【世にも奇妙な物語っぽい話】僕「伝説の勇者・・・?」

2016-02-05 (金) 18:01  魔王・勇者SS   1コメント  
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:21:12.76 ID:j+tZBPmK0






女神「勇者よ。勇者よ・・・。目覚めなさい・・・」







2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:22:41.21 ID:j+tZBPmK0

女神「悪の魔王が世界を支配しようとしています・・・」

女神「あなたは、魔王を打ち滅ぼさなければなりません」

女神「今こそ、その力を世界のために役立てる時なのです・・・」



僕「・・・はぁ」






3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:23:25.92 ID:j+tZBPmK0

女神「と言っても、助けがなくては心細いでしょう。聖なる剣と、使いの精霊を」

女神「あなたに授けましょう・・・」ピロピロピロ・・・


精霊「初めまして!わたし、リリー!」

精霊「わからない事があったら、何でも聞いてね?」



僕「・・・はぁ」





4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:24:15.45 ID:j+tZBPmK0

女神「それでは、頼みましたよ勇者。1週間後には」

女神「魔王があなたの元へと訪れるでしょう・・・」



僕「・・・はぁ」





5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:25:24.59 ID:j+tZBPmK0





女神「伝説の勇者よ。決して、くじけてはいけませんよ・・・」ポワポワポワ・・・







6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:26:05.21 ID:j+tZBPmK0



そう言い残すと、四畳半の狭いアパートの一室から

今のわけのわからんモノは消えた。





7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:26:39.86 ID:j+tZBPmK0



僕「・・・夢?」

精霊「最初は、スライムを倒してレベルを上げるのよ」





8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:27:16.26 ID:j+tZBPmK0



夢じゃないようだ。証拠に、なんだか光の塊みたいなものが

僕の周囲をフワフワと飛び回っている。それにいつの間にか

目の前の床に一本の剣が・・・。





9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:28:13.71 ID:j+tZBPmK0



僕「今の・・・一体なに?」

精霊「次のレベルまで、あと 28 の経験が必要よ。勇者、がんばって!」


どうやらこの精霊とやらは一定のことしか言えないようだ。





10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:29:09.97 ID:j+tZBPmK0



僕の名前は雪野勇司(せつのゆうし)。この名前のお陰で、

小さい頃は伝説の勇者なんてよくからかわれたものだ。

しかし、今はの僕は世界を救う冒険なんかとは縁もゆかりもない

ただの一人暮らしの大学生だ。





11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:30:15.48 ID:j+tZBPmK0



僕「いきなり魔王を打ち滅ぼせなんて言われてもなぁ・・・」


そう。困ったことに僕はスポーツを集中的にやった事なんてなく、

ましてや剣なんていままで持ったこともない。

さらに、たった1週間後には魔王とやらがやってくるのだ。





12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:31:50.74 ID:j+tZBPmK0



僕「参ったなこれは」


何だか、昔やったゲームを思い出した。

あのゲームも始めはこんな感じで、最初はスライムを倒して

レベル上げする所なんかもそっくりだ。

だけれど、これはゲームじゃなくて紛れもない現実だ。





13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:32:34.51 ID:j+tZBPmK0



僕「・・・どうしたらいいの?」

精霊「体力が少なくなったら、宿屋に泊まれば回復するよ?」

僕「・・・どうも」





14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:33:59.38 ID:j+tZBPmK0



次の日、とりあえず学校へと向かう。休めない講義があるからだ。

精霊が周りの人に見られないかとビクビクしたが、

どうやら他の人には見えないらしい。





15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:35:11.53 ID:j+tZBPmK0



友「よー、勇司!今日元気ないじゃんどうしたの」


友人が声をかけてくる。


僕「いや、ちょっと変な夢見てさ・・・」


まさか、1週間後に魔王と対決しなければいけなくて困ってるなんて

相談するわけにも行かない。





16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:36:00.75 ID:j+tZBPmK0



女友「変な夢ぐらいでそんなゲッソリしてるの?」


夢だったらどんなに良かったか。

悩みのない連中が羨ましい。





17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:36:42.09 ID:j+tZBPmK0



僕「ああ。かなり最悪でさ・・・」

友「ストレスとか溜めすぎなんじゃないの?」

女友「運動とか始めたら?」

男「大丈夫。ありがとな」


友人達の優しさがしみる。





18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:37:42.36 ID:j+tZBPmK0



講義中も内容がさっぱり頭に入ってこない。

これからどうしたらいいのか、精霊の言っていたスライムとやらは

どこを探せばいるのか、もし魔王ってのが来たらどうなるのか・・・。

そんな事ばっかりだった。、





19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:38:47.43 ID:j+tZBPmK0






大学から帰宅して、早速これからどうするか精霊に相談する。

僕「スライムってどこに居るの?」

精霊「薬草は、体力を回復してくれるよ?」

僕「いや・・・薬草じゃなくて。スライムはどこを探せば出てくるの?」

精霊「今の勇者のレベルは 1 よ。ファイト!」

僕「そうじゃなくて。スライム・・・」

精霊「次のレベルまで、あと 28 の経験が必要よ。勇者、頑張って!」





20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:40:31.33 ID:j+tZBPmK0



・・・頭を抱える。

頼みの綱の精霊がこんななら、スライムをどうやって見つけたらいいのか。





21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:41:22.66 ID:j+tZBPmK0



僕「一体、どうしたらいいんだ・・・?」

精霊「草むらは、モンスターが多く出るから気をつけて!」


・・・草むら?草むらを探せばスライムが居るのか?

少し離れた所に草の生い茂った空き地がある。

僕は深夜になるのを待って、剣を持って出かけることにした。





22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:42:45.33 ID:j+tZBPmK0






剣はなるべく目立たないように布でグルグル巻きにし、

極力人目を避けるようにして空き地へと向かう。





23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:43:41.20 ID:j+tZBPmK0



空き地へ到着し、草がボーボーに生い茂ったそこへ入り込んだ。

布で巻いた剣でその辺の草をさぐって見る。

何かがピョンと跳ねた気がしたが、多分バッタか何かだろう。





24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:44:27.43 ID:j+tZBPmK0



1時間ほど辺りを探し回ったが。スライムどころか

猫の子一匹見つけることが出来ない。

僕は、途方にくれてその空き地を後にした。





25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:45:09.77 ID:j+tZBPmK0





ネットだ。ネットで調べるんだ。

家に帰り、早速スライム、モンスターと検索をかける。

「へぇ、スライムは元々アメリカの小説が発祥で・・・」


出てくるのはゲームや小説の話ばかりで、ロクな情報が手にはいらない。





26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:46:08.70 ID:j+tZBPmK0



「掲示板で聞いてみるか・・・」

大勢の人が集まる掲示板で、「スライムはどこに居るの?」と

質問して見た。

初めは冗談と思われ、最後は本気で心配されてしまった。


次の日、疲労と寝不足でフラフラになっているのを友人達に

誤魔化すのが一苦労だった。





27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:47:28.67 ID:j+tZBPmK0






何の成果もない6日があっという間に過ぎ。

スライム1匹倒せないまま、とうとう明日魔王がやってくる日になってしまった。


僕「ど・・・どうしよう。いよいよ明日だよな?」

精霊「薬草は、体力を回復してくれるよ?」

僕「今、僕はレベル1なんだろ?魔王を倒すにはレベルいくつぐらい必要なんだ?」

精霊「モンスターは、たまに宝箱を落すよ?」

僕「一体、どうなるんだ・・・?」

精霊「次のレベルまで、あと 28 の経験が必要よ。勇者、がんばって!」





28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:48:26.76 ID:j+tZBPmK0



何かしなくちゃいられない。

ムダとわかりつつも、僕はまた空き地へと出かけた。





29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:49:05.97 ID:j+tZBPmK0



「くそっ、スライム!スライムはどこだー!」

半分ヤケクソになりつつも剣を振り回し、周囲の草をばっさばっさとなぎ倒す。

当然、スライムなんて出てくるわけがなかった。





30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:50:02.09 ID:j+tZBPmK0






そしていよいよ運命の日。

僕は自分の部屋で落ち着かずにソワソワしていた。

逃げようかとも思ったが、魔王ならどこまでも追いかけてくるだろうと

考えてそれはやめにした。今日も講義のある日だったが、

当然出てなんていられない。





31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:51:19.33 ID:j+tZBPmK0




ピンポーン・・・


チャイムが鳴らされた時、僕は体が飛び跳ねた。






ピンポーン・・・




















32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:52:14.34 ID:j+tZBPmK0






麦茶を出し、ちゃぶ台を挟んで尋ねてきた男と相対する。


男「私、こういう者です」


男が名刺を差し出した。

それには「○×商事◇△課係長 芥野 真男」と書かれていた。





33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:52:57.04 ID:j+tZBPmK0



男「あくのまさおと読みます。昔は悪の魔王、なんてからかわれましてね」

そう言って40台後半ぐらいの男は小さく笑った。





34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:54:13.91 ID:j+tZBPmK0




僕「今日は、どういったご用件で・・・?」



男「いやね。実はつい1週間前変なお告げがありましてね」

僕「お告げ・・・?」

男「そうです。何と言うかこう、いかにも悪魔の化身のようなものが現れましてですね」

男「お前は勇者を倒し、世界を支配するのだ、ワッハッハ・・・とね」

僕「はぁ・・・」





35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:55:58.98 ID:j+tZBPmK0



男「初めは夢かと思ったんですが、こんな物が・・・」


そう言って男はカバンから水晶玉のようなものを取り出した。


男「何やら、勇者の居場所がわかる水晶玉だそうです」


のぞき込んでみると、確かに僕のアパートが写っている。





36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:57:05.39 ID:j+tZBPmK0



男「1週間後、見事、勇者を討ち取って見せよ、ワッハッハ・・・」

男「そう言ってそれは消えてしまいました。一体、何だったんでしょうかね」

僕にもさっぱりわからない。





37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:57:48.76 ID:j+tZBPmK0



僕「僕を討ち取りに来たんですか・・・?」

男「いやいやいや、そんな・・・」

そう言って男は麦茶を一口すすった。





38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:58:56.41 ID:j+tZBPmK0



男「例えば、アナタを討ち取ったとして・・・」

男「その後、どうやって世界なんて支配したらいいんでしょうかねぇ」


男のいう事も最もだった。





39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 12:59:45.43 ID:j+tZBPmK0



男「まあ仮に、何か妙な力が働いて世界を支配できるようになるんだとしても・・・」

男「社内の把握すらおぼつかない私には、重圧に耐えらませんねぇとても・・・」


男は自嘲気味に笑ってからため息をついた。





40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 13:00:37.88 ID:j+tZBPmK0



男「そして、アナタを討ち取って・・・まぁ殺すって事なんでしょうけども」

男「さっき言ったような事が何もなかったなら、私はただの殺人犯ですよ」

男「こんな私にも、家族がいるんです。そんなリスクはとても犯せませんよ・・・」


男はそう言ってまた麦茶をすすった。





41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 13:02:02.95 ID:j+tZBPmK0



男「まあ、本来なら無視しても良かったんですが、万が一アナタも同じ境遇だったとしたら」

男「さぞかし怖い思いをしてるだろうと思いましてですね。本日はこうして来たわけですよ」

僕「ええ、実は僕の所にも1週間前に変なのが現れて・・・」


僕はこれまでのいきさつを男に説明した。





42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 13:03:03.18 ID:j+tZBPmK0



男「それはそれは。アナタも大変でしたねぇ・・・」

男「まあ、本当はもっと早く来るべきだったんでしょうけど。なにぶん忙しくてね・・・」

男「・・・そういう訳で。私は何もするつもりはありませんから・・・。ご安心下さい」





43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 13:04:01.15 ID:j+tZBPmK0



そう言って男は麦茶を飲み干すと立ち上がった。


男「どうもご馳走様。では、これから会議がありますので、この辺で・・・」

そういうと、男は帰っていった。

僕は独り、部屋でしばらくポカンと佇んだ。





44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 13:04:55.95 ID:j+tZBPmK0





僕「・・・何が、どうなってんの?」


精霊「次のレベルまで、あと 28 の経験が必要よ。勇者、がんばって!」










オワリ








45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 13:06:00.17 ID:j+tZBPmK0

以上です。それっぽく書けたでしょうか?
読んでくれた方感謝です




47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 18:14:01.60 ID:5srGQSZvO


一回につきひとつはある頭おかしい話っぽい




49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/26(火) 20:14:56.04 ID:rEBNHH4eo

いかにも映像が浮かぶそれっぽさだった
何が怖いってずっと妖精に付きまとわれそうなとこだな




元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453778472/

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魔王・勇者SS   コメント:1   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
46742. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2016/02/06(土) 00:08 ▼このコメントに返信する
あるある。特にオチもなく終わる回。
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