麻倉葉「魔法少女・・・・・・?」

2012-06-24 (日) 19:17  まどか☆マギカSS シャーマンキング   0コメント  
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:04:30.03 ID:Mag2fafG0

マミ「よし、と……今日の魔女退治はここまでかしらね」

マミ(少し遅くなっちゃったかしら、家まで近道していったほうがよさそうね)

マミ「確か……この墓地の辺りを通り抜けるとすぐに……」

葉「なあ、何をそんなに急いでるんだ?」

マミ「!」

マミ(何……この人、こんな墓地で何してるの?)



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6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:04:53.16 ID:kst3Ubmk0

期待



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:05:29.93 ID:Ze6UHE7n0

まどかの持ち霊はマミさんでいいよね



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:09:36.03 ID:Mag2fafG0

葉「ん、ああ……すまん。何だかすげぇ急いでたから気になってつい呼び止めちまったんよ」

マミ「……もう夜も遅いから、早く家へ帰ろうと思ってただけよ」

葉「そっか、悪いことしたな」

マミ「あなたこそ、こんな時間にこんなところでなにをしているのかしら?」

葉「オイラは……んー、何もしてねえ。ぼーっと星を眺めてた」

マミ「ほ、星……?」

葉「お前も見てったらどうだ?慌てて走ってもいいことねえぞ」

マミ「……ごめんなさい、ちょっと急いでるの」

マミ(変な人……あんまり関わるべきじゃないわね)



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:11:52.80 ID:Mag2fafG0

翌日、学校

マミ(何だったのかしら……昨日の人)

教師「今日は皆さんにお知らせです、前々から言っていたこの学校に体験入学してくる人のことですが……」

教師「一人が私たちのクラスに入ることになりました、私から紹介しますね」

マミ(あんな人、今まで見たことなかったし……年は私と同じくらいだったけれど……)

教師「じゃあ麻倉くん、入ってください」

葉「…………」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:15:45.54 ID:Mag2fafG0

マミ「え…………?」

教師「出雲出身の麻倉葉くんです、体験入学なので短い期間ですが仲良くしてくださいね」

マミ「あ、あなた!」

教師「どうしました、巴さん?もしかして知り合いですか?」

マミ「昨日の夜に家の近くにある墓地で……」

葉「…………」

葉「そんなとこ、オイラ行ったことねえ、多分初めましてだと思うぞ」

マミ「なっ……!?」



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:23:28.24 ID:Mag2fafG0

放課後

マミ「…………」

マミ(あの転校生、転校初日から全部寝てたわね……にしても)

マミ「昨日会ったのは間違いなく彼なはず……見間違いなわけもないし」

マミ「…………」

マミ「…………よし」



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:24:37.28 ID:Mag2fafG0

CD屋

マミ「…………」

マミ(よし……って、何で後を尾行してるの?これじゃ完全にストーカーじゃない……)

葉「ああ……やっぱりボブはいいな……」

マミ「…………」

マミ(何やってるのかしら私……もういいわ、早く帰っ……)

『助けて、マミ!』

マミ「!」

マミ(キュゥべえの声……?)



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:29:35.45 ID:Mag2fafG0

・・・

葉「この新曲欲しいなぁ……けど無駄遣いしたら……いや、でもCD一枚くらいなら……」

「ダメよ」

少年は、自分の背後から聞こえてきたその声に、全身が凍りつくのを実感した。

葉「…………」



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:36:07.43 ID:Mag2fafG0

葉「ア……アンナ…………!」

アンナ「アンタ、正門前で落ち合うって言ってたのに何勝手に帰ってるのかしら?」

葉「……すまん」

アンナ「謝りなさい」

葉「…………すまん」

アンナ「挙句の果てにはあたしの許可なしで無駄遣いをしようとしてたわね?」

葉「…………心から、すまん」

アンナ「アンタ、これから二週間おやつ抜きよ」

葉「…………うい」

「さて……じゃ、行くわよ」

葉「やっぱ、感じるか……」

アンナ「当たり前でしょ、この妙な気配……気づかないほうがどうかしてるわ」

アンナ「……まったく、面倒なことになったわね」

葉「心配すんな、なんとかなるって」



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:41:04.77 ID:Mag2fafG0

・・・

魔女結界内

マミ「キュゥべえを助けてくれたのね、ありがとう」

まどか「いえ……でも、これって一体どうなってるんですか?私たち、急に変な所へ……」

マミ「そうね、色々と訊きたいことはあるでしょうけれど……ちょっと一仕事片付けていいかしら」

さやか(へ、変身した……!?)

マミ「さあ、行くわよ」



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:49:47.70 ID:Mag2fafG0

・・・

マミ「……よし、終わったわ」

まどか「あ……元の場所に戻った……!」

さやか「助けてくれてありがとうございます、えと……」

マミ「私は巴マミ、見滝原中学校の三年生よ。ちょっと待ってね、キュゥべえの治療を……」

ほむら「そいつから離れて」

さやか「あっ……!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:51:35.25 ID:Mag2fafG0

マミ「……なるほど、キュゥべえにけがを負わせたのはあなたね?」

ほむら「…………」

マミ「事情は分からないけれど退きなさい、無駄な争いはしたくないでしょう?」

ほむら「…………」


葉「あれ、何かもう終わっちまってるみてぇだな」

マミ・ほむら「!?」



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 00:58:12.28 ID:Mag2fafG0

マミ「あ、あなた……!」

葉「よっ、また会ったな」

マミ「また会ったな、って……あなた、学校じゃ初めて会ったみたいなことを……」

葉「だって何か気味悪いだろ?夜中に墓地でぼーっとしてる奴なんて……オイラ、面倒事が嫌いなんよ」

マミ「……そっちの人は?」

アンナ「…………」

葉「ああ、オイラと一緒にこっちに来てるアンナだ」

マミ(二人の転校生のもう一人ってことね)



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:05:33.63 ID:Mag2fafG0

ほむら「あなたたちが誰かは知らないけれど、この場から立ち去りなさい。ここはあなたたちがいていい場所じゃないわ」

アンナ「あたしに命令しないで、暁美ほむら」

ほむら「!」

ほむら(どうして私のフルネームを……!?)

葉「よくわかんねえけど、喧嘩はよくねえぞ。オイラ達は別にここで何かしようってわけじゃねえさ」

葉「とりあえず、今ここで何があったか教えてほしいんよ」

マミ「あなたたちは部外者だけれど……状況が状況だから仕方ないわね」

マミ「場所を変えましょうか……暁美さん、もう一度言うけれどここは退きなさい」

ほむら「…………」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:13:47.19 ID:Mag2fafG0

・・・
マミ宅

マミ「さて、それじゃあ色々と話すけれど……信じるかどうかはあなたたちに任せるわ」

マミは魔法少女のこと、魔女のこと、契約のこと、キュゥべえのこと、それらを端的に説明する。

一通りの説明が終わった後

まどか「信じられないけれど……本当なんですね、今の話」

マミ「ごめんなさい、やっぱり信じられないわね」

さやか「でも、あたしたち実際に見ちゃったし……」

まどかとさやかは信じられない気持ちもあるが実体験のあるため信じざるを得ないと言った反応。

これはマミが予想していたものからそう遠くないものであった。

が、マミが気になっていたのは残る二人。

葉「…………」

アンナ「…………」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:26:50.37 ID:Mag2fafG0

麻倉葉はいつものユルイ笑顔が若干引き締まり、アンナの表情も険しさを増していた。

マミ「二人はどうかしら?その反応を見るからには信用できないと思っているみたいだけれど」

アンナ「……さっきアンタの言ってたソウルジェムっていうの、見せなさい」

マミ「え、ええ……いいけれど」

壊さないようにね、と付け加えて彼女はソウルジェムを手渡した。

葉はマミから受け取ったソウルジェムを手に取るなり

葉「……やっぱ、そういうことなんか」

アンナ「…………想像以上に面倒なことになったわね」

マミ「…………?」



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:34:49.56 ID:Mag2fafG0

まどか「あの……私はマミさんの話、信じます!」

さやか「あたしも、まだちょっと驚いてるけど……助けてもらったのは事実だし」

マミ「そう、ありがとう……えっと、葉くんとアンナさんは……」

葉「ああ、オイラ達も何というか……」

アンナ「信じるわ」

マミ「え?」

アンナ「アンタの言うことは信じるって言ってるの」

マミ「ど、どうも……」

さやか(な、何かこのアンナって人……ずっと思ってたけどすげー怖い)

まどか(一緒にいる葉さんはすごく人当たりが良さそうなのに……)



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:42:57.65 ID:Mag2fafG0

キュゥべえ「そういえば、まどかとさやかには助けてもらったお礼をちゃんと言えてなかったね」

キュゥべえ「改めてお礼を言わせてよ、二人とも助けてくれてありがとう!」

まどか「い、いいよお礼なんか……!」

キュゥべえ「そして……君たち二人、いや……そっちの彼女を含めれば三人かな」

アンナ「…………」

キュゥべえ「三人とも魔法少女になれるだけの素質があるみたいだ」

キュゥべえ「契約すればどんな願いでも一つだけ叶えてあげられるよ、だから」

キュゥべえ「僕と契約して魔法少女になってよ!」



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:48:52.77 ID:Mag2fafG0

まどか「え、えっと……」

さやか「急に言われても……ねえ?」

アンナ「嫌よ、めんどくさい」

さやか(一人だけ刹那で断った!?)



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:53:09.45 ID:Mag2fafG0

アンナ「アンタ、あたしの話を聞いてなかったの?」

キュゥべえ「?」

アンナ「あたしたちはそこの金髪の話は概ね信じるけれど、アンタを信用するとは言ってないわ」

マミ「きょ……恐山さん、キュゥべえは良い子よ?それに私の話もほとんどキュゥべえから教えてもらったものだし」

アンナ「…………」

アンナ「見えないのよ、ソイツ……覆われてるとかぼやけるとかそういう次元でなく」

マミ「え……?」

アンナ「まるで、心なんか存在してないみたいに……」

マミ「……恐山さん?」



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 01:57:39.52 ID:Mag2fafG0

アンナ「それに」

マミ「?」

アンナ「そんな耳から生えてる毛が伸びてるウサギ、気持ち悪いじゃない」

キュゥべえ「…………」

マミ「…………」

さやか(よくわからないけど色々と間違ってると思う)

まどか(それ……単純にキュゥべえが嫌いなだけな気もするけど)

葉(まん太がここにいたらアイツ何て突っ込むかな)



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:00:24.14 ID:igAc0umg0

心の声でしかツッコませないアンナちゃん!(ただしまん太とホロホロを除く)



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:08:17.46 ID:Mag2fafG0

キュゥべえ「やれやれ、僕はずいぶんと君には嫌われてしまったようだね」

キュゥべえ「何か気に障ることをしたかい?だったら心から謝るよ」

アンナ「心から……そうやって今まで、どれだけの人間を騙してきたのかしら」

キュゥべえ「君がなぜ僕を嫌っているかはわからないけれど、契約したくないのなら僕はそれを強いるつもりはない」

キュゥべえ「ただ忘れないで、君たち三人には魔法少女になる才能があることを」

キュゥべえ「そしていつでも僕と契約して魔法少女になれることを」

マミ「男の子の麻倉さんはやっぱりなれないのね?」

キュゥべえ「素質はとても感じるんだけれど……根底となる性別が不適合だからね」

葉「別にオイラはそんなのしようとも思わねえさ」



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:21:53.92 ID:Mag2fafG0

マミ「とりあえず……私の話はこれでお終い、何か聞きたいことはあるかしら?」

まどか「もし……魔女を見つけたらどうすればいいんですか?」

マミ「近づかないことね、そして私にすぐ連絡すること」

さやか「キュゥべえの願いって言うのは……ホントに何でも叶うんですか?」

キュゥべえ「もちろんだよ、それは僕が保証する」

さやか「自分じゃなくて、他人に何かしてあげることでも?」

キュゥべえ「容易いことさ!」

さやか「そっか……」



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:23:46.68 ID:Mag2fafG0

葉「んー、オイラもちょっと聞いとくかな」

マミ「何かしら?」

葉「いや、その魔女ってのは必ず魔法少女が倒さなきゃいけねえのかなって」

マミ「どういうことかしら?」

アンナ「魔法少女とかいう契約を結んでない人間が魔女を倒したら何か不都合があるかっていうことよ」

葉「うん、まあそういうことだな」

マミ「……危険すぎるし、素人に魔女を倒すことなんてまず不可能よ。絶対にそんなことは…」

アンナ「不都合があるか聞いたのよ、倒せるかどうかなんて聞いてないわ」

マミ「それは別段……倒した後に出てくるグリーフシードの扱いくらいじゃないかしら」



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:29:06.60 ID:Mag2fafG0

キュゥべえ「グリーフシードは魔法少女にとっては重要だからね」

マミ「そうね、そこまでたくさんは必要ないけれど最低限は……」

葉「おお!じゃあそのグリーフシードってのをあとでちゃんとマミに渡せばいいんだろ?」

マミ「……分かってると思うけれど絶対に戦おうなんて思わないことね」

アンナ「それはあたしたちが決めることよ」

マミ「…………大丈夫かしら、ホントに」

まどか(ダメだと思う)

さやか(うん、絶対ダメだと思う)



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:37:24.61 ID:Mag2fafG0

翌日、屋上

葉「はー……世界にはよくわからんことがまだまだあるんだなあ」

アンナ「アンタは学校で習う数式も分かってないでしょ」

葉「それを言うなよ」

アンナ「それより、これからどうすんの」

葉「状況は思ってたよりも結構ヤバそうだ、オイラ達で何とかするしかねえ」

アンナ「あの耳毛ウサギ、ヤバいわよ」

葉(耳毛ウサギ……)

アンナ「力がどうとかじゃない、生き物でも霊でもないみたいな……よくわからない何かよ」

葉「……ああ、それもなんとなくわかる」



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:40:17.29 ID:Mag2fafG0

葉「あ、それとアンナ」

アンナ「何よ」

葉「耳毛ウサギってセンスはさすがにどうかと思うぞ」

パーンッッッ!!



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:46:36.72 ID:Mag2fafG0

ほむら「一体何の相談をしているのかしら?」

葉「おお!確か昨日会った……マミとかと仲直りできたか?」ヒリヒリ

ほむら「むしろあなたのほうが誰かと喧嘩してひっぱたかれた跡があるけれど!?」

葉「ウェッヘッヘッ、これくらいいつものことだから気にすんな」

アンナ「何の用かしら、世間話をするために来たわけじゃないんでしょ?」

ほむら「少し、あなたたちに釘を刺しにね」

葉「どうしよう……やっぱすげえ痛ぇ」ヒリヒリ

ほむら(ユルイ……緊張感が……)



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:48:20.07 ID:QCX2mLC70

このゆるさにちょっと感化されるべきだな



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:55:12.91 ID:Mag2fafG0

ほむら「正直、あなたたちが何者で何を考えているのかも全く分からないわ」

ほむら「そして、なぜあなたが私のことを知っていたのかもね」

アンナ「…………」

ほむら「でも……これ以上、この問題に関わってきてほしくないのよ」

アンナ「あら、心配してくれてるのかしら?」

ほむら「勘違いしないで、余計なイレギュラーが入ってくることを望んでいないだけよ」

ほむら「あなたたちはすべて忘れるべきよ、魔法少女のことも、魔女のことも……全てね」

葉「なあ阿弥陀丸……さっき、オイラそんな本気でぶっ叩かれるようなこと言ったか?」

阿弥陀丸『アンナ殿の幻の左……久々でござったな』

ほむら(後ろのほうで何か独り言を言ってるみたいだけれど気にしない、緊張感が切れる)



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 02:55:54.15 ID:eXJali1y0

葉っていい主人公だったなあ



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:01:19.42 ID:Mag2fafG0

アンナ「残念だけど、そういうわけにもいかないのよ」

ほむら「……何故かしら?」

アンナ「あたしのダンナがアンタたちを助けるって言ってるから」

ほむら「……ダンナ?」

アンナ「アンタの後ろでほっぺた擦ってたそいつよ」

葉「ん?おお、オイラか」

ほむら「え……え?」

ほむら(そ、そういう関係なんだ……でもダンナ……って?)



68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:10:15.35 ID:Mag2fafG0

アンナ「それに、あたしたちは元々これが目的でここに来たのだしね」

ほむら「これが目的?それはどういうことかしら……?」

アンナ「…………」

葉「なあ、ほむらだったか?オイラもちょっと聞きたいんよ」

ほむら「……何?」

葉「お前、何で魔法少女なんかやってんだ?」

ほむら「……どういう意味かしら?」

葉「いや、だって普通嫌だろ?毎日死ぬかもしれねえ戦いをするなんて」

葉「マミは仕方ねえ事情があったみてぇだけど」

アンナ「交通事故よ」

葉「細けえなぁ」

ほむら「…………」



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:17:50.11 ID:Mag2fafG0

葉「まあ、なんとなくその辺が気になったんだ」ヒリヒリ

ほむら「私としては腫れ上がったあなたの左頬のほうが気になるんだけれど」

葉「おお、大丈夫だぞ。気にするな」

ほむら「…………」

葉「いつ死ぬかわからねえ戦いを続けるなんてのは本当におっかねえことだ」

葉「オイラは楽に生きたいから、よっぽどの理由がない限りそんなことはしたくねえ」

葉「……お前はなんでそんな戦いをすることを選んだんよ?」

ほむら「…………」

葉「言いたくねえなら別に無理せんでもいいぞ、オイラもなんとなく気になっただけだからな」



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:24:45.69 ID:Mag2fafG0

ほむら「……とりあえず、もう忠告はした。あとはあなたたちの裁量に任せるわ」

葉「そっか、わざわざありがとうな」

ほむら「麻倉葉……恐山アンナ……お願いだから、場を乱すようなことだけはしないで」

アンナ「…………」



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:38:15.26 ID:Mag2fafG0

放課後

葉「分からん」

アンナ「数式がでしょ」

葉「いや、アイツが契約した理由ってのが」

アンナ「……あんまり男が女の秘密を覗き見ようとするものじゃないわ」

葉「じゃあアンナ、お前からそれとなく聞い……」

アンナ「嫌よ、そんな面倒なこと」

葉「……だよなぁ」

アンナ「それより……まだなの?」

葉「……おっ、噂をすりゃ来たみてえだ」

阿弥陀丸『葉殿!動きがあったでござる!どうやら魔女とやらは病院に現れたとか!』

葉「病院……阿弥陀丸、案内頼むぞ」

阿弥陀丸『御意!』



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:40:58.39 ID:Mag2fafG0

・・・
病院

マミ「ここね、確かに魔女の気配がするわ」

まどか「結界の中にいるさやかちゃんとキュゥべえ……大丈夫かな……」

マミ『キュゥべえ聞こえる?そっちはどんな状況?』

キュゥべえ『まだ卵は孵化しそうにないけれど、刺激を与えるとマズイかもね』

マミ『そう……なら、魔力は控えめにしてそっちへ向かうわ』

マミ「さあ、じゃあ行きましょう」

まどか「はい!」



76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:45:52.38 ID:Mag2fafG0

ほむら「待って」

まどか「あ……ほ、ほむらちゃん……!」

マミ「……ここに来て、一体何の用かしら?」

ほむら「この先にいる魔女は私が倒す、危険だからあなたたちは下がっていて」

マミ「この先には美樹さんとキュゥべえが待っているのよ?」

ほむら「彼女たちの安全は保障する、だから……」

マミ「つい先日、キュゥべえを傷つけていたあなたが今度はそのキュゥべえを守るですって?」

マミ「悪いけれど、信用できないわね」

ほむら「!」

ほむら(しまった……これは拘束の……!)

マミ「これで少し大人しくしててもらうわ、魔女を倒したらその拘束は解いてあげる」

ほむら「待って!この先の魔女は本当に……!」

マミ「……行きましょう、鹿目さん」

まどか「は、はい……」



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:52:31.11 ID:Mag2fafG0

ほむら「っ……!」

ほむら(解けない……このままじゃまた巴マミが……!)

アンナ「なんで忠告をよこしたアンタがこんな風に拘束されてるのよ」

ほむら「あ、あなたたち……!」

葉「せっかく忠告をくれたのにすまん、けど……やっぱオイラたちもほっとくわけにはいかねえんだ」

ほむら「私のことはいい、先へ行った巴マミを止めて!そして私の拘束を解除するように要請して!」

アンナ「……行きなさい、葉。こっちはあたしがやっておくから」

葉「やれそうなのか?」

アンナ「あんた、あたしを誰だと思ってるの」

葉「……だな」

アンナ「ほら、早く行きなさい」

葉「すまん、ここは任せた」



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 03:58:14.14 ID:Mag2fafG0

キュゥべえ「間に合って良かったよマミ!もういつ魔女が出てきてもおかしくない!」

さやか「に、人形みたいだけど……あれが魔女?」

マミ「そうね。悪いけれど一気に決めさせてもらうわよ……」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

さやか「やった!さっすがマミさん!」

まどか「良かった……!」

まどか(すごいなマミさん……私もマミさんみたいに誰かを守れるようになれれば……!)

最強の攻撃で魔女を撃ちぬいたことで、マミを含むその場の全員が確信する。

悲劇など起こりうるはずがなかった。



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:03:16.38 ID:Mag2fafG0

シャルロッテ「!」

マミ「っ……!?」

撃ち抜かれた魔女の口から今までとはまるで違う何かが現れる。

ピエロのように滑稽な顔をした芋虫とも呼ぶべきそれは牙を剥き出しに巴マミへ襲いかかった。

マミ「あっ……!!」

マミは動かなかった、いや動くことが出来なかった。

湧き上がる死のイメージと恐怖が彼女の体を固めていた。



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:04:22.97 ID:Mag2fafG0

――――真空仏陀斬りッッ!!



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:13:20.02 ID:Mag2fafG0

まどか「今……何が……?」

さやか「どこからか……何かが飛んできて……!」

マミ「…………!」

何かが飛んできた方向へその場の全員が目をやる、そこには

葉「よっ」

刀を構えてユルイ笑顔を浮かべ佇む一人の少年の姿があった。



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:23:12.89 ID:Mag2fafG0

まどか「よ、葉さん……!?」

葉「良かった、まだ誰も死んでねえ」

さやか「今一体何をして……その前に何でここにいるの!?」

葉「すまん、何か今日一悶着あると思ってたからマミに張り憑かせといたんよ」

マミ「な、何を?全然気づかなかったけど……」

葉「そしたら病院で何かあったって聞いて……まあそんな感じでな」

まどか「そんな感じって……」

葉「それと、マミを止めてくれって頼まれたからな」

マミ「頼まれた……?」

葉「マミを止めてくれって、さっきそこで会ったほむらから」

マミ「あ、暁美さんが……?」

葉「多分、分かってたんじゃねえかな。そのまま戦わせたらヤバいって」



89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:24:13.55 ID:94m/Y8roO

この葉は憑依合体なのか、オーバーソウルなのか、甲縛式なのか



90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:25:24.95 ID:s1YNO3iX0

憑依合体じゃね?



91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:35:35.15 ID:Mag2fafG0

葉「そうだ、アイツの拘束解除を頼む。どう見ても悪いやつじゃなさそうだ」

マミ「わ、分かったわ……」

葉「よし、じゃあマミの奴が色々とやってる間……」

葉「こっちはこっちでふんばるとするか……阿弥陀丸!」

阿弥陀丸『応ッ!』

葉「ウェッヘッヘッ……何か久々だな、こっちは」

阿弥陀丸『それだけに拙者も昂るでござるよ』

葉「よし……行くぞ!憑依合体!阿弥陀丸!!」



99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:47:17.73 ID:Mag2fafG0

まどか「憑依……」

さやか「合体……?」

葉『ふむ……自らが葉殿の刀となるのも良いが、やはり自分で刀を握るも良し』

葉『いざ参る!』

魔女は未だ死んではおらず、自らに傷を負わせた標的めがけて何度も攻撃を仕掛けてくる。

が、それを少年はすべて紙一重の所で回避していく。

葉『ふむ……この感覚、まるで巨大な大蛇と戦っているかのようでござるな。だが……』

葉『既にここは拙者の間合い!』

身にサムライの魂を宿らせた少年は既に大きく鈍っている魔女の動きを見切り

『阿弥陀流!大後光刃!!』

その必殺奥義により、勝負を終わらせた。



102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 04:58:07.56 ID:Mag2fafG0

マミ「す、すごい……!」

アンナ「何を惚けてるのよ、あんた」

ほむら「これは……どういうこと……!」

マミ「暁美さ……どうして!あなたの拘束はまだ解いてなかったのに……」

アンナ「あたしがやったのよ、あんたが遅いから」

マミ「あ……あの拘束は強大な力を持つ魔女でさえ完全に封じるのに?」

アンナ「あたしを舐めないで、あんなの巫力を使った甲縛とほとんど変わらないわ」

アンナ「巫術とは少し勝手が違ったけれど、まあそこまで問題じゃなかったわね」

マミ「……本当に、何者なの……あなたたちは」



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 05:05:45.37 ID:Mag2fafG0

葉「すまんアンナ、遅くなった」

アンナ「いいわよ、どうせどこぞの侍が久しぶりの憑依合体で調子に乗ってたんでしょ」

阿弥陀丸『せ、拙者そのようなことは決して……!』

葉「ああ、阿弥陀丸すっげえ嬉しそうだったなあ」

阿弥陀丸『葉殿ォォォォォ!?』

葉「と、まあ良かったな。誰も怪我しねえですんだ」

マミ「……ありがとう、あなたたちがいなかったら今頃どうなってたか分からないわ」

まどか「本当にどうも……助かりました」

さやか「ていうか……刀であの魔女と戦って勝っちゃうってどんだけ凄いの?」

葉「いや、それはオイラが凄いんじゃねえんだ」

さやか「?」



110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 05:17:52.40 ID:Mag2fafG0

アンナ「あんたたち、言っとくけどこれは貸し一つよ」

葉「いやアンナ、別にオイラはそんなつもりで助けたわけじゃ……」

アンナ「あんた、ただのボランティア精神で今の世の中で温泉宿なんか経営していけると思ってるの?」

葉「……すまん」

さやか「あの、借りを返すとかそんなんじゃないけど……何か奢るくらいのことは」

葉「オイラ、団子が食いてえなぁ」

まどか「お団子……ですか?」

葉「おお、団子はみんなで食うと旨いんよ」

ほむら「…………」

マミ「…………」

ほむら(魔女を倒したかと思えば直後にこのユルさ……分からない、この麻倉葉が)

マミ(何よりもまず、私は今日のことを反省して感謝しなきゃ……)

それぞれの思いを胸に、この一日は終わりを迎えることとなる。

彼らの胸にある思いは違えど、帰り道に手に握られていたのは等しく同じ団子であった。



148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 11:44:11.80 ID:Mag2fafG0

翌日、昼休み、屋上

葉「……やっぱ言うべき、だよなぁ」

アンナ「何を」

葉「あのソウルジェムってのが何なのか」

アンナ「……どうなるか、分からないわよ」

葉「?」

アンナ「あの子たち、そこまで精神が強いわけじゃないわ……あの金髪の子は特にね」

アンナ「ついこの前、死ぬような戦いをして今そんなことを言われたら……壊れるわよ、確実に」

葉「……だよなぁ」



149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 11:50:00.75 ID:Mag2fafG0

さやか「葉さん……それにアンナさんも」

葉「おお、昨日ぶりだな」

さやか「昼休みに屋上で何やってるんですか?」

葉「えーっと……なあアンナ、オイラ達なにしてるんだ?」

アンナ「アンタが風とお日様が気持ちいいところに行きたいって言うからでしょ」

葉「うん、なんかそんな感じだったみてえだ」

さやか「は、はあ……」

さやか(あの怖いアンナさんも葉さんのお願いとかは聞くんだ……)



150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 11:59:25.04 ID:Mag2fafG0

葉「で、お前は何しに来たんよ?弁当ならもうねえぞ?」

さやか「あたしはその……何ていうか考え事をしてて」

葉「考え事?」

さやか「……二人は、もしも魔法みたいに自分の夢が叶うとしたらどうする?」

葉「…………」

さやか「自分の大切な人を、それで助けられるとしたら……二人ならどうする?」

葉「お前……それって」

アンナ「まどろっこしい言い方は止めなさい、あんたはあの耳毛ウサギと契約したいんでしょ」

さやか「…………」



151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 12:08:07.47 ID:Mag2fafG0

さやか「本当に望んでいる人にはこういう機会は巡ってこなくて……苦しんでる人が救われない」

さやか「でも、あたしみたいな人間がそういう人たちの力になれるなら、それってすごく良いことでしょ?」

葉「けど、ただで願いが叶うわけじゃねえぞ。でっかい代償がついてくる」

葉「やったらやり返される、それと似たような感じじゃねえか?」

さやか「それでも……こんなあたしでも誰かの役に立てるなら……」

アンナ「話にならないわね」



154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 12:27:56.85 ID:Mag2fafG0

アンナ「あんたみたいなの、あたしは心底好きになれないわ」

さやか「え……?」

アンナ「あたしは『オレが世界を救う』なんて奴はもちろん信用しないし」

アンナ「『やってやるぜ』ってガツガツした熱血マンが大キライ」

アンナ「ましてや誰かのために無償で自分を犠牲に、なんて軽口を叩くような輩なんか言うまでもない」

アンナ「だってそんな奴らに限って己の欲望むき出しで、しかも口先ばっかり」

アンナ「オレが、私がって普段調子の良いこと言ってる割には困難にぶつかるとすぐへこたれる」

さやか「…………」



157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 12:41:33.11 ID:jQ0sZA5b0

漫画でもそうだったけどこのアンナの持論には口を挟みたくなるんだよな
それを欲望と言い換えたとしても思いを貫いて世界を救う奴だっているのに
まあ大半は口先だけだけど



158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 12:44:00.15 ID:ub/yMJlhO

心を読めるお人だからそういうのは人一倍敏感なんだろアンナさんは



159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 12:47:22.98 ID:Mag2fafG0

アンナ「なぜかわかる?そういう奴らは結局、自意識と己の欲でしか目的を持たないからよ」

さやか「あたしは……あたしはそんなこと!」

アンナ「あんた、本当に無償で他人のために何かをするつもりでいるの?本当に、何の見返りも求めてないのかしら?」

さやか「あ……アンナさんだって、葉さんが大変な状態になれば絶対にあたしと同じことを……」

アンナ「しないわ」

さやか「!」

アンナ「仮に葉が危機的状況になったとして、あたしがそれを助けられるとしても、無理に手を伸ばすことはしないわ」

アンナ「だって、葉なら必ずそれを乗り越えられるって信じてるもの」

さやか「…………」

葉「いやぁ……何か照れるな」

阿弥陀丸『愛でござるなぁ』



165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 12:59:38.16 ID:Mag2fafG0

さやか「あたしは……アンナさんが言ったような奴らとは違う!」

アンナ「そうね、確かにそうかもしれない。だったらあんたは自分の思うままに行動したらいいわ」

葉「元々オイラ達には無理に止めることなんかできねえしな」

さやか「葉さん……」

葉「ただ何というか、お節介かもしれんが言っておくと……あんま無理しねえほうがいいぞ」

葉「自分の容量を超える無理をしちまったら、自分が自分じゃなくなっちまう……無理ってのは本当によくねえ」

葉「オイラは無理した経験があるからよくわかるんよ」

さやか「…………」

さやか「……もう少し、色々と考えてみる」

葉「おお、それがいいと思うぞ」



166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:02:41.63 ID:jQ0sZA5b0

相変わらず達観してるな葉…



167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:09:36.52 ID:Q4Lp/l9M0

賢者だからな葉は



170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:14:42.34 ID:Mag2fafG0

・・・
病院

さやか「CD……ここに置いとくね」

恭介「…………」

さやか「あの、恭介……」

恭介「さやかは僕を虐めているのかい?」

さやか「え……?」

恭介「何で……指が動かなくなった僕にこんなものを聞かせるんだ!」

さやか「だ、大丈夫だよ!リハビリとかいろいろ頑張れば必ず……!」

恭介「治らないって言われたんだ……バイオリンはもう諦めろって……!」

さやか「!」



171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:23:45.78 ID:Mag2fafG0

恭介「無理なんだ……僕の指はもう……!」

恭介「もう……魔法とか奇跡でも存在しない限り僕の指は……!」

さやか「…………」

さやか「あるよ」

恭介「え……?」

さやか「魔法も、奇跡もあるんだよ!」



172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:25:56.29 ID:4TDcCyQsi

恭介ェ



173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:29:37.18 ID:jQ0sZA5b0

恭介は悪くないさ…バイオリンじゃないけど似たような趣味で
俺だって指が動かなくなったら絶望する



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:33:17.05 ID:SnBmC6xh0

>>173
恭介がくさるのも、さやかについ当たっちゃうのも、
仁美が勝負に出るのも、それぞれ単体なら「よくあること」なんだが
見事なコンボが決まってるからな…



174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:31:03.13 ID:ub/yMJlhO

こんなかわいい幼馴染みに当たる恭介はSOFにゴックンされるべき



176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:34:17.26 ID:Mag2fafG0

・・・


葉「やっぱ、無理にでも止めておくべきだったかもしれねえな」

アンナ「アンタ、自分で無理はよくないって言ってたでしょ」

葉「うっ……」

アンナ「それに、ここからはもうあの子個人の問題よ……あたしたちが首を突っ込めることじゃない」

葉「……だな、じゃあオイラ達はオイラ達に出来ることでふんばるとするか」

阿弥陀丸『葉殿!』

葉「どうした阿弥陀丸?」

阿弥陀丸『一大事でござる!このままでは多くの者が!!』

アンナ「……ふんばらなきゃいけないこと、出来たみたいね」

葉「みてえだな」



178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:41:33.06 ID:Mag2fafG0

工場

まどか「や、やめて仁美ちゃん!こんなことしないで!」

仁美「あら、どうかなさいました?」

まどか「だって……止めないと!あんなの混ぜちゃ危ないよ!」

仁美「あれは神聖な儀式、素晴らしいところへ旅立つために肉体から離れる儀式ですわ」

まどか「…………!」

まどか(い、いつもの仁美ちゃんじゃない……私が止めさせなきゃ!)

まどかは危険物となったバケツを奪い取ると、それを自分の持てる力すべてを使って表へと放り投げた。



179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:46:16.25 ID:Mag2fafG0

まどか「よ…よかった……!」

仁美「…………」

まどか「ひ、仁美ちゃん……!」

その瞬間、仁美を含む工場に集まっていた人間が一斉にまどかへ襲いかかった。

狂気と呼ぶにふさわしい表情を浮かべながら。

まどか「ひっ…!」

まどか(どうして……どうして…こんなことになって……!)

そして、気が付けば彼女がいた空間はすでに魔女の結界と化していた。



182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 13:52:00.95 ID:Mag2fafG0

まどか(こんなことになっちゃったのも……仁美ちゃんがおかしくなっちゃったことも……)

まどか「……私への罰、なのかな」

『みんなを救いたいかい?』

まどか「!」

『君だったら友達を助けられる、魔女の毒気に当てられてしまった多くの人を救うことができる』

まどか「…………」

『君がよければ、僕はいつでも君を魔法少女にしてあげられる……まどか』

まどか「…………」

まどか「……私、魔法少女に…」

その刹那、青い何かが目の前にいる魔女を斬り伏せた。

それはいつも自分が見ている人、自分の大切な友人の姿だった。

まどか「さ……さやか、ちゃん?」



186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 14:10:15.68 ID:Mag2fafG0

・・・

さやか「あははは、いやー間一髪だったね。間に合ってよかったよかった!」

まどか「さ、さやかちゃん…それって……」

さやか「ん…どう、似合ってる?……なんてね」

まどか「やっぱり契約…しちゃったの……?」

さやか「うん…すっごく悩んで…それでも最後は自分で決めたの、強制されたわけじゃないよ」



188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 14:23:27.66 ID:Mag2fafG0

ほむら「美樹さやか……!」

まどか「ほ、ほむらちゃん!」

さやか「遅かったじゃない、転校生」

さやか「それと……二人もね」

葉「…………」

アンナ「…………」

ほむら「麻倉葉……恐山アンナ……!」

葉「……やっぱ、そうなっちまうよな」

さやか「私なりに考えた結論、後悔なんて全然ないよ」

アンナ「…………」



189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 14:27:57.63 ID:Mag2fafG0

・・・
某所

杏子「なによ、あんなのがいるなんて聞いてないんだけど」

キュゥべえ「ついさっき魔法少女になったばかりだからね、君は知らなくて当然さ」

杏子「せっかくこんな良い狩場だってのに……それをあんな新人に渡すのも癪だよね」

キュゥべえ「どうするつもりだい?」

杏子「邪魔なやつがいるなら…そいつを消しちゃえばいいんでしょ?」

キュゥべえ「うまくいくかな?」

杏子「何だよ、私があんな初心者に負けるとでも思ってんのか?」

キュゥべえ「確かに君は実力がある、経験においても美樹さやかより上だ」

キュゥべえ「ただ、君の障害になるのは美樹さやかだけじゃないってことさ」

杏子「誰だ……それ?」

キュゥべえ「暁美ほむらさ」



191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 14:33:42.12 ID:Mag2fafG0

杏子「……聞いたことねーな、それも魔法少女なんだろ?」

キュゥべえ「おそらくね」

杏子「おそらくって何だよ。お前、そいつと契約したんだろ?」

キュゥべえ「彼女の存在は本当に不明確なんだ、僕にもわからないことが多い」

杏子「妙な言い方だな、どういうことだよ……」

キュゥべえ「それと……麻倉葉、恐山アンナという二人にも気を付けることだね」

杏子「アサクラヨウ?キョウヤマアンナ?」

キュゥべえ「この二人は魔法少女じゃない、それでも……確実に君にとっては邪魔になるよ」

杏子「はっ、契約もしてないような奴があたしの障害になるって?」

キュゥべえ「ただの人間と思わないほうがいいよ」

杏子「ふーん、まあでも……全員退場してもらえば、結局は問題ないんだろ」



196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 14:51:11.75 ID:Mag2fafG0

・・・

葉「……契約、しちまったな」

アンナ「そうね、あたしは知らないけど」

葉「嘘つけよ、アンナも結構気にかけてたじゃねえか」

アンナ「気のせいよ」

葉「けど……言っとくべきだったよな、やっぱ」

葉「ソウルジェムってのがオイラたち人間の魂だってことは」



197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 14:56:29.86 ID:Mag2fafG0

・・・
翌日

さやか「ここだ、ここに使い魔がいる……いくよ、まどか」

まどか「うん……」

杏子「馬鹿じゃねーの?」

さやか「!」

杏子「あれ使い魔だから、グリーフシードは持ってないよ。だから倒す意味もない」

さやか「何よあんた、どいて!使い魔に逃げられるでしょ!」

杏子「だから倒す意味がないって言ってんだろ、卵産む前の鶏締めてどうすんのさ」

さやか「……!」

さやか(コイツ……使い魔のせいで人が死んでも関係ないって考えてるの……?)



198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:04:15.50 ID:Mag2fafG0

さやか「どかないなら……無理やりにでも押し通るよ?」

杏子「新人のあんたにできると思ってるの?ていうか、先輩への礼儀がなってないんじゃない?」

さやか「お前みたいなやつ……同じ魔法少女として認めない!」

杏子「はあ……中途半端な気持ちで首突っ込まれるの、ホントにむかつくんだ」

さやか「うあっ!」

まどか「さやかちゃん!キュゥべえ、やめさせて!こんなの絶対おかしいよ!」

キュゥべえ「無理さ、あの二人は互いに相容れない道を歩んでいる」

キュゥべえ「生物は自分の領域を侵すものを許しはしないんだ」

まどか「そんな……そんなのって……!」

キュゥべえ「でも、止める方法がないわけじゃない……まどか、君の力を借りればね」

まどか「私の……力?」

キュゥべえ「君の魔法少女としての才能はずば抜けている、もし君が魔法少女になれば絶対にこの場は治められるよ」

まどか「私が……契約をすれば……」



199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:04:48.56 ID:Mag2fafG0

葉「お前ら、喧嘩はよくねえぞ」



203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:16:25.74 ID:Mag2fafG0

さやか「あっ……!」

杏子「……何だよ、お前」

葉「初めましてだな、オイラは麻倉葉。まどかとさやかの友達だ」

杏子「アサクラ?……へえ、お前がアサクラヨウか……じゃあそっちの女がキョウヤマアンナだな」

アンナ「…………」

葉「あれ、オイラたちのこと知ってんのか?」

杏子「ちょうどいいや、お前も色々と邪魔くさいらしいんだ」

杏子「別に恨みはないんだけどさ、そこの青い奴を片付けたら次はお前らの番だ」

葉「……オイラ、喧嘩する気はねえのになあ」



204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:28:18.88 ID:Mag2fafG0

さやか「葉さん……そいつ、グリーフシードが手に入りさえすれば人が死んでもいいって思ってるんだよ?」

さやか「あたしはそいつを認めない、止めないで!」

杏子「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ!背中ががら空きだ!」

まどか「危ない!」

キィンッ!

杏子「!?」

杏子(止められた……?後ろを見もしないで……コイツ、後ろにも目があるのかよ!?)

まどか「な、なんで……?」

アンナ「葉には阿弥陀丸の目もついてるのよ、だから後ろからの攻撃もちゃんと止められる」

まどか「あ、あみだまる……?」

アンナ「それより、あの杏子って小娘……生意気よ」

まどか「…………」

まどか(どうしよう、正直アンナさんが一番怖い)



207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:39:53.88 ID:Mag2fafG0

ほむら「何を騒いでいるのかしら」

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「転校生……それに……!」

マミ「こんにちは、鹿目さんに美樹さん……そして」

杏子「暁美ほむら、ついでにマミも一緒か……」

マミ「お久しぶりね、佐倉さん」

ほむら「……また、あなたたちもいるのね」

葉「ウェッヘッヘ、まあな」



210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:53:32.20 ID:Mag2fafG0

杏子「今さら何しに来たんだよマミ、その新人のおもりでもしに来たか?」

マミ「魔法少女同士が争っているのに、それを黙ってみているなんて私には出来ないの」

ほむら「それで、二人ともどうするつもりかしら?」

ほむら「もしもこれ以上戦うというのなら、私と巴マミで止めさせるけれど」

葉「オイラも多分、一緒に止めに入るだろうなぁ」

さやか「うっ……わ、分かったよ……今はもう止める」

ほむら「あなたはどうするの?佐倉杏子」

杏子「テメー、何であたしの名前を……どこかで会ったか?」

ほむら「さあ、どうかしら……ただ」

杏子「!」

ほむら「いざという時、私は決して容赦はしない」

杏子(消えたと思ったら一瞬で後ろに……!?)



213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 15:57:51.12 ID:Mag2fafG0

杏子「……分かったよ、敵の手札がまるで見えないしね」

杏子「今日のところは降りさせてもらうよ」

ほむら「賢明ね」

杏子「ただ、お前らの顔はちゃんと覚えたからな……次は覚悟しとけよ」

葉「おお、また会おうな」

杏子「…………」

杏子「……なんか、すげー調子狂うな」



216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 16:13:08.73 ID:Mag2fafG0

・・・

マミ「美樹さん……魔法少女になったのね」

さやか「はい、でも全然後悔はしてません」

マミ「どんな願いをしたのかは聞かないけれど……魔法少女になるって、すごく辛いことよ?」

さやか「覚悟してますから……」

マミ「そう、なら何も言うことはないわ」

さやか「……そういうことだから、あたしは絶対に最後までやり抜いて見せる」

アンナ「…………」



219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 16:22:11.28 ID:Mag2fafG0

ほむら「少し、話をしてもいいかしら」

マミ「何かしら?」

ほむら「すごく重要な話、美樹さやかは私を敵視しているようだけれど、出来れば聞いてほしいわね」

さやか「…………」

ほむら「そして、あなたたちも」

葉「ん?」

アンナ「…………」

ほむら「……近い将来、ワルプルギスの夜が来るわ」

マミ「!」

葉「ワルプルギス……ってなんだ?」

阿弥陀丸『拙者、英語とやらはよくわからんでござる』



222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 16:33:38.18 ID:Mag2fafG0

マミ「……それ、本当なの?」

ほむら「確かよ、冗談で言っているわけでも不確定なわけでもないわ」

ほむら「私は美樹さやかの契約を良しとするつもりはないけれど……契約をすればもう戻れないもの」

さやか「つまり、そのワルプルギスの夜ってのを倒すのに力を貸せってこと?」

ほむら「そうよ、むしろ嫌でも戦うしかないわ……魔法少女になったのならね」

アンナ「その変な名前の魔女、相当手強いのかしら?」

葉(変な名前……)

ほむら「超大型の魔女よ、一人ひとりの魔法少女じゃ太刀打ちできないわ」

マミ「もし仮にワルプルギスの夜が来るのなら……争っている場合じゃないわね」

ほむら「そう、だから……これからは協力しましょう。美樹さやか」

さやか「…………協力できればいいわね」

葉「…………」

葉(女の喧嘩ってすげぇ怖え)



228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 16:49:31.24 ID:Mag2fafG0

・・・
翌日、教会

杏子「まさか、そっちから来るなんてな」

葉「ウェッヘッヘ、ちょっと色々と話したくてな」

杏子「なんであたしがここにいるって分かった?」

葉「おお、大変だったぞ!その辺の浮遊霊に聞いたりとか色々と」

杏子「??……まあいいや、で……話ってのは?」

葉「んー、回りくどく聞くのはあんま得意じゃねえし……いいや、そのまま聞く」

葉「杏子、なんでお前は魔法少女になったんよ?」



230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 16:58:47.12 ID:Mag2fafG0

杏子「なんだよ、そんなことを聞くためにわざわざきやがったのか?」

葉「話を聞く限り、お前は『誰か他人のために』って感じの性格じゃなさそうだ」

杏子「間違っちゃいないな、今のあたしは自分のためだけに生きてるから」

葉「そんなお前がどんな契約で魔法少女になったのか、なんとなくすげえ気になった」

杏子「…………」

杏子「……はあ、なーんかホントに調子狂うな。昨日、あたしはあんたに斬りかかったんだぞ?」

葉「あれはびっくりしたぞ、あん時は本気の太刀筋だったもんな」

杏子「それを笑いながら言うかよ……もういいや」

杏子「ちょっと長い話になるよ……聞きながら、食うかい?」

葉「おお、ありがとう」



231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:02:25.07 ID:C4mIL1OC0

なんだかんだで杏子ちゃん優しい可愛い



233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:09:19.14 ID:Mag2fafG0

・・・

杏子「まあ、そういうことさ……別にそれがどうしたってことだけどね」

葉「……お前も何というか、色々あったんだな」

杏子「そう、最初はあたしも他人のために願ったんだよ。でも、結局それが全部裏目に出ちまった」

杏子「でもそれをあたしは恨んだりはしない、いい教訓になったと思えばいいのさ」

杏子「だから今のあたしはちゃんと自分のためだけに生きることが出来てるわけだしね」

葉「…………」

杏子「あたしの考え方、何か間違ってるかい?」

葉「お前の考えが正しいかどうかはオイラには分からんし、別に否定しようとも思わん」

葉「けど、オイラとはちょっと違うみてえだ」

杏子「……じゃああんたはどう思ってるんだ?誰か他人のために身を削りたいって?」

葉「オイラは…………」

葉「楽に暮らしてえ」

杏子「……………………」

杏子「…………はい?」



234:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:11:42.00 ID:9hfaqvP3O

あんこちゃん可愛い



235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:12:42.69 ID:dJYmwgwDO

考え方近くはあるな



237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:19:44.70 ID:Mag2fafG0

杏子「ぷっ……何だよそれ、結局は自分が一番楽できればそれでいいんだろ?」

葉「オイラだけじゃねえ、みんなが楽に生きられる世界が作れたらいいと思ってる」

杏子「……みんなが?本気で言ってんのかよ、それ」

葉「おお、本気だぞ」

杏子「…………」

葉「だから、オイラは楽に生きられてねえお前を放っておけねえ」

杏子「は……?何言ってんだよ、あたしはもう十分、自分の好き勝手に生きて……」

葉「お前はその親父さんとの事件があってから無理やり自分を変えてるんよ、多分」

葉「本当の杏子は他人にお節介を焼くのが好きなあったけえ人間なんじゃねえかな」



238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:20:44.75 ID:okVoGQ3Y0

妻居るのに落としにかかってるぞ



241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:28:25.69 ID:Mag2fafG0

杏子「勝手に決めつけんなよ、まだ会って二回目だってのにさ」

葉「本当に自分の好きに生きてるならオイラに身の上話なんかわざわざしねぇだろ?」

杏子「…………」

葉「それに、お前をオイラよりもよく知ってる奴も泣きながら言ってるしな。杏子は優しいって」

杏子「あたしを……よく知ってる……?」


葉「そこにいるんよ、お前の親父さん」



246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:37:37.85 ID:EPZmhQCK0

一瞬にしてホラーになったでござる



247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:39:08.95 ID:C4mIL1OC0

霊って便利だな



253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:48:20.84 ID:Mag2fafG0

杏子「は?あんた、一体なに言って……」

葉「いるんよ、地縛霊になってずっとこの教会にいたみてえだ……心中なんてすげえ死に方なのにまだ悪霊になってねえ」

葉「けど……気持ちがヘンな方向へ動けばいつ悪霊になるかも分からん」

葉「こういうのを何とかするのはオイラの仕事だ」

杏子「あんた……一体……!」

葉「この親父さんの未練を晴らすには……杏子の協力が必要だな」

葉「親父さんの話、聞いてやってくれ」

杏子「――――!」

葉「憑依合体!」



254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:51:49.12 ID:YqvP1/Qyi

懐かしいな、初期の展開。一巻は人情物だったな。



255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:53:22.01 ID:tUvYo5sa0

燃えるな



256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 17:56:00.24 ID:Mag2fafG0

その日、佐倉杏子は確かに見た。麻倉葉の後ろのかつての父の面影を。

父の後悔、苦悩、愛情、それらすべてをシャーマンである葉を通じて知ることとなる。

彼は死後、自分が激情に身を任せて娘を追いこんだことを後悔していた。

生前とはまるで変わってしまった杏子を見てその思いはさらに強くなり、ただ涙を流す日々が続いていたという。

佐倉杏子はそれらすべてを知った。

かつての自分の願いは確かに悲劇を生んでしまったが

それでも、それでも父は理解してくれた。謝ってくれた。

それは本当に遅い、遅すぎるものであったけれど

少女である佐倉杏子の心に大きな影響を与えるものとなったに違いない。



258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 18:08:51.51 ID:Mag2fafG0

・・・

葉「親父さん、ちゃんと成仏出来たぞ」

杏子「……そっか、ありがとな」

葉「さっきも言ったけど、これがオイラの仕事だからな」

杏子「シャーマン、っていったっけ。霊ってのも本当にいるんだね」

葉「おお、その辺にたくさんいるぞ。ほとんど悪さなんかしないけどな」

杏子「何か……あんたの後ろにも何かいるようか気がしてきたよ、何だろ……侍、かな?」

阿弥陀丸『!』

杏子「いや、何かはっきりとは見えないけどさ。なんとなく感じるんだよね」

葉「霊と対話したことで、ちょっぴりお前にもシャーマンとしての資質が開花したのかもな」

杏子「昨日、後ろからの攻撃を受け止められたのも……」

葉「ああ、阿弥陀丸がちゃんと見ててくれたんよ」



259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 18:12:35.73 ID:Mag2fafG0

杏子「けどさ、正直言って侍の霊って戦う時以外にあんまり役に立たなそうじゃないか?」

阿弥陀丸『むっ……!』

葉「そんなことねえぞ、道に迷った時は上からナビゲートしてくれるし」

杏子「ああ、それは確かに便利かも」

葉「チンピラに絡まれても全然怖くねえし」

杏子「ああ、まあ侍だからな……」

葉「朝なんか金縛りで絶対に起こしてくれるしな」

杏子「それは何かおかしいだろ」

葉「最悪、夜のトイレにもちゃんとついてきてくれるんだぞ」

杏子「なんであんたが夜のトイレを怖がってんだよ」



262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 18:19:44.58 ID:Mag2fafG0

葉「あ……もう一つだけ言うことがあったの忘れちまってた」

杏子「?」

葉「何か近いうちにワルプルギスの夜ってのがこの町に来るんだと」

杏子「ワルプルギスって……超ド級の大型魔女だろ!そんなやつがこの町に!?」

葉「おお、どうも本当みてえだ」

杏子「……なんであんたがそれを知ってるんだ?」

葉「ほむらから伝言を頼まれたんよ、すげえ強いやつが相手だから協力したいんだと」

杏子「暁美ほむらか……正直、あいつならまあ協力するものやぶさかじゃないさ」

杏子「けど……美樹さやかもいるんだろ、きっと」

葉「うん、いるな」

杏子「絶対あたし恨まれてんだろ、急に仲良しこよしは出来ないぞ。多分」

葉「大丈夫、何とかなるって」

杏子「本当かよ……頼むからそのユルい笑い、どうにかしてくれ」



266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 18:25:56.05 ID:Mag2fafG0

・・・
ほむら宅

アンナ「…………遅い」

アンナ「何やってるのよ葉は!」

ほむら「いきなり家に押しかけてきたあなたが言えるセリフじゃないわね、それは」

アンナ「仕方ないじゃない、あんたに話があったのよ」

ほむら「何かしら」

アンナ「あんたの正体、能力、そして……目的についてね」

ほむら「…………今はまだ、答えるときじゃないわ」

アンナ「……魂なんでしょ、ソウルジェムって」

ほむら「!」



272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 18:34:32.37 ID:Mag2fafG0

ほむら「どうして……それを?」

アンナ「あたしはイタコよ、魂を扱うのは日常茶飯事……分からないわけがないでしょ」

ほむら「イタコ……?」

アンナ「詳しい説明は面倒だからしないけど、それが分かるくらいの力はあるってことよ」

ほむら「…………」

ほむら(初対面の時に私の本名を知っていたのも……まさかそれに関係が……?)

アンナ「で、質問に答えなさい。あんたはいったい何者なのか」

ほむら「…………」

アンナ「…………どうしても言わないなら、『読む』わよ」

ほむら「!」

アンナ「この力をあたしに使わせないで、制御は出来るけれどあまり使いたいものじゃないわ」

ほむら(……やっぱり、彼女には隠す必要もないし隠すこともできない、か)



276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 18:42:03.42 ID:Mag2fafG0

・・・

アンナ「ふーん……時間を遡行して、ね」

ほむら「一度ですべてを理解してくれてありがたいわ」

アンナ「転生の概念に近いもの、これくらい当り前よ」

ほむら「私は今度こそワルプルギスの夜を倒したい……できれば、あなたたちの力も貸してくれると嬉しいけれど」

アンナ「嫌よ、めんどくさい」

アンナ「……っていうところだけど、今回は協力してあげるわ。あたしたちにとっても必要なことだから」

ほむら「…………?」

アンナ「……にしても」

ほむら「?」

アンナ「あのユルユル馬鹿は一体どこで道草食ってんの!!」

ほむら「…………」



次→麻倉葉「魔法少女・・・・・・?」【後編】

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