1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:17:36.07
ID:yTMWqyvEo
― 魔王城 ―
剣魔将「これより四天王会議を行う」
理魔将「こうして四人で顔を突き合わせるのも、ずいぶん久しぶりのことですね」
竜魔将「ケッ、とっとと始めようぜ!」
剣魔将「……幻魔将は、まだ来ていないのか。相変わらずルーズな奴め」
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:18:28.88
ID:yTMWqyvEo
幻魔将「ヘロー」ヘラヘラ
剣魔将「遅いぞ、どこに行っていた」
幻魔将「ボクは幻を司る将……どこにいるか報告する義務はないさ。幻なんだから」
竜魔将「あぁん!? なに気取ってやがんだよ!」
剣魔将「もういい、これで四人全員揃った。さっそく会議を始めるぞ」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:20:47.30
ID:yTMWqyvEo
剣魔将――
騎士のような姿をした魔族で、魔界一の剣の達人。四天王のリーダー格。
理魔将――
不気味なローブをまとった魔族。高い知力と魔力を併せ持つ。
竜魔将――
猪突猛進な巨大な竜で、破壊力と耐久力は魔王軍一を誇る。
幻魔将――
幻術での搦め手を得意とする。掴みどころのない性格をしている。
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:23:08.37
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「勇者パーティの進撃はとどまるところを知らぬ」
剣魔将「先日も北のノース王国が勇者どもの手によって、解放されたという」
竜魔将「へっ、あんなの小国じゃねえか。オレに任せりゃすぐ取り戻してみせらァ!」
理魔将「やれやれ、あなたは図体も大きければ、叩く口も大きいですね」
竜魔将「ンだとォ!?」
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:25:28.04
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「勇者どもをこれ以上のさばらせるわけにはいかない」
剣魔将「我ら四天王の手で、確実に勇者どもを葬り去らねばならん」
竜魔将「よっしゃ、だったらオレにやらせてくれよ」
竜魔将「オレの爪で、勇者どもを一人残さず引き裂いてやる!」
理魔将「おやおや、また大口ですか。逆に引き裂かれる未来が見えるようですよ」
竜魔将「テメェ……!」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:27:46.65
ID:yTMWqyvEo
理魔将「剣魔将、ここは私にやらせなさい」
理魔将「私の魔法と知略で、勇者たちを地獄に叩き落としてやりますよ」
幻魔将「あーあ、なんか立っちゃってるよ」
理魔将「立つ?」
幻魔将「死亡フラグってやつがさ~」クスクス
幻魔将「どうせ策士、策に溺れる……なんてことになるんじゃな~い?」
理魔将「いってくれますね、幻魔将……!」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:29:43.98
ID:yTMWqyvEo
幻魔将「ここはボクに任せておくれよ」
幻魔将「ボクの幻で、勇者たちを戦わずして仕留めてみせるさ」
竜魔将「幻ィ? そんなスカスカなもんで、あの勇者どもを倒せるかよ!」
幻魔将「おいおい、今のはちょいとカチンときたよ」
幻魔将「脳みそがスカスカなキミなんて、ボクのいいカモなんだよ?」
竜魔将「上等だ……!」ビキッ
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:32:24.39
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「三人とも、やめろ」
剣魔将「ここは確実に勝たねばならん。やはりこの私が出るのがベストだろう」
竜魔将「あん? おめえ、いつまでもリーダー面してんじゃねえぞ!」
剣魔将「なんだと?」
理魔将「今は一応あなたをリーダーとして立てていますが……」
理魔将「私がその気になれば、いつでもあなたなど引きずり落とせるのですよ」
剣魔将「ほう……ずいぶんなめた口を聞くようになったな、未熟者ども」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:34:46.61
ID:yTMWqyvEo
幻魔将「剣で幻は斬れない……これ常識」
幻魔将「ボクとキミがやり合ったら、100%ボクが勝つだろうね」
剣魔将「愚かな奴らだ……そこまで言われて黙ってはおれんな」
剣魔将「魔界一の剣士の実力、とくと味わい――」
「よさぬかッ!!!」
四天王「!!!!」ビクッ
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:36:38.70
ID:yTMWqyvEo
竜魔将「ま……」
理魔将「魔王様……」
魔王「貴様ら、四人集まるといつもいつもいがみ合いおって!」
魔王「たとえ能力が優れていても、そんなことでは勇者に足をすくわれるぞ!」
魔王「よいか、次の四天王会議でこのような醜態を晒したら、絶対に許さんからな!」
四天王「…………」
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:38:52.27
ID:yTMWqyvEo
一週間後――
剣魔将「皆さん、おはようございます」
剣魔将「定刻になりましたので、これより四天王の定例会議を行います」
竜魔将「はい」
理魔将「はい」
幻魔将「はい」
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:41:33.65
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「ノース王国を解放した勇者パーティは着実にこの魔王城に近づいてきています」
剣魔将「皆さん、なにか勇者たちを食い止める有効な策はありますか?」
理魔将「はい」サッ
剣魔将「理魔将、どうぞ」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:44:03.29
ID:yTMWqyvEo
理魔将「勇者及びその仲間は強敵です」
理魔将「ここは四天王の軍を結集させて勇者に挑むべきではないかと」
剣魔将「おっしゃる通りですね」
竜魔将「でしたら先陣は私の率いる竜の軍勢にお任せ下さい」
竜魔将「竜の攻撃力のタフネスがあれば、勇者たちもひとたまりもないはず」
幻魔将「それに私の幻術師集団を加えれば、勝利はさらに盤石になるかと」
剣魔将「素晴らしい。とてもいいコンビネーションですね」ニッコリ
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:46:23.35
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「ならば私も魔剣士兵団を出しましょう」
理魔将「私も魔術師団を派遣しましょう」
理魔将「このホワイトボードの図のように……」キュッキュッ
理魔将「剣と竜の軍団を、幻術と魔法がサポートする」キュキュッ
理魔将「この万全の布陣には、勇者パーティといえどなすすべがないに違いありません」
剣魔将「ええ、そのとおりです。必ずや勝てます」
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:48:32.39
ID:yTMWqyvEo
竜魔将「絶対に勇者を倒しましょう」
理魔将「ええ」
幻魔将「我々が力を合わせれば、絶対勝てますよ」
剣魔将「では、四天王会議を終わります。各自、準備に――」
魔王「待ていッ!!!」
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:49:58.25
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「なんでしょう、魔王様?」
魔王「やっぱり……元に戻そう……」
理魔将「へ?」
魔王「今分かった。四天王の会議なんて多少いがみ合ってるぐらいでなきゃいかんわ」
魔王「なんか……どっかの会社の会議を見てるみたいで全然ムードが出ない……」
19:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 20:52:15.81
ID:yTMWqyvEo
剣魔将「あの……そもそもの話、我々は元々仲良し四人組だったんですけど……」
魔王「え、そうだっけ?」
理魔将「だけどそれじゃ魔族っぽくないからいがみ合えって言われて、いがみ合って……」
竜魔将「いがみ合ったら、やっぱり足をすくわれるから仲良くしろ」
幻魔将「仲良くしたら、ムードが出ないから元に戻せ、ですか」
剣魔将「我々は一体どうすべきなんですか!」
四天王「ハッキリして下さい、魔王様!!!!」
魔王「ご、ごめんなさーいっ!」
― 終 ―
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 21:00:58.47 ID:3XTo5wbXo
ギャップとオチで笑った乙
この魔族たちだと和平交渉出来そうな気もする
25:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 21:22:21.73 ID:pHGMZetAO
みんなノリノリでやったんだろうなww
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/28(土) 21:00:07.55 ID:b8mqGtdMo
ワロタ乙
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464434255/
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