1:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:22:44.32
ID:bGKh+TUN0
約5000字 アニメ最終話の話
姫和(ひより)と可奈美の現世(うつしよ)への帰還中
姫和「可奈美は眠ったときに夢の中で母親に会っていたんだろ?」
可奈美「うん。起きたら忘れてちゃってたけどね」
姫和「それはおそらく、現世と隠世(かくりよ)に分かれた二振りの千鳥によって起きていたはずだ」
可奈美「ふむふむ」
姫和「しかしならば同じように小烏丸(こがらすまる)を持っていた私も、母に会っていてもおかしくないはずだ」
可奈美「そうだね。なんでかなー」
姫和「千鳥と小烏丸が同じ条件だとしたら、私と可奈美に差があったということか?」
可奈美「うーん? あ!」
姫和「なにかあるのか?」
可奈美「私は、寝るとき千鳥を枕元に置いて眠るんだけど、たまに寝ぼけて千鳥を抱いて寝てるんだよね。これは?」
姫和「睡眠時の御刀との距離か。だが私も寝るときには小烏丸を身近に置いているぞ」
可奈美「違うかー」
姫和「それに逃亡生活したときは、私も小烏丸を握りしめて睡眠をとったが何も起きなかったぞ」
可奈美「うーん、なんでなんだろうね?」
姫和「私と可奈美の条件が同じなら、後は母の側の条件か?」
可奈美「お母さんの?」
姫和「ああ」
姫和「私は亡くなった母に、ずっと会いたかったのに会えなかった。もしかして母は私に会いたくなかったのではないかと、思ってな」
可奈美「そんなことない!」
姫和「!」
可奈美「ちょっとしか会えなかったけど、姫和ちゃんのお母さんは良い人だったよ。だからそんなこと絶対にない」
姫和「そうだな……その通りだ」
可奈美「私には理由はよく分からないけど、現世に帰れたら、フリードマンさんとかに聞いてみればいいんだよ」
可奈美「だからまずは帰らないと」
姫和「ああ……そうだな。それによく考えたら、母は私が生まれたことは知らなかったしな。会いたくない以前の問題だった」
可奈美「うん! そうだよ!」
姫和「可奈美、お前がいてくれて本当によかった」
可奈美「?」
姫和「私が独りだったら、この暗い道を独りで歩いているうちに不安になって、母の元に引き返していたかもしれない」
可奈美「私の方こそ、姫和ちゃんが居てくれてよかった」
姫和「さあ、帰ろう」
可奈美「うん!」
姫和(いや、ちょっと違うな。可奈美に出会えて本当によかった)
2:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:27:38.37
ID:bGKh+TUN0
──
────
一方その頃、美奈都と篝(かがり)とタギツヒメ
美奈都「せい!」
篝「たあ!」
タギツヒメ「は!」
美奈都「ふう、あたしと篝の二人がかりでようやく互角ってとこだね」
篝「そうですね。一端、休憩しますか?」
タギツヒメ「ふん、いいだろう」
篝「姫和と可奈美さんは無事に帰れたでしょうか?」
美奈都「さすがにまだじゃない?」
篝「姫和は私に似て頑固な所がありそうだから、途中で喧嘩したりしないか心配です」
美奈都「心配しすぎ、重く考えすぎなんだよ。篝は」
篝「……でも」
美奈都「……」
タギツヒメ「……しかし完全体の我と互角とはな」
美奈都「へへん、あたし達も中々のもんでしょ」
そう言いながら美奈都は、御刀を右手左手と交互に持ち替え、肩の上に乗せる。
篝「美奈都先輩、また御刀をそんな雑に扱って」
美奈都「こうやるの、なんか癖なんだよね」
篝「バットを持ち歩く野球少年じゃないんですから、だからガサツ系って笑われちゃんですよ」
美奈都「むっ、重たいムッツリ系には言われたくないかな」
篝「重たいムッツリ系!? なんですか!? それ!?」
美奈都「だって、篝のことだから未来の旦那のこと聞かなかったんでしょう?」
篝「!」
美奈都「せっかく未来の娘に会えたんだから、聞いとけばいいのに」
篝「み、美奈都先輩は聞いたんですか?」
美奈都「あたしは幼馴染と結婚して、可奈美と可奈美のお兄ちゃんを産むんだってさ」
篝「な、なんか人の話なのに恥ずかしいですね!」
美奈都「篝はそういうこと興味あるのに、真面目ぶって聞かなかったんでしょ? もろにムッツリ系じゃん。 ね、タギツヒメ」
タギツヒメ「……人の営みに興味があるのか?」
篝「ち、違いますから! そういうのじゃないですから!」
美奈都「はい、篝は重たいムッツリ系に決定!」
タギツヒメ「……ふむ」
篝「うぅ」
3:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:33:52.30
ID:bGKh+TUN0
篝「……美奈都先輩は、また、そうやって私のことをからかうんですね」
篝「いいですよ、こちらにも考えがあります」
美奈都「?」
篝「ではタギツヒメさん。聞いてください。美奈都先輩がどれだけガサツかを!」
タギツヒメ「あ、ああ」
美奈都「ちょっと!」
篝「美奈都先輩はですね。私がお風呂上りに食べようとしていたアイスを、勝手に食べたんですよ!?」
美奈都「……そんなこともあったね」
篝「私がそのことを問い詰めたら、なんて言ったと思います?」
タギツヒメ「……なんと?」
篝「”あの歯磨き粉みたいな味のアイスは篝のだったんだ”って、勝手に食べておいて、なんて言い草!!!」
タギツヒメ「お、おう」
美奈都「あ、後でちゃんと謝ったでしょ!!」
篝「美奈都先輩のガサツエピソードはまだまだあります。これでよく結婚できたものです!!」
美奈都「旦那のことは関係ないでしょ!!」
篝「未来の旦那さんのことを、先に持ち出したのは美奈都先輩でしょ!!」
美奈都「なにを!!」
篝「なんですか!!」
タギツヒメ「お、おい!?」
美奈都「……やろうか、篝」
篝「いいですよ、返り討ちです。美奈都先輩」
美奈都「言うね。荒魂討伐数はあたしの方が上なのに」
篝「大会成績は私の方が上です」
タギツヒメ「……お前たちは我と互角に戦えるほどの、連携こなせる仲ではないのか?」
美奈都「そうだけどさ、それとこれとは別」
篝「大丈夫です。人間にはこんな諺(ことわざ)があります」
「「”喧嘩するほど仲が良い”ってね」」
篝「ふふ、行くよ!」
美奈都「ふふ、ええ、どうぞ!」
タギツヒメ「……人間はわからん」
────
──
4:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:35:54.00
ID:bGKh+TUN0
──
────
可奈美「姫和ちゃん」
姫和「なんだ?」
可奈美「まだつかないのかな?」
姫和「わからん。前例がないからな」
可奈美「どれくらい歩いたっけ?」
姫和「感覚的には一時間、もしくは丸一週間も歩いたような感じだ。まったくわけがわからん」
可奈美「疲れないし、お腹も空かないし、眠くならないのは有難いんだけど」
姫和「ああ、こうも変化がないとな」
可奈美「ねえ、荒魂ちゃん。まだつかないの?」
荒魂「……」
姫和「意思疎通は無理か。案内してもらえるだけ良い方か」
可奈美「……」
姫和「……」
────
──
5:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:37:21.72
ID:bGKh+TUN0
──
────
美奈都「せい!」
篝「やっ!」
タギツヒメ「……もう終わりにしないか?」
美奈都「……」
篝「……」
美奈都「……そだね」
篝「……では引き分けですね」
タギツヒメ「お互いの手の内を知り尽くしているからか?」
篝「それもありますけど、ここだと疲れて隙が生まれることもないので」
美奈都「決着は付かなかったけど、目的は果たせたしさ」
タギツヒメ「目的?」
美奈都「御刀を通して相手を感じるとか、体を動かして気分を変えるとか?」
篝「美奈都先輩とは、昔からこうやって手合わせしていましたし。いつものことなんですよ」
美奈都「篝、さっきはからかってごめん」
篝「私こそ、言い過ぎましたごめんなさい」
タギツヒメ「……対立しても手を取り合える。これも人間か」
美奈都「まあね」
篝「ふふ」
タギツヒメ「!!!」
篝「どうかしましたか?」
タギツヒメ「千鳥と小烏丸が打ち合っている???」
美奈都「あたし達じゃないよね?」
篝「ということは?」
タギツヒメ「お前達の娘が戦っているということだ」
「「ええ!?」」
────
──
6:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:38:56.49
ID:bGKh+TUN0
──
────
可奈美「……」
姫和「……」
可奈美「……姫和ちゃん」
姫和「……なんだ?」
可奈美「一回、手を放してもいい?」
姫和「はあ?」
可奈美「だってもう何日、いや何週間歩いてるの? 歩くの飽きちゃったよ」
姫和「それで?」
可奈美「だからさ。ちょっと手を放して、御刀を抜いて、少しだけ手合わせしたいなって」
姫和「だめだ。手を放して離れ離れになったらどうする」
可奈美「えー、ちょっとだけなら大丈夫だよ」
姫和「だめだ!」
────
──
7:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:41:23.41
ID:bGKh+TUN0
──
────
可奈美「……」
姫和「……」
可奈美「姫和ちゃん」
姫和「だめだ」
────
──
──
────
可奈美「御刀を抜いてさ」
姫和「だめだ」
────
──
──
────
可奈美「手合わせ」
姫和「だめだ!」
────
──
8:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:43:05.00
ID:bGKh+TUN0
──
────
可奈美「ああー!」
姫和「!」
可奈美「御刀を抜きたい! 手合わせ! 手合わせしたい!」
姫和「この剣術バカが!」
可奈美「ねえ、しよ。やろうよ。やりたい。ちょっとだけでいいからさ、姫和ちゃん!」
姫和「ちょ、可奈美! 言い方がやらしいぞ!」
可奈美「なにが???」
姫和「ああもう!」
可奈美「さては姫和ちゃん。私に勝てないからやりたくないんじゃ?」
姫和「むっ、そんな挑発には乗らないぞ」
可奈美「イチキシマヒメの力も、もうないし、そうだよね」
姫和「むむっ」
可奈美「私はあんなに強いお母さんに認めてもらえたし、もしかしてお母さんはあの世代で一番強かったんじゃないかな?」
姫和「むむむっ、そんなわけあるか! 私の母さんだって強い!」
可奈美「ええー」
姫和「いいだろう。相手になってやる。こい可奈美!」
可奈美「やったー。行くよ。姫和ちゃん!」
────
──
9:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:44:29.53
ID:bGKh+TUN0
──
────
篝「ど、どうしましょう? 美奈都先輩?」
美奈都「ちょっと落ち着きなよ、篝」
タギツヒメ「……千鳥と小烏丸の打ち合いが響いてくる」
美奈都「それで?」
篝「他には?」
タギツヒメ「……これは? ふふふ」
美奈都「何? どうしたの?」
タギツヒメ「なにも心配することはない。これは私にもわかる」
タギツヒメ「”この親にして、この子あり”というやつだ」
「「?」」
────
──
10:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:46:19.97
ID:bGKh+TUN0
──
────
可奈美「たあ!」
姫和「はあ!」
可奈美「……ふふ」
姫和「……ふふふ」
可奈美「……引き分けだね」
姫和「……そのようだな」
可奈美「勝てると思ったのになー」
姫和「荒魂はもう私の中にいないが、その時の感覚は残っている。光のような速度で動いた感覚が、それをイメージすれば」
可奈美「今の私と姫和ちゃんは互角ってことかー。でも楽しかったね」
可奈美は御刀を右手左手と交互に持ち替え、肩の上に乗せる。母と同じように。
姫和「そうだな。……ところでそれはなんだ?」
可奈美「ああ、お母さんの癖だよ。手合わせしたから写ったのかな?」
姫和「まるで野球少年のバットだな」
姫和「……!」
可奈美「姫和ちゃん?」
姫和「……それじゃないか?」
可奈美「それ??? どれのこと?」
姫和「私が母に会えなかった理由だ。やはり母側の条件だ」
可奈美「姫和ちゃんのお母さん?」
姫和「つまり、仮説だが母が小烏丸を抜いていたかという話だ」
可奈美「?」
姫和「可奈美、美奈都さんは夢で会った時、どうだった」
可奈美「お母さん? この癖をやってたり、素振りしてたかな」
姫和「やはり、そうか。私の母は私と同じで落ち着いた感じだった」
可奈美「姫和ちゃんが落ち着いている???」
姫和「なんだ、何か文句あるか? それより母の性格だと無暗に小烏丸を抜くことはないだろう」
可奈美「ふむふむ」
姫和「御刀の鞘には、御刀の力を封じる力もある。じゃないと持っているだけで荒魂にこちらの位置がバレる」
可奈美「つまり、うちのお母さんは千鳥をバンバン抜いてたから、より力を出して私の千鳥と共鳴した?」
姫和「おそらくな。どっかの抜きたがりの剣術バカ、そっくりの母親だけが成せる技だな」
可奈美「ひどいな、姫和ちゃん。でも体を動かしてスッキリ、謎も解決してサッパリしたね」
姫和「そうだな」
可奈美「荒魂ちゃん。待たせて悪いね」
荒魂「……」
────
──
11:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:47:44.25
ID:bGKh+TUN0
──
────
「「!」」
可奈美「姫和ちゃん!」
姫和「ああ、これは現世の感覚だ!」
可奈美「出口までは帰ってこれたのかな」
姫和「おそらくは。私の母への未練がなくなったからか?」
荒魂「……」
可奈美「荒魂ちゃんが、いつのまにか後ろに?」
姫和「たぶん道案内はここまで、ということだろう」
可奈美「そっかー、ありがとう! 荒魂ちゃん!」
姫和「ありがとうございました!」
荒魂「……ね」
可奈美「じゃあ、帰ろう。一緒に、姫和ちゃん」
姫和「ああ、一緒に帰ろう。可奈美」
────
──
12:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:53:07.27
ID:bGKh+TUN0
──
────
タギツヒメ「!」
荒魂「……ね」
タギツヒメ「お前は? そうか、道案内は終わったのか?」
荒魂「……ね」
タギツヒメ「お前も大荒魂の、我から見れば子供のようなものか?」
荒魂「……ね」
タギツヒメ「”子に勝る宝なし”とも言うし、確かめてみるか」
荒魂「……ねね!」
タギツヒメ「ふふふ」
────
──
終わり
以下おまけ
13:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:56:59.51
ID:bGKh+TUN0
「特別遊撃隊の奮闘記」
現世、可奈美と姫和の帰還前
荒魂討伐後
沙耶香「ふぅ」
刀使A「ご協力ありがとうございます。糸見さん」
沙耶香「……私は私の意思で、刀使としての使命を果たすだけ」
刀使B「それでも助かりました」
沙耶香「……構わない。ノロの回収は任せる。では」
沙耶香は迅移で一瞬のうちに、その場から居なくなった。
刀使A「うわぁ、早いな。大荒魂討伐の英雄はやっぱり違うわね!」
刀使B「それに、クールで落ち着いていて、すごく恰好いい!」
──
────
沙耶香「……」
沙耶香「…………」
沙耶香「………………」
沙耶香(今日は舞衣が、クッキー焼いてくれるって言ってた)
沙耶香(早く帰らないと)
通信「こちら本部、付近に荒魂の反応有り、特別遊撃隊は現場に向かってください」
沙耶「!」
沙耶「く、了解」(イライラ)
────
──
14:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 18:58:57.73
ID:bGKh+TUN0
──
────
また荒魂討伐後
沙耶香「……本部へ、戦闘終了。ノロ回収班をこちらの現場へ」
沙耶香(これで、やっと帰れる)
通信「本部了解。誠に申し訳ないのですが、もう一件の荒魂への応援を頼めますか?」
沙耶香「!」
沙耶香「……了解」(イライライラ)
────
──
15:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:03:49.51
ID:bGKh+TUN0
──
────
薫「ああ、だりー、荒魂が見つかんねー」
薫「もう俺なんか、いなくていいじゃないかね」
沙耶香「」
薫「お、あんなところに沙耶香じゃん。こっちの応援に来たのか?」
沙耶香「」(イライライラ)
薫「あいつ!」
薫「コラァ!! 沙耶香! 前に”考えて斬れ”って教えたろ!!!」
沙耶香(ビク!)
沙耶香「……薫」
薫「なんだ、その殺気は! 最初から斬る気満々じゃねーか!」
沙耶香「……ごめんなさい。……でも」
薫「でもじゃない! まったくお前は!」
刀使C「あの、応援にきました」
薫「ああ、ちょっと待っててくれ」
刀使C(どういうことなの!?)
刀使D(あの糸見さんが怒られている!?)
刀使C(これが特別遊撃隊、隊長)
刀使D(益子(ましこ)薫!!!)
────
──
説教後
薫「え? 三件も任務が立て続いてた?」
沙耶香「……うん」
薫「……すまん。それはキレていいな!」
ねね「ねね!」(やれやれ)
16:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:05:41.15
ID:bGKh+TUN0
──
────
刀使の寮
刀使A「このまえ特別遊撃隊長の益子薫さんに会ったんだけどさ」
刀使B「小柄でなんか、イメージと違うね? なんか英雄っぽくないというか」
刀使C「なんてこと言うの! あの人は凄まじい人よ! 荒魂を使役している刀使なんて聞いた事が無いわ!」
刀使D「そうよ。身の丈以上の御刀を軽々と振り回して、単純な力なら大荒魂討伐した英雄の中でも最強よ!」
刀使C「本気になったら、私たちなんて指先だけで倒されちゃうわ!」
刀使D「本部長を殴ったなんて噂もあるわよ!」
エレン(……なんか凄い噂が広まってるネ)
────
──
17:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:07:11.61
ID:bGKh+TUN0
──
────
後日 荒魂討伐現場
薫「あー、めんどくせー」
薫「おーい、応援にきた。どうなってる?」
刀使「「!!!」」
刀使C「こ、これは遊撃隊長殿! 応援、誠に有難う御座います!」
薫「そんな固い挨拶はいらねーよ、状況は?」
刀使C「いえ、それが荒魂は手傷を負わせたのですが逃げられました」
薫「そっか、でも手傷を負わせたんなら、治るまで隠れて大人しくしてるだろ。もう遅いし、一端引き上げようぜ」
刀使C「そういう訳には行きません。夜通しかけても見つけ出しますわ!」
刀使D「そうですよ!」
薫「おいおいおい!? マジかよ!?」
その後、夜通しかけて荒魂は討伐された。
────
──
18:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:11:47.20
ID:bGKh+TUN0
──
────
本部
薫「……おかしい。どこのブラックだよ」
薫「おい! 本部長! お前の仕業だろ! 鋼の錬金術師みたいな声しやがって!」
本部長「意味がわからない。あと敬語使え。小娘!」
薫「本部長の仕業じゃないのか? なんか俺の周りの刀使がやたら働いて、サボれねえんだよ」
本部長「結構なことじゃないか?」
薫「俺はもっとユルくいきたいのに、対応も固いし、一体どうなってる? ふざけんな!」
エレン「……たぶん、そういう所ネ」
薫「エレン? どういうことだよ」
エレン「本部長にタメ口をきいたりするからネ」
薫「?」
エレン「いいですか。みんな薫が怖いデース」
薫「はあ?」
エレン「特別遊撃隊で通常の部隊編成から外れて、みんな薫のことよく知らないのに、本部長にタメ口をきいたりするから」
エレン「薫の前で怠けたら、何されるか分からないと思われているんデース」
薫「なんなんだよ、それは!?」
本部長「はっはっは、自業自得じゃないか」
薫「うぐっ、おい、じゃあどうすればいいんだよ! 俺は!」
エレン「どうもできません。一度ついたイメージはそう簡単には変わらないですネ」
薫「なにー!!!」
本部長「くくく、精々、口のきき方に気を付けて、勤労に励め。小娘」
薫「くっそー!!!」
────
──
19:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:13:29.32
ID:bGKh+TUN0
──
────
刀使の寮
刀使A「特別遊撃隊の糸見沙耶香さんって、訓練と任務以外で全然見かけないよね?」
刀使B「そうね。そういう所もミステリアスで恰好いいわ」
その頃 舞衣の部屋
舞衣「いらっしゃい。沙耶香ちゃん。非番のときは、いつも来てくれて嬉しいよ」
沙耶香「……舞衣の部屋、好き」
舞衣「ふふ、待ってね。いまクッキー持ってくるから」
沙耶香「……舞衣のクッキー、好き」
────
──
20:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:15:41.96
ID:bGKh+TUN0
──
────
数日後 本部
薫「お、俺は決して、サボりたいからサボってたわけじゃないんだぜ」
本部長「ほう?」
薫「俺がいると、みんな頑張り過ぎちゃうからな。そう、みんなの為に仕方なくサボってたんだ」
本部長「へえ?」
薫「そう、俺は遊撃隊長として全体を考えてだな」
本部長「なるほど、わかった!」
薫「わかってくれたか!」
本部長「遊撃隊長に今から三日間の出張を命ずる!」
薫「はあ? 俺は任務を終えて帰ってきたとこだぞ!? また仕事しろってか!?」
本部長「そうだ」
薫「おかしいだろ! 刀使の服務規程違反だ!」
本部長「残念だが遊撃隊長、君はもう管理職だ。通常の服務規程は適応されない」
薫「は!?」
本部長「では、楽しい出張を。しっかり働け。小娘」
薫「い、や、だー!!!」
エレン(……なんだかんだで、すごく気に入られてますネ。薫は気付いてないみたいですが)
────
──
21:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 19:26:08.59
ID:bGKh+TUN0
──
────
時は流れて、可奈美と姫和の現世への帰還後
御前試合当日
薫「ああもう、なんだよあの剣術バカップル。突然、帰ってきて試合に飛び入り参加しやがって! フリーダムかよ!」
薫「優勝したら、特別休暇が出るって言うから張り切ってたのに!」
エレン「二人の強さは規格外ですネ」
舞衣「また差を開けられちゃったな」
沙耶香「……二人とも強い」
縁(ゆかり)様「隠世から帰還するという、前例のないことをやり遂げたことでまた強くなった」
「「!」」
舞衣「縁様!」
薫「うお!」
エレン「びっくりしたネ!」
沙耶香(……いつからいたんだろ?)
舞衣「あ! そろそろ決勝戦が始まるよ? そろそろ皆、移動しないと」
────
──
────
審判「では、双方! 前へ!」
「「はい!」」
終わり
読んで頂きありがとうございました。
公式サイトに書いてない設定はこのSSのみの設定です。
23:
◆9ZenOaD5cw 2018/07/01(日) 20:56:29.64
ID:bGKh+TUN0
>>21
誤字訂正
縁(ゆかり)様
ではなく
紫(ゆかり)様
でした。すみません。
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/01(日) 19:42:40.59 ID:IeVqtvGDO
乙
こういう補完話好き
とじみこSS増えろ
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530436964/
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