1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:30:51.93 ID:xhGOqOoN0
商会の男「はい、崩れた荷に巻き込まれて、医者に診断させた所、この数年の記憶だけ覚えて無いようで」
ホロ「……それは治るのかや?」
商会の男「医者が言うには数日で治る事もあれば数年。最悪一生」
ホロ「つまり、分からぬと」
商会の男「はい、先ずは数日様子見と言うことで……とりあえず、こちらにお連れしました」
ホロ「……」
商会の男「あっ日常生活には支障無いのでご安心を。この街にいる間の滞在費や生活費は当商会が持ちますので……この度は誠に申し訳ございませんでした」
ホロ「……わかりんす」
商会の男「それでは失礼します」
バタン
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:33:01.09 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「……」
ホロ「何を突っ立っておるのじゃ?」
ロレンス「いや、その……一つよろしいですか?」
ホロ「なんじゃ」ピクッ
ロレンス「貴女は……その……私のなんですか?」
ホロ「……ホロじゃ」
ロレンス「失礼、ホロさんは……まさか……商品?」
ホロ「たわけが、わっちはそんなに安くはありんせん」フンッ
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:37:47.87 ID:3Wl0rWUZO
期待あげ
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:39:06.55 ID:52aoXXpi0
ふぅ・・・
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:35:09.52 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「すっすみません」
ホロ「……主様よ、本当にわっちの事を忘れたのかや?」ギュッ
ロレンス「わっ」バッ
ホロ「わっちを特別な存在といってくれた事を……」
ロレンス「えっ私がですか?」アセアセ
ホロ「うむ……そうじゃ。覚えてないかや?」
ロレンス「すいません」
ホロ「……はぁ、まぁよい。して主よ。いつまで商談用の話し方を続けるのかや?」パッ
ロレンス「えっ……」
ホロ「わっちからは何も買えぬぞ」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:38:21.85 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「はは」
ホロ「……はぁ、つまらん。そうじゃ、街に出よう。記憶を取り戻すきっかけになるやかもしれぬ」
ロレンス「は、はい」
ホロ「……口」
ロレンス「あぁ」
ホロ「……腕」
ロレンス「えっ?」
ホロ「こうじゃ」ダキッ
ロレンス「ちょっと……ホロさん」
ホロ「ホロでよい。うむ、これじゃ」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:42:42.22 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「……」
ホロ「どうした?声が出ぬのか」ワッサワッサ
ロレンス「え……いつも、こんな感じなのか?」
ホロ「大概の」ワッサワッサ
ロレンス「はぁ~……!!」
ホロ「どうしたのかや?」
ロレンス「しっ尻尾が……」
ホロ「なんじゃ、今気付いたのかや」ワッサワッサ
ロレンス「もしかして……悪魔付き」
ドンッ
ホロ「なにをするんじゃ」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:45:00.14 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「離れろ、この悪魔付きめ教会に突き出してやる」ガタガタ
ホロ「昔のたわけは短絡的じゃの……」
ロレンス「なんだと」
ホロ「この耳と尻尾が示す通り、わっちは気高き狼じゃ。それによく考えてくりゃれ」
ロレンス「なにが」
ホロ「主が記憶を無くす前からわっちは主と一緒に行動しておった事実じゃ」
ロレンス「……確かに」
ホロ「……つまり、わっちが悪魔付きであったら、今の主より知識も経験も詰んでいる昔の主が一緒にいるわけないじゃろ」
ロレンス「……しかし」
ホロ「しかし、昔の主が騙されていたら……かや?昔の主が見抜けぬ事が知識も経験も無い今の主が見抜けるとは思うのかや?」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:46:42.17 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「……その通りだ」
ホロ「……うむ、頭の回りは今も昔も変わらぬな」
ロレンス「なら俺が取る選択肢は一つしかなくなる、残念だが俺はこの街でホロさんと別れる」
ホロ「なっ」
ロレンス「確かに言ってる事は正論だ。俺では決して見抜けないだろう、なら残る選択肢は関わらない事しかない」
ホロ「本気で言っておるのかや?」
ロレンス「あぁ、本気だ。だが安心してくれ。教会には突き出さないから、と言うより突き出せないか」
ホロ「……主と一緒に行動してたからかや?」
ロレンス「まぁ、そうだな。だから、せめてこの街を出るまでは一緒に」
ホロ「……」ジッ
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:48:20.01 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「……そんな目で見ないでくれ、俺だって不安なんだから……なっ。昔の俺は死んだと思って」
ホロ「では、何か……わっちは今幽霊とでもしゃべっておるというのかや」
ロレンス「すまない……しかし、記憶が無くした今不安な要素はなるべく取り除きたいんだ」
ホロ「わっちを不安な要素というのかや?」
ロレンス「えっいや、そんなことは無い……が分かってくれ。頼む……」
ホロ「……わっちがいる利益を踏まえてもかや?」
ロレンス「あぁ、多分利益の方が上回るだろうが、それを踏まえてもだ。今は地盤を確かめ安心を取りたい」
ホロ「……主は冷酷な商人じゃの」
ロレンス「すまない……あっ勿論、旅費やら詫び金は渡す」ゴソゴソ
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:50:18.95 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「……。」
ホロ「たくさんあるじゃろ、昔の主とわっちが共に稼いだ金じゃ。為替など諸々全て合わせると店が持てる程の金があるはずじゃ……主とわっちの居場所がある店がな……」
ロレンス「……」
ホロ「……金はよい、主に全部くれてやる」
ロレンス「いや、それでは俺の気持ちが……」
ホロ「……主は冷酷な商人じゃろ、構わず取っとくがよい。それに元手は全て主の金じゃ」
ロレンス「しかし……」
ホロ「……では、これだけでよい。これで主の気が済むじゃろ」ヒョイヒョイ
ロレンス「それだけか?」
ホロ「構わぬ」
ロレンス「そうまで言うなら、言葉に甘えるが……」
ホロ「……好きにしてくりゃれ」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:51:50.45 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「……えっと、少し街で情報を集めてくる」バタバタ
バタン
ホロ「詫び金じゃと……いくら積まれても足りる事はないわ……わっちと主の絆は金には変えられるものではないというのに……」ポトッ
ホロ「……いや、まだじゃ、記憶さえ戻れば主も。そうじゃ希望は残されてるはずじゃ……」ギュ
ガチャ
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:54:23.82 ID:QhNlJXM0O
~街~
ホロ「……林檎、そういえばわっちが初めてあやつにねだったものじゃったな……テンの毛皮に匂いをつけて高く売り付けてやったわ……ハハハ」ハァ
ホロ「そうじゃ、思い出はものや匂いからも呼び起こされると言われておる……」
ホロ「うむ、そうと決まれば次はテンの毛皮じゃ」タタタッ
~宿~
ガチャ
ロレンス「あっ……」
ホロ「なんじゃ主、もう戻っておったのかや、丁度良いこれをみてくりゃれ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:56:31.00 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「これは林檎に毛皮……これはテンか。」
ホロ「うむ、そうじゃ。して主よ、毛皮の匂いを嗅いでみてくりゃれ」
ロレンス「うん?果実の匂いがする。」クンクン
ホロ「うむ、こうやって林檎の香りを毛皮に移してな、高値で商会に買い取らせたものじゃ」
ロレンス「へぇー、凄いものだ」パサッ
ホロ「それだけ……かや?」
ロレンス「あぁ」
ホロ「少しは懐かしいとか思わぬのか?これはわっちらが初めてやった商売じゃ、本当に何も思い出さぬのかや?」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 16:59:00.08 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「残念だが」
ホロ「そ、そうかや……わっちに取って忘れる事のできぬ、かけがえの無い思い出じゃったんじゃが、
そうじゃな、行商人である主にとっては沢山あった商談の一つに過ぎなかったのじゃな」ハハハ
ロレンス「……」
ホロ「あぁ、すまぬ。わっちは何たわけた事を言っておるのじゃ、主を責めるつもりはありんせん、勘違いしないでくりゃれ。」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 17:36:00.96 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「はい……後、急で悪いんが、出立の事だが」
ホロ「……なんじゃ」
ロレンス「明日には立とうかと思っている」
ホロ「荷は?」
ロレンス「昔の俺が既に仕入れてたみたいなんだ」
ホロ「……怪我は大丈夫なのかや?」
ロレンス「まぁ……打ち身程度だし、心配ない。それに時は金なり。動いてないと不安だからな」
ホロ「……そういう所は変わらぬの」クスッ
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 17:38:45.16 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「はは、まぁそういうわけで最後の晩餐と言うわけでは無いのが一緒に食事でもどうだ?勿論ごちそうさせてもらう」
ホロ「……うむ」
ロレンス「それは良かった、ではリクエストでも」
ホロ「特に食べたいものはありんせん、ただ、二人っきりで食べれればよい……」
ロレンス「そう……だな。ではどこか個室が借りれる店でも……」
ホロ「すまぬな」
ロレンス「構わないさ、さっ行こう」
ホロ「うむ……」
バタン
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 17:43:10.52 ID:QhNlJXM0O
~店~
ロレンス「さぁ、どうだ。奮発して高い料理と酒を注文した。存分に食べてくれ」
ホロ「うむ……」パクッ
ロレンス「そういえば・・・が・・・で、不思議な感じが・・・」
ホロ「そうじゃろな」ゴクッゴクッ
ロレンス「・・・そういえば、・・・も・・・だったし見るとかなりいいものばかりでな・・・で、・・・なんだ」
ホロ「そうかや」
ロレンス「あぁ、早く一角の商人になりたいもんだ、ははは」
ホロ「……うむ、主ならなれるじゃろ」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 17:49:01.86 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「ありがとう。ホロさんはこれからどうするのだ?」
ホロ「わっちは独りで故郷に帰るつもりじゃ……」
ロレンス「そうか……まぁ、頑張ってくれ」
ホロ「ッすまぬが気分が優れぬ……先に宿に帰っておる」ガタッ
ロレンス「えっ、大丈夫か?」
ホロ「大丈夫じゃ、心配しないでくりゃれ。まだ料理は残っておるし、主はゆっくりしてくりゃれ」
バタン
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 18:41:42.75 ID:ynkxumXP0
記憶のないロレンスからすると
まさか不気味な耳しっぽ(悪魔憑き?)が嫁だとは
言われても信じられないだろうなあ
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 17:55:07.63 ID:Y9h6LIuG0
全てじゃなくて数年てのがまた…
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 17:55:29.72 ID:xhGOqOoN0
~街~
ホロ「……味がせぬかったな。普段ならあやつと一緒ならどんな食事でもおいしかったのに……」トボトボ
ホロ「……たわけめ、わっちとの契約も忘れておる」グスッ
ホロ「……いや、たわけなのはわっちじゃな。人の記憶は永遠じゃと勝手に思い込んでおった。わっちとたわけはずっと一緒だと思い込んでおった……」グスッ
ホロ「それが……それが……なんとも呆気ない幕切れじゃ。……こんな形で終わるとはな……予想もしておらぬ」ハハ
ホロ「……まだ、嫌われて別れた方がましじゃな……、今のたわけは……わっちを……怖がっておる……それに……わっちに……関心を……持とうとせぬ……わっちを忘れようとしておる。」グスッ
ホロ「……忘れられるのは……もう……いやじゃ……いや……じゃ」ウゥポロポロ
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:10:09.32 ID:QhNlJXM0O
~宿~
ホロ「……」グスッ、グスッ、グスッ、グスッ
トントン
ピクッ
ホロ「……」グシグシ、バッ
ガチャ
ロレンス「……大丈夫か?」
ホロ「うむ、すまぬかったな、宴を途中で終わらせて」
ロレンス「いや、別に構わないが、あっ料理と酒を包んで貰ってきたから、お腹が空いたら食べてくれ」
ホロ「……あまり優しくしないでくりゃれ……明日になれば主はこの街に記憶とわっちを捨てて旅立つんじゃから……」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:13:33.54 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「すまない」
ホロ「……もうよい……」
ロレンス「……」
ホロ「……すまぬ、少し言い過ぎた、許してくりゃれ……」
ロレンス「いや、こっちこそ悪かった」
ホロ「主よ、頼みがある」
ロレンス「なんだ」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:18:29.78 ID:QhNlJXM0O
ホロ「明日は笑顔で穏やかにわっちと別れてくりゃれ」
ロレンス「そうだな……」
ホロ「……うむ」
ロレンス「……」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:21:14.16 ID:xhGOqOoN0
~別れの日~
ホロ「ふぁー」ムクッ
ロレンス「あっおはよう、朝食ついでに買って来たから……良かったら」
ホロ「うむ……主は最後まで優しいのじゃな」パクッ
ロレンス「いや、そんなことは……」
ホロ「……残酷な程に」ボソッ
ロレンス「んっ何か言ったか?」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:24:15.18 ID:QhNlJXM0O
ホロ「なんでも無い、気にしないでくりゃれ。それより、途中の森まで乗せていってくりゃれ。そこで別れじゃ」
ロレンス「あぁ。しかし、そんな所でいいのか?」
ホロ「構わぬ、人目が無くなれば元の姿に戻って故郷まで一直線じゃ」
ロレンス「そういうことなら……」
ホロ「うむ、そうとなれば早い方がよい、ほれ、行くぞ主よ」
ロレンス「うわっ、ちょっと待てよ」バタバタ
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:28:37.59 ID:xhGOqOoN0
~馬車~
ホロ「……」ヒョイ
ロレンス「荷台でいいのか?」
ホロ「ここでよい」
ロレンス「しかし……」
ホロ「すまぬが少しはわっちの気持ちも考えてくりゃれ」
ロレンス「あっ……すまない」
ホロ「……よい、主が鈍感なのは、よくわかっておる」
ロレンス「はは」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:43:12.11 ID:QhNlJXM0O
~
カタカタカタ
ホロ「……あっ、ここでよい。停めてくりゃれ」
ロレンス「あぁ」
ヒヒィーン
ホロ「では、ここで別れじゃ」ヒラリ
ロレンス「それでは道中気をつけてな」
ホロ「うむ、主もな」
ロレンス「あぁ」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:46:06.31 ID:QhNlJXM0O
ホロ「なに、主なら記憶なんぞ戻らなくてもすぐに一角の商人なれるじゃろ」
ロレンス「だと、いいが……」
ホロ「大丈夫じゃ、わっちが保証しんす」ニッ
ロレンス「精進するよ」
ホロ「うむ」
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:49:32.39 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「……」
ホロ「……」
ロレンス「……じゃ、これで……」
ホロ「ぬ、主よ……。手間はとらせん……わっちの……最後の頼み……きいて……くりゃれ」
ロレンス「なんだ?」
ホロ「そ、その……頭を撫でて……ホロ……と呼んで……くりゃれ」
ロレンス「……あぁ」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 19:53:13.03 ID:QhNlJXM0O
ロレンス「……ホロ」ナデナデ
ホロ「……」
ロレンス「……」
ホロ「うむ、これでもう思い残すことは無い、主よすまぬかったな」
ロレンス「いや、構わない」
ホロ「これで別れじゃ、もう会うこともないじゃろが、元気でな。ではの」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:04:30.18 ID:xhGOqOoN0
ロレンス「あっ」
ガシッ
ホロ「なんじゃ、主よ。手を離してくりゃれ」
ロレンス「えっ、あっすまん」
ホロ「ほれ、はよう」
ロレンス「……なんか分からないけど、この手を離してはいけない気がする」
ホロ「なにをたわけた事を言っておるのじゃ」
ロレンス「俺もなにを言っているのか自分でも分からない。でも、でもなぜかこの手を離してはいけない気がする」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:10:10.86 ID:QhNlJXM0O
ホロ「いいから、離してくりゃれ」
ロレンス「嫌だ」
ホロ「なにを今更いうておるのじゃ……主が決めた事じゃろ?」
ロレンス「……それは」
ホロ「主よ、頼むからわっちを惑わせないでくりゃれ?」
ロレンス「そんなつもりは……」
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:17:56.16 ID:QhNlJXM0O
ホロ「では、離してくりゃれ?このままでは、別れられぬ」
ロレンス「……だが」
ホロ「いいから早く離してくりゃれ……でないと……主の為必死で決意した気持ちが揺らぐでないか」
ロレンス「……でも」
ホロ「主よ、頼む……。早く、早く離してくりゃれ……、最後までわっちに意地を張らせてくりゃれ?」
ロレンス「……」
ホロ「……主よ……わっちにも限界というものがあるのじゃ」
ロレンス「……」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:26:38.45 ID:xhGOqOoN0
ホロ「あまりにも短い間で色々な事が変わったのじゃ。わっちは胸が裂ける思いじゃった、
わっちの小さな胸はこれ以上耐えられそうに無いのじゃ。な、主よ。わっちが笑顔を作れる内に別れさせてくりゃれ」
ロレンス「……」
ホロ「せめて主に残る最後の記憶はわっちの笑顔であって欲しいのじゃ」ウゥ
ロレンス「……」
ホロ「な?頼む、頼むから主よ……」ポロポロ
ロレンス「……」ガバッ
ホロ「……わっちをこれ以上傷つけないでくりゃれ、縛らないでくりゃれ」ポロポロ
ロレンス「……」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:29:15.61 ID:QhNlJXM0O
ホロ「主との契約は既に解かれたのじゃ、二人の間を結びつけるものはもう、なにもないのじゃ、なにも」ポロポロ
ロレンス「……契約?」
ホロ「あぁ、契約じゃ、賢狼ホロをヨイツまで送り届ける契約じゃ、主が決して忘れぬと誓った契約じゃ」ポロポロ
ロレンス「……契約、なら……」
ホロ「その先は口にしてはならぬ、主ともあろうものが同じ契約を二重に結ぶつもりかや」キッ
ロレンス「……」
ホロ「……主よ、わかったであろう?もう全ては終わっておるのじゃ、さぁ離してくりゃれ、わっちも、もう限界じゃ」ポロポロ
ロレンス「……」スッ
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:35:38.47 ID:xhGOqOoN0
ホロ「……うむ、それでよい、それでこそ主じゃ」グスッ
ロレンス「……なら、最後に笑顔を見せてくれ、俺はそれを二度と忘れない、二度と」
ホロ「……プ、主の鈍感で愚直な所は変わらぬな」グィ
ロレンス「……」
ホロ「……よいか?」
ロレンス「……あぁ」
ホロ「……」ニコッ
ロレンス「ホロ……」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:41:47.62 ID:xhGOqOoN0
バキッ
ロレンス「グハ……な、なにを」バタッ
ホロ「これで、わっちを忘れぬじゃろ」ポイ
ロレンス「……」
ホロ「……主よ、わっちを忘れないでいてくりゃれ、わっちも主を忘れぬから」グィグィ
ホロ「……うむ、流石に石はやりすぎたかや?まぁ、起きてこぬ内に去るとするか、ではの、主よ」クルッ
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:50:20.28 ID:QhNlJXM0O
ガシッ
ロレンス「いてて、これで二回目か?お前の笑顔を脳裏に焼き付けたのは」
ホロ「……」
ロレンス「だが、あの時誓った筈だ、必ず契約を履行すると、そして、契約は両者の合意が無いと解かれない」
ホロ「……」
ロレンス「まさか、契約の途中で逃げ出すつもりか、ホロ?言ったよな、商人はしつこいと」グィ
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:51:01.50 ID:xhGOqOoN0
ホロ「……主よ、まさか」グスッ
ロレンス「あぁ」
ホロ「記憶が戻ったのかや……」
ロレンス「あぁ」
ホロ「本当……かや?」
ロレンス「お前は人の嘘を聞き分けられるのだろ?」クシャ
ホロ「うむ、うむ。本当じゃ本当じゃ。主は嘘をついておらぬ……」
ガバッ
ホロ「うぅ……うぅ……」ボロボロ
ロレンス「ごめんな、ホロ」
ホロ「……もうよい、主が主が戻ってくれただけで、わっちは満足じゃ」フルフル
おわり
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:55:16.68 ID:xhGOqOoN0
ありがとうございました
実は以前投下したけど直ぐ堕ちたからリベンジ成功、飯の話は完走したんだけどこれはダメだった
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/29(日) 20:58:16.59 ID:ynkxumXP0
十分面白かったぜ、ありがとう
短編集のネタ潰しになってないか心配だがw
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/05/29(日) 21:18:06.07 ID:fxbJyFH30
乙
次があれば、もう少し長いのも読んでみたいな
これも面白かったけど
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/05/29(日) 20:21:07.42 ID:zibNm+Mj0
わっちわっちにさーれたがなー
多分飯の話→
ホロ「わっちに飯を作れじゃと?」
- 関連記事
-
Amazonの新着おすすめ
おすすめサイトの最新記事