1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:14:44.76
ID:TPsRFZGt0
魔王「私に付けば世界の半分をお前にやろう」
勇者「半分!?」
魔王「(なんかリアクションが大げさだな……)」
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:41:36.18
ID:TPsRFZGt0
勇者「は、半分……」
魔王「(なかなかいい手応えだな、所詮人の子か)」
勇者「ひ、一つ聞きたい!」
魔王「何だ」
勇者「その半分にお前は含まれているのか!」
魔王「」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:42:35.97
ID:TPsRFZGt0
魔王「は?」
勇者「世界の半分だろ!
それは土地だけじゃなくそこに住む者も含めての話のはずだ!」
魔王「もちろんそうだが」
勇者「な、なら!」
魔王「だが私を含むわけ無いだろう」
勇者「」ガーン
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:43:07.15
ID:TPsRFZGt0
勇者「そ、そんな……」ガク
魔王「(なんだ一体……)」
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:43:43.61
ID:TPsRFZGt0
勇者「じ、じゃあ! 10分の1でいいからお前を入れるというのは!」
魔王「10分の1だろうと1000分の1だろうと
私がお前のものになったら分前の意味などあるまい」
勇者「なら、私もお前のものになれば問題ないって事だな!」
魔王「(なんか戦ってないのに疲れてきた)」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:44:09.23
ID:TPsRFZGt0
魔王「お互いがお互いのものなんて恋人でもあるまいし」
勇者「! お、お前……」
魔王「?」
勇者「そういうのは約束が成立したあと少し恥ずかしそうに言えよ!」
魔王「…………」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:44:48.18
ID:TPsRFZGt0
魔王「お前は私に何を求めているんだ」
勇者「お前自身だ!」
魔王「……? 魔王の座が欲しいというわけか?」
勇者「違う!」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:45:23.02
ID:TPsRFZGt0
勇者「ああもう、お前と話していても埒が明かん!」
魔王「こっちのセリフだ」
勇者「よし、お前の親連れて来い!」
魔王「何故」
勇者「で、その後私の両親に会え!」
魔王「何故」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:47:07.98
ID:TPsRFZGt0
魔王「お互い親を持ちださねばならん歳でもあるまい」
勇者「! ……」
魔王「……?」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:48:38.43
ID:TPsRFZGt0
勇者「そう、だな……」
勇者「親の許可なんて必要ない!
大事なのは私達の気持ち、そうだよな!」
魔王「当たり前だ」
魔王「……」
魔王「(しかし私の考えとは微妙に違う気がする)」
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:50:33.51
ID:TPsRFZGt0
勇者「じ、じゃあ聞くが!
お前の気持ちはどうなんだ!」
魔王「お前のことは高く評価しているが」
勇者「ど、どの辺を評価したんだ!?」
魔王「どの辺て」
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:52:48.47
ID:TPsRFZGt0
魔王「たった一人、我が軍の精鋭たちをなぎ倒して現れたのだ
その力は私さえ超えている可能性もあるだろう
世界の半分と言ったとおり、私と同格と認めよう」
勇者「うんうん、そうだ、互いが同格、認め合う、当たり前だよな」
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:54:26.59
ID:TPsRFZGt0
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「………………」
魔王「?」
勇者「……それだけか?」
魔王「それだけ?」
勇者「お、お前、それだけのことで自分に付き合えだなんてよく言えるな!」
魔王「…………」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:57:03.13
ID:TPsRFZGt0
勇者「私は何もできない女だ……生まれた時から勇者として鍛錬に明け暮れ、
他のことなど何もできない」
魔王「そうなのかもしれんが、苦手なことは私がいくらか補佐してやるぞ」
勇者「!」
魔王「……?」
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:57:59.23
ID:TPsRFZGt0
勇者「ふ、ふふ……お前はなんて男だ
いや、私が馬鹿だった
そうだ、共に生きるとはそういうことなんだ……」
魔王「(なんかよくわからんが、納得したようだ)」
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 19:59:57.68
ID:TPsRFZGt0
勇者「よし、私はお前とともに歩む!」
魔王「そうか、嬉しいぞ」
勇者「う、嬉しいって、臆面もなくそういうこと言うな!」バシッ!
魔王「(顔真っ赤にして何を言ってるんだこいつは?
ちょっと涙目だし……)」
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 20:02:40.74
ID:TPsRFZGt0
一ヶ月後
魔王と並ぶ地位を手に入れた勇者主導の元
盛大な結婚式が魔王城にて開かれた
魔族人間を問わない客人たちの祝福の拍手の中
真っ白なドレスに身を包み、涙で頬を濡らしながらブーケを投げる勇者を横目に
式が終わり子供が生まれるその日まで
魔王の頭の上には疑問符が浮かび続けていたという
おしまい
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/02(金) 20:38:40.09 ID:LCVu1YCKo
ちょっとよくわからないからもうちょっとつづけて?
23:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 01:24:16.76 ID:DeifZE6aO
子作りはしてたんですね
24:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 12:55:56.99
ID:qGKub6LO0
・・・・・・・・・・・
魔王「これが、私と母さんの馴れ初めだ」
勇者子「(私達が生まれるまで理解が追いついて無かったんだ……)」
魔王子「(っていうか理解してないのにやることやったんだ……)」
魔王「今にして思えば、全ては勇者の策略だったのかもしれんな」
子s「え?」
25:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 12:57:13.54
ID:qGKub6LO0
魔王「魔物の統率者である私がいなくなれば、世の混乱は大きなものとなっただろう
だが、勇者は平穏に両種族の平和を手に入れた
全く、敵わないな」
魔王子「(絶対に違うと思う)」
勇者子「(確実に違うと思う)」
26:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 12:59:05.78
ID:qGKub6LO0
魔王「ふぅ……」
魔王子「? どうしたの、父さん?」
魔王「勇者は、幸せなのだろうか?」
勇者子「え?」
魔王「思えば、あの時も勇者は泣いていた
いかに最良の手段とはいえ、戦士として、女として
好きでもない相手に身を捧げるなど、嫌悪と屈辱でいっぱいだったはずだ」
勇者子「(兄さん)」
魔王子「(何?)」
勇者子「(お父さん一発殴っていいかな?)」
魔王子「(本人は真剣に悩んでるから……)」
27:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:00:03.22
ID:qGKub6LO0
魔王「今の平和は……お前たちが生まれたのも、もしかしたら私が今生きているのも
勇者のおかげ、と言えるかもしれない
私は今幸せだ、だが、勇者のことを思うと……」
勇者子「お父さん」
魔王「? どうした?」
勇者子「もしかしてバカなんじゃな」フガッ(口に手
魔王子「シッ!」
魔王「?」
28:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:00:44.88
ID:qGKub6LO0
魔王子「それなら、母さんに一言言ってあげればいいよ」
魔王「一言?」
29:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:03:51.28
ID:qGKub6LO0
ガチャ
魔王「勇者」
勇者「あ、ま、魔王か」
魔王「今日も魔族の言葉の勉強か、
私や通訳もいるのに、お前の勤勉さには頭が下がる」
勇者「お前は私と会った時から、人間の言葉がペラペラだったじゃないか」
魔王「為政者として当然だ……と言いたいが
実のところ、お前が現れなければ学ぼうとも思わなかったろうな」
勇者「え?」
魔王「一度お前と語らってみたかった
そのために勉強していたが……
はは、お前の来るペースが想像以上に早くてな、少し焦ったぞ」
勇者「だ、だからっ! いつもいつもそういうことをさらっと言うな!」カァァ
30:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:04:31.74
ID:qGKub6LO0
魔王「……お前には本当に感謝している
あの時には見えなかった、人間の面も色々と見ることができた」
勇者「な、なんだ、神妙な顔で……」
魔王「私にこんなことを言う資格があるのか、わからないが……
ありがとう、愛している」
勇者「」
31:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:04:58.54
ID:qGKub6LO0
勇者「」
魔王「」
勇者「」
魔王「……」ドキドキ
勇者「」
魔王「あ、あの……」
勇者「」ブワッ!
魔王「!?
32:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:05:37.47
ID:qGKub6LO0
魔王「ど、どうした!?」
魔王「(や、やはり私の事など!?)」
勇者「す、すまん……か、勝手に涙が……」
33:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:06:25.81
ID:qGKub6LO0
勇者「さ、最近、ちょっと、思ったんだ……」
勇者「もしかしたら、お前、私の言ってること、全然わかってないのに、
その場の勢いで結婚とかしたのかな、って……」グスッ
魔王「そこはまぁ、そうだっ!?」ガスッ(石
ドアの影
子s「」ゴゴゴ
魔王「(殺気!?)」
34:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:09:37.99
ID:qGKub6LO0
勇者「で、でも、今、愛してるって言ってくれて……
そしたら、なんか、嬉しくって……」グスグス
魔王「……」ギュ
勇者「ま、魔王?」
魔王「ふふ、今、初めてお前を抱きしているような気がする」
勇者「こ、子供まで生まれてるのに何言ってるんだ!?」カァッ
35:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:10:08.48
ID:qGKub6LO0
勇者「っていうか、やっぱり何もわかってなかったのか!?」
魔王「何を気にする必要がある?」
勇者「な、何をって……」
魔王「私は今、幸せだ
愛する者に愛されていたと、今更わかった」
勇者「~~~っ! 遅すぎだ、バカ!」
36:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:10:42.84
ID:qGKub6LO0
魔王子「」グイッ
勇者子「あ、ちょ、ちょっと引っ張らないで!」
魔王子「親がイチャイチャしてる所覗くなんて趣味悪いでしょ」テクテク
勇者子「えー……」ズルズル
37:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:11:25.44
ID:qGKub6LO0
この出来事は、世界に平和が訪れたことに比べればとても小さいが
この家族にとっては、とても大きな出来事であったという
おしまい
39:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 13:49:35.04 ID:wyld1Q0ko
おつ
41:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 15:19:10.93 ID:CxBJ9K/to
最後がハッピーエンドで気持ちよかった(小並感)
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