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キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」まとめ→
キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」まとめ
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:48:06.70 ID:ek+Lza/yo
試験的に地の分投入してみます。
―――学園都市 街中
キャーリサ「~♪」
キャーリサはすこぶる上機嫌で鼻歌混じりに街を歩いていた。
時刻は間もなく夕刻に差し掛かろうという頃。
上条が補習があると言うので、昼食後彼女は適当に校内を見物した後悠々と学校を後にした。
今のキャーリサは自由だった。
もともと生真面目ながらも母から受け継いだ奔放さを併せ持つ王女だ。
護衛も自らを知るものもいない街中を歩くのはとても気分が良いことだった。
キャーリサ(あいつはからかうと面白いな。昼食の時など耳まで真っ赤にしていたし)
居候先の少年の顔を思い出す。
キャーリサの周辺には今までいないタイプの人間だった。
そもそも立場が違うので当然と言えば当然であるのだが、何にせよ彼の存在はキャーリサの興味を強く引いた。
キャーリサ(さて……そろそろあいつの学校も終わる時刻だな。
ふふっ、では校門まで迎えに行ってやるとするの。
奴め、感動でむせび泣くかもしれないし。健気だな私は)
校門前で待ち構え、上条が出て来た時彼がほろりと涙を零して崩れ落ちて足元に縋り付く場面を想像し、
キャーリサは満足げに笑みを浮かべる。
キャーリサの懐の広さに深く感嘆し、やがて上条は心からの敬意を向けてくるのに違いない。
うんうんと頷きながら、彼女が午前中と同じ通学路を歩いていると、ふと横道に逸れる路地が目についた。
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:50:01.31 ID:ek+Lza/yo
キャーリサ(……っと、ここの路地に入れば近道か?
少々薄暗いが、まあ向こう側も見えているし問題ないの。
待っていろとーま。私が傾国の微笑で出迎えてやるし)
彼の照れる姿が早く見たいキャーリサは、何の躊躇いも無く薄暗い路地裏へと足を踏み入れた。
表通りからわずかに漏れる夕焼けの光が、高いビルの間の狭い道を物悲しく照らしている。
その中を、上質な生地と素晴らしい縫製で仕立てられた真紅のコートを纏ったキャーリサが高いヒールを打ち鳴らして悠々と歩いていく。
スキルアウトA「ひゅぅっ、お姉さん、こんなところで何してるの?」
その時、キャーリサの目の前に三人の男達が立った。
外からでは分からなかったが、廃ビルの裏口が路地の途中にあり、そこにガラの悪そうな連中が溜まっていたのだ。
スキルアウトB「ここを通るには通行料がいるんだけど、払ってもらえる?」
足を止めたキャーリサに、大柄な男がそう告げる。
ニタニタと野卑な笑みを口元に浮かべ、向こう側に行けぬよう大きな身体で通路を塞いでいた。
キャーリサ「通行料? 関所があるなど聞いていないし。断る、そこを退け」
当然進路を塞ぐ邪魔者など許せないキャーリサは、自分よりも頭一つ分も大きな男の目を射殺すようにねめつけて透き通るような声で言い放った。
笑みを浮かべていた男の口元が歪み、眉間に皺が寄る。
スキルアウトC「おいおい、退け、だってよー」
別の男が茶化すように周りの二人に向けてそう言い、キャーリサを笑い飛ばした。
キャーリサの眉が一瞬ピクリと動いたことに、男達は気が付かない。
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:51:15.24 ID:ek+Lza/yo
スキルアウトA「大人しくお金払っときゃぁ見逃してやったのに、馬鹿だねぇ」
スキルアウトB「高そうな服着ちゃってさ、どこのお嬢様」
スキルアウトC「ぎゃはははっ、お嬢様って言うのはちょっと年食ってるけどな」
スキルアウトA「いやいやぁそりゃテメェがJKしか興味ねぇからだろ?
全然いけるって」
スキルアウトB「そうだな。外人さんだけど、悪く思うなよー?
ちょろっと俺達と遊んでくれりゃいいからさー、こっちこいよー」
好き放題に言わせておけばいいとキャーリサは冷めた視線で彼らの会話を聞いていたが、とうとう男のうちの一人が彼女の腕を掴んだ。
ゾワリと全身を逆流していく嫌悪感。嗚咽でも漏らしそうな程不愉快に思い、キャーリサは己の中で沸々と怒りが湧いてくるのを感じていた。
キャーリサ「! 離せ!」
一刻たりとも触れられていたくなかった。
勢いよく掴んだ手を振りほどき、その勢いで男の鼻ッ面にキャーリサの裏拳がさく裂した。
スキルアウトB「いてっ!」
のけぞり、男の鼻からだらりと血が零れる。
キャーリサはその手の甲に付着した男の血液を、ポケットから取り出したシルクのハンカチで乱雑に拭い去る。
スキルアウトC「ああっ!? ンだテメェっ! 抵抗すんじゃねぇぞババァッ!」
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:52:44.66 ID:ek+Lza/yo
キャーリサの態度が気に障った男達が殺気立つ。
だがそんなものは、かのクーデターを起こした張本人たる彼女にとっては些末事でしかない。
他人の羨望も悪意も、あらゆる感情を向けられる王女である彼女、ましてや争乱の中心であった彼女にとって裏路地のチンピラがいくら凄んだところで効果などあるはずもなかったのだ。
キャーリサ「バッ……!? ……ふーん、死にたいようだし」
それどころか、男達の言葉はキャーリサの憤怒を煽っていく。
キャーリサの手がコートのポケットに突っ込まれた。
体中数か所に隠し持っている護身用の『剣』。
カーテナ=セカンドの残骸がそこにある。
本来なら人知を超えた力を有するはずのそれも、今はガラクタ同然の霊装。
しかし、男3人を人たちの元に斬り捨てるには十分に過ぎる。
スキルアウトA「やめとけって。悪いね、でも大人しくしといたほうが身の為だよ?
綺麗な顔と体に傷つけられたくないでしょ?」
スキルアウトB「へへっ、身体の方は今から使わせてもらうけどなー」
スキルアウトC「写真とビデオばらまいてやるから覚悟しとけよゴラァッ!」
首筋に死神の鎌がかかっていることなど露とも知らない男達は、口々にキャーリサを威圧するように罵声を浴びせていく。
キャーリサは罵詈雑言にも聞き飽きて、溜息をついてポケットの中でカーテナの破片を握りしめた。
キャーリサ「下賤過ぎて言葉も無いの。もーいい、論外だ、極刑だし」
キャーリサの口元が麗しく、そして残酷に歪む。
2度と他人に襲いかかれぬようにしてやろう。
そしてキャーリサは、断罪の刃を握りしめた手をポケットからそっと出した。
その時。
??「待てお前ら!!」
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:53:49.27 ID:ek+Lza/yo
キャーリサの背後から、声が聞こえた。
ドキリと高鳴る鼓動。
何故己の心臓がそのような反応を示したのか、キャーリサにはその時明確な答えを出すことが出来なかった。
スキルアウトA「あー?」
スキルアウトB「ンだテメェ……? 何か文句でもあるんですかぁ?」
カツカツとコンクリートを踏みしめて歩いてくる声の主。
彼はやがてキャーリサの隣に立ち、ほんの一瞬こちらに視線を向けた。
キャーリサ「……とーまか」
上条当麻。
キャーリサの居候先の家主であり、恋人遊びに興じる相手。
学ラン姿の彼は、持っていたカバンをキャーリサに押し付けると、彼女を庇うようにして前に立った。
上条「キャーリサに手ぇ出してんじゃねぇぞ。殺されてぇのか!」
彼の背中からそんな言葉が聞こえてきた。
キャーリサは驚きに目を見開く。
同時に、やけにもやもやとした感情が胸に渦を巻いた。
スキルアウトC「あァッ!? 誰が誰を殺すってぇ!?」
キャーリサ(いや、さすがに殺さなくてもいいし。
それは私の役目と言うか、せいぜい男性機能を破壊する程度に留めておいてやろーと思っていたが。
……そーか、お前そこまで私のことをな……)
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:54:52.02 ID:ek+Lza/yo
少しだけ顔が熱くなる。
そこまで言ってのけるほど、彼は自分のことを守りたいと思ってくれているのだ。
キャーリサはそのように解釈した。
悪くない。
愛すべき主君を守るために命を賭す勇敢な騎士。
実にキャーリサ好みの展開であり、台詞だった。
上条「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ馬鹿!」
激昂する上条。
キャーリサはドキドキが収まらない。
正直そこまで強く想われているとは思わなかった。
恋人を演じているとは言え、所詮彼は一回りも年の離れた少年だ。
本気になどなれないし、向こうがその気にならないだろうと彼女は思っていた。
しかし、彼のそうした言動はキャーリサにとって予想外だった。
故に、虚を突かれた彼女は心の脆い部分をもろに突かれたような衝撃を受けることになった。
キャーリサ(うん……よく分かったぞお前の気持ち。そーとまで想われるのは、嬉しいものだし。
……とーま、お前がそーだと言うなら……私も……)
キャーリサと男達の間に立ちふさがる上条の背中に視線を送り、桜色の唇を噛みしめる。
もっと彼の言葉を聞きたいと思ってしまった。
忠を尽くそうとする誠実な言葉を。義侠に溢れた勇敢な言葉を。
そして、愛情がそこに在ってもいい。
キャーリサにとって、今彼のとった行動と言葉はそれだけの価値があった。
やがて開かれる上条の口。
そこから放たれる言葉を聞き逃さぬよう、キャーリサはギュッと瞳を閉じた。
上条「お前等がキャーリサにぶっ殺されるに決まってんじゃねぇか!!」
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:56:50.73 ID:ek+Lza/yo
戸惑いは確かにあった。しかし、彼が求めるなら応えてやるのも主君の務めかとも考えた。
なのに。
従僕たる男の口から飛び出てきたのは、あまりに信じがたい言葉だった。
キャーリサ「……は?」
ポカンと口を開け放ってキャーリサが思わず問いかける。
今何と言ったのだ?
男達ではなく、むしろ彼女の方が上条の言葉に耳を疑った。
上条「よく見てみろ! お前達3人を目の前にしたってまるで動じてねぇんだぞ!
どう考えたって何かあるだろうが!! ここは能力者の街学園都市なんだ!
見た目だけで相手を判断することがどんなに危険なことか、お前達にだって分かるはずだ!
こいつがとんでもねぇ能力者だったりしたらお前等どうするんだよ! マジで死ぬぞ!!
っていうかほとんど当たってる! こいつは空間切り裂いたり空割っちまうような学園都市で
も規格外のおっそろしい能力を持ってるんだ、死にたくねぇなら今すぐ逃げろ!!」
キャーリサ「…………」
わなわなと拳を震わせるキャーリサ。
少年らしい少し無鉄砲で熱い言動に、年甲斐もなく少し、いや大分ときめいてしまった自分の乙女心を返して欲しい。
未だ熱が上手く収まらないキャーリサは奥歯をギリリと噛みしめ、やがてそんな己を鼻で笑い飛ばした。
スキルアウトC「あぁ? マ、マジで言ってんのかぁ?」
スキルアウトB「ど、どうするよ……」
スキルアウトA「本当かどうかは分からねぇが、本当だったらヤベェな……」
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:57:51.70 ID:ek+Lza/yo
腹立たしいことに彼の説得に心を折られかけている根性のないチンピラ共などもはや眼中に無く。
キャーリサは張り付けたような笑みのまま猫なで声で上条に甘えるように声をかけた。
キャーリサ「おいとーま」
スキルアウト達「「「っっ!」」」
一歩前へ出たキャーリサに男達が後ずさる。
キャーリサの目があまりに笑っていないことを恐れてのことだが、もちろん彼女本人はそんなこと知る由も無く、
むしろ上条の言葉を本気しているように思えて怒りに拍車がかかった。
上条「どうしたキャーリサ。お前は早く逃げろ。もう大丈夫だからな」
安心させるように力強くそう声をかけてくる上条。
少しだけ揺らいでしまった。
しかし、忘れかけの乙女心を踏み躙られた怒りがまだ今は勝る。
キャーリサ「…………出迎えごくろー」
上条「えっ!? うぉっ!」
ポツリと呟き、キャーリサは上条の背中を思い切り蹴飛ばした。
スキルアウトC「いてっ!」
勢いよく吹っ飛んでいった上条のヒジが男の顎に突き刺さる。
グラリと揺らめいた男は何とか周りに支えられ、体勢を立て直す。
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 03:58:32.19 ID:ek+Lza/yo
スキルアウトB「ババァッ! 何しやがん」
キャーリサ「殿(しんがり)の大役、見事こなしてみせよ」
怒りを露わにした男になど目もくれず、キャーリサは踵を返して一目散に表通りへ飛び出して行った。
上条「……えええええええええええええ!!!!!!!!!!??????????」
その背中に驚きの声をあげる上条。
スキルアウトC「テメェコラ! 初めから油断させようってハラか!?」
スキルアウトB「ふざけんじゃねぇぞ!! やっちまおうぜ!!」
スキルアウトA「許せねえ! とんでもねぇ女だ!! だがまずはテメェからだ!!」
上条「ふ、不幸だぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」
激昂する男達の声と、嘆く従僕の声を遠くで聴きながら、キャーリサは満足げに笑みを浮かべて「ふん」と息を吐いた。
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 04:02:01.61 ID:ek+Lza/yo
―――学園都市 街中
上条「はぁ……はぁ……ひ、酷い目にあったぞ……」
キャーリサ「よくぞ私の元まで戻ってこれたの。結構やるなお前」
上条「慣れてますから……じゃなくて! せっかく助けに来てやったのに蹴っ飛ばして放って行くって何だよ!
せめて大人しく逃げてくれればよかったのに……」
キャーリサ「ふん、お前が悪いし」
上条「? なんで?」
キャーリサ「……期待した私が馬鹿みたいじゃないか」
上条「期待って、何を?」
キャーリサ「それは……」
上条「それは?」
キャーリサ「……知りたいの?」
上条「え?……あ、ああ」
キャーリサ「こーいうことだし……」
上条「え……っ――――!?」
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 04:02:55.58 ID:ek+Lza/yo
キャーリサ「んっ……」
上条「っっっ!!????」
キャーリサ「…………ど、どうだ……?」
上条「」
キャーリサ「そ、そう照れるな。ふふっ、私を見事守り抜いた報酬だし。心して受け取れ……」
上条「」
キャーリサ「お、おい! 固まってないで何とか言ったらどーなの……?
何か言ってくれないと……私も恥ずかしーの……」
上条「ハッ……! い、今のは何だ!? 幻想か!?
上条さんの唇にとっても柔らかくて温かい感触があったような無かったような!?」
キャーリサ「お、思い出さなくていーし!」
上条「な……なんでこんなことを……」
キャーリサ「私がお前の恋人で……年上だから……」
上条「年上……」
キャーリサ「……い、嫌だったか?」
上条「び、びっくりしました」
キャーリサ「……質問に応えて欲しーの。
私だってこれでも……初めてだし」
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 04:04:27.88 ID:ek+Lza/yo
上条「えぇっ!? 向こうじゃ挨拶みたいなもんじゃねぇのか?」
キャーリサ「例えそうだったとしても……今のは違うし……」
上条「…………い、嫌じゃないです」
キャーリサ「……そ、そーか。ならいいんだ……」
上条「あ、ああ……」
ザワザワザワザワ… ヒソヒソヒソ…
キャーリサ「あー……へ、変な雰囲気になってしまったな。衆目を集めてしまったよーだし……。
うん、晩餐の為の買い物をして帰るとしよー。
さ、さっきコンビニに生まれて初めて入ったんだ! あそこは便利だな……!」
上条「お、おう! そうだろ!? いやー便利な世の中だよなー!」
キャーリサ「むー……無理してる感が拭いきれん……帰るか」
上条「……だな……」
キャーリサ「…………」
上条「…………」
キャーリサ「…………」
上条「……な、なあキャーリサ……」
キャーリサ「……? どーしたの?」
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 04:05:33.53 ID:ek+Lza/yo
上条「……」 ギュッ
キャーリサ「……!」
上条「手、握ってもいいでしょーか……?」
キャーリサ「……訊くな馬鹿者。それに……もう握ってるではないの……」
上条「ご、ごめん」
キャーリサ「構わんし……王女の口付けに調子づいたの?
…………今は図に乗ることを許可する」
上条「……」
キャーリサ「……」
キャーリサ(これは……どーいうことなの……?
私があんな真似をしたから、こいつが若さに任せて……や、やるじゃないの)
上条「きょ、今日の晩御飯は何にしよう?」
キャーリサ「お、お前の作るものなら何でも構わないの」
上条「そっか、んじゃ昨日は肉だったし今日は魚かな」
キャーリサ「そーしよー。楽しみだし……」
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/07(月) 04:07:27.92 ID:ek+Lza/yo
キャーリサ(……こうしていると、本当の恋人になったよーな気分だし。今更何を意識しているの私は……?)
上条「鯖にするか鮭にするか、うーん……」
キャーリサ(……何なのこの気持ちは。本気になんてなるわけがないし……)
キャーリサ「とーま」
上条「ん?」
キャーリサ(……私があと10も若ければ、何かを躊躇う必要もなかったの?)
キャーリサ「何でも無い」
上条「?」
キャーリサ(お前は随分と私の心の中に簡単に入り込んでくるし……。
まったく、憎らしいぞとーま……しかし)
キャーリサ「そら行くぞ。私は鯛の煮つけとかいうのが食べてみたいの」
上条「鯛……だと。そんなもんうちの食卓の選択肢に上がったことありませんよ」
キャーリサ(従僕のくせに生意気だし……まるで、私だけが意識しているみたいじゃない……)
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:09:27.83 ID:QNkpPsC+o
5日目
―――学園都市 第七学区 街中
五和(皆さんこんにちは。
間もなく日本にも冬が訪れようという季節。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
私こと五和は今、緊急の用事で学園都市を訪れています。
何の用事か、ですか?)
五和「それは、上条さんの身に危機が迫っている予感がしたからですっ!!」 グッ!
ザワッ… ヒソヒソヒソ…
五和「あ……」 カァァ
五和(気合を入れ過ぎてしまいました……。
と、とにかく、何かとんでもないことが彼の周りで起こっているような気がしたのです。
上条さんに最後に会ったのは例の第二王女率いる騎士派によるクーデター以来。
最近彼に会っていないので、そろそろ会いたいなぁなんて思っていたのですが、何せ簡単には入れない学園都市。
今回こうして侵入出来たのもその用があったからなのです)
五和(実は今現在、英国では密やかに大きな騒動が起こっている最中です。
それは突然の第二王女の失踪。
市民の間には広まっていない情報ですが、私は女教皇様や教皇代理から話を聞かせて頂いたので知り得たことでした。
第二王女キャーリサ様の行先は、現在騎士派だけでなく清教派の皆さんも協力して探している最中で、
超音速旅客機が日本の学園都市に向けて飛び立ったという情報から、彼女の行先は概ね判明しています)
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:11:22.91 ID:QNkpPsC+o
五和(そう。
学園都市で王女様が行くところなんて、上条さんのところしか有り得ません)
五和(母親であらせられる女王陛下は、
『あのバカ娘も家出に飽きたら帰ってくるだろうからほっといていいぞ。むしろすぐ迎えに行ったらつけあがる。
国は違えど、市民が普段どんな暮らしをしているのか知るいい機会なんじゃないか?』
とおっしゃったそうで、騎士団長さんにも待機命令が出ているらしいです)
五和(そこで、私がここに来た理由について話が移ります。
ぶっちゃけた話、上条さんが第二王女と仲良くなってしまわないか、とっても不安なんですっ)
五和(女教皇様も学園都市のお知り合いの土御門さんから何やら不安を煽るようなことを言われていたようで、
もう2、3日中にはここに訪れることでしょう)
五和(その尖兵としてまず私が来ました。
実際上条さんのところにキャーリサ様がいらっしゃる確証があるわけではないので、
一先ず様子を見るために送り込まれたのです。
もちろん志願したのは私ですけど……)
五和(そんな訳で、私は今上条さんのお家に向かって歩いている真っ最中。
久しぶりに彼の顔が見られると思うと、ドキドキが止まりません。
もしキャーリサ様がいなかったら、何日か滞在させてもらえるよう頼んでみたいです)
五和「そしてそのまま結婚、なんてことに……てへへ」
五和(失礼しました。妄想が加速しすぎて急展開を迎えてしまったようです。
彼の家までまだもう少しあります。
何か菓子折りでも買っていったほうがいいですね。
あの子も喜ぶでしょうし……)
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:13:40.21 ID:QNkpPsC+o
五和「えーと……お土産さんはどこかに……」 キョロキョロ
キャーリサ「おいとーま! アレがゲームセンターとか言うやつか?
ふーん、この筐体は城で見たことあるな」
上条「城内にゲーセンあるのかよ……どんな王室だ」
キャーリサ「母上が清教派の最大主教からもらってくるの。
私はやったことないが」
上条「学園都市から送られてくるらしいとか土御門が言ってたな……」
五和「……?」
五和(何か聞き覚えのある声が聞こえた気がします。
いえいえ気の所為でしょう。確かにそろそろ放課後ですが……」
キャーリサ「とーま、これを取ってくれないか?
間抜け面が可愛いし」
上条「無茶言うなよ。上条さんクレーンゲーム苦手なんですよー」
キャーリサ「大丈夫、お前なら出来るの。もし取れたら頬にキスしてやるぞ」
上条「いや、いいです」
キャーリサ「お前! 王女の口付けだぞ! 嬉しくないの!?」
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:16:31.50 ID:QNkpPsC+o
上条「そうじゃなくて、こんなの取るのに何千円かかると思ってんだよ。
買った方が安いって」
キャーリサ「むー、そーなのか……」
五和「」
五和(女教皇様、事件です。
上条さんとキャーリサ様が、それはもう憎たらしい程に楽しそうにクレーンゲームで遊んでます。
何だか年の離れた恋人みたいです……。
もうちょっと近くまで寄ってみましょう……)
キャーリサ「では私がやるの!」 チャリーン
上条「はは、まあ2、3回試してみればいいんじゃないか?
無理だって分かるからな」
ウィーン…ポイッ
キャーリサ「おい! 取れたぞ!」
上条「嘘!?」
キャーリサ「見たかとーま? これがお前と私の生まれ持った天運の差だし」 ドヤッ
上条「(´・ω・`)な顔のぬいぐるみ抱きしめながらドヤ顔されても……っつかマジですか」
キャーリサ「ではとーま。口付けをせよ」
上条「え」
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:19:07.22 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「お前が取ったら私がお前にするという約束だったはずだ。
私が取ったのだからその逆だろー?」
上条「どっちにしろするのか……」
キャーリサ「そ、そんなに嫌か……?」
上条「い、いやそんなことはないけど……人が見てるし……」
キャーリサ「では後でも構わんし。言っておくが唇は駄目だからな。
そこはとっておきだ」
上条「分かってるって」
キャーリサ「ならいーの。あ、中にあるあの派手な箱は何なの?」
上条「プリクラだよ」
キャーリサ「ぷり……クラ? あ……あープリクラな! あれは白熱するな!」
上条「知らないならそう言えよ」
キャーリサ「お前如きに私が無知蒙昧で愚劣などーしよーもない馬鹿王女だと思われたら死にたくなるし」
上条「そこまで思わないって。でも俺達にとって普通のことでも、結構知らないことあるんだなーくらいには思うけどさ」
キャーリサ「だからこーして知ろーとしているの」
上条「別に面白いもんじゃないぞ?」
キャーリサ「そんなことは問題ではないの。何事も経験だしね」
289 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:22:23.30 ID:QNkpPsC+o
上条「そうだな。んじゃ撮ってみるか?」
キャーリサ「撮る……? あー、写真機が中にあるのか。ふむふむ」
上条「まあ上条さんもそんなに使ったことは無いですけど」
キャーリサ「よしやってみよー! しかし……」 チラッ
上条「ん?」
キャーリサ「周りにいるのは女学生ばかりだし……。私のよーな成人して10年近く経つよーな女が利用していいものなの?
筐体の装飾も品の無い派手さだし、これは世間知らずな行動ではないの?」
上条「そんなん気にしなくていいだろ。
年齢制限なんて無いって。ウチの親だって二人で撮ったのメールで送りつけてきやがったぞ。
さすがに両親のプリクラ見せられるのはきつかったけど……キャーリサなら全然大丈夫だ」
キャーリサ「……そーか。じゃーお前に任せるの」
上条「はいよ。んじゃまずこっちだ」 バサッ
キャーリサ「個室なのだな。密室に連れ込んで、ミョーなことするなよ? ふふん」
上条「しませんっ!」
キャーリサ「冗談だ。さー、やり方を教えてくれ」
上条「はいはい。と言っても俺も詳しくは……まず映りを選んで……」
キャーリサ「美白で頼むし」
上条「十分白いだろ」
290 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:24:24.32 ID:QNkpPsC+o
キャッキャッ! ワイワイッ!
五和「」
五和「」
五和「」
五和「」
五和「」
五和「ハッ! な、何が起こっていたんでしょう!?
今のは一体……? え……仲良くなりすぎてませんか……?」
五和(ま、まさか……キャーリサ様その財力に任せて上条さんを虜に……。
確かに生活に苦しい方ですし、美味しいものでも食べさせられたらコロッとなびいてしまうかも……?
私もそれを期待して毎回手料理には力を入れていたのに……。
い、いえそんな犬じゃあるまいし食べ物だけで……。
でも上条さん年上のお姉さんが好きらしいですし……。
キャーリサ様は見た目も華やかで美しい方ですから……そ、そんな……)
五和「そ、そんな訳ありません!!」
??「絶ッッッ対何かの間違いに決まってるわ!!」
五和「え……?」
??「ん……?」
五和「あ、あなた確か……」
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:26:28.08 ID:QNkpPsC+o
??「げっ、あんた先月くらいにお風呂で会った女っ!」
五和「五和です……」
御坂「御坂美琴よ……あんた、何やってんのこんなところで」
五和「御坂さんこそ……柱の陰に隠れて……」
御坂「こ、これは……外歩いてたらアイツの姿が見えたから……その……」 ゴニョゴニョ
五和「わ、私もそうです……」
御坂「と、とにかく今大事なところなんだから邪魔しないでよね!」
五和「あ、あなたこそ! ……上条さんがキャーリサ様と……」
御坂「え? あんたあの女のこと知ってんの?」
五和「あ、いえ……」
御坂「やばっ、出てきた! 隠れるわよ!」 コソッ
五和「はいっ……!」 コソッ
五和(うー……なんかストーカーみたいで気が引けます。
ごめんなさい上条さん……)
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:28:52.72 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「ふふっ……お前、なかなか大胆なことするな。ここでキスされるとは」
上条「いやキャーリサが抱き着いてくるから……」
キャーリサ「ポーズの参考画面にそー出てたではないの。
とか言って、嬉しかっただろー?」
上条「はい、嬉しかったです」
キャーリサ「よしよし、お前も分かってきたな」
上条「……じゃ、じゃあ次はこっちで落書きな」
キャーリサ「ふむ、興味深いの」
上条「上条さん絵心無いからなー……」
キャーリサ「安心しろ。美的センスの塊のような私に任せておくがいいの」
御坂「なんなのよあの女ぁ~! 急に出てきたと思ったらあいつといつの間に仲良くなってた訳!?」
五和「私も驚きです……よりにもよってどうしてあのお二人が……」
御坂「んで、あの女は誰なの?」
五和「……お、教えられません」
御坂「何でよ」
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:30:42.38 ID:QNkpPsC+o
五和「それは……色々と事情がありまして」
御坂「お願い! 絶対誰にも言わないから……!」
五和「えと……」
御坂「……駄目?」
五和「ご、ごめんなさい……」
御坂「むぅ……仕方ないわねー……。でもあれってイギリスだかどっかのお姫様に似てない?
ちょっと前もニュースになってたし」
五和「!!」 ビクッ!
御坂「……え?」
五和「……」 ソワソワ
御坂「ほ、本当に……?」
五和「……だ、誰にも言わないで下さいよ……?」
御坂「えっ、な、何で……そんなのとあいつが知り合いなの……?」
五和「まあ色々とありまして……」
御坂「……ありえないっつの……」
五和「残念ながら……ありえたんです」
御坂「あいつ……今度は皇太子にでもなるつもりなの……?
誰彼構わず助けて首突っ込むのもいい加減にしなさいよねったく!」
285 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:15:55.68 ID:YJJqrnTAO
ちょっとゲーセン行ってくる 295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:32:26.42 ID:4fZGwEjEo
騎士団は俺が抑える。 296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:37:38.27 ID:QNkpPsC+o
キャーリサなかなか面白いな。よし、もー一回撮るの!」
上条「またかよ。もういいだろ」
キャーリサ「だって見ろとーま。あそこに衣装を貸してくれる所があるし」
上条「ん? あー、そうだな」
キャーリサ「……お前の見たいやつ着てやるぞ」
上条「み、見たいやつですか……」 ゴクリ
キャーリサ「うむ。ほらあっちの女学生が着ているアレなんてどーだ?
胸元なんかヘソまで来てるぞ。私があれ着たらどーなってしまうだろーな」
上条「あ、あの犯罪的な衣装をキャーリサが……」
キャーリサ「騎士派の連中には内緒だぞ? 騎士団長が荒れ狂うし」
上条「……」
キャーリサ「さーどーする。こんなチャンスは二度と無いかもなー」
上条「……何でも着るんだな?」
キャーリサ「王女に二言は無いの。私なら何を着たって着こなしてしまうし」
上条「よ、よし。じゃあアレを……」
キャーリサ「ん? ……え、お前アレは……」
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:40:09.94 ID:QNkpPsC+o
―――
キャーリサ「よりにもよってこれを選ぶか……信じられないし……」
上条「ふっ、上条さんのささやかな仕返しですよ。
キャーリサが一番嫌がりそうなやつを選んでやった」
キャーリサ「嫌という訳ではないが……お前鬼だろー……。
泣きたくなるし……」
上条「いや、思ったより全然イケるぞ」
キャーリサ「見え透いたお世辞は止せ……私が……女学生の格好など……くっ」
上条「え、でもお前昨日は制服着てやるとか言ってただろ」
キャーリサ「そ、それはまさか本当に出てくるなんて思わなかったからだし。わ、私を何歳だと思ってるの……!」
御坂「アウト! あれはアウトよね!!!」
五和「正直イメクラにしか見えません……いえ、イメクラがどんなものかなんて知らないですよ?」
御坂「あの年でセーラー服なんて……年考えなさいよね……」
五和「でも着こなしていらっしゃいますよ……?」
御坂「外人はこれだから……。スタイル良すぎじゃない」
五和「私もちょっとは自信あったのに……」
御坂「え?」
五和「い、いえ何でも……」
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:42:15.31 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「は、早く撮ろー。拷問だし……ほら、クスクス笑われているの」
上条「んなこと無いって。可愛いと思うけどな」
キャーリサ「むー……こんな時ばかりそんなことを言うな……ほ、ほら中入るぞ……」 グィッ
上条「お、おう……」
五和「……」
御坂「……」
五和「先ほどより距離が縮まっていませんでしたか……?」
御坂「そう……ね。なんか惨めな気分になってきたわ……」
五和「確かに……虚しいですね、私達」
御坂「弱気になってどうすんのよ!」
五和「そ、そうですよね!負けちゃ駄目ですっ!」
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:43:47.42 ID:QNkpPsC+o
―――学園都市 街中
上条「あーもう暗くなってるな。早くスーパー行かないと」
キャーリサ「まったく……お前という奴は恥ずかしい目にあったし」
上条「もう一枚撮りたいって言ったのはお前だろキャーリサ」
キャーリサ「そーだけど。あんな目に合わされるとは思わなかったの。屈辱だし……」
上条「その割には笑顔だったな」
キャーリサ「カメラを向けられると勝手にそーなるように体が出来上がっているの。
王女たる者、いつどこで人に見られているやもしれんし」
上条「じゃあこの前手繋いだりしたのってヤバいんじゃないのか?」
キャーリサ「大丈夫だ、こんなところではそうそう気づかれん。それ以前に、キスもしただろー?」
上条「そ、そうでした……」
キャーリサ「お前、騎士団長にバレたら殺されるな」
上条「言わないで下さいお願いします」
キャーリサ「黙ってて欲しければもっと私に優しくするの」
上条「こんなにへりくだってるのにまだ足りねぇのか……」
キャーリサ「ふふっ、好きな相手にはいくらでも優しくされたいものよ」
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:47:11.99 ID:QNkpPsC+o
上条「好きな相手って……キャーリサは上条さんのこと好きなんですかー?」
キャーリサ「…………」
上条「え、そこ黙るのか」
キャーリサ「正直……分からないの」
上条「い、いや冗談だぞ? そんな深刻な顔しないでくれ」
キャーリサ「冗談? お前は冗談でそんなことを訊いたの?」
上条「あ、悪い……」
キャーリサ「……まーいいけど。私はお前のことは嫌いではない。それは間違いないし」
上条「そっか……ありがとな」
キャーリサ「むー、素直だな……」
上条「ぷっ、お前が冗談嫌がったんじゃねぇか」
キャーリサ「ふふっ、そーだな」
五和「……何でしょう。とても入り込めない雰囲気ですよ」
御坂「頭痛くなってきたわ……。ねぇ、あの二人ってどんな知り合いなの?」
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:49:39.88 ID:QNkpPsC+o
五和「えっと……キャーリサ様が英国でちょっとした騒動を起こされて、上条さんもそれを止めるのに協力して……」
御坂「あ、もういいわ。やっぱいつものパターンね。元々あんなに仲良かったの?」
五和「とんでもない。上条さん、キャーリサ様のお顔をぶん殴って顔面骨折寸前までいったらしいですよ」
御坂「あ、あいつって結構外道なことするのね……」
五和「不可抗力だったみたいですけど……」
御坂「ってことはもしかして、私をキズモノにした責任とれとか言われて脅されてるとか!?」
五和「まさか……キャーリサ様は王室の大切な王女様ですよ?
上条さんには失礼ですけど、一般人がとてもお近づきになれるような方ではありませんし、
賠償を要求されても交際を強制されるなんて有り得ませんよ……」
御坂「でも向こうから来るってのはあるかもしれないわよね」
五和「それは……あるかもです」
御坂「と、とにかくもう少し様子を見ましょう。あいつ鈍感だけど押しには弱そうだからコロッと靡いちゃうかも知れないし……」
五和「御坂さんも上条さんのこと好きなんですか?」
御坂「ふぇっ!? す、好きって……そ、そんなんじゃないけど……あいつが誰かにとられちゃうのはちょっと……ゴニョゴニョ」
五和「で、ですね……行きましょう」
303 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:51:59.12 ID:QNkpPsC+o
―――学園都市 スーパー
ガヤガヤガヤガヤ… ワーワー!
キャーリサ「とーま! 見てくれ! 今日は一人一パックの豆腐を手に入れたの!
私の初勝利だし!!」
上条「本当か!? すげぇなよくやったキャーリサ!! お前も立派な特売戦争の戦士だ!」
キャーリサ「うん! これが勝者の見る景色か。悪く無いし」
上条「そりゃ大げさだが、何にせよ助かったよ。今日はあっちこっちで特売やってるから、一人じゃ回り切れなかったんだ」
キャーリサ「私は役に立ったか?」
上条「ああ、ありがとうなキャーリサ!」
キャーリサ「そーか……! そーか!! 嬉しーの。とーま、もっと私を崇めろ。
私がいてよかったか?」
上条「ああ、キャーリサがいてくれてよかったよ」
キャーリサ「ふふっ……お前に迷惑ばかりかけていた気がするが、よーやく挽回できたよーだし」
上条「迷惑かけてるっつー自覚あったのか」
キャーリサ「多少はね。気を遣ってもらっていることには感謝しているの」
上条「やめてくれよ今更じゃねぇか。さ、買うもん買って帰ろう」
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:53:29.66 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「あ、あの猫の餌はいいのか? 切らしていたと思うが」
上条「忘れてた。スフィンクスの餌のことなんてよく覚えてたな」
キャーリサ「お前が学校行ってる時は猫と遊んでるし。
一向に懐かんが……」
上条「今日は餌やってみるか? ご飯くれる相手だって分かると懐くぞ」
キャーリサ「現金なものだ。でもやってみたい」
上条「インデックスがいなくてあいつも寂しがってるだろうしな」
キャーリサ「禁書目録の愛猫だったの。奴はどうしている?」
上条「小萌先生から毎日話は聞いてるよ。先生ん家の居候と仲良くなったらしい」
キャーリサ「まだ仲直りは出来ないの?」
上条「いや、さすがにもう怒ってはいないみたいだけど、まだ戻ってくるつもりは無いみたいだな」
キャーリサ「私の所為か……」
上条「キャーリサというより上条さんだと思います」
キャーリサ「禁書目録には悪いことをしたの。お前を独り占めにしている」
上条「いやまあ……そう言っちまうとなぁ……」
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:56:41.18 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「安心しろ。私も適当なところで切り上げて帰るつもりだし。
すまないがもー少しだけ置いてくれ」
上条「好きなだけいろよ。インデックスだってキャーリサがいようがいまいが、戻りたくなったら戻ってくるさ」
キャーリサ「そーか……」
上条「上条さんも、もうキャーリサがいる生活に慣れ始めてるからな」
キャーリサ「贅沢だな。王女と生活を共に出来るなど、この上無い誉だし」
上条「はは、お前が帰っちまったらそんな台詞も聞けなくなるんだな」
キャーリサ「寂しーのか? 殊勝なことを言う」
上条「少しな」
キャーリサ「……そーか」
五和「また良い雰囲気になってますよ」
御坂「何なのよあいつらはー! 人目もはばからずいちゃいちゃと……」
五和「イチャイチャという訳ではないですけど、見てるの辛いですよね」
御坂「もう帰ろうかな……」
五和「私も……」
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 00:58:37.27 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「とーま、私今日はワインが飲みたいし、持ってくるからそこでちょっと待ってろ!」
上条「おー」
御坂「げっこっち来る!」
五和「あっ……」 バッタリ
キャーリサ「んっ……?」 バッタリ
御坂「げっ……」
五和「きゃ、キャーリサ様……」
キャーリサ「んー? お前、どこかで見たことあるな。そっちのはミサカミコトだ」
御坂「よく覚えてるわね」
キャーリサ「苦労しているよーだからな」
御坂「?」
キャーリサ「あー、お前も思い出したぞ、天草式の女だ」
五和「ど、どうも……」
キャーリサ「お前達、こんなところで何をしているの?」
五和「い、いえその……」
キャーリサ「もしかしてとーまに用か? なら今呼んできてやる」
五和「ち、違うんです!」
キャーリサ「? では私なの? もしや私を連れ戻しに……」
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:01:25.25 ID:QNkpPsC+o
御坂「じゃなくて! あんたとあいつは恋人だって言ってたけど、本当なの!?」
五和「こ、恋人!? それってどういう……」
御坂「あんたは黙ってて!」
五和「は、はい……」
キャーリサ「……ほほー」
御坂「な、何よ……その思わせぶりな笑みは」
キャーリサ「私ととーまの関係が気になって仕方なく、それでわざわざ追いかけてきて監視していたというわけか?」
御坂「!」 ギクッ
キャーリサ「図星のよーだし。安心せよ、私ととーまはまだお前達の案じているような関係には至ってないの」
御坂「そ、そう……」 ホッ
五和「ま、待って下さい。今、『まだ』っておっしゃいましたね……」
キャーリサ「耳が良いな。申し訳ないが、お前達にとーまは渡さないし」
御坂「!」
五和「や、やっぱりキャーリサ様は上条さんのこと……」
キャーリサ「それは分からん」
御坂「わからんってどういうことよ! 自分のことでしょうが!」
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:04:19.26 ID:QNkpPsC+o
キャーリサ「そーだが、何ぶん初めてのことでな、折り合いも上手くつけられないの」
御坂「何よそれ」
キャーリサ「が、お前達には渡したくない。とーまは……私のものだし」
五和「このまま見てろって言うんですか……?」
キャーリサ「なあ頼む……奴を譲ってくれないか……?」 ウルッ
御坂「なっ!」
五和「そ、そんなこと言われても困りますっ……」
キャーリサ「なんて言うと思ったか?」
御坂「っ!」
五和「……」
キャーリサ「『恋』とは戦争らしーの。お前達の好きにしろ。
だが、この『軍事』のキャーリサ。本気で行かせてもらうし。
こと戦争に於いて、二度と敗北を喫する訳にはいかないしね」
御坂「ライバル宣言って訳ね……」
五和「望むところです……」
キャーリサ「蹂躙してやるし。かかって来い、小娘共」
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:07:59.58 ID:QNkpPsC+o
タッタッタッ…
上条「おーいキャーリサまだかー? ワインこっちあったぞー。
って何やってんだよそんなとこで……あれ、御坂に、五和!?」
御坂「あ……」
五和「上条さん……」
キャーリサ「待たせてすまないの。こいつらが私と話したいと言うものだから」
上条「ふーん……。五和はどうしたんだ? 学園都市に何か用か?」
五和「い、いえキャーリサ様の捜索が始まっているので、学園都市に調査に来たんです」
キャーリサ「私を連れ戻しに誰か来るの?」
五和「それは……分かりませんけど。女教皇様は来られるかも」
キャーリサ「聖人か……まずいな、力づくで連れ帰られるのはかなわん」
上条「まあ俺は迷惑してないから、神裂にも無理しなくていいぞって言っといてくれ。
あ、でも王女様が外にいるのはまずいのか……?」
御坂「そりゃまずいでしょ」
上条「って言われてるけど……」
キャーリサ「お前が私をかくまえばいい話だし。
とーま、お前から離れたくないの」 ダキッ
上条「!!!!」
御坂「なっ!」
五和「ちょっ!」
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:09:32.36 ID:QNkpPsC+o
上条「は、ははは……五和、くれぐれも騎士団長には内緒にしといてくれな。
上条さん寿命もゼロにされちゃうから」
五和「……」
上条「五和?」
五和「はっ、はい! わかりました……」
上条「じゃな二人とも。御坂も道草食ってないで帰れよ」
御坂「道草ってねぇ……子供か私は!」
キャーリサ「さーとーま。子供のことなど放っておいて、帰って大人の時間を堪能しよーじゃないの」
上条「上条さんお酒飲めませんよ」
キャーリサ「そのほーが都合が良いし。ではな、怪しい者に声をかけられても付いて行っては駄目よ、少女達。
行こーとーま。腹が減ったし」
上条「お、おう……」
御坂「くっ! あのオバサンがぁ……!」
五和「許せないですね……」 ゴゴゴゴゴゴ…
御坂「……ビクッ」
五和「上条さんをこのまま渡すわけにはいきません! 大丈夫です、私達には若さがありますからっ!」
御坂「そ、そうよね! あいつだって年が近い方がいいに決まってるわ!
ったくあのオバサン何なのよ、『分からん』とか言ってたくせにあいつのこと好きなんじゃない。
それとも私達への当てつけかしら」
312 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:10:51.75 ID:QNkpPsC+o
五和「あ……」
御坂「ん? 何?」
五和「い、いえ……」
五和(キャーリサ様、『恋』だとおっしゃってました……本当は、とっくに自覚しているんじゃないですか?
けど、それならわざわざ私達を焚きつけるようなことを言う理由が分からない……。
『軍事』を司るキャーリサ様はこれを戦争だと言いました。
だったら、真正面から正々堂々なんて正攻法を使われるとは思えないです。
勝利を確信してるから……? それとも別に理由があるんでしょうか……?)
御坂「あ、ヤバ、門限過ぎてる。黒子に電話しないと……。
私帰るね、あんたは?」
五和「あ、私はホテルをとってますから」
御坂「そ。んじゃね」
五和「はい。お気をつけて」
スタスタスタ…
五和(……私も宿に戻って女教皇様に報告をしないと)
五和「――――!!!??」 バッ
五和(い、今一瞬……尋常じゃない魔術の気配を感じました……。
キャーリサ様……? それとも別の誰かがこの学園都市に……)
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:12:37.29 ID:QNkpPsC+o
今日はこんなもんで。
大キャーリサ王女が上条さんを欲しておられるようです。
次もまた数日中に。
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:14:18.97 ID:6GiWnV8+0
乙なんだよ!314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 01:13:34.81 ID:2z7kENzh0
おのれ魔術師!ババアの恋の邪魔はさせんぜよ! 327 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 04:25:39.51 ID:zdiJhsTAO
一目拝見した時からキャーリサ様のオパーイに夢中でした! 334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 11:57:42.33 ID:2kn6FiBno
キャーリサに制服なんてどれだけ俺得スレだよ
やべぇよ。誰か俺を縄で縛ってくれ
じゃないと全裸で街の中走り出しそうだよ 332 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 09:44:05.52 ID:Qj+8wtFeo
それキャーリサじゃなくてキャサリンじゃ… 331 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/09(水) 09:29:16.49 ID:FtjPAAa9o
なに言ってんだお前ら
キャーリサなら俺の横で寝てるぞ 363 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:17:53.02 ID:ksmiMOd0o
おかしいな……書いてる間にキャーリサに情が移ったか何か知らんけど可愛く見えてきたし。
こんばんは。
というわけで今日もお付き合いよろしくお願いしますね。
364 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:22:26.92 ID:ksmiMOd0o
―――学園都市 上条の部屋 脱衣所
キャーリサ「ふぅ……」
キャーリサは浴室前の脱衣所で、一糸纏わぬ姿で鏡を覗き込んでいた。
ゆったりと風呂にでも浸かって今日の疲れを落とそうと考えていた矢先、キャーリサは先ほどのスーパーでの一件を思い出してしまったのだ。
キャーリサ(やれやれ……大人げなくあの娘たちを挑発してしまったの)
上条当麻に思いを寄せる二人の少女。
彼女らに向けてキャーリサは高らかに宣戦布告をした。
自らの胸中すらロクに理解出来ぬままにだ。
キャーリサ(ムキになってしまうとはな……私もいよいよ後戻りできなくなってきたし)
理解出来ない。いや、それはきっと嘘だと自覚していた。
城を飛び出して、迷うことなく彼の元へ向かったその時からきっと兆候はあったのだ。
キャーリサは鏡の中の自らの身体を眺める。
大きく膨らんだ胸、細く引き締まりくびれた腰。形の良いお尻と、スラリと長い脚がそこにある。
だがキャーリサは、生まれて初めて誇示すべき己の身体を憎らしく思った。
キャーリサ(……この体が恨めしーぞとーま。
ハイティーンであるあの娘達に比べて、やはり年齢を感じるの。
まだまだいけると思っていたが、10代の子供と比較すると勝ち目は薄いか……)
365 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:25:12.01 ID:ksmiMOd0o
肌の張りやツヤはどうしても10代である彼女達には劣って見える。
普段からしているように掌で胸を手繰り寄せ、押し上げてみるも、重力の残酷さをまざまざと見せつけられる結果に終わるだけだった。
深く溜息をつく。
常に自身に満ち溢れたキャーリサの表情が、わずかな陰りを見せた。
キャーリサ(ここ3日ほど、同じことを考えているな。
とーま……あと10年早く会いたかった。そーすれば、英国随一と詠われる私の美貌でお前を虜にしてやったのに)
同じ土俵で勝負に出れば、自分があの少女達に勝てぬことは十分に理解出来ていた。
それでも、彼を手放したくはなかった。
それはキャーリサにとっての意地だった。
もう少しで手が届きそうなものを、横からかすめ取られるような真似はプライドに懸けて許せない。
上条に対する想いよりも、己の矜持に従うことを優先しているという事実が、キャーリサを自己嫌悪に陥らせていく。
もっと真っ直ぐに何もかもをかなぐり捨てるように恋に溺れたいのに。
そうするには彼女はあまりに年を重ねすぎた。
そんな恋愛を経験することなく大人になってしまったことが、彼女の身動きを封じていたのだった。
キャーリサ(臆病者め。勇敢とは程遠いぞお前は……所詮私も、ヴィリアンと何も変わらぬ絵本の中のお姫様という訳か?
いや、或いはそれ以下だ。私は……何も結果を残していないし)
鏡の中の己に悪態をつくキャーリサ。
攻撃を好む王女は、彼への想いが積もる程に、前には進めなくなっていることに気づかされた。
その時。
上条「~♪」
ガラリと、浴室の引き戸が勢いよく開けられそこから上条が姿を現した。
キャーリサ「キャァッ!!?」
366 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:27:03.64 ID:ksmiMOd0o
彼女自身でも驚くほどに甲高い嬌声があがった。
こんな声を出すことなど、ここに来た当初なら絶対に有り得なかったというのに。
上条「うぉっ!! ご、ごめんキャーリサ!! 風呂入ったと思ってた!」
焦り、慌てて扉を閉める上条。
キャーリサ「な、何の用だ! 私の下着でも漁りに来たの!?」
キャーリサは床に落としていた服を拾い上げて体を隠し、扉の向こうに向けて問いを投げかける。
上条「違いますっ! バスタオル持って来たんだよ!」
わずかに開けられた扉の隙間から、先程まで干してあった真っ白いタオルが投げ入れられた。
キャーリサ「そ、そーか……ありがとう」
上条「あ、ああ……」
それを拾い上げ、礼を告げると、扉の向こうからぎこちない声が聞こえた。
顔を見ずとも照れていることが丸わかりだった。
キャーリサ「……とーま」
そんな彼の態度が我慢ならぬほどにむず痒く、愛らしく思えたキャーリサは、意を決したように唇を一度噛みしめると扉に飛びつくようにしてそれを開いた。
上条「うわぁっっ!!!!」
367 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:28:58.77 ID:ksmiMOd0o
裸のままの彼女の姿を見て、上条は飛び上がって驚愕する。
そんな状態で出てくるなど、彼は夢にも思わなかったのだ。
キャーリサ「……化け物に出くわしたような反応は止せ……正直凹むし」
少しくらいは照れてほしいが、必死に目を逸らされるのも悲しい複雑な乙女心。
30を目前にした女が乙女などと言うと笑われると思いながらも、キャーリサは正真正銘の乙女なのだからいいだろうと自らに言い聞かせた。
上条「そ、そんなつもりじゃないですよ……? 上条さん耐性が無いもので……」
顔を明後日の方向に向けながら、ブツブツと弁解をする上条。
その言葉を遮るように、キャーリサは震える声で言葉を紡いだ。
キャーリサ「こ、こっちを見ろとーま……」
キャーリサのその言葉に、上条の肩が跳ね上がる。
上条「ええ? だ、だってキャーリサ今裸なんじゃ……」
耳まで赤くしながらチラチラと彼女の方に視線を送っている。
キャーリサ「構わないの……見て、欲しいし」
キャーリサにとっては一世一代の告白だった。
あれこれ悩むのは好きでは無いが、意外と繊細で生真面目なキャーリサはそれでも悩んでしまう性分だった。
それを自覚し、克服したいと考えていたキャーリサにとっては、さほど不自然な行動でも無い。
悩むよりも、本人に訊いた方が速い。
そんな理由で彼女にとっては十分だった。
368 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:30:51.41 ID:ksmiMOd0o
上条「え……?」
キャーリサ「わ、私はお前の目にどー映るの!?」
ましてや日に日に想いを積み重ねる相手。
恥ずかしくはあっても、嫌であろうはずが無かった。
そして思い切って尋ねる。
上条「あ、あの……?」
キャーリサ「正直に答えよ……。私は……その……そそるか?」
上手く言葉に表せなかったが、結局はそういうことなのだ。
上条当麻という一人の男にとって、キャーリサという女に魅力を感じることが出来るのか?
彼女が知りたいのはただその一点だった。
上条「は?」
キャーリサ「わ、私を抱きたいかと聞いてるの! 速やかに答えよとーま!」
呆ける彼に詰め寄る。
胸も、二の腕も、お尻も、太股も、全てを曝け出してキャーリサは答えを問う。
彼女が求めていたのは、そうして得ることの出来る希望では無かったのかもしれないが。
上条「は、はい……とっても魅力的だと上条さんは思いますが……」
キャーリサ「ほ、本当だな……?」
その答えを聴いて。キャーリサは胸を撫で下ろすと同時に言い知れぬ不安も感じていた。
369 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:32:32.91 ID:ksmiMOd0o
上条「当たり前だろ……何言ってんだよ……」
もやもやと胸に立ち込める黒い暗雲。
その意味を彼女は理解していたが、上手く言い表すことは出来なかった。
キャーリサ「ん、悪かった……閉めていーぞ」
彼が女性として意識してくれることは嬉しかった。
上条「あ、ああ……新手の生殺しか……?」
しかし。
キャーリサ「そーだ」
冗談めかして応えるキャーリサの胸中はただただ複雑だった。
上条「ひでぇ! さっさと風呂入れよ、風邪ひくぞ」
キャーリサ「ふふっ、覗くなよ」
上条「覗きませんっ!」
毎日のように繰り返す軽いやりとりで、和やかに扉を閉める。
キャーリサ「…………」
そして彼の顔が見えなくなった瞬間、キャーリサの表情に影が落ちる。
キャーリサ(……参るし。何を聞いているの私は……。勝ち目が無いと分かっていれば、撤退も出来るというのに……)
370 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:37:04.19 ID:ksmiMOd0o
いっそ興味の対象ですら無ければ、この共同生活にもさっさと見切りをつけることも出来たかもしれない。
あの少女達と、年甲斐なく張り合う必要も無くなったのかもしれない。
キャーリサ(お前がわずかな勝算をチラつかせるから……私はお前を追ってしまうし)
しかし。
そうはならなかった。
彼がそう応えるしか無かったとしても、その状況を作り上げたのは彼女自身。
キャーリサ(駄目だ、お前と日々を共にするほどに、本気になっていくの)
結局、彼女は上条に想われたくて。
キャーリサ自身だけが彼を意識しているのが辛くて、明確な彼との合意が欲しかった。
一人の少年と、女が、一つ屋根の下で暮らしているのだという事実を確かめ合いたかったのだ。
キャーリサ(とーま……本気にしていいの? )
キャーリサは閉じた扉の向こうに問いかける。
締め付けるように彼女を苛む原因不明の胸の痛みの理由が分かった今、彼女は己の持ち得る全てを賭して戦いに臨まねばならないことを理解したのだった。
キャーリサ(……では征くとするの。弱気はここまでだし。
例えこの先に待っているものが何であろーとも、これがただひと時の幻想であろーとも、せめてお前に抱いた感情に誠実でいたいの。
これはあの娘達と私の戦いではない。
お前と私の戦いだ、とーま
本気にさせたのはお前だし……後悔するなよ……)
371 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:38:11.80 ID:ksmiMOd0o
―――学園都市 上条の部屋
上条「よーし、そろそろ寝るぞー」
キャーリサ「お、おー……」 フルフル
上条「あん? どうしたキャーリサ?」
キャーリサ「み、見てくれとーま。スフィンクスが……私の膝で……」
上条「あ、寝ちまったか。いいよ、そのままじゃ立ち上がれないだろ。起こしてくれ」
キャーリサ「可哀想ではないの。それにこれは……か、かわいーなぁ……」 ホゥ…
上条「キャーリサって猫好きなんだ。ライオンとか虎とか好きそうだけど」
キャーリサ「ネコ科でもえらい違いだな。これは誰が見たって可愛いだろー」
スフィンクス「……ナー」 ピョコンッ
キャーリサ「ほら、お前が話しかけるから起きてしまったじゃない」
上条「はは、悪い悪い。でもスフィンクス、キャーリサが餌くれると分かった途端コロッと懐いたな。
現金な奴だ」
キャーリサ「餌に釣られて動くとは、傭兵のよーだな」
372 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:39:54.66 ID:ksmiMOd0o
上条「おい、一瞬アックアが猫耳着けてるの想像しちまっただろ」
キャーリサ「そーいえば奴は傭兵だったな。それこそ猫ではなく獅子の類だが」
上条「あいつがヴィリアンにプロポーズしたって本当か?」
キャーリサ「それは騎士団長のやつが誇張して勝手に言ったことだし。
ヴィリアンは頭がお花畑だから本気にしてるがな」
上条「おいおい、まずいんじゃないですかそれは。アックアがたまたま立ち寄ったりしたら……」
キャーリサ「どーだろーな。ウィリアムは断るだろーか」
上条「……無言で困ってるアックアが想像つくな」
キャーリサ「……ウィリアムがお前の義理の弟か」
上条「?」
キャーリサ「お前が私の伴侶となれば……」
上条「!?」
キャーリサ「……なんてな」
上条「か、上条さんはまだ高校生ですのことよ! 結婚できません!!」
373 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:42:33.47 ID:ksmiMOd0o
キャーリサ「卒業後なら構わんということか?」
上条「い、いやそーいうのは……お互いのことをもっとよく知ってからですね……」
キャーリサ「おー、何が知りたい。答えてやるし」
上条「え、えーっと……そ、それよりアックアが義弟って……」
キャーリサ「意外と仲良くやれるかも知れないし。奴は案外お前のことは嫌いではないと思うしね」
上条「仲良くって……」
アックア『兄者、トレーニングに付き合うのである』
アックア『兄者、共に汗を流すのは心地よいものであるな』
アックア『兄者、サウナに行くのである』
アックア『兄者、ここの筋肉を触ってみるといいのである。どうであるか?』
アックア『兄者、ウィリアムと……いや、ウィルと、呼んでほしいのである……』
アックア『兄者……今日は一緒に寝ても』
上条「ぉおおおおおおお!!!!!!!! らめぇえええええええええ!!!!!!!!!!!」
キャーリサ「ど、どーした」
上条「おぞましいものを想像してしまった……おぉ……それはいかん、いかんですよー……」
374 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:43:42.01 ID:ksmiMOd0o
キャーリサ「ではもっと建設的なことを考えると良いの」
上条「建設的? 何だよ」
キャーリサ「例えば……わ、私との新婚生活などどう?」
上条「キャーリサと……新婚生活……ゴクリ」
キャーリサ『とーま、起きよ、食事の用意をせよ』
キャーリサ『とーま、美味いし。よく出来たな、ほめてやろーよしよし』
キャーリサ『とーま、行ってくるがいいの。お出かけのキスでもしてやろーか?』
キャーリサ『とーま、あの店は何なの? おー! 行ってみたいし! 着いてこい!』
キャーリサ『とーま、今日の特売は牛乳だぞ。確保出来たし! この私を崇めろ!』
キャーリサ『とーま、風呂にするの。ふふっ、覗くなよ?』
キャーリサ『とーま、そろそろ寝るとしよー、こっちへ来い』
上条「あれ、今と大して変わらなくないですか?」
キャーリサ「なっ!」
上条「ん?」
キャーリサ「そ、そーか……私達は既に夫婦と言っていいのか……」
375 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:45:50.53 ID:ksmiMOd0o
上条「いやそれはどうだろう」
キャーリサ「じゃなくてもっとあるだろー。夫婦だぞ? 想像の中でなら私に何したっていいんだし」
上条「な、何しても……ゴクリ」
キャーリサ『とーま……この偉大なる第二王女に永久の愛を誓え……』
キャーリサ『とーま……我らもそろそろ跡継ぎを作るべき時だと思わない?』
キャーリサ『とーま……ここまでしているの……わかるな……?』
キャーリサ『とーま……初めてだし、優しく』
上条「ハッ! な、何でもないですっ!」
キャーリサ「?」
上条(アックアだ……こういうときはアックアを思い浮かべるんだ……鎮まれ俺の幻想殺しっっ!)
キャーリサ「とーま……」
上条「っ!」
上条(キャーリサがいつの間にかこんな近くに……さっき変なこと想像しちまったからな。
妙に意識してしまうぞ……)
キャーリサ「今日はもー寝るぞ。こっちへ来るの」
376 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:47:39.50 ID:ksmiMOd0o
上条「あ、ああ……」
キャーリサ「ふふっ、どーしても我慢できなくなったら胸くらい触らせてやるぞ?」
上条「えっ!?」
キャーリサ「期待してるし、とーま」
上条「……ゴクリ」
上条(ここ2日くらいは大人しかったキャーリサが今日になって積極的になった……。
上条さん誘われてるのかな……?)
キャーリサ「すっかりこのベッドにも慣れたな。そら、電気を消してくれ」
上条「あ、ああ……わかった」
カチッ モゾモゾ…
上条(いやいや……これこそ見え透いた罠だろ。
胸なんか触ろうもんなら上条さんの指全部無くなっちゃいます。
そろそろ学習しないとな……)
上条(でも今日は一段と胸が強調されてたな……。あんなパジャマも買ってたのか……。
あの柔らかそうな膨らみは上条さんには刺激が強すぎて悶々とします)
上条(いかんいかん、アックアが一人、アックアが二人、アックアが三人……冷静になれ……)
上条(あー!!! 寝れねぇえええ!!!!!!)
377 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:49:12.80 ID:ksmiMOd0o
―――
キャーリサ(ちょっと誘い方が露骨すぎたか……?)
キャーリサ(いや、こいつかなり鈍感だし。これくらいで丁度いいはずなの)
キャーリサ(私は構わないのとーま。手を出して来い。
さすがにヴァージンをくれてやるにはまだ少々早い気もするが、胸や尻くらいなら触ってもいいし。
さー、愛と欲望のままに突っ走るがいい。ここは年上の私がリードしてやるし)
上条「……」 ソワソワ
キャーリサ(悶々としてるのは伝わってくるし……。
とーま、そんなに我慢しなくてもいいんだぞ)
上条「……」 モゾモゾ
キャーリサ(なかなか辛抱強い奴だし……。どれ、ちょっとすり寄ってやろー) ピトッ
上条「!」
キャーリサ(ふふっ、動揺してるの……辛抱たまらんだろー? 来い、とーま)
上条「スー……ハー……」
キャーリサ(くっ……深呼吸とは……冷静さを取り戻そうと必死のよーだし。
ならばその鼻と口に私の髪を押し当てるまでよ) グッ
上条「!」
キャーリサ(どーだ。良い匂いがするか? こんなこともあろーかとシャンプーもトリートメントも念入りにしてあるし。
ムラッと来るだろー? 今なら許してやるぞ)
379 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:50:31.26 ID:ksmiMOd0o
上条「クンカクンカ……フゥ」
キャーリサ(逆に落ち着かせてしまったか……? 汗の匂いとかのほうが興奮したんだろーか?
手ごわい奴め……)
上条「…………」
キャーリサ「……?」
キャーリサ(反応が……ま、まさかこいつ……)
上条「スピー……」 zzz…
キャーリサ(寝やがっただと……お、おい……私の高ぶった気持ちはどーなる……)
上条「スピー……」 zzz…
キャーリサ(くっ……可愛いし……スフィンクスに負けずとも劣らないの……。
あーっもうっ! 私が我慢できないのっ!) ピトッ ギュッ!
上条「コォォオ……」 zzz…
キャーリサ(あー……落ち着くし……。だが許さんぞとーま……私のせっかくの好意をお前……)
上条「……ムニャムニャ」 zzz…
キャーリサ(……まーいい。説教は明日だ。ふふっ、先に寝た罰だし。勝手に腕枕にしてやるの。
腕の感覚が無くなるまで使ってやるから覚悟するがいい)
上条「ウーン……」 zzz…
キャーリサ(おやすみ、とーま)
380 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:52:28.09 ID:ksmiMOd0o
6日目
―――学園都市 上条の部屋
チュンチュンチュン…
キャーリサ「起きよとーま。お前は私に何度起こされれば気が済むと言うの?
いー加減にしないと王女の逆鱗に触れるぞ」 ギュムッ
上条「うむっ!! な、なんだっ……!?」
キャーリサ「お前が何度言っても聞かないからな、オシオキだし。
あ、もしかしてお前顔踏まれて興奮するタイプの奴か? それは困ったの」
上条「あ、あの……」
キャーリサ「ん?」
上条「パ、パンツが見えております王女様……」
キャーリサ「見せてるんだし馬鹿者。朝なんだからどーせ勃ってるだろー?
そっちも踏んでやろーか」
上条「上条さんを開発しようとするのやめてもらえませんか」
キャーリサ「ふん、では支度を整えて朝食にせよ」
上条「? な、なんか怒ってるか?」
キャーリサ「……怒ってなどいない!!」
381 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:53:46.39 ID:ksmiMOd0o
上条「えー……。でも何か雰囲気が棘棘し……」
キャーリサ「うるさいっ! お前が悪いんだし!」
上条「上条さんてばまた何かしちゃったんでしょーか……?」
キャーリサ「何もしなかったのが悪いの」
上条「は?」
キャーリサ「ふんっ、遅刻するし。早くせよとーま」
上条「お、おう……?」
キャーリサ「今日は私も出かけるの」
上条「おいおい、もう学校は……」
キャーリサ「誰がお前のいる学校など行ってやるものか。
そーではない。帰国するにあたって、土産でも物色しよーかと思ってるの」
上条「あ、もう帰るのか?」
キャーリサ「お前次第だし」
上条「俺? どういうことだよ?」
キャーリサ「とーま、共に英国へ渡るの。お前を……母上に紹介したいし」
382 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:54:45.69 ID:ksmiMOd0o
上条「女王様に? いや知ってるし、お前の姉ちゃんも妹も」
キャーリサ「そーではなくて……その、そーいう意味だ」
上条「そういうって何だよ」
キャーリサ「だぁ! まどろっこしい! お前それ本気で言ってるならビョーキだし!」
上条「人を病人扱いすんなよ。ちゃんと話してくんなきゃ分からねぇっての」
キャーリサ「だ、だからっ!! 私と―――」
ピンポーンッ…
キャーリサ「っ……」
上条「誰か来たみたいだな。はーい今開けますよーっと」
スタスタスタ…ガチャッ
御坂「おっはよー♪ 一緒に学校行かなーい!?」
五和「おはようございます上条さんっ! 朝ごはんいかがですか!?」
上条「うわっ! な、なんだ二人とも!」
ダッダッダッダッ!
キャーリサ「待つがいい! お前達、何をしているの!」
383 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 00:59:02.31 ID:ksmiMOd0o
御坂「あらオバサンいたのー? こいつ今から学校だから迎えに来たのよ文句ある!?」
五和「上条さんこれから学校なのに家事するの大変ですよね! あと私がやっておきますから!
夕飯も作って待ってますし! お昼のお弁当もこの通りですっ!」 ズィッ!
上条「お、落ちつけ二人とも」
キャーリサ「ふんっ。来い、とーま。食事を続けるの」 グイッ
上条「おわっ! 引っ張るな! 首締まるだろ!」
御坂「ちょっ、まだ話終わってないわよ!」
五和「上条さんを独り占めしないでくださいっ」
キャーリサ「キャーキャー五月蠅い小娘達だし。朝くらい静かに出来ないの?
見苦しーの」
御坂「なっ……よ、余裕ですって……?」
五和「完全に馬鹿にされてますね……」
キャーリサ「馬鹿者。功を急ぎ過ぎだ。『私達の』生活に土足で踏み込むな、鬱陶しーな。
とーま、本当に時間が無くなるの、私も手伝うから速やかに朝食を準備するぞ」
上条「何の話なんだか……。まぁとりあえずそれが先決だよな。
なぁ、お前らも食ってくかー?」
384 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:01:33.79 ID:ksmiMOd0o
キャーリサ「っ!!」
御坂「ふっ……墓穴掘ったわね。うん、食べる食べるー!」
五和「チャンスですねっ……いただきます上条さんっ!」
上条「いいよなキャーリサ?」
キャーリサ「……構わないの。子供の食事の用意くらい、つ、妻の役目だし」
上条「えーと卵卵っと……」
キャーリサ「……むー……」
御坂「プッ……ねぇ、私も手伝おっかー?」
五和「わ、私も」
上条「いやこのキッチンそんな広くねぇし、座って待ってろよ、お客だろ」
御坂「う、うん……チッ、こんなこともあろうかと可愛いエプロン持ってきてたのに」
五和「上条さんとドキドキ密着お料理が……」
キャーリサ「ふっ……」
御坂「くっ!」
385 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:02:30.97 ID:ksmiMOd0o
キャーリサ「とーまとーま」
上条「ん?」
キャーリサ「指を切ってしまったの。舐めろ」
上条「ええっ!?」
御坂「!」 ガタッ!
五和「!」 ガタッ!
キャーリサ「痛くてかなわんし。お前の治療が必要なの」
上条「い、いや自分で……」
キャーリサ「お前に舐めて欲しーの……駄目か?」
上条「だ、駄目じゃないですっ!」
キャーリサ「いー子だなお前は。そら」
上条「はい、失礼します……」 ドキドキ…
チュパ… チュプ… ペロペロ
キャーリサ「ぁっ……気持ちいーぞ、んっ……とーまぁ……」
387 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:04:40.14 ID:ksmiMOd0o
上条「か、上条さんは何をさせられているんだ……」 ペロペロ
五和「あ……あわわ……」 ドキドキ…
御坂「そ……そこまでやるの……? この女馬鹿じゃないの……」
上条「こ、これでよろしいでしょうか……?」
キャーリサ「……ん、ごくろー。……パクッ」
上条「っ!? そこはい、今上条さんが舐めてたところですよー……?」
五和「!」 ガタッ!
御坂「!」 ガタッ!
キャーリサ「チュパッ……ふふっ、お前の味がするの」
上条「お、おお……」 ドキドキドキドキドキ…
キャーリサ「言っている間に朝食が出来たし。とーま、ドキッとしたか?」
上条「そ、そりゃもう……」
キャーリサ「そーか。ならいいし」
五和「ど、どういうことですか……私達いること忘れられてませんか……?」
御坂「あの年増ァ……あ、諦めないわよ……!」
388 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:06:17.39 ID:ksmiMOd0o
キャーリサ「そら小娘共。食事だ、心して食べよ」
御坂「くっ……」
五和「御坂さん……ここは私達の敗けのようです……次のチャンスを待ちましょう」
御坂「そ、そうね」
上条「二人ともいつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
五和「お気になさらず。共同戦線のようなものです」
御坂「共通の敵がいるからね」
上条「?」
キャーリサ「気にするなとーま。子供の戯言だし」
御坂「うー……っ」
五和「この余裕……年の功ですか……」
キャーリサ「ふふん、私と張り合おうなどと、10年早いの」
389 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:08:33.64 ID:ksmiMOd0o
―――学園都市 大通り
上条「やべー……遅刻だー……」
御坂「わ、私だってそうよ! あんたの所為だからね!」
上条「なんでだよ」
五和「上条さん、バイクでも借りてお送りすればよかったですね」
上条「いやそこまでしなくても……」
御坂「あ、ね、ねぇ……」
上条「あん? 何だよ御坂」
御坂「明日の休みって暇? もしよかったら私と……」
五和「なっ!」
キャーリサ「すまないが、明日は暇ではないし。
私と楽しく遊びに出かける予定があるの」
上条「え、そうだっけ?」
キャーリサ「休みの日くらい一日中一緒にいて欲しーし」
御坂「ちょっと! あんたは引っ込んでなさいよ!」
キャーリサ「うるさいぞ小娘。中学生の考えるデートなど、どーせジャンクフードでも貪ってあても無く街を彷徨うだけだろー? くだらん」
391 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:12:02.55 ID:ksmiMOd0o
御坂「な、何よ、それの何がいけないの! それじゃあんたには何が出来るってのよ」
キャーリサ「そ、それは……」
御坂「ははぁん、もしかして何も思いつかないとかー?
そーいや初めてがどうとか昨日言ってたわよねぇ? その年でデートもしたことないなんて……
ぷぷっ、人の事子ども扱いして恥ずかしくないのかしら?」
キャーリサ「そ、そーいうお前はしたことあるのか!?」
御坂「えっ!? い、いや……も、もちろんあるわよ!!」
キャーリサ「なん……だと……?」
御坂「み、見なさいよこのストラップ」
キャーリサ「何だそれは……まさか!?」
御坂「そーよ。あ、あいつとペア契約したカップル限定のゲコ太ストラップなんだからね!」
キャーリサ「そ……んな……私だってまだペアの物など持っていないのに……」
御坂「分かった? あ、あいつと私はそれくらい仲が良いのよ。ちょっと一緒に住んでるくらいで彼女面しないでよね……!」
キャーリサ「た、確かにペアの品物は持っていないが、別に私は行く場所が思いつかないわけではないし……!
お前達に着いてこられてはかなわんから、内緒にしてるだけだし!」
御坂「ほほー? 怪しいわねー?」
キャーリサ「黙れ小娘。遅刻するのではないの? 散れ!」
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:13:00.48 ID:ksmiMOd0o
御坂「っとそうだったわ。……あれ、五和は?」
五和「上条さん、これ、先ほど渡しそびれたお弁当です。よかったら食べてください」
上条「助かるよ五和」
五和「い、いえ……あ、キャーリサ様たちお話が盛り上がってるようなので学校まで私がお送りしますね。行きましょう」
上条「ん? そうだな、時間もないし……」
御坂「待ちなさいっ! 抜け駆けしてんじゃないわよ!」
キャーリサ「そーはさせないし天草式!!」
五和「ちっ……」
上条「えーっと……もういいか?」
キャーリサ「あ、わ、悪かったの。急げとーま。……それから明日のことだが……」
上条「分かってるよ、せっかくだしどっか行こうぜ」
キャーリサ「う、うん……分かったの」
御坂「……」
五和「……」
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:14:13.21 ID:ksmiMOd0o
上条「じゃーな! また後で!」
キャーリサ「……行ってらっしゃい」
上条「行ってきまーす」
御坂「……はぁ、何か疲れたわ……私も学校行こ」
五和「私も……やることがあるので失礼しますね」
キャーリサ「分かったの」
五和「あ、そうでしたキャーリサ様……」
キャーリサ「ん? どーした天草式……あー、五和か」
五和「はい……あの……」 チラッ
御坂「?」
五和「実は……昨日学園都市内でとても強力な魔術師の気配を感じたんです」 ヒソヒソ
キャーリサ「……何だと?」
五和「なので一応お伝えしておこうと思って……お気を付けて」
キャーリサ「うむ……分かったの、教えてくれて感謝するし」
五和「い、いえ。それじゃ私はこれで……」
キャーリサ「うむ」
394 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:16:56.62 ID:ksmiMOd0o
御坂「かんっぜん遅刻だわ……んじゃね」
キャーリサ「いーから急げ」
タッタッタッ…
キャーリサ「……」
キャーリサ(魔術師……だと……?
この時期に学園都市を攻めるとは……十中八九私かとーま狙いだろーな。
しかし誰が……?)
キャーリサ「強大な魔術師と言っていたが……」
??「―――それはきっと私のことであろうな」
キャーリサ「!?」
??「…………」
キャーリサ「お前は……!」
??「……もう忘れたのであるか、先日会ったばかりのはずだが」
キャーリサ「こんなところでお前に会うとは意外だったし。
だがなるほど、お前は魔術師だったな……――――」
「――――ウィリアム=オルウェルッッッ!」
アックア「……旧友からの頼みである。貴様を英国へと連れ帰らせてもらおう」
397 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:19:57.56 ID:ksmiMOd0o
今日のバb……第二王女SSはここまでです。
麦のんですらババァと言われる禁書だけど、木山先生だろうが美鈴さんだろうが詩菜さんだろうが最大主教だろうがねーちんだろうがシェリーだろうがオリアナだろうが、みんな可愛いよね。
ではまた近々お会いしましょう。
395 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:19:24.28 ID:Jz1MchBU0
兄者きたか 402 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:52:36.33 ID:rH8vEcZ0o
未来の義弟か 396 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 01:19:40.31 ID:rCRRnzSAO
キャーリサ様の猛烈アタックぶりに
リアルに( ゚д゜)な顔してた…ww 408 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 06:27:13.48 ID:2dyFcoJ6o
キャーリサ様ババアかわいい 次→
キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」その3
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