高田純次「ふーん、ここが夜見北中? 中学生がいっぱいいるね」【後編】

2012-04-21 (土) 19:25  その他二次創作SS Another 芸能人   10コメント  
前→高田純次「ふーん、ここが夜見北中? 中学生がいっぱいいるね」




255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 18:57:32.09 ID:g2WG9aig0

プルルルル……

勅使河原「おう、ジュン。寝坊でもしたのか」

高田『永沢君の家を燃やしたのは誰か考えてたら夜ふかししちゃったんだ。藤木説が本命だけど、野口さんも捨てがたいね』

勅使河原「案外まる子の可能性もあるぞ。それはともかく、まだ望月の部活も終わってないからいいんだけどさ」

高田『そうなの? じゃゆっくりと行くよ。発情期のネコの交尾でも見ながらね』

勅使河原「おう、それじゃあな」ブツッ

綾野「あ、てっしーじゃん。帰宅部のエースがなんでまた?」

勅使河原「ん? ああ、いやあ、その、なぁ」

綾野「まだまだだねー、じゅんじっちゃんだったらうまいこと切り返す所だろうね、そこ」クスクス

勅使河原「あいつなぁ、想像つかねえよな」

小椋「想像してもろくなことにならなそう……」



258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:05:47.61 ID:g2WG9aig0

高田「フンフフーン♪」

高田「おっ、ショベルカーじゃん。僕も昔はパイロットになろうとしたもんだ」

作業員「ん? なんだいボウズ」

高田「このショベルカーって会社のもの? 大きいね、ちなみにお兄さんのはどれくらいまで大きくなるの?」

作業員「じゅう……って何言わすんだよ!」

高田「ははは、ちょっと乗せてもらってもいい? 一度ショベルカーって乗ってみたかったのよ」ガチャッ

作業員「お、おい!」

高田「ん、ちょっとこれ動いて……」ズズッ

作業員「あぶねえっ! ……はぁ、サイドブレーキ忘れてたのか」

高田「よかったじゃない、誰かの家に突っ込んだりしなくて。それじゃ僕はこれで」タッタッ

作業員「お、おい、待てガキ!」



264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:16:32.50 ID:g2WG9aig0

サァーッ……

綾野「じゃあ、あっちにいったら連絡するね」

小椋「うん、またいつか、ね……」

タッタッ

二人「?」

高田「雨降ってきちゃったよぉ、濡れて透けるのは女の子だけで十分だっていうのにさぁ」

綾野「じゅんじっちゃん、どうしたの?」

高田「おっ、ちょうどいいところに女の子が……ってベスト着ちゃダメじゃないのよ」

綾野「もうっ、ホントスケベなんだから」

小椋「うへぇ……」



266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:26:08.67 ID:g2WG9aig0

高田「この辺に雨宿り出来るところない? なんだったら三人で遊びに行こうよ」

小椋「あー……」チラッ

綾野「……いいね、行こうっ。ゲームセンター近くにあるしさ」

小椋「えっ?」

綾野「あっ、そういえばてっしーがじゅんじっちゃんのこと待ってるって言ってたよ、ほんとにどうしたの?」

高田「ん~、夏休みの部活に精を出す皆の姿を見て僕達も精を出そうかって話になったんだよ」

綾野「へぇ~感心だねえ」

小椋(うわぁ……)

高田「ま、そんなわけだからさ、別に行っても行かなくてもいいのよね。どっち行くの?」

綾野「うん、こっちだよ」

小椋「私はパス……」



267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:32:04.83 ID:g2WG9aig0

高田「……よっ!」カツンッ

カァンッ コロコロ…… ガタッガタッ

綾野「うわぁ、すごいねナインボール全部入っちゃった」

高田「玉を入れちゃホントはだめなんだけどね」キュッキュッ

綾野「? 入れなきゃだめじゃないの?」

高田「棒を突くってのは同じなんだけど」

綾野「じゅんじっちゃんってたまにわからないこと言うね」

高田「たまだけにたまーにね」



269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:39:43.58 ID:g2WG9aig0

綾野「そういえばさ、じゅんじっちゃんは見崎ちゃんのことが好きなの?」

高田「好きだよぉ、でも彩ちゃんのことも好きだね」カァンッ

綾野「……そっかぁ、私にもチャンスはあったってことかぁ」

高田「日本の外には一夫多妻制の国があるみたいだよ。イスラムとか。ところでイスラムってどこにあるんだろうね?」キュッキュッ

綾野「んー、エッチなところがなければ即決したんだけどなあ」

高田「たとえ鳴ちゃんが僕になびいた上で彩ちゃんに言い寄られても僕は二人とも愛せる自信があるよ? もっと女の子が増えてもね」

綾野「えっ、あっちはまだ振り向いてないの?」

高田「そうっぽいんだよなあ」

綾野「……こんな風に浮気性だから信用してもらえてないんじゃないの?」

高田「でも仕方ないんだよなあ、だって僕の魅力がそうさせるんだから。その責任はちゃんと取らないと」



270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:48:05.37 ID:g2WG9aig0

綾野「……私にはもう関係ない話だけどね、転校しちゃうし」

高田「あらぁ……というとやっぱり」

綾野「仕事の都合、っていうのが本当のはずなんだけど、日が経つにつれて、やっぱり怖いからなんじゃないかな、って思う」

綾野「裏切り者に見えちゃうよね。みんな、怖いはずなのに」

高田「なんでまた、それが普通だよ。逃げられる理不尽はちゃんと逃げたほうがいい」

高田「それに、裏切り者なんていうヤツがいたら僕がやっつけちゃうよ」

綾野「……じゅんじっちゃんは転校生なのに、どうしてさっさと逃げなかったの?」

高田「君みたいな可愛い女の子がいるからだね」

綾野「……はぁ、なに訊いてもちゃんと答えてくれないんだろうな」



276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 19:55:21.38 ID:g2WG9aig0

ブーブーブー

高田「やぁてっしー。犬の交尾ってすごいね、出した時に大きくなったのが丸わかりだったよ」

勅使河原『軽く二、三発くらいは行けるようになりたいよなあ、で、なにやってんだ』

高田「彩ちゃんとデート」

勅使河原『はぁ……まあいいや、望月も来たし、見崎にも会ったんだ。先行ってるからな』

高田「鳴ちゃんもいるの? 先に言ってよぉ」

ブツッ ツーツーツー……

高田「てことで行かなくちゃならないみたいだよ」

綾野「うん、なんかすっきりした。ありがとう、じゅんじっちゃん。またいつか」

高田「そう、ならよかった。すっきりするのは大事だよ。こっちからも連絡するからね、それじゃ」タッタッ

綾野「……ふぅ」

高田「あ、どこに引っ越すの? それわかんないと連絡のしようがないよねえ」

綾野「由美とか泉美は知ってるから、訊いてあげてよ」



280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:07:17.25 ID:g2WG9aig0

旧校舎

高田「ごめーん、遅くなっちゃって。でも遅れて来るから主役の証だよね」

勅使河原「わけわかんないこと言ってないで一緒に探せ―」

見崎「空気が悪いわね、窓をあけましょう」

高田「こらこら危ない」ヒョイッ ムニッ

見崎「!?」

ガシャ-ンッ!

望月「わっ!?」

勅使河原「な、なんだぁっ!?」



282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:13:49.47 ID:g2WG9aig0

高田「相当老朽化してるみたいだねえ、他の所も気をつけないと。鳴ちゃん平気?」

見崎「高田君、その、胸……」

高田「え? あぁ、これ胸なんだ。やけに柔らかいあばらだなあと思ったよ」ムニムニ

勅使河原「お前失礼だな……乳首でわかるはずだろうよ」

高田「ん? あぁホントだ。ごめんごめん」サワサワ

見崎「……」ピクピク

望月(あの見崎さんが感情を露わに……)



283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:17:29.97 ID:g2WG9aig0

勅使河原「お、掃除用具入れの中に何か……」ズキズキ

高田「でかしたてっしー」ヒリヒリ

見崎「……」ムスッ

望月(二人のみならずなんで僕まで見崎さんの言いなりに……)

ビリッ ビリッ

勅使河原「なんだこれ、カセットテープ?」

高田「ガムテープの中にカセットテープって、僕でも言わないよ、そんなダジャレ」

勅使河原「とにかく再生してみないとな。どこに行けば……」

見崎「放送室があるわ、そこに行けばラジカセもあるはず」

望月「じゃあ行こうか」



285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:21:55.25 ID:g2WG9aig0

勅使河原「よし、それじゃ再生するぞ……」

ガチャッ ジィー……

松永『俺は今年、確かに人を殺した。これからするのは罪の告白』

松永『それから、3年3組の災厄を止めるために、後輩に託すアドバイスだ』

松永『俺たちは合宿に行って、ボロボロの神社を掃除した上でお参りをして御利益を得ようとした』

一同「……」

高田「……」

松永『その帰り道、いきなり雨が降り出して来たんだ。雷も鳴って、全員必死で逃げた』

松永『その中に傘なんか差してるやつがいてさ、いうまでもなく、雷に打たれて、死んだ』

松永『そのショックだったんだろうな、逃げてる途中で女子が滑落しちまって、翌日死体が発見された』

松永『で、大事なのはこれからなんだ。俺の記憶によればそこで三人死んだはずなんだが、死体は二つしか見つからなかったんだ』

勅使河原「……」ゴクリ

高田「ぐぅ、かぁっ……」スヤスヤ

見崎「寝ないで」ビシッ



286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:26:21.38 ID:g2WG9aig0

高田「だって三人も聴いてるんだから寝たってかまわないじゃない」ヒソヒソ

見崎「ダメ、ちゃんと聴くの」ヒソヒソ

望月「緊張感って言葉がつくづく似合わないね……」ヒソヒソ

高田「他人の話に興味がないんだよ。自分のことで手一杯なのになんで他人に興味がわくんだか」

勅使河原「ん……?」

カツカツ

勅使河原「やべえ、隠れろっ!」ガチャッ

望月「わっ!」

見崎「!」サッ



287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:31:37.63 ID:g2WG9aig0

ガチャッ

高田「あらぁどうも」

教師「お前、3組の高田だったか。なんでこんなところにいるんだ」

高田「女の子とかくれんぼしてるんですよ。ご褒美も込みでね。先生も一緒に探しませんか? まさにワリカンというやつです」

教師「ふざけたことを言ってないで、用事がないならさっさと帰れ」

高田「はぁい」スタスタ

ガチャッ

一同「……」

教師『まったく、三神先生の甥だというのに……』

高田『甥だったら結婚できるんでしたっけ?』

勅使河原「た、助かった、のか?」

望月「よくわかんないけど、そうみたいだね」

見崎「……ほんとよくわかんない」ハァ



289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:37:09.99 ID:g2WG9aig0

勅使河原「……で、テープは滅茶苦茶になったわけだが」

見崎「わかめ」

望月「うーん……これくらいなら、直せると思うよ」

高田「それはすごいねぇ」

望月「い、いつのまに!?」ビクッ

高田「それよりこの間外国人に会ってさ、興味本位にレットイットビー! って声かけちゃったんだよ。意味はわからないんだけど」

見崎「……」ハァ



292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:44:48.11 ID:g2WG9aig0

イノヤ

『今日の午後3時頃から落石により一時通行止めになっていた……』

勅使河原「え? 綾野が転校?」モグモグ

高田「みたいだね。今日には出発するんだってさ」モグモグ

望月「でも今日は市外に出る道路が……あ、もう通行止め解除されたのか。となると、もう行っちゃったんだろうね」

見崎「……」モグモグ

勅使河原「合宿も、そんなに人が来ないかもな」

高田「お姉さんこのナポリタンおいしいね、きっと本場イタリアと同じ味なんだろうね」モグモグ

智香「ナポリタンは日本独自の料理よ」



293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:48:58.54 ID:g2WG9aig0

赤沢「おにい……おにいのバカァーッ!」グスグス

カーン

高田「いったっ! 十円ハゲできちゃったらどうすんのよ」

赤沢「あっ、ご、ごめんなさ……わっわっ」フラッ

ドサッ

赤沢「い、いたぁ……」ジワッ

高田「大丈夫? あら、可愛いじゃない。可愛い子の涙は確かに綺麗だけど、たたき売りしちゃダメだよ」スッ

赤沢「うっ……」ギュッ

高田「理由があるんだろうけどさ、おじさんに話してみない? 楽になるよ」

赤沢「……その、大事な人が亡くなって……」パッパッ

高田「なんだ、僕と同じじゃない」

赤沢「えっ?」



295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 20:55:02.77 ID:g2WG9aig0

赤沢「あ、あなたも……?」

高田「うん。そういえばこっちの郷土料理っておいしいね、そばつまんこ、っていうんだっけ? 危うい名前だよねえ」

高田「でもおいしかった。ペロリと平らげちゃったよ、ペロリと」

赤沢「……そんな大事な人じゃ、なかったんですか」

高田「ううん、大事な人だったよ。僕は母親が早くに亡くなってね。遠くからではあるけど、いつも気にかけてくれる人だった」

赤沢「……じゃあ、なんで」

高田「最初は泣いたよ。結構泣いた。でも数日経っても実感がなくてさ」

高田「よくわからないんだよね、大事な人が亡くなったってどういうことか。だからいつも通りやってみるのよ」

高田「そこからなんか違う所が出てこないかなーって思ってるんだけど、さっぱりだね」

高田「死って思った以上に素っ気ないんだね、女の子だってもっと愛想良いよ」



296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:03:46.42 ID:g2WG9aig0

赤沢「はぁ……大変なんですね、あなたも……」

高田「うん、大変だよ」

赤沢「顔はそう見えないんですけどね。でも、いつも通りにするって、そういうことなのか……」

高田「生きてる方がしみったれて死に近づいちゃったら意味ないもんねえ」

赤沢「……そもそも誰かが死んだって本当ですか?」

高田「誰かを亡くした時、人は嘘をつきたがるみたいだよ」

赤沢「なにそれ……」クスッ

 ・
 ・
 ・

赤沢「……夢?」



299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:11:18.13 ID:g2WG9aig0

合宿所

勅使河原「望月、あれ持ってきたか?」

望月「うん、ばっちりだよ」

高田「僕も持ってきたよ、0.05ミリの薄々」

勅使河原「よし……やっぱり欠席者はいるねえ」キョロキョロ

望月「高林君も中尾君もまだ来れないみたいだしね……せっかくの臨時行事だったんだけど」

見崎「しかたないわ。事情が事情だもの」

高田「自慢するわけじゃないけどこのベルトイタリア製なんだ。自慢するわけじゃないんだけど」

有田「へ、へえ、すごいね」

前島「……メイドインイタリアって書いてる、カタカナで」

勅使河原「……正直大丈夫な気しかしないんだけどなあ」

望月「あはは……」



301:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:16:52.19 ID:g2WG9aig0

勅使河原「それじゃー写真撮るかぁ、皆並べ」

高田「カッコよく撮ってよぉ」

勅使河原「元がカッコよすぎるから写真なんかじゃ再現できやしねえよ」

高田「んっふっふ」

桜木(扱い慣れてきたなあ……)

勅使河原「おーい、望月もっと寄れっ。ジュンはくっつきすぎた! 見崎が困ってる」

勅使河原「だからって杉浦にくっついてどうすんだよ! ……よぉし、ハイチーズ!」パシャッ

望月「じゃあ今度は僕が……」



305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:25:08.63 ID:g2WG9aig0

勅使河原「よしと、じゃあ早速聴こうか」

望月「そうだね」

赤沢「……」ジッ

見崎「……出来るだけ他の人に聴かれない場所で聴きましょう」

高田「赤沢さん、そのリボン僕の好みだよ。気をつけてね」

赤沢「なっ!?」

高田「こんな豪勢なお屋敷に泊って、っていうのはなかなかのシチュエーションだと思うけどね」

赤沢「あんたには前からいっておきたかったんだけどね、そんな不潔なこと言ってると……」

小椋「……泉美」

赤沢「ふんっ!」クルッ



307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:31:44.41 ID:g2WG9aig0

ガチャッ ジィー……

松永『やっとの思いで下山したんだが、その時、それが起きた。(ブツッ)っていう奴と、掴みあいのケンカになったんだ』

松永『それで、気がついた時にはあいつが動かなくなって、木の枝に刺さって死んでいた』

松永『落雷や滑落の件もあったし、警察も来たけど、俺は何も言えなかった。怖かったんだ。ただ……』

松永『死体は見つからなかった。そもそもあいつの話なんてまるで出なかった。あいつのことを訊いてみても、誰だよそれ、って言われるだけだった』

松永『そこで俺は気付いた。あいつが死者だったんだ、って。でも、人を殺した事実に変わりはない。だからここで告白しようと思った』

松永『俺はまだ(ブツッ)のことを覚えているけれど、まもなく忘れてしまうかもしれない』

松永『どうやったら災厄を止められるか。いいか、死者を死に返せ。死者を死に返すんだ。それが災厄を止める方法だ』

一同「……」

高田「あ、終わった?」

見崎「……また寝てたの?」

高田「ううん、JAPって「ジュンジ・あいからわず・プリティ」のことかなあ、って思ってた」



308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:37:36.96 ID:g2WG9aig0

高田「でもおおよそはわかってるよ。厄介なことになったね」

望月「死者って、他の人と見分けがつかないんだよね……」

見崎「仮にもう一人がわかったとしても、殺せる?」

高田「無理だね、鳴ちゃんの体で悩殺できるわけがない」

見崎「……」ゲシッ ゲシッ

高田「いたいいたい」

勅使河原「……とにかく、その時は覚悟しなくちゃいけないんだろうな」

望月「もっとも、見分けられてからの話だけどね」



311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:49:40.24 ID:g2WG9aig0

食堂

カチャ カチャ……

赤沢「ちょっと良いでしょうか、先生? この際ですから、言っておきたいことがあるんです」

三神「……どうぞ」

赤沢「まず、最低限に抑えられているとはいえ、5月から度重なる不幸が起こっているのは事実です」

赤沢「対策係として、いくつかの不手際をお詫びします」

高田「やいムノウー」

赤沢「こ、こいつっ!」

杉浦「落ち着いてっ!」

高田「そうそう、落ち着いて。そもそもこれって誰かのせいにしたってしょうがないじゃない。僕のせいじゃないから言えるんだけどさ」

赤沢「ぐっ……」プルプル

高田「第一今無能って口走ってみたけどさ、雰囲気が悪くなるだけだよね。不毛だよ、中学生だけに」

高田「あっ、生えてる子もいるか」

小椋「……?」



314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 21:57:58.82 ID:g2WG9aig0

高田「それに赤沢ちゃんは頑張ってるじゃない。大したもんだよ、久保寺先生のお母さんは亡くなったけどさ」

高田「でも過去に比べたら差は歴然としている。赤沢ちゃんがなにをしてるのかは、よくわかんないけど」

赤沢「あ、あのねえっ! ここではっきりさせておくけど、あなたのその態度で現象がおこった可能性だって否定できないのよ!」

勅使河原「落ちつけ、言い争ったってこいつには勝てねえ」

赤沢「フーッ、フーッ……」

望月「待ってよ、高田君のおかげでクラスの雰囲気が良くなっている面もあるじゃないか!」

桜木「そうです! 皆が危なくなっても助けてくれました」

高田「いざ事実を言われちゃうと照れちゃうな。事実なんだけどね」

赤沢「ぐぬぬ……っ」



318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 22:06:07.47 ID:g2WG9aig0

ドシャァッ

一同「!?」

和久井「ハァーッ、ゼェッハァッ……」

風見「和久井、大丈夫か!?」

千曳「ぜんそくか、吸入器……カラかっ!」

高田「僕だってぜんそくはなんとも出来ないね」

千曳「救急車を!」

管理人「それが、先日から電話の調子が悪くて……」

千曳「……携帯も駄目か」

勅使河原「みんなの携帯も軒並みダメみたいだな、くそっ」

高田「みんなで手をつなげば交信できるんじゃない? どこにつながるかは保証できないけど」



319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 22:12:02.60 ID:g2WG9aig0

ザァーッ……

千曳「それでは、皆のことをお願いします」

三神「わかりました」

ブゥーン……

高田「大丈夫ですか?」

三神「……きっと大丈夫よ」

高田「それもありますけど、三神先生が」

三神「……気にしないで、それよりも皆のことが」

高田「こんな雨では、お化粧が……」

三神「……」



321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 22:23:01.46 ID:g2WG9aig0

見崎「高田君、私の部屋に来てくれない? もちろん、そういう話じゃないから」

高田「てことはああいう話?」

見崎「……高田君のことを信じたうえで聞いてほしいことがあるの。死者を見分ける方法が、あるかもしれない」

高田「……よし、わかった」

見崎の部屋

見崎「この左目、前も見せたけど……」

高田「綺麗だね、絶対に鑑定できないほど綺麗な目だ。僕は義眼の鑑定なんて出来ないけど」

見崎「夜見山岬が写ってる写真、これを左目で見るとね、死の色が見えるの。他の人にはみえない、独特な色」

高田「……」

見崎「簡単に言えば、これを使って死者を見れば、間違いなく判別出来る」

高田「それをいままで隠していたのは、鳴ちゃんの優しさ、なのかな」

見崎「……信じてもらえないだろう、っていうのもあるわ。でも今は違う。高田君がいる」

見崎「高田君はおちゃらけているけれど、誰かを疑ったことはない」

見崎「私がいない者になった時も、私だけでなくクラスメイト全員のことを思いやってくれていた」

高田「買いかぶられたものだね、んふふ」



325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 22:36:29.24 ID:g2WG9aig0

見崎「それからね、他にも話したいことがあるの。それは、私の双子の妹の、藤岡未咲のこと」

高田(鳴ちゃんの話では、元々彼女は双子として生まれたが、母親の妹の霧果さんに子供がいなかったから養子になったのだという)

高田(妹の未咲ちゃんとの交流は保たれていたが、今年の4月、未咲ちゃんの死によって絶たれた)

見崎「本当は信じたくなかったわ、理不尽な現象なんかのせいで、未咲が死ぬなんて」

見崎「でも、目を背けていたってしょうがない。真っ向から立ち向かって、ここで決着をつけてみせる」

高田「よく言った。それでこそ女だ……うん、さてと、その死者っていうのは、この合宿に来てるんだよね?」

見崎「それは……」

ガタァン!

勅使河原「ジュンッ! 俺、やっちまったかもしれねえ!」

高田「赤沢ちゃんを?」

勅使河原「あぁ……それならどれだけ良かったことか……」

見崎「……」



327:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 22:44:46.21 ID:g2WG9aig0

高田「落ち着いて話してごらん、赤沢ちゃんは処女だったの? そうじゃなかったの?」

勅使河原「この手にあの大きくてやわらかそうなおっぱいの感触がぁ……」

見崎「バカ言ってないで早く事情を」

勅使河原「あ、あぁ……その前に、お前ら、風見智彦って知ってるか? メガネをかけて、クラス委員の」

高田「誰だっけ?」

勅使河原「俺、風見と言いあいになって、それでもしかしたら死者じゃないか、って思って……」

勅使河原「ただ、不可抗力だったんだ、あいつが二階から落ちていったのは。じゃないと、俺も……」

高田「なるほど、弁護士の役作りにはうってつけの場面だね。じゃ、六法を枕にしてみようか」

見崎「落ち着いて、この高さなら死なない可能性のほうが高い。たぶん、突き落してから確認もしなかったんでしょう?」

勅使河原「あ、あぁ、そういえば……」

高田「ちゃんと確認しないとダメじゃない、穴開けられてないかとか」

見崎「とにかく風見君の許に」

勅使河原「ああ……」



334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:11:16.21 ID:g2WG9aig0

中央階段

高田「んー、風見君がいなくなっちゃったから探すって言っても、僕にそんな義理はないんだよねえ」

高田「ん、調理室の扉がすこし開いてる」

高田「行ってみよ……」ガシッ

前島「逃げろ、高田っ……」

高田「誰? うわ、なにつけてんのさ、ケチャップ爆発させちゃった?」

前島「行くな、そこは、だめだっ……」

高田「あ、これ血か……無理はしないで、ここで休んでなさい」

高田「それに行くなって言われたら行っちゃうよ。オープン・ザ・セサミ!」

ガタッ ゴオォォォ……

高田「……マンモスの丸焼きでも食べさしてくれるのかな?」

管理人夫「」

高田「あれは……いわずもがな、か」



337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:13:29.59 ID:9xVMMD1n0

高木生きてるのになぜ発狂?



338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:14:41.93 ID:nJqpd+Sg0

じじいの介護につかれたとかでいいだろ



339:>>337そっちの方が面白いじゃない:2012/04/20(金) 23:15:13.76 ID:g2WG9aig0

勅使河原「ジュン、どうし……うわ、なんだこりゃあ!?」

高田「消防に連絡はつかないんだよね。とにかく外に出るのが先決だろう」

高田「それと前島君が倒れてるんだ、てっしーは彼の処置を。僕は皆にこれを伝えてくる」

勅使河原「わ、わかった」

赤沢「どうしたの、高田君?」

高田「お、赤沢ちゃん」

赤沢「多佳子がいないの、部屋中が血だらけになって……それに、火事?」

高田「落ち着いて、泉美ちゃん。状況を整理しよう。管理人の奥さんが夫を殺して火をつけたみたいだ」

高田「おそらく多佳子ちゃんは彼女にやられたのだろう、でも、いないってことはどこかにいるはずだ」

高田「今は皆を速やかに外に出すことだ。ここはもうじき全焼してしまう」

赤沢「う、うんっ」



340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:16:02.55 ID:nJqpd+Sg0

やだ…この純次かっこいい///



343:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:21:39.53 ID:9xVMMD1n0

いつの間にか高田純次好きになってた



344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:22:59.38 ID:DH3soSNP0

どうぶつ奇想天外から大好きです



345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:23:14.37 ID:g2WG9aig0

望月の部屋

ガチャッ

望月「!」

高田「もっちー、調理室で火事が起きた。早く逃げよう」

望月「え、ええっ!?」

高田「とにかく外に」

望月「ひ、非常口は、こっちに……」

管理人妻「……」ギラッ

高田「やれやれ、今度は殺陣の稽古か」



349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:29:26.36 ID:g2WG9aig0

管理人妻「うらぁっ!」ブゥン!

高田「滅茶苦茶な太刀筋だなっ、見破るのがかえって難しいよっ」ヒョイッ

高田「でもー? 後ろがお留守になってたりしないかなぁ~?」

望月「うわあああっ!」ドンッ

管理人妻「ぐあっ!?」ドサッ

高田「よくやったもっちー! 女の子を殴れるなんてそれでこそ女の子だよぉ」

望月「なこと言ってないで早く手伝ってっ」ギシギシ

高田「亀甲縛り? 背面合掌縛り? おじさんどっちも出来ちゃうよ?」

管理人妻「あ゛あぁぁぁ!!!」ジタジタ



350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:37:15.68 ID:g2WG9aig0

二階廊下

桜木「粗方伝え終わりました、けれど風見君が……」

高田「多佳子ちゃんもいないみたいだね」

杉浦「私はここにいるよ?」フラァ

赤沢「多佳子! 生きてたのね、よかった……」

杉浦「泉美を置いて死ねないわよ……」ニヤァ

見崎「! 離れてっ!」

杉浦「ちっ」キラッ

赤沢「多佳子、あんた、何持って……」

杉浦「言ったでしょ? そこにいる見崎さんが死者なんだって……死者を死に返せば、災厄は止まるって……」

杉浦「死者を死にぃ!」ブゥン!

見崎「!」

高田「おじさん落ち着かせる方法は知らないんだよなあ、興奮させる方法はいっぱい知ってるんだけど」ググッ

杉浦「!(こいつ素手で……っ)」ギギッ



353:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:46:30.52 ID:g2WG9aig0

高田「泉美ちゃんのおっぱいにばっかり目が行ってたけど、君も良いおっぱいしてるね。A、B、C? 全部経験してる?」

杉浦「ふざけるなぁっ!」ドゴッ

高田「ぐっ! 足は踏みつけるだけにしてよ……」

杉浦「このぉっ!」ブゥンッ

高田「おっと!」ガシッ

杉浦「離せぇ!」ジタジタ

高田「こんな形で女の子に抱きつく時が来ようとは……皆逃げてっ!」

赤沢「た、多佳子……」タジ、タジ

杉浦「ぐっ、ぬぁぁ!」

高田「ぐっ、なんて馬鹿力だっ」ドサッ

杉浦「お前との決着はあとでつけてやる……泉美、後ろの子もちゃんと始末してあげるからね……」ダッ

赤沢「どうして、こんな……」

高田「……今は多佳子ちゃんを追おう」



357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:50:56.79 ID:g2WG9aig0

高田「死者を死に、ってことは……」

赤沢「……望月君からテープを聴かせてもらったわ。それに多佳子の記憶だと、小学生の頃眼帯をしていない見崎さんを見たことがあるらしいの」

高田「それは誤解だね。もっとも、今の彼女が聞き入れてくれるかはわからないけれど」

杉浦『3年3組のみなさん、こんばんは。まずはこちらをお聞きください』

赤沢「多佳子!?」

高田「『思い出のアルバム』をよろしく。あれはいつ聴いてもジーンと来ちゃうんだ」

松永『いいか? 死者を、死に返せ。そうすれば災厄は止まる』

高田「あんなコとーこんなコとーあったでしょうー♪」

杉浦『私の記憶では小学生の頃の見崎さんは眼帯を付けていなかったはずです。

杉浦『けれど、彼女の言う所ではもっと幼い頃に眼帯をつけはじめたのだそうで。これはどういうことでしょう?』

赤沢「多佳子……!」ダッ

高田「鳴ちゃん、逃げたほうがよさそうだ」

見崎「……うん」

杉浦『殺せえぇぇぇぇっ!!』



359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/20(金) 23:58:24.89 ID:g2WG9aig0

高田「こっちだ、鳴ちゃん」

見崎「……!」

川掘・辻井「……」

有田・柿沼「……」

一同「死者を死に!!」

三神「やめなさい! 生徒同士で殺しあうなんて、そんな……」

高田「映画化すれば売れそうですけどね、でも僕もそれに出演したいので死ぬのは勘弁だ」

辻井「邪魔するなぁ!」ブゥン

三神「あっ……!」フラァ

ドサッ

高田「!」ダッ

辻井「!(は、はや……)」

ドゴォッ!

高田「安心しなさい、峰打ちだよ」



361:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 00:01:39.16 ID:rqB8FKcJ0

何者だよwwww



364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 00:04:19.15 ID:47YfEUvJ0

川掘「拳に峰も何もあるかよっ!」ブゥン!

高田「このっ」ケリッ

川掘「つあっ!?」コケッ

高田「三神先生……鳴ちゃん、こっちだ!」

見崎「っ!」ダッ

小椋「死者を死にィ!」ギラッ

高田「うわっ、女の子が僕のために刃を? 出来れば状況を変えてほしいところだなぁ」

小椋「おらぁ!」ブンッ

高田「やむなしっ」ダキッ

小椋「わっ! はなせ変態! この、こんな抱きつかれるみたいなっ!」ジタジタ

高田「え、この感触背中じゃないの?」

小椋「殺す! 殺すっ!」ジタバタ

見崎「……」タッタッ



384:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:00:22.48 ID:sGFCOgO60

小椋「汚されちゃったよぉ……」メソメソ

渡辺「げ、元気出して……」

踊り場

高田「いったい何の話をしてたのかわかんなくなってきたな……」

見崎「いざ話を逸らされると案外弱いのね」

高田「反らすのは得意なんだけどねえ」

杉浦「それ、一生反らせないようにしてあげようか」グサッ

高田「! 危なかった、ゴムの束が守ってくれた……やり手だね、多佳子ちゃん」

杉浦「くそっ!」キーンッ!

高田「ふぐぅっ!? だめだよ、そこは舐められると格別なんだけど……」ジィーン

杉浦「あんたは後で殺してあげる……見崎さんの死に様を見せたうえでね」

見崎「くっ……」ジリッ



386:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:06:42.87 ID:sGFCOgO60

杉浦「しねえぇぇ!!」

勅使河原「よせ杉浦っ!」ドンッ

杉浦「あぐっ!?」ドサッ

高田「てっしぃ~久しぶりぃ~」

勅使河原「お前ばっかりにいいカッコはさせないぜっ」グッ

杉浦「くそぉ……」ググッ

高田「多佳子ちゃんは背面合掌縛り似合いそうだよねえ」

見崎「風見君は?」

勅使河原「見つからねえ。今千曳先生が戻ってきて前島とかを保護してるんだけど、来なかった。たぶん外にはいないんだろう」

勅使河原「ただ、火がロビーにも回り始めた。長居はできねえな」

見崎「……」ダッ

高田「鳴ちゃん? どこ行くのさ?」

見崎「ついてきちゃ駄目……私がやらないといけないから」

高田「つきたいんだけどなあ」



387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:13:35.69 ID:sGFCOgO60

高田「見失っちゃった……まずいな」

金木「こっちよ!」

松井「まって、杏ちゃん!」

高田「あの二人は……あぁ、禁断の花園か」

高田「ん?」

風見「……」フラァ

高田「えーっと、よくわかんないけどてっしーが探してる人」

勅使河原「風見!」

風見「勅使河原……ひどいじゃないか、僕を突き落としたりして」

勅使河原「あれは悪かった、話は後だ、今はここから出よう!」

風見「杉浦さんのアナウンス、聴いたよ。でも死者は見崎さんじゃない……そこにいるそいつだ」

高田「?」キョロキョロ



389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:19:51.00 ID:sGFCOgO60

風見「お前だよ、高田ぁ!」ギラッ

高田「ここの人たち刃物好きだね、でも刺すのが好きだったら金物屋も雇ってくれないよ?」ヒョイッ

勅使河原「やめろ、風見……ッ!」ガシッ

風見「離してくれ勅使河原、こいつを殺せば全て終わるんだ……!」

勅使河原「お前は見た目の割に冷静じゃなくなることがあったけど、ここまで狂うことはなかったはずだぜ……」

風見「そんなの関係ない、こんな状況でまともにいられる方がおかしいんだ。だからこいつが……」

赤沢「純次君は死者なんかじゃないわ……」

高田「泉美ちゃん」

千曳「! 君達なにをしているんだ! 早く逃げなさい!」

高田「火事だっていうのに人多すぎだよぉ」



391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:30:16.33 ID:sGFCOgO60

高田「てっしー、風見君は任せた。君ならきっと仲直り出来るはずだ」

勅使河原「わかった、見崎を無事に連れ戻してこいよ」

風見「高田ぁッ!」

赤沢「待てっ!」ダッ

千曳「やめなさいっ!」ガシッ

赤沢「くっ! 窮地から逃げた臆病者が今更何を……渦中で苦しむ人間の心がわかってたまるか!」

千曳「確かに私は逃げた。だが今ここで苦しむ人々だけは助けられるからこそ口を出す」

高田「赤沢さん、鳴ちゃんは死者なんかじゃない。それは信じてよ」

赤沢「信用しろっていうの……あなたみたいな適当な人間を……」

高田「僕を信じるんじゃない。鳴ちゃんを信じてほしい。あの子は、今重い責任を背負ってるんだ。僕はそれを助けないといけない」

高田「お願いだ、泉美ちゃん」

赤沢(あれっ、これって……)



395:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:38:38.71 ID:sGFCOgO60

高田『お互い大変だけどさ、頑張って行こうよ。死を必要以上に重く受け止めないで、今をしっかり見据えながら』スッ

赤沢『……うん』ギュッ

高田『僕は東京に戻っちゃうけどさ、君ならきっと一人でも立ち直れるよ。誰かのために泣けるってことは、それだけ思いが強いことだものね』

高田『きっとそのおっぱいもまだふくらむだろうし』

赤沢『!?』バッ





赤沢「……あなた、本当に私と昔会ったことない?」

高田「そこまで言うなら会ったのかもね。でも、もうどうでもいいでしょ。過去がどうとか、そんなことに証拠を求めるなんて」

高田「大切なのは今ここにあることを信じることさ」

赤沢「……そう」クタッ

千曳「高田君、くれぐれも無事で戻ってくるんだよ」

高田「わかってますって」



396:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:45:21.43 ID:sGFCOgO60

高田「鳴ちゃん、一体どこに……」

高田「携帯……海に行く前に番号教えてもらってよかったな。こんな形で使うことになろうとは……感動的だなあ」

プルルル……プルルル……

高田「……じらされるのも僕は好きだよ、鳴ちゃん」

プルルル……プルルル……ガチャッ

見崎『もしもし、高田君?』

高田「見なくてもわかるよ、可愛い顔してるんだよね、鳴ちゃん?」

見崎『……』

高田「いったいどこに?」

見崎『高田君は、来ないほうが良い。きっと後悔することになるから』

高田「僕に過去と未来はないんだ、今しかないんだよね。だから大丈夫だと思うよ」

見崎『……その冗談が本当でも、きっと悲しむことになるから』

ブツッ



400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:51:46.10 ID:sGFCOgO60

高田「……」

中庭

ゴオッ! ボウボウ……

高田「……鳴ちゃん」

見崎「高田君、来ちゃダメって言ったのに」カラカラ

高田「おおむね理解は出来たよ」

怜子「た、高田君……助けてっ……」

高田「三神……いえ、怜子さん。あなたが……」

見崎「ずっと引っかかってたの。三神先生を見てると、目に浮かんでくる光景がある。男の人と女の人がもつれあう姿」

見崎「川に落ちていく女の人、それをうすら笑いすら浮かべて見やっている男の人」

見崎「もっとも、証拠はない。そんな事件があったっていうことも、消えちゃっているみたい」

見崎「けれど、この目は確かに知っているの。信じて、高田君」

怜子「そんなこと信じられるわけがないじゃないっ、高田君……!」



403:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 01:58:50.13 ID:sGFCOgO60

高田「鳴ちゃん、君は十分自分と向き合えた。ここからは僕の仕事だ」

見崎「……」グッ

高田「そのツルハシを僕に渡してくれ。もしそれを振りおろしてしまったら、君が苦しむ」

高田「何より、僕は君のことを、信じたうえで恨んでしまうかもしれない」

見崎「……」スッ

高田「……」グッ

怜子「やめて、お願い……」ジッ

ゴオォォォ……



405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:02:05.60 ID:sGFCOgO60

高田「三神先生、そして怜子さん。僕はすこし前に、大事な人を失った」

高田「今思いだせたよ。その死を受け止めきれないまま、僕はずっと適当に生きてきた」

高田「そして忘れてしまった時も、喉につかえるものがありながら、この性格のせいでなおざりにしてきた」

高田「でも、今は確かに思い出せている。そしてこの今と向き合わなければいけない」

高田「やっぱりしっかりと責任は取らないといけないみたいだ」グッ

怜子「っ!」

高田「ごめん、怜子さん。ちゃんとした形で、今までこの言葉を言えなくて」グアッ

ガシャァンッ!

高田「……さよなら」ブンッ



411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:08:44.17 ID:sGFCOgO60

見崎(合宿所は全焼したものの、死者は管理人の夫だけで済んだ。もちろん、奥さんは警察によって連行された)

見崎(生徒による傷害も取り上げられるべきだったのだろうけれど、署の職員に元3組の人がいたおかげで取り調べだけで済んだ)

見崎(現象の効果はすさまじく、死に深くかかわった私と高田君以外はみんな三神先生にまつわることを全て忘れてしまった)

見崎(写真も、名簿も。思慕を寄せていたらしい望月君だって、例外ではない)

見崎(災厄を止めたことだけはハッキリしているので、高田君はちょっとしたヒーローとして扱われている)

見崎(もっともあの夜の記憶は残っているから、いまだ距離を置いている生徒も何人かいるのだけど)

高田「ゆかりちゃん風でスカートめくれたんだって? スカート履いてて良かったねえ」

桜木「もうっ、何言ってるんですかっ!」

高田「いっそスカート履かなければいいんじゃない? パンツだけになっちゃうけど」

勅使河原「ははっ、そりゃいいや。わざわざ抑える必要もなくなるしなぁ」

高田「アレの日なんかは注意が必要だけどね」

望月「まったく……」

見崎(高田君は、教室ではあの夜のことをうかがわせる顔は見せていない)



413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:14:17.45 ID:sGFCOgO60

高田「おお! 誰だっけ?」

前島「前島だよ」

高田「知ってるよ。怪我はもういいの?」

前島「ああ、傷口はまだうずくけどな」

有田「よかったわね。そういえば、杉浦さんはどうだった?」

和久井「風見君も……」

前島「怪我は両方治ってるらしいけど……色々とあるみたいでな」

高田「今度僕がナース服で御見舞いにいこうかな」

王子「きっついなぁ……」

勅使河原「じゃあ望月ならどうだ?」

柿沼「それは個人的にも見てみたい……」ジロリ

望月「え!? なんでみんな見てるのさっ!」



418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:19:38.13 ID:sGFCOgO60

小椋「と、届かない……」

高田「ほら、どうぞ」ヒョイッ ムニッ

小椋「う、うわっ!? どこ触ってんのよ!?」

高田「胸だけど? いくらなんでもわかるよぉ」

小椋「ていうかあんたが取ればいい話でしょ!」ドキドキ

多々良「高田君って、黙ってればカッコいいのにね……」

藤巻「え、あんた頭おかしくなった?」

江藤「いやあ、まあ顔は良いと思うよ。でもそんな感情を抱くこと自体……」

多々良「えっ? えっ?」



422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:25:49.58 ID:sGFCOgO60

綾野『やっほー、元気してる? じゅんじっちゃん』

高田「常に元気で困っちゃって困っちゃって。収めてほしいところだな」

綾野『あはは、またわけわかんないこと言ってる』クスクス

高田「そっちはどう? ボーイフレンドは? ま、僕以上にカッコいい人なんてそうそういないだろうけど」

綾野『じゅんじっちゃんくらいの人は中々ねー、カッコいいけど面白い人ならいるんだけど』

高田「ええ、なにそれぇ、僕はどっちにも該当しないと?」

綾野『えへへっ』



425:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:31:41.79 ID:sGFCOgO60

赤沢「……」ジロッ

高田「赤沢さんお赤飯でも食べた?」

赤沢「……誰のせいでこんなに怒る必要があるのかしら」ビッショリ

高田「Eカップある人はTシャツに水ぶっかけて着なきゃ駄目だよ」

赤沢「……」ワナワナ

中尾「……高田、殴られるなら俺も混ぜてくれ」

高田「そう? じゃあ代わりによろしく」スタスタ

赤沢「待てこらテキトーヤロー!」

桜木「あ、赤沢さん、せめて長袖着てっ」

見崎「……」



428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:38:33.73 ID:sGFCOgO60

墓地

高田「……」

見崎「今日も、いるんだ」

高田「忘れないようにね」

見崎「どう? やっぱり後悔してない?」

高田「全部わかってるつもりでやったからね。その辺のことは全く。けれど、なんだろうな、思い出すたび悲しくなる」

高田「泣けはしないんだよね。でも処理しきれない途方もない感情があるんだ」

高田「僕には母親がいないからさ、ちょっとした母親代わりを得た期間だったわけだよ、怜子さんと過ごした時間って」

高田「だけどそれが、あんな酷い形で終わることになるなんて、とか、良い所を探しても、それもやがて忘れていくんだろうな、とか」

高田「死んだこと自体は、自分で始末をつけたわけだから納得してるんだけど」

高田「怜子さんが生きていた時間は上手く処理できないまま残ってる。そして処理できないものがやがて消えていく」

高田「それはそれですっきりするんだろうけど、それを想像しただけでも、悲しい」

見崎「……」

高田「しゃべりすぎだね、僕。しゃべってないと寝ちゃうタイプだからさ」



432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:47:57.85 ID:sGFCOgO60

見崎「思い出も今思い出すことしか出来ないから今進行していることだって、言ってた人がいるの」

高田「へえ、誰?」

見崎「忘れた」

高田「あらら」

見崎「でも、そんな風に今を送りながら折り合いをつけていく余地が与えられているはずなのに、それさえ出来ないのは……」

高田「……」

見崎「泣きたい時は、泣けば良いと思うわ」

高田「僕はハリウッドを目指してるんだ、涙くらいコントロール出来ないと駄目だよ、うん」

見崎「適当の適は適材適所の適でもあるわ。今は涙を流すのに適当な時じゃないの?」

高田「あらら、一本取られた」

高田「……でも涙が出てこないからやっぱり泣かない」

見崎「……そう」



434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:54:25.30 ID:sGFCOgO60

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

「僕の中学校の頃に可愛くておっぱいの大きい子がいたのよ、モテモテでさ」

「僕も好きだった、けれどそっけなくあしらわれてね、でも今僕が独身ならきっと付き合ってくれると思うよ」

「向こうも60で可愛くなくなってるだろうしおっぱいも萎びれてるだろうけど」

「あはは、ひどーい」

 ハハハハハ……

「おっぱいの大きい子はおっぱいしか覚えてないでしょ? 可愛い子は顔しか覚えてない」

「その二つがそろってやっと僕は人間のことを覚えるのよ」

「えー、じゃあ私は顔だけー?」

「えっと、ごめん、見たことない顔だね」

 ハハハハハ……



436:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 02:59:45.83 ID:sGFCOgO60

「お疲れ様です」

「御苦労さま。ファンレターか、これくらいの女の子持ってきてくれればいいのにねえ」

「これだけはファンレターじゃないのね。ん、この名前……」

『天も地もすっかり春のよそおいをこらしてきましたが、ますますご健勝のことと存じます』

『高田君が一年だけ夜見山の地にお住まいになり、卒業して東京にお戻りになって以来、五十年の月日が流れました』

『芳しくない思い出もあるとはいえ、きっと忘れられない思い出も多いかと存じますが、いかがでしょうか』

『この春も夜見山北中学から多くの卒業生が送り出されました。もちろん、あの三組からも、です』

『今年の卒業生は三十五名、進級した当初揃った全員が無事卒業したそうです。いつしかあの災厄は、無くなったと聞きました』

『こんな話題を持ち出したのは、このたび同窓会を開催することをご報告いたしますためです。開催日は高田君の転校してきた五月と決まりました』

『近頃は大変ご活躍になっているので、ご多忙かとは存じます。ですが、皆が高田君のことを心待ちにしています』

『長々とした文章をご覧に入れてお時間をとってしまうのも心苦しいので、筆を擱きます。良い返事をお待ちしております』

『三年三組卒業生 見崎鳴』

「ねえ、スケジュール見せてくれる? あ、開いてるね。この日ちょっと東京出るよ」

「ちょっとね、それじゃここだけは何も入れないで。よろしく」

 END



437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:00:59.21 ID:PIGS8KqI0

おつ



438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:01:09.42 ID:QhKm/XxM0


アナザーみてくる



442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:02:24.75 ID:VduMlZ0v0

CMで「クレオパトラです」って言ってるやつとは思えんなww
面白かった乙



446:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:04:42.95 ID:+S8zCM4e0

面白かった
特に誰とも結婚しなかったのか

しかしめーちゃんも未婚か?



449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:07:18.11 ID:sGFCOgO60

もうなんつーか、みんなジュンジーのおかげで書けたようなもんです
ネタから展開から、考えるのも一苦労でしたけど、参考のためにコントや名言集をちょこっと見るだけでも笑えたことは楽しいひと時でした
ここまで付き合ってくれた方々、ありがとうございました。それから高田純次様、これからもがんばってください



451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:08:10.39 ID:SxJ1aVgA0

おつかれちゃーん!



453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:08:56.66 ID:+S8zCM4e0

面白かったぜ!



455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/21(土) 03:09:49.77 ID:XiPIiBr90


ジュンジーが同窓会で何やらかすか想像してしまったwww



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コメント一覧
20836. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/04/21(土) 22:20 ▼このコメントに返信する
今までどうぶつ奇想天外でしか知らなかったけど、ジュンジー面白いなw
20837. 名前 : 名無しのフィール◆- 投稿日 : 2012/04/21(土) 23:36 ▼このコメントに返信する
予測出来るのに回避不可能な展開で面白かったよ、乙
20839. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆- 投稿日 : 2012/04/22(日) 00:05 ▼このコメントに返信する
純次の再現率が半端なかった
20842. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/04/22(日) 01:02 ▼このコメントに返信する
凄く面白かった!
wikipedia見たら「子供の頃は近所の人たちから神童と呼ばれていたと言われ、中学時代までは成績はトップクラスであった」
と書いてあって吹き出したwww
そうか、こういう事があったのか・・・
20847. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/04/22(日) 04:00 ▼このコメントに返信する
予想以上に面白かったww
ほんと言い回しがそれっぽくて、違和感無かった。
20866. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/04/22(日) 16:44 ▼このコメントに返信する
じゅんじwww
20870. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆- 投稿日 : 2012/04/22(日) 18:00 ▼このコメントに返信する
面白かったし、見終わったあとになんか感動した。
これはいいな。
20871. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/04/22(日) 18:25 ▼このコメントに返信する
DAIGOと高田さんならどの作品とクロスしても活躍しそうだよな
21006. 名前 : 名無し@まとめいと◆- 投稿日 : 2012/04/25(水) 20:53 ▼このコメントに返信する
とりあえず赤沢さんのおっぱいのデカさを再認識した
30158. 名前 : あ◆- 投稿日 : 2012/12/26(水) 16:24 ▼このコメントに返信する
スニーカー文庫じゃ無くて、角川文庫でリンク張らなきゃ
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