まとめ依頼よりまとめさせてもらいました。ありがとうございます。1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:28:59.77 ID:pmyEDT6q0
●地の文入り、シリアス初めてなのですごく拙いです
●ステイルが超能力者です
●その他にも設定改変、オリ設定たくさんです
●再構成です
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:30:36.19 ID:6tvyGuCSO
学園都市
ここは人為的に「超能力」開発している学生の街
「能力」は六段階に分けられ
その中の最高位である超能力者(レベル5)――
その名を冠する者は七人しか存在せず、軍隊とも渡りあえるといわれる
これはその中の一人、第六位の物語
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:32:13.28 ID:6tvyGuCSO
ステイル=マグヌス
幼少期、親に学園都市に預られた
より詳しくいうと、入学費のみ払い寮に入れられ、消息を絶たれた
つまり置き去り(チャイルドエラー)である
名前から分かるように日本人ではない
「……ふぅ」
そんな彼は、第七学区を歩いていた
自分の住む学生寮に帰宅するため
「…………」
人は少ない
だからこそ話し声が聞こえてしまう
「……そろそろ夏休みの時期、か」
コンビニで買ったパンと紅茶が入ったビニール片手に呟く
「まあ、僕には関係のないことだが」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:35:11.41 ID:6tvyGuCSO
彼は学校には行っていない
書類上は学園都市でも五指に入る一つの学校に在籍しているが
ずっと公欠している
実際はとある研究機関の研究に被験者として参加し続けている身である
「……」
今日もその帰りだった
(……学園都市に七人しかいない超能力者の第六位『魔女狩り(ファイアハンター)』)
すっかり日が落ちた道を見つめながら
(そんな僕すら実験道具としてしか見ていないか)
毒づく
この学園都市はたいした「闇」を孕んでいる
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:36:56.04 ID:6tvyGuCSO
置き去りは非道な実験のモルモットとして使われやすい
だがステイルは三十二万分の一の才能を持っていたため、使い捨てにはされなかった
(まあ、いいさ)
もう飽きた
自分の立場や研究者たちに憤るのは
そしてそんな弱い自分にも
そして思う
こちらも利用してやればいい
(……ふん)
自分の実験が達成された時は自らの命日だ
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:39:00.89 ID:6tvyGuCSO
長い、学生寮の階段をのぼる
ステイルの部屋は七階
何故かエレベーターがなく、いつもくたびれるハメになる
ようやく到達し自分の部屋の鍵を開け、入る
テーブルにパンと紅茶を置き、開けたままだったカーテンを閉めようと目をむけた
「…………ん?」
ベランダに何かが引っ掛かっている
(なにも干していなかったはずだが…)
遠目にみた限りでは白い物体にしかみえない
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:40:01.83 ID:6tvyGuCSO
無視してもよかったが何故か惹きつけられた
「…………」
ベランダのある方に近付いていく、と
「…………ォ」
「!?」
動いた
「―、な、――、っ、―」
何か言っているがガラスごしなので聞き取りづらい
「あれは……」
物体が顔をあげたため容姿が分かった
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:40:51.29 ID:6tvyGuCSO
肌は純白で、銀髪。長さは腰あたりまではあるだろう
「お、――、へ、――」
長いワンピースのような修道服を着て、頭には一枚のフードを被っている
色は「純白」だった
「――、か、――、た」
衣服の要所要所には金糸の刺繍が織り込まれていた
まるで成金趣味のティーカップのようにも見える
「おな、――、った」
物体はまだ言い続けているが無視しステイルは結論を口にした
「……シスター?」
惨めな、力を求める彼が
変わる出会い(きっかけ)がそこにあった
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:43:03.04 ID:6tvyGuCSO
開けてしまった
何故かは分からない
近づいていった時と同じく、惹きつけられた
「おなかへった」
「…………」
「おなかへった、って言ってるんだよ?」
「……まさかさっきからそれを繰り返していたのかい?」
呆れた
シスターらしからぬ執念だ
ギュルルルル……
「…………」
「…………」
直感が面倒な人物と告げた
さっさと満足して帰って貰おう
「だったらパンをあげるよ、一つしかないが…」
「ありがとう」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:44:13.50 ID:6tvyGuCSO
と柔らかく彼女は笑った
純粋な感謝の気持ちを告げるため、純粋な笑みを向けたのだ
「…………」
今まで向けられたことのなかった感情
なんともいえない気持ちになりながら、シスターにコンビニで買ったパンを渡した
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:45:45.26 ID:6tvyGuCSO
「おなかいっぱいご飯を食べさせてくれると嬉しいな」
と、シスターはまた笑いかけてきた
「…………君は時間を操る能力持ちなのかい?」
「そんなことできないよ?」
先程パンをあげたばかりだ
確かに満腹にはならないだろうが…
尚更怪しくなってくる
「君は、シスターだよね?」
「うん、見てのとおり教会の者です、イギリス清教ね」
「……ふぅん」
「あ、名前はインデックスっていうんだよ?」
(目次?偽名かな……)
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:52:55.00 ID:6tvyGuCSO
ステイルは考える
なぜ、イギリス清教とやらのシスターが
科学の街、学園都市にいる
そして「インデックス」という偽名
「……君は、何なんだ?」
遠回しに訊いてみる
「何が目的だ?」と
「私は名前の通り禁書目録」
「……」
「……だよ」
「…………」
求められた答えはかえってこなかった
だから直球に訊く
「なぜこの街にきた」
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 01:56:55.80 ID:6tvyGuCSO
「……うん、とね」
少女は少し躊躇いがちに答える
「追われてるの」
「誰に?」
「……魔術結社にだよ」
「なんだって?」
得られた言葉は
なんとも不可解なものだった
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 22:58:42.20 ID:6tvyGuCSO
ステイルの耳がおかしくなったかと思った
―――魔術結社
ここ以外でも超能力開発に成功し、それを『魔術』とかたっているのか
それともただの新興宗教かなにかなのか
「……信用してないね?」
「そうだね」
ステイルは認める
「学園都市では超能力でさえ科学で説明してしまう、だからこそオカルトとされている魔術はね」
「……でも、魔術はあるもん」
膨れっ面になるインデックス
そんな彼女などお構いなしに、癪に触るようなことを口に出す
「だったら見せてみなよ魔術とやらを、まあ信じるかどうかは別だが」
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:00:00.39 ID:6tvyGuCSO
「わ、私は使えない…魔力がないから」
「…………」
幼い子供でも、まだうまく嘘をつき続けられるだろう
この子はそれ以下のレベルだ
これ以上そこには触れないでおこう、本題に戻す
「分かった認めるよ魔術、で、何故君は魔術結社とやらに追われていたんだい?」
「棒読みなのはなぜかな?」
「食事をとりあげてもいいなら答えよう」
「むむむ!………わ、わかったんだよ………」
扱いやすい、と思った
「……私は禁書目録だから」
「私が持ってる十万三千冊の魔道書、それが狙いだと思う」
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:02:08.15 ID:6tvyGuCSO
また子供の嘘に付き合うハメになった
「なんか顔が疲れているようにみえるけど」
そのとおり疲れてきたので、適当な質問でもしておこう
先程のようにボロもでてくるだろうから
「で、その魔道書とやらはどこにあるのかな?」
「ここにあるよ」
「?」
それらしいものは見当たらない
あるのは自分の小説などだけ
「魔術とやらで隠しているのかい?」
「ううん、魔術は使ってないよ」
インデックスはスラスラと答える
その口調に迷いなどは一切なく、真実を話しているようだ
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:03:04.75 ID:6tvyGuCSO
………………。
だったらなんだ?
閲覧が許可されている者以外見えないのか
思案するステイルをよそにパクパクと出されたものを食べるインデックス
彼を黙らせたことで少し満足したのか
とても嬉しそうな顔をしている
「……」
「ぷはー、おなかいっぱい」
全て食べ終わったようだ
結構用意したはずだが全て無くなっていた
残りを夕食にしようと思っていたのに
「……ふは、本当にありがとう、じゃもういくね」
「……」
そう告げた彼女の顔は、暗かった
実際に暗い表情をしているわけではない
巻き込むまいと、誰にも分からないように暗を押し込めた顔
それが分かってしまった
自分も、そういう所があるから
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:05:35.22 ID:6tvyGuCSO
と言ってもそんな誰も巻き込まないという綺麗な感情ではない
今まで自分に幸せなど一回も訪れなかった
逆に闇で覆い被され、泥に沈められ続けた
そして悟る
幸運は訪れないのではない、訪れることができないのだと
悟った所で引きずり上がる力もない
内に復讐心を溜めることしかできなかった
彼女と僕は僅かな違いこそあれ、根は似ていた
本当は―――
「……そうかい、じゃあ気をつけて神のご加護とやらがあるといいね」
「そうだね、ありがと」
彼女はそう言い残し、玄関から出ていった
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:06:16.01 ID:6tvyGuCSO
静寂がステイルの部屋を包む
「…………」
誰もいなくなった所で趣味の煙草を吸っている
だがいつものように楽しめない
止めなかった
彼女の気持ちを理解しながら
しかし、それをしてしまうと――
(……なんで僕がそこまでしなければいけないんだ…)
強さ以外何もなくていい
なにもかもなぎ払えるような強さ以外は
……でも。
「ふぅー」
大きく息を吐く
この白い息と共にモヤモヤまで吐き出したいのにできない
「僕は彼女じゃない、義理なんてない」
そう心に言い聞かせ、再び息を吐き出した
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:08:31.04 ID:6tvyGuCSO
学園都市にある都市伝説に『幻想御手(レベルアッパー)』というものがある
それは、能力のレベルを簡単に上げることができるらしい
能力にコンプレックスを持っている者や
力を求める不良達には喉から手が出る代物だ
だが文字通り都市伝説、幻のアイテム
噂だけで、手にした者も、実物も滅多に光に当たらない
しかし裏では
「十万でどうだ?」
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:09:37.20 ID:6tvyGuCSO
とある廃ビルの一階
誰も近付かないだろう場所で
「…………」
「これ以上はまけられねぇよ、こっちもホイホイ手に入るモンじゃねえし」
「チッ、買った」
買い手は折れ、十万円を支払う
売り手は目を輝かせ舌なめずりし、引き渡す
『ケースに入ったCD』を
このように裏では主に不良達によって高く取引されている
金、力、能力
そこには様々な欲望が渦巻いていた
「本物なんだろうなぁ」
「当たり前だ、実践済みだぜ」
売り手の不良は、腕を振る
すると奥から別の不良が現れる
「………ヒヒ」
その不良は笑う
「……!?」
売り手の壮絶な笑み
「見せてやろうか」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:10:39.92 ID:6tvyGuCSO
次の瞬間、不良の手のひらから爆風が噴出する
それに買い手は、いとも簡単に吹き飛ばされ、壁に激突する
CDと共に動かなくなった買い手を、笑いながら見つめ
「ホイホイ手に入らないから渡すわけねーじゃん」
売り手はポケットから幻想御手(ほんもの)を出し
気絶している買い手に見せびらかす
「はは!十万ありがとう!!」
「兄貴、そろそろ次が来やすぜ」
「おお分かってる、あそこのゴミ片付けとけよ」
「ウス」
風使いの不良は従い、片付けにいく
すると
「……ん?」
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:13:41.82 ID:6tvyGuCSO
ガラスづくりの入口に一つの姿が映っていた
それは次の買主ではない
「兄貴…」
「あ?」
風使いのスキルアウトは警戒しながらよびかける
兄貴と呼ばれている売り手のスキルアウトは、足音をたてず歩み寄る
「……」
その眼に映ったのは
腰のあたりまである銀髪
そして純白の修道服を着たシスター
インデックスだった
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:14:11.16 ID:6tvyGuCSO
「……?」
インデックスは学園都市にある英国式の教会に向かっていた
まだ学園都市に魔術師が侵入した気配はない
しかし念には念を
人目のつかない所を選び、走っていた
そこに
(……不良?巻き込まれると面倒かも)
そう思い、逸早くそこから離れようとする
早歩きを始めたインデックスの後方から
爆風が襲いかかってきた
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:15:08.57 ID:6tvyGuCSO
午後七時
ステイルは外を歩いていた
用はない
ただ気分を晴らすためである
間違ってもあのシスターを探すというわけではない
「……ふぅー」
煙草を吸っていた
普段は外では吸わない
風紀委員(ジャッジメント)や警備員(アンチスキル)がうるさいため
今はかなり不愉快なので気にせず吸う
(…………もしも会ってしまったら)
ハッ、とする
気を抜くとすぐこれだ
(もう帰ろう、逆に意識してしまう)
と、その時
路地裏から微かに爆発音が聞こえてきた
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:17:45.93 ID:6tvyGuCSO
(…………)
耳を澄ますと、何度も何度も小さな音が聞こえてくる
(……スキルアウトかな)
にやり、とステイルは笑う
(どうせ迷惑行為でもしているのだろうね…)
(……暴れれば忘れられるだろう)
一般人なら躊躇うだろう
スキルアウトという荒くれ者の暴行に好き好んで突っ込むなんてことは
だが彼は、軍隊とも互角に渡り合う
超能力者だ
騒ぎの中心に割り込み、声をかける
「君たち…」
そこでステイルは固まった
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:18:24.19 ID:6tvyGuCSO
「……え?」
「……君、…はッ!!」
インデックスを忘れるためにとった行動は、更に鮮明に刻み付ける結果となった
「なんでアナタがここに?」
「それはこっちの台詞だ!何故君がスキルアウトなんかに追われている!!」
「それは…」
その背後にはスキルアウトと思われる男が、こちらに向かってきている
「……ッ!話は後だ」
インデックスを後ろにやり、庇う形で立ちふさがる
スキルアウトの男はこちらを睨み、言った
「どけ」
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:19:12.47 ID:6tvyGuCSO
――――
余裕そうに見えた風使いのスキルアウトは、戸惑っていた
偶然取引現場を目撃してしまったシスターを始末する命をうける
そこまではよかった、が
何度爆風を直撃させても全くシスターが倒れる様子はない
それどころか膝すらつかない
通用していないのだ
しかも逃走能力が半端ない、少しでも気をぬけば撒かれる
とてもガキとは思えない!
そしてそのシスターを庇うように現れた
赤髪で二メートルはある長身
耳にピアス、一〇本全部の指に銀の指輪をはめており
黒色のTシャツ、そしてその上に同色のジャージを羽織り
右目ね下にバーコードの刺青をいれた顔で草をくわえた男
「……」
険しい表情に怯みそうになるが
「どけ」
と睨み返したが
赤髪の男は皮肉げに笑った
「なにかなそれは、まさか忠告とかかい?」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:20:40.43 ID:6tvyGuCSO
その言葉が発せられた直後、爆風がまきおこる
はずだった
「あげるよ、この炎」
ステイルは腕を上から下へ斜めに振った
すると手のひらを追うように炎が現れ
それは風使いのスキルアウトの足元に叩き付けられる
轟音と共に地面はまるで豆腐のように抉られ、瓦礫と衝撃が風使いを襲った
風使いは声をあげる間もなく跳ねあげられ、落下し気絶した
「はああ…」
その光景を見たインデックスが緊張感のない声をあげる
風使いが能力を発動させた後に発動させても
相手より早く到達し、ヒットするチカラ、そして演算速度
これがステイル=マグヌスの力
「まあ死なない程度に加減はしたよ、女の子の前だしね」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:21:25.91 ID:6tvyGuCSO
「ふぅ…」
一撃か
まあスキルアウト相手なのだからこんなものだろう
何か疑問に残ることがあるが、今は――
「……大丈夫かい」
「うん…」
インデックスは答える
「なんでこんな所で追われていたんだ」
「うん…人目のつかない所を歩いていたら」
「俺の商売、見ちゃったからだよ」
突如、何者かがステイル達の前に現れた
「……なんだい?」
「ああ、お前らの口封じ」
余裕のある声であっさりと男は答える
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:24:36.02 ID:6tvyGuCSO
ステイルは深くため息をつく
「キミは今のを見ていなかったのかな?」
「んー、見てたよ、だ・か・ら・こ・そ」
ふざけた口調で答える男
だが顔は笑っていない、殺意だけしかなかった
「勝てる!と思ってんのよぉ!!」
男は腰を捻り、勢いをつけてボールを投げるような動きをする
「!」
ステイルは咄嗟に首を振った
バチッ、という音がきこえ
その後ステイルの少し後ろが爆発した
「……ッ!」
ステイルは少し後ろに下がり、嫌そうに呟く
「……電撃使いか」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:25:47.74 ID:6tvyGuCSO
「そぉ!電気目で見てよけれる人間なんていねーよなぁぁ!?」
唾を撒きちらし叫ぶ男
確かに目で見て避けることは難しいが
「たぁ!」
再びボールを投げるように電撃を飛ばしてきた
「……」
ステイルは動かない
だが電撃はステイルにも後ろにいるインデックスにも当たらず
横の壁に激突し、爆発した
「ひゃあ!」
インデックスが悲鳴をあげたが、ステイルは
「能力の扱い方が拙い…まるで慣れていない」
「チィッ!」
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:28:35.96 ID:6tvyGuCSO
ステイルは慌てている男の隙をつき
「さっきから見てると、野球が好きなのかい?」
手のひらからバスケットボールくらいの炎球が出現
「だったら、キャッチボールしようか」
「やっ……」
男は電撃を出して応戦しようとするが、焦り
パチッという僅かな電気しか出てこない
そしてステイルの投球はそれを弾き飛ばし、男に直撃した
「戦い方をまるで分かっていなかったね」
余裕
これが第六位
『魔女狩り(ファイアハンター)』
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:31:23.93 ID:6tvyGuCSO
終わった
ここまでやれば、復讐する気も失せるだろう
仮にしてきても返り討ちにすればいい
現場から離れ、今は適当に歩いている
そんな二人は気まずそうな顔をしていた
「……」
「……」
「あ、ありがとう、また」
「……余計なお世話だったかい?」
そんなステイルの言葉にインデックスは伏目になり答えない
「最初の男、焦っていたね」
語るステイル
「魔術結社とやらに追われ続ける君にとっては、あんな奴らは容易に撒けたわけだ」
「……」
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:33:42.05 ID:6tvyGuCSO
何故か気に入らなかった
気持ちは分かっている
巻き込まないためだ
自分と同じく
助けなんて、幸運なんてやってこれない環境にいるから
でも
本当は
「助けて欲しいんじゃないのか!?」
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:35:30.51 ID:6tvyGuCSO
困惑するインデックス
「……え、あ…」
どう答えたらいいか分からないような顔をしている
「だったら求めなよ、僕がいる」
もうどうでもいい
彼女に手を差し延べたら、自分まで震えて助けを待っていた
弱虫の証明になるなど
「僕は学園都市でも超能力者という最高位の人間だ」
「…………」
「魔術だろうがなんだろうが、全て燃やし尽くす、だから」
「助けを求めなよ」
彼女に手を差し延べる
例えただの同情からくる答えとしても
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:37:10.77 ID:6tvyGuCSO
彼女を助けたいと、思ってしまったのだから
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:40:25.65 ID:6tvyGuCSO
何かに堪えるようにインデックスは言った
「じゃあ…」
「私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」
「喜んで」
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:41:38.07 ID:6tvyGuCSO
そう答えた瞬間
彼女は、泣き崩れた
七月十六日 終
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 23:45:16.19 ID:6tvyGuCSO
戦い方批評してるわりにステイルも単純な戦い方してる気がしますが
なんども読み返してみましたが
心理とか色々ちぐはぐかもしれません
では、ありがとうございました
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/26(土) 02:42:58.11 ID:tMP+f6HIO
再構成ものは結構あるけどステイルが科学サイドにいるってのは珍しいな
期待 22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/26(土) 12:04:31.60 ID:PABfhpT60
ファイアハンターはどうにかならんのか?
「狩人の火」的な意味を持たせたのかも知れんが、たしか火を消すための道具だぞアレ
文字通り「炎を駆逐する」ものだぜよ25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2011/03/26(土) 17:30:22.32 ID:ZZnqPyoKo
>>22
「ステイルの出した炎はステイルにしか消せない」
って意味だったら、格好いいと思わないか? 60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/03/27(日) 07:19:17.48 ID:x76uxoLro
敵は一体誰になるんだろうか 72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:23:16.27 ID:hl1FhdfSO
七月十七日――
あれからインデックスはステイルに心開き、色々歩み寄ってきた
自分も拒絶せず、それを受け入れる
そういえばまだ言ってなかった名前を聞かれたりなんて、他愛もないことから
「一〇万三〇〇〇冊の魔道書は君の頭の中にあると…」
「うん、一字一句忘れず記憶しているよ」
彼女のことまで
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:23:51.26 ID:hl1FhdfSO
「私がイギリス清教なのは言ったよね」
「確かね」
「その中に特別な機関があるんだよ」
インデックスは相手が理解できるよう語る
「イギリス清教は「対魔術師」用の技術が発達したの」
それに応えステイルも疑わず、真剣に耳を傾ける
「魔術を調べあげて、対抗策を練る機関『必要悪の教会(ネセサリウス)』――」
「君がその最たるもの、ってわけかい」
うん、と答えて
「世界中の魔術をしれば、世界中の魔術を中和できるはず」
だけど
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:24:31.83 ID:hl1FhdfSO
「この力は世界を捩じ曲げることもできる」
「……」
おそらく
いや、確実に魔術結社はその力が欲しいのだ
科学と魔術
正反対だが、結局は同じ人間たち
自己のためにこんな子供すら地獄に引き落とす
「……大体分かったよ」
ステイルは頭で言われたことを整理する
完全記憶能力
必要悪の教会、禁書目録の役目
魔神
そして
インデックスは一年前からの記憶がない
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:24:58.82 ID:hl1FhdfSO
(……それほどまでに?)
その彼女の記憶を奪ったと思われる脅威は、まだ燃え尽きていない
だが、彼女の顔に以前のような暗さはない
「……一息つこうか」
「え、うん」
ステイルは冷蔵庫に向かい
コンビニの紅茶と、パンオンリーの食事をだした
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:26:09.77 ID:hl1FhdfSO
それをインデックスは
「はむ、がつがつ、おいしいね、このやきそばぱん」
すごい勢いで消化する
手元に確保しておかないとステイルは食事にありつけないだろう
「んぐんぐんぐ」
「英国人の君にとってその紅茶はアリなのかい?」
「はえ?」
「ああ、いいよ飲めば」
そういわれると再び飲食を再会した
(……食事が好きなんだな)
覚えておこうとステイルは思う
これからの彼女のために
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:26:56.03 ID:hl1FhdfSO
「はー!」
やはり自分が最初に確保した分しか食べられなかった
まあそんな大食らいでないから、いいのだが
「……」
「……?」
そんな満腹になった彼女の顔が少し曇る
「どうしたんだい?お腹がいたいのか?」
「ちっ、違うんだよ!」
顔を赤くして怒鳴られた
デリカシーがなかったかな
怒りで勢いに乗り、彼女は曇りの原因を言った
「……少し飽きたかも」
「え?」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:29:06.09 ID:hl1FhdfSO
「飽きた…というのは?」
遠慮二割、不満八割のわがままな抗議
「パン系ばっかり!何か別のものが食べたいんだよ!」
初対面の時から思っていたが本当にシスターなのか
ただ格好を合わされているだけでは
「と、言われてもね、今ウチにはパンしかないよ」
「もっとジャパニーズ特有のごはんが食べたいかも!」
無視された
「むやみな外出は控えなきゃね」
「……む、そうだね」
納得したが、やはりあきらめきれない顔をしている
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:29:57.03 ID:hl1FhdfSO
「……ふぅ」
仕方ない
折ろうとしたハズが折られてしまった
彼女の幸せそうな顔に、雲をかけたくはなかった
(……僕という人間はこんなだったかな)
お腹がふくれ、横になっている彼女に
「行きたいというなら」
「え?」
「目立たない格好をしなよ…例えば」
提案する
まだ掴めていないインデックスに
「?」
「着替えるとかしてね」
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:30:46.87 ID:hl1FhdfSO
目立つ修道服をどうかすれば多少は目を誤魔化せるだろう
「と、言っても僕のジャージくらいしかないが」
「それはマズいかも」
却下された
わがままからくる反対ではなさそうだ
インデックスは胸のあたりに手をかざし
「この修道服は『歩く教会』と言って法皇級の絶対防御を誇るの」
包丁を自分に刺すジェスチャーをしながら言った
「なるほど、目立つリスクを負っても着る価値があるということかい」
「うん」
その後、この修道服でサーチされていることも聞いた
「……魔術をくわしく知らない僕が気軽に触れるべきものではないね」
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:31:27.55 ID:hl1FhdfSO
「うん、本当にごめんね」
申し訳なさそうにステイルの意見に相槌をうつ
そんな彼女の顔にはやはり
「…………」
まるでテスト前だから、遊びを自粛しているようなものだ
したいけど、してはいけない
理解はできている、つまり我慢した顔
「……分かったいこう」
その言葉に
え、と彼女は驚く
「でも」
「なんのための僕だい?」
まだ躊躇っている彼女に、告げる
「魔術師がきたら焼く、それでいいのだろう」
その言葉をうけたシスターの顔は雲が散り
「やったあ!」
晴れた
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:33:46.84 ID:hl1FhdfSO
「ふふふん♪」
インデックスは鼻歌を歌いながら、ステイルの身仕度を待つ
「……」
鏡の前に立ち、香水をつけながら
(彼女を一人にするのは危険だ)
思案する
(……気は抜けないね)
(幸い、実験も長期休暇がとれたし、離れることはない)
そう
ステイルはとある研究の実験に参加している
被験者として
だがその実験も停滞気味だった
最近の内容は文字通り研究者に眺められているだけ
酷い時はステイルを放置し、資料とにらめっこだった
相当な進展がない限り呼び出されることはないだろう
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:34:42.92 ID:hl1FhdfSO
「ステイルまだー?」
その声ではっとする
彼女が文句をいってきた
「ああ、すまない、もういいよ」
と、夏なのに長袖の黒いTシャツとジャージ、さらにオーバーコートまで着て
熱のこもりそうな修道服を着た少女をつれ出かけた
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:35:20.83 ID:hl1FhdfSO
「わぁー!」
とインデックスはショッピングセンターの中で声をあげた
「おいしいそうなものが、いっぱいあるんだよ」
「好きなだけ買っていいよ」
「ホント!?」
目を輝かせてこちらをみるインデックス
「もちろん、お金はあるからさ」
「やったあー!」
その初めての経験に、はしゃぐような様子を見て
いっそう記憶の件に憤る
「……」
必ず焼き尽くす、と心に強く誓った
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:36:22.26 ID:hl1FhdfSO
ではまた夜
時間とれたら来ます
ありがとうございました
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 11:49:42.14 ID:BhyvSvUvo
インデックスにとことん甘いステイルさんかわいいよ 88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 12:48:26.37 ID:AO6JXPDco
おつ
ファイヤハンターいいじゃない
火を使う火消し役 89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/28(月) 18:13:08.32 ID:jL8IJTo3o
そっか第6位だから金はあるのか
煙草以外の娯楽も趣味も無さそうだしインデックス3人くらい養えそうだな 91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 22:56:19.61 ID:hl1FhdfSO
「これー!あ、これも!」
と、あるもの全て買い尽くす勢いのインデックス
「このお肉も…」
「君にとって禁欲とはなんなのか」
「!」
その呟きにビクッと反応し、少し控え目になるが…
「……むむ!おいしそー!」
光るソースにその上からかけられたマヨネーズ、そして青海苔と
色とりどりなたこ焼きに
「ステイルーこっちー」
再び暴走する
「…………」
楽しそうだからいいのだが
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 22:57:19.13 ID:hl1FhdfSO
レジの人が少し驚いていた
二人が持っていった量は大家族の母親並のものだった
「いっぱいだね」
「そうだね」
原因は間違なくインデックスだが
彼女がさすがに遠慮し始めると
「なんだいいきなりおちついて?ホラあのアイスクリームはおいしいよ」
と たきつけたステイルにもある
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 22:58:58.85 ID:hl1FhdfSO
「よいしょ、じゃあ帰ろうか」
全ての買ったものを袋につめ終わり、周りを見つめていたインデックスを呼ぶ
「あ、うん。……!?」
荷物は、パンパンになった大きい袋が六つもあった
マイペースなインデックスも
「わ、私も半分持つよ」
「いいよ、これでも鍛えているからね」
それでも運動不足にならない程度しか成果が出ていないということは黙っておく
こんなことしているのはもちろん大荷物を運べるようになるためではなく
彼の能力の切り札のための一環
「……でも」
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 22:59:40.08 ID:hl1FhdfSO
「……」
やはり納得いかないような顔のインデックス
そんな不満げなシスターをみる赤髪の少年は
「…………ふぅ」
初めてあってから何度目か
渋々折れる合図の溜息をはく
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 23:01:20.38 ID:hl1FhdfSO
「んしょ…む…」
結局、一つだけ持たせた
渋っていたが、一つだけでも両手で引きずるように持っているのだから
「ん…むむ……っ」
今にも落としそうで、一生懸命
(やはり僕が全てて持つべきか?いやしかしインデックスは納得しない…)
自分もほぼ限界だが、そこにはまったく配慮がない
そんなことを考えていると
「ひゃあ!」
いきなりインデックスが悲鳴をあげ、荷物を落とし、尻餅をつく
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 23:04:18.37 ID:hl1FhdfSO
「……!」
(なんだ?)
(まさか……刺客…?)
自分の中の警戒レベルをあげる
「イン…」
「あれ…」
インデックスはおそるおそる指さす
ステイルはその先を警戒しながら、視線を送る
「…………?」
何もいない
あるのは植えられた木、草
「インデックス…もっとくわしく」
小声で詳しい指示を求める
すると、指さすのは先程と同じ場所、自分の真横
木、草
ゴミ箱、そしてその周りに散らかるゴミを片付ける――
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 23:05:34.35 ID:hl1FhdfSO
「あ、あれだよ…」
「……………」
なるほど
息をはき、肩をおとす
「…清掃ロボがどうしたんだい」
「……清掃ろぼ?」
ステイルは清掃業に勤しむ機械について詳しく説明する
確かに学園都市の外部の人間には珍しいだろうが
そんなに取り乱すものだろうか
取り乱した本人インデックスは感想を率直に言う
「はあ~使い魔まで機械にしちゃうんだね」
「……そうだね」
一見は便利に、そしてまるで漫画の世界に飛び込んだようにみえるだろう
だが裏を知ればそう思えなくなる
笑えない科学が蠢いている
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 23:08:02.06 ID:hl1FhdfSO
だが今それはおいておく
少し慣れてもらうために説明に専念しよう
未知に遭遇する度に騒がれては面倒だ
「この街は機械だらけだよ、そう…」
「……!」
とだけ言って黙り込んでしまったステイル
そんな彼に怪訝そうに訪ねるインデックス
「どうしたの?」
「…あ、いや」
一つ、疑問が残っていた
確か、始めから感じていたのに、色々あって有耶無耶になっていたこと
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 23:12:08.26 ID:hl1FhdfSO
この街は容易く入れない
街は高さ五メートル、厚さ三メートルの壁に囲まれ
IDを確認されるゲートや
宇宙にあげられたいくつもの監視衛星の目も光っている
奇跡的に入れたとしても不法侵入として風紀委員や警備員の歓迎が待っている
雷などが落ち、機能が一時的に死んでいた、などというならまだしも
ここ一週間そんなことはなかった
だとすると
インデックスは、どうやって学園都市に入った?
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/28(月) 23:12:55.92 ID:hl1FhdfSO
「ステイル?」
「…いや」
後から訊こう
外では誰かに聞かれる可能性がある
インデックスが落とした荷物を拾う
それに彼女はハッするがもう持たせない
白い手が真赤ではないか
七月十七日 終
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:24:22.04 ID:tRLa7rLSO
七月十八日
午後三時ごろ
一つの疑問
インデックスはどうやって学園都市に入ったか
答えは彼女の口からあっさり帰ってきた
「一度は止められたけど、すこし待ってたら『通っていい』っていわれた」
ID確認をされ、登録されていたので許可がおりた、ということ
つまり
インデックスは学園都市から受けいれられている?
または
(魔術師が手配したのか?いやありえない、意図がみえない)
とにかく気は抜けない
そう気を張り詰めるステイルだが
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:24:49.53 ID:tRLa7rLSO
「はあー、この人きれいなんだよー」
テレビにみとれている純白のシスター、インデックス
彼女が今見ているのは女優の日常生活で着ているファッションを明かす、という番組
女優らしく、分かる人には分かるような素晴らしい着こなしをみせている
「…………いいなあ」
それを見ていたインデックスの口からボソッと漏れる声
「……」
彼女も女の子
『歩く教会』というデリケートな問題も忘れてしまい、羨ましがっている
かつてステイルは着替えを提案したが、すぐに却下された
だがそれは目をごまかす為のものであって
『おしゃれ』のためではなかった
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:26:18.20 ID:tRLa7rLSO
やはり違うものなのだろう
ソレはソレ、コレはコレというヤツである
「……」
かといって今、外出は危険と判断したばかり
負ける気はしないが、危険が及ぶのは好ましくない
「……」
ステイルは無言でクローゼットを開ける
そこには同じ黒のTシャツ、ジャージなど
とても彼女が満足できるものはなかった
(さてどうしたものかね…)
我慢させるという選択肢はなかった
彼女の境遇を考えると我慢させたくない、と心から思う
「かわいいなぁ、あんな柔らかそうなスカートはいてみたいんだよ」
「……インデックス」
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:27:02.08 ID:tRLa7rLSO
「なに?」
まるい緑色の瞳を向けてくる
「服がほしいならでかけよう」
「え!?」
すこし焦るインデックス
無意識に声を出していたのかもしれない
しかしその顔には期待も僅かに含まれていた
「何回も言わせないでくれるかな」
魔術師がきたら、焼き尽くす
「わかった!」
こうしてこの日も無駄な外出を行なう
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:28:09.67 ID:tRLa7rLSO
「でも本当にいいの?今は着れないし」
「…全て」
全て終わってから着ればいい
「…そうだね」
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:28:56.53 ID:tRLa7rLSO
午後四時
第七学区にある衣服店、セブンスミスト
そこにステイルとインデックスはやってきた
様々な服がおいてある
「うわあー、いっぱい」
スーパーに連れていった時と同じ反応をする
「どれがいいかな?ねぇステイル」
「……僕は見ての通り、そういうのは分からないんでね」
「うーん、じゃまずあそこに行こう」
話が繋がっていない
よほど興奮しているのだろう
「はやくー」
「わかったよ」
と、超能力者はシスターに引っぱられていく
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:30:53.19 ID:tRLa7rLSO
そんなやり取りが行われているこの店には、もう一人の超能力者がいた
茶髪で名門校『常盤台中学』の制服を着た女子、御坂美琴
そして『超電磁砲』の異名をもつ超能力者の第三位
彼女は一つのもの心奪われている
かわいい花柄の絵がプリントされたカラフルなパジャマだ
「コレ、かわ…」
「アハハ、こんな子供っぽいの着る人、今時いないっしょ」
「小学生まではこういうの着てましたけどね」
と、彼女の趣味を全否定するような会話をする同じく中学生の二人
セーラー服を着て、大きなマスクを着用している
黒い髪のショートで、その頭に花飾りをしているという個性をもつ初春飾利
もう一人は同じセーラーを着ているが、対照的なロングの髪型をした佐天涙子
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:31:31.34 ID:tRLa7rLSO
「……」
二人は美琴がこのパジャマにお熱ということに気付いていない
よって悪気はない
「あ、あたし達水着も見ておこうと思うんですけどいいですか」
「あ、うん」
「ええと…水着コーナーはあっちですね」
一人取り残された美琴
逆にチャンスだ
(一瞬合わせるだけ!大丈夫!)
足早に目的の場所へ向かう
(誰も見てない!)
辿り着き、手をのばす
と
「あれなんかどうだい?」
(が……)
声がした
つまり、誰かに見られた
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:32:51.64 ID:tRLa7rLSO
(……しまっ)
固まる美琴
その原因は同じ場にいる二人の人間
赤い髪で黒いオーバーをきた大柄な男と
それをひきつれる純白のシスター
男の方は言う
「あれはどうだい?君に似合うかわいらしいパジャマじゃないか?」
「えー?」
その提案にシスターの方は不満げだ
「ステイルは私を幼く見すぎかも、いくらなんでもあんな子供っぽいのはいらないんだよ」
(……)
また否定された
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:34:26.27 ID:tRLa7rLSO
ステイルは先程からこんな感じにダメだしされていた
どうやら自分が思うより、ファッションは
そして女の子の心というのは複雑なようだ
(……似合うと思うのだが)
気に入らないなら仕方がない
未練がましく再びパジャマを見ると
そこには、もう言葉も出ない落胆した少女がいた
(……あれは)
常盤台の制服
そしてショートの茶髪
その人物をステイルは知っていた
(第三位の『超電磁砲』…?)
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:37:41.24 ID:tRLa7rLSO
これは珍しい人物と遭遇した
ステイルにとって他の『超能力者』と遭遇するのは初めてだった
「……?」
見つめていると、視線を感じたのか、彼女の方もこちらを見た
「っと…」
気まずくなったので、すぐ顔を逸す
それで終わりと思ったのだが
「なに?ステイルはあんな、お子様パジャマが好きな短髪が好みなの?」
「え?」
同じくステイルが見つめていたのを感じたインデックスが繋げてしまった
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:38:34.77 ID:tRLa7rLSO
「なぁっ!?」
その物言いに、美琴も初対面にも関わらず大声をあげた
「ちょ…なにが…」
「ああ、すまない、悪かった無礼をわびるよ」
面倒な展開になりそうなので、ステイルは早く纏めようとする
「インデックス失礼だよ、『彼女にとっては』あのパジャマは良いものなんだ」
そういうことじゃないかも!と叫ぶインデックス
そして
「…?」
どいつもこいつも
と言いたげな表情で俯く美琴
「すまない、配慮が足らなかった」
「ゴメンね、短髪」
全く反省がない謝罪(ステイルはこれでも心をこめている)
「……あん、たら」
「なにしているんですかー」
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:39:40.80 ID:tRLa7rLSO
限界を超える前に、初春と佐天が割り込んできた
「随分張り詰めた空気ですが…」
そして佐天はおそるおそる話しかける
「……あ、いや、なんでも」
「短髪の趣味につっこんでいたんだよ」
「ちょ、言うな!」
(ああ、もうやはり面倒なことに)
溜め息をつくステイルを傍らに、インデックスはまだ喧嘩ごし
その様子から初春は怪訝そうな顔で
「……御坂さん、お知り合いで?」
「いや、知らないよ…」
ステイルは尋ねた少女に腕章を捉えた
(あの花の子は風紀委員…!)
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:40:40.86 ID:tRLa7rLSO
まずい
インデックスは外部の人間だ
IDは登録されているらしいが
インデックスを見る、まだ相変わらずの態度
今の件で取り調べなどに発展したらマズいこともあるだろう
「いこう、インデックス」
「え、ちょ…」
強引に手をひき連れていく
(早く服を買って帰ろう)
三人はその様子に何も言えず追って来なかった
とりあえず面倒ごとは終息
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:41:45.26 ID:tRLa7rLSO
「なんだったんでしょう…」
「さあ…」
二人は怒濤の嵐に呆けるしかなかった
ちなみにもう一人は
(……馬鹿にされて、さらに馬鹿にされて逃げられた)
火花が散るのを押さえながら
「ごめん、二人とも」
「?」
美琴は離れていく
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:42:38.21 ID:tRLa7rLSO
手洗い場で
美琴はすることをすませて、手を洗っていた
「なんなのよ、もう」
馬鹿にされ、なにも言い返せないまま終わった
色々溜まるものも溜まる
「はあ…」
手洗い場を出て、待たせている初春と佐天のもとへ帰る
ムカムカしながら歩いていると
(…ゲコ太!?)
美琴の目に、お気に入りのキャラクター『ゲコ太』の人形が入ってきた…
と思ったが
(違う、か…)
人形は、持ち主の少年と共に去っていった
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:44:04.08 ID:tRLa7rLSO
御坂美琴を苛立たせた本人達は、まだ中を巡っている
「んー、コレかなあ」
「それでいいのかい」
「ステイルはどう思う?」
「…………」
インデックスが選んだのは、クールな大人の女性が着るような一式だ
本当はもっと可愛らしい服の方が合うはず
そう思う
「……いいんじゃないかい?色んなものを着て自分にあうものを探していけば」
「うー、そうだねー」
ステイルも疎いから、よく分からない
これから勉強せねばと思う
「じゃレジに持っていこう」
「うん」
そしてレジに向かおうとすると…
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:44:46.42 ID:tRLa7rLSO
『本日は当店にご来店いただき誠にありがとうございました』
「ひぇっ?声が響いて…」
「……?」
アナウンスがなる
『ただいま当店にて、爆発物が観測されました』
「なに…?」
『大変申し訳ありませんが、速やかに避難してください』
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:47:47.74 ID:tRLa7rLSO
「うそ」
「……」
買いにいこうとした途端これ
タイミングが悪すぎるハプニングにショックを隠せない
「しょうがない…今は避難しよう」
「……うん」
渋々避難をはじめる
「……あ!」
「なんだい?」
叫んだインデックスが見つけたのは
カエルの人形をもった小さな女の子
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:48:34.23 ID:tRLa7rLSO
「あの女の子…一人で大丈夫なのかな」
「一応、避難口へ向かっているし大丈夫じゃないかな」
だがやはり心配そうなインデックス
「ステイル…」
「分かったよ、連れていこう」
その答えにインデックスは頷く
ステイルは近付いていき女の子に話しかける
「君」
「……?ひっ、な、なに?」
女の子は赤髪で長身の彼に驚く
よって怯えさせないための処置をインデックスがとる
「ねぇ、さっきの声をきいたよね、だから一緒に避難しよ?」
「うん…でも」
女の子はぎゅっ、と抱えている人形を掴み言う
「でもこの人形を風紀委員のお姉ちゃんにわたさなきゃ」
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:49:44.90 ID:tRLa7rLSO
「よしっ、全員避難を終えたわね」
ガランとした入口前で御坂美琴は呟く
「はいっ」
初春は、この店に重力子の加速が観測されたことを
つまり最近多発している虚空爆破事件が起こる前兆を捉えたと、同僚の白井黒子から知らされ
速やかに避難誘導を開始した
美琴はそれを手伝ったというわけだ
『初春!聞きなさい!!』
報告からつなぎっ放しだった携帯から白井の緊迫した声が響く
『今すぐそこを離れなさい!!』
『過去八件の虚空爆破事件の全てで風紀委員が負傷してますの』
「え…?」
初春は耳を傾ける
「つまり…」
『真の狙いは…風紀委員!今回はあなたですのよ初春っ!!』
「おねーちゃーん」
「!」
肝を冷やしている初春の前に
カエルの人形を持った女の子が現れた
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:53:11.38 ID:tRLa7rLSO
探すフリをし、女の子を避難させていた二人
女の子の声にインデックスは察する
「いたの?」
「うん、あのおねーちゃん」
‐‐‐‐‐‐
初春は
「あの女の子は…」
何故か共にいる、あのシスターと赤髪の二人に絡まれた後に会った顔見知り
「な、なんですか?早く避難を…」
一緒にいる二人にもそう促す
「メガネかけたおにーちゃんがおねーちゃんに渡してって」
その瞬間、カエルの人形の中に仕込まれたスプーンが
「ッ!」
初春はとっさに人形をはねのけ、女の子を庇う
「逃げてください、あれが爆弾です!」
135 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:55:11.55 ID:tRLa7rLSO
「!」
その場にいる皆が驚く
初春はそこまでが精一杯だった
俯き庇いながら、叫ぶ
「逃げてください!」
「あれが…!」
インデックスは前に出て自らの『歩く教会』で初春達を守ろうとする
同じく近くにいた美琴も
(アイツなにやってんの!)
(……ッ!レールガンで爆弾ごと吹き飛ばす!)
だが
レールガンを撃つために必要なコインを落としてしまう
(しまった!!)
そして
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:56:15.43 ID:tRLa7rLSO
残る一人
ステイル=マグヌスは
「……」
懐から素早く、とあるケースをとりだす
『体晶』という、能力を暴走させる粉末を
それを舐め、庇うインデックスより前に出る
「ステイル!?」
「君を守る、と言っただろう」
そしてステイルの能力が暴走し
摂氏三○○○度もの炎の塊が皆を庇うように現れた
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:57:43.15 ID:tRLa7rLSO
「初春、無事だったようですわね」
風紀委員、白井黒子は事件現場に到着し、同僚の無事に安堵する
そこには、御坂美琴も女の子も、避難していた佐天涙子もいた
「はい、御坂さんのおかげです」
「トキワダイのおねーちゃんが助けてくれたの」
みんな無事だ
「さすが御坂さんですね、犯人も捕まえましたし!」
詳しい状況は知らないが佐天も会話に入る
彼女も美琴の力を知っているから、なんとなく理解できるのだろう
「違う」
「え?」
そんな第三位の呟き
「実際に助けたのは…」
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/30(水) 23:59:50.16 ID:tRLa7rLSO
「しばらくあそこは使えないね」
「むー、それはいいけど」
あの爆破はステイルの能力により防がれていた
そしてインデックスはステイルの「能力から」初春たちを守った
「その修道服、僕の熱すらカットできるんだね」
「ふふーん、まあね」
(あの子の防御以下では意味がない…)
魔術師が来るまでもっと強くならねば
決意とともにステイルはインデックスと別の洋服店へ行く
七月十八日 終
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 00:04:13.11 ID:gpHZ23+SO
体晶がなぜイノケンに繋がるのかというのは近々
俺理論ですが
ではありがとうございました
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/03/31(木) 00:10:49.13 ID:XFGseIlAO
いちおつ!
ステイルさんと美琴の絡みも見てみたい気もする 142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 00:40:32.57 ID:91ywr86DO
かませじゃないステイルさんカッコいい 143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 00:47:03.22 ID:fdbQ6ASIO
おつー
やっぱり科学サイドに上条さんいないのか? 146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:11:30.40 ID:gpHZ23+SO
七月二十日
夏休み 初日
―――始まる
「統括理事会から許可はおりましたよ」
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:12:05.78 ID:gpHZ23+SO
黒髪でポニーテールにまとめた髪型
ジーンズに白い半袖のTシャツで
腰に二メートル以上もある日本刀をさげた女性は伝える
「そうか」
一人の、十六歳ぐらいの少年に
「じゃあ行くぞ神裂、インデックスを連れ戻す」
とだけ言い、少年は歩き出す
「はい」
神裂と呼ばれた女性は同意し、少年の後ろをいく
ツンツンした髪で、普通の白い無地のTシャツにジーパンの姿をした
『幻想殺し』の後ろを
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:12:54.39 ID:gpHZ23+SO
真夏の夕焼けの下
ステイルは一人で買い出しに出ていた
インデックスはおいてきた、一人でも大丈夫と断言されたから
だがやはり心配だからさっさと帰るとする
三日前にあれだけ買いこんだ食料はもうなくなってしまった
(……すこしは我慢させるべきか?)
インデックスは朝、十時のおやつ、昼、三時のおやつ、晩、と食べる
しかも毎回恐ろしいくらいの量を
「……そうだな、せめてオヤツの時間を一個減らそう…」
さすがにこれだけのペースでなくなるのは困る
度々この状況をつくるのはよろしくない
だから食事削減計画を練る
朝を軽めにしようか、などとブツブツいっていると
見知った少女二人を捉えた
150 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:13:22.49 ID:gpHZ23+SO
(あの子達は…)
ステイルは自分の記憶を探る
一人は常盤台中学の制服を来た茶髪の少女
記憶に強く残っている超能力者の第三位『超電磁砲』
もう片方はおぼろげだが、あの黒髪でロング
確か第三位と共にいた少女だったはず
「じゃあね」
「はい」
二人は別れた
第三位はステイルの反対側に行き、ロングの子は動かないでいたが
「…?」
少女は近くにいたステイルに気付いた
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:13:54.46 ID:gpHZ23+SO
「…」
何も言わず去ろうとしたステイルだが
「あなたは…」
あちらが語りかけてきた
そんな少女は、沈んだ表情をしている
「……確かセブンスミストにシスターの子といた方ですよね」
こんな容姿だから鮮明に覚えていたのかもしれないと適当に思った
「そうだが…」
「ああ、あたし佐天涙子っていいます」
頭を手をのせ、佐天という少女は自己紹介してきた
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:15:36.67 ID:gpHZ23+SO
だから一応こちらも
「…ステイル=マグヌス、で、なにか用でも?」
「あ、いや…爆破からみんなを守ったっていう…ので」
「……うん、それが?」
佐天が言いたいのはそこではないのは分かる
急いでいる、さっさと本題に入ってもらうため口調で示す
佐天もそれに応え
「……高いレベルの能力者なんですか…?」
本題の質問をした
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:16:07.43 ID:gpHZ23+SO
意図のみえない質問にステイルは
「……それがなんだい?サインでも欲しいのかな」
「……ッ」
その言葉に佐天は唇を軽く噛んで、険しい表情になる
「…?」
「いや…」
時間をかけ、ようやく辛そうに言葉を絞りだした
「……あなたも能力のレベルなんて人間にとって関係ない、と思いますか」
「……」
やっと、何が言いたいのか理解できた
つまり、能力(つよさ)は必要か否か、ということか
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:17:04.32 ID:gpHZ23+SO
少女は能力について悩んでいるのだろう
大方、そんな時に第三位から慰めを受けたのだ
この少女にとって鋭い凶器の慰めを
だとしたら、そんな彼女に言うことは一つ
「関係あると思うよ」
「! どうして…?」
尋ねてきた
それに対してステイルは無表情で言う
「……落ち着くんだ、それは『僕』にとっての話…」
「……?」
「全く同じ人間などいない、だから君の質問の答えは…」
理解した佐天は、ステイルの言葉の先をいう
「……無い」
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:18:00.50 ID:gpHZ23+SO
「そうだよ」
ステイルは遠ざかっていく
「あ…」
それに佐天は焦るが、止められることなくステイルは立ち止まった
そして、少女の方を見ずに
「君にとっての答えは、君が見つけだすんだ」
「……」
アドバイスをおくる
佐天からの答えは、なかった
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:18:48.88 ID:gpHZ23+SO
「……フゥ」
そんな沈黙にステイルは溜め息をついた
そしてオーバーコートの懐からメモの一ページを取り出し、落とした
「……!?」
自分に対してのモノと捉えた佐天はそれを拾って、書かれた内容を見る
「……電話番号とメアド?」
詳しい説明を求めるため、佐天は周りを見回すが
すでにステイルの姿はなかった
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:19:29.26 ID:gpHZ23+SO
無駄な時間をくってしまった
ステイルは早歩きで学生寮に帰る
(……あんな赤の他人に何を)
答えは分かっている
同じ『チカラ』を求める人間に共感したから、ほっとけない気分になったから
だからといって
自分は会って間もない他人に助け舟を流すようなお人好しだっただろうか
違った
むしろ真逆の薄情な人間だったはずだ
つまり、変わったのだ
インデックスとの出会いから
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:22:58.56 ID:gpHZ23+SO
「っ!」
パンッ!と頬を叩く
ステイルはそれを悪い傾向とする
フラフラしている場合か
困っている百人を全員助けようとし、大切な一人を助けられないなんて展開は愚の骨頂だ
気を引きしめなおす
(あの少女はどうでもいい、インデックスさえ良ければいい)
あの子の安全のために他九十九人を見捨てろ
そうまでして確実に守りたい
よってその誓いに無理の色はない
あの笑顔を守る、という誓いがチカラに悩む少女への感情をかき消した
「早く帰ろう」
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:24:16.25 ID:gpHZ23+SO
インデックスは部屋でテレビを見ながら、ステイルの帰りを待っていた
「遅いなあステイル」
ステイルはまだ帰って来ない
彼はインデックスのお留守番をよく思っておらず、早く帰るように言っていた
(ステイルは過保護かも、私だってなにもできないわけじゃないんだよ)
自らの逃走能力、歩く教会という防護服、十万三○○○冊の知識
これらが揃えば、並の魔術師複数が相手でも逃げ切れるだろう
本来ならステイルの護衛はいらない
しかし
(あんなに真剣になってくれているんだよ…)
人に話したら自惚れと言われるかもしれないが
自分のために、あそこまでしてくれることがインデックスは嬉しい
今までそのように「純粋に」気遣ってくれる人はいなかったのだから
「早く帰ってこないかなー」
窓から外を覗き、ステイルをさがす
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:26:24.45 ID:gpHZ23+SO
学園都市の外周部
都市を囲む壁の前に立つ二人組がいた
しかしゲート前ではなく、入口も無いただの壁の前
「ここです」
そこにいる、黒髪のポニーテールで腰に二メートル以上の日本刀を下げる神裂は
「許可はとってあるんだろ?」
そう質問した相方を抱え、足に力をこめて屈む
そして
「上同士の密約みたいなものですから」
高さ五メートルもの壁を飛び越えながら、涼しい顔で答える
そして内側に辿り着く
着地時に足元から凄い音がしたが、まるで平気なようだ
「……では、探索術式を発動させますので…」
「わかった」
相方の少年は少し距離をとる
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:27:03.24 ID:gpHZ23+SO
そして
「待ってろインデックス、すぐに誤解をといてやる」
そう、呟いた
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:31:07.34 ID:gpHZ23+SO
ステイルを幻想御手編に参加させるために佐天さんに関わらせました
美琴や黒子は知り合いでも戦闘に呼ばないと思うし、初春は籠っていてステイルに会いそうにない
だから佐天さんでした
そしてインデックスへの思いを強めるために一瞬傾かせたんですが
キャラ違うでしょうかね
でしたらすいません
ではまた
ありがとうございました
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 22:53:33.59 ID:fdbQ6ASIO
さりげなく携帯番号渡すステイルマジかっけー
主人公補正をなくした上条さんは果たしてただのかませに成り下がってしまうのかどうか…167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 23:26:28.48 ID:+NGBerIIO
ステイルさんがちゃんと14歳してる…… 168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:12:30.67 ID:XtTJSabSO
インデックス「!」
ステイルの部屋にいたインデックスは感じ取った
インデックス「探索術式…」
魔力の流れを察知できる彼女は、それが自分を
正確には自分の『歩く教会』に狙いを定めたものと理解する
インデックス「まずいかも…」
早く逃げねば
しかし
インデックス(ステイルが心配しちゃう…)
彼女はどうしていいか分からなかった
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:13:43.56 ID:XtTJSabSO
神裂「見つけましたよ」
「どこらへんなんだ?」
神裂の言葉に『幻想殺し』の少年は反応する
それに対して神裂は反応があった方角を指でさす
神裂「……あちらですね」
「……よし、いくぞ!!」
と、少年は張りきる
神裂「しかし…」
そんな気合に同調せず、神裂は一つの懸念を口にする
神裂「もしもインデックスが…」
「…だから言ってんじゃねえか」
即答
もう言うのが面倒といいたげな口調で
「だとしたらソイツと一緒にインデックスを助けるまでだ」
神裂「……分かりました、では改めて…」
覚悟をきめ
神裂「行きましょう、上条当麻」
上条「ああ」
そして二人はインデックスのいる場所へ
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:14:38.44 ID:XtTJSabSO
「!」
「……悪い」
「……」
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:16:46.73 ID:XtTJSabSO
ステイルは既に自分の学生寮の前まで来ていた
そして今、階段をかけあがっている
ステイル「……はァッ、ハァ…ッ!」
何か嫌な予感がする
だから息苦しいことも忘れ、ただ走る
そして自分の部屋がある
七階
ステイル「……ハァ」
ステイル「……!」
自分の部屋の入口のドアが倒れている
無理やり開けられた痕
かつてのスキルアウトの報復という線もあったが、そうとは思えなかった
ステイル「……」
カツカツと音をたて、ステイルは向かった
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:18:15.33 ID:XtTJSabSO
中には三人いた
一人が奥に追い詰められ、座り込んでおり
その前を二人が立ち塞がるように、横に並んでいる
ステイルの手前にいる二人は知らない人物
ポニーテールで白いTシャツ、左足を太股まで切ったジーンズ姿の女性
同じく無色無地の服で、ツンツンした髪の少年
そして奥にいる一人
知っている人物だが、いつもとは違う
顔は焦躁にかられ、涙を目にためていて、放心状態にみえる
そしてなにより絶対の防御を誇るという『歩く教会』を破壊され、一糸纏わぬ姿にされていた
ステイル「インデックス…」
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:21:14.19 ID:XtTJSabSO
神裂「……貴方の部屋でしたか」
ステイルに気付いた女性は声をかけてきた
そして少年の方も
上条「ドアは悪い、修繕費はこっちが出すから許してくれ」
ステイルは聞いていない
インデックスの方を見て、顔を青くしている
やはりこうなった
あの能力にコンプレックスをもつ少女に気をとられていたから
ステイル「……」
ギリ、と歯をくいしばる
今、自分の無能が許せない
敵前でなければ自分を気絶するまで殴っていた
その様子に気付いた少年の方は
上条「別に変な事をしようとしていたわけじゃないぞ」
神裂「……」
上条「インデックスは優れた逃走のための能力や要素をいくつか持っている」
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:22:40.02 ID:XtTJSabSO
ツンツン頭の少年は流れるように説明している
上条「絶対“連れ戻す”ためには、その要素を潰さなければな」
上条「一番安全的な対処がコレということだ」
尚更何も言えなくなった
怒りから相変わらずインデックスを見続ける
すると放心状態だったインデックスもステイルを見た
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:23:55.95 ID:XtTJSabSO
インデックスは何も言わなかった
ただ顔を安堵した表情に変えるだけ
だからステイルも何も言わず
考えず
本気の炎を、横に並ぶ謎の二人に叩きこんだ
その火力はかつてのスキルアウトに放ったもの比ではない
炎の通った床が焦げ、チョコレートのようにとけた
爆発のように音が吠える
インデックスには危害が及ばないよう調節した
だから安心して二人が消し炭になるのを待つ
はずだった
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:26:37.02 ID:XtTJSabSO
ステイル「……なに…っ!」
上条「……ふぅーっ」
炎は途中で消失
よって相手は無傷
上条「学園都市の超能力ってのは俺みたいな原石の人工版と聞いてはいたが、ビビるのはビビる」
ステイル(……馬鹿なッ…!)
おかしい
二人は焼かれるどころか、衣服が焦げた様子もない
加えて二人のまわりだけ床も綺麗なまま
上条「大丈夫か、神裂」
神裂「ええ、貴方が纏めて打ち消してくれましたから」
上条「平行にやってきたから横殴りで二つ共消せたけどな…次は分からないから構えとけよ」
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/02(土) 21:35:49.12 ID:XtTJSabSO
あの男が打ち消した…?
この学園都市第六位の攻撃を?
ステイル(……そうか!)
信じがたいが、インデックスの姿を見て納得する
摂氏三〇〇〇度の熱すら防ぐ『歩く教会』が破壊されている
ステイル(……それほどの武器が向こうにはあるってことかい?)
ステイル(コレが魔術師、か)
ステイルは相手の実力を認め、見据える
上条「……」
相手の一人は僅かに腰を落とし、右手を構えている
攻撃にいつでも対応できる体勢だ
一方、女性の方は下げている日本刀に触れもせず、棒立ち
ステイル「上等じゃないか」
ステイルは『体晶』の入ったケースをとりだす
ステイル「寒いだろうが少し待っていてくれインデックス…」
本気で、焼きつくす
186 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:55:37.49 ID:8SmPQ2BSO
ステイルは臨戦態勢にはいる
…………が、
それに反して相手の方は呆けている
神裂「……!」
上条「……やっぱりお前は…」
少年は呟いた
日本刀の女も閉ざしていた目を開き、こちらを真剣にみる
上条「……」
神裂「……」
ステイル「……?」
いつまでたっても動かない相手には付き合わない
炭にするため『体晶』を舐めようと
上条「待ってくれ!」
と、構えていた方の少年は叫ぶ
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:56:35.54 ID:8SmPQ2BSO
本気になった所に水をさすような言葉に、ステイルは目を細める
ステイル「……おじけづいたのかい?だったら手足おいて帰るがいい」
これが最大の譲歩
この魔術師達はただではおかないと決めている
意見を受け入れたワケではないが、あの悲惨な姿のインデックスを第一に考えたかった
上条「違う、聞いてくれ」
少年はインデックスの方も見て
上条「インデックス、お前も」
インデックス「……」
インデックスは大切な所を隠しながら、睨むがとりあえず従う
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:57:04.24 ID:8SmPQ2BSO
だからステイルも同じく聞くことにする、無論警戒は解かないが
上条「……まず、お前はインデックスの味方なんだな?」
それはステイルに向けられた言葉
ステイル「もちろん、君達と違いね」
当たり前だ
正義ぶるわけではないが
インデックスという少女を追い回す、そんな連中と同類なわけがない
そう答えを返すと、質問してきた少年ではなく
神裂「私達だって…ッ!!」
今まで黙っていた方の敵の方が吠えた
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:57:57.88 ID:8SmPQ2BSO
ステイル「……」
インデックス「……」
咆哮にステイルとインデックスは驚き硬直した
けおとされた、というよりは意外な反応だったから驚愕したのだ
上条「神裂…」
神裂「……すいません」
神裂は顔を逸し、謝罪する
神裂「貴方はともかく…私が憤る権利はありませんね」
?
ステイル「……ちょっと待つんだ」
分からない
先程からの言動に何か違和感を感じる
思い描いていた敵と噛みあわない
ステイル「君達は、なにを言っているんだ?」
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:58:27.74 ID:8SmPQ2BSO
上条「……………………………………………………………………」
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:59:03.28 ID:8SmPQ2BSO
長い沈黙が居座る
それが上条の口が開かれることで破られる
上条「お前も、インデックスも勘違いしている」
ステイル「なに?」
上条「……でも仕方がない…俺のミスが招いたことだからな…」
ステイルはインデックスの方を見る
インデックスもその言葉を理解できないようだ
いや
信じようとしていない……?
上条「大方、俺達を十〇万三〇〇〇冊を狙う魔術師と思っているだろ」
ステイル「そうなんだろう」
少年は、ステイルの言葉に答えるようには返さなかった
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 22:59:30.03 ID:8SmPQ2BSO
上条「だからそれは俺のミスが招いた、インデックスの勘違いだ」
少年に次ぐように神裂という女性も語る
神裂「私も上条当麻も、インデックスの…」
神裂「大切な親友、なんですよ」
ステイル「」
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 23:02:20.62 ID:8SmPQ2BSO
===========
上条『うわっ!なんだ?』
==========
インデックス『おなかへった』
=========
上条『それが本っっっ当に異能の力だってんなら、俺の右手が触れただけで木っ端微塵って訳だな?』
========
インデックス『私といっしょに地獄の底までついてきてくれる?』
=======
上条『……地獄の底から引きずり上げてやる』
======
インデックス『……でも』
====
上条『人を勝手に値踏みしてんじゃねーぞ』
===
==
=
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 23:03:13.06 ID:8SmPQ2BSO
===========
上条『お前が、魔術結社とかいう連中なんだな…』
==========
神裂『魔法名を名乗る前に彼女を保護したいのですが』
=========
上条『インデックスの歩く教会から…『魔術』も『異能』だと思ったのに……っ』
========
神裂『彼女は私の同僚にして―――親友なんですよ』
=======
上条『守りたいモノがあるから、力を手に入れたんだろうが!』
===
==
=
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 23:03:40.19 ID:8SmPQ2BSO
===========
上条『終わったんだよ……もう終わっちまったんだ』
==========
上条『ゴメン、俺、強くなるから…』
=========
上条『今度は絶対、完璧に助け出してみせるから』
========
インデックス『分かった、待ってる』
======
上条『頭痛が治ったらこんなヤツらやっつけて自由になろう』
===
==
=
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 23:05:39.42 ID:8SmPQ2BSO
ステイル「……」
上条「……」
神裂「……」
インデックス「……知っているよ、前にも聞いたから」
インデックスだけが口をひらいた
その状況にステイルはもうなにがなんだか分からなくなる
魔術師達の法螺という線も、インデックスの言葉で消えた
しかしその迷いを、インデックス自身がはらってくれた
インデックス「それにその話が嘘ってことも知っている」
それに対し上条は弁解しようとしたが、インデックスがそうさせなかった
インデックス「信じていたのに…」
彼女は更に睨みかえしていた
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/03(日) 23:07:41.66 ID:8SmPQ2BSO
ステイル「……」
話に割り込めない
全く理解が追い付かない状況にステイルはただ立ち尽くすだけだった
何も考えずインデックスを害す者を焼き尽くせばいい
自分はインデックスだけの味方
自分にそう言いきかすのに、体が動かなかった
上条「……とりあえず、お前に続きを話す」
再び語りだす
ステイルはもうインデックスのためではなく、自分のためにきいた
何かあると感じてならなかったから
次→
ステイル「第六位、『魔女狩り(ファイアハンター)』だよ」【中編】
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