7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 04:59:38.20
ID:CNC17J0HOあなたは興味を持った事があるだろうか、
お風呂の天井に。
あなたは触った事があるだろうか、
天井に付いている『蓋』に。
あなたは知っているだろうか、
それが『ヒーロー』の通路だということを……………
('A`) はヒーローの息子のようです
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:01:35.51
ID:CNC17J0HO『>>1
糞スレ乙』
('A`)「………………」
トントンとF5キーを数回押すと、煽られてキレたスレ主のレス。
('A`) 「またゆとりか」
盛大にため息。
最近これだ!という面白いスレも見つからず、かといって2ちゃん以外にする事も無い無職童貞包茎ちんこ。
おまけに深夜2時とあっちゃ本屋もゲーセンも開いちゃいない時間だ。
まあニートの上に引きこもりですけどね。
('A`) 「オナニーでもするべか…」
さっきまでキーボードを叩いていた右手をパンツに突っ込み、軽くムニムニ。
元からパンツスタイル(下着的な意味で)な俺はオナニーの準備も3秒で出来る。
暖房ガンガンの部屋で運動はちょいとキツい気もするが、俺のマイサンは既に戦闘体制だった。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:03:15.97
ID:CNC17J0HOさて、とっておきの幼女フォルダから今日の子猫ちゃんをパソコンの画面に呼び出し、いざ……
…… コンコンコン…
( ゚A゚)「!!!!!!11」
心臓が痛い程飛び跳ねる――ついでにちんこも。
だが落ち着け、どうせノックしたのは………
('m`)「ドクオ、起きてるか」
……親父。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:05:31.22
ID:CNC17J0HO('A`) 「……………」
('m`)「今日も寒いな」
('A`)「……お帰り」
('m`)「ああ、ただいま」
毎晩、こう。
毎晩帰って来ては、わざわざ俺の部屋に来て、話しかけてくる。
でも暫く話すだけ。
ただ部屋から出そうともせず、ただ淡々と………
('A`)「……お」
('m`)「ん?どした」
('A`)「お……つかれ、さん」
それは、…二重の意味を含んでいた。
仕事お疲れさん。
俺のためにわざわざ毎晩―――お疲れさん。
('A`)「…」
('m`) 「……ああ」
('m`)「早く寝なさいよ。……おやすみ、ドクオ」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:06:37.62
ID:CNC17J0HO俺が引きこもり始めたのは3年前から。
大学受験落ちて、一年頑張ったけれどまた落ちて。
何もやる気が無くなった。
母ちゃんと親父は何も言わなかった。
('A`)(……………)
時々もんの凄く自分が馬鹿らしくなる事もある。
何で大学落っこっただけで引きこもってんだろ、
何で働けないんだろう、
何でこんな… 親不孝。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:08:14.87
ID:CNC17J0HOめんどくさがりな性格も災いしたのかもしれない。元々そういう奴なのだ。
かといって、そんなへっぽこな理由で死ねないし、今更出ていく気も失せた。
('A`)(要するに、俺は引きこもニートの逸材とも言えるべき男)
ほんと、
馬鹿な息子でごめんなさい。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:12:29.72
ID:CNC17J0HO('A`) 「………くさい」
くさい。くさいくさいくさい。何が?
俺だ。
('A`)「……風呂入るかなあ」
いくら引きこもりと言えども、これはないわ…
たまには風呂に入らないと、部屋がどうにかなっちまう。
母ちゃんが寝たのを確認して、いざ風呂場へと走る。
何しろパンツ一丁なので寒い寒い。
そっと風呂のドアを開けると
湯船にはなぜか蓋がしてあり、更にお湯がはってあった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:18:09.93
ID:CNC17J0HO('A`)(……もしかして毎日はったままにしてくれてんのかな)
チャポ、となるべく音を立てない様湯船に入ると、ふーっと肩まで一気にお湯に浸かった。
自然に目に入った天井に、どこか懐かしい光景を思い出す。
('A`) 「……あ」
ねじで止められた『蓋』…………もとい、
('A`)「『出入口』……か」
それは、ドクオ家では『出入口』になっていた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:18:59.23
ID:CNC17J0HOあれは、いつだったっけ。
親父との風呂。
(*'∀`) 「父ちゃんのせなかもじゃもじゃー!!」
( 'ー`)「ふっふっふ、強そうだろう」
(*'∀`)「父ちゃんのちんこでけー!!」
( 'ー`)「ふっふっふ、かっこいいだろう」
すげえはしゃいでた俺と、でかかった親父のちんこ、そして背中が思い浮かぶ。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:21:05.69
ID:CNC17J0HO(*'∀`)「父ちゃん強い!?」
( 'ー`)「ああ強いさ、なんてったって父ちゃんはヒーローだからね」
(*'∀`)「ヒーロー!?でもベルトもけんもないよー?
ヒーローと言えば、変身ベルトだかんな!
」
( 'ー`)「父ちゃんにはそんなもの必要無いさ、父ちゃんはねえ…」
( 'ー`)「あそこからビューンって飛んでいくのさ!!」
そうして親父が指差したのは…まあるい天井の『蓋』。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:22:25.28
ID:CNC17J0HO(*'⊿`)「…」
(*'∀`) 「父ちゃんすげええええ!!!かっけえええ!!」
( 'ー`)「そうだろそうだろ、ここの町は父ちゃんが守ってるんだぞ!
ドクが寝てる間に悪い奴をぎっちょぎっちょに倒してるんだぞ!」
(*'∀`)「ずりー!!良いな良いなあ!父ちゃん!」
父ちゃん!父ちゃん!
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:23:22.38
ID:CNC17J0HO・
・
・
(*'A`)「…………」
あれからずっと信じてたっけ。
父ちゃんはヒーローだぜーって、友達に言いふらしたりもした。
(*'A`)「ドクオ、発信!とう!」
調子に乗って『出入口』にパンチしてみるが、まるで何も無し。
('A`)「まあ当たり前だけどね…」
俺は何を、期待してたんだろう。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:26:02.08
ID:CNC17J0HOォ……ドクオ……
('m`) 「ドクオ!」
(;'A`)「おわ……!?親父!?って顔チカスwwwwww」
目が醒めると目の前には不細工な親父。
周りは布団のハズが、一面、タイルの…
どう見ても風呂場です。本当にry
('m`)「ドクオ…父ちゃんはもう行かなきゃならない」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:27:11.12
ID:CNC17J0HO(;'A`)「は!?どこに!?」
('m`)「あれを見ろ」
親父が指差した狭い窓の向こうには、なんと―――――
(#^ω^)ぴぎゃおおおおおん!!
かかかかか、怪獣?
(((;゚A゚)))「なんぞこれええええ!!!!!」
いやいやいやいやないわないわないわ、だって怪獣ってwwwwwwねーよwwwwww
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:29:14.33
ID:CNC17J0HO(#^ω^)ぎゃおおおおお!!!!!!
(#゚Д゚)ジュオーンッ ―――――→
ちゅどどどどどどど!!!!!!!
('A`)「なwwwwwwいwwwwわwwwwwwwww」
('m`)「ドクオ」
親父が天井に手をかざす。すると『出入口』が―――――いとも簡単に外れた。
(;'A`)「ッ!!?」
中にはチカチカ光る緑の文字がぎっしりの……通路のような細い筒。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:30:31.51
ID:CNC17J0HOおまけに、親父の体はいつの間にかヒーロースーツのようなものに包まれていた。
おいおいおい、それじゃ親父は本当に……
('m`)「俺はあれを倒しに行って来る。お前は母さんを頼んだぞ」
(;'A`)「ちょ、親父」
('m`)「さらばだドクオ、……もう会えんかもしれんが」
('m`)「達者でやれよ」
(;'A`)「と……父ちゃ―――――」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:31:52.64
ID:CNC17J0HO(;'A`) 「っ!!!!」
父ちゃん、駄目だ、嘘だr………あ、れ…
……夢?
(;'A`)「え、ええええええええー……………」
ないわ、と呟いて大きく息をつく。何がないわって、一番ないのは俺の頭ん中だわ…
「ドクオ?」
('A`;)「…ん」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:33:44.55
ID:CNC17J0HO…丁度良くスーパーヒーローが帰って来たようだ。
まるでドアの向こうの親父が今もスーツを身に纏っているような感覚になる。
「どうかしたか?」
('A`;)「んや、何も」
('m`) 「そうか」
('A`)「………」
……どうした、親父?
親父は、俺の親父は
…… スーパーヒーローじゃなかったのか。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:34:47.58
ID:CNC17J0HO('A`)「……なんで」
何故「出てこい」と一言かけてくれない。
何故怪獣への勇気を出せて、息子への勇気が出ないのだ。
俺の事はもう、諦めちまったのか?
('m`) 「ドクオ?」
('A`)「………なんでも」
なんとなく腹立たしくなって、声のトーンが下がる。
親父はそれを聞き逃さなかったらしく、一言ごめん、と謝った。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:36:00.99
ID:CNC17J0HO('A`)「…………」
('m`)「…………」
沈黙。
もうこれ以上の会話は出ないと判断、……しかけたその時。
('m`)「酒、飲まんか」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:37:17.20
ID:CNC17J0HO('A`) 「!!」
ついに。
待っていた一言が、
ずっと待っていた一言…
('m`)「待ってるぞ、ドク」
('A`)「…………」
親父…………
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:38:50.97
ID:CNC17J0HO静かに階段を降りる。
なんだかまるで、バイトの面接が始まるみたいに緊張している。
でも、悪い緊張じゃない。
('A`) 「……親父」
('m`)「!」
('A`)「………ひ、久しぶり…なんちゃって」
('m`)「ああ…ふふ、ははは」
('A`)「…へへ…」
そこには、普段では見られない明るい親父がいた。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:39:28.37
ID:CNC17J0HO('m`)「まあ座んなさい。寒くはないか?」
('A`)「大丈夫」
('m`)「ほら、ドクオも飲め」
コプコプと、ビールをグラスに注がれる。
そういや親父と飲むのは初めてかもしれない、と思うと、やはり俺は親不孝者なんだなと痛感した。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:40:40.78
ID:CNC17J0HO('m`)「…ふう、いや…やっと出てきてくれたなあ」
('A`)「………………ああ」
('A`)「親父のおかげだよ」
('m`) 「……………そうか」
('m`)「………そうか……」
ぐだぐだと、だけど確実に3年間を埋める様に、親父と会話を楽しんだ。
そんでもって…
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:41:35.34
ID:CNC17J0HO聞いてみたい。
('A`) 「…親父」
('A`)「親父さ…まだ、ひ………ヒーロー」
('m`)「ヒーロー?」
(;'A`)「いやあのさ、む、昔言ってた」
('A`)「ふ、風呂のヒーロー」
('m`)「…………」
(*'m`)「ハハ、ハハハハハハ」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:42:53.93
ID:CNC17J0HO(;'A`)「や、やっぱり忘れてたよな」
やっぱ聞くもんじゃなかった………
(*'m`) 「ハハハ、いや忘れてないよ」
(;'A`)「え、mjd?」
予想外の答えに、少しどぎまぎする。
小さい頃の話なんか、普通忘れてると思ってたんだが。
しかもあんなあほな……
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:43:25.25
ID:CNC17J0HO('m`)「うん。ハハハ…そんな昔のこと覚えてたのか」
(*'A`)「まま、まあな」
2人揃って、ビールをぐびりと胃に流し込む。
深夜にも関わらず、酔いの勢いにまかせて話は続いていた。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:44:57.14
ID:CNC17J0HO不意に親父がドン、とグラスを勢いよく置いた。
びびった、遂に完璧に酔ったかジジイ?と思ったが、違った。
('m`)「覚えてるも何も…父ちゃんは」
('m`) 「ずっと前から変身しっぱなしなんだがね」
('m`)「もうかれこれ3年位かな」
は?何を言い出すんだこのオヤジは。
それで変身?ふざけんな。もっとちゃんとヒーローらしくしてから言えでかちんこ
('m`)「ずっと頑張ってたんだけど、ずっと救えなかったよ」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:45:00.96 ID:RPnhW13eO
なんか温かいな52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01 /27(日) 05:46:18.48 ID:gECjapbp0
やっぱヒーローなんて夢のまた夢か…53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:46:31.92
ID:CNC17J0HO('m`)「まあ…頑張ってってもちょこちょこだけどなwww」
( 'A`)「……………」
ドア越しの親父が思い浮かぶ。
毎晩、毎晩。返事の来ない日もあった。
('m`)「まあ、それでやっと今日救えたんだがね」
それでも、
('m`) 「やれやれ。やっと変身を解ける」
親父は―――………
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:48:28.32
ID:CNC17J0HO( 'A`)「……………親父」
('m`)「ん?」
(;'A`)「俺……俺は…………っ」
('m`) 「ああ、分かってるさ」
('m`)「もう父ちゃんの変身の必要は無いようだな、ドク」
( ;A;)「…父ちゃん………」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:50:03.06
ID:CNC17J0HO親父。―――父ちゃん。母ちゃん。
ごめん。
ごめん。
本当にごめん。
こんな息子で。
3年も引きこもって。
でも、でも
――― 父ちゃんも母ちゃんも、諦めないでくれたんだな。
( ;A;)「ごべ………あ、あり…あ"りが」
('m`)「ああ、ああ」
さっき、さっきな。
本当に嬉しかったんだよ。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:51:08.42
ID:CNC17J0HO久しぶりに、泣いた。
3年ぶりに、わんわん泣いた。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:52:07.11
ID:CNC17J0HO('m`)「さて。さっそく風呂に入ってくるとするか」
('m`)「ドク」
('m`)「これからは、ドクが頑張る番だぞ」
('A`) 「…………うん」
父ちゃん、あんたは
俺の最高のヒーローだ。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:53:48.60
ID:CNC17J0HO*******
眩しい朝日。眩しいテレビ。眩しい笑顔。
('m`)「お☆は☆よう!!!はいおはよう!!!ドックンおはようさんさん!!!!」
('A`) 「…………………………………」
何このオヤジ。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:55:13.77
ID:CNC17J0HO('A`)「まだ7時………」
('m`) 「昨日頑張るって言ったじゃん!」
('A`)「…………」
睨み付ける俺にニカッ!と最高のスマイル見せつけて、就・職・活・動!!連呼とはそれにしてもこの親父、ノリノリである。
('A`)「………寝る」
('m`)「めっ!!二度寝はめーっ!!」
なあ…父ちゃん。
やっぱあんた、最低の父ちゃんだよ……。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:56:17.65
ID:CNC17J0HO('A`)はヒーローの息子のようです
おしまい
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/27(日) 05:55:29.52 ID:gt2Pg3Aj0
親父テンション高いなw うれしいのかな
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