4:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:24:25.55 ID:
AxULv/RU0「綺麗な夕日ね……」
オレンジに染まっていく学園都市
その光景を一望できる高台で、そう呟いた
「あぁ……ホント、綺麗だ」
そう答えるのは黒髪の少年
「あの、さ、ありがとう」
「ん? どうしたんだ急に」
その言葉に背中を向けたまま、少女は話を続けていく
「私の我侭に一日付き合ってくれて」
振り返れない
顔を見せられない
だって、きっと今にも泣きそうな顔だから
6:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:25:26.84 ID:
AxULv/RU0初夏の風を頬に受けながら、沈んでいく夕日だけを見て言葉を紡ぐ
「私はもう大丈夫、だから」
だからアンタは……
「アンタは、あの子の所に居てあげて……」
言葉が、音が、歪んでいく
「守りたいんでしょ? 傍に居てあげたいんでしょ? 幸せになって欲しいんでしょ?」
捲し立てるように無理矢理続ける
「だから! あの子の所に行きなさい!」
風が吹く、少しだけ熱を纏った風が
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:27:03.14 ID:
AxULv/RU0――
「……イギリスに、帰る?」
突然の話に咥えていたストローをグラスの中に落としてしまう
「うん、だから面識がある人とは最後に挨拶しておこうと思ったんだよ」
いやいや待て待て、話が急すぎる
イギリスに行くって言わなかったってことは、戻ってくるつもりが無いってこと?
「じょ、冗談……」
「冗談でこんなこと言えないかも」
色々な人が住む学園都市、その中でも一際目立つ銀髪シスターが声をあげる
「だから、決着をつけて貰いたいんだよ!」
体をテーブルに乗り出して、こちらに詰め寄りながら
8:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:28:12.26 ID:
AxULv/RU0「一週間……一週間、時間をあげるから。その間に決着をつけてほしいんだよ!」
真剣な目で
有無を言わせない口調で
こちらの都合をお構いなしで
そう、言い放った
「な、なんの決着を……」
「決まってるんだよ!」
また声を荒げ
「とうまとの関係をだよ! 短髪!」
人の想い人の名前を持ち出してきた
9:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:29:16.47 ID:
AxULv/RU0「あ、アイツとは別に、なんでもないし……」
虫の鳴くような声を出しながら、氷だけになったグラスをストローでかき混ぜる
「だ・か・ら・だ・よ!」
一層語気を強くしてこちらを睨む
「短髪にとってとうまは何?」
「な、何って、その知り合いっていうか、友達みたいなものって言うか……」
「もっとスッキリハッキリ正直に言うんだよ!」
言葉に詰まる
自分でも自覚は有った、彼女がとうまと呼んでいるその少年に惹かれていること
しかし、それを素直に出せないことにも自覚がある
10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:30:30.13 ID:
AxULv/RU0「短髪は、とうまが私と一緒にイギリスに行ってもいいの?」
「……え?」
その言葉に、思考が停止した
「私はとうまに一緒にイギリスに来てもらいたい、でもそれはとうまが了解した場合」
一息、肩の力を抜いてこちらを見つめながら
「だから、短髪にはとうまとの関係をハッキリさせてもらいたいんだよ……」
真剣な眼差しで
「たぶんそれが、私のこの学園都市でのケジメだから」
そう、言い放った
11:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:35:42.88 ID:
AxULv/RU0――
あれから二日、イマイチ思考が纏まらない
アイツが此処から居なくなるかもしれないのに、と
思いはするが現実味が無い
「アイツが、イギリスに……」
想像する
だが思考はそれを拒絶、また現実味が無い話だと頭の中で堂々巡り
「居なく、ならないよ」
想像の中の『アイツ』はいつでも誰か困っている人がいたら助けてあげて
そのために自分が不幸になるのも厭わない
そして
いつでもどこでも駆けつけてくれる、ヒーローの様な……
「我ながら、なんて――」
子供の様な考えだろう
思い自嘲した時だった、年齢に不相応な音と共に携帯電話に着信
相手は
「え?」
想い人、今まさに考えていた少年からの
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:40:44.40 ID:
AxULv/RU0指が震え、心臓の鼓動が早くなる。それは動揺を表す
出るか出まいか、悩む時間も無い
「も、もしもし」
『えーと、御坂か?』
間違いなく本人、跳ねていた鼓動が更に加速するのを感じる
「な、なにか用?」
『んー単刀直入に聞くけど、明日って時間有るか?』
「だ、大丈夫!」
つい反射的に答えてしまった
『そうか、じゃあちょっと話がしたいんだけど……』
「わ、わかったわ」
『おお、そんじゃまた明日の昼に第七学区の公園で』
簡単な挨拶と共に通話は終わる、同時に肺から空気が出て行く感覚
溜め息なのか安堵の吐息なのかそれは自分自身にもわからなかった
14:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:46:10.70 ID:
AxULv/RU0――
「遅い、のはいつものことか……」
あの少年とは何度か交流を持っている、だが約束通りの時間に彼が来たことはない
初めから期待していなかった分、怒りはなかった
だが、今日はその分余計なことを考えてしまう
「決着……か」
それは三日前の銀髪シスターとの会話
少年と一緒に居たいと言った少女の言葉
「一週間って、言われてもなぁ」
残りの日数は四日、その中であの少年と決着をつけろと
そうしなければ彼はイギリスに行ってしまうかもしれない
それは、嫌だ
本人と会う直前になって湧いた感情
アイツと……離れたくない
「つけなきゃ、決着……」
あの子に言われたからというのもある、でもそれ以上に
自分の気持ちに素直に――
「悪い悪い! 遅くなった!」
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:51:15.03 ID:
AxULv/RU0当人の遅い登場、そして彼を見てまた少し心が揺らぐ
「あ、アンタねぇ自分で誘っておいて遅刻するんじゃないわよ」
「いやその、本当に申し訳ない」
いつも通りの会話、いつも通りの日常
その『いつも通り』が無くなるなんて思えない、思い、たくない
「で、今日はどんな用件?」
「あー、それなんだけどな」
現実は非情だ
考えたくないこと、思いたくないこと、不安なこと
そんな有って欲しくないことは現実で起こりうるからこそ
心を重くする
「インデックスがイギリスに帰るって言い出したんだ」
そう、私の考えたくないことが
「そう、なんだ……」
「それで、もし良かったら俺も一緒にイギリスに来ないかって」
現実になる
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:57:08.95 ID:
AxULv/RU0「急な話で何言ってるかわかんねぇかも知れないけど、俺もどうしたらいいかわかんなくて」
「一緒に、行かない、の?」
行って欲しくない、とは言えない
私は言える立場でもないしコイツがあの子のことを思うのなら、一緒に行くだろう
……胸が絞めつけられるように痛い
「そんな簡単に決められたら御坂さんに相談しませんよ」
「え? あ、相談?」
「あぁそのつもりだったんだけどって、なんだと思ったんだ?」
そう言われるとまた答えに困ってしまう
そりゃ正直に、アンタに行って欲しくない一緒に居たい、って言えればいいんだけど
18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 02:58:51.70 ID:
AxULv/RU0「その、てっきり別れの挨拶かと……」
「なっ! そんなこと有るわけないだろ! 俺だって悩んで……御坂に」
気まずい沈黙が辺りを支配する、自然と目線は相手の顔を見れず互いが背ける
少しの間、そして
「なぁ御坂」
「なに?」
静かに切り出す
「ちょっと歩かないか?」
「……うん」
19:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:00:03.42 ID:
AxULv/RU0日は高く二人を照らす、間に流れる空気とは裏腹にとても綺麗な蒼穹
「覚えてる? アンタここで私相手に無防備に立ち塞がって」
「ええ、ボロボロにされました」
大きなアーチを描いた鉄橋、幾度ここで彼に電撃をお見舞いしたか
今じゃそれもいい思い出、かな
手すりに背を預け横の少年を盗み見る
自分より少し高い背、ツンツン頭、改めて見ても平凡な少年、なのに
「ん、どうした?」
「……なんでもないわ」
少年の顔を見て心が揺れる
もし、コイツがあの子に着いていくと言ったら
私にはそれを止められるだけの覚悟が有るだろうか……
不安を隠すように空を見上げようとして、錆び色の鉄骨に空を遮られた
20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:05:08.09 ID:
AxULv/RU0「この街に未練がないなら、あの子を守ってあげたらいいじゃない」
「そう……か……そうかもな」
心にもない
自分でも良く分かってる、そんなことを言うつもりなんかなかった
でも、この少年の重荷になりたくない、我侭な女だと思われたくない
その思いが心にもないことを言ってしまう
「御坂が、そう言うならそれもいいのかもな……」
彼の顔を見れない、こみ上げてくる物を感じ景色が歪みそうになる
でも、堪える。息を飲み無理やり明るい声を作ろうとする
「じゃあ、さ」
「うん?」
私には本当の気持ちを言葉に出来ない、ならせめて
「向こうに行っちゃう前に明日一日、私に付き合ってよ」
「……え、あ、あぁいいぜ」
ほんの少しだけ我侭を言ってみよう
21:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:10:13.70 ID:
AxULv/RU0――
「遅刻、しなかったじゃない」
約束の時間に10分も早く彼が来るなんて、それこそ槍でも降ってくるんじゃないだろうか
昨日とは違う穏やかな気持ちで、そんなことを思う
「そんな毎回待たせてるか? 俺って」
「待ってるわよ、少なくとも私は待たされてる」
空は晴天、高く上った太陽が初夏を思わせてくれる
待たされてるという言葉に少し申し訳無さそうな少年を見て
「ま、今日は時間通り来たんだし、許してあげるわ」
素直に微笑んだ
「……お前には敵わないな、御坂」
彼もまた、優しく笑いながら
いい一日になりそうだな、と
そんな声が聞こえた気がした
23:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:15:29.50 ID:
AxULv/RU0「御坂……」
「ん、何?」
やたらと明るくファンシーな雰囲気に包まれて、少女はご満悦
「俺は此処に居てもいいのか?」
しかし少年はそうはいかない、場違いな自分の姿に腕を組んで耐えるだけだ
「いいに決まってるじゃない、それに別に誰も気にしないわよ、男一人で入った訳じゃないんだし」
「いや、でも俺以外の男はカップルで来てるだろ絶対」
その言葉に、手を止めて周りを見渡す
確かに、やたらいちゃいちゃした空気が漂っている気が……
24:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:20:33.67 ID:
AxULv/RU0思い、急に恥ずかしくなる
「あ、べ、別に皆が皆カップルって訳じゃないでしょ! つ、付き合う前のデートとか!」
「そ、そうかデートとかか!」
互いに恥ずかしさから慌てて別の方向を向いてしまう
そんな姿を見て他の客が暖かい視線を送っていることも気づかずに
「こ、これなんか可愛いなー」
「あ、あぁ可愛いな! うん!」
とても、平和だった
25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:25:33.59 ID:
AxULv/RU0河原を歩く
隣の少年との、自分の記憶の中だけにある思い出を思い起こしながら
「買わなくて良かったのか?」
「あんまり寮にぬいぐるみ置いておく訳にもいかないしね」
「でかいクマがもう居るからか?」
こちらを見ながら、からかう様に言ってくる
「アンタねぇ、今更だけどアレ不法侵入よ?」
「う、すみません……」
「まぁでも、アンタが気付かなかったら私も此処に居なかったかもしれないもんね」
今日ぐらいは素直に
「あの時は、ありがとう……」
本当なら何度言っても足りない位、コイツには言わないといけないのに
そんな大切なことも私は素直に出来なかった
「気にすんなよ」
右手が頭に乗せられる
「俺は俺が思った通りにしただけなんだからさ」
26:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:30:40.16 ID:
AxULv/RU0頭上の手がくすぐったい、けど嬉しい
「思った通りって?」
「……誰も悲しまなくて済むようになって欲しいって、御坂がいなくなるのは嫌だって」
そう言って真剣な表情を見せた
「でも結局、自分の為に戦っただけだよ」
「……そっか」
乗せられた右手から逃げるように前へ
彼の前に立ち、振り返る
「それなら、なおさらありがとう」
聞いて不思議そうな顔をする、本当に鈍感な男だ
私がいなくなるのが嫌、か
その言葉だけで普段なら恥ずかしくて逃げてしまいそうだ
「……あの時、お前を信じてよかった」
風にかき消されそうな声で
それでも確かに聞こえた
でも、それに返事はしなかった
27:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:35:41.40 ID:
AxULv/RU0発電用風車が回る
夕日に染まる街を見下ろすように二つの影だけがそこに在る
「綺麗な夕日ね……」
もう十分、かな……
ゆっくりと空を見上げる、オレンジに染まる空を
「あぁ……ホント、綺麗だ」
穏やかで優しい声がすぐ後ろから聞こえる
「あの、さ、ありがとう」
「ん? どうしたんだ急に」
手すりを握る手に少し力が入り、気持ちを落ち着かせようと一息
風が吹く、夕刻の涼しい風が体をすり抜けるように
「私の我侭に一日付き合ってくれて」
そんなことかと言う様に、少年が鼻で笑う
28:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:40:09.51 ID:
AxULv/RU0穏やかな空気、それを割るのは凛とした声
「私はもう大丈夫、だから」
だからアンタは……
もう、私のことなんか気にしなくてもいい
「アンタは、あの子の所に居てあげて……」
感情が、想いが、胸を締め付ける
「守りたいんでしょ? 傍に居てあげたいんでしょ? 幸せになって欲しいんでしょ?」
自分の想いを押さえつけて、無理矢理続ける
「だから! あの子の所に行きなさい!」
29:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:45:39.39 ID:
AxULv/RU0「……さようなら、当麻」
顔は見れない
まぁ見せらないような酷い顔になってるんだろうな、と思い横を通り抜ける
「待てよ御坂!」
握られた腕に力が込められる、相手を止めようとする明確な意思
「俺はまだ行くなんて……」
「アンタはあの子を一人で行かせるの?」
「っ、それは」
答えに詰まる、それは言わずとも否定の意味だ
「……だからあの子についていって」
体が熱い、感情の昂りで体温が上昇していくのを感じる
「アンタの守りたい世界が、あるんでしょ?」
ゆっくりと握られていた腕に込められていた力が抜ていく、
「今まで……ありがとう」
そう言って、一歩踏み出すと同時
少女の動きはその一歩で止められていた
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:48:59.32 ID:csg5uj/00
美琴……33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:50:47.71 ID:
AxULv/RU0背中に、暖かい鼓動を感じる
「俺の、守りたい世界は」
「お前だ、美琴」
少年の言葉を飲み込めない
自分の気持ちを押さえつけ、決別の意思を下した
その決意を容易く挫く言葉
「もう何も、失いたくない。誰かの――俺の気持ちを騙して生きるのは嫌なんだ」
それは少年の心
誰も何も失いたくない、誰かが傷付く結末を良しとしない
そして自分自身の想いの為に
「なんでよ……」
34:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:52:22.99 ID:
AxULv/RU0街を染めていた日が落ちていく、辺りは夕闇が近づくと共に冷たい風に包まれる
影は重なり、そこに伸びるシルエットは一つ
「俺が、御坂と一緒に居たいと思ったんだ」
「……ばか」
「な、馬鹿ってお前なぁ!」
抱きとめられた腕に手を寄せ、その温もりを確かめる
私も言葉にしよう、自分の気持ちに素直に
「私も、一緒に居たいって想ってる」
風が吹く
空へ、空へと
少女の涙でさえも空へ
御坂side end
35:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 03:58:02.18 ID:
AxULv/RU0取り敢えず御坂さん視点は終わりです。
次から上条さん視点で投下していきます。
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:00:11.82 ID:
AxULv/RU0「……イギリスに、帰る?」
それは突然の報告だった
「うん、一週間後にステイルが迎えに来るって」
「ちょっと待てぇ! いくら何でも急すぎるだろ! こっちだって色々準備がなぁ!」
箸を置いて頭を掻き毟る、普段からツンツンの頭は更にボサボサになっていく
そんな少年の姿を見ながらも冷静に銀髪シスターは続ける
「それで、とうまにも着いてきて欲しいんだよ」
ピタ、とダイナミックに動いていた少年が止まる
「お、俺も?」
「もし、とうまが良ければだけどね」
何でもない様に、酢豚の数少ない肉を食べながら言い放つ
37:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:05:16.21 ID:
AxULv/RU0「それって旅行みたいな感覚でせうか?」
「たぶん年単位で帰って来れないと思っていいんだよ」
「そんなことをサラっと言うな!」
年単位で帰れないということは学校も転校しなきゃいけないし、両親にも話通して知り合いに連絡を――
……うん、そんな簡単に決められないだろ
「なぁ、インデックス……、本当に一週間で決めるのか?」
んー、と余り困った感じはなく、まるで今決めたかのような口調で
「そうだね、期限は一週間なんだよ!」
そんな簡単な空気でイギリスへの移住を迫られるなんて……
今日も、上条当麻は
「……不幸だ」
40:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:10:59.96 ID:
AxULv/RU0「と、言うわけでとうまには一週間以内にイギリスに来るかどうか」
「それと短髪と、とうまがイギリスに行くかどうかの話をして欲しいんだよ」
ちょっと待て、一つ目はともかく二つ目に関しては聞き捨てならない
「なんだって?」
「わかり易く言うと、とうまが短髪と一緒に居たいなら来なくてもいいんだよ」
「なんでそこで御坂が出てくるんだ」
名前を口にして思い出す
インデックスが短髪と呼ぶ、御坂美琴という少女のことを
「……とうまは短髪のこと好き?」
42:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:15:03.78 ID:
AxULv/RU0「む、それは……」
なんとも答えに困る質問だ
「ハァ、短髪も素直じゃないけど、とうまも結構素直じゃないんだよ」
まるでこちらの考えを見透かした様に続けていく
「だから短髪と話をつけて欲しいんだよ」
何時になく真剣な表情に、折れてしまった
「わかった……、どうにか御坂と話をしてみるよ」
そう言った後、どうも箸を動かす気にはなれなかった
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:20:20.42 ID:
AxULv/RU0――
あれから二日経つ、イギリスへ帰ると言った張本人はあの日以来、小萌先生の家に行き帰ってこない
本人曰く『こもえの家に私の荷物の殆どは置いてあるんだよ』だそうだ
「何時の間に人様の家にお世話に……」
まぁ俺の家もあのシスターにとっては人様の家の筈なのだが
「考えても仕方ない、か」
ベッドに体を倒し、天井を見て考えるのは二つのこと
一つは自分のイギリス行き、そしてもう一つは
「御坂、かぁ……」
イギリス行きを告げられてから何度目かわからない溜め息を吐き出し
44:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:25:41.51 ID:
AxULv/RU0「連絡、取ってみるか」
純粋にイギリスに行くべきかそうでないか、それを相談したいという思いもある
携帯電話を手にしたときインデックスに言われた言葉を思い返す
『……とうまは短髪のこと好き?』
好きか嫌いか、そう言われれば勿論好きな人というカテゴリに入れられるだろう
だがそれ以上に御坂美琴という少女が気になっているのも確かな訳でして
「御坂、美琴……」
名前を呼び、なんとなくだが決心がついた
よし、と小さく呟いて携帯の発信ボタンを押した
45:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:30:13.10 ID:
AxULv/RU0――
ヤバイ
何がヤバイかと言いますと
「既に待ち合わせの時間に30分近く遅れていることでせうか」
走る、それはもう全身全霊で
昨夜の電話の後、色々考えすぎて眠れなかった
イギリス行きのこと、御坂との関係のこと
そして、それを今日話すということ
「あと目の前で迷子が泣いてたのとお年寄りが大通りを渡ろうとしてたことぐらいですかねぇ!」
遅れた理由を思い返しながら遅刻している自分を不甲斐無く思う
「ついたら謝罪から入らないと駄目かな……」
心なしか足が重く感じる、逃げ出したいと
自分で誘っておいてそれは流石に出来ないが
足の重さとは裏腹に足は確実に前へ進み、待ち合わせの公園へと連れてきてくれる
此処まで来たら腹を括ろう
46:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:35:09.98 ID:
AxULv/RU0「悪い悪い! 遅くなった!」
出来る限りの全力だったのだがやはり30分以上待たせてしまった
少しぐらいの電撃は覚悟の上、と思って軽く身構える、が
「あ、アンタねぇ自分で誘っておいて遅刻するんじゃないわよ」
拍子抜けなほどに、本日のお嬢様は機嫌がよろしいようで
「いやその、本当に申し訳ない」
なんとも間抜けな謝罪になってしまった
「で、今日はどんな用件?」
「あーそれなんだけどな」
言わないといけない、少なくともこれからの生活に関わることの方は
現実を見据えろ上条当麻、言わなければ前に進まないんだ
「その、インデックスがイギリスに帰るって言い出したんだ」
「そう、なんだ……」
47:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:40:15.90 ID:
AxULv/RU0余り驚いてないような、気がするんですが
でも何故か寂しそうな元気が無いような、そんな雰囲気はわかる
今なら切り出せるだろう、相談事の一つ目
「それで、もし良かったら俺も一緒にイギリスに来ないかって」
「急な話で何言ってるかわかんねぇかも知れないけど、俺もどうしたらいいかわかんなくて」
一瞬、目が合った
驚きではない、諦めの様な悲しさを感じる瞳が見えたような、気がした
「一緒に、行かない、の?」
それも直ぐに目を逸らされる
併せて聞きたくなかった言葉が投げかけられた
『一緒に行かないの?』と
それは御坂が、上条当麻はイギリスに行くと思っている証拠でもあるだろう
だから、反論する
「そんな簡単に決められたら御坂さんに相談しませんよ」
「え? あ、相談?」
48:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:45:06.93 ID:
AxULv/RU0意外、だったのだろうか?
今度こそ驚きの表情、そして自惚れじゃなければ
少し、嬉しそう?
「あぁそのつもりだったんだけどって、なんだと思ったんだ?」
「その、てっきり別れの挨拶かと……」
「なっ! そんなこと有るわけないだろ! 俺だって悩んで……」
悩んで、俺は何を言おうとしてるんだ
「……御坂に」
言葉が続かない、言わなければいけない筈なのに
伝えなければいけないのに、言葉にならない……
「なぁ、御坂」
「なに?」
「ちょっと歩かないか?」
俺は、臆病だ
49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:50:11.24 ID:
AxULv/RU0橋上を歩く、頭上には季節を感じさせる陽光と青空
この橋には色々な思い出が詰まっている、目の前を歩く少女との思い出もその一つだ
「覚えてる? アンタここで私に無防備に立ち塞がって」
勿論、覚えている
「ええ、ボロボロにされました」
手すりにもたれ掛かり河を見る
流れていく河のように、時間は待ってはくれない
答えを、出さなければいけない
「その、この街に未練がないなら、あの子を守ってあげたらいいじゃない」
胸にズキと痛みが走る
「そう……か……そうかもな」
この少女から、その言葉を聞くのはとても辛い
出来ることなら、否定して欲しかった
でも、それは自分の臆病な心を隠して、他人に背を押して欲しいという身勝手な思い
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:55:17.33 ID:
AxULv/RU0だから、受け止めよう
「御坂が、そう言うならそれもいいのかもな……」
結構、寂しいもんだな、と見上げた先に空は見えず、視界は錆び付いた鉄骨に遮られる
「じゃあ、さ」
「うん?」
さっきまでの真剣な声とは違う明るい声で
「向こうに行っちゃう前に明日一日、私に付き合ってよ」
少し、驚いた
そんな風に誘ってくれるなんて思っていなかったから
「え、あ、あぁいいぜ」
勿論、答えはYESだ
51:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:57:09.83 ID:
AxULv/RU0――
今日くらいは、幸運の女神も味方をしてくれたみたいだ
まさか待ち合わせの場所に10分前に到着出来るとは
「遅刻、しなかったじゃない」
それでも自分より更に早く来ていたお嬢様には敵わなかったが
「そんな毎回待たせてるか? 俺って」
軽く不服を申し立てるが、それに少し悪戯っぽく微笑んで
「待ってるわよ、少なくとも私は待たされてる」
確かに、自分は目の前の少女を幾度と無く待たせてしまっている
一つ一つ思い返すと流石に申し訳ないと、反省
「ま、今日は時間通り来たんだし、許してあげるわ」
そう言って見せた表情は
俺の気持ちを揺らがせるには十分な笑顔だった
「……お前には敵わないな、御坂」
青空を見上げ
「いい一日になりそうだな」
そう、呟いた
52:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 04:59:17.72 ID:
AxULv/RU0「俺は此処に居ていいのか?」
やたらとフワフワだったりモフモフだったりするかわいい造形の物達に囲まれ、どうにも居心地が悪い
まぁ横でカエルのぬいぐるみに御執心の少女は嬉しそうだが
「いいに決まってるじゃない、それに別に誰も気にしないわよ、男一人で入った訳じゃないんだし」
「いや、でも俺以外の男はカップルで来てるだろ絶対」
言って、お互いの動きが止まる
俺は今、とても恥ずかしいことをしているんじゃないのだろうか
「あ、べ、別に皆が皆カップルって訳じゃないでしょ! つ、付き合う前のデートとか!」
その言葉に、つい今の自分達を重ねてしまい
更に意識して恥ずかしくなった
「そ、そうかデートとかか!」
もうまともに彼女の顔を見れそうにない
そう思って、本当に店を出るまでは目をあわせられなかった
53:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:01:19.32 ID:
AxULv/RU0「意外と可愛い物好きなんだな、御坂って」
「その、子供っぽいかな?」
街中をゆっくりとした歩調で歩いていく
「いいんじゃないか? そういうのも含めてお前なんだし」
それは本心だ、普段の姿を見てると年下とは思えないような言動が多いが
こういう時は少女らしくて良いと思う
「……ばかにしてる?」
「違うっての」
嘘っぽく拗ねてる様な仕草でこちらを窺ってくるその姿を
可愛いな、と
目線を外せなくなってしまう
そういえば、と先程の店で御執心だったぬいぐるみを思い返し
56:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:06:14.74 ID:
AxULv/RU0「買わなくて良かったのか?」
「あんまり寮にぬいぐるみ置いておく訳にもいかないしね」
言われて思い出す、彼女の部屋にお邪魔させてもらった時のことを
「でかいクマがもう居るからか?」
「アンタねぇ、今更だけどアレ不法侵入よ?」
「う、すみません……」
確かに女の子の部屋に、いくら同居人が許可したとしても勝手に入ってしまったのだ
反省反省と思っていると、まぁでも、と前置きして
「アンタが気付かなかったら私も此処に居なかったかもしれないもんね」
そう言って、微笑み
「あの時は、ありがとう……」
「気にすんなよ」
右手で少女の頭を撫でる
幾度となく誰かを守るために振るった、その右手で
57:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:11:00.13 ID:
AxULv/RU0「俺は俺が思った通りにしただけなんだからさ」
「思った通りって?」
「……誰も悲しまなくて済むようになって欲しいって、御坂がいなくなるのは嫌だって」
あぁ、そうだ
誰一人失いたくない、誰かが失われればその分、誰かが悲しむのだから
御坂が居なくなったら、それは俺自身とても悲しい
「でも結局、自分の為に戦っただけだよ」
俺は、俺の為に御坂を
――失いたくないと
「……そっか」
する、と右手からすり抜けるように少女の感触がなくなる
小走りで横を抜け、前に立ち振り返る
「それなら、なおさらありがとう」
少し驚くが、素直に、心からの言葉だと
なんとなく確信できた
そしてその表情を見て、俺も心から
「……あの時、お前を信じてよかった」
想った言葉を発した
58:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:16:06.43 ID:
AxULv/RU0小高い丘の様な、学園都市を見晴らせる高台に影二つ
夕日に身を染めながら少女が手すりに近づいていく、何かを悟る様な微笑で
「綺麗な夕日ね……」
空を見上げるとオレンジと深い青のグラデーションが辺りを支配していく
「あぁ……ホント、綺麗だ」
そして、今日がもう終わろうとしているんだな、と
少し寂しい気もする
「あの、さ、ありがとう」
突然の言葉
「ん? どうしたんだ急に」
返せるのは凡庸な言葉
「私の我侭に一日付き合ってくれて」
その言葉は、俺が彼女に言いたい言葉だ
肩の力を抜くように息を吐く、彼女にこそ感謝の言葉を掛けようと
『ありがとう』と
59:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:21:10.09 ID:
AxULv/RU0声を掛けようと顔を上げた瞬間、その思いは真剣な声に遮られた
「私はもう大丈夫、だから」
「アンタは、あの子の所に居てあげて……」
「守りたいんでしょ? 傍に居てあげたいんでしょ? 幸せになって欲しいんでしょ?」
「だから! あの子の所に行きなさい!」
捲くし立てられる様に言われ、初めて気がつく
その声に、その表情に、彼女の目に浮かぶ涙に
「……さようなら」
当麻、と
投げかけられた名前を耳にして、ようやく頭が働く
「待てよ御坂!」
立ち去ろうとする腕を掴む、このまま帰してはいけないと
ただ、そう思った
「俺はまだ行くなんて……」
まだ明確な返事はしていない、しかし
「アンタはあの子を一人で行かせるの?」
61:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:25:16.38 ID:
AxULv/RU0「っ、それは」
その答えは、裏切ることになる
守りたいと思ったものを、自分の信念を
「……だからあの子についていって」
まるでこちらの想いを見透かす様に
「アンタの守りたい世界が、あるんでしょ?」
俺の、『守りたい世界』は
「今まで……ありがとう」
逃げるように駆け出そうとした背中
その背中を、その身体を止める為に、抱きしめた
目の前に居る少女に、ここまで言われて、ここまで言わせてやっとわかった
自身の想いが、伝えたい言葉が――そして言葉にする
「俺の、守りたい世界は」
「お前だ、美琴」
叶うことなら、二人で同じ景色を見て、同じ世界を生きていきたいと
それは、少年の決着の意思
64:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:30:15.02 ID:
AxULv/RU0「もう何も、失いたくない。誰かの――俺の気持ちを騙して生きるのは嫌なんだ」
自分自身の決意を、伝える
「なんでよ……」
二人を包む光と闇
すれ違っていた少年と少女の想い
「俺が、御坂と一緒に居たいと想ったんだ」
腕の中、少女の力が抜けていくのを感じる
「……ばか」
「な、馬鹿ってお前なぁ!」
抱きとめた腕に手を寄せられ、確かな温もりを感じる
「私も、一緒に居たいって思ってる」
抱きしめる
目の前の少女を
『守りたい世界』を
上条side end
65:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:34:50.46 ID:c60BZWUN0
乙66:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:34:53.85 ID:
AxULv/RU0取り敢えずこれで上条さん視点は終わりです、あとはエピローグ的なのを数レス落として終わります。
68:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:37:55.74 ID:
AxULv/RU0――
「ほんっとーに、とうまは馬鹿なんだよ!」
白い修道服を着たシスターがボヤく、それに同調するかの様に黒い神父も
「それにはまったく、大いに同意だね」
上条当麻、御坂美琴
彼等に英国行きを伝えたのは一週間前、つまり今日が返事を聞く日だ
「なんの為の決着かわかってほしかったんだよ!」
「正直あの程度の頭脳じゃ、理解出来なかったんじゃないかと僕は思うけどね」
タバコをまた一本咥えながら溜め息をつく
「まさか上条当麻がイギリスに来る、なんてね」
69:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:40:50.61 ID:
AxULv/RU0彼、上条当麻から連絡が有ったのは数時間前
ステイルから、彼はおそらく日本に残るだろうと連絡を受けた直後だった
『インデックス……俺は、お前と一緒にイギリスに行く』
「な、なに言ってるんだよとうま、短髪との話はどうなったのかな?」
『あぁ、御坂にも了解は取ったよ』
そんな感じの短い会話で通話は終わった
「あれだけお膳立てして結局これなんだよ……」
確かに自分としても彼がイギリスに来てくれるのは嬉しい、それは本心だが
それ以上に、彼には彼自身の幸せを掴んで欲しかった
「君は本当にそれでいいのかい?」
70:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:43:15.46 ID:
AxULv/RU0「……私はシスターだから、全ての人の幸せを祈り願うんだよ」
返答を聞き紫煙を吐くのは黒い神父、呆れとも、ある種の尊敬とも見れる視線を彼女に向ける
――願わくば、全ての人に幸せを
「僕は君にも幸せになってほしいんだけどね」
「私は十分幸せなんだよ」
本心からの笑顔で
「みんなのことを覚えていられるだけで、幸せ」
その笑顔に、神父もぎこちない微笑みで返し
「……君が覚えていてくれるなら、僕も覚えていて君のために生きよう」
そう彼もまた、決意する
71:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:46:04.14 ID:
AxULv/RU0――
「アンタが守りたい世界が他にもあるなら、アンタの信念に従えばいいじゃない」
迷いの無い口調で、ハッキリとした意思を伝えられる
「え、っと本当に良いのか? 御坂」
「アンタが待ってろって言うなら、私は何時までも待つわよ」
イギリス行き、それは目の前の少女を残して行くということだ
数年単位、学園都市を離れることになるということも伝えた、その上で良しと言う
「……その、私も結局甘いのよね」
自嘲気味に微笑んで
「アンタが帰ってきてくれるって言ってくれるなら、許しちゃうんだもん」
「……悪い、御坂」
謝り、そして
「いつになるかわからないけど、必ず戻ってくる」
約束する、彼女の元に戻ってくると
「俺の守りたい世界に……」
fin
72:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 05:56:14.59 ID:c60BZWUN0
えんだああああああ73:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/08/03(水) 06:28:33.31 ID:rDIkbaBV0
おお終わってた
台本形式以外はVIPじゃ受けが悪いから、SS速報の方が人集まったかも
俺は好き 乙
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