピュタくらいのサイズだったら、まだごまかせたんですが)。

ただ、あらかじめ出現するタイミングと場所に予想がつくなら、
魔術サイドの知恵と人を総動員してなんとかできるのではと思います。
造ったのもそちらの側の人でしたし。

この辺もふくらませれば、サブストーリーができそうなくらい面白そうなネタかもしれませんが、
今回はあくまで美琴視点の話なので、割愛したいと思います。

裏では、神裂さんがその言葉に責任をもって陣頭指揮を執り、
禁書の知識と十字教の人海戦術を駆使して、
大ががりな対策をとっている姿があるものだとご想像ください。


他にもいろいろツッコミどころはあるでしょうが、スレが埋まらない範囲なら、
むしろどんどん指摘していただいた方が、私も自分で気づかなかった点が分かるので嬉しいです。
しっかり読んでいただいているってことなので、本当にありがたいです。


では、続きを始めていきます。



739:11月 5日 :2011/02/14(月) 20:13:29.94 ID:HYCEY/Dc0
上条「ふざけんじゃねぇ! 
   今の俺にとって、俺の人生はこの4日間だけなんだよ!
   お前、その人生を取り上げるつもりか?」

美琴「!!!」

上条「『俺』にとっちゃ、お前と過ごしたこの4日間がすべてなんだぞ!!」

美琴「……………………」

インデックス(とうま……………………)

美琴「……………………ごめん。
   でも仕方ないじゃない。
   あんたには、まだ思い出さなくちゃならないその子との絆があるはずでしょ!!」

インデックス「短髪……………………」

美琴「…………それに、アンタが思い出さなくちゃならない絆はそれだけじゃない。
   さっき囲まれた大勢のシスターたちだって、
   そこのバーコードやヘソ出し女だって、   
   みんなアンタのこと心配して待っていてくれたんじゃない!」

ステイル「…………」

神裂「…………」



743:11月 5日 :2011/02/14(月) 20:18:48.28 ID:HYCEY/Dc0
美琴「それだけじゃない。
   今は記憶を失っているけど、学園都市にだって、アンタに救われた人はたくさんいる。
   昨日会った、妹達も、黒子も、初春さんもみんなアンタがその手で命を救って来た子たちなのよ!
   アンタそういう人たちのこと、全部忘れたままでいいわけ?
   そこまで無責任で薄情な男だったわけ?」

美琴「それに、私だってアンタとこれまで過ごしてきた半年間を
   なかったことにされたままなんて、絶対に許せない」

上条「……………………」

美琴「あんたが自分でそう言ったんじゃない!
   昨日病院で、過去を取り戻して過去の自分をぶん殴るって、そう言ったでしょ!」

上条「そんなこと、覚えていねえよ」

美琴「ええ、そうだったわね。
   でも覚えていなくても、いかにもアンタらしいセリフでしょ。
   アンタはこの言葉に責任を持つべきよ」



746:11月 5日 :2011/02/14(月) 20:25:54.32 ID:HYCEY/Dc0
美琴「…………元に戻ったって、別に私とも離れ離れになるわけじゃないでしょ。
   たかだが4日間の出来事を忘れるだけよ」

上条「…………分かってねえよ。
   俺にとって、この4日間がどれだけ大切か、お前は分かっちゃいねえ!!」

美琴「……………………」

美琴「分かってるよ…………」

上条「……………………」
   
美琴「ううん、むしろ私の方こそ、…………私が一番それを分かってる。
   この4日間は本当に、かけがえのない永遠の4日間…………」



747:11月 5日 :2011/02/14(月) 20:35:28.02 ID:HYCEY/Dc0
上条「だったら、俺の気持ちも分かるんじゃねえか?」

美琴「でも、この4日間は私の幻でもあったのよ。
   今、私のことを好きだと言ってくれているアンタは私の幻想なの」

上条「……………………じゃあ、今のこの俺は幽霊か?
   お前にとっては、所詮、いなかった存在だったてことか?」

美琴「…………違うわ。アンタはちょっと迷子になっていただけなのよ」

美琴「ねえ、当麻。
   私、飛行機の中で言ったでしょ。
   インデックスとのことアンタが全部思い出さない限り、私は土俵には立てないって」

インデックス「…………」



750:11月 5日 :2011/02/14(月) 20:45:17.20 ID:HYCEY/Dc0
美琴「時計の針を7日だけ戻して、もう一度やり直しましょう。
   私たちの思い出なら、これからまた積み上げていけばいいじゃない」

上条「それだと、今の『俺』が……」

美琴「そうね、もし今のアンタが私のことを強く想ってくれているなら、
   アンタがインデックスとの約束を忘れなかったように、
   私との4日間のことも、心のどこかで覚えていてくれるかもね……」

上条「………………」

上条「……………………分かったよ。
   俺はお前とのこと、忘れねえよ。
   …………………………いや、絶対に忘れるわけがねえよ!!」

美琴「…………ありがと。
   まあ美琴さんは、あんまり期待しないで待っていますわ」

上条「フン。今の俺の言葉、覚えていろよ!」

美琴「フフ。
   じゃあ、帰りましょう。
   ………………………………学園都市へ!!」



752:11月 18日 :2011/02/14(月) 21:04:14.34 ID:HYCEY/Dc0
【学園都市】

黒子「お姉さま。 
   これから初春や佐天さんと、学び舎の園の外に新しくオープンしたという
   パスティチア・マニカーニの新店に行く約束をしているのですけど、お姉さまもご一緒にいかがですか?
   初春が申しますには、その店限定のイチジクのタルトがとりわけ絶品とのことでして、
   ほかにもイタリア産のマロングラッセをふんだんに詰め込んだモンテビアンコがこれまた……」

美琴「私はいいわ。
   先に寮に帰ってるから、アンタは行って来なさいよ」

黒子「そ、そんなことおっしゃらずに、たまにはいいではありませんか?
   何だかこのところ、いつものお姉さまらしくありませんのよ」

美琴「フフ、そんなことないわよ。心配しないで。
   今日はちょっと甘いもの食べる気がしないだけ。
   アンタも食べ過ぎて、また後からダイエットだとか
   大騒ぎすることにならないように、気をつけなさいよ!」



753:11月 18日 :2011/02/14(月) 21:11:46.36 ID:HYCEY/Dc0
黒子(努めて平静を装っていらっしゃるつもりのようですけど、
   この黒子には分かりますの。
   今のお姉さまはまるで魂の抜け殻……。
   なんとか元のお姉さまに戻っていただかないと……)

黒子「あ! あそこのお店のポスターを見てくださいまし! 
   今巷で大人気の3D対戦格闘ゲームを購入すると、
   もれなくラヴリーミトンのゲコ太figmaがついてくるそうですのよ!」

美琴「へえー」

黒子「…………」



758:11月 18日 :2011/02/14(月) 21:20:19.26 ID:HYCEY/Dc0
黒子「ゲコ太ですのよ。ゲ・コ・タ。
   この二頭身のゲコ太の首が回る! 
   あら、かわいいらしい! 
   こんなにちっちゃい腕と脚の関節もヒクヒク動くんですの!
   頭の部分を差し替えて、おすまし顔とゲコゲコ顔にー」

美琴「ふーん、でも私、PSPとか持ってないし」

黒子(ぐはあっ!! な、なんですと~。
   ゲコ太まで不発とは……。
   ほ、ほかに打つ手は……)

美琴「………………」

黒子「あ゛…………」

美琴「………………」


インデックス「ねえ、ねえ、とーま。ねえ、とーま」

上条「ん?」

インデックス「あそこのお店に人が並んでいるんだよ。
       『元祖鯛焼き本舗』って書いてあるけど、焼いた鯛って美味しいのかな?」



759:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 21:25:36.33 ID:jOw+R9Bj0
インデックス事情知ってるんだからフォローを…と思ったけど上条さんの態度と記憶次第じゃ無理か


757:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 21:18:11.98 ID:jOw+R9Bj0
2週間たってやがる…



761:11月 18日 :2011/02/14(月) 21:30:45.55 ID:HYCEY/Dc0
上条「ああ、たい焼きか。鯛つっても、魚の鯛をかたどっただけの焼き菓子だぞ」
       
インデックス「そ、それって、どんなお菓子なのかな?
       なにやら、甘く香ばしい匂いが私の鼻腔を刺激して……」


黒子(な、なんて間の悪い男なんですのお……
   よりにもよって、あのシスターといるところをお姉さまに見せ付けるだなんて……)

美琴「………………」


上条「まーた始まったか。ほら、インデックス、行くぞ!」

インデックス「とーま、とーま、私はあのたい焼きというのがどうしても食べたいんだよ!」

上条「あーそうかよ。お前ってやつは、いつでも食い物のことしか頭にないのな」



763:11月 18日 :2011/02/14(月) 21:40:21.46 ID:HYCEY/Dc0
黒子 チラ

美琴「………………」

黒子 ゴクリ

美琴「フフ…………」

美琴「ん? なーに、心配そうな顔してんのよ。
   私なら大丈夫だって。
   分かったわ。じゃあ、そのイチジクのタルト、食べに行きましょうか」

黒子(お姉さま!)



768:11月 18日 :2011/02/14(月) 21:51:13.98 ID:HYCEY/Dc0
インデックス「ん? あ! ねえ、とーま、あれ、短髪だよ!!」

上条「お、ビリビリじゃねえか!!」

美琴「!!」

黒子(ぐへえっ! 来るな来るな来るな、こっちに来るなですの!)

上条「オッス! ビリビリ!!」

美琴「………………」

黒子(な、なんて男なんですの……!! 
   お姉さまをさんざんもてあそんだ挙句、今さらどの面下げてノコノコと……)

黒子(し、しかも、あのシスターと一緒に声をかけて来るだなんて……)   



772:11月 18日 :2011/02/14(月) 22:01:27.37 ID:HYCEY/Dc0
上条「こないだはありがとな。
   お前には、本当に世話になったみたいだな!」

美琴「………………うん」

インデックス「短髪、私からももう一度言わせて!
       本当にありがとうなんだよ!!」

美琴「うん!」

上条「でもなんだよお前、いつの間にか、一人だけいなくなりやがって。
   ちゃんと礼を言いたかったのに」

美琴「…………」

インデックス(短髪………………)

美琴(………………そりゃあ、アンタ、
   元に戻った途端、この子のことばかりで、私のことなんか目もくれなかったじゃない。
   おまけにどうやら一緒に住んでるらしいことまで分かっちゃったし……)

黒子(ハアアアアアア!!!! 
   お姉さまのお気持ちを考えると、
   む、胸が、胸が焼けるように苦しいですの…………)



775:11月 18日 :2011/02/14(月) 22:10:35.24 ID:HYCEY/Dc0
上条「インデックスからいろいろ聞いたぞ! 
   ロシアで記憶喪失になっていた俺を探し出してくれて、
   記憶を戻す方法を見つけてくれたのもお前なんだってな」

美琴「…………うん」

上条「お前にもう一度きちんと礼を言おうと思ってさ、
   あの後、連絡しようとしたんだけど、俺、携帯なくしちゃってて」

上条「寮にも何度か行ったんだが、お前、風邪で寝てるっていうじゃん」

美琴「…………」

上条「…………風邪、もう治ったのか?」

美琴「…………うん」

上条「何だよ、お前、さっきから『うん』しか言わねえじゃねえか」

美琴「…………」

上条「お前、今日はずいぶん大人しいじゃねーか。
   ……本当にもう大丈夫なのか?」

美琴「ええ、もう平気。全然たいしたことないわ」



776:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:14:53.48 ID:jOw+R9Bj0
上条さん何一つ悪くないけど殴りたい



780:11月 18日 :2011/02/14(月) 22:20:25.33 ID:HYCEY/Dc0
上条「俺のことでも、いろいろ心配かけて悪かったな」

美琴「うん」
 
上条「…………えーと、何か調子狂っちまうな。
   お前って、そんな素直なキャラだったけ?」

美琴「…………」

インデックス(短髪………………)

上条「…………」
  (…………おかしい。やっぱこれは絶対におかしいぞ。
   今までだったらここで
   「うっさいわね! 元々素直に決まってるでしょ!!」とか言って
   電撃のひとつでも放ってきそうなもんなんだけどなあ…………)

黒子(ハアハア、隣で見ているわたくしまで、苦しい……
   もう胸が張り裂けそうですの…………)ゼエゼエハアハア

上条「んー、白井、どうした? お前までずいぶん顔色悪いぞ。風邪うつったか?」

黒子(殴りてぇえ!!! 超この男殴りてぇえええ!!!)

黒子「そ、そうですの。
   それに、お姉さまも病み上がりなのですから、
   その辺で、もうそっとしておいてくださいませな……」

上条「ああ、そうだったな。わりぃ」



766:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 21:49:49.73 ID:yQ87dGCSO
確かにインなんとかを少し厚かましく感じるな
美琴に感情移入しているからだろうが



782:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:24:20.04 ID:jOw+R9Bj0
一番辛いのインデックスかも知れんねこれ



785:11月 18日 :2011/02/14(月) 22:29:03.90 ID:HYCEY/Dc0
上条「じゃあ、俺たちはこの辺で。
   ビリビリ! 本当にありがとうな!!」

インデックス「ありがとうなんだよ! 短髪!!」

美琴「あ、うん」

黒子「…………」

上条「じゃ」

美琴「うん」

インデックス「…………」

美琴「…………」

美琴「…………あ、あの!」

上条「ん?」クル



790:11月 18日 :2011/02/14(月) 22:40:54.87 ID:HYCEY/Dc0
美琴「…………あの後、体とか頭とか大丈夫だった?
   とくに問題ない?」

上条「ああ、まったく問題ねえ。
   本当なら、『俺』消えてたはずなんだろ?
   でも、お前のおかげでこの通り、ピンピンしてるぜ!」

美琴「そう…………。
   ……………………良かったわね!!」

上条「ああ!」

美琴「変なヤツらに絡まれたりとかもしていない?」

上条「ああ。何だよ、その変なヤツらって」

美琴「ううん。何でもない…………」
   
美琴(統括理事会の回収指示は、結局ロシアにいた間の暫定的なものだったようだし、
   万が一のことがあっても、コイツの周りにはたくさん味方がいる。
   もう、私が心配しなくても大丈夫よね?)

美琴「…………」

上条「じゃあな。お前も風邪しっかり治せよ!」

美琴「…………うん」



793:11月 18日 :2011/02/14(月) 22:49:59.81 ID:HYCEY/Dc0
上条「インデックス、行くぞ」テクテク

インデックス「むぅー、とうまは、もうちょっと人の気持ちを考える力をつけたほうがいいかも!」ヒソヒソ

上条「ん?」スタスタ

インデックス「短髪ほんとにありがとう!! …………またね!!」

美琴「うん……」

美琴(……………………)

黒子(………………)

美琴(…………お帰り、当麻)

黒子(………………)

美琴(さよなら。
   ……………………私の初恋)



795:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:51:33.54 ID:E8xHm+sK0
うわぁぁぁ!!


796:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:51:36.95 ID:5nbG+V2rO
ちょっと上条そげぶしてくる


797:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:51:47.95 ID:gEjSeFHW0
うhわあああああ


804:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:55:15.73 ID:w2Fb+CDl0
苦しい・・・胸が苦しいぞ・・・


800:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 22:53:25.72 ID:t64LOqDC0
まだだ、まだ終わらんよ!



815:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:01:40.69 ID:HYCEY/Dc0
黒子「お、お待ちなさいな!」

上条「ん? どうした白井?」クル

黒子「わたくしたち、これからパスティチア・マニカーニにお茶をしに参りますの。
   よろしければ、あなた方もご一緒にいかが?」

インデックス「"Pasticceria Manicagni"……。
       そ、それって、イタリア系のケーキショップの名前か何かかな?」

黒子「え、ええ。そこのドルチェは絶品と言われ、この学園都市の中でも一、二を争う評判の店なんですの」

インデックス「とーま、とーま、これは全力で行くしかないかも!
       今日ばかりは私も、禁欲に生きるシスターという身分から解き放たれることに決めたんだよ!」



817:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 23:03:55.35 ID:hqGFQ9plP
普段でさえウザイインなんとかさんが、美琴に感情移入しているせいでとんでもなくウザイなww


821:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 23:06:06.10 ID:D2LiQ3/F0
>今日ばかりは
(#^ω^)ピキピキ



822:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 23:07:09.50 ID:mdp7OhnYO
お前らもうちょっとインさんにも優しくしてやれよwww


824:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 23:08:38.74 ID:jOw+R9Bj0
>>822
心情が分からんからちょっとフォロー難しくなってきたw




825:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:08:40.82 ID:HYCEY/Dc0
上条「お前は、年中リミッターなんてつけたことないだろ。
   こと飯のことに関しては……」

インデックス「むぅ! その言葉は年頃の女の子にかけていいセリフなのかな?
       だいたい、とうまは、いつもいつもいつも女の子の気持ちを……」

上条「分かった。分かった。そういうセリフは、
   頼むから冷蔵庫の中身を一人で全部平らげるようなことをやめてから言ってくれよな」

美琴「…………」

黒子(…………し、しまったああああ!!!!
   わたくしったら、なんてことしてしまいましたの!!!!
   見かねてつい言葉が出てしまいましたが、
   これでは逆にお姉さまの傷を抉るようなもの!!!!!)



829:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 23:10:22.69 ID:E8xHm+sK0
黒子かわいいよ黒子



832:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:12:20.88 ID:HYCEY/Dc0
黒子(バカ!! バカ!! バカああああああああああ!!!!
   黒子のバカアアアアああああああああああああ!!!!!)ガンガンガン

インデックス「短髪も来るよね?」

美琴「私は…………」

黒子「ささ、お姉さまも急ぎましょう! 初春たちを待たせてありますわ」

美琴「…………」

黒子(えーい、もうこうなったら仕方ない!
   ここにお姉さまを一人残すわけにもいきませんし、もうなるようになれですわ!
   もしもお姉さまを泣かせるようなことになれば、
   私があの類人猿をボコボコにして、お姉さまの気を晴らして差し上げるだけのこと!)

上条「じゃあ、ビリビリへの礼をこめて、今日は全部上条さんがおごってやるよ」

インデックス「ほんと? 今日のとうまはずいぶん太っ腹なんだよ!
       さっきは、たい焼きひとつ買ってくれなかったのに
       これはいったいどういう風の吹き回しなのかな?」

上条「つーか、お前の分は、いつも俺の自腹じゃねーか。
   どうせ、お前が10人前以上食うんだ。
   あと数人分増えたところで、大して変わらねえよ」



839:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:20:32.72 ID:HYCEY/Dc0
佐天「あ! 上条さんじゃないですか! 記憶は戻ったんですか?」

初春「その隣のシスターさんは誰ですか?」(かわいい……)

上条「えーと、君たちは、その……」

インデックス「私の名前は、Index-Librorum-Prohibitorum。
       略してインデックスと呼んでくれていいんだよ。
       そういうあなたたちはどこのどなたさん?
       短髪の友達?」

黒子「ま、まあ、お店の前で立ち話もなんですから、
   とりあえず、中に入りましょう」



840:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /14(月) 23:25:24.02 ID:xRFLXraD0
初春ww



848:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:32:09.58 ID:HYCEY/Dc0
佐天「うわあ! けっこう混んでるじゃん」

初春「オープンしたてですもんね」

上条「テーブルって、みんな4人がけだな。二つ、くつけられないか?」

店員「すいません、今すぐにご用意できるのは、別々に離れたお席しかないんですが……」

美琴「アンタたちは、そっちの席で食べればいいじゃない。
   私たちはあっちに座るから」

佐天「え? 御坂さんは上条さんと一緒に座ればいいじゃないですか」

初春「そうですよ! 私たちは向こうで食べてますから」

上条「うん、できれば俺も、お前に、
   記憶を取り戻す前にあったこと、いろいろ聞きたいしな」

美琴「…………」



851:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:40:25.49 ID:HYCEY/Dc0
インデックス「あ! 私これ食べたいかも! あ、これも!
       それと、この苺のクロスタータと、パンナ・コッタと、
       トルタ・ババレーゼと、ビニョラータと、
       あ、もちろんジェラートとティラミスは外せないんだよ、それから……」

上条「結局全部じゃねぇか。フツーは、どれにしようかと迷う場面だろ」

美琴「…………」


佐天「ちょ、ちょっと、白井さん!
   なんで上条さんの隣に御坂さんじゃなくて
   あの外人の子が座っているんですか?」ヒソヒソ

初春「それに、今日の御坂さん、ほとんどしゃべらないし、様子が変ですね」

黒子「そ、それは、いろいろ事情がありまして…………」



857:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:47:27.20 ID:HYCEY/Dc0
佐天「ええええええ!!!!! 
   今度は上条さん、御坂さんと付き合っていたことを忘れちゃったあ???」

黒子「し、声が大きいですのよ。
   まあ、正確にはこないだ記憶を失っていた間のことを覚えていないらしいんですの」

初春「そういえば、さっき私たちと会ったときも、キョトンとしていましたね」

黒子「ええ。このことは、お姉さまのプライベートにも関わる話なので、
   今まであなたたちにもお話していなかったのですが……」

佐天「そ、それで、あの隣の子は誰なんですか?」

黒子「さ、さあ、わたくしもよくは存じないのですが、
   どうやら、あの殿方と親しい間柄のようなんですの。
   以前にも一緒にいるところを見かけたことが……」



866:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:51:38.39 ID:HYCEY/Dc0
佐天「何んですか、それ。
   それって、最低じゃない!
   二股かけていたってこと?」

黒子「ま、まあ、お姉さまとのことは、記憶を失ってかららしいので、
   あの殿方には、悪気はないのでしょうけれど……」

佐天「それにしたって、御坂さんとのこと、みんな忘れちゃうなんて!!」

初春「御坂さん、上条さんのためにあんなに一生懸命頑張っていたのに……。
   そ、それじゃあ、御坂さんが余りにもかわいそうです…………」

佐天「ああ、もう、なんか腹立つなあ! 
   私、あの人、一発、ぶん殴ってやりたいよ!」



869:11月 18日 :2011/02/14(月) 23:56:05.20 ID:HYCEY/Dc0
上条「お前はどれにする?
   こないだの礼なんだから、3つでも4つでも好きなだけ頼んでいいんだぞ」

美琴「…………うん」

上条「…………」

上条「…………なあ、どうしたってんだよ、ビリビリ!
   お前が元気ないと、俺だって張り合いないぜ」

美琴「…………うん、ごめん」

インデックス「そうだよ、短髪。ここはとうまに思いっきり甘えて、
       10個でも20個でも注文するべきかも」

上条「いや、インデックスさん、あなたは黙っていなさい」

インデックス「むぅ!」



873:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:00:16.32 ID:EMADgnFD0
上条「…………おい、さっきから下ばっかり向いてどうした?」

美琴「……メニューを見てるのよ」

上条「おい、お前、どうした?
   ちょっと顔上げてみろよ」

インデックス「短髪…………」

美琴「…………」

美琴(こんな顔…………、見せられるわけないじゃない!)


佐天「やばい、やばい、やばいよ、御坂さん、今にも泣きそうだよ!」

黒子(くうううううう、やっぱり、あの殿方を誘ったのは失敗でしたの……。
   わたくしったら最低!! 最低ですの!!
   お姉さまにあんなみじめな思いをさせてしまうなんて!!!)ガンガンガン

佐天「もうこうしてなんかいられない! 白井さん、初春、行くよ!」ガタ

黒子「ええ、了解ですの!」ガタ

初春「ちょ、ちょっと、佐天さん!! 白井さん!!」



881:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:05:56.72 ID:EMADgnFD0
上条「お前、
   …………もしかして、泣いてんのか」

美琴「…………」

上条「ちょっと、今日のお前、ほんとにおかしいぞ。
   そんなんだったら、『勝負!』とか『罰ゲーム!』とか言って
   電撃ぶつけて来てくれた方が、よっぽどマシだ」

インデックス「そ、そうだよ! 短髪! 
       いつもの短髪に戻ってくれないと、私も困るかも……」

美琴「…………」

美琴「スーーー、ハアーーーー」

美琴「…………そうよね。こんなの私らしくないわよね」



898:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:23:17.90 ID:e7yWtNHlO
インターセプトさんおとなしくしててくれ


882:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:07:23.20 ID:3GXvBPl60
記憶喪失の相手を勝手に騙して勝手に自己嫌悪してるだけなのに



888:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:11:54.96 ID:EMADgnFD0
美琴「ねえ、アンタ。
   アンタ、記憶をなくしていたときのこと知りたいって言っていたわよね」

上条「お、おお……」(立ち直ってくれたか?)

美琴「私も、今まで忘れていたんだけど、
   ひとつ、アンタに教えてあげなきゃいけないことがあったわ」

上条「おう、何だ?」

美琴「ちょっと、立ち上がってくれる?」

上条「ん? こうか?」



895:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:17:06.22 ID:EMADgnFD0
美琴「スーーー、ハアーーーー」

美琴「歯ァ食いしばりやがれ!!!!!! こンのスットコドッコイ!!!!!!!!」

上条「ん? ぐへぇええええええええええええ!!!!!!!」

インデックス(!!)

黒子・初春・佐天「い゛?」

美琴「はあはあはあはあ、どう? これで少しは思い出した?」

上条「ぐ、い、痛ってぇ……。なんだよ、いつものビリビリじゃねえか……」

美琴「アンタ、記憶を失っていたとき、過去の自分を必ずぶん殴ってやるって宣言していたわ」

上条「な、なんじゃそりゃ……」

美琴「でも、自分じゃできなかったみたいだから、
   私が代わりにその誓いを果たしてやったってわけ」

上条「な、何が何だか、俺にはさっぱり…………」

美琴「ふう、サッパリした!」

インデックス(短髪!!)



897:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:22:17.94 ID:EMADgnFD0
佐天(さっすが、御坂さん、ナイスです!!)

初春(いつもの御坂さんが帰ってきました……)

黒子(ふう。…………どうやら、本当に吹っ切れてくださったみたいですわね)


上条「ちっ、マジで効いたぜ、お前、ほんとに中学生かよ?」

美琴「なあに? 私はただアンタの希望をかなえてやっただけよ。なんか文句ある?」

上条「まあ、いっか、こっちの方がお前らしいからな」ガタガタ

上条「………………で、美琴。
   結局、お前はどれにするんだ?」

美琴「んー? じゃ、私はいちじくのタルトってやつ」

美琴(………………!!!)



899:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:23:52.55 ID:tznuyUGa0
名前で・・・呼んだ・・・


900:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:24:02.59 ID:SUi+JbciO
美琴ですってよ奥さん!!


901:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:24:38.01 ID:0y88oAEJ0
おおおお!!!


903:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:25:10.20 ID:Gs9JRukl0
これは…


906:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:25:20.25 ID:eLLWoZqZ0
これがフラグメイカーの力…


908:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:25:47.42 ID:1wUjzQCeO
よくやった上条



910:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:26:45.67 ID:EMADgnFD0
美琴「あ、アンタ、今なんて言った?」

上条「ん? どれにすんのかって」

美琴「い、いやその前よ!!」

上条「さあ。俺、何か、ヤバイこと言ったか?」

美琴「………………」



915:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:28:20.73 ID:EMADgnFD0
美琴「………………」

美琴(………………………………生きてた。
   アイツはちゃんとコイツのなかに生きていてくれた………………)

美琴「………………」

美琴「………………」ポロポロポロポロ

上条「ちょ、ちょっと、どうしちまったんだよ?
   いきなりキレたかと思ったら、急に泣き出しやがって……」

上条「な、なあ、インデックス。
   俺さっき、なんて言ったんだっけ? お前なら覚えているだろ?」

インデックス「とうま。これは記憶がどうのという問題とは違うと思うんだよ」

インデックス(そうだよ、短髪。記憶なんて関係ないかも)



924:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:33:45.47 ID:EMADgnFD0
美琴「………………全部」

上条「はあ?」

美琴「この子が全部頼むってんなら、私にも全部持ってきなさい!!」

インデックス「この私に挑む気?
       ふふん、それでこそ短髪なんだよ!!」

上条「ちょっと待て! インデックスはともかく、お前はそんなに食いきれねえだろ!」

美琴「アンタ、この子にはおごれて、私にはできないっていうわけ?
   これは、私への『お礼』なのよね?
   上等じゃない! 全部食べてやるわよ!!」


佐天(ふう……)

初春(ほっ……)

黒子(やれやれですの……)



929:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:40:12.49 ID:EMADgnFD0
インデックス「ふう~。食べた、食べた。
       さすがの私も、もう限界かも」テクテク

上条「つうか、お前、店の在庫を全部平らげているんじゃねえ!
   結局美琴の分もお前が食ってたし」

インデックス「ねえー、とーま、またあのお店行きたいかも」

上条「てめえは、食ったそばから何言ってやがるんでございますか?」

上条「…………おーい、美琴、お前は大丈夫か?」

美琴「も、もうダメ。吐ぎぞう……」ヨロヨロ

黒子「まったく……、ちゃんと肩につかまってくださいまし。
   テレポートで帰りますか?」

美琴「ンーン、い゛い゛……」フラフラ



930:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:45:56.40 ID:EMADgnFD0
インデックス「ねえー、短髪。短髪もまた一緒に行こうよ!」

美琴「ンー、わだじもー? ナンデー?」

インデックス「短髪がいれば、私ももっとたくさん食べられるかも」

上条「お前な、上条さんの財布は、打ち出の小槌じゃないんですよ。
   今日だって、あの後コンビニに足りない分を引き落としに走ってだな……」

インデックス「ねー、短髪ー、いいでしょー? 
       それとも私の勝ち逃げでいいのかな?」

美琴「わがっだわよ、いげばいいんでじょう、いげば」ゲロゲロ

黒子「ちょ、ちょっと、お姉さま!!
   花も恥らう14歳の乙女がこんな場所で!!!!」



932:11月 18日 :2011/02/15(火) 00:48:59.27 ID:EMADgnFD0



美琴(今度こそ、お帰り。当麻)


【おしまい】



952:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:57:41.20 ID:EMADgnFD0
どうもありがとうございました。

こんなにたくさんの方にレスをいただき本当に感謝しています。
ギリギリで終わることになるなんて思いませんでした。

他の人のSSに倣って、会話文だけの形式にしてみたんですが、
意外とこれって難しいんですね。
やってみて、初めてわかりました。

でも掲示板に投稿するSSって、
リアルタイムに盛り上げていただけると、
一体感があってこんなに楽しいものだとは思いませんでした。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


937:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:50:02.32 ID:9fjB9J8O0
>>1
ありがとう。乙!



931:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:47:23.12 ID:ejUhTMWk0
すげぇ最終話でヒロインが吐いた


948:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:56:08.17 ID:NsNhGDODO

この後美琴を上条さんが介抱するところまで補完できた



953:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:57:43.70 ID:g0f7BkotO

美琴のゲロは俺が回収しておくから心配しないでくれ



954:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 00:59:33.49 ID:NsNhGDODO
>>953
もう黒子が回収済みです



961: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 01:05:40.53 ID:GcjRbfs/0
>>953
おまえむぎのんの肉片も回収してただろう。



957:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 01:03:53.96 ID:1wUjzQCeO
また書いてくれるよな
待ってるからな!



959:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 01:04:12.54 ID:YyI+PCmcO
これは名作だった


964:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02 /15(火) 01:09:14.97 ID:7MgdVq+N0
>>1乙!
SS読んだの今回が初めてだけど、凄く良かった!
原作買って読みたいと強く思いましたね
何はともあれ、GJ!!





B003TUET0UOVA「とある科学の超電磁砲」[Blu-ray]


佐藤利奈、新井里美、長井龍雪 2010/10/29

Amazonで詳しく見る
関連記事

禁書目録SS   コメント:11   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
4788. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 01:52 ▼このコメントに返信する
胸が痛いぜ
4790. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 02:31 ▼このコメントに返信する
面白かったんだけど、なんか無駄にイラつく描写が多かった気がするな。

4794. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 03:27 ▼このコメントに返信する
会話文形式なのに、美琴や上条さんインさんのそれぞれの心情が
端的に分かりやすく読み手に伝わってくるな。

誰も悪くないだけに、私は読んでいて苛立ちよりも悲しみの方が大きかった…。

そして何より美琴が中学生なのに非常にしっかりした恋愛観を持ってるところに感服したww

ストーリー自体良く練られてて、文句なく名作。他の作品も読んでみたいな。
4800. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 07:54 ▼このコメントに返信する
記憶喪失状態の上条さんの記憶をMNWの中に保存しとく事とかできなかったんだろうか・・・
そんな事したら御坂の部分をミサカに勝手に修正されるのかもしれないけどw
4818. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 19:31 ▼このコメントに返信する
このSS、終盤で読者のインデックス叩きが酷かったんだけどほとんどまとめられてないな。管理人さんGJ
4821. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/16(水) 19:37 ▼このコメントに返信する
すごく・・・いいじゃない・・・
4854. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/17(木) 15:01 ▼このコメントに返信する
※4818
上琴厨だけどインデックス叩きの意味が分からんって思ってフォローっぽいレス入れたら袋叩きに合った
VIPってホントこわい
4975. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/20(日) 18:25 ▼このコメントに返信する
SSだからこそ美琴との記憶を当麻に完全に思いだして欲しかったなぁ・・・
でもおもしろかった!
5150. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/03/24(木) 17:08 ▼このコメントに返信する
これは文句なしの名作!
上琴SSのなかで一番面白かった。
23244. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/06/28(木) 17:18 ▼このコメントに返信する
久しぶりに読み返したけど、やっぱりいいな。
MNWで親孝行や、禁書通行と並ぶ読み応え。

しかしこれだけ綺麗な、心情的にはほぼ美琴の味方をしてる
インさんを叩きまくるって、
どんだけ表面しか読まない奴が多いんだ
46368. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2015/11/14(土) 00:23 ▼このコメントに返信する
もうこれが原作でいいだろ
コメントの投稿