1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:00:39.53 ID:6B4h+7ct0
この星の、生きとし生けるものよ……
わが子らよ……
滅びなさい……
滅びなさい……
2:
厨三病患者 ◆Mm/fbypRxo :2012/02/11(土) 02:00:52.71 ID:n3Ick+Kg0
ほう…
6:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:05:24.47 ID:
eOHiq71O0
勇者「勇者として生まれてはや15年」
勇者「そろそろいい年齢なので冒険を始めたのはいいけど……」
勇者「まったくモンスターが現れないぞ、どうなっているんだ」
勇者「故郷を離れてもう4ヶ月はたつのに……スライム一匹すらでてこない」
勇者「……」
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:07:46.66 ID:
eOHiq71O0
勇者「なんでだろう? なんでだと思う?」
魔王「うーん……」
魔王「……わかんない!」ニコ
勇者「……」
勇者「はあ……お前にきいてもわかんないか」
8:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:09:57.31 ID:
eOHiq71O0
勇者(所詮は犬娘だしな……)
魔王「うー! 今しつれいなことかんがえただろ!」
勇者「考えてないよ犬娘」
魔王「しつれいだろ! なんどいったらわかるんだ、わたしはいぬむすめじゃない!」
魔王「ほこりたかき『魔狼』、おおかみのおうさまなんだぞ!」がるるる
9:
厨三病患者 ◆Mm/fbypRxo :2012/02/11(土) 02:10:42.83 ID:n3Ick+Kg0
ほう…!
10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:12:01.46 ID:
eOHiq71O0
勇者「……はい、はい」
勇者「……」
勇者(はあ……4ヶ月たって仲間になったのはこの犬娘一人……いや、一匹か?)
勇者(仲間と言うよりペットといったほうがいいかもしれん……変なのになつかれちゃったな……)
勇者(他にも仲間が欲しいんだけど、一緒に行きたいと言ってくれる人が誰もいないし)
11:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:15:13.53 ID:
eOHiq71O0
勇者「……はい、はい」
勇者「……」
勇者(はあ……4ヶ月たって仲間になったのはこの犬娘一人……いや、一匹か?)
勇者(仲間と言うよりペットといったほうがいいかもしれん……変なのになつかれちゃったな……)
勇者(他にも仲間が欲しいんだけど、一緒に行きたいと言ってくれる人が誰もいないし)
12:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:17:50.84 ID:
eOHiq71O0
勇者(というか酒場にいっても客はおろか店主すらいないし!)
勇者(こりゃ想像以上に魔王の手がのびてるんだな、人っ子一人残さないとは……)
勇者(こんな辺境の町にまで……外道め、絶対にぶっ殺してやる!)
魔王「ゆうしゃ、ゆうしゃ」くいくい
勇者「……なんだ」
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:20:30.80 ID:
eOHiq71O0
魔王「おなかがすいた! ごはん! ごはんがたべたいです!」
勇者「またかよ!」
勇者「……お前はホント食べるか寝るかのどっちかだな……ちょっとは働け! 働かざるもの食うべからずだぞ」
勇者(といったものの、『勇者』として働いてないのは俺も同じか……)
魔王「うー! どっちかじゃない! ゆうしゃがあそんでくれないからだ!」
14:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:22:55.61 ID:
eOHiq71O0
魔王「あそぼ、あそぼっていってもぜんぜんゆうしゃがあそんでくれないからだ!」
魔王「あそべ、あそべ! わたしとあそべ!」じたばた
勇者「うるさいぞ、そういう意味じゃない」
勇者「働けといってるんだ! だいたいお前の『職業』はなんなのさ?」
勇者「遊び人か? 違うだろ? 犬ならちょっとはその鼻つかってモンスターの一匹でも探してくれよ!」
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:25:32.74 ID:
eOHiq71O0
魔王「いぬじゃない! あそびにんでもない! ゆうしゃのばか! ゆうしゃのばか!」
勇者「……じゃあお前って何なのさ」
魔王「……」
魔王「あう……」しゅん
勇者「……」
魔王「……」しゅん
16:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:27:37.22 ID:
eOHiq71O0
勇者(まあ……いいか……付いてきてくれるだけでもちょっとは気が紛れるし)
勇者「はああ……俺も自分が何なのかよくわかんなくなってきたよ最近……」
魔王「あ……」
魔王「ゆ、ゆうしゃ! ゆうしゃは……ゆうしゃなのだ!」
勇者「……」
魔王(ゆうしゃ……わたしの、わたしだけのゆうしゃ……)
18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:30:03.97 ID:
eOHiq71O0
―――
勇者「うわ、これはひどいな……」
勇者「完全に破壊されてるぞ、これじゃ……住人は絶望的、誰もいなさそうだな……」
勇者「いるには……いるんだよな、どっかに魔王が」ごくり
勇者(じゃあなんでモンスターの姿は見えないんだ……?)
魔王「……」
勇者「……」
20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:32:12.49 ID:
eOHiq71O0
勇者「とりあえず、食べるか……ごはん」なでなで
魔王「……!」
魔王「う、うむ! きゅーん、きゅーん♪」ぱたぱた
勇者「……」
勇者「勝手に厨房に入り食材を使って料理……勇者だからこそ許される特権だよね」じゅーじゅー
勇者「……煙で涙がでてきたぞ……」じゅーじゅー
21:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:34:40.88 ID:
eOHiq71O0
魔王「~♪ ~♪ (ごはん、ごはん、ゆうしゃといっしょにごはん)」ぱたぱた
魔王(わたしはゆうしゃといっしょにたべるごはんがだいすきなのだ)
勇者「……犬娘、そっちにある肉をとってくれないか」
魔王「うむ!(……いぬむすめっていうな!)」とてとて
22:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:36:31.22 ID:4Jnj4alI0
こういうの好き
24:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:37:43.72 ID:
eOHiq71O0
魔王「……」たらたら
勇者「おい、おい犬娘」
魔王「んぶ、じゅるっ……な、なんだゆうしゃよ!?」
勇者「肉によだれが垂れてるんだが……ご飯抜きにするぞ」
魔王「あ…や…きゅ~ん、くぅ~ん(いや、いや、ごはんぬきはいや!)」ふるふる
勇者「……まったく(ばか犬にもほどがあるぞ……)」
26:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:40:20.60 ID:
eOHiq71O0
―――
勇者「ふう……腹もふくれたし、今日はもう寝るか」
勇者「かなりの距離を歩いたから疲れたぞ、久々の布団……今晩はぐっすり眠れそうだな」
勇者(次の町まではどのくらいあるんだろう……正直、荷馬車を調達したいんだが肝心のその馬さえいない)
勇者(魔王め……! 馬くらい残しておけよバカ!)
魔王「……」じー
28:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:45:30.91 ID:
eOHiq71O0
勇者「? どうした犬娘」
魔王「いぬむすめって……! う、うぅ……」
勇者「?」
魔王「……いっしょに、いっしょにねてもいいか?」ちら
勇者「え、一緒にって……お前とか?」どき
魔王「う、うむ……だめか?」ちら
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:49:05.93 ID:
eOHiq71O0
勇者「い、いや……駄目っていうか……」
勇者「だって、お前一応女の子なんだろ……?(いや、メス……?)」
魔王「……」
魔王「ゆ、ゆうしゃはわたしを……お、おんなとしてみてくれているのか?」
勇者「え」どき
33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 02:57:50.95 ID:
eOHiq71O0
魔王「……」
勇者「……と、隣の部屋にもベッドがあっただろ、そっちで寝ればいいじゃないか」
魔王「……」
魔王「……ひとりはいや」
魔王「よるは……よるにひとりはいやなのだ……」
34:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:02:58.38 ID:
eOHiq71O0
勇者「……半分獣でも夜が怖いのか? 今までどうしてたんだよ」
魔王「……」
魔王「……ははうえが、ははうえがいつもいっしょにねてくれてた……」
勇者「……そ、そうか……(う、う~ん……)」
勇者(犬娘だろうが何だろうが、まだ幼いんだ……一緒に寝てやっても……問題はない……か)
35:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:06:01.07 ID:
eOHiq71O0
勇者「はあ……わかったよ犬娘、今日は一緒に寝るか」
魔王「……!」
魔王「ほ、ほんとうか!? やった! やった!」
魔王「わふ、わふん♪ いっしょに、ゆうしゃといっしょにねる! ねる!」ぬぎぬぎ ぽい
勇者「!?」
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:09:42.86 ID:
eOHiq71O0
魔王「ねるぞ!」だきっ
勇者「うわああああああああ!?」
魔王「!? ど、どうしたのじゃ、ゆうしゃ」びく
勇者「ど、どどどどどどうしたのじゃないだろ……! なんで、なんで服を脱ぐんだ!?」
魔王「?」
勇者「『?』じゃない! なんで寝るのに服を脱ぐのかときいてるんだ……ふ、服をきろ!」
37:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:15:46.87 ID:
eOHiq71O0
魔王「……わたしはねるときはいつもふくをぬぐ」
魔王「ゆうしゃはふくをきたままねるのか」
勇者「ああ、そうだよ! 俺っていうか……人間は寝るときも服を着たまま寝るの!」
勇者(あわわわわわわ、い、犬娘とはいえ……女の子の、は、裸を初めて見てしまった……!)
魔王「……」ぱたぱた じー
勇者「は、はやく!」
38:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:18:41.91 ID:DNjeA18W0
これってショタとロリでいいんだよな
39:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:23:12.46 ID:
eOHiq71O0
魔王「……」
魔王「ははうえはきょにゅうなのだ」
勇者「え」
魔王「ははうえはきょにゅうなのだ、わたしはははうえにだとみんなにいわれている」
勇者(あわわわわわわわわ……!!)
魔王「いまはちいさいけど、そのうちははうえみたいにきょにゅうになるぞ」
41:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:26:30.24 ID:
eOHiq71O0
勇者「……」がたがたがたがた
魔王「くぅん……」
勇者「ふ、服をきないと一緒に寝てやらないぞ!!」
魔王「!?」
勇者「裸で寝るなら一人で寝ろ! 隣の部屋で……さ、さっさと行け! 俺は寝ないぞ!」
魔王「……」しゅん
42:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:32:16.69 ID:
eOHiq71O0
勇者「……」
魔王「……」しゅん
がさごそ
魔王「ねる……いっしょにねる」
魔王「ふくをきたからゆうしゃといっしょにねる……ねたい、の……」
勇者「う……ま、まあそれなら……いい……」
勇者「も、もう遅いから、さっさと寝るぞ……」
魔王「……うむ」
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:34:25.66 ID:
eOHiq71O0
勇者「……」
魔王「……」
魔王「おやすみなさい、ゆうしゃ」
勇者「……お、おやすみ」
魔王「……」ぎゅ
(ゆうしゃ……)
44:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:39:24.33 ID:
eOHiq71O0
――――――
――――
――
家来「――こうして勇者は世界を救ったのでございます……いかがでしたかお嬢様」
魔王「お、おー……かっこいい、かっこいいぞゆうしゃ、ゆうしゃかっこいいぞ!」
魔王「もっと、もっと! ゆうしゃのはなしがききたい! じい、もっとききたい!」
45:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:43:35.52 ID:
eOHiq71O0
家来「……申し訳ございませんがお嬢様、この後まもなく魔王様と大事なお話が控えておりますので」
魔王「うー、ききたい、ききたい! ゆうしゃのはなしがききたい!」
家来「……お嬢様、お話をきかずともお嬢様には……いずれ勇者とお会いになられる日がくるかと存じます」
魔王「? あえるのか? わたしがゆうしゃにあえるのか?」
46:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:48:28.21 ID:
eOHiq71O0
家来「……はい、きっとお会いできます」にこ
魔王「そ、そうなのか!? どこでだ? どこにいけばゆうしゃにあえるのだ?」
家来「……お嬢様が出向かれなくとも、ここにいればあえるのです」
魔王「?」
家来「ここでお待ちしていれば、勇者のほうから魔王さ……いえ、お嬢様に会いにこられます」
47:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:53:20.42 ID:
eOHiq71O0
魔王「そ、そうなのか! きゅ、きゅん、きゅん♪」ぱあああ
家来「……」ちく
魔王「で、ではゆうしゃがきたときでむかえの用意をしなくてはいけないな!」
魔王「おかし、おかしをいっぱい用意するのだ! 爺、おかしをいっぱい用意するのだ!」
家来「……ええ、そうしましょうお嬢様」
49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 03:58:04.09 ID:
eOHiq71O0
魔王「ゆ、ゆうしゃがきたら、さいしょになんていえばいいのだ?」どきどき
魔王「爺、わたしはさいしょになんていえばいいのだ?」
家来「……勇者は長旅できっと疲れておいでです、まずはねぎらいのお言葉をかけて差し上げればよろしいかと」
魔王「ねぎらい……」
魔王「『よ、よくぞここまできた! ほめてやろう!!』」
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 04:02:42.42 ID:
eOHiq71O0
魔王「……こ、こんなかんじでどうかの?」ちら
家来「……ええ……ええ、きっと勇者もお喜びになられます、お嬢様」ぽろ
魔王「爺? なんでなくのだ」
家来「……申し訳ございません。なんでも……なんでもござません……お嬢様」ぽろぽろ
魔王「?」
52:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 04:15:30.29 ID:
eOHiq71O0
魔王「……へんな爺」
家来「……」
魔王(でも……あえるのか、ゆうしゃ)
魔王(たのしみだな、どんなかおしてるのだ、ゆうしゃ)
魔王(あいたい……はやくあたいぞ……ゆうしゃ♪)
53:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 04:17:40.68 ID:
eOHiq71O0
――――――
――――
――
魔王「……ゆうしゃ……」ぎゅ
勇者「……」
魔王(あ……そうだった、ゆうしゃはいまねているのだ……)
魔王(おこしてはいけない)
54:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 04:27:59.66 ID:
eOHiq71O0
魔王「きゅ……きゅぅぅ……」
魔王(うー、いけない、よなきはいけない、ゆうしゃがおきる)
魔王(ゆうしゃはつかれてる、いっしょに……いっしょにいっぱいあるいてくれてつかれてる)
魔王「……う、うぅ……くぅーん、きゅ、きゅぅう……」
魔王(いけない、いけない、よなきはがまん! よなきはがまん!)
60:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:04:46.55 ID:
eOHiq71O0
魔王「よなきは……が、がま……う、うぅ……」
魔王「……!」
ガバッ ダダダダダダダ バタン
勇者「……んん? うるさいなあ、何だ? ……犬娘?」
勇者「……」
勇者(おしっこか? ……まあ、いいや……寝よ……)
勇者「……」
61:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:07:53.15 ID:
eOHiq71O0
次の朝
魔王「……」
魔王「ゆ、ゆうべは……おたのしみだったの……」もじもじ
勇者「は?」
魔王「……」ちらちら
魔王「……ね、ねごとで、『いぬむすめ! いぬむすめ!』と、あんなにはげしく……」ぱたぱたぱた
勇者「……!」
魔王「わ、わたしはなんかいはらまされたのだ?」ぽ
62:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:14:48.57 ID:
eOHiq71O0
勇者「ぁ……が……!」かぁ~
魔王「……くぅ~ん……ゆうしゃ……」
勇者「う、うるさい! は、ははははははらますってなんだ!」
勇者「俺はただ、お前が……犬娘が粗相して叱る夢を見ただけだ! は、はらますとか……意味がわからん!」
勇者「お、お前なんかと……お前なんかと……!」
64:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:22:49.83 ID:
eOHiq71O0
だきっ
勇者「……!」
魔王「えへへ♪」
魔王「ゆうしゃ……」
がぶ
勇者「おわっ!? い、痛ってえええええ……!?」
魔王「むー! むー!(いぬむすめじゃない! いぬむすめじゃない! なんどいったらわかるんだ!)」
65:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:32:21.05 ID:
eOHiq71O0
―――
勇者「……」
魔王「……」
勇者「……ここもか……(ひどいな……)」
勇者「前の町は建物がギリギリの形で残ってたけど……ここまで破壊しつくされてるとは……」
勇者「魔王……!」ギリ
67:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:42:45.83 ID:
eOHiq71O0
魔王「ゆ、ゆうしゃ、ゆうしゃ……きょうは、きょうはどこでねるのだ?」
勇者「ぶっ殺してやる! くそ魔王!!」
魔王「……!!」びくっ
勇者「……はあ、はあ……くそ!(また誰とも会えない……!)」
魔王「……」
勇者「……今日は……今日も野宿だ……」
69:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:49:21.74 ID:
eOHiq71O0
魔王「……わ、わたしはすきだぞのじゅく、ゆうしゃといっしょにのじゅくすきだぞ!」
勇者「……」
勇者「……(ふう……犬娘は気楽でいいよな……)」
魔王「……」しゅん
勇者「もう少し歩こう……次の町までたどり着けなくても、どのみち野宿には変わりないしね……」
72:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 07:56:38.19 ID:
eOHiq71O0
魔王「う、うん……!」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「……」てくてく
魔王「……」てくてく
魔王(ごめんなさい、ゆうしゃ……)
ごめんなさい――
74:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:00:04.33 ID:
eOHiq71O0
――――――
――――
――
先代魔王「……寝たか?」
家来「……はい、泣き疲れたのでございましょう……今はぐっすりと寝ておられます」
先代魔王「……そうか」
76:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:09:43.03 ID:
eOHiq71O0
家来「……あの、大王様……」
先代魔王「……何だ」
家来「……差し出がましいとは思うのですが……少し早かったのでは……ないかと」
先代魔王「……」
先代魔王「爺、お前があいつに読んで聞かせてやってた『話』では、勇者は……魔王をちゃんと倒していたのか?」
77:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:15:49.54 ID:
eOHiq71O0
家来「……はい、申し訳ございません……」
先代魔王「いや、いい。それでいいのだ……勇者は世界を救うもの……魔王を倒すものでなくてはならん」
先代魔王「……で? あいつはその『話』の、どの登場人物に己を投影していたのだ?」
家来「……はい、お嬢様……いえ、魔王様は……常に勇者の傍らにはべり、自ら勇者の剣と、盾になり……」
78:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:21:23.23 ID:
eOHiq71O0
家来「……う、うぅ……そ、それはそれは楽しい冒険を……されているようでした」ぽろぽろ
先代魔王「そうか……」
家来「……」ぽろぽろ
先代魔王「……時間がないのだ、ついさっき入った報告だが……『嘆きの森』周辺の村や町が壊滅したそうだ」
家来「……!」
79:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:33:19.88 ID:
eOHiq71O0
先代魔王「あそこは我ら魔族も住む地域……それが人間、家畜ともども、すべての生物が息絶えたと……」
先代魔王「その範囲は徐々に狭まってきておる……」
先代魔王「……夢で見た『啓示』通りだ……」
家来「では、やはり……ここ数ヶ月、世界で起きている現象は……」
先代魔王「……」こくり
80:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:44:33.49 ID:
eOHiq71O0
家来「なぜ……このような残酷なことを……」
先代魔王「争うからだ」
先代魔王「我らは……人間は……争いすぎたのだ、人間など……同じ種族同士で争うとも聞く」
家来「……」
先代魔王「時間がないのだ……『啓示』にはこう続く……」
82:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 08:51:27.75 ID:
eOHiq71O0
先代魔王「『勇者が魔王を貫くとき、全ては許されるだろう』……と」
家来「……そ、その『魔王』とは……」
先代魔王「魔王の『系譜の儀式』は終えた、今は……あやつよ」
先代魔王「……できれば代わってやりたいのだが……ワシには、ワシにはもう時間が……う!? うぅ……!?」
家来「だ、大王様!!」
87:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:10:09.75 ID:YB2yC5pl0
86:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:10:05.68 ID:
eOHiq71O0
バタン!
魔族「た、大変です! 大王様!!」
家来「ばかもの! 今、大王様は……!」
魔族「お、おじょう……魔王さまが、城をお出になられました!!」
先代魔王「!?」
家来「……な! ば、ばかもん貴様ら!! 目付け役の魔族はどうした!!」
88:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:15:58.46 ID:
eOHiq71O0
魔族「そ、それが全員、魔法で……魔王様の魔法で眠らされております!」
魔族「残ったものの話によれば、な、なんでも『勇者に逢いに行く』と……」
家来「……!」
先代魔王「……はぁ……はぁ……」ぜえぜえ
家来「だ、大王様! すぐに追っ手を! 魔王様を保護しなくては!」
89:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:27:49.49 ID:
eOHiq71O0
先代魔王「……」ぜえ、ぜえ
先代魔王「……放っておけ」
家来「……! し、しかし……」
先代魔王「遅かれ早かれ……あやつは勇者と逢う運命、『啓示』にすがるなら……その時は早いほうがいい」
先代魔王「なに、あいつのことなら心配いらん、あいつをどうこうできる者などこの世にはおらん……勇者を除いてな……」
91:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:33:47.84 ID:
eOHiq71O0
先代魔王「救ってもらうのだ……この世界を……我々魔族も愛してやまないこの世界を……」
先代魔王(ふふ、皮肉なものだ……敵である筈の勇者に『世界を救ってもらう』だの……)
家来「大王様……本当にそれで宜しいのでしょうか……」ぶるぶる
先代魔王「いうな」
(ワシも……魔族として、父として、心からそれを願ってはおらん、願わくば……)
92:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:36:00.39 ID:
eOHiq71O0
『神』の慈悲を……!!
――――――
――――
――
ぱち ぱち ぱち ぱち
魔王「……ん……(あれ、あったかい……)」
93:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:37:16.36 ID:3VJXbTYb0
なんだか切ないな
95:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 09:47:40.74 ID:
eOHiq71O0
魔王「……ゆうしゃ?」がば
勇者「なんだ、起きちゃったか」
魔王「あ……(ちゃんといる……)」
ぱち ぱち ぱち ぱち
魔王「……ずっとおきててくれたのか?」
勇者「……まあね、火を絶やしたらモンスターに狙われちゃうから」
97:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:05:51.33 ID:
eOHiq71O0
魔王「……くぅ~ん……やさしいのだな、ゆうしゃ……」ぱたぱた
勇者「……なあ、犬娘……俺ずっと考えてたんだけど……」
魔王「?」
勇者「このまま旅を続けてても、誰にも会わない……というより会えない気がしてきたんだけど……」
魔王「……」
98:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:08:19.75 ID:
eOHiq71O0
勇者「……どうすればいいとおもう?」
勇者「誰にも会えなきゃ、どこに何があるのかも……魔王の城でさえどこにあるのかわからない」
勇者「あてのない旅……このまま旅を続けてていいのかな……って」
ぱち ぱち ぼっ ぱち
魔王「……」
99:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:14:10.00 ID:
eOHiq71O0
魔王「……ゆうしゃは、ゆうしゃはそんなこといわない……」
魔王「わたしはしってるのだ、ゆうしゃは、ゆうしゃはどんなときもよわねをはかない」
魔王「せかいをすくう……まおうをぶっころす、このせかいのえいゆうなのだ!」
勇者「……!」
魔王「だ、だから……だからこのままたび……いっしょにたびを……つづけたい」
100:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:22:37.34 ID:
eOHiq71O0
魔王「わ、わたしは……ずっと、ずっとゆうしゃのそばにいたい……」
魔王「きゅ、きゅ~ん……ゆうしゃ、ゆうしゃ、ずっとそばに……そばにいたいのだ」パタパタ
魔王「だから……!」
勇者「魔王ぶっ殺す!!」
魔王「……!」
102:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:25:59.83 ID:
eOHiq71O0
勇者「……こんな感じでガンガン気持ちを高めることにするか」
魔王「……う、うん! うん!」ぱあああ
魔王「まおうぶっころす! ……えへへ♪」
勇者「……さて、犬娘はもう寝なよ、明日はまたたくさん歩くことになりそうだからね」
勇者「……次の町まで、どれくらいかな……(そもそも無事なのか……?)」
103:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:30:38.09 ID:
eOHiq71O0
魔王「ゆうしゃ、ゆうしゃ」くいくい
勇者「? なんだ、さっさと寝ないと……」
がぶ
(いぬむすめっていうな!!!)
(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……!!!??)
105:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 10:49:14.96 ID:
eOHiq71O0
ぱち ぱち ぱち ぱち
勇者(いっしょにいたい……か……)ちら
魔王「……すぅ……すぅ……」
勇者「う……」どき
勇者「……! (ふ、不覚にも『また』ドキッとしてしまった……!)」
勇者(い、犬娘があんなこというから! 見た目は、可愛い女の子なのに!!)
124:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:10:25.08 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「……すぅ……すぅ……」
勇者「女の子と二人きりで旅か……」
勇者(何故だろう、このまま……俺もこのままでいい気がして……)
ぱち ぼっ
勇者(!? な、何を思ってるんだ俺は……! さっき犬娘と気合を入れたばっかりじゃないか!)
126:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:15:12.57 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者(他の旅の仲間も探して、魔王の情報を集めつつ、いろんな洞窟や森を冒険するんだ)
勇者(今の状況に浸ってる場合じゃないぞ、しっかりしろ勇者!)
勇者「……」
勇者「うん、また明日から頑張らなきゃ……」
勇者(もうすぐ明け方か……火はもつよな、俺も……少し寝よ)
127:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:18:32.14 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者(おやすみ、犬娘……)なでなで
魔王「……くふぅん……すぅ……すぅ……」
勇者「……」
勇者「……」
(ゆうしゃのてのかんしょく、なでなでしてくれるてのかんしょく……)
(ゆうしゃのにおい……)
128:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:20:42.95 ID:
1ZeZ9mY+0
ぴく
魔王「……!」ぱちっ
魔王「……」
魔王(ま、また……う、うぅ……)
魔王「うぅうぅうう、うううう……」がるるるる
魔王(は、はやく、はやくはなれなきゃ……ゆうしゃからはなれなきゃ!)
129:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:26:41.96 ID:
1ZeZ9mY+0
だっ!!
魔王「……はぁっ……はぁっ……」たったったったっ
魔王「……うぅ、ううう……うー!!」がる、がるるるるる
魔王(また……まただ……もうこれはいやなのに、もういやなのに……!!)
魔王「う、うう……おっ……」
魔王「あ、あお~~~~~~~~~~~~ん!!!!」
130:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:30:25.36 ID:
1ZeZ9mY+0
――――――
――――
――
先代魔王「む……今の声は……」ぴく
家来「はい、お嬢様でございます」
先代魔王「またか……この頃回数が増えてきたようだが……」
家来「お嬢様も多感なお年頃ですので……」
131:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:35:36.34 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「『年頃』……ふふ、爺よ、アレの意味を解った上でそう言っておるのだな?」にや
家来「あ……ち、父上様の前で……こ、これは失礼しました」あせあせ
先代魔王「ふふ……よい、よい。あれの母もそうであったわ……」
家来「……(お后さま……)」
132:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:40:54.51 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「アレはな、ストレスなのだ……それも性的な欲求による……」
先代魔王「簡単に言ってしまえば『性欲の発散』よ、ただのな……父として複雑ではあるが……」
家来「……」
先代魔王「后も昔は大変だったぞ、ひどいときは毎日だ」にや
家来「……」
134:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:49:17.08 ID:
1ZeZ9mY+0
家来「……おほん。となれば、お年を召されるごとに『アレ』がなくなる……というわけなのですね?」
先代魔王「……后のことか? いや、后のアレがなくなったのは年をとったからではない」
家来「では……」
先代魔王「契ったからだ、人間で言うところの……『女にしてやった』からなくなったのよ」にやにや
家来「……ご、ごほん。し、失礼しました……」
135:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:52:15.26 ID:YkWT/BGJ0
家来反応に困るわwww
137:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 13:56:01.31 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「おるのかの……あやつの相手は」
家来「……! ま、まだ早うございます!」
家来「そ、それに、お嬢様にふさわしい相手ともなるとそれなりの者でなければ!」
家来「……爺は未だそのような者の噂を聞いたことがございません」
先代魔王「そうか、そうか、ならばあやつの相手は爺に見つけて貰うとしようかの」くっくっ
141:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 14:19:14.47 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「あやつもいつかは誇り高き『魔王』の名を継ぐもの……伴侶ごとき己で見つけて貰いたいがな」
先代魔王「『英雄色を好む』と言うんだそうだ、先代勇者がそう言っておった」
家来「ほう、それではその時奪い合いになられたのが今のお后さまで……?」
142:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 14:21:48.80 ID:
1ZeZ9mY+0
ミス
先代魔王「あやつもいつかは誇り高き『魔王』の名を継ぐもの……伴侶ごとき己で見つけて貰いたいがな」
先代魔王「『英雄色を好む』と言うんだそうだ、先代勇者がそう言っておった」
先代魔王「ワシも若いころは先代勇者と女の奪い合いをしたことがある」
家来「ほう、それではその時奪い合いになられたのが今のお后さまで……?」
143:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 14:22:40.41 ID:3VJXbTYb0
なんか普通に良い人だな
144:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 14:26:39.54 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「いや、負けた。……負けたから今の后を伴侶にしたのだ」くっくっ
家来「……」
先代魔王「あやつは……先代勇者は今頃どうしておるのかの……」
家来「……(良く似ていらっしゃる……魔王様……)」
家来(勇者のお話をされるときの眼……お嬢様そっくりでございますよ……)
145:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 14:35:52.89 ID:
1ZeZ9mY+0
――――――
――――
――
勇者「……今のは……犬娘の声か?」
147:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 14:42:57.19 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……」
勇者「……そういえばあいつ、いつも寝てるとき途中でどこかに出歩いてるみたいだよな」
勇者「用を足すのにどこかへ行ってるものだと思ってたけど、今の声はなんだ……?」
勇者「……」
勇者「……様子を見てくるか(あっちの方角からしたよな、声……)」
152:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 15:03:27.76 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……」がさがさ
勇者「……(まさに獣道だな……草が鬱陶しい、あいつこんなところで何やってるんだ?)」
勇者「……」がさがさ
勇者「……」がさがs
勇者「!? こ、これは……!!」
153:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 15:11:21.30 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……町?」
勇者「こ、こんな場所に町があったなんて……! 気が付かなかったぞ……」
勇者(あれだけ草木に囲われてたんだ、見えなくても不思議じゃないな……)
勇者「……でも、やっぱりここも破壊されたあとみたいだな」
勇者(人もいないか……ん? 人? ……あ、そうだ犬娘!!)
155:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 15:24:40.52 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者(犬娘はどこに……)
ズーーーーーーーン!! ズズズズズズ……!!
勇者「!? ……な、なんだ!?」
チュドーーーーーーン!! ズズズズズズ……!!
勇者「あの建物の向こうか、誰か……いるのか?」だっ
161:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 15:47:59.16 ID:
1ZeZ9mY+0
タッタッタッタッ
勇者(犬娘……? いや、もしかして他の人かもしれない……!)
勇者(人……犬娘以外で初めて会う人……!)どきどき
勇者(頼む……! 誰か、人間がいてくれ……!!)
バッ
……!!
162:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 15:52:51.09 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「ウー! ウウー!!」ブン
ズシーーーーーン ガラガラガラ……
魔王「ウウー!! ウウウウーーーーー!!!!」ブン
ッドーーーーーーン メキメキメキ……
魔王「ウー、コワレロ! ミンナコワレロ!!」
勇者「……」
勇者「……犬……娘……?」
165:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 16:19:40.57 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「ウウウ……?」ギロ
勇者「……!(い、犬娘なのか、本当に……?)」
魔王「ウウー、ウウウウ……」
勇者「お、おい……どうしたんだよ犬娘、それに……なんだよこの破壊のあとは……」
勇者「……犬娘が、全部やったのか……?」
167:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 16:29:40.86 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「ウウウー、イヌムスメッテイウナ……イヌムスメッテイウナ……!」
魔王「ワレハ……ウ、ウウ……ワレハ……」
魔王「イダイナルマゾクヲスベル……ウウウ、マ、マ……」
魔王「『マオウ』ナリ!! オ、ア……アオーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!」
170:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 16:44:15.39 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「大きな玩具よな……『町』ひとつを好きなだけ破壊できるのだから……」
家来「ですが必要です」
先代魔王「ふむ、まあよい……ちゃんと近隣諸国、周辺の自然などは無事なのであろうな」
家来「抜かりありません」
家来「『町』周辺には常に結界を張っており、また万が一に備えて『回復』を得意とする魔族を周辺に配置しておりますれば……」
171:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 16:50:30.50 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「『回復』か……あらゆる高等魔法を繰る我ら一族でも、『回復』の呪文だけは終ぞ一人も覚えることができなかったな」
先代魔王「その代わり『破壊』には長けておる、やはり……これも『魔王』の宿命かの」
ズズーーーーーーーン ズズズズズ……
家来「お嬢様におかれましてもそのようで……」
先代魔王「くっくっくっ……」
173:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 16:54:54.23 ID:
1ZeZ9mY+0
――――――
――――
――
先代魔王「……! ぐはっ、がああ……!!!?」ビチャ ビチャビチャ
家来「だ、大王様!!!」
先代魔王「ぐぅうぅ……! き、きたようだな……時間が」ぜえぜえ
174:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 17:01:23.17 ID:
1ZeZ9mY+0
家来「何故……なぜ大王様がこのように早く……!」
先代魔王「ぐぅ、ふ、ふふ……『神』からすれば『王』も『家来』もないのだ……」ぜえぜえ
先代魔王「この世に生を受けたものには等しく訪れる……もう、世界には時間がない……」
先代魔王「頼む……急いでくれ、勇者よ……はやく、はやく魔王を貫くのだ」
先代魔王「魔王を……!」
175:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 17:05:59.70 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「魔王を……娘を……!!」つー
先代魔王「頼む……」ぽた
先代魔王「頼む……娘を、イヴを……」ぽたぽた
先代魔王「殺さないでくれ!!!!」
先代魔王「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
176:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 17:13:19.96 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「いかせるのではなかった!! やはりあのときいかすべきでは……!!!」
先代魔王「とめてくれ!! 頼む、爺!! 止めてくれ!! 止m……ぐはっ!!!」びちゃびちゃ
家来「大王様……!!」ぽたぽたぽた
先代魔王「頼む……げほっ、勇者を……ひゅーっ、む、娘を……魔王を……」
先代魔王「か……み、よ……」
178:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 17:16:01.12 ID:
1ZeZ9mY+0
先代魔王「と……め……」
先代魔王「……」
先代魔王「……」
家来「お疲れ様でした、大王様……」ぽた
家来「すぐに……すぐに爺もそちらへ参ります……」ぽたぽた
182:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 17:36:30.40 ID:
1ZeZ9mY+0
……なんだ、おまえは?
……くぅーん……
……人間? いや、でもこの耳と尻尾は……犬?
……どっからきたの……?
……きゅ、きゅん、きゅん♪ ばっ
うわ! なんだこいつ!
196:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 18:54:30.82 ID:
1ZeZ9mY+0
――――――
――――
――
勇者「いぬ……むすめ……え……?」
勇者「……『まおう』?」
勇者「な、何を言って……」
198:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:02:23.86 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「うぅうぅう……」がるるるるる
勇者「……!」ごくり
勇者(し、信じたくないけど、今、実際にこいつが……犬娘が町を破壊してるのを見た)
勇者(あんな……あんな強大な魔法が使えるなんて……! 魔王……?)
勇者(じゃ、じゃあ行く先々で町が壊れていたのも、全部こいつの仕業か!)
199:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:07:39.24 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「犬娘が……魔王だった……魔王……魔王……魔王……」
ほこりたかき『魔狼』、おおかみのおうさまなんだぞ!
勇者「……!」
勇者「魔王……!」ギリッ
魔王「ぐるぅうう、ううううう……」
202:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:16:46.99 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「ずっと騙してた訳か……!」
勇者「ずっと、一緒に旅をするフリをして……バカにしてたのか、俺を! 勇者を!!」
勇者「バカに! バカにして……!!」
ゆうしゃといっしょにねる……ねたいの
勇者「お、俺は……今まで……」
わ、わたしはなんかいはらまされたのだ? ぽ
203:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:23:12.82 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「今まで……ずっと今までしてきた旅が……」
だ、だから……だからこのままたび……いっしょにたびを……つづけたい
勇者「……続くと……ずっと続くって……そう思ってたのに(お前には言えなかったけど…)」
わ、わたしは……ずっと、ずっとゆうしゃのそばにいたい……
勇者「俺も……俺もお前とずっと……」ぎゅ~っ
206:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:29:58.61 ID:
1ZeZ9mY+0
まおうぶっころす! ……えへへ♪
勇者「……魔王の癖に、よく言えたもんだ」
魔王「ウウウウう……コワス……」
勇者(あの森ではお前の言葉に励まされたよ……覚えているか……魔王)
魔王「グルルルッル、ウウウウウウウ……コ、コロス……!!!」
勇者「……」チャキン
207:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:34:56.77 ID:
1ZeZ9mY+0
ゆうしゃは、ゆうしゃはどんなときもよわねをはかない
勇者「……いくぞ、魔王」カチャ
せかいをすくう……まおうをぶっころす、このせかいのえいゆうなのだ!
魔王「ウウウウウウウウウウウ!!!!!!!」
勇者「う、うおおおおおおおおおおおお!!」ダダダダダ
勇者「魔王!! ぶっ殺してやる!!!」
208:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:38:52.20 ID:BfSLi3qGO
ああ・・・
209:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:40:12.71 ID:
1ZeZ9mY+0
パキーーーーーーーーン
カラン カラン ……
魔王「う、ううう……ううううう」ぐるるるる
勇者「……」
勇者「……なんてね」
211:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:42:15.17 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……」
勇者「殺せるわけないだろ、やっぱり……」
勇者「これ、一度も店で変えなかった……故郷の木で作った剣だから……」
勇者「……ていうか、そもそもモンスター一匹も倒したことないから経験値……ゼロだし」
勇者「魔王に挑むのは早すぎちゃったか……」ニコ
212:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:47:42.97 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「ウウ……! うう、うううう……ユ、ユウシャ……」すっ
勇者「うんうん、流石に降参です。またイチからやり直すよ」
魔王「ユ、ユウシャ……ユウシャ……」キュインキュイン……
勇者「こんな駄目な勇者で悪かったな……魔王、がっかりしたろ……犬娘……」
214:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:52:58.43 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者(イチからなんて……そんなことあるわけないんだけどさ……)
勇者(勇者はどんだけ強くなっても……もう、きっと……魔王を倒すことはできない)
勇者(俺の……たった一人の……たった一人『だった』仲間……)
勇者「うん、この冒険は……最高だったなあ!!!」
魔王「……シネ!!!」
ボッ
216:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 19:58:31.14 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「……」
魔王「……」
魔王「……あれ?」
魔王「……ゆうしゃ?」
魔王「なんでそんなところでねているのだ?」とてとて
218:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:00:51.87 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「ゆうしゃ、ゆうしゃ、おきて、おきて」ゆさゆさ
勇者「……」
魔王「ゆうしゃ、ゆうしゃ、かぜひいちゃう、ここでねてたらかぜひいちゃう」ゆさゆさ
勇者「……」
魔王「うー! おきろ! おきろ! 」ゆさゆさゆさゆさ
219:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:01:07.09 ID:WyNG2yMd0
うわああああああああああああ
220:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:02:30.21 ID:3VJXbTYb0
性欲がどうしてこうなってしまった…
221:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:03:29.59 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「おきろ! おきろ! かんじゃうぞ! おきないとまたかんじゃうぞ!」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「ゆうしゃ……おきて……」ポタ
222:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:09:53.44 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「お、おきてくれたらとっておきのじょうほうをあげるのだ」ごしごし
魔王「すごいじょうほう、きっとゆうしゃはよろこぶぞ」
魔王「なんとあのまおうのしろのばしょをおしえちゃいます!」
勇者「……」
魔王「あ、あとあと、まおうのしょうたいもおしえちゃいます!」
勇者「……」
223:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:12:27.54 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「……くぅーん……」しゅん
魔王「……」
魔王「……!(そ、そうだ! 『かいふく』のじゅもん……!)」
魔王「じいにいっぱいおしえてもらったのだ、えーと、えーと……」
224:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:17:34.52 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「すいみんのかいじょ、たいりょくかいふく」
魔王「ど、どれだっけ……あれ? どうすればいいんだったっけ……」
魔王「うー、うー、おもいだせない、おしえてもらったのにおもいだせない……!」
魔王「はやく、はやく、ゆうしゃをおこさなきゃだめなのに……」
魔王「まりょくのかいふく、げどく、そせい……う、うぅ」
225:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:21:17.10 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「……!(だ、だれか……)」
魔王「だれか……ゆうしゃをおこしてくれるひとは……」
勇者「……」
魔王「……おきて……おきてください、ゆうしゃ……」
魔王「……う、ひっく……おぎでぐだざい……ゆうじゃざま……」
227:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:27:58.33 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「わだじをだおじていいですがら……ひっく……まおうをだおじでいいでつがら」
魔王「もうわがままはいいばぜん、いっじょにだびがじだいなんてもういいばぜん」
魔王「いいばぜんがら……おぎで……おぎで……ゆうじゃ、おぎでよゆうじゃ!」
魔王「わだじのだいぜつなひと……ごのよでいちばんだいせつなじと……」
魔王「ゆうじゃああああああああああ」
228:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:30:05.26 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「うるさい! この……っ、ばか魔王が!!」ぽか
魔王「きゅん」
229:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:30:51.25 ID:3VJXbTYb0
!
232:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:35:07.25 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「耳元でぎゃーぎゃー喚くな、それはなんかの攻撃か? ぶっ殺すぞ!?」
魔王「あ……あ……」
魔王「ゆうしゃあっ!!!!」だきっ
勇者「……! は、離れろこのくそアホ魔王!! 獣くさいんだよ!!」
魔王「ゆうしゃ! ゆうしゃ! ゆうしゃだ、えへへ♪」ぱたぱたぱた
233:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:38:23.64 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「ぐ……!」
魔王「ゆうしゃ、ゆうしゃ……わたしのゆうしゃ……」
勇者「だ、だれがお前の勇者だ人間の敵め……!(とかいいつつ顔が赤くなってるのが情けない……)」
魔王「てっきり、てっきり、しんでしまったのかとおもった、ゆうしゃがいなくなってしまったかとおもった!」
勇者「……」
234:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:41:52.10 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者(……あれは、あのとき俺は確かに死んだはずだ……)
勇者(でも声が聞こえた……どこかで聞いたことのある声……)
勇者「……なんか、『情けない、おお情けない』ってバカにされたし……」ぼそ
魔王「?」
勇者「まああれだ、『勇者は死なん』! 例え死んだとしても『何度でも生き返る』!」
235:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:44:04.39 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……これが勇者の特権だね」
魔王「お、おー……かっこいい、かっこいいぞゆうしゃ、ゆうしゃかっこいいぞ!」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……」
236:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:47:07.44 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……(きゅ、急に黙るなよ、緊張しちゃうだろ!)」
魔王「……」
魔王「ゆ、ゆうしゃ……」
勇者「なんだ、魔王」
魔王「……」
魔王「ゆうしゃがすきです」
237:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:51:15.30 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……!」
魔王「ゆうしゃがすきなので、いっしょにたびがしたいです」
魔王「……ずっと、ずっと、ゆうしゃのそばでたびがしたいです」
魔王「でも、でも……ゆうしゃはまおうをたおすのだな……」チラ
勇者「……さすが魔王……(今の『攻撃』は効いたぜ……)」
勇者「あー……」
240:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:54:41.64 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「……」
勇者「俺は魔王は嫌いなんだ」
魔王「……」
勇者「だってあいつは人間の敵だし、町を壊すし、馬も残さない気のきかないヤツだし……」
勇者(じゅ、純情な勇者の男心を一度踏みにじったし……!)
241:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 20:58:06.96 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「そして俺は勇者だし」
勇者「勇者は魔王を倒す旅に出なきゃ……うん、でも仲間も必要なんだよな……」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「また一緒に旅に行くか、『犬娘』」
魔王「……! う、うん、うん……!!」
244:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:01:32.02 ID:
1ZeZ9mY+0
たたたたた
魔王「ゆうしゃよ!!!」だきっ
魔王「あいしているぞ!!」
勇者「……俺もだ」
魔王「えへへ♪ うれしい」ぽ
魔王「でも……」
ガブ
いぬむすめっていうな♪
247:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:04:56.48 ID:
1ZeZ9mY+0
数年後
俺たちはまだ旅を続けている
相変わらず人にあうこともモンスターに出くわすこともない
(なので相変わらず経験値はゼロ、しかももはや武器すらない)
変わったことといえば……
こうして手をつないで歩くようになったことと……
勇者「……犬娘、大丈夫か?」
249:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:09:36.92 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「……うむ、すこしみおもになったからといってわたしはへこたれないのだ」
勇者「……お前が大丈夫でも中の子が大丈夫じゃないかもしれないだろ」
勇者「次の町くらいで、しばらく旅を中断しよう」
魔王「えー……きゅ~ん……」しゅん
勇者「そろそろ腰を落ち着かせるのもいいかもしれないしな」なでなで
250:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:12:43.80 ID:
1ZeZ9mY+0
魔王「……」
魔王「くふ、ゆうしゃにはたしかにこしをおちつかせてほしいの」
魔王「まいばんいじめられるわたしのみになってみろ」ニヤニヤ
勇者「な……!」
勇者「お前だって毎回、毎回……!」
ガブっ
252:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:16:27.30 ID:
1ZeZ9mY+0
勇者「いっ痛えええええええええ!?」
魔王「……ばつじゃ」
相変わらずの毎日
終わりのない旅……
だがそろそろ休憩が近づいている
魔王「ゆうしゃよ……ずっとわたしたちはいっしょじゃ」
魔王「あいしておるぞ……ゆうしゃ……」
風の音がきこえる
254:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:18:40.05 ID:
1ZeZ9mY+0
罪深き子らよ……
『最後の二人』よ……
海原を、天空を、大地を征く『最初の子』らよ……
幸せに……
幸せに……
255:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:20:45.41 ID:
1ZeZ9mY+0
終わり
とにもかくにも支援保守サンクス
色々いいたいことあったけど眠いのでもう落ちます でわノシ
258:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:21:48.23 ID:85IEOC3N0
乙
とりあえず勇者が生き返って良かった
267:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:40:53.68 ID:4Jnj4alI0
お疲れ
こりゃ面白かった
262:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:27:46.10 ID:YkWT/BGJ0
乙
ちゃんと貫いたじゃないですかー
257:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:21:47.65 ID:3VJXbTYb0
お疲れ
もう世界滅亡しとるやんこれ…
259:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/11(土) 21:22:01.15 ID:6idghiqq0
すでに滅んでたのか?
- 関連記事
-
Amazonの新着おすすめ
おすすめサイトの最新記事