梓「色褪せた世界」

2012-11-12 (月) 12:01  けいおん!SS   2コメント  
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:24:29.35 ID:iunUTnbc0

こんにちは、中野梓です

私も今年で25歳になりました

会社に勤めて3年目、元気に社会人やってます

・・・

元気に、かあ・・・



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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:28:21.76 ID:iunUTnbc0

梓「ただいま~・・・」ガチャ

梓「おかえり~」

梓「・・・はあ」

梓「今日もこんな時間まで働いて」

梓「明日も8時には出勤・・・」

梓「・・・」

梓「とりあえず何か飲もっかな」



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:32:09.36 ID:iunUTnbc0

梓「かんぱ~い」プシュッ

梓「んぐんぐ」

梓「ぷはぁ」

梓「飲まなきゃやってられないよね」

梓「なんかつまみはあったかな~」

梓「カップめんくらいしかないか・・・」

梓「まあこれでいいや」

梓「我ながら不健康だなあ」



6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:37:25.93 ID:iunUTnbc0

梓「・・・」ズルズル

梓「私の人生ってなんなんだろう」

梓「毎日遅くまで働いて、休みの日は家事と買い物してたら終わっちゃう」

梓「私ってこんな事するために生まれてきたのかな・・・」

梓「昔は楽しかったなあ・・・」

梓「昔は・・・」



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:41:58.13 ID:NuwpAcmg0

あずにゃんが社畜とか胸熱



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:44:21.91 ID:RiHuQjYo0

様子見



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:49:15.68 ID:iunUTnbc0

梓「皆今頃どうしてるのかな?」

梓「働きだしてから段々連絡とらなくなっちゃったけど」

梓「憂、純」

梓「菫、直」

梓「それに唯先輩、澪先輩、律先輩、ムギ先輩・・・」

梓「元気にやってるといいな」



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 00:55:41.15 ID:iunUTnbc0

梓「・・・高校の頃が一番楽しかったな」

梓「けいおん部に入って、バンド組んで」

梓「色んな事があったけど、どれも昨日の事みたいに思い出せるよ」

梓「毎日すっごく楽しかった」

梓「・・・」

梓「どうして今は楽しくないんだろう」

梓「・・・はあ」



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:06:25.02 ID:iunUTnbc0

・・・・・・・・・

梓「・・・」

梓「あれ?ここどこ?」

梓「って私なんで高校の制服着てるの!?」

梓「あ、夢か」

梓「最近昔の夢ばっかり見るなあ」

梓「ずっとこのままこの夢の中に居たい」

梓「そうすればまた先輩達と楽しく毎日を過ごせるもんね・・・」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:11:14.14 ID:iunUTnbc0

梓「とりあえず部室に行こう!」

梓「行くよ!むったん!」タタタ

梓「おはようございます!」バン

梓「・・・あれ?」

梓「誰もいない」

梓「おっかしいなあ」

梓「夢なんだから都合よく居てよね」

梓「仕方ない、ちょっと待ってみよう」



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:17:31.40 ID:iunUTnbc0

梓「・・・誰も来ない」

梓「先輩達の教室に行ってみよう」

梓「もう、先輩達はほんとにしょうがないですね♪」スタスタ

梓「私がしっかりしないと全然駄目なんですから!」スタスタ

梓「せんぱ~い!練習しましょ~!」ガチャ

梓「・・・誰もいない?」

梓「というかここまで来る途中にも誰も居なかったような」

梓「もう!なんなのよ!」

梓「夢でくらい楽しい思いさせてよ!」



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:24:44.40 ID:iunUTnbc0

梓「唯せんぱ~い!!」

梓「いたら返事してくださ~い!!」

梓「・・・」

梓「駄目か」

梓「澪せんぱ~い!!」

梓「ムギせんぱ~い!!」

梓「律せんぱいでもいいですから~!!」

梓(ここで律先輩が、でもってなんだ~!とか言って駆け寄ってきてくれ・・・)

梓「・・・」

梓「ないか・・・」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:26:14.76 ID:iunUTnbc0

梓「じゃあ憂~!!」

梓「菫~!!」

梓「直~!!」

梓「仕方ないから純でもいいよ~!!」

梓(ここでお約束!来い!)

梓「・・・」シーン

梓「なんなのよ・・・」

梓「もう起きよう・・・」

・・・・・・・・・



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:36:08.65 ID:iunUTnbc0

梓「・・・」ムクリ

梓「寝てた・・・1時間くらい?」

梓「唯先輩に会えなかったな・・・」

梓「あれ、メール来てる」

梓「ああ、次の練習日についてか」

言い忘れたが、私は今もバンドを組んでいる

だがそれは放課後ティータイムでも、わかばガールズでもない

なんとなくやっているバンド

ただの暇つぶしのようなバンドだ



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:37:49.40 ID:RiHuQjYo0

あずにゃん(´;ω;`)



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:42:09.77 ID:iunUTnbc0

昔は本気でプロになれたらいいと思っていた

現実は厳しいと分かっていたけど

放課後ティータイムなら

わかばガールズなら

もしかしたら本当にプロになってデビューできるんじゃないかって

そう思ってた

でも今はそんな事微塵も思ってない

なんとなく、本当に何も考えずにバンドを組んでいる

きっと放課後ティータイムやわかばガールズの影を追ってるんだろう

そんなのもうどこにも無いのに

梓「めんど・・・いつでもいいよ。っと」スッスッ

梓「・・・」



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:50:14.16 ID:iunUTnbc0

梓「私って一体なんなんだろう」

梓「このまま大して楽しい事もない毎日を過ごして」

梓「ただ流されて生きていくだけ?」

梓「私なんて居ても居なくても世界は変わらず回っていくんだよね」

梓「その辺の石ころと同じだ」

梓「私は『中野梓』じゃなくてただの一人の人間に過ぎないんだ」

梓「・・・何言ってんだろ私、25にもなって」

梓「現実を見よう、現実を・・・」

梓「でも彼氏も居ないし友達だってもうそんなに・・・」

梓「ホントに何のために生きてるのかな」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 01:57:18.24 ID:iunUTnbc0

梓「昔はもっと世界がキラキラしてた気がする」

梓「今なんて白黒だよ白黒」

梓「仕事したくないよ~」

梓「ロンドン行きたいよ~」

梓「・・・」

梓(今日4時間しか寝れない・・・)

梓「うわあああああ!」

梓「現実が押し寄せてくるうううう・・・」

梓「泣いてる場合じゃないいいぃぃぃ・・・」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:14:31.88 ID:iunUTnbc0

何時からこうなってしまったのだろう?

わかばガールズが解散してから?

先輩達が大学を卒業してから?

私が就職してから?

何時から私は『中野梓』じゃなくなったの?

・・・ううん、なにも私だけじゃないはず

皆どこかに『自分』を置いてきてるんだ

ただの一人の人間になるって事が大人になるって事?

何も考えないで時間が過ぎるのを待つのが大人になるって事?

・・・唯先輩も、私と同じような事考えてますか?

先輩は、今どうしてますか?

会いたいです、唯先輩



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:22:31.20 ID:iunUTnbc0

梓「・・・」

梓「いちいち難しい事考えるから駄目なんだよね」

梓「大人になるってのはこういうの割り切るって事なんだよ」

梓「大学卒業するまではちゃんと『中野梓』だったんだもん」

梓「それでいいよ」

梓「人生の楽しい時期は終わったんだよ、これからは楽しんだ分のツケを払っていかないと」

梓「今までありがとう、『中野梓』さん」

梓「先輩、いつか会えたらまたお茶しましょう」

梓「・・・寝る」

~♪

梓「はあ、いつでもいいって言ったじゃん・・・」ピッ

梓「?」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:29:20.94 ID:iunUTnbc0

差出人:唯先輩

件名:あずにゃん!!

あずにゃんお誕生日おめでとう!
なんかあずにゃんに呼ばれた気がしたから久々にメールしてみたよ~
連絡しなくてごめんね!お仕事忙しいかと思って
久々だけど元気にしてるといいな!
あ、ちゃんと私の事覚えてる~?
平沢唯だよ!唯!



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:44:31.64 ID:iunUTnbc0

梓「―――」

梓「唯先輩」


どんなに離れていても、何年経っても

私はあの頃に戻れるんだ

ただ何の変哲もないメールが一通来ただけ

でも、今の私にとってそれは―――



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:47:43.52 ID:VRKlWAW40

何がスゲーほっとした



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:48:32.92 ID:iunUTnbc0

梓「あはは、なんだろこれ」ポロポロ

梓「なんで泣いてるんだろ私」ポロポロ


ただメールが来ただけなのに

今まで抑え込んでいた何かが溢れだしてくる


梓「25にもなってあずにゃんって呼ばれるなんて」ポロポロ

梓「唯先輩はいつまで経っても唯先輩だ」


白黒だった世界は

またあの頃のようにキラキラしていた



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:56:20.95 ID:iunUTnbc0

その後、調子に乗って唯先輩と夜通し電話で話した

唯先輩は何にも分かっていないようで、きっと私の事を思って連絡してくれたんだろう

それで今度他の先輩とも一緒にご飯を食べに行く事になった

あ、それと憂と純、あと菫と直にも連絡してみた

皆何にも変わってなくて本当に良かった

社会人だとか忙しいだとか、私は自分で勝手に理由を作って逃げていただけなのだ

自分から一歩踏み出せば、世界は変わるんだ

私はまだ、頑張れる気がした



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 02:58:56.94 ID:iunUTnbc0

梓「いってきま~す!」

梓「よ~し!今日も1日頑張るぞ!」

梓「残業がなんだ~!」

梓「お~!」

梓「あ」

梓「あれ言おう」

梓「・・・ゴホン」

梓「やってやるです!」



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 03:00:01.22 ID:iunUTnbc0

こんにちは、『中野梓』です

私も今年で25歳になりました

会社に勤めて3年目、元気に社会人やってます!



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 03:01:20.50 ID:iunUTnbc0

おしまい



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 03:02:12.48 ID:9bnNVzU/0





47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 03:03:48.03 ID:iunUTnbc0

あずにゃん誕生日おめでとう、これからも元気でね

即興で申し訳なかったけどあずにゃんに捧ぐ



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 03:12:23.31 ID:Cai0BU4sP





52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/11(日) 03:17:50.88 ID:DJoPDHOf0

良かったわ



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けいおん!SS   コメント:2   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
28707. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/11/13(火) 16:01 ▼このコメントに返信する
社会人はツラい
30786. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/01/17(木) 15:41 ▼このコメントに返信する
たまに読みたくなる大好きな作品。
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