1:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:34:29
ID:fCWfJJqA
魔王「はぁ~・・・俺が魔王になってどれくらいだろうか・・・」
側近「一千年と少しくらいですね」
魔王「この世界を統一してしまうともうやることないよな~」
側近「一応魔王様を倒そうとする勇者がたま~に来るじゃないですか」
魔王「その勇者が前に来たのはいつだっけ?」
側近「二百年くらい前ですね」
魔王「もう人間どもは諦めて魔族と普通に交流してるし・・・そもそも俺を倒そうとしていた神々が俺を崇めている状態だからな~・・・」
側近「魔王様でなければ世界は幸せにできませんでしたよ」
魔王「あ~・・・俺はなんかこう・・・ものすごく戦うのが好きだった気がする・・・」
魔王「だから戦って戦って戦って・・・いつの間にか魔王になってた」
側近「なにかものすごく省略された気がしますけど」
魔王「だってしょうがないじゃ~ん・・・もうよく覚えてないんだもの」
魔王「あ~あ・・・今日もこの異世界から来た漫画とかいうのでも読んで無駄に生きるか・・・」
側近「でしたらこれが昨日発見された新たな漫画でございます」
魔王「そこに置いておいて~・・・あとなんか飲むもの持ってきて~」
2:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:35:13
ID:fCWfJJqA
側近「かしこまりました」
魔王「えっと・・・これは新しいやつだな・・・おぉ・・・おぉぉおおぉ!」
側近「魔王様、お茶とお酒と炭酸水をお持ちしました」
側近「どれを飲まれますか?」
魔王「側近!俺は決めたぞ!!」
側近「はぁ・・・そんなにのどが渇いていたのですね。気が付かなくて申し訳ございません」
魔王「そうではない。俺を倒す勇者が現れないなら俺が勇者を育てればいい!」
側近「はぁ・・・しかし魔王様を倒すことのできるほどの力を持つ勇者など生まれるのでしょうか・・・」
魔王「異世界から連れてくればいい!漫画というものがこちらに来るのだから理論上これを書いたものがいるはずだ!」
魔王「ちょっと無理をすれば人一人連れてこれるだろう!」
側近「はぁ・・・まあ、理論上はそうかもしれないですけど・・・実際連れてくるときその者が死んでしまったらどうするのですか?」
側近「流石にそう何人もつれてこれないと思いますよ」
魔王「な~に、最悪魂を勇者の一族の赤子に宿らせるさ」
3:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:35:54
ID:fCWfJJqA
魔王「いや、育てるという観点から考えて最初からそのほうがいいな」
魔王「そうしたら俺は勇者の父親として育てる方がいいな」
魔王「となると母親もいるよな・・・よし、側近よ!今日から俺とお前は夫婦だ!」
側近「え、あの・・・えぇ!!いや、魔王様・・・とても嬉しいんですけれどもいきなりそんな・・・ま、まだ心の準備が・・・それに人とおつきあいとか今までしてこなくて・・・あの・・・」
魔王「何勘違いしている。勇者を育てるために仮初の夫婦をやるんだよ」
側近「で、でも・・・仮初でも魔王様と夫婦・・・はぁぁぁ!」
魔王「倒れやがった・・・普段クールにしているのに結構おぼこいな」
魔王「まあいい、この異世界の漫画、『異世界転生したら魔王倒した』を参考に勇者を育てるぞ!」
魔王「そうだな、プロジェクト名・・・」
魔王「勇者を育てて自分を討伐させる!」
4:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:36:33
ID:fCWfJJqA
男「あぁ~なんで俺はこんなに不幸に見舞われるんだ・・・」
男「両親は酒浸りのパチンカス・・・会社はブラック・・・」
男「もう死んじゃおうかな~・・・な~んていっても死ぬ勇気もない俺は悲しく会社に行くしかない・・・」
男「あ・・・トラック・・・」
5:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:37:14
ID:fCWfJJqA
魔王「あれから一ヶ月かけてようやく人一人の魂を呼び寄せることに成功した」
側近「まさか本当に成功するとは思いませんでしたよ」
魔王「それは俺もだ」
魔王「暇つぶし程度になるかと思っていたがまさかこの魂が向こうから飛んできたときは驚いた」
側近「それではその魂をこの女性に・・・」
側近「先日勇者一族の本家の者と性交をさせて受精したことを確認しました」
側近「今のうちならその魂を受精卵に定着させられるはずです」
魔王「・・・よし、押し込むとき少し痛いかもしれないが我慢しろよ」
魔王「はぁぁぁあ!」
魔王「・・・どうだ・・・一応は入ったようだが・・・」
側近「一応成功でしょうか・・・あとは生まれてくるのを待つしかありません」
6:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:37:57
ID:fCWfJJqA
男「なんだろうここ・・・すごくあったかくてきもちいい・・・」
男「ここなら会社に行かなくてもすむし食事の心配もないし楽だな~」
男「昔もここに来たことがある気がするなぁ」
7:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:38:30
ID:fCWfJJqA
魔王「あれから十ヶ月経った。代理母の子供は順調に育ち、いま出産の時を迎えている」
魔王「ま、まだなのか・・・まだ生まれないのか・・・」
側近「魔王様落ち着いてください!そんなにイライラしていると妊婦も不安になります!」
側近「外で待っていてください!!」
魔王「お、おう・・・すまない・・・」
魔王「・・・」
魔王「・・・」
魔王「・・・」
魔王「・・・」
魔王「・・・ええい!まだなのか!!」
側近「生まれました!元気な男の子です!」
魔王「そうか!よくやったぞ側近!」
側近「い、いえ・・・私が産んだわけじゃないので・・・放してください」
魔王「あぁ、すまなかった」
魔王「それで代理母は?今回のことはきちんとお礼を言わないと」
8:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:39:05
ID:fCWfJJqA
側近「それが・・・赤子が生まれた途端容態が急変して・・・」
魔王「そ、そんな・・・」
側近「魂を入れたことで無理がたたったのか・・・」
魔王「悪い事をしたな・・・彼女を手厚く葬ってやれ」
側近「手配します」
側近「それと・・・魔王様、父親となったのですからこの子にお名前を授けてください」
魔王「ああ、そうだな。実を言うと名前は決めてある」
魔王「“男”だ!強くたくましく、俺を討伐する勇者、男の誕生だ!」
側近「いい名前ですね。これから頑張ってくださいね」
魔王「ああ。側近も母親として頑張ってくれよ」
側近「は、母親・・・魔王様と夫婦・・・うぅぅぅ」
魔王「また倒れやがった・・・」
9:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:39:53
ID:fCWfJJqA
魔王「ほらほら、脇が空いてるぞ!そんなんじゃ勇者にはなれないぞ!」
男「やぁ~!と~!」
側近「魔法はパズルと同じです。魔法陣を思い描いて発動させたい魔法に必要なルーン文字を描いていくのです」
男「えっと・・・うぁ~!火が出た~!!」
魔王「いいか男、今の魔王はどこか狂ってしまっている。あいつを倒せるのはお前しかいないんだ」
魔王「勇者として、みんなを導いていくんだ」
男「はい、父さん!」
側近「男・・・私の可愛い息子・・・王様に会うときは無礼な振る舞いはしてはいけませんよ」
側近「決して“あんたが王様か~”とか“あんた偉そうだな~”とか言ってはいけませんよ」
男「さ、流石にそんな無礼な人はいないと思うよ、母さん・・・」
10:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:40:28
ID:fCWfJJqA
魔王「あの子が生まれて十五年か・・・」
側近「立派に育ちましたね」
魔王「ああ、勇者として王様に呼ばれたんだ・・・強くなったよ」
側近「・・・寂しいですね」
魔王「そうだな・・・」
側近「あの・・・魔王様・・・」
魔王「んん?」
側近「もし・・・魔王様がお嫌でなければなのですが・・・私と子供を・・・作っていただけませんか・・・」
魔王「え・・・えぇぇ!?」
側近「だって・・・今まではあの子の父親と母親として一緒にいましたけど・・・あの子が旅立てばもとの魔王と側近の関係に戻るじゃないですか・・・」
側近「だからせめて・・・魔王様と一緒であった証がほしいんです・・・」
魔王「あ、あの・・・俺はお前とずっと一緒にいたいと思っている」
魔王「証というのではなく、本当に俺と夫婦となってくれないか?」
側近「うぅ・・・魔王様・・・」
11:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:41:01
ID:fCWfJJqA
魔王「・・・なんでこんな時にも気絶するんだよ!?」
12:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:41:34
ID:fCWfJJqA
王様「よくぞ来た勇者よ、そなたには金貨五百枚と仲間を授けよう」
男「(金貨五百枚ってナイフも買えないじゃん・・・)」
賢者「私、馬鹿なリーダーに従う気はないのでそのつもりで」
魔道士「よろしくお願いします」
剣士「結構かわいい顔してんじゃん。今夜早速一発決めないか?」
男「まさかのハーレムパーティ・・・」
13:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:42:10
ID:fCWfJJqA
魔王「はぁ・・・きれいな月だ・・・」
兵士「魔王様、お久しぶりです」
魔王「よう兵士、久しぶりだな」
魔王「計画は順調に行っているようだな」
兵士「はい、魔王様がお作りになったコピー魔王は順調に悪事を働いております」
魔王「悪事って・・・まあ良いけど・・・それで、ここを壊滅させる計画に変更はないな?」
兵士「今のところ、変更の余地はございません」
魔王「そうか・・・それじゃあ、これからは細かく報告してくれ」
兵士「承りました。それと魔王様、一つ聞きたいのですが・・・」
魔王「なんだ?」
兵士「本来ならお子様が旅立ったあとは魔王様が前線で指揮を取る予定だったのにこれまで通りコピー魔王にやらせるというのはどういったお考えで?」
魔王「あん・・・なに、ここを離れるのが惜しくなったからな」
魔王「最後までここで生活しようと思ってな」
兵士「なるほど、やはり十五年もいると情がわくものなんですね」
側近「魔王様~準備できましたよ~!今夜もいっぱい愛してくださいね~」
14:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:42:49
ID:fCWfJJqA
魔王「あ、バカ!今声をかけるな!」
側近「あ、兵士さん・・・えっと・・・失礼しました///」
兵士「魔王様・・・計画の最終段階の変更は出来ませんよ?」
魔王「わ、分かっている!だから今だけだ!」
兵士「それならいいですが・・・ではまた伺います。腰を痛めないようにお気をつけください」
魔王「余計なことは言わなくていい!!」
魔王「全く・・・さーて、側近ちゃ~ん、今夜も寝かせないぞ~!」
15:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:43:20
ID:fCWfJJqA
男「な、俺の故郷が壊滅・・・」
賢者「そういう噂が流れているわ。勇者を誕生させた村を嫌がらせで焼き払ったのね」
魔道士「幸いな事に殆どの住民は助かったらしいけど・・・」
男「両親は・・・俺の父さんと母さんは無事なのか・・・」
剣士「・・・残念ながら・・・両親は・・・」
男「そんな・・・うそだぁ~~!!」
16:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:44:04
ID:fCWfJJqA
魔王「うまく焼き払えたな」
兵士「魔王様が手を回してくれたおかげで偽物の魔王様と側近のみの犠牲ですみました」
側近「さあ、あな・・・いえ、魔王様・・・早くお城に戻って次の作戦を」
側近「男を強くするために雑魚の魔物を生産しなくては」
魔王「ああ、そうだな。兵士、以前から俺を快く思っていないやつのピックアップは出来たか?」
兵士「こちらに」
魔王「ならばそいつらは男の進行ルート上に弱い順に配置しろ」
魔王「男が強くなるための礎となってもらう」
兵士「そのように手配します」
側近「魔王様・・・何という名采配を」
魔王「どうせ死ぬならいらないものを一掃したほうが新しい世界のためだからな」
側近「素晴らしいです・・・それで・・・お城に戻ったらお話があるんですけど・・・」
魔王「ああ、ちゃんと今夜も相手してやるから気にするな」
側近「そうではなくって・・・実は・・・子供が・・・」
魔王「でき・・・たのか・・・俺の子が・・・」
17:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:44:36
ID:fCWfJJqA
側近「そうみたいです・・・」
魔王「そうか・・・俺はその子を育てられないけど・・・強い子に育ててくれよ」
側近「もちろん・・・大切に育てます」
兵士「(まだ自分いるんだけどな~)」
18:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:45:13
ID:fCWfJJqA
賢者「男・・・元気を出して・・・」
男「・・・」
賢者「あなたの村に戻ろう・・・噂が本当か確認しないと・・・」
男「・・・」
賢者「・・・いつまでウジウジしているのよ!あなた勇者でしょう!魔王を倒す前にそんなに腑抜けちゃ魔王の思う壺じゃない!!」
男「うるさい!お前に何がわかる!俺の、俺の家族は・・・俺が欲しかった家族なんだ・・・」
男「父さんは強くて優しい・・・母さんは厳しくても優しい・・・俺の欲しかった家族なんだ・・・」
賢者「男・・・」
男「ごめん・・・何言ってるかわからないよな・・・混乱してるんだ・・・ごめん・・・」
賢者「私の方こそごめんなさい・・・あなたの気持ちを考えないで・・・」
賢者「でも・・・今は私達もあなたの家族みたいなものだから・・・あなたが悲しむと・・・私達も悲しいの・・・」
男「ごめん・・・ごめん・・・」
賢者「男・・・」
19:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:45:56
ID:fCWfJJqA
魔王「現在男の進路はどうだ?」
兵士「故郷の村を焼き払った直後は一週間ほど同じ場所に滞在していましたが今は順調に進んでいます」
兵士「こちらの用意した魔物や部下をことごとく斬り捨てていっております」
魔王「よしよし、順調か」
魔王「だが闇落ちしないように定期的に家族の思い出に浸れるイベントを用意してやれ」
兵士「了解しました」
側近「魔王様~お腹の子供の名前、考えてくれました~?」
魔王「おいおい、まだ性別もわからないのに決められないよ」
側近「何言ってるんですか。いついなくなってもいいように両方考えてください」
魔王「あ~それもそうか。すまなかった」
側近「いえいえ、まだ考えつかないならこれからベッドで一緒に考えましょう」
魔王「え~まだやることあるんだけど・・・しょうがないな~」
兵士「(やること終わらせてからにしてほしかった)」
20:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:46:35
ID:fCWfJJqA
魔道士「男、どうしたの?」
男「今回助けた家族・・・無事に会えてよかったなって思って・・・」
魔道士「男・・・」
男「いや、羨ましいとは思うけど、恨めしいとは思ってないから」
男「やっぱり家族を引き離しちゃだめだよね」
男「魔王を倒せば・・・そんな悲しみもなくなる・・・」
魔道士「そうだね・・・私もそう思う・・・」
男「魔道士・・・」
魔道士「男・・・賢者に怒られちゃうよ・・・」
男「怒られたら・・・連帯責任ってことで」
魔道士「もう、バカ・・・」
21:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:47:12
ID:fCWfJJqA
兵士「報告します。勇者は順調に進行しており、伝説の武器を手に入れた模様」
魔王「そうか、ようやく武器を手に入れるところまで来たか」
側近「魔王様~もっと激しくしてください~」
兵士「こちらの用意した部下もあとは四天王を残すのみ」
兵士「予想よりも早くここに到着するかもしれません」
魔王「よしよし、それならここの準備も始めないとな」
側近「魔王様~計画が前倒しになるならもっともっと愛してください~」
兵士「魔王様・・・色々とお忙しいのはわかりますが、営みの最中に報告させるのは今後やめていただきたいのですが・・・」
魔王「す、すまない・・・側近が発情してしまったようで・・・」
側近「魔王様~愛しています~」
兵士「それでは失礼します」
22:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:47:57
ID:fCWfJJqA
男「これが昔の勇者が使ったという伝説の武器・・・きれいだ・・・」
剣士「本当にいい武器だな。あたしが使いたいぐらいだ」
男「装備できないんだからしょうがない」
剣士「それならあたしは、勇者の勇者を装備させてもらおうかな」
男「意味がわから・・・いて・・・」
剣士「賢者と魔道士とはヤッたんだろ?あたしにもしてくれないと不公平じゃないか」
男「いや~・・・また盛大な喧嘩が起こるのは見たくないな~」
剣士「抵抗しないんだから同意とみなすからな」
23:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:48:40
ID:fCWfJJqA
火の四天王「勇者が近づいているのか」
水の四天王「そのようね。魔王に命じられて仕方なく迎え撃つけど面倒極まりないわ」
風の四天王「くっくっく・・・早く来ないかな~斬り刻みたいよ~」
土の四天王「がははは、俺が最初にぶっ潰してやるから安心しろ!行ってくるぞ!」
火の四天王「土はやられたか・・・」
水の四天王「まあ、予想はしてたわね」
風の四天王「くっくっく・・・あいつは四天王最弱・・・今度は僕が行くよ」
火の四天王「風もやられたか・・・」
水の四天王「一般人を人質に取るところは良かったんだけどね~。最後の最後で戦闘狂の血が騒いで勇者と一対一で」
水の四天王「次は私が行くわ。安心して、あなたを残して死んだりしないから」
火の四天王「水もいったか・・・俺を一人にしないとか言いながら馬鹿者が・・・」
火の四天王「しょうがない・・・四天王最強のこの俺が、じっくりといたぶってやる!」
25:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:49:52
ID:fCWfJJqA
魔王「四天王全員やられたか?」
兵士「そのようです。四天王を倒すたびに伝説の武器が強くなり魔王様についで強いと噂されていた火の四天王もあっさりとやられました」
魔王「よしよし、男が俺を殺す可能性がどんどん上がっていくな」
兵士「あとはここを目指すのみですので今は近くの村でタイミングを見計らっているようです」
魔王「そうか・・・それならば・・・」
側近「ま、魔王様~酸っぱいものが食べたいです~」
魔王「は~い、今持っていってあげるからね~」
兵士「今の最強は側近のようだな」
26:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:50:22
ID:fCWfJJqA
賢者「男!この際だからはっきりして!」
魔道士「誰が一番好きなの!?」
剣士「もちろんあたしだよな?なぁ!?」
男「いや、最終決戦を前に話すことじゃないでしょ・・・」
賢者「何言ってるの、最終決戦の前だから言うのよ!」
魔道士「モチベーションが違うの!」
剣士「はっきりしないとスッキリ戦いに望めないんだよ!」
男「いや~・・・誰って決められないな~」
賢者「何よ!あなたを慰めてあげたのは誰?私よ!?」
魔道士「一番そばで話を聞いていたのは私でしょ!」
剣士「一番ワイルドにヤッたのは誰だ?あたしだろ?」
男「あ~いや~みんな好きじゃだめ?」
賢者「本当に優柔不断!」
魔道士「見損なったわ!」
剣士「そうしたらあれで決めるしかないな、そうだろ?」
27:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:51:00
ID:fCWfJJqA
男「あれ?」
賢者「誰が一番あなたを満足させるか勝負よ!」
魔道士「絶対負けないからね!」
剣士「あたしが一番だって証明してやるよ!」
男「やめてくれ~!!」
賢者・魔道士・剣士「さっさと服を脱ぐ!」
男「はい!!」
28:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:51:47
ID:fCWfJJqA
魔王「来たか・・・勇者よ・・・」
男「魔王!覚悟!・・・と、父さん・・・?」
魔王「ああ、そうだ・・・俺だ・・・」
男「なんで・・・父さんが・・・」
魔王「なんでって、俺が魔王だからだよ」
男「そんな・・・うそだ・・・うそだぁ~!!」
魔王「本当だ。さあ、勇者よ、死闘を繰り広げようじゃないか!!」
29:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:53:04
ID:fCWfJJqA
魔王「強くなったな・・・息子よ・・・」
男「うぐぅ・・・ひぐぅ・・・ぐす・・・」
魔王「魔王を討ち滅ぼすのに・・・泣く勇者がいるか・・・」
男「だって・・・父さん・・・」
魔王「いいんだ・・・やれ・・・やるんだ!!」
男「うぅ・・・おぉぉぉぉぉぉx!!」
魔王「・・・」
男「ごめん父さん・・・やっぱりできないよ・・・魔王でも・・・父さんは父さんだ・・・」
魔王「男・・・」
男「だって・・・大好きな父さんなんだもの・・・お願いだから他の道を探そう・・・」
男「父さんが死ななくていい道を・・・」
側近「そうですよ、魔王様・・・やっぱり魔王様は死んではいけません」
魔王「側近・・・」
男「か、母さん・・・それにその子供は・・・」
側近「あなたの妹ですよ」
30:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:53:41
ID:fCWfJJqA
男「俺の・・・妹・・・」
男「やっぱり父さんは死んじゃいけない。こんなに大切なものがいるじゃないか・・・」
魔王「・・・」
男「俺にもいま大切な人が三人もいる。父さんの攻撃を受けて気を失っている三人だよ」
魔王「・・・」
男「父さん・・・一緒に村に帰ろう・・・何で父さんがこんなことしてるのかはしらないけど・・・一緒に暮らそう」
魔王「・・・俺は・・・死にたかったんだ・・・長い時間を生きて無意味に過ごして・・・死にたかった・・・」
魔王「でもな・・・お前を育てた間は充実していた・・・楽しかった・・・実際死にたくないとも思った・・・」
魔王「それに娘も生まれて・・・死んでたまるか!」
男「父さん・・・」
魔王「兵士いるか!?」
兵士「ここに」
魔王「『勇者を育てて自分を討伐させる』プロジェクトは失敗だ!後始末を頼む!」
兵士「了解しました。各地にばらまいた魔物の回収作業に入ります」
31:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:54:13
ID:fCWfJJqA
兵士「魔王様、自分はこのプロジェクト・・・絶対失敗すると思っていましたよ」
魔王「ああ、最初に進言されたな・・・そんなこと・・・」
兵士「それでは・・・」
男「父さん・・・」
魔王「息子よ・・・また一緒に暮らそう・・・お前の嫁達も一緒に家族で・・・」
男「嫁だなんて・・・まだ決まったわけじゃないし・・・」
側近「あらそうなの?もう寝てるのかと思った」
男「あ、いや~・・・寝たには寝たけど・・・」
側近「それじゃあ責任持ってお嫁さんにしないと。お父さんに似て周りを振り回すのが得意なんだから」
男「ははは・・・敵わないや・・・」
魔王「男・・・」
男「父さん、俺、父さんの本当の息子じゃなくても父さんに育ててもらって嬉しいよ」
魔王「お前・・・知っていたのか?」
男「まあね・・・それに俺を他の世界から呼んだっていうのも知ってる。前世の記憶が残っているんだ」
32:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:54:46
ID:fCWfJJqA
魔王「そうか・・・色々混乱させたな・・・」
男「構わないよ。そのおかげで俺は欲しかった家族を手に入れられたんだから」
魔王「そうか・・・」
男「えへへ」
賢者「男~、魔王と和解したっていうのはわかったけど私達は和解してないわよ~」
魔道士「私達をお嫁さんにしてくれるのは嬉しいけど、誰が一番好きなのか聞いてないよ~」
剣士「こりゃあ、第二回戦を始めないといけないな~」
男「あの・・・君たち・・・こういう場でそんなことを話すにはどうかと・・・」
賢者・魔道士・剣士「つべこべ言わずにさっさと来る!!」
男「はいぃ!!」
魔王「あ~あ、あいつも営みで苦労するな」
側近「あら?魔王様は苦労なさったんですか?私とするのがお嫌でした?」
魔王「いやいや、そんなこと言ってないじゃないか。例えだよ例え」
側近「もう、そんな例えなんか言わないでくださいね」
側近「それと、赤ん坊がもう少しで眠りそうなのでその後は私達も・・・」
33:
◆gxgeF/n1Es 2018/02/01(木) 20:55:23
ID:fCWfJJqA
魔王「やっぱり俺も苦労してるかもな~」
側近「何か言いました?」
魔王「いいえ、喜んでお願いいたします」
十数年後、男の正妻決定戦は魔王と側近の娘に決まったのであった
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