美琴 「ね、お願い…今日は一緒に寝て欲しいんだけど…」

2011-03-20 (日) 00:21  禁書目録SS   2コメント  
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:30:38.45 ID:CHSG9pQo
美琴サイド


美琴「だるい……」
油断した 完全に油断してた
昨日出された昼食に媚薬を仕込まれた
最近妙に大人しいから警戒してたんだけど



軽く立ちくらみがする
ここまでの道のりは余り覚えてない
とりあえず黒子に電撃を浴びせた後布団に入って一日やり過ごそうと思ってた
ところが電撃の調整が利かなく、アイツ並の電流を浴びせてしまったのがまずかった
現在、黒こげで本格的にダウンしてしまった黒子のために薬局に向かっている
向かっているはずなのだが

美琴「いつの間にか学舎の園からでてるし」

火傷薬や鎮痛剤なら学舎の園の中で買える。もしかしたら黒子自身、そういった薬は持ってるかもしれない
しかし足が止まらない 若干ふらつきながらも歩みは止まらない
もうほとんど思考が働かない
私はどこに向かってるんだろう……



19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:35:01.92 ID:CHSG9pQo
上条サイド
上条「不幸だ…」
せっかくの休みの日がまた補講で潰れた
半ドンですんだのは良いが、代わりに明日期限の課題を大量にプレゼントされた
提出できなければまた来週も補講らしい

上条「不幸だ……終わるはずがない」

土御門は本日欠席、青髪には早々に断られ、吹寄と姫神には……なんか頼みにくい
今日日インターネットで大抵のことはどうにかなるらしいが極貧生活の上条はまずパソコンすら持ってない
課題に集中できるよう、インデックスを自宅に軟禁(?)する徹底ぶり……今回の小萌先生は色々と本気だ

とりあえず帰宅を急ぐ上条だが、ベンチに腰掛けている知り合いを発見した
なんかいつもと纏っている空気が違う いつしかの機械に人が従ってるのが嫌いと言っていたときの雰囲気と似ている

上条「オッスビリビリ!」

そういって右手を構える いつもなら「ビリビリ言うな!」と雷撃が飛んでくるはず
しかし今日はこっちを向いて「……ああ、アンタか」と対して興味なさそうにつぶやくのみ

上条は理解した。一方通行のときみたいにまた何か抱えてるに違いないと
誰にも相談せずに、自分一人で悩んでいるのだと
すぐに相談しろと言ったのに 頼ってくれと言ったのにっ!!



20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:37:06.67 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

何故ここにいるのか分からない
頭がボーっとする
時計を見ればもう1時間は外出していた
黒子は……あれ、なんだっけ?多分ジャッジメントだろう
今頃初春さん達と一緒に治安維持に努めているはずだ
アイツは夕方にならないと会わないし……どうでもいいけど
じゃあ私は……?

……

それすら分からない。なんだか相当重症だ
本当に媚薬だったのだろうか?それすら今となってはそれすら妖しい


上条「……す…リビ…」

遠くから声が聞こえた……気がする
ふと目を向ければアイツ……上条当麻がそこにいた
とたん動悸が激しくなる 呼吸が苦しくなる

御坂「ああ、アンタか」

なんとか言葉を絞り出せたが、ちゃんとした発音になっていたかはわからない

それで終わり それだけの関係だったはず
なのにアイツはこちらをにらみつけ……たかと思うと自販機でジュースを買いに向かった
遠くで「不幸だー」とか聞こえる。あらかた小銭でも飲まれたんだろう



21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:39:37.36 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

上条「隣、いいか?」

といってジュースを渡してくれた
SURVIVAL+1、栄養飲料らしい。とりあえずありがとうと言って受け取る
よほど体が水を欲してたのか、飲み始めると止まらなかった


暫くこちらを見ていたアイツが口を開いた

上条「おまえ、今度は一体何に巻き込まれてるんだ」
美琴「……別に」

どうやらコイツは私が何かの事件に巻き込まれてると勘違いしているらしい
だから優しいのか
ビリビリ言わないし、ジュースを買ってくれるし側にいてくれてる

別に高望みはしてない
アイツの中じゃ私は顔を知ってるその他大勢と変わらない
何度も…何度も痛感しているのに

高望み?……何考えてるんだろう。重症だ



22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:47:51.31 ID:CHSG9pQo
上条サイド

上条「おまえ、今度は一体何に巻き込まれてるんだ」
美琴「別に」

とりつく島がない
それになんだかイライラしてるっぽい 髪の毛にビリビリ帯電させている

俺がきたからか?それともよほど話したくないことなのか?

こいつは他人のために命を捨てて突っ走ってしまうところがある
あのときだって俺があの事件に巻き込まれなかったらと思うとゾッとする
だから聞く また巻き込まれるために また助けられるように

上条「……なんかあったらすぐに言えよ。
   (いつだってどこだってお前とお前の世界を守ってやるから……)」

御坂からの反応はない
ただじっと空き缶を見つめ、考えに耽っている

上条「今日は用がないなら帰った方がいいぞ、夕方から雨が降るらしいし。送ってやるからさ」

何より顔色が悪いしな、と心の中でつぶやく
左手を差し出すと素直に掴んできた。これで送り届ければ安心だろう
ところが、御坂が立ち上がるとバチッと言う音とともに手を振り解かれてしまった

美琴「ジュースありがと!もう大丈夫だから送りはいらないわ」

御坂は急にハイテンションに戻ったかと思うと
体を軽く動かしたと思ったら「じゃあね」と走り去ってしまった

暫しポカンとしてしまったが、急に体がよろめいた御坂を見て我に戻った
無理をしているのは明白だ
そして迷惑を掛けまいと頑張っているのもまた明白だった

こんなに心配しているのに……御坂には届いていなかった……



23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:51:34.85 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

これ以上アイツの側にいるのは辛かった
動悸、息切れ、立ちくらみ。何か喉も痛いし軽く吐き気もする
なにより体が熱い

無理に笑顔を作って走り去る
ここから寮までは迷いようがないので送ってもらう必要はない
いやそうじゃない。一分一秒もアイツの側にいられない
いたら私が私じゃなくなりそうで怖かった

バランスを崩した と気付いたときには手を捕まれていた
結構前からよろよろしていたらしい でないと間に合うわけがない


アイツの顔が近い
どんどん体が熱くなる どんどん視界がぶれていく



24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 17:55:20.33 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

上条「……ぱり、送って……よ」

こんなに近くなのにすごく遠くに感じる
それでもこのまま背負われそうだと分かるとまだ全力で抵抗が出来た


美琴「黒子、黒子に携帯で来てもらうから!」

といってポケットに手を突っ込むが、ガサッと言う何かの袋以外には何も入っていない
どうやら携帯を寮に忘れてしまったらしい
あれ、黒子は……ジャッジメントの仕事だろうからどこにいるか分からない

顔を見つめられt、いや疑いの眼差しが向けられている
顔を近づけられt、いやさっきと同じ距離にある

そして今度こそ背負われそうになると近くで大きな声が聞こえた

**「ねえ、実は今日本当はちょろっと用事があったんだけど、付き合ってくれない?
   少し休憩して体調はなおすから、近くで倒れないように同伴さえしてくれればいい。
   すぐに済むし、…………お礼もするから」

それが自分の言葉だと気付くのに少し時間が掛かった
訂正しようにも声がでない、能力は出せない、動きを止められない。
もう体は抵抗が出来なくなっていた



25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 18:11:40.74 ID:CHSG9pQo
上条サイド

上条「あの、御坂さん?」
美琴「……次はあそこね」

上条「あ~あそこにゲコ太キーホルダーが……」
美琴「ケロ○ンよ……次はあっち」

御坂がおかしい
いや、今日会ったときからおかしかったが、今は一段とおかしい

結局、あのあと5分ほどベンチで休憩し、スーパーやセブンスミストなどを見て回った
とくに会話らしい会話無しはせず、本当に淡々と店内をまわっているだけ
用事があると言っておきながら別段何も買わないし、誰に会うってワケでも無さそうだ
真っ直ぐ歩けるようにと手を繋いで歩いているが、もう体調は戻ったのか会ったときとは違いよろけることは無かった

周りからはどう思われてるだろうか
何せ相方は常盤台中学の制服を着た学園都市に7人しかいないレベル5の第三位
そんなお嬢様と知名度ゼロの高校生が一緒にあちこち歩いている構図はなかなかシュールな光景だろう
明日どんな噂になっているのか、考えただけで汗が止まらない


美琴「ねえ、聞いてる?」

不意に現実に戻された
見るともうセブンスミストの外に出ていたようだ
見れば既に夕暮れ時、結構な時間歩いていたようだ
頭にはスーパーのタイムサービスや割引の時間帯がポンポンと浮かんでくる
そのとき、強く引っ張られたので振り向くと御坂が睨みつけていた

……えっと、わたくしなにかやらかしたでしょうか?

美琴「で、何にするか決まった?」
上条「えと……何とは?」

美琴「だからお礼よお礼。今日付き合ってもらったし」



26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 18:21:02.92 ID:CHSG9pQo
上条サイド

すっかり顔色が良くなった御坂は上目遣いでこちらを見ている
常盤台の寮には門限があるし、手っ取り早く予定を決めて欲しいんだろう
じゃあ後で電話で伝えると答えようとして……思い出した

明日提出の課題
残り推定15時間
寝落ちも含めるともう明らかに時間がない……

上条「御坂!!」

御坂の手を両手で掴む
御坂は一瞬ビクッと反応したが、じっとふつむいて次の言葉を待っている

上条「頼む!課題手伝ってくれ!!」
美琴「はい……え、ぇ?」

これ以上の時間のロスはまずい
もう中学生に教えてもらうなんてとか考えてる場合ではない
釈然としない御坂をおいて、寮に向かう

上条「今、課題を持ってくるから少し待っててくれ」
美琴「……だめ!」

だめ?
絶望を感じた。ここで美琴センセーにも拒否されたら来週は間違いなく週休0日が確定してしまう
その言葉だけでガクッと脱力した 溜息しかでてこない
そんな俺の様子を見て、慌てて御坂は言葉を並べる

美琴「ど、どうせやるならアンタの家でやるわよ。ここまで往復してる時間なんてあるの?」



27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 18:37:00.41 ID:CHSG9pQo
上条サイド


……
………
寮についてしまった
ここまで会話ゼロ。非常にきまずい。

ところでこの構図はいかがなものか
高校の学生寮に女子中学生を連れ込む図
誰かにみられたらそれだけで「不幸だー」となりかねない

御坂はずっと俯いたままついて来るのみだった
体調の悪いのがぶり返してきたのかもしれない
だが、今その話題を振ればお礼がどうのとうるさいだろう

妙に義理堅いからなそーゆーところ

実際課題の時間制限も押してるし、適当に手伝って貰った上で送るのが最善だろう

上条「ど、どうぞ」
美琴「ん、おじゃまします」

幸いインデックスとスフィンクスは小萌先生のところへ軟禁済
時間的にはおおよそ1時間半、それだけあれば特に難しいところの問題を重点的にやれば

美琴「トイレ借りるわね」

と言ってまっすぐトイレに向かっている
一度も来たこと無いはずなのにと思ったが、だいたい感でわかるんだろう
その間に課題の整理、聴きたい分野の仕分け等を済ませておくか



28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 18:58:26.18 ID:CHSG9pQo
上条サイド

美琴「……だから…に…で……」

と言った具合に中学では絶対にやらない内容をスイスイ解説していく
こいつ……本当に人間か……?

美琴「となって、……ちゃんと聞いてる?」
上条「……すみません。上条さんの頭では速すぎて理解出来ません」
美琴「どこが分からないのよ。」
上条「その……ここからここ。」
美琴「ああそこね。そこは」

と言った具合に課題は消化されていく。

もう一つ集中できない理由は御坂との距離だ。
御坂は意識してないと思うが、狭いテーブルの上で肩並べている状況はすごくやばい……近すぎる
そもそも出会いの少ない上条さんにこのイベントは正直毒すぎる
今までも紳士な上条さんだからいいものの、結構鉄壁の理性が崩れかけたこともままあった
その度に周囲を見回して『こいつは中学生中学生……』と世間体を盾に邪念を振り払ってきたが、今は……

美琴「ちょっと、なに人の顔ばっか見てるのよ。問題見なさい」
上条「あ、ああ悪い」
美琴「こんな調子じゃ今日中に課題終わらないわよ。」
上条「そこを何とか!ってもう門限やばくないか。あとは大丈夫だから」
美琴「何が大丈夫なんだか……」

気がつけば外は既に暗く、時計は既にここをでなければならない時刻になっていた
御坂は「分からないところは電話しなさいよ」と言って玄関を開ける
そのとき初めて『ザーザー』という激しい音に気付いた

美琴「……、雨?」
上条「そういえば降るって言ってたな。傘持ってけ」
美琴「どこにあるのよ」
上条「あれ……、そういえばこの前電車の中に忘れてきました」
上条「土御門は……またどっか行ってるし」
美琴「はぁ~。役に立たないわね」



29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 19:19:27.04 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

現状確認
外は大雨
時間はまずい
携帯見つからないため黒子を呼べない

上条「今からコンビニ行ってくるから、ちょっと待ってろ」
美琴「ダメよ!それじゃあアンタが風邪ひいちゃうじゃない」

アイツも万策尽きているらしい
ネット環境があれば寮の連絡先が分かるのだが、こいつの家にはその関係機器すら置いていない
それ以前に寮監に現状を知られたくない

美琴「どうしよう……アンタの携帯ネット繋げる?」
上条「悪い、通話とメール以外は出来ないんだ」

極貧生活という時点で予想してたが、こいつは科学の街でなんてローテクな生活をしているのだろう。
それにしても困った。
こう迷っている間にも時間は過ぎていく。もう既に走っても間に合わない時間になっている。

しょうがない……黒子、頼んだわよ。



30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 19:20:31.67 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

上条「やっぱり俺、コンビニに「もういいわ。今晩泊めて貰える」行って……はい?」

美琴「泊めてって言ったの。この雨じゃどうせ門限間に合わないし、アンタの課題……まだ残ってるし……」

上条「いやそのですね御坂さん。一応ここは男子寮でして、そしてあなたはまだ中学生でして……」

美琴「まさかアンタ、中学生までフラグ立てて回収するロリコンなの?身の危険を感じるわ」

上条「だー!!!上条さんはですね……」

美琴「違うなら別にいいじゃない。」

上条「……おまえ、本当に御坂か?」

美琴「どーゆー意味よ。」

上条「いや、会ってから雷槍が一発もないし、体調の浮き沈みが激しいし、……ずっと可愛いし」ボソ

美琴「? まあいいわ。問題がないなら泊めさせてもらうから。お礼に美琴センセー直々の夕食食べさせてあげるからさ。」

上条「お、おい。本当に大丈夫なのかよ?!」


美琴「先にお風呂に入っちゃいなさい。夕食が終わったら一気に課題終わらせるわよ!!」



31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 19:37:37.55 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

なんか……幸せだな
そう感じる 感じられる
料理を作る自分の姿。風呂から出た待人は今、必死に課題と格闘している
この時間が何時までも続けばいいと、心から願った

……ふと、ポケットに何か入ってたことを思い出した
ポケットに手を入れてみる。中からでてきたのはいつか見たパソコン部品の最新式
黒子から徴収した媚薬のカプセル数個と睡眠薬が入っていた

ふとアイツを見る。
アイツは一心不乱に課題を解いている最中だ
今なら、あたし以外誰も見ていない。

……
……
最低だ……最低なことをしようとしている……

美琴「……でも」

アイツは今日を普通の日として記憶するだろう
アイツの周りには私がどんなに頑張っても届かない魅力的な女性がたくさんいる
私の今感じてる幸せも彼女たちにいつか取られてしまう

……

そんなのは嫌だった
今感じてる幸せを手放すのは嫌だった
今感じている幸せを他人に取って代わられるのはもっと嫌だった
ならば今、やるなら……今しかない

やはり今日の私はおかしいかもしれない
いやおかしいだろう。この薬を自分も食べる料理に入れて……笑っていられるんだから



32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 20:39:20.96 ID:CHSG9pQo
上条サイド

眠い……そして体が熱い……

夕食は凄く旨かった。
まさか冷蔵庫内部、インデックスに食いつぶされた残りで高級レストランみたいなものがでてくるとは思わなかった
恐るべし常盤台
そのせいだろうか、現在腹いっぱい食べたあとで一気に眠気が襲ってきている
大量にあった課題も残り僅か、来週をのんびり過ごすまでもう一頑張り……
分かっているが、頭が働かない

上条「今日は色々あったからな……疲れたんだな……」

今、対課題用最終兵器はお風呂に入っている。今解かなくても彼女がでてくれば、すぐ終わるだろう
御坂……そういえば今日は出会い頭からおかしかったな
自販機前のベンチで出会い、用事といいつつ外をブラブラし、課題を手伝ってくれて夕食まで作ってくれた
そこまで付き合ってくれる理由が分からない。あいつも…………………………だろうに

今日は御坂にすげぇ世話になったし、明日にでもなにかしてやれたら……

酷く眠い……体が熱い……
課題は御坂が風呂から出てくるまで待つことに決め、徐々に睡魔に呑まれていった……



34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 22:12:25.75 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

風呂から出たとき、アイツは既に机に伏して爆睡していた。
寝間着がないため、アイツの服を拝借、結構ぶかぶかだが文句は言えない。
そしてこれからのことを想定し、顔が火照る。
アイツにとって、今日という日が特別な日であってほしい。
せめて、ふと思い返したとき、「あ、そういうこともあったな」程度には記憶していて欲しい
そのために薬入りの夕食を共に食べ、今の状況を作り出したのだから……

今までの経験から分かる。アイツは私のことを全然相手にしていない
偽デートのときもそうだったが、その後も会ったら挨拶する程度。
で、デートを申し込んでも何時帰れるかそわそわしてるし、電話も一方的に聞きたいことだけ聞いてすぐに切ってしまう……
認識はせいぜい便利な人程度だろう

……考えたらむかついてきた。
絶対に御坂美琴という存在を認めさせてやる

まず、アイツをベッドに寝かせる
課題はとりあえず答えだけ書いておく。万が一時間がなくなっても提出できるだろう
そしてあとは自らベッドに入り……そ、その……



35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 22:29:12.40 ID:CHSG9pQo
美琴サイド

美琴「……グス」

できなかった。襲えなかった
あと一歩がどうしても踏み出せない
これは違うと思った 涙が溢れる

ここで手を出したら全てが壊れてしまう
そうなればもうあの日々にすら戻れない
確かに覚えててくれるかもしれない
確かに忘れないでいてくれるかもしれない
しかし、それはきっと死ぬより辛い

ここでやらなければこの位置をまだ見ぬ誰かに奪われてしまうぞと心の奥から囁かれる
ここでやれば、一生記憶に残れる。責任をとって貰える
コイツは優しいから、優しすぎるから、おそらく思惑通りになってしまうだろう

そんなのは辛すぎる
そんなのは哀しすぎる
涙で視界が霞んできた

これは罰なのかもしれない
決して越えてはならない一線を越えてしまった罰

このまま、寮に戻ろう 
今戻れば、明日からまた普通に接することができる
課題も終わっているし、雨は突っ切ろう。少し頭を冷やした方がいい

だけどその前にもう少しだけ側に
この涙が止まるまで



36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/15(土) 23:26:25.53 ID:CHSG9pQo
上条サイド

熱い……喉が渇く……
熱い……毛布から逃れたい……
熱い……誰かのすすり泣く声が聞こえる……

そこで目が覚めた
もう雨は止んだらしく、月明かりがガラスから入ってくる

熱い……水が欲しい……
熱い……誰かが横から腕を掴んでいる
熱い……熱い……熱い……
それを乱暴に振り解こうと横を向いたとき、頭の中が真っ白になった

あの御坂美琴が、腕にすがりついて泣いていた
小さい声で「ごめんなさい ごめんなさい」と謝っているのが聞こえる

なぜ泣いているかは知らない
なぜ謝っているかはどうでもいい

動悸が激しさを増す 呼吸が更に苦しくなる
もう何も考えられない、何をしているのか理解が追いつかない



38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 00:38:01.82 ID:/UzWHYEo
美琴 「ね、お願い…今日は一緒に寝て欲しいんだけど…」

上条「だめだ」

美琴「けちー」

禁書「一緒に寝てあげてもいいかも」

下条「い、いやいや」

美琴「(ロリコン?)」



39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 00:39:36.87 ID:/UzWHYEo
すがりついていた腕を乱暴に振り解いた
両手を右手で押さえつけ、仰向けにさせたあとその上に跨る

御坂は初め、何が起きてるか理解ができなかったのかポカンとこちらを見ていた
だが徐々に理解し始めたのか、すでに抑えられた後の両手と足をモゾモゾと動かす
右手で押さえてるため電撃は出せない
「いや、いや」と涙を溜めながらこちらを非難してくる

あの御坂美琴が

それだけで最後の糸が途切れた



40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 06:44:44.74 ID:lBzESoSO
続きを激しく期待


42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 07:46:45.00 ID:VTQCn5E0
余裕の無い上条さんは新しい



44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 09:21:29.82 ID:/UzWHYEo
美琴サイド

怖い
完全にマウントポジションを取られた
完全に能力を封じられ、力でも敵わない

怖い 怖い
自業自得を嘆くよりも
私のせいで、コイツの信念を傷付けてしまうことがとても怖い

上条「みこ…と……」

荒い息づかいが絶えず耳に届く
トロンとした瞳がじっとこちらを見つめている
押さえつけている手に更に力が入る
そして20cm,10cmと身体が近づいてきて……

もうだめだ
そう覚悟してぎゅっと目をつぶった

………
………
………

既に覆い被されている……が、いつまで経ってもそのときが来ない
恐る恐る目を開けてみた

上条「……Zzz」
美琴「……はぁ?!」

この野郎上条当麻、据え膳食わずにただいま爆睡中
そういえば、コイツは学校帰りのところからあちこち連れ回して
その上、帰宅後に大量の課題に追われてたんだっけ
心身共に疲れてるところに夕食に睡眠薬のだめ出し
よく考えれば必然なのかもしれない

どちらにせよ
今の衝撃で完全に目が覚めた
既に雨は完全に上がったようで、今の目には月明かりがむしろ眩しい
今回こそ後悔する前に、寮に帰ることにしよう
今の時間帯なら誰にもみられずにここを出られそうだ



45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 09:43:40.43 ID:/UzWHYEo
【閑話】美琴サイド 

寮に帰るや否や、待ち伏せていた寮監に殺されかけた
どうやら私の電撃で気絶していた黒子を介抱してくれていたらしい
これでは誤魔化しようがない 

ところで、寮監と黒子の前で延々と追求させるって、いったい何のバツゲームだろう
少し口を滑らせる度に「あの腐れ類人猿がああああああああああああああああああああああああああああああ」
と(真夜中なのに)叫ぶ黒子
笑みを浮かべながら、しかし決して目元は笑わずに淡々と追求してくる寮監
すでに泣きたい状況なのだが、明日常盤台中に広がるだろう噂と過去最大級の罰則が更にのし掛かってくることだろう

アイツの気持ちが少しだけわかった気がする……不幸だわ



47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 10:20:08.20 ID:/UzWHYEo
上条サイド

夢か現か、昨日のことが鮮明に思い出される


「ねえ、実は今日本当はちょろっと用事があったんだけど、付き合ってくれない?」

あれは……なんだ?

「だからお礼よお礼。今日付き合ってもらったし」

「まさかアンタ、中学生までフラグ立てて回収するロリコンなの?身の危険を感じるわ」

御坂の信頼を裏切ったのは誰だ?
御坂を踏みにじった奴は誰だ???

「いや……やめて……」

御坂が最後に訴えかけた相手は……誰だ?


上条「……ぅ」 

朝起きたとき、すでに御坂は家の中にはいなかった
部屋にはそれらしい形跡はなかったし、夢の一言で片づけられるだろう
ただ、起きたときの異常なのどの渇き、鮮明な記憶があるだけに罪悪感に苛まれてくる
これでいつもの場所に御坂がいなければ、おそらく確定的だ

足取りは重い。
体調の悪さをおして尽くしてくれた御坂に対して、なにかをしてしまった……かもしれない
今歩いているこの道をまっすぐ行けば、その答えを知ってしまう
今はその ”もしも” が頭を離れない


 「こら、遅いぞ」

無意識に右手が動いた
飛んできたのはレールガン、そしてどこか見覚えのある栄養飲料
その先には

美琴「課題は出せたんでしょ?まさか無くして出せなかったなんて言うんじゃないでしょうね」

いつも通り、髪の毛をビリビリさせている御坂美琴がそこにいた



49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 11:13:48.36 ID:/UzWHYEo
美琴サイド

昨日から今日へ、もう語るのも嫌になる
昨晩の黒子の絶叫を聞いて結構な人数が聞き耳を立てていたらしく、ウワサは一瞬にして寮内全てに広がってしまった
朝から昼から罰則中さえ、周りで私を眺めつつ尾ビレ背ビレのついたウワサ話で盛り上がっていた
人の噂も75日よね?あと74日…か……

そんな環境からの脱却もかねて、昨日の自販機でボーっとしている
今日は、飲みたいジュースがあったので常盤台内伝の蹴りはせずにちゃんと買った
そんな素直なときに限って、お金を飲み込むこの自販機……昨日といい本格的にアイツの不幸が移ったのかもしれない

美琴「それにしても……遅いわね」

もう待ち始めて1時間が経過していた
案外、昨日のことを覚えているのかもしれない
だとしても、昨日は結局何もせず寝てしまったのだから後ろめたいことはないはずだ

そういえば昨日はあのちっこいのと一緒じゃなかった
もしも今ごろ一緒にいるとしたら……

理不尽だと分かっていても、昨日色々と自覚してしまった私にとって止められない電撃がある
そのとき、本当にタイミング良く現れた上条当麻
この世の終わりを思わせる不景気な表情でのっそりと俯いて歩いている

あのシスターは一緒じゃないらしい
それに免じて、レールガンの威力を99/100に落としてあげた
ついでに昨日のジュースの借りもここで返す

美琴「こら、遅いぞ」

ほんと、不意打ちなのにも関わらず相変わらず打ち消される超電磁砲
そんな絶対的な能力を持ってるくせに完全に怯えてた表情をむけてくる上条当麻

美琴「課題は出せたんでしょ?まさか無くして出せなかったなんて言うんじゃないでしょうね」



55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 21:01:34.15 ID:/UzWHYEo
美琴サイド

上条「いきなりレールガンとか?![ピーーー]気かビリビリ!!」

美琴「ビリビリいうな!で、課題が間に合って今週は休日が出来たんでしょ?
    なんでそんなしけた表情してたのよ。まさか追加の課題出されたわけ?」

上条「え?……ああいや、なんでもねーよ」

それよりさ、と謝辞を兼ねた事後報告をしてくる
さっきまでの不景気な表情とは真逆で、『たった今、悩み解決しましたー』といった笑顔だ
その様子からは昨晩のことまったく気にした様子はなかった
不幸体質のコイツのことだ。おそらく他の女のことでまた厄介事にでも巻き込まれていたのだろう
別に何もされてないが、それでも少しぐらい反応してくれてもいいのに……

上条「……というわけで、久方ぶりに今度の土日が休日に!!これで補講は青ピだけ。
    いや、本当に助かったー。美琴センセーに感謝感謝です。」

美琴「はいはい。そこまで言うならお礼の一つぐらい欲しいわね」

上条「お礼か、なんでもいいぞ」

美琴「…へ?いい、いいわよ別に!そもそも昨日の手伝いはお礼でやったんだし……」

上条「そうだったっけか。でもすごく助かったしさ」

お礼?なんでも??
コイツは今週末休みで、私は寮にいたくなくて、これ以上ウワサを広めるわけにはいかなくて
これはもしかしてチャンス?い、いやでもウワサ広めることになりかねないし

上条「それにしても昨日泊まっていけば良かったのに、今日普通に休日だろ?補講でもない限り」

美琴「え……はぁ」

上条「え?上条さんなにかおかしなこと言ったのでせうか?」

たとえ覚えて無くても、たとえ善意の言葉でも、
覚えてて言ってるのだとすれば、まだしも

その言葉への返答は、今の私には色々な覚悟がいる

美琴「昨日、何があったか覚えてないくせに……」ボソ

その一言で、コイツの表情が凍り付いてしまった



56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/16(日) 22:04:12.49 ID:/UzWHYEo
上条サイド

美琴「昨日、何があったか覚えてないくせに……」ボソ

その一言は、さっきまで夢だと確信していた昨日のあの出来事が、現実であると証明していた
つまり俺は……御坂を……?
ならなぜ?

美琴「おーい。無視すんなー」

なぜ御坂は俺の前に
昨日の出来事が本当なら、ジャッジメントが呼ばれてないとおかしいはず

美琴「おーい」

いや、ジャッジメントに頼らずとも、コイツなら俺をやれるだろうし
そもそも会いたくもないはずで、ここにいないはずではないのか

美琴「……私を……無視すんな!!!」

突然放たれた10億Vの雷槍
もう身体に染みついて取れなくなった反射神経がそれを難なく打ち消す
そのとき、初めて目の前に御坂がいることに気がついた
フーフーと肩で息をしながらこちらを睨みつけている

美琴「アンタ本当にどうしたわけ?さっきまでと……あれ、顔赤い」
上条「なあ、昨日もしかして…お前になにか危害を加えたのか」

最後の確認、最も否定して欲しかったそのセリフは

美琴「……覚えてるの?」

明確なイエスとして、突きつけられた



61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/17(月) 07:09:49.97 ID:fjEZLYAO
ワッフルワッフル


62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/17(月) 12:52:55.47 ID:.kCjbuc0
これは上条さんはもう責任取るしかないですね



76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/23(日) 00:10:26.07 ID:wE8cexYo
美琴サイド

上条「そう…なのか……」

さっきまでのテンションはどこへやら、ズーンと言う音が聞こえそうなほどコイツは凹んでいた
でも正直、昨日の話を1から話すのは勘弁願いたい。昨日の私はちょっとおかしかったし
少なくともコイツが罪悪感持つ必要はない、さっさと今まで通りの日常に戻りたかった

美琴「ちょろっと、なにマジになってるのよ
    勘違いしてるようだから言うけど、アンタは私に指一本手を出してないから
    アンタが途中で寝ちゃってから、布団に入れてあげたり課題解いてあげたり
    本当に疲れたわ。この貸しもちゃんと返してもらうからね」

ウソは一つも言ってない
あれさえなければこれだけの話で収まる
この話はここで終わり、次の話題に

上条「……なあ御坂」
美琴「なに?」
上条「正直に話してくれ。なんで昨日、夜に帰ったんだ?」

……覚えてるの?



77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/23(日) 00:11:08.33 ID:wE8cexYo
美琴サイド

……覚えてるの?

美琴「それは……途中で雨が上がったからよ
    雨が降ってたから泊めさせてって言ってたんだから、雨が止んで帰るのはおかしくないでしょ?
    夜道がどうとかは愚問よ。私はレベル5なんだから」
上条「……本当にそれだけか」

どういう意味?

上条「その……大丈夫だったか?手首に跡とか」
美琴「え……」

思わず手首を見てしまった
でも制服の上からじゃ跡なんて見えないし、敷布団の上からだったからもともと跡もついてないだろう
つまりアイツの完全な鎌掛け。
私の反応を見て、アイツの顔が暗くなっていく
誤解を解きたいのに、次の言葉が浮かんでこない

上条「悪い、本当は全部覚えてるんだ。あのときの感情も、感覚も
    それでまだ夜中なのに帰っちまう程ショックだったんだよな
    なのに俺はそれを夢だと思ってた。夢だと思いこんでた」
ズキンッ……

痛い。こういう辛い顔をされるのが嫌だから、哀しい顔をされるのが嫌だから思い留まれたのに
コイツは目に手を当て、ハハハと力無く笑い、そして俯いたまま動かない

おそらくコイツは、そのあとの実際にはない部分にも責任を感じている
記憶喪失になっても周りのことに気を配っていたコイツのことだ
自身の感情よりも、昨夜のことを優先してしまうかもしれない
このことでコイツに責任を感じてもらいたくない

上条「御坂……
    謝ってどうにかなる問題じゃないのは分かってる。でも…ごめんな
    本当に……え?」

そんな懺悔の言葉なんて聞きたくない
そんな謝罪の言葉なんて聞きたくない
聞きたくない 聞きたくない 聞きたくない!
私が悪いのに、コイツが悲しむことなんてあって欲しくない

どうすれば当麻に言葉が伝わるのか……わからないよ……



79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/23(日) 00:57:30.34 ID:wE8cexYo
上条サイド

上条「本当に……え?」

ふわっと後ろから包み込まれるように抱きしめられた
背中から心地よい熱を感じる
細い腕が身体を包みこむ
首筋に頭が、背中に胸が押しつけられる
脈拍が早くなるのを感じる、体が熱くなるのを感じる

まるで昨日の夜のように

上条「おい、みさ…」

「ごめんなさい」と、そう聞こえた気がした
御坂は俺に縋り付くようにして離さない
この感覚はどこかで感じたことがあった
どこ……だっけ、たしか……とても重要なことだった気がする



上条「泣いてるのかお前」
美琴「は?泣いてないわよ。ちょっと大人しくしてなさい」
上条「……いいのかよ」

わからない
御坂は何もされてないと言ったが、そこまでやってしまった相手をなぜ擁護したのだろうか
そこまでやられたのにどうして、どうして御坂は今まで通りに話し掛けてこれたのか

何も思ってないはずはない
同じベッドで寝てたこと、その後御坂が俺が目覚める前に帰りたくなることが起こったこと
普通に考えれば、能力が封じられて押さえ込まれた時点で恐怖を覚えないはずがない
そのことが原因で帰ったと考えるのが自然だ
罪悪感を持つなという方が無理だった
だからこそ、分からない

上条「御坂」
美琴「私はさ……アンタにその気がなかったのは分かってるし、そこまで罪悪感もたれても困るわけよ
    アンタが何想像してるのか知らないけど、さっきも言った通り私は指一本手を出されてないから」

御坂は俺に言い聞かせるように、語りかけてきた
御坂の腕に力が入る、頭を強く押しつけられる
このまま御坂の言葉に甘えてしまいたい
それで今まで通りの日常に戻れるなら、甘えてしまいたい
思えば、これが今まで通りの仲に引き返す最後のチャンスだったのだろう

上条「……いや、でも確かに俺はお前を」
美琴「昨日の晩だけ……でしょ?」

そして御坂は今度こそはっきり「ごめんなさい」と呟いた



83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/23(日) 01:54:39.56 ID:wE8cexYo
上条サイド

沈んでいく夕日に照らされた自販機の前には、一つの影しか存在しない
背中越しに御坂の体重と体温を感じられる
心臓の鼓動が更に激しくなる 周囲に人が居ないか心配でしょうがない
おそらく今の顔は熟れたリンゴより真っ赤に違いない
昨日もそうだったが、ここまで近づかれると正直心臓に悪い

美琴「ごめん、私アンタに謝らなきゃならないことがある
    これを聞いて軽蔑してくれてもいい」

首に頭を押しつけているため、御坂の表情はわからない
わかるのは小刻みに身体が震えていることと、腕に強い力がこもっていること
そんな今にも泣きそうな声でそう言われたら、拒否なんて出来なかった

美琴「昨日の夕食食べたあと、すぐに寝ちゃったでしょ」
上条「夕食?」

思い当たることはあった
食べたあとの妙な暑さ、そして眠気
疲れがたまったと思って大して気にしてなかった

上条「あの夕食に、なにか仕掛けたのか」

首に押しつけられた頭が下がる
少しだけ間が空く、どうやら言葉を選んでいるようだ

美琴「私……
    ア、アンタがあまりに私に無関心だったからさ
    だからつい出来心で、薬仕込んだらどうなるかなって……ごめん」



84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/05/23(日) 01:55:08.69 ID:wE8cexYo
なんだそりゃ
出来心でそんなの仕込まれたら堪ったものじゃない
他に理由があると信じたい。昨日の御坂はおかしかったし

上条「薬?」
美琴「……睡眠薬と媚薬、適量とかわからないから持ってたの全部」

黒子のこと言えないなーと呟く声が聞こえた
なぜ持ってたのかは聞かない方がいいだろう
御坂は初めての悪戯がばれて怒られた子供のように、俯いたまま動かない
昨日と今日で色々な御坂が見れている
場違いだがそれがちょっと嬉しい

ふと、頭にある光景が浮かんだ
「ごめんなさい」と呟き、腕にしがみつく少女

その少女と御坂美琴を重ね合わせてみる
一瞬、頭の中が真っ白になってしまった
……それは紳士な上条さんでさえ冷静でいられるか危うい破壊力だ

美琴「だからさ、アンタが気に病む必要なんてどこにもないのよ
    ……はい、おしまい」

最後の明るい声とは裏腹に、腕の力は弱くなっていった
このまま離れて、遠くへ行ってしまう気がした



117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/07(月) 00:11:37.72 ID:DhFVR8Qo
美琴サイド

終わっちゃったな……

空を見上げる
日もほぼ沈み、歪んだ空に光がなくなっていく
街灯の光が周囲を照らす主役となった
この瞬間も、自販機の前には1つの影しか存在しない

話が終わったあと、コイツはジッと空を見上げ、黙りこんでいる
コイツが今、どんな表情をしているのかわからない
怒っているのか、悔しんでいるのか、それとも失望しているのか
どちらにしても先ほどの会話を聞いて、コイツが気にしないと言うのは都合の良すぎる幻想だろう
部屋に押し掛けて、料理に薬を盛るだなんてどこの三文小説の展開だとつっこみを入れたくなる

手をほどいて一歩下がる
地面に映った一つの影が、二つに別れた
コイツは私を引き留める素振りを見せない
そもそもこっちに顔すら向けてくれない
視界の歪みが広がっていく

それはそうだ
もし仮に私が他の異性にやられたらどう思うだろうか
少なくとも引き留めるどころか軽蔑するだろう
そもそもその手の薬を持ってるだけでドン引きだ
いくら優しいコイツだって、もう見放すに違いない

もう戻れない
もうあの頃には戻れない
……明日から会いたくないな



118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/07(月) 00:23:33.34 ID:DhFVR8Qo

美琴「最後に何か質問ある?」

このまま別れよう
今はここにいるだけで、辛い

上条「……なあ確認だけどさ
    お前は帰ったあと、そのまま寝ちまったのか?
    薬とか良く知らないんだけどさ、睡眠薬飲んでまともに帰れるもんなのか」

……あれ?
昨晩は帰ったあと黒子と寮監の説教のせいで大して休めていないはず
なのに昨夜の夕食から今まで眠気に襲われた覚えはない……

でもコイツは媚薬の効果でああなったはずだ
なら睡眠薬だけ不良品だったのか
それとも量が足りなかったのか

美琴「……それは、アンタは沢山食べたけど私はそんなに食べてないし、あれの後、目が覚めちゃったから」

その言葉に「そうか……」と納得しているようだった
正直、その程度で黒子の薬が破れるとは思えないが、他に理由が思いつかない

上条「それとさ、お前二人で食べる料理に薬を入れたんだよな?出来心って」
美琴「……ええそうよ」
上条「お前確か、昨日の夜、俺に『ごめんなさい』って言ってただろ?
    俺がお前にその……事を起こしたあとならともかく、起こす前にどうして謝ってたんだ?
    俺、まさかその前にも何かしちまったのか?」

それは……なんて答えればいいだろう
後悔していた、自己嫌悪してた、反省していた等々?
どれも同情を誘う感じで生理的に嫌だ
そう言えば私コイツに泣き顔見られたんだ



119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/07(月) 00:28:29.96 ID:DhFVR8Qo

美琴「あ、あれは……さ」

ボッと顔が熱くなるのを感じる
あのときの記憶を思い出すだけで躁と鬱の感情まで蘇ってくる
一体コイツはどこまで覚えてるのだろうか
まさか、出来心の本当の理由まで看破している……?
いや、コイツに限ってそれはない

上条「……本当にお前だったのかよ」
美琴「はい?」

アイツは私の声を聞くなり、月のない空を仰いでそう呟いた

美琴「それどういう意味よ」
上条「いやさ、朧気ながら『縋り付いて謝ってくる少女』の記憶はあったんだけど、いつの記憶かわからなかったからさ
   俺過去の記憶がないから、不明な記憶は昨夜ぐらいしか心当たりがなくて」

……それで
それでコイツは一度のみならず二度までも私に鎌掛けを
コイツの記憶とやらは一度全てハッタリと思って臨んだ方がいいかもしれない
結局、コイツは何が言いたいんだ



120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/07(月) 00:32:14.45 ID:DhFVR8Qo

美琴「質問がすんだなら帰るわよ」
上条「いやまだ答え聞いてないんだが、昨日なんで謝ってたんだ?」
美琴「……一生悩んでろバカ」
上条「なんだよそれ、あのときの御坂は可愛いかったのに」
美琴「っ……」

……今、なんて?
いや、あのときのコイツは薬が効いてる状態で見たからそう感じてるだけ
それにコイツは無自覚でこういうことを言うヤツで、別に私だけが特別って訳じゃない
期待すると後のショックがでかすぎる

上条「ん、どうした」
美琴「今こっち見るなぁ!」

こっちを向かれる前に背中にタックルしてやった
コイツは「うわ!」と声を出し大きく前のめりになったが、5,6歩前に出て耐えきったようだ
顔を見られないように背中に顔を押し当てる
今、顔を見られるのは非常にまずい

上条「お前なぁ……」
美琴「意味分かんない!本当意味分かんない!!
    ……アンタ、怒りなさいよ。私が薬飲ませたこと
    アンタはさっきまで何で悩んでたのよ!」

今まで通りに戻りつつあるコイツに少し苛ついた
私の所為でさっきまであんなに悩んでたのに
私の所為であんなに傷付いてたのに
私の所為で、私の……

上の方からボリボリと頭をかく音が聞こえる
「藪蛇になっちまったな」と呟く声が聞こえた

上条「怒るっていうよりどうしての方が大きいな」
美琴「……そりゃ驚くわよね」
上条「なあ御坂、最後に一つだけ教えてくれ」


美琴「……いいわよ。なに?」



137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 00:03:33.22 ID:jRxQ4.2o
上条サイド

美琴「……アンタ、今なんて言ったの?」

そんなに意外な解答だったのか、御坂は珍しく質問に質問で返してきた
痛々しい御坂を元気付けようとあれこれ考えた結果が全て藪蛇になってしまったのはとても哀しい
終いにはタックルまでされるし……なんていうか、不幸だ

いやいや、ギュッと背中から抱きつかれている状態は決して不幸ではない。むしろ嬉しい部類に入る
しかし、これからくるであろう不幸の前兆がヒシヒシ伝わってきてそれを味わえる状況ではない
嫌な汗をかきつつ、慎重に言葉を選んで、言い直した

上条「いや、だからさ
    えと……あれは本当に媚薬、だったのでせうか?」

美琴「さっきと言ってることが違うじゃない!
    ……まあいいわ。それは確かよ
    私も実体験してるし、黒子もそう言ってたわ
    アンタはそれを沢山食べたんだから、そりゃ……暴走、するわよ」

そう言って、腕にギュッと力が込められる
言えば言うほど、御坂は傷ついていく
御坂の語る昨夜の出来事が事実だとしても、結果も結論も変わらない
だが、なぜ御坂がそれをしたかを考えれば見える世界が変わってくる

あの薬を体験したから言えるが、あれは決して誰にでも反応するものとは思えない
つまり、一緒の食事で御坂に反応がなかったのはどういうことか……その推測がちょっと切ない
そしてこういう結果になってしまい、アイツの中の俺は音をたてて崩れてしまっただろう

それでも今まで通りに振る舞ってくれていた
それを不作法に混ぜ返したのは俺だ
御坂は俺との幻想を守ろうとしてくれた
なら……どうするか

それに問題はそこではない
正直な話、昨日の真相は最早どうでも良くなっていた
今は、ただ御坂に悲しみを背負わせたくなかった

嫌だった
もうコイツの悲しむ姿は、見たくなかった
御坂美琴と彼女の周りの世界を守りたいと
誓いではなく、義務感でもなく、純粋に心からそう思った
なら……どうするか
答えはもう決まっている



141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 00:35:59.86 ID:jRxQ4.2o

上条「確かにな。媚薬飲んだ後にお前の姿見れば、次は抑えられる自信ないな」
美琴「……」
上条「ただでさえ昨日のお前は可愛かったのに、薬使われたらそりゃ手も出してしまいますよ」
美琴「……ぇ、え?」

キョトンとした声が返ってくる

上条「だからさ、昨日のお前はずっと可愛くて困ってましたよ
   それに加えて添い寝だろ?薬なんて関係ねえよ
   そんなんやられたら誤解するじゃねーか」

美琴「誤解……」

真っ暗な空を見ながら次の言葉を考える
誰もが笑って、誰もが救われる幻想に導けるように
御坂が臨んでいたであろう以前の間柄へ戻るために

上条「むしろ薬使われて良い言い訳ができました。罪悪感が半端無いですが免罪布頂きましたし?」
美琴「つまり……さ、どういう意味?」

御坂の手に力がこもるのがわかる

身体が密着してくる
控えめに自己主張する胸の感触が背中を支配する
今の御坂の表情がとても見たい

上条「だから薬なんて関係なくお前……あの、御坂さん?」
美琴「もういい」

軽く頭突きをされた
体は動かせないので首だけ回して後ろを見ると、俯いた御坂を確認できた
表情は読み取れない。ただ口調に元気はない
時折小刻みに首を振っている。何か考えているのかもしれない

美琴「わかったから……もういい」



142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 00:38:53.78 ID:jRxQ4.2o

何がわかったのかはわからない
ただ、御坂は安堵したのか腕の力を抜いてもたれ掛かるように力を抜いた
沈黙が場を支配する

上条「なぁ」
美琴「ねぇ」
上条「あ、先どうぞ」
美琴「……、や、やっぱり先に言って」

上条「ああ……だからな、昨日のことは二人とも水に流して
    明日からはまた今まで通りの友達でいてくれるか」

美琴「はい、……はい?」

御坂が「はい」なんて言うのは少し違和感があるが、了解してくれたならばそれでいい
明日からは今まで通りの仲に戻れるはず
一仕事終えた達成感が身体を支配する
またビリビリやられる日々が来るのは少々気重だが、昨日のことを引きずって別れるよりずっといい

上条「さあ今日はもう帰るか
    お前門限大丈夫か?遅れずに帰れよ」

これで大丈夫
互いの望む日常に戻れる

美琴「ちょ、ちょっと待ちなさいよ
    さっきのって、さっきのってどういう意味かしら」

緩んだ腕から離れようと前にでた瞬間、ギュッとまた抱きしめられる
何度やられても慣れない感触にドギマギしてしまう
こんな恥ずかしい真似、なんでコイツは堂々とできるんだよ

上条「へ?言葉通り、ですけど」
美琴「……」

あ、あれ?
御坂さんのテンションが急降下し始めたような……
何処で間違えた?俺、死んだ?ビリビリ?

美琴「はぁ、やっぱりアンタはアンタか」



143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 00:41:34.84 ID:jRxQ4.2o
美琴サイド

……はぁ!?
いや、わかってたけど
わかってたけど、なんかこう……もう少し

美琴「はぁ、やっぱりアンタはアンタか」
上条「なんだよそれ」

あんなに可愛いって言ってたくせに
薬なんか関係ないって言ってたくせに
誤解するだなんて言ってたくせに

アイツがあんなに悩んでて
私がやった行為は棚上げってことはつまりそう言う事じゃないの?

バカみたいだ。一人で舞い上がって
わかってたのに
期待すると後のショックがでかすぎるってわかってたのに

それに本当のところはわからない
さっきの鎌掛けにもあったようにアイツの記憶には穴があるし
コイツが私のために、適当な辻褄を合わせてくれただけかもしれない
でも、もうそんな些細なことはどうでも良かった
一つだけわかったことがあったから

美琴「……だ」
上条「だ?」

あんなことしなくても脈有りだったんじゃない

心の中で呟く
昨日のとはまた別の感情に支配されていく感覚がする

上条「あの……御坂さん?そろそろ離れてくれませんか
    こんなラッキーイベントが長々と続くと、あとあとでかい不幸が来そうで怖いのですが」

そう言ってアイツが後ろを振り向きそうになる度、何度も強く抱きしめる
思えば顔を見られたくなくて咄嗟にしてしまったが、これはすごい大胆な行動だ
そう自覚したときすぐにでも離れたくなったが、それでは今の顔を見られてしまう
なにより認めたくないけど、ここは居心地が良い
それにこの程度ではこのバカは気付かない

沈黙がこの空間を支配する
すでに日の光は無くなり、街灯と自販機の明かりが眩しいくらい辺りを照らしている
昨日に引き続き門限破りか……これはすごいのくるな
その思いとは裏腹に、顔の弛みが直らない

今まで誰もここを通らなかった幸運を噛み締め、耳元で囁いた

美琴「アンタさ、さっき言ってた"お礼"は有効なわけ?」



145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 01:29:32.65 ID:jRxQ4.2o
上条サイド

美琴「アンタさ、さっき言ってた"お礼"は有効なわけ?」

不意に、御坂が沈黙を破って話し掛けてきた
もうずいぶん前の話題に感じる

御坂はどうにか機嫌を直してくれたらしく、徐々に声が明るくなってきた
やっと今まで通りの日常に戻れる
安堵の溜息が思わずこぼれた

上条「おう、何でもいいぜ」
美琴「お礼は……そうね。今週末、私のお陰で土日休みになるのよね?
    土曜日、一日私に付き合いなさい。いいわね」

御坂の声がいつもの口調へと戻る
それだけで日常に戻れた安堵感に浸れた
今は、この日常を壊したくない

上条「了解。待ち合わせから送りまでやらせてもらいますよ」
美琴「いや、帰らない」
上条「へ?」
美琴「その日は帰らないから」

嫌な汗が流れる
表面的にはかつての仲に戻りつつある
だがもう今までの日常へは戻れない
その考えが頭をよぎる

上条「い、いやお泊まりは無しで!もう勘弁だ。それにお前中学生だろ!」
美琴「一日よ一日。さっきは『泊まっていけば良かったのに』とか言ってたくせに」
上条「じゃあ二日とも御坂のために時間あけといてやるから」
美琴「私にたって用事はあるのよ。一日ぐらい我慢しなさいロリコン」
上条「ロリコンじゃねえしなんの我慢だよ。……あ、いややっぱり言わないで下さい」

美琴「じゃあ、せめて……さ」

身体を回され、御坂と向き合う形になる
御坂は俯いたまま、俺の肩に手を置いた
じっくりとため、そして何か決意したように告げた

美琴「ね、お願い…今日は一緒に寝て欲しいんだけど…」
当然、間髪入れずに断った





146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 01:30:21.37 ID:jRxQ4.2o
以上です
後半グダグダ+遅レスですみません。今の全力です
乗っ取り如きに多くのレスありがとうございました


149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 03:43:49.25 ID:YKP7jnUo

だけどスレも一杯残ってるし色々と投下してくれると嬉しい



151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 08:00:31.13 ID:sLEmKwAO
後日談マダァ?(・∀・)っ/凵⌒☆チンチン


158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/15(火) 05:22:36.23 ID:vMllNlEo
蛇足

常盤台A「御坂さま……なんて可愛らしい……」
常盤台B「あの殿方、御坂さまになんて事を」

白井「はいはい静かにしてくださいまし」

あの類人猿……上条当麻が羨ましくもお姉さまに後ろから抱きつかれている
現在自販機を中心とした周囲一体は常盤台中学のお嬢様に囲まれ、黄色い悲鳴と共に盛り上がっていた
勿論、お姉さまのAIMに入らない距離で、主役の御二方には見つからぬよう各々の能力を展開している

現時点でこのようなことになってしまった理由は、"あの寮監"のお許しが出たことだ
なんでもお姉さまの今後のためだとか、今でも良くわからない
むしろエースとしての威厳を壊しかねない気がするのだが
更には統制役として私に働きかけてくる始末

寮監様、黒子はときどきあなたのことがわからなくなりますの

常盤台D「キャー!御坂さまが!俯いてお顔を真っ赤に!!」パシャパシャ
常盤台B「白井さん!テレポートであの殿方の髪の毛を、髪の毛を!!」
常盤台E「燃やしたい……あの俯いてへたれている殿方の髪形はあまりにも不良……」
常盤台C「白井さん、御坂さまが殿方をお口説きに……」

白井「……とりあえず静かにしなさいな」

一番叫びたいのは私ですのに
……いいや泣いてしまいたい
どうしてお姉さまはあんな類人猿をお選びに……

常盤台C「白井さん、今御坂さまが『悪いのは全て私よ』って」
白井「……嘘仰らないで下さいまし」

夜はまだまだ長い
ここに来た常磐台集団のテンションも依然高い
早く密会が終わり、何事もなかったと報告をしたい

常盤台C「白井さん、御坂さまが泣きはじm……」
白井「なんですの!あのるいj……殿方がまさか粗相を!!おのれあの類人猿がああああああああああああああああああ!!!」
常磐台A「白井さん煩いですわ」

最後に爆弾発言が飛び出すことを、白井黒子はまだ知らない



154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 19:11:16.40 ID:s7Vti1Y0
よかった



155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/13(日) 23:13:02.90 ID:77ruC6AO
甘酸っぺぇぇぇぇぇ!!!!


160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/06/16(水) 05:57:11.29 ID:Qpx8WHo0
最高でございした




※4968さん指摘ありがとうございました。

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禁書目録SS   コメント:2   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
4968. 名前 : あ◆- 投稿日 : 2011/03/20(日) 02:19 ▼このコメントに返信する
最後重複してますよ。

22550. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆- 投稿日 : 2012/06/11(月) 03:41 ▼このコメントに返信する
ゴメン、俺文盲なのかな?文章が度々解らなくなる。媚薬を飲んだ美琴が?体調悪くなって?でもすぐ元気になって?デートして?ゴメンナサイこのSS何が書いてあるのか全然判んないです。
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