1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:39:02.20
ID:H+fVtVTs0
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:40:19.65
ID:H+fVtVTs0
天下が太平になる一寸手前。
蘭国の船が、豊後のあたりで沈没した。
現地の住民は懸命な救助活動を行い、24名が救助された。
その内の何人かは幕臣として起用され、
外交や造船、航海図の作成に励んだ。
蘭国はこの厚遇に感謝し、幕府と交易を築いた。
この関係が始まって、100年ほど経った頃。
蘭国は幕領地に、ある贈り物をすることにした。
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:41:54.49
ID:H+fVtVTs0
それは当時としては最大級、
蘭国の基準では45.5カラットの金剛石であった。
青く妖しい輝きを放ち、見る者全てを魅了するという。
しかし、この金剛石を狙う者がいた。
大盗賊、小関麗奈。
狙った獲物は逃さない。そして絶対に捕まらない。
武術学問あまねく優れ、活躍の様は妖幻のごとし。
戦国時代末期から現れ、いまのいまに至るまで、
伝説を作り続けている神出鬼没の大盗賊。
幕府や富商を嫌う町人や百姓達は、彼女に熱狂した。
また小関がやるのか。やってくれるのか。
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:44:03.64
ID:H+fVtVTs0
無論これを幕領地側が看過することはなく、
出島から発つ船の警護のために、
凄腕の剣客が遣わされることになった。
示現流剣術、本田未央。
一刀流剣術、高垣楓。
両者は共に流浪の剣士であったが、
太平の世にあって剣に血を吸わせること幾度。
心身鬼没のある剣士を除いて、龍虎と並び称されていた。
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:44:44.86
ID:H+fVtVTs0
肥後長崎。
示現流の道場にて。
「えいやぁっ!!」
本田未央は、高垣楓の木刀を粉砕した。
楓の脱力の剣では、未央の攻撃を捌くことができなかったのである。
あくまで、木剣の戦いでは。
楓は折れた武器を捨て、徒手での戦いを挑んだ。
凄まじく唸る木剣を、ゆらりゆらりと躱す。
まるで酔っているかのような動き。
未央の剣は一向に当たらぬ。
焦りが生じたのか、振りが少し大雑把になっていく。
その隙を見計らって、楓が未央の袖を、がッと引いた。
見事な一本背負い。
そこで勝負が決まるかと思われた。
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:45:32.02
ID:H+fVtVTs0
「がァァアアアアッ!!」
だが、未央は背中で叩きつけられるのではなく、
両脚で踏ん張り、倒立の状態になった。
そして、そこから全身のばねを使い、逆に楓を投げ飛ばす。
体術もなにもない。純粋な膂力によるごり押し。
芒のように細い楓の身体は、道場の壁まで吹き飛んでいった。
「一本……場外」
審判役の門下生が、呆然と声を漏らした。
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:46:03.70
ID:H+fVtVTs0
「すみませんでした…」
未央は詫びた。ついむきになってしまった。
警護をともに担う相手を、本気で投げ飛ばすとは。
「すまないでは済まない…なーんて。ふふっ」
楓の方は、特に気にしていなかった。
うまく受け身をとったようだ。
「さすが、依田さんの弟子ですね」
「はは…」
なんだか痛烈な皮肉を言われているようで、未央は苦笑した。
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:47:07.16
ID:H+fVtVTs0
「2人とも、世界レベルの戦いだったわ!」
手を叩いて賞賛するのは、ヘレンという女。
姓はない。
彼女は蘭国からの外交官である。
しかし、どこからどう見ても蘭人ではない。
大陸中央、騎馬民族の踊り子という表現の方が
正確のように思われた。
年齢は24。日本語に堪能であるが、どこで学んだかは知れない。
彼女の在任歴は、書類上では数世紀を超えていた。
それどころか大陸史を読み解くと、同名の人物が複数、
別々の王国、帝国で確認されている。
いずれもが外交的な成功や、戦略的な成功をおさめた英雄とされている。
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:48:01.17
ID:H+fVtVTs0
「私もお手合わせ願えるかしら!」
要は謎めいた女であるのだが、本人の性格が陽気闊達であるので、
周りが怪しむことはなかった。
「えーと…木剣でいいですか。
好みの形に削り出しますけど…」
相手は蘭国の使い。未央はややたじろいだ。
向こうからの挑戦とはいえ、楓と同じようにはいかぬ。
適当に手を抜くつもりだった。
だが、相手の方がそれを拒んだ。
「真剣でやりましょうか!」
ヘレンは腰に下げた革鞘を、ばしんと叩いた。
勘弁してくれ。
未央はげんなりを通り越して、恐怖すら覚えた。
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:49:01.28
ID:H+fVtVTs0
「私が、参ったと言うまで、戦うのをやめない!!」
なにかの芝居のような台詞を、ヘレンが吐いた。
未央の降参をいきなり潰してきた。
こうなれば、剣を弾くなり壊すなりで、一瞬で決めなければ。
未央は一礼。ヘレンは両手を広げ、腰を後ろへ突き出す。
ともに剣士の慣である。
ヘレンは抜いた。
長さは脇差と同様。ただ刀身が扁平で、分厚く頑丈である。
「カットラス! 世界の海を股にかける、私にふさわしい剣!!」
未央は焦った。あの刀身では、こちらの刀が割れる。
斬ると言うより、狭い範囲を叩き潰す形状。
西洋甲冑と共に発展した剣は、太刀では受けられぬ。
まして弾くことも。
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:50:17.70
ID:H+fVtVTs0
すでに戦術面で、未央は大きな制限をかけられた。
未央から参ったと言えればどれだけ楽だったか。
未央は抜き、蜻蛉に構えた。
ヘレンは左足を前に出し、剣を顔の右側においた。
そして、切っ先を相手の方へ向ける。
それはさながら、猛りを秘める闘牛のようであった。
初手は突きか。ヘレンの構えから、未央は予想した。
なればそれを躱して、峰で額を軽く打つ。
じわり、じわりと未央は歩みを進めた。
ヘレンの指がぴくっと動いたのを見計らって、未央は左半に回ろうとした。
しかし予想に反して、刃は水平に襲いかかってきた。
オクスからのツヴェルヒハウ。独逸流剣術の基本骨子であった。
未央は、慌てて腰を下げ、それを避ける。
ヘレンの胴ががら空きだ。峰打ちで一本を狙いにいった。
しかし、未央の攻撃は、後方への宙返りでかわされた。
さながら、曲芸師のような動きであった。
「初見で躱すとは、やはり世界レベル!!」
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:51:06.92
ID:H+fVtVTs0
「…どうも」
やりにくい。未央はさらに焦った。
右の視界が赤く染まっている。
先ほどの水平斬りで、額が擦り剥けていた。
相手はどこまで本気かはわからないが、手を抜いたら命を落とす。
未央は芳乃との稽古、その最中の緊張感を思い出した。
『辻車』を使えたなら、どれだけよいか!
未央は右手に巻かれた編み紐を、無意識にいじった。
焦っているとき、不安な時の癖であった。
だが、それが隙である。
ヘレンは畳を蹴り上げて、突きを放ってきた。
ほぼ構えがなかった。
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:52:40.58
ID:H+fVtVTs0
「うぉおおっ!!」
受けれない。だが、相手の扁平な刃が吉となった。
未央は素手で、刀身を殴りつけた。
ヘレンが体勢を崩す。
さしもの彼女にも、予想外であったらしい。
前のめりになったヘレンの背から、首筋を峰で打った。
「これ以上は、命の取り合いになるわね!
参ったわ!」
ヘレンが手合わせを終わらせた。
仕事の前にいやな汗をかいてしまった。
未央が肩の力を抜いて、後ろへ下がった。
「それだけの強さがあれば、ダイヤモンドも安心だわ!」
ヘレンは笑い声をあげながら、道場を去った。
大事に至らなくてよかった。未央は、額の血を拭い、
緩んだ帯を締め直そうとした。
だが、帯の結び目がざっくりと裂け、袴が下に落ちた。
「いやん」
未央はそんな声を上げた。ただし、その声は震えていた。
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:53:57.13
ID:H+fVtVTs0
翌日、幕府の紋が入った船が、予定よりも一刻半はやく到着した。
「善は急げ。素晴らしい!!」
ヘレンは、ずかずかと船に乗り込んだ。
それに未央も続いた。
そして一刻後。楓も船に乗った。
「長い旅路ゆえ…ごゆるりと」
4尺9寸ほどの、でこちんの広い女が、船室を案内した。
まことに幕府の船にふさわしい、立派な作りであった。
ヘレンに配慮したのか、寝台は西洋風に設えられていた。
「…ぉおお」
綿と羽毛でできた、ふわふわの感触に、未央は感嘆の声を漏らした。
一方、楓に自室はなく、茣蓙を渡された。
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:54:51.78
ID:H+fVtVTs0
夕餉の時間になった。
でこちんの広い女が食事を運んできた。
料理はヘレンの希望通り、脂の乗った合鴨を醤油と砂糖で
甘塩っぱく煮込んだものが出た。
飯がよく進む、美味い肉であった。
無論酒も振舞われ、未央はほろ酔いで、さらに鴨をつまんだ。
楓には、茹でたさつまいもが1つ渡された。酒はなかった。
それをひとかじりして、楓は久しぶりに泣いた。
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:55:58.09
ID:H+fVtVTs0
食後未央がくつろいでいると、ヘレンが部屋にやってきた。
世界レベルの遊びを教えてくれると言う。
これが割に楽しく、最後はお互いに金を賭けた。
出した札は未央の方が強かった。
ヘレンから、羅馬なる国の金貨をもらった。
いかさまを使ったことを告げると、
「初心者なのに世界レベル!」、と褒めてくれた。
でこちんの広い女が消灯にきたので、ヘレンと別れた。
一方楓は、薄暗い船底で、鼠にさつまいもの欠片を与えていた。
「ちゅー、ちゅう。あなたにむちゅー…ふふっ」
幕領地の使いから、「静かにしろ」と叱られた。
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:57:29.26
ID:H+fVtVTs0
翌日、未央とヘレンは異変に気づいた。
船員達の顔がみな同じ顔だった。
でこちんが広く、そして背は4尺9寸。
「ようやく気づいたわね! このマヌケども!!」
楓は幕府の船に乗って、未央とヘレンの乗る船を追いかけていた。
しかし、船の質が同等。天候も同じでは、追いつける道理がなかった。
楓にとっては散々な航海である。
ヘレンをみすみす、小関麗奈が準備した船に乗せてしまった。
その責任を問われ、幕府の使いの者から冷たい仕打ちを受けている。
それにしても。
楓は不可解だった。
小関麗奈の準備はあまりにも周到であった。
幕府のものとそっくりな船を作り上げ、おそらくは海図も入手している。
出島に来る前に、かなりの通行料を各藩に支払ったにちがいない。
それこそ、金剛石1つでは賄いきれないほどの。
まるで、盗むために盗んでいる。そのような印象を受けた。
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:58:13.88
ID:H+fVtVTs0
その頃、幕領地ではにわかに不穏な空気が漂っていた。
幕臣らによる奉行ぐるみの横領があり、民の不満が募っていたのだ。
それだけではない。
聞くところによると、お取り潰しになった美城の地に、
新たに、豪奢な城郭を築くという。
そしてその利権は、桐生屋と財前屋が吸い尽くしている。
自分達から搾り取った金で、上の者ばかりが肥えていく。
到底許せぬ。
しかし乱など起こそうものなら、幕軍によって鎮圧される。
関係者は打首獄門。その現実が、爆発しそうになる民を抑えていた。
19:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 20:59:38.98
ID:H+fVtVTs0
未央は、小関麗奈を斬った。
「や、ら、れ、た〜」
わざとらしい動きをして、彼女が海に落ちる。
しかし、またべつの小関がやってきた。
この小関は馬庭流の剣術を使い、少々手強かった。
ヘレンが無言で他の小関を斬り、海に落とす。
すでに金剛石は小関達に奪われている。
だが、どの小関が持っているのか分からない。
「全員死ぬまで続けるか!!」
未央は激昂した。しかし、小関達はせせら笑った。
「「「このレイナサマが死ぬわけないじゃない!!」」」
小関の言動は芝居がかっていた。
まるで、読本に出て来る盗賊のようであった。
「「「愚民共がアタシを必要とする限り、アタシ達は永遠に存在するの!!」」」
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:01:30.96
ID:H+fVtVTs0
楓は、自分達に高速で近づいて来る2艘の船を確認した。
戎克。竜骨が無く、全体が多数の梁で組み上げられた回船。
船体は細く波を切り、三本の帆で風に乗る。清国の海賊船だった。
「死にたくなければ、ダイヤ寄越すデスヨー」
髪を団子に固めた女が、仲間と共に乗り込んできた。
「あなた…お名前は?」
楓が刀を抜き、彼女に名前を尋ねた。
「ふぇいふぇいダヨー…命が惜しかったら…」
楓は、自身に近づいてきた者を斬った。
その相手はぐにゃりと、酔っ払ったように倒れた。
「そうそうにいっそう置いてそうに帰ったほうがよさそうですよ…ふふっ」
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:02:52.20
ID:H+fVtVTs0
未央とヘレンは、とうとう全員の小関を斬り殺してしまった。
ダイヤを持っている者はいなかった。
「ヘレンさん…」
「まさか、海に落ちた者が持っていたのかしら」
不可解であった。
小関達が本当にダイヤを盗み出すつもりなら、
必ず未央とヘレンから逃げる小関が現れる。
しかし小関達は、全て果敢に挑んできた。
2人が気づかぬうちに海に飛び込んだ者がいても、
ここは波の早い沖合。
生きて陸に戻れる確率は零に等しい。
小関の目的も手段も、なにもかもが不可解である。
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:04:05.16
ID:H+fVtVTs0
楓は未央とヘレンに合流した。
しかし、金剛石は見つからずじまいだった。
責任を問われる。最悪の場合は死罪である。
とはいえ逃げようにも、航海の知識を持っているのは幕領地の使い。
彼女達に脅しは効かぬ。
「どうしようか」
未央は、所在なさげに尋ねた。
しかしヘレンは、瓦版を読むことに夢中だった。
「小関…彼女はいつから、現れるようになったの?」
「さあ…噂では戦国時代末期からいることになっていますけど…」
大盗賊小関麗奈が活躍しはじめたのは、太平の世の一歩手前。
当時は、戦乱で家を失った者のために、
富商から金を盗む義賊だったという。
「それじゃあ、小関は代替わりで現れている。
そういうことになるのかしら…」
ヘレンは真剣な顔で頷いた。
「まあ、今じゃ義賊っていうよりも娯楽って感じだけどね」
未央が付け足した。
「偉そうにしてる幕府や富商の鼻を明かす…おっと」
幕府の使いに睨まれて、未央が口を塞いだ。
「ある意味では、英雄」
私と同じ。そうヘレンがこぼした。
23:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:05:46.60
ID:H+fVtVTs0
幕領地についた未央と楓は、民衆が狂喜していることに驚いた。
凄腕の剣豪を退けて、金剛石を盗み出した。
幕府の面目は丸潰れだと。
先日までの不満はどこへら。
瓦版の号外などが刷られ、町中にばら撒かれている。
「やっば…」
未央は震え上がった。
しかし、幕臣達の反応は穏当なものだった。
「剣が役に立たない世になったものだ」
そう言って、報酬の没収に留めた。
未央と楓では首をかしげた。
しかし、それで許してくれるというのだから、文句はない。
小関麗奈の大群のことは気になったが、話せば正気を疑われる。
ヘレンは話をつけてくると言って、城に向かった。
24:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:06:40.32
ID:H+fVtVTs0
一方その頃。
楊菲菲とその仲間達は、一艘の戎克で肩を寄せ合い、帰途についていた。
1人の女によって、仲間の半分以上が歩けない身体にされた。
無論その者達は重りになるので、海に打ち捨てられた。
骨折り損のくたびれもうけ。
菲菲達は肩を落とした。
船を進めていると、海上で妙な死体を見つけた。
全員が同じ顔で、同じ背丈。
海妖の類だろうか。
不気味がって、一同がそれらを迂回しようとすると、
死体の1つに、きらりと輝く石を持つ者があった。
それはまさしく、あの金剛石であった。
「幸运! 幸运!」
一同はその死体を引き上げて、金剛石を回収した。
だが、水上死体を船に上げたのがいけなかったのか。
その後、予想だにしなかった大時化が彼女らを襲い、
楊菲菲達は海の藻屑となった。
25:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:07:37.72
ID:H+fVtVTs0
幕領地の城中。
その地下にて、ヘレンは大量の小関麗奈と遭遇した。
しかし船の時とは異なり、みな大人しかった。
「民衆というのは、単純なものですな」
幕臣の1人が言った。横領で騒ぎになった女だった。
「わかりやすい娯楽さえあれば、たとえ肥溜めの中でも生きていける」
小関麗奈は、民衆が不満を持ったときに現れる英雄だった。
「また頼むぞ、小関」
「「「「はい」」」」
大量の小関麗奈達は頷いた。
彼女達は大衆が望む限り、何度でも現れる。
永久に、現れ続ける。
26:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 21:08:13.58
ID:H+fVtVTs0
おしまい
元スレ
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