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美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」【中編】最初から→
美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」
497 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 19:28:46.66 ID:yAKAx0+xo
[09:35]
湯上りに手早く朝食を済ませると、二人は揃って家事に取り掛かった。
上条はまずベランダの戸を開き、濃厚な愛欲にまみれた室内を換気すると
掃除機を使って部屋中を掃除しはじめ、ホコリの溜まった掃除機用紙パックと共に、
くず籠の中身をゴミ袋に投げ入れる。
肝心要なのは使用済みスキンと冊子を同居人の目に触れないよう捨てる事であり、
他のゴミは全て巧妙なカモフラージュに過ぎない。
一方、食器洗いと洗濯を担当する美琴は、お嬢様学校の寮生活の便利さに慣れてしまい、
上条宅に乾燥機が設置されていない事をいささか不便に思っていた。
仕方がないので、シーツとタオルと上条の衣類だけは肌寒いベランダに干していき、
自分の分は濡れたままビニールに包んで持ち帰る。
いっそ二人分の洗濯物を全てコインランドリーに任せてしまう妙手もあるのだが、
それでは上条宅で家事をしている実感が湧いてこない。
洗濯槽の中で、上条と自分の衣服が一緒に洗われている様子を眺めるのが好きなのだ。
10時を過ぎて家事が一段落した後は、毎週恒例の勉強タイムとなる。
上条にとっては一番気が重く、それでいて美琴と共同作業できるという
妙ちきりんなジレンマが膨れ上がる一時だ。
「ほらほら、この問題は先週もやったじゃないの。
ここの定理を当てはめたら簡単に解けるじゃないのよー」
「えっと……先週の問題ってなんだっけか」
498 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 19:35:36.18 ID:yAKAx0+xo
「ちょっとぉ、そんな事じゃ勉強の意味がないじゃない!
もうじき期末試験だってのに、アンタの頭には記憶力ってもんがないの!?」
「うう……上条さんのバカは今に始まったことではありません」
「開き直らないの! キチンとやらないとホントに落第しちゃうわよ!
それともいっそ二度落第して、同級生になってあげましょっか!?」
「くぅぅ、美琴センセーのお怒りが日に日に強くなっていく~」
「当たり前よクソバカ! こんな基礎問題でいちいちずっこけてんじゃないわよ!
いーい、ここはこの定理をここに当てはめて、αの二乗をβで割って……」
「……なるほど、さっぱりわからん」
「アンタって人はー!!」
辛辣な言葉を浴びせながらも、美琴は辛抱強く上条に教え導いていく。
しかし制服姿に着替えた美琴が、女の香りを仄かに漂わせながら寄り添ってくるので
上条はどうにも煩悩を揺さぶられて勉学に身が入らない。
その体たらくが益々美琴の怒りを誘い、課題を一問解く事すら一苦労していた。
「まったくもう、全然はかどらないんだから」
「いつになく顔が険しいですよ、美琴センセー」
「当然でしょ! 私がいられるのは昼迄なんだから早く終わらせないと!」
「……抱いてる時はあんなに可愛かったのにな」
「ば、ばっ、ばっ……ばかぁぁ!! もう元に戻るって言ったでしょうが!!」
「ははっ、耳まで赤くなってるぜ」
赤面しながら狼狽する美琴の態度が面白くて、上条はついからかってしまう。
淫靡な女の姿はすっかり身を隠し、無垢な一面を取り戻した彼女も愛おしい。
美琴も弄られている事は百も承知なのだが、彼の口から可愛いという言葉を聞くと
どうにも喜ばしくなって照れ隠しに怒鳴ってしまう。
500 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 19:41:04.73 ID:yAKAx0+xo
ピンポーン♪
訪問者の来訪を告げるチャイム音がリビングに鳴り響く。
それは二人だけの蜜月が終わった事を示す、刻限の鐘でもあった。
「……インデックスの奴が帰ってきたのかな」
「た、多分そうなんじゃない?」
上条はペンを卓上に放り出し、立ち上がって玄関に向かった。
美琴は上条の向かい側に座り直すと、落ち着かなさそうに前髪を弄りだす。
後ろめたさがあるのか、銀髪シスターと顔を合わせるとなるといつも落ち着かないのだ。
「よお、おかえり」
「おかえりじゃないんだよ、こんな寒い日に一人でとぼとぼ帰ってこさせるだなんて!」
玄関の扉を開くと、修道服の上に厚手のコートを身に着けたインデックスが
機嫌の悪そうな面持ちで上条に食ってかかった。
その合間にコートの下からするりと走り降りたスフィンクスが、先にトコトコと
室内に入っていくが、いち早く美琴の電磁波に気付いて微妙に距離を置く。
「わりいわりい、遅くなるようだったら迎えに行っても良かったんだけどさ」
「ふんだ、一人で勉強に集中したいとか殊勝な事言いながら、とうまは薄情なんだよ!
大体今日だって……やっぱり今日もいたんだね、短髪」
「アンタねぇ、いい加減あだ名で呼ぶの止めなさいよ」
「私の事だって名前で呼んでくれたことないかも!」
501 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 19:45:38.89 ID:yAKAx0+xo
コートを脱ぎながらリビングに踏み込んでくると、早速美琴の存在に気付き
眉間に皺を寄せながら不信感に満ちた視線を向ける。
美琴も悪態に負けじと睨み返しながら、インデックスの後ろで
オロオロとしている上条を指差しながら呼び名の是正を求めた。
一触即発の雰囲気を察してか、上条は慌てて二人の合間に割り込む。
「だぁあ、もうお前らぁ! なんだってそう仲が悪いんだ!
しょうがないだろ、俺の知り合いじゃ御坂が一番教え上手なんだよ!
俺の勉学レベルを上げるための最適な手段はこれなんだっての!」
「勉強を年下に教わってるだなんて事、あまり胸を張って言うことじゃないかも」
「すみませんでした……」
苦しい言い訳をにべもなく蹴られた上条は、大仰にしょげてみせる。
すかさず美琴は彼に助け舟を出し、インデックスとの対決姿勢を鮮明にした。
「アンタも、コイツが進級を掛けた大事な時期だってことくらいは知ってるでしょ?
そうやってキャンキャン怒鳴ってないで静かにしてあげなさいよ。
私だって自分の勉強があるのに、仕方なくコイツの勉強見てやってるんだから……」
「短髪の言い訳はもっと苦しいんだよ」
「なにが!?」
「理由はどうあれ、短髪はとうまの傍にいると嬉しそうにしてるのが見え見えなんだよ」
「ばっ、バカじゃないのアンタ! なんで私がコイツなんかと……!」
502 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 19:52:03.93 ID:yAKAx0+xo
第三者の前では、美琴は普段どおりツンケンとした自分を見せるようにしている。
しかしインデックスにはそれも偽装的に思えるらしく追求を緩めない。
上条宅は早くも女の修羅場と化していた。
「私はね、とうまの勉強の役には立ててないかも知れないけど、
洞察力と記憶力は人並み以上にあるつもりなんだよ。
私が短髪を好きになれないのは、そうやっていつもウソばっかり言うからかも!」
「私のどこがウソばっかりだってのよ!」
「あの、二人ともその辺でどうか……」
「キッ!」
インデックスは上条を見上げてきつく睨み、彼の手ぬるい仲裁を制止すると
美琴に向かって指を指し、かねてから心に抱えていた本音をぶちまけた。
「私はね、短髪に最初に会った時、一目でわかったもん!
短髪はとうまが大好きで大好きで仕方ないってことくらい、お見通しのバレバレなんだよ!」
「なっ、なななな……!」
「なのにいつもいつも、私はコイツなんかに興味ないって口では言うんだよ!
私今まで色んな人に出会ってきたけど、こんなにもウソつく人はいなかったかも!」
「なっ…なっ…なにを言ってんのよアンタ!? ちょっと黙りなさいよね!」
「ほらそうやって、本音がバレそうになると無理やり怒鳴る!
短髪は人とのコミュニケーションが下手すぎるんだよ!」
「う、そ、それは……!」
504 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 19:55:11.92 ID:yAKAx0+xo
「短髪みたいな人を『ツンデレ』って言うんでしょ? すごくめんどくさい人種かも」
「う……ぐっ……!」
ツンデレの妙を理解できないインデックスにとって、普段の美琴の態度は業腹だった。
美琴は図星を突かれて慌てふためき、舌鋒鋭い指摘に反論できないでいる。
場の空気をかき乱す詰問はまだまだ止まりそうにない。
「……とうまも最近はウソが増えたよね。短髪を好きなことごまかそうとしてる。
前はそんな様子なかったのに、最近は目に見えてわざとらしくなったんだよ。
とうまはずっととうまだと思ってたけど……そういう変化は見たくなかったかも」
「インデックス、お前……」
「改めて聞くけど、短髪はとうまのガールフレンドなの?」
ガールフレンドという言葉の意味は、三者とも少しずつ異なって認識している。
しかしこの状況においてインデックスが追求してくる言葉の意味を
ありのまま受け止めた美琴は、はっきりと首を横に振った。
「……違うわ」
「お、おい御坂!?」
505 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:05:25.02 ID:yAKAx0+xo
「ガールフレンドじゃなくて、ステディになったの」
「ステディ?」
三者の誰もが誤解を挟まない、適切な一言だった。
言葉の意味するところは理解できているが、インデックスはその言葉を
噛み砕いて受け入れるまでに若干の間を要してしまう。
「アンタはブリティッシュらしいから、デーティングとかの方が伝わる?」
「どっちでも言いたいことはわかるんだよ。つまり二人は恋仲になったんだね」
「そういうこと。誤解ないように言っとくけど、この事を第三者に言ったのはアンタが初めて。
だけど二人で話し合って決めたの。もう隠さないでいようって。
コイツはアンタの事を一番気掛かりにしてたみたいだから」
「とうま、本当なの?」
「あ、ああ、そうだ。みさ……美琴と付き合うことになったんだ」
「ふぅん。よーやく認めたんだね二人とも」
意外にもインデックスは驚いたり騒ぎ立てたりする様子を一切見せない。
むしろ、今更何をと呆れ返った表情で二人を見比べていた。
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 20:07:57.42 ID:SrXKCB1u0
きれいなインなんとかさんだと・・・。508 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 20:12:11.37 ID:n4pgaiXBo
めんどくさい人種ワロタwwww507 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:10:44.35 ID:yAKAx0+xo
「ようやくって……ひょっとして気付いてたのか?」
「鈍感ニブチンなとうまと一緒にしないで欲しいんだよ!
クリスマスミサの直前頃から、二人の距離感がおかしいのには気付いてたもん!」
「はいはい、その通りよ。付き合うことになったのは12月からだもの」
「ふふ~ん、でしょっ!
とうまは隠し通してるつもりだったかも知れないけど、そんな目論見は
クリームパフェにハニーシロップと練乳ぶっ掛けたくらい甘いかも!」
「そこは胸を張って勝ち誇るとこなのでせうか……意味がわからん」
話の論点は美琴と上条の関係性から、巧妙に仲を隠していた事を暴いた点にシフトしていた。
なにか救われた気がして溜息を吐いた上条だったが、事態の解決にはまだ至っていない。
美琴もここで吐露した以上は、話の折り合いを付けておかねばと考えている。
(ねぇ、この子にはどこまで打ち明けちゃっていいの?)
(インデックスは性的な事には疎いから、そこは言わなくていいと思う)
(言うわけないでしょバカ! 私が心配してるのは、今度のお泊まりの事よ)
(で、ですよねー)
510 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:15:53.28 ID:yAKAx0+xo
「…… なにをこそこそと話してるのかな? また隠し事する気なの?」
「そういうわけじゃないわよ、頭からちゃんと話すから。
あのね、二人で付き合い出してから、私はコイツの勉強と家事の面倒を見るために
こうして毎週日曜に来てるわけだけどさ、その……今度からは……」
「日曜じゃなくて土曜だよね? やっぱりまたウソをつくんだね。
こっちはこもえにそれとなくお願いして、毎週毎週気を遣ってたっていうのに!」
「あ、う……そこまでバレてたの?」
「私はとうまと違って空気をちゃんと読めるんだよ」
「読むついでにお腹一杯食べられたらもっといいのにな」
「とうま、今は真面目な話の最中なんだよ……
あとで噛み付きの刑執行するから覚えておくといいかも!」
「うええ!?」
真面目な話を横から茶化してくる上条に刑罰を宣告すると、苦悶の表情で
転がりはじめた彼をスフィンクスが気だるそうに慰めていた。
そんな上条を捨て置き、インデックスは再び美琴に向き直る。
「つまり短髪はここ最近ずっと、とうまと土日一晩過ごしてたんでしょ?
それがどういう事を意味するかくらい、私にだってわかってるんだから!」
「そ、そこまでわかってるなら言ってやるわよ! わ、私はコイツと……!」
512 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:21:21.85 ID:yAKAx0+xo
「ずるいずるいずるい!! 私だって沢山食べたかったんだもん!」
「……は?」
「それで! 昨日の夕食は何を食べたのかな? 今朝の朝食は!?
常盤台のお嬢様は一食4万円もする食事をいつも食べてるんだよね!?
二人で合計16万だよ! とうまの数ヶ月分の食費を一晩で平らげたんだよね!?」
「……はぁ?」
「昨日の晩にステーキ肉で喜んでいた私がまるでバカみたいなんだよ!
私知ってるもん。今のとうまみたいな人を『ヒモ』って呼ぶんだよ!」
「どうしてそんな見当違いな単語を繰り出してくるんですかインデックスさん!?」
「アンタねぇ……それで憤慨してたのかい、アホくさ」
会話が完全に勘合しなくなり、話題から振り落とされてしまった美琴は
呆れ果てて肩を落としたが、考えようによっては今が説得の好機だった。
虚言は大抵見抜かれてしまうため、あくまで本当の事だけを抜粋して説明する方が
この少女には効果があるだろうと睨む。
513 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:26:06.96 ID:yAKAx0+xo
「そんな訳ないでしょ。どこの情報か知らないけど、
常盤台だってそこまでエンゲル係数を度外視した食事はそうそう食べないわ。
昨日二人で食べたのはシチューだし、ステーキ肉に比べたら些細なもんでしょ」
「本当なのかな?」
「ホントだって。シチューはまだ沢山残ってるからアンタも食べる?」
「もちろん食べるんだよ!」
「す、素直ね……」
インデックスの大食漢ぶりは知っていたが、元来から根の素直な少女が
我欲に忠実に生きている様には、どこか惹かれるものを感じる。
兎にも角にも話の論点がボヤけてきたため、美琴は立て直しを図った。
「だから別にアンタを差し置いて、二人だけで贅沢な食事してたわけじゃないわよ。
たまには二人でゆっくり話もしたいし、勉強しなちゃならないのも確かだもの」
「それにしても、一つ屋根の下で未婚の男女が一晩二人きりだなんて……教義に反するんだよ」
「それを言ったらアンタなんて、週7でコイツと一つ屋根の下で暮らしてるじゃない!」
「私は特別だからいいんだもん!」
「なによそれ、子供の言い訳か!」
かしましい喧嘩の方向性が更に乱れ始めたため、上条もようやく説得に腰を上げ、
そっと二人の間に割り込むとインデックスの双眸を見つめた。
514 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:30:11.10 ID:yAKAx0+xo
「なぁインデックス……週7が週6になったら、嫌か?」
「少し嫌なんだよ。でもこもえも優しくしてくれるし、
あいさやあわきと一緒にご飯を食べるのも好きだから、
週に一日くらいなら我慢できなくもないかも」
(あわき……結標淡希(むすじめ あわき)のこと? ……まさかね)
「じゃあ決まりだな。これからしばらくは今のペースで過ごそうぜ」
「それはこもえ次第かも。私としては受け入れないでもないんだよ」
現状の生活を維持する事を望むインデックスとしても、
横車を押して事態の全てを壊したいと思う程の抵抗心はない。
上条の真剣な表情と、彼の様子を不安げに見守る美琴を見比べつつ、妥協を受け入れた。
「そーだな……小萌先生には今度、菓子折り持ってお願いに行くか。
色々無理を聞いてもらってて、すっかり頭があがらないんだよなぁ」
「それ私も付いて行こっか?」
「いや、ここは俺がやるよ。俺のしなきゃならないことだからな」
「わかったわ」
「…… 確かに前よりは仲が良くなってるんだよ」
インデックスの記憶において、上条と美琴の会話はもっぱら美琴が喧嘩腰だったが、
こうして交際の事実が露わになって見るに、良い変化らしき物は感じとれた。
幼い嫉妬心もあるのだが、うまく折り合いを付けようとする上条の態度を見ていると、
居候の自分も過度の文句は言えない立場なのだと顧みる。
515 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:35:47.31 ID:yAKAx0+xo
「とうま。あと一つ尋ねたいんだけど……どうして短髪を選んだの?
素直で優しい子なら、他にもとうまの周りに沢山いると思うけど」
美琴はそれが最も辛辣な言葉だと感じた。
自分より女性として優れている存在が幾人も彼の近くにいる事は理解している。
目の前の少女とてそうだ。悩みだすと自我が揺らぎそうになる。
「『選んだ』んじゃねえよ。俺と美琴は表裏一体みたいなもんなんだ。
それにこう見えてこいつ、すごく素直で優しいし一途だぞ」
(あ、当麻がフォローしてくれてる。嬉しい……)
「私、別に惚気までは聞いてないかも。私にとっては嘘つきの子だからよくわかんない」
「ウソが多いってのは、まぁ……俺達が付き合うことになるまで俺が
こいつの気持ちに気付いてやれなかった反動みたいなもんだ。これからは減るさ」
「うん……これからはもう少し素直になるようにするから、許してね」
「本当なんだね? 私はもうお邪魔虫扱いは懲り懲りなんだよ、二人とも」
「ああ、すまなかったな」
上条はインデックスの寛容な一面をよく知っている。
口では文句を言いながらも、みんなが笑顔でいられるための方法を
正しく理解し、受け入れてくれている彼女もまた愛おしいと思う。
感謝の意を込めて、左手でインデックスの頭を撫でた。
517 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:40:19.75 ID:yAKAx0+xo
「とうまって、私のこと左手で触ることが多いよね。短髪はいつも必ず右手なのに」
「いや、それは特に意識してないが……なんとなく無意識に左手でって思っちまうんだ」
「初めて会った時に私の霊装を壊したことを、まだ気にしてるのかな?」
「そ、そんな事もあったっけか。あったな、あったあった、ハ、ハハ……!」
「おかしなとうま」
インデックスに記憶喪失であることを遂に打ち明けた事は、上条にとって
一大決心の一つだったのだが、それでなくした記憶そのものが戻る訳ではない。
しかし絶対記憶能力を持つ彼女が思うのは、彼の本質は
記憶の有無くらいでどうこうなるような脆弱な物ではないということだ。
「基本的に右手はサッと動かせるように空けておいてるんだよ。
けど美琴には、能力を打ち消す右手で触れてないとって考えちまうんだよなぁ」
「一応辻褄は合ってるけど、果たしてそれだけなのかな?
とうまはその右手で短髪を、左手で私を繋ぎとめておくつもりなの?」
518 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:45:19.82 ID:yAKAx0+xo
「ん……まぁ、そういう風に言わちまうと不順な動機に思われちまいそうだけど、
お前達をそれぞれ比べてどうとか思ってるわけじゃない。
俺にとってはもう、どちらも手放せない大切な手なんだ」
「とうま、それって……」
「……もしお前から手放されるってんなら、その時は無理に握り返したりはしねえ。
だけど俺からは絶対に離さないから、お前はずっとここに居てくれよ。
俺がお前の居場所を、美琴と一緒に全力で守る。俺にとってはそれだけが願いだ」
「今更そんな言い方はないんだよ! 私はなにがあってもとうまと一緒にいたいもん!
でも短髪もとうまと一緒にいたいなら……少し悔しいけど、私は片手だけでもいいよ。
とうまがまたどっか遠くに行っちゃう位なら、ここで二人の手をずっと握って動かないで!」
「ああ……俺はここにいるよ」
この二人にも複雑な事情があって、離れられない理由がある。
美琴は割り込めない世界に割り入ってしまった肩身の狭さを感じながらも、
二人が自分の居場所を作ってくれている事に深い感謝の意を覚えた。
519 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:52:06.58 ID:yAKAx0+xo
「よし、これでこの話は終わりにしようぜ」
「そうね。色々揉めちゃったけど、受け入れてもらって嬉しいわ」
「あー……なら今更だけど、ちゃんとお互い自己紹介しておいたらどうだ、お前ら?」
「本当に今更なんだよ。初めて会ってから半年は経ってるのに」
「まぁまぁ、お互い呼び方が『アンタ』と『短髪』のままじゃ仲良くなれないだろよ」
「それも一理あるわね、じゃあ改めて……こほん。
私の名前は御坂美琴(みさか みこと)よ。この街じゃ超電磁砲《レールガン》って呼ばれてるわ」
「私の名前は禁書目録(Index- Librorum-Prohibitorum)って言うんだよ。
インデックスって呼んでくれると嬉しいな!」
上条に促され、二人は自己紹介を交わし握手を交わす。
上条は柔らかい笑みと共にそれを見守っていたが、やがてインデックスが自分を向いて
鬼の形相へと変わっていく様子に、恐怖で顔が引きつった。
「それはそれとしてとうま! いよいよ刑の執行なんだよ!」
「お、覚えてたんデスカそれ!」
「私が一度覚えたことを忘れるわけがないんだよ! ガブヴヴゥ―――ッッ!!」
「あぎゃーーーっ、ふこーーーだぁーーー!!」
「ふふっ、ちょっと久しぶりに聞いたかも、この口癖」
---
520 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 20:52:09.75 ID:satMBuzyo
上条さん罪な男だぜ521 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 20:55:45.29 ID:yAKAx0+xo
[11:57]
「ところで話は変わるんだけどさ、インデックス」
「なにかな、みこと?」
美琴は台所で三人分の配膳を行いながら、インデックスに話し掛けた。
食事にありつける直前の彼女は上機嫌に返事する。
全身に歯型を付けた上条は、美琴の電磁波避けも兼ねて
右手を使ってスフィンクスと興じていた。
「コイツの誕生日がもうじき来る事は知ってるわよね?」
「えっ、そうなの!?」
「えっ、ちょっとアンタ同居してるのにそんな事も知らなかったわけ?」
「だってとうまは誕生日なんて一言も触れた事ないんだよ!」
「そういえば言ってなかったかもなー」
渦中の上条は至って無頓着だった。
美琴とインデックスは揃って溜息をつき、彼の鈍感ぶりを嘆く。
親密な少年の生誕を祝いたいと願う乙女心は難儀なものだ。
そんな二人の苦悩は意に介さず、上条はスフィンクスをじゃらすのに熱中している。
522 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:00:26.90 ID:yAKAx0+xo
「言ってなかったかもなー、じゃないんだよ! とても大事な情報なんだよ!」
「ったってなぁ、自分から積極的に言うような話でもないだろ」
「人にパスポートの事どうこう言ってた割に、自分の情報開示には疎いよね!」
「はいはい、そこで揉めないの。ホラ、アンタの分」
「いただきますなんだよ~!」
追求を即座に投げ出し、三人分はあろうかという大盛り皿のシチューを
掻き込む食べっぷりの良さに、美琴はつい関心を誘われる。
「相変わらずすごい食欲ねぇ」
「みことの作る食事は上品でふんわりしてて美味しいんだよ!」
「あ、ありがと」
奇遇にも上条と同じ褒め言葉を受けて、美琴は素直に照れた。
次に上条、最後に自分の分の皿に盛り付け、ようやく三人で食事にありつく。
「それで、来週の日曜日にコイツの誕生パーティーをやりたいんだけどさ」
「ふんふん」
523 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:06:05.65 ID:yAKAx0+xo
「コイツが呼びかけて誕生会に来てくれそうな面子って、どのくらいいるの?」
「とうまと親密な人って事?」
「有り体に言えばそうね」
「えーとね……」
インデックスは一旦食事の手を止めて、指折り数え始める。
美琴は自分の知らない面々を知るインデックスが、何を口走るかと
不安を抱えながらもおくびに出さず数え方を待った。
「かおり、いつわ、あいさ、こもえ、せいり、まいか、ひょうか……
オルソラ、レッサー、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネ……」
「お前さぁ、手当たり次第に顔見知りの子の名前挙げてんじゃねーよ」
(……別に手当たり次第じゃないかも)
(コイツ一体何人とフラグ立ててるのよ! なんか聞いたことあるような名前もいるし!
レッサーってまさかあの時の子じゃ……世間はそこまで狭くはないわよね?)
「あ、ステイルと天草式の人も声を掛けたら来るかも」
「ステイルと建宮は無理だろ……大体にして人の誕生日を祝うってガラかあいつらが」
(男少なっ、しかも人柄悪っ)
「あ、あとはアクセラレ……」
「あいつはもっとダメだ!」
「アイツはもっとダメよ!」
「二人して怒鳴る事ないんだよ……あ、おかわり欲しいんだよ!」
「はいはい」
524 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:10:11.70 ID:yAKAx0+xo
上条の対人関係の一端を垣間見て、美琴は激しい焦燥感を抱いた。
確立したはずの立場がグラグラと音を立てて揺れ動いている気がしてならない。
「つーか今名前を挙げた連中はほとんど海外にいるだろ……」
「そ、そうなんだ。現実的に、ここに来れそうなメンバーはどのくらいなの?」
来させないでとも言えず、美琴はなるべく穏便に先を促すしかなかった。
第一この家はそれだけの人数を収容するキャパシティを持ち得ず、
主催者としてもそこまで大げさなイベントにしたいわけではない。
「うーん、あいさは確実に来てくれると思う。まいかは忙しいから予定次第かも。
ひょうかにも会えればいいんだけど、いま連絡先がわからないし……
せいりは気難しいし、こもえは担任の立場上厳しいかもだし、あとはみんな海外なんだよ」
(あ、案外と絞れるのね)
美琴にとって舞夏は友人の一人であり、姫神秋沙(ひめがみ あいさ)という名前は
巫女服姿の大人しいクラスメートとしてよく承知している。
この二人なら客人として許容できそうだと踏んだ。
525 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:12:57.29 ID:yAKAx0+xo
「男子はいないの?」
「いつも一緒にいる二人を呼べばいいかも」
「青髪と土御門か、あの二人なら来てくれるんじゃねえかな」
「う~、土御門のお兄さんの方はちょっと苦手なんだけどな、私」
「私もあの青い人はちょっと……なんだよ」
(女の人望ねえなぁ、あの二人)
「あ、おかわりなんだよ!」
「よく食べるわねぇアンタ」
美琴は当初、女性はなるべく呼んで欲しくないとも思っていたが、
男友達の様子を聞くに女だらけの方が幾分マシではないかとも思ってしまう。
インデックスも概ね同じ気分だった。
527 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:15:05.91 ID:yAKAx0+xo
「みことは誰かを呼ぶ予定なの?」
「うーん、私とコイツの共通の知り合いって、黒子と妹くらいしかいないのよ。
黒子はTPOの分からない子じゃないんだけど、とにかくコイツのこと
目の敵にしてるから……空気乱しても困るし、今回はやめとくわ」
「じゃあ御坂妹にだけでも声掛けようぜ。みんなにはお前の双子の妹だって言えばいい」
「そうね。これで8人ってとこか、ケーキを分けるには丁度良い人数になるわね」
「インデックスは別枠だろ~」
「むっ、そんな無粋な真似しないんだよ。ケーキはちゃんとみんなと同じ分食べるもん」
「アナタ様のお腹はそれで足りるんですかぁ?」
「とうま、いちいちニヤニヤしないで欲しいんだよ。
いいもん、ケーキとは別の物でお腹を満たすんだから」
「そこでさ、食事は冬らしく鍋にしようと思ってるんだけど、どうかな」
「ジャパニーズお鍋! それならみんなで食べられて楽しいかも!」
「よしよし、インデックスの分はちゃんと一鍋別に用意してやるからな」
「とうまぁっ、いい加減にするんだよ! ガブゥ―――ッ!!」
「あいでででででででで!! い、インデックスサァン!?」
「賑やかねえアンタ達って」
529 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:18:20.56 ID:yAKAx0+xo
インデックスはまたしても上条の腕に噛み付いて折檻する。
その親密な接し方に妬く気持ちがないのかと問われれば嘘になるだろうが、
兄妹のように絶妙な関係を育む二人の様子につい笑みを誘われてしまう。
「あがががが……」
「……ふぅ。でもみことだって時々似たような事してるかも」
「わ、私は電撃ぶつけるのは控えるようにしてるわよ」
「どうだか。一人でブツブツ妄想しながら電気を漏らしてたりするんじゃないのかな?」
「ギク……そ、それはたまにある」
「みことも結構な変人さんだよね」
「アンタが言うかぁ!」
(ははっ、仲良くなってきたな)
仲良きことは美しき哉。上条は歯形だらけの凄惨な姿になりながら暢気にも、
二人の距離感を限りなく良い方向に解釈していた。
「みこと、おかわり!」
「流石にもう無くなったわよ……また今度作ってあげるから」
「ぶーぶー!」
---
530 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:21:09.30 ID:yAKAx0+xo
[12:28]
食後に食器を洗い終えると、美琴はいそいそと帰り支度を始めた。
インデックスとしても、長らくいがみ合っていた少女とやっと仲良くなれたのに、
慌てて帰宅するさまを見ると寂しく思ってしまう。
「もう帰っちゃうの、みこと?」
「うん、私1時から黒子達と遊ぶ予定があんのよ。
ホントはもう少しコイツの勉強見ていきたかったんだけどさ」
「俺はなんとかやっとくって。お前は白井達と楽しんでこいよ」
「そうするわ。じゃあねインデックス、誕生会の声掛けは頼んだわよ」
「任しとくんだよ!」
美琴以上に控えめな胸を張りながら、インデックスは快諾の返事を返した。
上条や月詠の家に篭っている事の多い彼女は、多人数でのパーティーに
大きな期待を抱いている。
1Kの上条宅に8人もの仲間が集まるのは壮観な光景になるだろう。
「とうま、見送らないの?」
「あ、いいわよいいわよ、外は寒いし」
531 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:24:54.98 ID:yAKAx0+xo
「じゃあせめて玄関までは送るぞ」
(……ギロッ)
「むぅ」
「どうした?」
「なんでもなーい」
上条が玄関先で美琴を見送ろうとするとインデックスは何か予感が働いたらしく、
リビングに座ったまま上条の様子を凝視している。
見送りのキスを期待していた美琴は、その視線をインデックスの牽制と理解し、
存外したたかな少女だと悔しがった。
あえて見せつけたろかコラとも考えたが、時間に追われて急いでいる今
状況をこじらせるのは悪手だろうと思い直す。
そんな考え事をしながら、右手の指で無意識に唇を触っていた美琴はピンと閃いた。
「じゃあまた来週来るわ。誕生会の件はあとで相談のメールするからさ」
「ああ、よろしくな」
「インデックスもまたねー」
「ばいばいなんだよー」
玄関扉を開いて外に出ようとした刹那、美琴は右手で上条の顔に触れると
人差し指でそっと彼の唇を撫ぜた。
532 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:28:04.71 ID:yAKAx0+xo
「またね」
「あ、ああ」
後ろを振り返ろうともせず、美琴は駆け出して帰って行った。
アダルティックな行為の意味がまるで掴めず、上条は呆然と玄関に取り残される。
中途半端な余韻を残した別れ方に、漠然とした寂しさを募らせていた。
「なんだったんだ、今の……」
「あ!」
美琴の隠密な配慮も虚しく、行為の意味に先に気付いたのはインデックスの方だった。
憤怒に燃えて立ち上がると上条に強く詰め寄り、彼を激しく狼狽させる。
「とうまのバカ!」
「な、なんだ、どうしたってんだインデックス!?」
「今のに気付かないのは、さすがにみことが可哀想かも」
「は?」
「今のみこと、私にバレないようにこっそりとうまに間接キスしたんだよ」
「あ、そ、そうだったのか……!」
「それを肝心のとうまが気付かなくて、私にあっさり気付かれててどうするのかな!?
そうやって乙女心をぼんやりスルーする性格はホントひどいんだよ。
これから一生懸命、みことにフラれないように気を配るといいかも!」
「ああ、気をつけるさ……」
まだまだ美琴の全てを理解するには、時間も触れ合いも足りないらしい。
上条は右手で虚空を掴み、己の鈍感を嘆きながらも
これから沢山の時間を掛けて彼女と触れ合いたいと願った。
---
533 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:32:05.85 ID:yAKAx0+xo
[12:57]
昼食後、インデックスは数人分の食事が収まった腹をさすりながら、
ベッドですやすやと寝息を立てて眠りに落ちていた。
上条は、はかどりだした宿題に一段落ついたところで、陽の当たるベランダに出て頭を休ませる。
美琴が干していった洗濯物やシーツが風に棚引くのを見ていると、
名残惜しさと肌恋しさがぶり返してしまう。
だが姦淫に堕落する自分達は想像したくないので、週1ペースを維持しなければと考える。
ふと右横に視線を向けると、隣人の土御門元春がベランダに姿を現していた。
「おっ、カミやんじゃないか」
「よう土御門。お前は宿題終わったか?」
「俺は昨日のうちに終わらせたぜい……騒音のせいでなかなか集中できなかったけど」
「ふうん、大変だなお互い」
「ふうんじゃないぜよ。誰のせいで集中できなかったと思ってるのかにゃ~?」
「なんだ、お前また舞夏となにかやらかしたのか?」
「お前だッ! 明るいうちから一晩中、常盤台のお嬢さんとイチャイチャしやがって!」
534 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:36:39.53 ID:yAKAx0+xo
上条の呆けた態度に苛立ったのか、土御門は感情を露わにしつつ
上条に指を突きつけ、彼が主犯である事を明示してみせる。
「な、なにィ!? お前昨日は出かけてたんじゃなかったのか!」
「昼間はにゃあ。夕方には自宅に帰ってきて、筋トレにハッスルしてたぜい。
そうしたら隣の部屋から別のハッスルが聞こえてきて……
いやー、あんな絶叫が聞こえてきたらナニしてるかなんてバレバレですたい」
「おっ、お前まさかアレを聞いて……! メールの返事はそういうことか!」
「俺も間諜の仕事は色々やってきたけど、あんなヤらしい絶叫を聞いたのは初めてだぜい。
カミやんに対する羨ましさと憎しみのあまり、血ヘドを吐いて死にそうだったにゃあ。
しかもカミやんの声まで聞こえてきて、それがまた
『美琴……愛してる!』なぁ~んてきたもんだにゃぁあ~!
いやはや、ばーっちり聞かせて貰ったぜい、カミやんの一世一代の大告白!」
してやられた、と上条は力強く頭を抱えた。
最もバレてはならない秘密を、最も聞かれてまずい男に聞かれてしまっていた。
あらゆる混乱を内包して、上条の血相が赤から青に、蒼白に、
そしてまた赤にと目まぐるしく変色する。
536 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:41:38.23 ID:yAKAx0+xo
「わっっ、忘れろぉぉぉっ!! それだけは絶対口外するんじゃねえええぇぇ!!」
「ん~、それは今後のカミやんの心掛け次第ですたい」
「お、脅す気かよオマエ、そうですかそうなんですかそうなんですね!
くそう、その気になればこっちだってお前の秘密の一つや二つ……!」
「カミや~ん、俺の魔法名知ってるよにゃあ?
そんな事したら『背中刺す刃』でブスリだぜい。
情報戦で俺に勝てるとでも思ってるのかい?」
「う……っ!」
とかく交渉や腹芸となると、上条はこの男に張り合える器量など持ち得ていない。
いつも言葉巧みに言い含められ、体よく利用されてしまうのだ。
「まぁそれは冗談として、まさかあのカミやんが大人の階段を登ったとはにゃあ」
「だから忘れろっつーの」
「これがねーちんや五和、姫神あたりなら応援の一つもできたんだが……
なんでよりにもよって、渦中の超電磁砲《レールガン》なんぞを選ぶのかねぇ」
537 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:45:33.22 ID:yAKAx0+xo
「…… どういう意味だ?」
「カミやん……今自分がどれだけの負担を抱えているのか、理解しているのか?」
いつの間にか土御門の声色が変わり、狡猾な間諜としての表情を現している。
魔術界のプロを自称し、市井に生きる上条を不安に陥れる顔つきだ。
「カミやん、この世界にはな……
禁書目録の知識を利用して、世界の勢力図を塗り替えようと画策する『魔術界の女狐』がいる。
超電磁砲のDNAを利用して魔術を滅ぼすために、科学の神を気取る『逆さ吊りの奴』がいる。
二人はカミやんの力すらも利用して、己に都合のいい理想ばかり夢見ている真っ最中だ。
俺はそんな二人の思惑が交差しないよう今の立場に納まっているが、それも限界が近い」
土御門は街中のビル群に視線を向け、諦観の表情を浮かべながら語っている。
彼がそんな表情を浮かべるのは、凡人が直視できない
裏の世界の話をしているからだろうと上条は推察していた。
538 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:50:14.60 ID:yAKAx0+xo
「いずれあの二人は正面からぶつかり合う運命にあるんだろうよ。
……カミやん、これは俺から友人としてのよしみで言っておく、大事な忠告だ。
悪い事は言わん、その激突が訪れる前に
禁書目録と超電磁砲のどちらか片方だけでも手放した方がいい。
さもなければカミやんはその二人を同時に敵に回す事になる。
二人共とまでは言わない。俺としては、より負担の大きい超電磁砲を手放す方を薦めるがな」
「荷物のやりとりみたいに言うんじゃねえ。お前は美琴になんの恨みがあるんだ」
「個人的な恨みはない。妹の友人だし、そのベランダの洗濯物を見れば
甲斐甲斐しくて可愛い子だとも思うぜい。
……が、なまじ超能力者《レベル5》になった事があの子の不幸なのさ」
「おまえっ、その一言だけは取り消せ! 今すぐだ!!
美琴に向かって不幸だなんて言う奴は、俺が相手になってやる!」
上条が最も過敏になるであろう言葉を、土御門はあっさりと使ってのける。
土御門は、こうして挑発にたやすく揺り動かされてしまう激情家の上条が
いつまでも素人っ気の抜けない愚者である事を改めて認識していた。
「そう熱くなるな。わかったわかった、不幸と言ったのは取り消す。
だがな……彼女の悪夢はまだ終わったわけじゃない。解放するのは至難の業だぞ」
「なんでお前がそれを知ってるかは聞かないが、至難だろうとなんだろうと、
今のうちから『多分辛そうだからやめます』だなんてみっともねえ事は言わねえよ!
俺は負担を背負ったつもりはない。美琴と一緒に戦っていくと決めたんだ」
539 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 21:55:39.87 ID:yAKAx0+xo
「超電磁砲自身がそれを望んだのか……。
彼女は超能力者だが、魔術の世界すら知らないただの一般人だぞ」
「俺だって少し前までそうだったさ。今だって魔術の世界に染まったつもりはない。
俺達はただ、みんなに笑ってて欲しいだけだ。その幸せを壊す奴が許せない、それだけだ」
その言葉を語る少年は、もはや男の表情だった。
しかしその向こう見ずな姿勢が土御門の癪に障るのか、彼の言葉も徐々に気色ばんでいく。
「目を覚ませカミやん! 今は好きな女を抱いて気が大きくなっているんだろうが、
この世界を二分して支配する化け物達を前にして、そんな威勢張れる訳がない!」
「同じ事を二度言わせるなよ土御門。
見えもしない不安に負けて、立ち向かう前から大切な人を見放すようなマネができるか!
たとえ誰が相手だろうと俺は泣き言言うつもりはねえ。
守ると誓った以上はなんとしても守るぞ、俺は!」
「それは勇気なんかじゃないぜい。無謀という、バカの考え方だ」
「……お前も俺の夢を笑うクチかよ。
ああそうさ、俺の周りはみんな現実をちゃんと見つめてる賢い連中ばかりだよ。
できる事には限度がある、できない事には関わらない……それが普通だよな。
でも美琴は違う。あいつは俺の夢を大真面目に信じてる、お前の言うところのバカだ。
それがどうしようもなく嬉しくて、俺はあいつと一緒にいたいんだよ」
540 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 22:00:00.29 ID:yAKAx0+xo
「なるほど、それが超電磁砲を選んだ理由か」
「土御門、お前だって信じるもの、守りたいものがあるんだろ?
そのためなら魔法名の通り、必要とあらば俺の背中だって平気で刺すんだろうな。
だけどお前が背中刺す刃なら、俺はあいつの背中を守る拳なんだよ。
俺と美琴は二人で信じる夢のために、お互いを信じて、背中合わせで戦えるんだ」
「カミやん……」
上条の信念は揺るぎない。
熟慮も後退も知らない愚者ではあるが、その愚直さが最大の武器でもある。
土御門は、己が絶対に持ち得ないものを持っているという点においては
上条に一目置いているが、同時に交じり合えない存在だとも痛感する。
「インデックスと美琴を利用しようとする奴等が何者かは知らない……
だがそいつのふざけた幻想(ゆめ)は、俺がこの右手で必ずぶち殺してやる!!」
「ふはっ、カミやんならそう言うと思ったんだぜい、この身の程知らずが」
543 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 22:05:00.54 ID:yAKAx0+xo
土御門の嘲罵にも上条は耳を貸さない。
どれほど険しい現実を突きつけられても、自分の夢を信じる強さを与えてくれた美琴を
危機に挑む前から見捨てる事などありえなかった。
「なぁ、話を少し戻すけど、お前はその『二人』の事をどれだけ知ってるんだ?」
「片方についてはある程度腹の内は知っているが、今のカミやんにはまだ言えないぜい。
コミュニケーション不調を狙って、ふざけた日本語を教えてやった程度の仲だ」
「なんだそりゃ」
「もう片方は……俺もまだ命が惜しいとしか言えないな。
滞空回線《アンダーライン》―――奴はこの学園都市内の事象を全て掌握している。
これ以上奴の存在について口走れば、俺もカミやんもただでは済まない。
カミやんと超電磁砲が立ち向かう事になる相手は、そういう神の如き超越者だ」
「上等だ、俺は神様には嫌われ慣れてる。
神様が相手だろうと、俺は二人と掴んだ両手を絶対に手放さねえ、絶対にな」
「これほど説いてもわからんかよ……頭に来るほど不器用な男だにゃあ。
まぁそのクソ熱いところがカミやんらしさなんだろうけどな。ちょっと安心もしたぜい」
「土御門、お前……」
「できる限りサポートはするが、期待はしすぎるなよ」
「ああ、助かる」
「こんなおバカでも大事な友人だからにゃあ、死なれたら香典代が勿体無いぜよ」
「てめえなぁ!」
546 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 22:10:00.61 ID:yAKAx0+xo
土御門元春にとって上条当麻は、任務上の『監視対象』である。
だが彼は、友人という立場を全くの擬態に収めるつもりもなかった。
彼に言わせれば魔術界も科学界も、誰もが見えない繰り糸に縛られている人形舞台だ。
もしもこの、隷属を強いられた状況を打破する事ができる者がいるとすれば、
常識から突き抜けたこういうバカなのかも知れないという淡い期待も寄せている。
バカが二人に増えたと喜ぶ上条の言葉を、真に受けてみようと土御門は考えた。
「だから絶対に死ぬなよ、カミやん」
「ああ。制服姿の美琴を抱くまで俺は死ねねえよ、なんつってな」
「おぉっ、遂にカミやんもこっちの世界に来たにゃあ! いやはや大歓迎ですたい」
「うるせえ! 義妹とのロリメイドプレイしか興味がないお前や、
無節操な青髪と一緒にされるのは心外だ! 俺は美琴が好きなだけだっ!」
「大差ないぜい、あがくなよロリコン高校生」
「てんめえ~!」
「にゃっはははは……!」
「あはははは……!」
547 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 22:15:01.21 ID:yAKAx0+xo
気を置けない友人とのふざけた会話の隅で、上条当麻はふと思う。
仲間思いの友人と、頼れる戦友と、愛らしい同居人と、いとしい恋人と、
こうしてただ楽しく笑って過ごすだけの毎日が、ずっと続いて欲しいと。
その日々を壊そうとする者には、たとえ何者であろうと勇ましく立ち向かってみせる。
その覚悟をくれた恋人と二人で信じる夢は、きっと素敵な未来を切り開くと信じていた。
クリスマスでも誕生日でもバレンタインでもない、とある平和な冬の一夜。
上条当麻はこの日、心の中に息づく大切な伴侶(たからもの)を手に入れた。
―――その恋人の名は、御坂美琴という。
- Fin -
549 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 22:16:50.28 ID:yAKAx0+xo
投下完了です
お読みいただいた方ありがとうございました
「避妊」「ポリネシアンセックス」「後戯」「後処理」といった、
他の人の手垢が付いてない点にフォーカスしてみました
同人誌やSSではそんな部分いちいち書かないよって部分ばかりですが
この二人ならきっとこうなるだろうと考えるのが楽しかったです
あと上条さんから美琴に告白した理由を色々考えたけど、難しいですね
548 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 22:16:35.25 ID:L/Mklx4+o
お疲れええええええええええええええ
かなり面白かった!!551 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 22:18:32.79 ID:0wQ8hGF4o
終わったああああああああああああああ
乙でした!554 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 22:24:14.77 ID:km+ov6nk0
内容的にも文章的にもエロ的にも…何より作品に対する愛に感動しました。
これだから上琴はやめられない。このSS読んで苦手だったインデックスが好きになりました。560 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 22:42:28.30 ID:eP3+WzTAO
ついに終わってしまったか…
超乙ゥァァァァ!
続きは…ないですか?562 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/27(木) 22:46:35.19 ID:yAKAx0+xo
>>560
本編としてはあくまで終わりですが
この後黒子・佐天・初春らに質問攻めに遭う美琴のサイドストーリーを作ってます
け、決して誤爆とかしてないよ!
>>561
文字数だとわかりませんが
行数だと7159行でした
566 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 23:01:57.93 ID:LgZ9M3lP0
おっつ
すげぇよかった!
愛とエロが両立した作品ってこんなに面白いんだな
いいもの読ませてもらった570 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 23:17:28.53 ID:AbBVPv3AO
まじで乙!
わざわざ完結するまで読むの待ったSS久しぶりだった。
SSとかのセクロス苦手だったけど、これは良かった
すごい楽しかったよ!!
サイドストーリー期待571 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/27(木) 23:23:50.45 ID:kHbS0/wHo
超おつです。すばらしきらぶとろせっくるでしたの582 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/28(金) 03:06:30.74 ID:qZsX4hlIO
乙!
夢中で読んでたらこんな時間だったぜ…613 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 18:59:24.91 ID:2qH+F3eeo
改めまして、では番外編を投下します。
元々は本編の一部でしたが、冗長になったため切り離したパートです。
後日談というより同日談です。
本編ではないので台本形式に変えています。
ゆるーい気持ちでお読みください。
614 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:01:01.18 ID:2qH+F3eeo
=美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」 番外編=
[13:05 セブンスミスト正面玄関]
涙子「うーいーはーるーぅ!」
バサァ!
飾利「きゃああ、こんな寒い日にまでやめてくださぁい!」
涙子「初春ってば毛糸のパンツ穿いてやんの、ぷくく」
飾利「さーてーんーさーん!?」
涙子「あはは、そう怒るなっつーの」
黒子「何も入り口の外で待たなくとも……陽が出てても寒いですわ」
飾利「あ、御坂さーん、こっちですー」
美琴「ごめーん、ちょっと遅れちゃった」
飾利「いえいえ」
涙子「お待ちしてましたよー、にひひ」
美琴(う、佐天さんてば悪魔の笑顔してる……)
黒子「……では行きましょうですの」
美琴(黒子は黒子でなんだか機嫌悪いし)
飾利(どうしたんですかこの二人?)
涙子(ふふふ、面白い展開になってきてる)
616 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:03:15.47 ID:2qH+F3eeo
[13:10 セブンスミスト内 婦人下着売場付近]
涙子「で、で!? 夕べはどうだったんですか?」
美琴「え、もうその話に入るの!?」
涙子「当たり前じゃないですかぁ、くふふぅ~」
飾利「え、なになに、何の話ですか?」
黒子「知らぬは初春ばかりなり、ですの。
お姉様は昨日、はしたなくも殿方の家に外泊されてましたのよ」
飾利「ぬっふぇぇ~!! そ、そうだったんでしゅか!?
あ、だからこの間も私の部屋に泊まった事にしてくれって……」
涙子(でしゅ?)
美琴「そ、そんなわけないじゃない!
くっ、黒子アンタ何言ってんのよ!?」
黒子「……この期に及んで隠したがる意味が分かりかねますの」
美琴「ち、違うのよ黒子、初春さん! それは、その……」
涙子「あ、私白井さんには全部バラしちゃったんでー」
美琴「佐天さーん!? まさか言っちゃったのぉ!?」
617 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:06:28.03 ID:2qH+F3eeo
涙子「ねえねえ御坂さん、下着はこの間買ったのをバッチリ着ていきましたか?
彼氏さんどんな反応でした!? ちゃんと彼に脱がせてもらいました?」
美琴(なんでそんなに目を輝かせて聞いてくるかなぁ)
飾利(佐天さんってば猥談が好きなんですね……)
黒子(そんな話聞きたくないですのぉぉ!!)
美琴「あああ、あのね佐天さん、ここ公共の場だから!
そういう事話す場所じゃないから!」
涙子「またまた~、下着売り場で話す話題としては当然じゃないですか!
せっかくこの間初春と相談に乗ってあげたんですから、ねえ」
飾利「はい、私も是非聞いてみたいです」
美琴(う、うう……ここでマイスイッチを切り替えるのは流石に戸惑うわ)
黒子「観念なさいましお姉様」
美琴「あ、あのねぇ」
619 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:09:02.47 ID:2qH+F3eeo
[13:14 セブンスミスト内子供服売り場]
美琴「やっぱり私は普通のでいいわ。これとかこれとか……」
飾利「カエルやネコのプリント柄は果たして普通なんでしょうか」
涙子「あちゃー、逆戻りしちゃったかぁ」
黒子「所詮はお姉様ですの」
涙子「あの下着、彼氏さんには不評だったんですか?」
飾利「それともまさか、実はこーゆーのが好きな人なのでは」
美琴「ち、違うって! 違うのよ!
アイツはその……ありのままの私がいいって言ってくれたから、その……」
涙子「うわぁ」
飾利「ナチュラルに惚気ましたね今」
黒子「昨日何があったかもうバレバレですの……」
飾利「白井さんテンション下がりっ放しですねー」
620 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:12:00.60 ID:2qH+F3eeo
[13:19 セブンスミスト内子供服売り場]
美琴「あれ、みんなは何も買わないの?」
涙子「私は別に見せる人もいないので、しばらくは足りてます」
飾利「私もですね」
美琴「いや別に下着だけとも限らないのだけど」
黒子「……或いはひょっとして、このような下着を身に着けることで
わたくしもお姉様と……ぶつぶつ……」
美琴「アンタは何考えてんの!」
飾利「あ、それなら薬局に回ってもいいですか?」
美琴「いいわよー」
621 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:15:27.35 ID:2qH+F3eeo
[13:23 セブンスミスト内ドラッグストア]
涙子「初春、あんた幾つマスク買うのさ」
飾利「毎日使うから箱買いしなきゃなんですよー」
黒子「初春は冬の間ずっと風邪気味とか言ってますの」
涙子「いるよねーそういう人」
飾利「私も好きで引いてるわけじゃないですっ」
涙子「でも私も花粉症だから、春先のために一箱買っとこうかな」
飾利「佐天さん花粉症だったんですか?」
涙子「最近発症したのよー……お花の傍にいる機会が多いからかなぁ」
飾利「へ?」
黒子「ところでお姉様はどちらに……?」
623 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:18:23.46 ID:2qH+F3eeo
『新発売! 極上の安心と快楽をあなたに!
極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナル 12個入 税込¥2280』
美琴(あ、アイツの使ってたのってこれよね……他のに比べて高級品なんだ。
アイツお金がないとか言ってるのに、気を遣ってくれてるのね。
一箱買って行こうかな。あ、でももしアイツも買ってきてたらダブるかも。
一気に24個も手に入れちゃっても、つ、使い切れないわよね……
で、でも、私、アイツとならそのくらい……えへ、えへへ……)
ヒュインッ
黒子「お姉様、こんなところにおられましたの?
……ってまさかこのコーナーはぁぁ!?」
美琴「うわわぁ!? 黒子ぉ!? ち、ちちちち違うのよ!
私が見てたのはこっち! 生理用品のほうだから!」
黒子「いつにも増してごまかしがヘタですの」
美琴「ううウソじゃないわよ、ほらほら、私来週アレの日だし! だから!」
黒子「大恥を隠す為に小恥を晒さずとも……」
美琴(べ、別の場所で買う事にしよっと)
624 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 19:19:49.03 ID:ydYZR4pBo
美琴さんwwww 625 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:20:16.00 ID:2qH+F3eeo
[13:31 セブンスミスト内ドラッグストア付近]
涙子「白井さんは何も買わないの?」
黒子「わたくし大体の消耗品は学舎の園の中で買いますので」
涙子「私も前行った時買い込んでおけば良かったかな~」
飾利「消耗品の値段じゃなかったですけどね、あれは……。
あ、あと私、花屋さんに回りたいです」
美琴「じゃあ次はそこに行きましょっか」
626 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:22:44.38 ID:2qH+F3eeo
[13:36 セブンスミスト内フラワーショップ]
飾利「~♪」
美琴「初春さんがお花を選んでるときって幸せそうな表情よね」
黒子「あと甘い物を選ぶ時もですわね」
美琴(私もアイツに愛されてる時は、あんな表情してたいなぁ)
涙子「でも初春の買う花って、頭についてるのとはいつも別なんですよね~
あれは何処で買ってるんだろう」
黒子「えっ?」
美琴「えっ?」
涙子「えっ?」
627 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:24:07.74 ID:2qH+F3eeo
[13:47 セブンスミスト内フラワーショップ]
飾利「今日はとりあえずこのくらいで」
涙子「ねえ……今日って卒業式か何かだっけ?」
黒子「花束並になってますの」
美琴「そんなに買ってどうするの?」
飾利「部屋や支部に飾って眺めるんですよ~」
黒子「だったら鉢植えを買えばいいですのに」
飾利「鉢で買ったら重いじゃないですか」
美琴「あ、あの、ちなみに頭に乗せてる分は……」
飾利「はい?」
黒子「お姉様、ここは勇気ある撤退を」
涙子「その方がいいです」
美琴(親しい二人にココまで言わせる初春さんって……)
629 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:26:16.77 ID:2qH+F3eeo
[13:49 セブンスミスト内連絡通路]
美琴「あとは何か買う物あるかなぁ」
黒子「……さっきのアレは買わずとも宜しかったので?」
美琴「な、なんの話よ!」
飾利「私はこれで十分です~」
涙子「じゃあ電器店見に行ってもいいですか?」
美琴「いいわよ」
黒子「……」
630 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:28:22.24 ID:2qH+F3eeo
[13:55 セブンスミスト内電器製品フロア]
涙子「新しいNP3プレイヤー欲しいんですよね~」
黒子「どれも同じように見えますの」
飾利「白井さんの家電を見るポイントは皆とだいぶ違いますから……」
黒子「どーいう意味ですの」
美琴「あれっ、二ヶ月くらい前に買ってなかったっけ?」
涙子「あれ水に濡らして壊しちゃったんですよ……
操作感もイマイチだったし、あんまり後悔してないですけど」
飾利「佐天さんって、プレイヤーしょっちゅう買い換えてますよね」
涙子「あはは、これ結構懐が痛むのよね。
うーん、やっぱりまた今度にしよう」
631 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:31:02.38 ID:2qH+F3eeo
[14:06 セブンスミスト内電器製品フロア]
飾利「あ゛~~~」
黒子「……何をしてますの」
飾利「これ気持ちいいんですよ~~~」
涙子「いるよね、家電店でずっとマッサージチェアに座ってる人って……」
美琴「あ゛~~~」
黒子「お姉様まで!?」
美琴「あーこれこれ、腰の揉みほぐし方いいわぁ~~~」
涙子「中学生がマッサージされてくつろいでる……」
美琴「あ゛~~~」
飾利「あ゛~~~」
黒子「……お姉様の震える声がちょっとそそりますの」
涙子「うわあ」
633 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:34:05.54 ID:2qH+F3eeo
[14:12 セブンスミスト内電器製品フロア]
飾利「私、食器洗い機が欲しいなぁ」
涙子「高い上に設置がめんどくさそうじゃない?」
飾利「ですけど、あると便利そうですよ。
この時期食器を洗うのも水が冷たくて、
春上さんも辛そうにしてるんです」
黒子「給湯器があるでしょうに」
飾利「うちのはちょっと温度加減が難しくて、
熱湯か水しか出てこない感じなんですよ~」
黒子「だったらそこを直す方にお金をかけるべきですの」
飾利「それもそうですけど」
美琴「でも水が冷たいと洗濯とかも辛いわよね。風呂も沸かすのに時間かかるし」
涙子「それはありますね~」
飾利「常盤台の寮の洗濯は全て業者がしてくれるんでしたっけ? いいなぁ~」
黒子「そうですの。ですから風呂も洗濯も冷たい水で苦労することは特には……!?」
涙子「どうしたの?」
黒子「……なんでお姉様が冷たい水の苦労をご存知ですの?」
美琴「あ、あはははははは……なんでだろ」
635 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01 /30(日) 19:37:32.56 ID:2qH+F3eeo
[14:18 セブンスミスト内電器製品フロア]
飾利「新型パソコンも欲しいなあ」
黒子「風紀委員《ジャッジメント》の支給品で十分でしょうに」
飾利「自宅用ですよ。あとポータブルなタイプとか」
黒子「一人で何台使うつもりですの?」
飾利「サーバー、デスクトップ、ノート、スレート、ポータブル。最低五台ですね」
涙子「初春……人間の手は二本しかないんだよ?」
飾利「リモートすればマウスとキーボードは一つずつで済みますっ。
あ、そうそうノート用のマウスも欲しいなぁ。あとデスクトップ用のマウスも」
涙子「一つずつで済むんじゃなかったの?」
飾利「ノート用はワイヤレスの高dpiなタイプ、デスクトップ用は
レーザートラックボールタイプがそれぞれ不可欠なんですっ!」
涙子「ごめん何言ってるかわかんない」
黒子「……またお姉様がいなくなってますの」
636 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:40:12.70 ID:2qH+F3eeo
[14:20 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴(確かあの冊子に、ハンディマッサージャーを使って
スキンシップを深める行為の事も書いてあったわよね。
アイツも小道具を使った事してみたいって言ってたし……
これをアイツに押し当てられたら、わ、私どうなっちゃうのかな)
ヒュインッ
美琴「黒子、店内を空間移動《テレポート》で探し回るのは止めなさいよっ」
黒子「ちょっと目を離すと、すぐ離れていかれるお姉様も問題ですの」
美琴「全く……」
黒子「またマッサージ機を見てますの?」
美琴「うん、ちょっと興味が出てきて」
黒子「お姉様のコリはわたくしがいつでもお揉みいたしますの」
美琴「それが嫌でこういう道具探してるんだけど」
黒子「でもお姉様にマッサージしてもらうのも魅力的ですの……あはうはえへふひひー」
美琴(……私ノーマルで本当に良かった)
637 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:43:06.63 ID:2qH+F3eeo
[14:20 セブンスミスト内家電製品フロア]
涙子「御坂さん、炊飯器なんて見てどうしたんですか?」
美琴「へ? いや、ただ単に最新の機器ってどんなのかなって思って」
飾利「『真空内釜圧力高性能AI付きプラチナ釜炊飯ジャー』……?
なんかすごい謳い文句ですね、この製品」
黒子「こんな所帯じみた機器を見ても何の参考にもならないですの」
美琴(アイツの家の炊飯器って3合炊きなのよね……
インデックスの事を考えたら1升炊きのがあった方がいいのかも。
来週は沢山人が来るし、大きいに越した事はないわよね)
黒子「……どうしてそんなにも真剣に見てますの?」
638 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:45:18.51 ID:2qH+F3eeo
[14:27 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴(アイツ、朝になったらうっすらヒゲが生えるのよね。
T字剃刀で剃るのめんどくさそうだったし、こーゆーのがあれば……)
涙子「御坂さん、ボディシェーバーが欲しいんですか?」
美琴「う、ま、まぁ、女の子のエチケットとしてね」
飾利「でもこれって男性用のヒゲ剃りですよ?」
黒子「お姉様が何を見ているか、なんとなく分かった気がしますの」
美琴「だ、男性用の方が使いやすいのかなって思っちゃったりしただけよ」
涙子「そ、そんなに剛毛なんですか?」
美琴「うっ、ま、まぁね……」
黒子「そんな事ございませんですわよ」
美琴「アンタが答えんな!」
ぶぃ~~~~~ん
黒子「初春もいじって遊ばないでくださいまし!」
639 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:48:21.15 ID:2qH+F3eeo
[14:31 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴「……」
涙子「今度は冷蔵庫見てる……」
飾利「しかも結構大型のですよアレ」
涙子「引越しでも考えてるのかなぁ」
黒子「まるで一人暮らしを始める学生のようですの」
涙子「御坂さん」
美琴「ふぇっ!?」
涙子「あの、それはどういった理由で見てるんですか?」
美琴「あ、あのこれはね、大食いの子供がいるような一般家庭では
どのくらいのサイズが好まれてるかっていう市場調査をね」
涙子(一般家庭……学園都市なのに?)
飾利(言い訳が苦しすぎますよ御坂さーん!)
黒子(大食い? ……もしや)
640 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:51:27.68 ID:2qH+F3eeo
[14:39 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴「……」
涙子「とうとう洗濯機を見はじめちゃったよ」
飾利「本気で一人暮らしを考えてるんでしょうか」
黒子「いえ、あれはむしろ……」
美琴(シーツや毛布も一気に洗える大型ドラムタイプがいいわよね……
あとはペットの匂いも消すような消臭システム付きがいいかしら……
白物を沢山洗うから漂白がしっかりできる機能も欲しいかも……)
涙子「商品を見る視線が真剣すぎて怖いんだけど」
飾利「もはや主婦目線ですよね、あれ」
黒子(お姉様もしや、もしやぁぁ!)
641 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:53:12.80 ID:2qH+F3eeo
[14:47 セブンスミスト内電器製品フロア]
美琴(掃除機とテレビは今のでも足りてそうね。あと必要なのは……)
黒子「お姉様、そろそろ初春達も痺れを切らしていますので」
美琴「あ、ああごめん」
飾利「御坂さん、何をそんなに真剣に見てたんですか?」
美琴「えーと、実は誕生日プレゼント何にしようかなって思ってて」
涙子「洗濯機は誕生日プレゼントってレベルじゃないですよ!」
飾利「さ、さすがお嬢様はプレゼントの規模が違いますね……」
黒子「というか誰の誕生日の事ですのぉぉぉ!?」
美琴(クリスマスに手作りのマフラーと手袋をあげたから、
誕生日には実用的なのをって思ったんだけど……
よく考えたら、誕生会で披露するような物じゃないわよね。
シェーバーなら小さいし、あれにしよっかな)
642 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:55:11.69 ID:2qH+F3eeo
[14:51 セブンスミスト内連絡通路]
美琴「うーん、プレゼント選びって難しいわね」
涙子「ちょっと私にはその感覚分からないです……」
飾利「普通、家電どうこうでは悩まないです……」
黒子「というか、誰にプレゼントする予定ですの?」
美琴「アイツ」
黒子「言い切りましたわねお姉様!?」
飾利「アイツって、まさか彼氏さんですか!?」
美琴「うん、もうじき誕生日なの」
涙子「彼氏に冷蔵庫や洗濯機贈るんかーい!」
美琴「いや、さすがに私も家電贈ろうとか考えてないわよ!?
もっと小さくて手軽な物を贈る事にするって!」
飾利「是非そうしてあげてください」
涙子「ならあの真剣に見てたのは一体……」
644 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 19:58:13.72 ID:2qH+F3eeo
[14:53 セブンスミスト内連絡通路]
美琴「……で、あとは見て回りたいものってあるかしら?」
飾利「私はもう十分です」
黒子「私も結構ですの」
涙子「うーん、私もOKですね」
美琴「じゃあそろそろ3時だし、場所変えましょ」
黒子「絶好のティータイムですの」
涙子「うーいはるーぅ」
飾利「はい、今日は私が案内しますね」
涙子「初春がいい雰囲気の喫茶店を見っけたらしいですよ」
美琴「へえ~」
黒子「初春のセンスは少々怪しいですの」
飾利「パフェの美味しそうなお店を見つけちゃったんです~!」
645 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:00:05.22 ID:2qH+F3eeo
[15:12 とある喫茶店]
美琴「へえ、なんだか店内がアメリカ西部風ね」
黒子「学園都市でログハウスのお店なんて珍しいですわね」
涙子「初春、ここはうちら学生の来る様な場所じゃないんじゃない?」
飾利「いいじゃないですか、ほら、店内に学生のお客さんいますよ」
涙子「ホントだ」
飾利「2階の席に予約とってあるんですよ」
美琴「2階? あ、ロフトになってるんだ」
黒子「階段が随分と急ですの……」
ヒュインッ
涙子「あ、ずっこい!」
646 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:02:04.99 ID:2qH+F3eeo
飾利「細かいところで能力に頼りますよね、白井さんって」
美琴「私達は普通にあがりましょ」
涙子「むしろ普通にしか上がれません……」
飾利「あれっ、御坂さんどうしたんですか?」
美琴「わ、私は最後に上がるからお先にどうぞー、あはははは……」
飾利「さ、佐天さんがお先にどうぞ」
涙子「う、うん」
美琴(短パン乾いてないから今履いてないのよね)
飾利(まためくられたら困りますっ)
647 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:04:57.85 ID:2qH+F3eeo
[15:14 とある喫茶店 2階ロフト]
涙子「2階が貸し切り状態だね」
飾利「閉塞感がなくていいですね、ここ。
ここから店内を一望できますよ」
黒子「ふむ、悪くないですの」
美琴(隠れ家的でいいなぁ。今度アイツと来てみよっかな)
飾利「ここはパフェメニューが盛り沢山らしいですよ~」
黒子「実に初春らしい選択動機ですの」
店員「いらっしゃいませ」
涙子「わぁ、イケメン店員さんだ」
店員「ご注文をどうぞ」
美琴(そしてアイツと二人で一つのパフェを食べてみよっ)
黒子「確かにデザートメニューが豊富ですのね」
飾利「今日は一気に三つ行っちゃおうっと」
涙子「いい加減にしないと太るよ初春~」
美琴(お互いに食べさせあって、後でキスで味を伝え合って、それから……)
涙子「ねえ御坂さん、そろそろ戻ってきてください」
648 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:06:39.50 ID:2qH+F3eeo
[15:16 とある喫茶店 2階ロフト]
黒子「わたくしはこのレアチーズケーキ紅茶セットで」
涙子「私はこの世界旬味ってパフェとカフェオレをセットで」
飾利「ヨーグルトフルーツパフェと苺づくしグルメパフェと贅沢チョコパフェ」
涙子「あんたマジ太るよ」
美琴(バレンタインはちょっと気取ってチョコパフェなんてのもいいかもっ)
黒子「お姉様!」
美琴「な、何よいきなり!?」
黒子「店員がお待ちになってますので注文してくださいまし」
649 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:08:06.14 ID:2qH+F3eeo
美琴「あ、そ、そうね、私はこのマンゴーパフェと、キリマンジャロをセットで」
店員「かしこまりました」
飾利「あ、そっちの方が良かったかも」
涙子「どうしたもんかなこの子の甘党っぷりは」
美琴「じゃあみんなのパフェ後で一口ずつ交換しましょ」
涙子「さんせーい」
黒子「あ、わたくしも……」
飾利「白井さんはケーキじゃないですか」
ゴンッゴンッゴンッ
美琴「二階で顔ドラムはやめなさい」
涙子「常盤台の人ってどっかアレだなぁ……」
650 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:10:07.11 ID:2qH+F3eeo
[15:19 とある喫茶店 2階ロフト]
飾利「さてさて、注文も終わったところで」
涙子「ではいよいよ参りますか~。御坂さん!」
美琴「は、はい!?」
涙子「詳しく聞かせてくださいよ~、彼氏さんのこと」
黒子「やっぱりその話ですの?」
飾利「はい。だって私達、御坂さんに彼氏さんがいるって聞いただけで
どんな人かとか、どんな出会いだったとか全然聞いてません」
涙子「そこはどうしても気になるよね~」
黒子「そういえばわたくしも、あの殿方とお姉様が
顔見知りになったきっかけは存じ上げませんわね……」
飾利「白井さんはその人の事ご存知なんですよね?」
黒子「ご存知というほど親しい仲でもありませんの。
あんな類人猿の何がそんなにありがたいのやら」
涙子「悪そうな人なの?」
黒子「あれはただのアホですの」
美琴「あのねえ」
651 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:12:30.14 ID:2qH+F3eeo
[15:25 とある喫茶店 2階ロフト]
店員「レアチーズケーキ紅茶セットのお客様」
黒子「はいですの」
店員「キリマンジャロとカフェオレのお客様」
美琴「あ、私キリマンジャロ」
涙子「カフェオレは私でーす」
店員「ごゆっくりどうぞ」
涙子「……えーとつまり、その上条さんって人は
御坂さんの恩人なんですね」
美琴「そ、そうなのよ。
(妹達の事は言えないから説明が回りくどくなっちゃったなぁ)」
飾利「誰かと思ったら、あの大覇星祭の時の人だったんですね~」
黒子「卑しくもお姉様とダンスを踊ってましたわね……」
美琴「あれは私から誘ったのよ!
そーいやアンタのせいでグチャグチャになったっけね!」
涙子「積極的ですねえ~御坂さん」
652 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:14:01.78 ID:2qH+F3eeo
飾利「そ、それで、どちらから告白したんですか?」
美琴「あ、アイツから……」
涙子「ふわあ、常盤台のエースに告白するとか、度胸あるなぁ」
黒子「ただの身の程知らずですの」
飾利「それをOKしたんですか?」
美琴「うん……なんていうか、舞い上がる気分だった」
飾利「ふええ~、いいなぁ~」
黒子(部屋でやたらモジモジとされていたあの日ですわね、多分)
653 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:16:20.50 ID:2qH+F3eeo
涙子「その人って、能力はどんな感じなんですか?」
飾利「やっぱり高レベルの人なんですか?」
美琴「ううん、アイツの測定結果はレベル0らしいの。
でも測定器が測れないような、強い心と能力を秘めてるのよ、アイツは」
涙子「レベル0がレベル5に告白したんだ……」
飾利「でも御坂さん、なんだか誇らしげですよね」
黒子「まぁこの都市には、噂の『ナンバーセブン』のように
奇妙チクリンな能力者というのも少なからずいるようですし。
それに、あの殿方の能力は何かと使いづらそうですの」
涙子「だけど何か特別な力を持ってるって、それだけで羨ましいけどなぁ」
美琴「でも、たとえ本当の本当に無能力でも、
アイツの本質はきっと何も変わらないと思う。
私はそんなアイツの心が好きになったんだから」
涙子「……なんだろう、このカフェオレめっちゃ甘い気がしてきた」
飾利「私まだ何も食べてないけど甘いです~」
黒子「おかしいですわね、このケーキしょっぱいですの」
654 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 20:17:46.83 ID:b6+hoqng0
黒子wwwwwwww655 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:18:03.49 ID:2qH+F3eeo
店員「世界旬味パフェのお客様」
涙子「あ、はーい」
店員「ヨーグルトフルーツパフェのお客様」
飾利「は~い」
店員「贅沢チョコパフェのお客様」
飾利「はーい」
店員「い、苺づくしグルメパフェのお客様……」
飾利「はい~」
店員「……ごゆっくりどうぞ」
涙子「うう、店員さんの冷めた視線が痛い」
黒子「もう慣れましたわ」
美琴「私だけ来ない……」
657 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:20:11.59 ID:2qH+F3eeo
黒子「話を戻しますが、それにしてもお姉様。
まぁ一億歩譲ってあの殿方と交際されるのは
一時の気の迷いとして仕方ないにしても」
美琴「何よそのトゲトゲしい言い方」
黒子「せめて外泊だけはおやめくださいまし。
寮監のペナルティが幾つ溜まっているとお思いですの」
美琴「そ、それはわかってるけど……その……
同室のアンタにも迷惑かけてるのは申し訳ないと思うけど……
どうしてもアイツの傍にいたくなるのよ……」
涙子「すっごい惚れ込んでるなぁ」
飾利「白井さん的には踏んだり蹴ったりですね」
黒子「はぁ……あのド厳しい規則については、わたくしも一家言ないわけでもごさいませんが、
それにしてもほぼ毎週のように外泊などと……常盤台のエースが嘆かわしいですの。
ジャッジメントとして、不順異性交遊は見逃せませんわよ」
658 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:22:15.10 ID:2qH+F3eeo
美琴「だ、誰が不純だっての! 私と当麻はちゃんとした仲よ!
都合に合わせてジャッジメントの金看板を振りかざすなっつーの!」
黒子「んまぁ! とうま、ですって……!?
お姉様ったら、今まではほんの一度たりとも
あの類人猿の名前を呼んだ事などございませんでしたのにィ~!」
美琴「アンタこそ、当麻を類人猿呼ばわりするのいい加減止めなさいよ!」
黒子「類人猿でダメなら馬の骨ですわ!」
美琴「アンタは私のパパかぁぁ!」
涙子「え、えーと、お二人とも公共の場ですからその辺りでどうか……」
飾利「うーん、このチョコパフェ、甘さが重すぎて全体のバランスが今一つですねぇ」
涙子「あ、こら初春逃げんなー!」
美琴「ぐぬぬぬぬ……!」
黒子「うぬぬぬぬ……!」
涙子「すごい形相だ……」
659 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:24:13.58 ID:2qH+F3eeo
黒子「大体わたくしが父親だったら、なお絶対に外泊など許しませんですわよ!」
美琴「ざーんねん、ウチはちゃんと両親公認の仲だもーん」
黒子「ぬなぁ!? ま、まさかそんな、あのお母様が……」
美琴「むしろこっちが引くくらいノリノリな人達なのよね」
黒子「ええい、御坂家の家風には負けていられないですの!
学生たるもの学業と能力開発が本分ですの!
常盤台の寮は無申請の外泊は認めておりませんの!
ですから、お姉様があの類人猿と夜な夜なアハンウフンなどという羨ま……
ごほん、けしからん事はぜっっったいに認められないですの!」
美琴「つーか最後のだけがアンタの本音じゃないの?」
黒子「それに、あの殿方は確かあのちびっこいシスターと
同居されているというお話でしたわよね?
あの方は一筋縄では行きそうにございませんが」
涙子「わ、何やら修羅場を想起させるワードが出てきた」
飾利「わくわくしますね~」
涙子「修羅場と聞いて戻ってきたよこの子」
660 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:26:02.94 ID:2qH+F3eeo
美琴「ふふん、インデックスともちゃーんと話つけてあるもんね。
週1ならお泊まりOKだってさ」
黒子「ぐぬぬぬ……今時の若者の貞操観念は一体どうなってますの」
飾利「よりによって白井さんがそれを言うかなぁ」
涙子「うわキツッ」
黒子「では三人で一つの部屋に泊まってますの?」
美琴「ううん、その日だけインデックスが外泊してくれてるの」
黒子「なにぬぅ!? でっ、ではっ、本当の本当に二人きりですのぉぉ!?」
美琴「当たり前じゃない。誰にも邪魔されたくないし」
涙子(うはぁ、これはもう間違いなく一線越えてるね)
飾利(ほぼ確実ですね)
黒子「認めません認めません認めませんですのぉぉ!!」
美琴(はぁ……やっぱりこの子の説得には骨が折れるわ)
662 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:28:05.21 ID:2qH+F3eeo
黒子「ちなみに、その時あのシスターは何処に外泊されてますの?」
美琴「当麻の担任の先生の所らしいわよ」
涙子「うはぁ、さては爛れた教師と生徒の関係ですか!?」
飾利「ぬっふぇぇ~!?」
美琴「佐天さん、なにげに暴走してるよねあなたも」
涙子「たはは、すいません」
黒子「学園都市の風紀はいったい……」
飾利「だから白井さんがそれを言うのはちょっと」
663 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:30:06.56 ID:2qH+F3eeo
美琴「みんな何か勘違いしてるでしょ!
当麻の担任の先生は女性よっ」
涙子「ちぇっ、残念」
美琴「なんの舌打ち!?」
飾利「というか、上条さんって人、違う女の子と同棲してるんですか?」
涙子「うん、そこ超気になるんですけど」
黒子「確かにあのシスターの存在は何かと謎めいてますの」
美琴「同棲じゃなくて居候! 同棲じゃなくて同居!
ここ勘違いしないでよね! ねッ!」
黒子「は、はいですの……」
涙子「すごい剣幕……」
店員「……」
664 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:32:10.32 ID:2qH+F3eeo
美琴「あっ」
店員「ま、マンゴーパフェのお客様」
美琴「は、はい」
店員「ご、ごゆっくりどうぞ……」
涙子「店員さんの視線が痛い……」
黒子「ではつまり、あの殿方の担任もシスターも
殿方とお姉さまを一つ屋根の下に泊まらせるために
気を遣っているという事ですの!?」
美琴「うーん、ちょっとそこは色々とあるんだけど
結果的にはそうなるのかな」
黒子「とんだ教師ですの」
飾利「贅沢チョコパフェは55点ですね。微妙だなぁ」
涙子「もうたいらげたの!?」
飾利「はい。次は苺づくしグルメパフェにしようっと。
いっちごっ、いっちごー♪」
667 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:34:08.81 ID:2qH+F3eeo
黒子「……でしたらせめて、寮ではなくホテルに泊まったらいかがですの?
男子寮にしけこむなどと淑女としてあるまじき習慣ですの」
美琴「アイツの家じゃなきゃ意味ないでしょ!
私がアイツのご飯作ったり洗濯したりしてあげてるんだから!」
涙子「なるほどね、さっきのアレはそーゆー事かぁ」
飾利「御坂さん、すっかり通い妻ですね」
美琴「つ、つま!? そ、そう見えるかなエヘヘヘヘ……ふにゃあ」
黒子「おっ、お姉様っ、ここでそれは危ないですので
おやめくださいましあばばばばばば!!」
飾利「イチゴも変に酸っぱいしクリーム味もくどいし、こっちもまるでダメですね……
このお店けっこう期待してたのになぁ~」
涙子「何このカオス」
668 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 20:35:04.18 ID:OlPcDi/DO
初春マイペースすぎワロタ 670 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:36:04.01 ID:2qH+F3eeo
美琴「……で、話がとっちらかったから元に戻すけど、
色々あって、12月から彼氏と付き合ってます。
みんなに隠しててごめんなさい。これからはオープンに交際します」
涙子「パチパチパチ」
飾利「パチパチパチ」
黒子「ううう、とうとうご自身でお認めになられましたわね……」
涙子「幸せそうでいいなぁ~」
飾利「クリスマスやお正月も一緒だったんですか?」
美琴「まぁね。帰省したら実家もたまたま近所同士だったし、
両親達も仲良いもんだからさ、過ごしやすくて」
涙子「じゃあもうお膳立てはバッチリじゃないですか」
黒子「何のお膳立てですの……」
飾利「もちろん結婚ですよ」
黒子「ぐはぁ!!」
涙子「容赦ないなーういはるー」
674 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:38:37.48 ID:2qH+F3eeo
飾利「ってことは、彼氏さんのご両親にもお会いしたんですか?」
美琴「う、うん……というか、大覇星祭の時に
アイツのご両親とは一度お会いしてたんだけどね」
黒子「わたくしの知らぬ間にそんな事があったんですの……」
涙子「にひひ、ショックが累積してるね白井さん」
美琴「で、でもその頃はまだ付き合ってなかったし」
飾利「でもその頃から好きだったんですよね?」
美琴「……うん。母さんがその辺見抜いちゃってて
色々気を利かせてくれたみたい」
涙子「いいなぁ、家族ぐるみで恋の応援なんて」
飾利「聞いてて羨ましくなりますね」
涙子「あー、あたしもこれくらい惚れ込む彼氏欲しいなー」
黒子「初春っ、呪いの藁人形ってどこに売ってるか検索してくださいまし!」
飾利「非科学的すぎますよっ!」
675 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:40:45.73 ID:2qH+F3eeo
涙子「ところで、その彼氏さんの写真ってありますか?」
美琴「うん、今待ち受けにしてるの」
涙子「うはっ、肩を抱き合ってラブラブだ~」
飾利「あー、やっぱりあの時の人でした」
黒子「携帯のペア契約されていた時の写真ですわね」
涙子「ぺっ、ペア契約!?」
美琴「うん……あいつの連絡先を聞き出すきっかけにしようと思って
契約を持ちかけたの」
飾利「えっ?」
涙子「それってなんか順番おかしくない?」
黒子「大胆なのか奥ゆかしいのか図りかねますの」
676 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:42:31.65 ID:2qH+F3eeo
涙子「さて御坂さん、ずばり聞いちゃってもいいですか?」
美琴「な、何を!?」
涙子「昨夜の事ですよ、うふふふふ~♪」
美琴「う……やっぱりそこを聞きたいの?」
涙子「はーい、聞きたいで~す」
飾利「はーい、聞きたいで~す」
黒子「聞きたくないですの……」
涙子「多数決で決定です!」
黒子「わが国の民主主義は死に絶えましたの!
司法権を排除した多数決などという数の暴力によって!」
美琴「物騒な事言ってんじゃないの!」
飾利「現実から逃げるって大変なんですね~」
美琴「……で、実際どう話したらいいのかしら」
678 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:44:03.58 ID:2qH+F3eeo
涙子「どうって……彼氏さんの家に行ってから何をしたかですよ」
美琴「ご飯作って食べて、お風呂入って寝て、洗濯して勉強手伝ったわ」
飾利「ディティールがなさすぎです!」
美琴「ねぇそれって本当に必要!?」
涙子「だって……ねえ、そこだけ聞いてもラブラブっぷりは
想像できますけど、なんかこう、ねえ」
飾利「もっと詳しく聞きたいですよね」
涙子「たとえばお風呂は一緒に入ったのかとか」
飾利「ご飯を食べさせあいっこしたのかとか」
涙子「彼氏さんと一緒の布団に寝たのかとか」
飾利「彼氏さんの下着を洗ってあげたのかとか」
涙子「そのうち一つでもあったら凄いなーって」
美琴「あううう……(全部やったとは言いづらい……)」
黒子(……あの緩んだ表情では、全部やったといわんばかりですの)
679 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:46:15.58 ID:2qH+F3eeo
美琴「具体的にどう詳しく話せばいいの?」
涙子「それはもう、下着を彼に見せるまでの一部始終を」
飾利「佐天さんはそこばかり気にしすぎです!」
黒子「はしたないですの……」
美琴「アンタなんて頼まなくても見せてくるわよね!?」
涙子「それでそれで、彼氏さんは優しくしてくれましたか?」
美琴「ふぇっ!?」
飾利「それともちょっと強引だったり!」
美琴「ふええっ!?」
680 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:48:34.48 ID:2qH+F3eeo
黒子「ちゃんと避妊はされたんでしょうね、お姉様!?」
美琴「ちゃんとしたわよっ!! ……はっ!」
涙子「したんだ」
飾利「したんですね」
黒子「致したんですのね」
美琴「しまった、ハメられたぁぁぁ」
涙子「いや、もう今更でしょ」
飾利「ハメられちゃったんですか~」
黒子「お下品ですわよ初春ッ!」
681 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 20:49:13.80 ID:OlPcDi/DO
初春wwwwww 682 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:50:15.49 ID:2qH+F3eeo
涙子「あの、やっぱり最初は痛いんですか?
今日歩きづらいとかあったりしますか?」
美琴「えーと、その……実は昨日が初めてじゃなくってさ」
飾利「えええ!?」
黒子「なるほど、お姉様はとっくの昔から
類人猿の毒牙に侵されまくってましたのね……
うう、一体どれほど汚されたのか……」
美琴「にっ、二回目よ、まだ二回目! なんの想像してるのよ!」
涙子「痛かったですか?」
美琴「どうしてもそこを掘るのね……
まぁ、その、最初はちょーっと痛かったかな」
686 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:52:18.55 ID:2qH+F3eeo
飾利「ふえええ~!」
涙子「やっぱりそういうもんなんだー」
黒子「あの類人猿めぇぇぇぇぇ!!」
美琴「でも、アイツ自身はすごく優しいの。
割れ物を扱うみたいにして接してくれてる。
少し物足りなくて、私からグッと近付く時もあるわね」
黒子「そんな繊細な殿方には見えませんが……」
美琴「私にはちゃんと伝わってるもん」
飾利「ふぃー、ごちそうさまです」
涙子「甘々だねえ、ストロベリってるねえ」
黒子「これまたえらい死語ですの」
689 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:54:40.36 ID:2qH+F3eeo
飾利「お二人はいつもどっちがリードしてるんですか?」
美琴「普段は私だけど、二人きりのムードになるとアイツかなぁ。
あ、でも口でしてあげてる時と、上に乗った時は私のリードかも」
飾利「それってもしかして、もしかして……ぬっふぇぇ~!!」
涙子「み、御坂さんってばだいたーん!」
黒子「聞きたくない聞きたくない聞きたくないですわぁぁ!!」
飾利「白井さん、戦わなきゃですよ現実と!
ひょっとしたら二人はもっと過激な事してるかも!
○○○とか××××とか△△△△△とか!」
黒子「いやあああああああですのぉぉぉぉ!!」
涙子「キワどい言葉で追い討ちすんなっ!」
美琴(やっぱり詳細には話せないわよね……アハハハ)
691 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 20:55:59.24 ID:OlPcDi/DO
美琴の羞恥心はどこへ行っちゃったんだよwwww 692 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 20:56:41.98 ID:9CrP4EPCo
スイッチ切り替わりました~ 693 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:56:43.95 ID:2qH+F3eeo
美琴「それとね、私明日にでも産婦人科に行こうと思うの」
黒子「がはぁ!!!」
涙子「しっ、白井さ―――ん!?」
飾利「あ、事切れた」
美琴「大丈夫、黒子だもの」
飾利「そうですね」
涙子「いいんかい!」
飾利「でも、ど、どうしてですか!?」
涙子「ま、まさかもうお腹の中に彼氏さんの!?」
飾利「ぬふぇぇ~!!」
694 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 20:58:19.74 ID:2qH+F3eeo
美琴「違う、ちーがうから!
ただ単に避妊ピルを処方してもらおうと思って、ね!」
飾利「言ってる事の過激さはあんまり変わらないと思います」
涙子「うはぁ、避妊薬とかちょっと縁遠い感じだなぁ」
飾利「でも固法先輩も飲んでるらしいですし、
ジャッジメントには結構そういう人いますよ」
美琴「そうなの!? やっぱり豊胸の効果もあるのかな……」
黒子「……はっ、ここはどこですの!?
一瞬、死んだひいお婆様が向こう岸に見えたような……」
飾利「あ、戻ってきました」
美琴「ほらね」
涙子「扱いがぞんざいだー!?」
696 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:00:20.53 ID:2qH+F3eeo
涙子「御坂さん……その、彼氏さんとそういう関係になって、今幸せですか?」
美琴「うん、とても幸せ。
アイツのお陰で、昨日はすごく幸せな一夜だったってはっきり言える」
飾利「だったら良かったです。
御坂さん、一時期凄く落ち込んでたから気になってて……」
美琴「あ、あはは……あの時は色々あって一番精神的に落ちてたのよ」
黒子(お姉様が学舎の園から数日間失踪した後の事ですわね……)
涙子「うーん、正直に言うと、幸せそうなのは何よりなんですけど、
御坂さんの恋ってちょっと前のめりし過ぎてるように見えちゃって」
飾利「仕方ないですよ。誰だって恋は盲目です」
美琴「それはあるかも知れない。でも私にとってこれは、ただの恋じゃないの。
アイツとは、とても大切な夢を共有できる特別な間柄になれたのよ。
そんな恋は人生のうちで二度とできない貴重な事だと思う。
14才の小娘が何を言ってるのかって思うかもしれないけれど」
黒子(お姉様の夢見る、絵空事のように甘い世界を、あの殿方も信じているのですわね。
思えば、二人に助けられたあの時に、わたくしはとうに知っていたはずの事……)
697 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:02:31.32 ID:2qH+F3eeo
涙子「すごく……本気なんですね」
美琴「うん、これが私の最初で最後の恋になって欲しいくらいよ」
飾利「最後の恋……最初の恋よりも重い言葉ですね」
美琴「あはは、私って実は重い女なのかも。
でも良かった、アイツに想いが届いて。届かなかったら私どうなってたんだろ。
……アイツがあの時生きて帰らなかったとしたら、今頃私は……」
涙子「あの時?」
美琴「あ、いや、それはこっちの話なんだけどね。
私は私の信じる世界を、壊さずに済んで良かったなぁって思ってさ」
飾利「は、はぁ」
黒子(あの約束を……ちゃんと守ってくださってますのね、上条さん)
美琴「アイツと私はすごく似てるの。一緒と言ってもいいくらいに。
アイツが合わせてくれるわけでもなくて、アイツに合わせるわけでもなくて、
気が付いたら二人で同じ夢を信じていたの。
だから私はアイツが……当麻がどうしようもなく好きなんだと思う」
698 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:04:02.35 ID:2qH+F3eeo
黒子(悔しい事ですが……今のお姉様は心から幸せそうですの。
お姉様は遂に、ご自身の全てをさらけ出せる伴侶を手に入れられたのですわね)
美琴「だから、私はこの想いを大切にしていきたいの。ずっと、ずっと」
黒子(……、露払いを名乗るのも潮時でしょうか)
涙子「ふええ~、さすがオトナだなぁ御坂さん」
飾利「なんだかちょっと御坂さんが遠い所に行っちゃったような……」
美琴「あ、あはは、でも普段はいつも通りこんなもんよー。
あんまり変な距離感感じないでくれると嬉しいんだけど」
涙子「それはもう。名高い常盤台の超電磁砲は、いざ話してみたら
ただの恋する乙女だってよーく分かりましたから」
美琴「さ、佐天さんってば、もう!」
飾利「この四人で仲良くってのは、ずっと変わらないでいたいですね」
美琴「そうね……これからも宜しくね、佐天さん、初春さん」
涙子「いえいえ、こちらこそ」
飾利「これからも宜しくです」
黒子「……」
699 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:06:07.38 ID:2qH+F3eeo
美琴「ねえ、黒子」
黒子「な、なんですのお姉様、改まって」
美琴「これからも末永く、パートナーとして宜しくね」
黒子「お姉様……わたくしは、これからもお姉さまの傍にいても宜しいですの?」
美琴「はぁ? 当たり前じゃない。つーか何処行こうってのよアンタ」
黒子「お姉様……愛してますわぁぁおっねぇさまぁ―――ぁあばばばばばば!!!」
美琴「まったく油断も隙もありゃしない、フン」
黒子「ちょ、ちょっと抱きつこうとしただけです、の……ガクッ」
涙子(照れ隠しだよね、あれって)
飾利(ですね、二人とも)
700 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:08:04.21 ID:2qH+F3eeo
[16:33 とある喫茶店 2階ロフト]
飾利「皆さん、味的にはどうでした?」
涙子「うーん、普通かなぁ」
黒子「突出した点はありませんわね」
美琴「私、店の雰囲気は好きなんだけどなぁ」
飾利「じゃあまた次のお店をチェックしなきゃです」
涙子「4時半を過ぎたし、暗くならないうちに帰らないとだね」
美琴「じゃあ私先に会計しておくわ。
(下から覗かれないように最初に降りようっと)」
涙子「ごちでーす!」
飾利「ごちそうさまでーす」
黒子「ごちそうさまですの」
ヒュインッ
涙子「あ、だからズルいって!」
飾利「この階段下りると急で怖いですね……」
涙子「白井さん、私達も連れてってくれたらいいのに~」
701 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:10:03.55 ID:2qH+F3eeo
[16:35 とある喫茶店前]
涙子「じゃあ、私達はこっちの方角なんで」
飾利「ここでお別れですね」
美琴「うん、またね二人とも」
黒子「ごきげんようですの」
飾利「うう、両手が塞がっててバイバイできないですぅ」
バサァ!
飾利「ひい!? だからそれやめてくださぁーい!」
涙子「あんた花だのマスクだの買いすぎなのよ……。
んじゃ代わりに私が両手でバイバーイ!」
美琴「元気ねえ、佐天さんは」
黒子「あの天真爛漫さは羨ましいですわね」
702 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:12:53.55 ID:2qH+F3eeo
[16:51 常盤台中学 学生寮 入り口付近]
黒子「……」
美琴「ねえ、黒子」
黒子「はい」
美琴「今の私、おかしいのかな」
黒子「ちょっとお浮かれ気味のようですが、まぁ普通の範囲だと思いますの」
美琴「ごめん、私が浮かれてる間に一番迷惑かけてるのはアンタだよね……」
黒子「お姉様……」
美琴「今度からは、せめて外泊申請してから出掛けるようにするわね。
寮監が納得してもらえるような理由を捻り出すのは大変そうだけど……」
黒子「そんな面倒な事しなくとも、わたくしのテレポートでちょちょいのちょい、ですの」
美琴「でもそれじゃアンタが寮監に……」
黒子「わたくしとて、咎める事に必死になるよりも
お姉様の幸せの一助になれる方が何倍も嬉しいですわ。
ちょっと癪な気持ちはございますけれど……わたくしもあの殿方を信じてみますの」
美琴「黒子……」
703 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:14:13.52 ID:2qH+F3eeo
黒子「ただ、重ねてご忠告申し上げますが、避妊だけはしっかりなさってくださいまし!
お姉様のクラスで問題になったような、あのような事が
お姉様自身に降り掛かるのは耐えられませんの」
美琴「そこは勿論よ。それに……」
黒子「それに?」
美琴「……もしそうなっても、アイツならきっと、いいパパになってくれると思うの」
黒子「ほねぇぇぇさばぁぁぁ―――!?
それだけは何があっても許されませんですのぉぉぉ―――!?」
寮監「相変わらずかしましいな貴様達は」
美琴「げっ」
黒子「げっ」
寮監「ところで御坂。貴様、昨夜は無断外泊したな?」
美琴「あわわ、あわわわわ……!」
寮監「連帯責任で二人とも折檻だ」
黒子「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ……!」
グギャッ
コキャッ
704 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:16:08.87 ID:2qH+F3eeo
[22:31 常盤台中学 学生寮 208号室]
美琴「くっそー、まだ首が痛い……」
黒子「二晩連続で首がががが」
美琴「ごめんね黒子」
黒子「こ、このくらい耐えてみせますの」
美琴「じゃあね、おやすみ」
黒子「おやすみなさいませ、お姉様」
美琴「……」
ポチポチポチ……
--------------------------------------------
【From】Mikoto-misaka@tokiwadai-jh.ed.jp
【To】 Touma-kamijyo@toaru-hs.ed.jp
【Sub】 報告
--------------------------------------------
黒子達に全て打ち明けました。
みんな受け入れてくれて感謝です。
持つべきものは友達ですね(*´ω`*)
寮監のことはなんとかしますので、
再来週もまた宜しくお願いします。
来週のパーティーも楽しみです。
ではおやすみなさい、当麻。
--------------------------------------------
美琴「ふふっ、なんでメールだと敬語なんだろ、私」
705 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:18:28.46 ID:2qH+F3eeo
……
……
……
……
ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪
美琴「!」
ポチポチポチ……
--------------------------------------------
【From】Touma-kamijyo@toaru-hs.ed.jp
【To】 Mikoto-misaka@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:報告
--------------------------------------------
いい友達を持って良かったな。
白井も根はいいヤツだよな~。
来週のことはよろしく頼みますよっ。
俺よりむしろインデックスの方が
テンション高くなっちまってるし(笑)
もちろん再来週も楽しみに待ってるよ。
おやすみ、美琴。
--------------------------------------------
美琴(私、幸せだなぁ……でも今日は布団の中が少し肌寒い……。
当麻、またアンタに抱きしめてもらえるの、楽しみにしてるんだからね。
今度泊まりに…行くときは…もっと……とうまと……zzz……)
708 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:20:02.04 ID:2qH+F3eeo
[06:13 常盤台学生寮 208号室]
美琴「んむ……むにゃむにゃ……
……んふ、とーまはイッた後に……こうやって
ぺろぺろ~ってされるのが……好きなのよね……
……だぁーめ イくまで……逃がさないんだから……
やんもう……そこは舐めちゃダメ?……やっぱり舐めてぇ……
……もっと……いっぱい動いて……いいよぉ……とーまぁ……
……んふふー……スキンはまだ沢山……あるんだからね~♪……むにゃ……」
黒子(わたくしの麗しきお姉様に何を仕込んどるんじゃコルアァァァ!?
やっぱりあの類人猿、絶対にコロしてやりますのぉぉぉ~~~!!)
- True End…? -
709 :
◆nE9GxKLSVQ :2011/01/30(日) 21:22:11.06 ID:2qH+F3eeo
投下終了です
お読みいただきありがとうございました
この後の話の構想がないわけではありませんが、
あまり水平展開するのもどうなのかなぁと思ってます
718 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 21:33:23.99 ID:RkjrDOpT0
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ 716 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 21:30:08.16 ID:/A9mBDFOo
俺のニヤニヤが留まるところを知らないィィ!! 720 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 21:36:28.20 ID:ofIWPj5Uo
おつうううううううううううう!!!!
もっとあんなシチュやこんなシチュが読みてぇええええええええ
って思うくらい面白かった
またこれくらい濃いネタで降臨してきてください!
できれば制服プレイとかおもちゃ使ったプレイとかうんたんうんたん… 721 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 21:46:11.14 ID:Ogjv5SSR0
おつ!!!!制服プレイとかめっちゃ読みたかったとかなんたらかんたら 723 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 21:58:56.58 ID:ydYZR4pBo
乙!
しかし寮監をなんとかできるビジョンが思い浮かばない… 724 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 22:15:40.87 ID:YVvt81wIO
パーチーは!?パーチーはまだか!!! 728 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 22:50:58.35 ID:0U4j9ITPo
乙乙!
ニヤニヤしすぎてモニタに写る俺の顔がキモかった 729 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 22:52:05.64 ID:XU7rs8c9o
乙
黒子は、上条さんにドロップキックでもお見舞いしてやるべきだと思うwwww 725 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/30(日) 22:21:39.91 ID:+sMwGIov0
乙
>>1に惜しみない賞賛を! 関連作品前作→
黒子「涙のリグレット、ですの」次→
美琴「当麻の居る世界」 美琴「アイツの居ない世界」
スローセックス―彼を虜にする愛の教科書 かなりHな夜の教科書 あなたの「性知識」は間違いだらけ! 社会的には死んでも君を! (MF文庫J)
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