僕は友達が少ない (MF文庫J)前→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その11最初から→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」294 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 22:36:07.02
ID:b+UzxjoxO 携帯電話の電子音で目が覚めた。
端末を開かずとも、その電子音が電話の呼び出しではなく、eメールが受信された事を教えてくれていた。
寝ぼけた頭で眺めた部屋の中が未だ薄暗いのを確認して、ブラインドに指で隙間を作り、窓の外を見る。
雨音が聞こえないところを考えると、夜半に降り始めた雨はもうすっかり上がっている様だ。
少し空に明るみがさしてはいるものの、夏の夜の短さを考えれば、まだ目を覚ますには随分と早すぎる。
一体こんな時間に誰からのメールだろう。
枕もとのペットボトルのミネラルウォーターを一口飲み下し、端末を開きメールの受信ボックスを表示させる。
差出アドレスが空欄。
添付データあり。
明らかに普通ではないそのメールに一抹の不安を覚えつつ、その内容を表示させるボタンをクリックする。
受信ボックスから内容表示の画面に移動した途端、端末の液晶画面に巫女装束を纏った女性の姿が表示された。
五条(……?見覚えの無い女性ですね……)
298 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 22:46:59.70
ID:b+UzxjoxO 顔立ちこそ整ってはいるものの、まるで証明写真でも撮っているかの様に無表情に写真に収められているその女性に見覚えが無いことを確認し、画面を下部へとスクロールさせる。
画像が途切れ、次第にその下に記された文章が表示され始めた。
"姫神 秋沙(ひめがみ あいさ) "
"原石として『吸血殺し(ディープブラッド)』の能力を所持"
"現在学園都市内の何処かに潜伏している可能性あり"
"彼女の居所を至急調査すべし"
"アレイスター統括理事長"
最下部に表示された署名を確認して、眉間にシワを寄せる。
刹那、唐突に携帯電話の電源が落ちた。
再度携帯電話の電源を入れなおし、先のメールを確認する。
──────無い。
五条「……ククク……」
夜も明けていない内から、随分と効果的な嫌がらせをしてくれる。
五条(……進んで動く義理もありませんが……施しを受けっぱなしというのも余り良い気はしませんね……)
瞼を閉じ、先の巫女装束を纏った女性の顔を思い浮かべる。
五条(……まぁ、都合よく見つかるとも思えませんが……見つけたら、調査程度はしておきますか……)
時計に目線を送り、未だ午前の四時を回ってもいない事を確認した後、再度ベッドに身を投げた。
・
300 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 22:55:46.09
ID:b+UzxjoxO ────────────
八月四日 夏休み十六日目
────────────
ぴんぽーん
眠りを貪っていた耳に、来客を告げるチャイムが届いた。
ピンポーン
次いで二度。
靄の降りる頭を一気に覚醒させ、自室のドアへと向かう。
届け物?宗教の勧誘?
憶えの無い来客が居るであろうドアの外に向かい声を投げる。
五条「……ククク……どちらさまですk『私ですの』
ドアと向かい合って立つ自身の後方から、転送能力者の声が響く。
ため息を一つ吐き出してから、ゆっくりと後ろを振り返った。
赤いリボンで二房に束ねられた頭髪。
まるで猫の様な瞳で悪戯そうな笑みを浮かべている、休日だというのに制服に身を包んだ風紀委員の少女の姿がそこにあった。
いつもその腕に飾り付けられている盾の紋章が刻まれた深緑の腕章は無く、その片手にはビニール袋がぶら下がっている。
黒子「今お目覚めですの?随分ごゆっくりですのね」
言われて時計を眺める。
午前9時25分。
健全な中学生としては、休日にこの時間まで惰睡を貪るのは、決して随分ゆっくりなどと評されるものだとは思えないのだが。
307 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:04:16.24
ID:b+UzxjoxO 五条「……ククク……オレの部屋の住所を知っている理由は、この際不問とします……しかし……」
黒子「……?」
五条「……オマエはもう少し、ドアの役割というものを憶えておいた方が良い……」
黒子の目線が、自分の身体を走る。
下半身こそ、色落ちさせる為のジーンズを身に着けていたから良いものの、上半身には身体を覆う衣服の類は何一つ身に着けていない。
みるみる内に黒子の顔が紅潮し、その視線を塞ぐためか、両手で顔を覆う様に隠した。
黒子「ッ……これは御失礼ッ!」
両手で顔を覆って視界を遮るのは別段構わないが、何故チラチラと指の隙間からこちらを伺っているのだろう。
黒子「……線は細いですけれど、案外逞しいのですわね……」
チラチラとこちらを見ながら何やら呟いている彼女を残し、風呂場へと向かった。
────────────
黒子を部屋に残したままシャワーを浴び終え、洗面台にて手早く髪の毛をセットする。
風呂場を出ると、途端に空腹を煽る匂いが鼻についた。
匂いの元を辿ると、制服の上にエプロンを身に着けて鼻歌を歌いながら鍋をかき混ぜている黒子の姿が目に入る。
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:05:55.30 ID:Ww+gUGcH0
五条さんに中学生相当の体型を思い描けない316 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:12:24.55
ID:b+UzxjoxO 五条「……?ククク……何をされているのですか……?」
黒子「あら、お上がりですの?ちょっとお台所を拝借しておりますわ」
彼女の背中越しに、かき混ぜられている鍋の中を見る。
優しいコンソメの匂いを放つ茶色く澄んだスープの上に、スライスされた玉ねぎが漂っている。
黒子「……すぐに済みますので、勝さんはおかけになってて下さいまし」
五条「……はぁ……」
返答し、リビングのソファに座りテレビをつける。
朝のワイドショーでは、先日壊れた人工衛星の破損原因が宇宙人の仕業である、等とリポーターが喚き立てていた。
黒子「卵はどうされます?」
背後のキッチンから声が投げられたので、ソファに腰掛けたまま背もたれを反り変え、黒子と目を合わせる。
五条「……お任せします……」
黒子「でしたら、オムレツにさせて頂きますの」
次いで、じゅうと威勢の良い音と共に、バターが焦げる匂いが室内に満ちた。
黒子「換気扇は」
五条「そこのボタンです」
黒子「ああ、これですのね」
ボタンを押し、ふんふんと鼻歌を歌いながら菜ばしでボールの中身を攪拌する黒子の様が見える。
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:13:54.59 ID:Ww+gUGcH0
新 婚 生 活318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:14:47.69 ID:P+jcv2S+0
黒子は変態趣味さえ無ければハイスペックだからなぁ319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:16:18.27 ID:fVie7af30
まぁ この黒子になら
俺の五条さんを 任せても いいよ320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:17:06.55 ID:ZWl63MBy0
皆の五条さんなんだぜ321 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:21:16.33
ID:b+UzxjoxO 五条(……朝食を……作っているのですよね……どう見ても……)
フライパンの取っ手を持ち上げ、ポンポンと腕を叩いている黒子を見続ける。
存外に手際の良いものだ。
確か常盤台はお嬢様学校だったはずだが、一般教養として料理も身につけさせられるのだろうか。
ひょいと二つ分のプレートを両手に持った黒子が、キッチンからこちらへと歩み寄ってきた。
黒子「簡単なものですみませんけども」
眼前にプレートが置かれる。
バターの匂いが香ばしい主菜のオムレツが、ふるふると揺れているのがわかる。
その脇をに盛られたサニーレタスと刻みパプリカとオニオンスライスには、薄い桃色がかったドレッシングがかけられており、見た目に華を添えてくれている。
黒子「食べられないものはありませんわよね?」
次いでぱたぱたとキッチンから掛けてきた黒子の手には、先に鍋の中で暖められていたスープが汲まれた皿が持たれていた。
眼前を通過した皿の放つ匂いだけで、おなかが音を立てそうになる。
茶色く澄んだスープの上にはとろけたチーズが漂い、その中心を散らされたパセリが彩っている。
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:23:59.07 ID:twcXhGr+P
うらやましいな
俺と代わってくれ、黒子!324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:24:20.53 ID:P+jcv2S+0
だが、ハンバーグは無かった!335 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:28:23.58
ID:b+UzxjoxO 黒子「では!」
最後に、適度な大きさにカットされたバゲットを盛ったバスケットが、どんとテーブルの中央に置かれた。
「『頂きます』」
────────────
五条「……一体、どうされたというのですか……?」
プレートの表面を泡立ったスポンジでこすりながら、ソファーでTVを眺めている黒子へと言葉を投げた。
黒子「……?何がですの?」
先の自分と同じく、背もたれに反り返る様にして逆さになった黒子の顔がこちらを向いた。
五条「……いえ、大変美味しかったので助かりましたが……何故急に朝食を作りに……?」
"美味しかった"のと言葉にした辺りで、彼女の表情が柔らかくなった気がした。
黒子「殿方のお一人暮らしですと、まともなお料理を口にしてそうにも無かったので気にかかりましたのでっ!」
逆さのまま、フンと自慢げに鼻を鳴らす黒子。
言い終えると、今度は途端に少し申し訳のなさそうな表情になり言葉を続ける。
343 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:34:59.26
ID:b+UzxjoxO 黒子「あとは……昨日の誤解のお詫びも兼ねましてですわ」
五条(……昨日……)
ずきりと足の裏に痛みが走った気がした。
一瞬血の気が引いたのを理解した後、プレートの水気を切り、食器乾燥機へと立てかける。
きゅ、と蛇口を捻り水道の水を止め、傍らのタオルで手を拭く。
五条「……別にもう構いませんよ……」
言葉を返し、リビングへ足を運ぶ。
と、未だ逆さにこちらを見ている黒子と目が合った。
黒子「……?」
普段自分が座っているソファー中央のポジションに、黒子が腰掛けている。
五条「……ククク……どいて頂けますか……?」
黒子「……ここが一番テレビを見やすいですわね」
五条「……ええ……オレの指定席です……」
黒子「……」
五条「……」
暫し、互いに無言で見つめ合う。
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:36:26.96 ID:ZWl63MBy0
ドキドキドキドキ348 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:37:14.97 ID:ptcIT1dYO
おい…この展開は、まさか…352 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:39:57.57
ID:b+UzxjoxO 黒子「……こういう時は、ご来客を優先されるのが常ではございませんの?」
五条「……招いた客でしたらね……ヒヒヒ……」
黒子「……その前髪、絶対後ろにお流ししておいた方がよろしいですわよ」
五条「……うるさいですよオマエ……」
黒子「……こうして見ると、案外オデコがお広いですのね」
五条「……だからうるさいですよオマエ……」
黒子「……」
五条「……」
逆さの状態の彼女と見つめあう。
黒子「……首が疲れますの」
五条「……戻せば良いでしょう……」
ふっと彼女は上体をもどし、はあと深くため息をついてその身体を少し浮かせ、左へと移動した。
黒子「……折衷案ですわ」
ぽんぽんと、空いたソファの右側が叩かれる。
五条「……ククク……」
自分も軽くため息をつき、叩かれた箇所へと腰を据えた。
362 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:45:05.28
ID:b+UzxjoxO ────────────
ワイドショーのスタッフロールが終わり、さして面白くも無い昼のドラマが放映され始めた。
一通りのザッピングを終え、興味を引くチャンネルも無かったので、テレビの電源を落とす。
黒子「……考えてみたら、こうしてプライベートでお会いするのは初めてでしたわね」
隣の黒子が呟いた。
五条「……ククク……いつもオマエが仕事中の時にしか顔を合わせませんからね……」
黒子「……小学校の頃のアルバムとか、ございませんの?」
五条「……無いのです……色々とワケがありまして……」
黒子「……そうですの……」
五条「……えぇ……」
黒子「勝さんって、普段は何をされてますの?」
五条「……?」
黒子「こういう予定の無い日ですわ」
黒子の問いに、暫し頭を捻る。
366 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:50:47.26
ID:b+UzxjoxO 五条「……ククク……洗濯……?」
黒子「他には?」
五条「……掃除とか……ヒヒヒ……」
黒子「……他には?」
五条「……筋トレ?」
はあ、と黒子がため息を吐き、首を横に振るのが見えた。
次いで、すくっと立ち上がる彼女。
黒子「……出かけませんこと?お暇なら、お買い物に付き合って下さいまし」
────────────
両手に紙袋を抱えたまま、いつぞやの公園のベンチに腰掛ける。
黒子「あ、ちょっとお待ち下さいまし」
公園の脇に停まっている移動販売の車へと黒子が駆け出した。
……暑い。とにかく暑い。
夏の昼間なのだから至極当然のことなのだろうが、昨晩の雨の影響も相まってか街中で感じる熱気は一段と湿度を帯びていて、ただ歩いているだけでも身体中が汗だくになるのが判った。
ふと目線を向かいの茂みへ投げる。
陽炎に揺らぐ茂みの影で、白梅の花飾りがヒョコヒョコと揺れている。
この猛暑の中公園で遊ぶ元気がある子供がいるなんて、流石は学園都市としか言いようがない。
黒子「お待たせしましたの!」
373 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:54:26.03 ID:ptcIT1dYO
前は美琴が覗いてるっぽかったが、今度は誰だ?白梅の髪飾り…?371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:53:55.22 ID:Ww+gUGcH0
スーパースキャン!スーパースキャン!369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:52:16.51 ID:F3qpjAFwP
ウイハルー370 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:52:28.33 ID:P+jcv2S+0
みんな陰から監視っつーか覗いてるのかよw372 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /03(金) 23:54:19.93 ID:fVie7af30
監視っつーか認識されまくりだな
認識阻害?なにそれおいしーの?状態だw374 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /03(金) 23:55:19.99
ID:b+UzxjoxO 唐突に視界をカキ氷が塞いだ。
真っ白な氷の上にかけられている真っ赤なシロップが、口に運ぶ前からその冷たさを際立たせ、若干涼感を感じられた。
黒子「荷物持ちの報酬ですわ」
カキ氷の先へと視線をやると、またも自信たっぷりな笑みを浮かべている彼女の姿。
その手に持たれているメロンのシロップがかかったカキ氷。
視線に気付いた彼女が自分のカキ氷を見て言葉を吐く。
黒子「……?こちらの方がよろしいですの?」
口を開かぬままこくりと頷き、メロン味のカキ氷を受け取った。
────────────
シャリシャリとカキ氷を食べていると、不意に横から伸びたスプーンが、自分のカキ氷を一掬いさらって行った。
五条(……?)
気にもせず、再びしゃりしゃりとカキ氷をかき混ぜ、口に運ぶ。
380 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:00:04.91
ID:tO24yqkRO 再度横から伸びるスプーンと、一口分さらわれるメロン味のカキ氷。
五条(……)
しゃりしゃりとカキ氷をかき混ぜる。
黒子「……勝さん」
隣から声を掛けられ、黒子へと向き直る。
五条「……ククク……どうされましたか……」
黒子がイチゴ味のカキ氷を眼前にずいと伸ばしてくる。
黒子「……食べられませんの?こちらは?」
……いまいち、質問の意図がわからない。
五条「……いえ、結構ですが……」
黒子「……そうですの……」
はぁ、と息をついたかと思うと、一転してガツガツと自分のカキ氷を貪り始める黒子。
本当に忙しい女だ。
ずずずずず……
黒子「っくあぁー!」
カップの底に残ったシロップを飲み干した黒子が大きく息を吐く。
そんな様子を見て、自分のカキ氷に視線を落とした。
既に完食した彼女に対して、自分のカキ氷は未だカップの三分の一ほど残っている。
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:01:49.30 ID:PyOYGksU0
五条さんの 凄い DFテクニック
鉄壁のガード力 流石っす382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:02:56.84 ID:bMeS9Hx50
乙女だ!乙女がおるぞ!384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:03:58.17 ID:zGAZwS5IO
ただ、鈍い
純粋に鈍い386 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:04:48.01
ID:tO24yqkRO 黒子「ごゆっくりお召し上がりなさいませ」
こちらの様子を見て取ったのだろうか、再度黒子へ視線を移すと、彼女は満足気に微笑んでいた。
五条「……えぇ、わかりました……ヒヒヒ……」
多少、ペースを上げてカキ氷をつつく。
黒子「そういえば、初めて勝さんとお会いしたのも、この公園でしたわね」
五条「……そうでしたね……」
黒子「……早いものですわ、もうあれから季節が一周しようとしているのですから」
そんな言葉に手を止めて、黒子を見る。
何か大切なものを懐かしむ様な表情で、眼前の陽炎を眺めていた。
再び手を動かし、少し残ったカキ氷のカップを口に当てると、残ったシロップもろとも、一気に飲み干した。
次いで、キーンと言う頭痛が襲ってきて身震いする。
くすくすと笑い声が聞こえたので黒子を見ると、おかしそうに口に手を当てていた。
黒子「ゆっくりで結構と申しましたのに…」
言って、再びおかしそうに笑う彼女。
少し気恥ずかしくなったので、立ち上がり、言葉を吐いた。
五条「……ククク……さて、喉の渇きも癒えましたし……」
388 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:08:23.42
ID:tO24yqkRO 五条「……昼食でも取りに行きましょうか……」
言って腕時計に目線を送る。
午後一時半。
若干遅くも感じるが、昼食を取るには丁度良い時間帯だ。
黒子「……ではここからは、エスコートして下さいまし」
黒子が立ち上がり、スカートのふちをポンポンと叩いた。
五条「……丁度、前から行きたかった店があるのです……」
────────────
黒子「……で?ここがそのお店ですの?」
五条「……ククク……」
眼前には、午後も2時を回ろうとしているにも関わらず、多数の行列。
通りに面してガラス張りになっている厨房内では、この暑さに関わらずビシッとコック服に身を包んだ店員が、世話しなく次々と肉の塊を鉄板に乗せている。
"ステーキ&ハンバーグ ぼん"
最近学園都市にオープンしたばかりのその店舗は、その値段の安さと品質の高さから評判が評判を呼び、連日超満員の賑わいを見せている。
本日も炎天下に関わらず多数の客が長蛇の列を作っており、遊園地の人気アトラクションと見紛う程の待ち時間が予想された。
392 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:10:21.86 ID:uTNEJqicO
ついに…ついにこの時が…!398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:13:26.02 ID:W0T+TaEw0
ハンバーグ焼いて来ていいのかい?399 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:13:47.47
ID:tO24yqkRO 黒子「……これに並びますの?」
隣の黒子が、愕然としながら言葉を吐き出した。
五条「……ええ……もちろんです……もちろんですとも……さぁ……並べッ……純粋に……!」
店内から漂う芳しい香りに胸が踊り出すのが判る。
若干引いている黒子の袖を摘みながらずるずると引きずり、最後尾へと並んだ。
黒子「……何時間待たされますの、一体」
列が、少し前に進む。
五条「……些細な事です……ヒヒヒ……」
再び、列が少し前に進む。
黒子がはあ、と息を吐くのが見えた。
黒子「本当にお好きですのね、ハンバーグが」
五条「……ええ、嫌いじゃあありません…ククク…アーッハッハッハ!」
黒子「恥ずかしいから、ここで笑うのはお止め下さいまし!」
列が前に進む。
黒子「……?」
列が前に進む。
黒子「……何か、異様に進みが速くございません?」
五条「……気のせいでしょう……ククク……」
403 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:17:06.41 ID:fS2KJan20
>黒子の袖を摘みながらずるずると引きずり
なにこれかわいい402 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:16:41.62 ID:W0T+TaEw0
まさかハンバーグの為だけに能力を…!?405 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:18:03.66
ID:tO24yqkRO 後に白井黒子は語る。
『あの時の勝さんの目の輝き方は、明らかに異様でしたわ』と──────
────────────
並び始めてから30分程が経過しただろうか。
ようやく次に自分達が店内に足を踏み入れる番となった。
『こちら、よろしければお待ちの間にご覧下さい』
店の外に立っていたウエイターが、メニューを手渡してきた。
黒子「あらあら……」
五条「……ククク……A5黒毛和牛ですか……」
真新しいメニューに並ぶ品は、どれもこれもが美味そうに感じられる。
黒子「……最近少し食べ過ぎて怖いのですけれども……」
五条「……3セット……3セットまでなら行けますかね……」
カランカラン
『ありがとうございました──!』
店のドアが開く音がして、次いで店員の威勢の良い挨拶が響き渡る。
412 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:21:28.69 ID:X6plB/Pf0
黒子「……何時間待たされますの、一体」
↓
30分で入れた
無意識に能力使っただろこれwwww418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:25:14.05 ID:NHPPnVME0
「アア・・・?ナニヤッテタンダッケ・・・」
「ウ・・・ウチニカエラナイト・・・」
「ハン・・・バ・・・グ・・・テ、ナンダ・・・?」
「帰れ…純粋に……ククク…アーッハッハッハ!」414 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:23:22.77
ID:tO24yqkRO 五条(……ッ!来ましたかッ!)
高まる胸を押さえきれず、弾かれる様に反射的に、目線をドアへと向ける。
その視界に写ったのは、真夏だと言うのにしっかりと着込まれた巫女服。
視界を上げる。
いっそのこと、悪い夢であって欲しかった。
そして悪い夢ならば、直ぐに覚めて欲しかった。
何故、何故よりにもよってこのタイミングなのだ。
ドアから出てきたその巫女服を纏う少女は、今朝方統括理事長より送られてきたメールに添付されていた画像に写っていた吸血殺し(ディープブラッド)
──────姫神 秋沙に相違なかった。
──────to be continued──────
416 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:24:22.32 ID:W0T+TaEw0
いやいやいや、食わせてやれよwwww419 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:25:58.19 ID:HAn85qhC0
五条さん……(´;ω;`)420 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:26:12.83 ID:X6plB/Pf0
五条さんカワイソス426 :
五条ファン ◆APKLrJzDFw :2010/12 /04(土) 00:33:39.47
ID:tO24yqkRO 以上、本日投下分となります
支援&保守を頂きました皆様
関係各位の皆様
いつもありがとうございます
前回の反動で明るくやり過ぎた感がありますが、今回みたいなノリの話はやっぱり書いてて面白いモンです
このワクワクを抱えたまま、お嬢に一票入れます
さて、明日の投下に関してですが、私事が込まなければ遅めに見て午後11時より投下を開始させて頂こうと思います
お時間がございましたら、またお付き合いの程をお願いします
421 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:26:15.85 ID:uTNEJqicO
ハンバーグに関しては上条さん並に不幸じゃないか…424 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:30:08.59 ID:y5//SeZr0
他人の不幸で飯が・・・飯が・・・
五条さんに飯食わせてあげてくださいよぉ!!432 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:37:39.68 ID:uTNEJqicO
乙。
来週からついに本筋に突入か。437 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12 /04(土) 00:55:50.35 ID:CNup6DdwP
非女神次→
五条「ククク… ここが学園都市ですか」その13
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