1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:39:41
ID:7nv+f0Zr0
シンジ「え……」
ゲンドウ「冬月が司令に成り代わって……何故だ……」
シンジ「父さん上司と折り合い悪いからでしょ」
シンジ「冬月さんが板挟みになって辛い、って何回も愚痴ってたよ」
ゲンドウ「ゼーレと私の人類補完思想は違うんだ」
シンジ「思想とか言ってる場合じゃないよ」
シンジ「早く再就職先見付けてよね」
シンジ「僕はネルフから給料出るからいいけど」
シンジ「中学生の僕に養われるなんて父さんも嫌でしょ」リボルテックヤマグチNO.136 エヴァンゲリオン第13号機 (再生産)
2:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:40:32
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「……まだ貯金はある」
シンジ「でもいつか無くなるじゃないか……」
シンジ「とりあえず今日のところはいいけど……お風呂先に入る?」
ゲンドウ「いや、私は後でいい」
シンジ「そう、僕が出たら早めに入ってね」
シンジ「お湯が冷めちゃったらもったいないから」
ゲンドウ「ああ、問題ない」
バタン
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「とは言え普通の仕事なんてしたことがないな……」
ゲンドウ「貯金はあるが……とりあえず手に職を、か」
ゲンドウ「……ハローワーク第三新東京支部に行くか」
4:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:41:35 ID:0uR5ltWD0
面白そう
5:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:42:04 ID:RM+lWX9K0
メガネをくいっとあげるだけの簡単なお仕事
3:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:41:28 ID:jjdPodox0
髭剃りがあるじゃないか
6:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:42:56
ID:7nv+f0Zr0
………
……
…
面接官「それでは面接を始めます」
ゲンドウ「碇ゲンドウです、よろしくお願いします」
面接官「えーと、お宅は国家公務員を免職になった、と書いてありますが」
ゲンドウ「はい、上司との意見の食い違いにより」
面接官「詳しくはどんな業務内容だったのですか?」
ゲンドウ「国家機密なので答えられません」
面接官(なんだこのヒゲ)
面接官「……では、そちらではどのような役職に?」
ゲンドウ「司令です」
面接官「……司令?」
8:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:43:47 ID:u0dyhkDw0
マダオ一直線
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:42:59 ID:hKHuyLj/0
こういうゲンドウは大体かわいい
10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:44:43
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「……いえ、地位としては取締役クラスと認識しております」
面接官「そんなに偉い方でも免職になってしまう時代ですか……」
ゲンドウ「不景気ですから」
面接官「でもウチは飲食業ですし、そんな偉い方が当社で接客や水仕事ができますか?」
ゲンドウ「頑張ります」
面接官「頑張りますはいいんだけど……」
面接官「おたく、なんでグラサン着けて面接に来てるの?」
ゲンドウ「問題ない」
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:46:11
ID:7nv+f0Zr0
面接官「いや、問題あるでしょ」
面接官「グラサン着けて接客するウェイターなんて聞いたことないでしょ?」
ゲンドウ「……これは私のトレードマークでして」
ゲンドウ「着けてないと息子にヤクザ扱いされて……」
面接官「いや、着けてても人相悪いよおたく」
面接官「ともかく、グラサン着けて面接に来るような方は採用出来ません」
ゲンドウ「……はい」
16:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:48:13
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「……シンジ、三社受けたが駄目だった」
シンジ「そりゃグラサン着けて行ったら落ちるよ」
シンジ「面接は印象で決めるんだから」
シンジ「ヒゲ剃って、普通の眼鏡にして、髪も清潔にして行かなきゃ」
ゲンドウ「それでは私のアイデンティティーが」
シンジ「そんな事言ってたらいつまで経っても再就職出来ないよ!」
ゲンドウ「すまん……」
シンジ「ほら、ご飯だから器運んで」
ゲンドウ「今日はモツ鍋か」カチャカチャ
シンジ「僕の給与だって使徒が来なくなったら入らなくなるんだし」
シンジ「いつ危険な目に会うかわからないんだから、早く仕事先決めてよ」トン
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:49:52
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「すまんな、シンジ」
シンジ「いいよ、一応家族だし」
ゲンドウ「いただきます」
シンジ「いただきます」
ゲンドウ「……最近、ネルフはどうなっている」カチャ
シンジ「使徒も来ないし、平和だよ」モグモグ
ゲンドウ「そうか……レイの様子はどうだ」パク
シンジ「明るくなったよ。今度食事会がしたいって言ってた」パクパク
ゲンドウ「……そうか」ゴク
ゲンドウ(私も行きたい)
シンジ「ああもう、お酒飲むなら自分で買ってきてよ」
ゲンドウ「ああ」モグモグ
20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:51:48
ID:7nv+f0Zr0
チャラーラーチャーラーララー
ジャラジャラジャラ
ゲンドウ(就職難も重なって、熟年からの再就職がこうも難しいとは)
リーチ!
ゲンドウ(世界はこんなにも冷えきっていたのか)
デーンデンデンデンデンデン
シンヤシマサクセンカイシ!
ゲンドウ(……使徒がいなくても、エヴァがなくても人類補完出来そうな勢いだな)
ゲンドウ「あっ、金枠ラミエルリーチ外しやがった」ドン
ゲンドウ「くそっ、やっぱり赤木博士は金枠でも信用ならんな」
ゲンドウ(隣は山ほど出ているし、そろそろやめ時か……)チラ
ゲンドウ「……!」
加持「おや、碇司令じゃないですか」
23:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:53:53
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「加持リョウジ……なぜここに」
加持「いや、冬月司令とゼーレからお前はもういらんと言われましてね」
加持「私もフーテンですよ」ハハハ
ゲンドウ「今はどうやって暮らしている」
加持「葛城の家に居候させてもらってます」
加持「いわゆるヒモです」ハハハ
ゲンドウ(ヒモか……赤木博士に掛け合ってみようか)
ゲンドウ「だいぶ出ているな」
加持「二重スパイをやる前はこれで口に糊していましたから」
アヤナミヲ……カエセ!
加持「おっ、全回転」
ゲンドウ「……帰る」
加持「お疲れ様です。また飲みにでも行きましょう」
27:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:56:31
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「FXとやらを始めようと思う」
ゲンドウ「面接は受からんからな」
シンジ「やめときなよ……きっと失敗するよ」
ゲンドウ「失敗するのなら誰もやらんだろう」
ゲンドウ「ネルフ在籍時の貯金はまだ豊富にあるしな」
ゲンドウ「エヴァを管理していた私にとってマネーゲームなど容易い」
シンジ「知らないよどうなっても……」
………
……
…
29:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 21:58:28
ID:7nv+f0Zr0
シンジ「ただいまー」
ゲンドウ「シンジ……」
シンジ「?どうしたの父さん、顔真っ青だよ」
シンジ「やっぱり失敗したんでしょ」ゴソゴソ
ゲンドウ「私の貯金が……奪われていた」
シンジ「ええっ!?」
ゲンドウ「赤木博士の仕業だ……定期預金も含め全て……」
シンジ「な、なんで!?」
ゲンドウ「一度酔って暗証番号をポロリとこぼしたことがある……」
ゲンドウ「登録印も預けていたのを忘れていた……」
シンジ「そんなの犯罪じゃないか!ミサトさんに言って……」
ゲンドウ「いや……いい」
31:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:00:16
ID:7nv+f0Zr0
シンジ「なんで!」
ゲンドウ「とにかく……いいんだ」
ゲンドウ(言ったら……)
ポワポワポワーン
ゲンドウ『赤木博士……私を縛ってくれないか』
リツコ『え……?』
ゲンドウ『縛って鞭で叩いた上ヒールで踏みながら罵って欲しい』
リツコ『そ、そんな変態みたいなこと出来ません!』
ゲンドウ『本当はレイにやって欲しいんだがな』ボソッ
リツコ『やります』キリッ
………
……
…
33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:02:25
ID:7nv+f0Zr0
リツコ『ほら、これが欲しかったんでしょ?この薄汚い豚が!』パシーン
ゲンドウ『ひぎぃ!』ビターン
リツコ『ほらほら、豚なら鳴いて見せなさいよ!』パシーン
ゲンドウ『ぶひぃ!』ゾクゾク
リツコ『なんて恥ずかしい格好なのかしら!?』
リツコ『記念に写真を撮ってあげるわ』パシャ
ゲンドウ『待て赤木博士、写真はまずい』
リツコ『誰が喋っていいって言ったの!?』パシーン
ゲンドウ『あふぅ!』ビクンビクン
………
……
…
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:03:41
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ(言ったら間違いなくあの恥ずかしい写真をバラまかれる……)
ゲンドウ(あれが世に出回ったら私の人生は終わりだ……)
ゲンドウ「早急に金策については考える、問題ない」
シンジ「頼むよ父さん……僕の給料だって中学生って名目上、あんまり使えないんだから」
ゲンドウ「わかっている」
シンジ「はぁ……お風呂洗ってくるね」
34:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:02:41 ID:b2dRKUIiO
これは完全にマダオ
39:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:06:55
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「ああ」プシュ
ゲンドウ「ゴクゴクゴクゴク」
ゲンドウ「ふう……」プハー
シンジ「……仕事しないのにビールは飲むんだ?」
シンジ「あのだらしないミサトさんだって仕事してから飲んでたのに」
ゲンドウ「……いや」
シンジ「父さんの貯金があてにならなくなったんだから、お酒も控えてよ」スタスタ
シンジ「父さんのお小遣いも減らすからね」バタン
ゲンドウ「……」
ゲンドウ(楽に金が手に入る方法はないものか)
40:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:07:46 ID:b2dRKUIiO
心が痛む
41:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:08:54 ID:IiD8NDfp0
さあ馬いこうか
42:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:08:57
ID:7nv+f0Zr0
チャラーラーチャーラーララー
ヒャクヨンバンダイオオアタリスタートシマシタ!
ゲンドウ(千円で10万くらい出ないものか)ジャラジャラジャラ
ゲンドウ(月に50万稼ぐとして……1日2万弱勝てばいい計算か)
チョーゼツカワイイミーチャン!
リーチ!
加持「また会いましたね、碇元司令。出てますか?」
ゲンドウ「今、超絶カットインとゼブラ柄保留でのリーチが掛かったところだ」
加持「それは胸熱ですね。おや、推しメンはみーちゃんですか」
ゲンドウ「ああ、君は誰だ」
加持「私はまりこ様一筋ですので」
44:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:10:46
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「パチンコで勝つ秘訣はなんだ」
加持「おや、何故ですか?」
ゲンドウ「職を失い、貯金も奪われた。パチンコで生活しようかと思ってな」
ゲンドウ「あっ、外しやがった……有り得ん」
加持「うわ、これは痛いですね……」
加持「ああ、秘訣でしたね」
加持「そうですね……データと回転率、でしょうか」
加持「とにかく機械割の高く、よく回る台を打ち続けることです」
ゲンドウ「そんなものか」
加持「ええ、特に多人数だと有効な手段ですが……一人だと厳しいかも知れませんね」
47:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:12:42
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「辛いな、現実は……」
ゲンドウ「……帰る」
加持「お疲れ様です」
加持「あ、そうだ。明日競艇で大きなレースがあるんですが行きませんか?」
ゲンドウ「競艇か……やったことはないな」
加持「競馬や宝くじよりは遥かに当たりますよ」
ゲンドウ「わかった、行こう」
加持「では明日、迎えに行きますよ」
48:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:12:54 ID:JSlQ/oTO0
49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:14:38
ID:7nv+f0Zr0
―――翌日
シンジ「ただいま……」
ゲンドウ「シンジ」
シンジ「うわっ!? び、びっくりさせないでよ父さん」
ゲンドウ「小遣いがなくなった……都合してくれ」
シンジ「昨日あげたばかりじゃないか!」
ゲンドウ「……」
シンジ「なんで一日でなくなるの!? 何に使ったの!?」
ゲンドウ「……加持リョウジに誘われて、その、競艇に」
シンジ「で……負けたの?」
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:16:50
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「……あそこで六号艇がモンキーターンを決めていれば大勝だったのだ」
シンジ「父さん……」
ゲンドウ「なんだ」
シンジ「うちはそんなにお金持ちじゃないんだよ……」
シンジ「それなのに働かずに毎日パチンコや競艇に……」
ゲンドウ「それは……金を増やそうと」
シンジ「ギャンブルで生活できるわけないでしょ!」
ゲンドウ「……」
シンジ「最低だよ父さん! もう知らないよ!」
バタン
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「……最低、か」
51:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:19:06
ID:7nv+f0Zr0
カー カー
アスカ「あれ、あそこの川べりで体育座りしてるの、碇元司令じゃない?」
レイ「……そうかも。免職になったって聞いたし」
アスカ「そう言えばシンジがぼやいてたわね」
アスカ「アンタは声かけなくていいの、エコヒイキ? 碇元司令と仲良かったじゃない」
レイ「碇司令はもう司令じゃない」
レイ「まるでグラサンの似合ってないダメなおっさん……略してマダオよ」
アスカ「まぁそうね。それにしても……」
アスカ「あの背中、哀愁漂ってるわね……」
レイ「行きましょう」
ゲンドウ「……」
52:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:21:47
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ(職を失い、レイに愛想を尽かされ、愛人に貯金も奪われた……)
ゲンドウ(これもまた、人類を補完しようとした報いか)
ゲンドウ(私にはもう、シンジしか残っていない……)
ゲンドウ(もう矜持や建前などどうでもいい)
ゲンドウ(……働こう。身を粉にしてでも)
ゲンドウ(例え、私が私でなくなったとしても)
ゲンドウ(シンジだけは、失うわけに行かん)
スッ
ゲンドウ「まずは新しい髭剃りを買って眼鏡屋に行ってから……床屋だな」
54:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:23:42
ID:7nv+f0Zr0
翌日
面接官「それでは面接を始めますね」
ゲンドウ「碇ゲンドウです! 趣味は草野球です!」
面接官「お歳の割に明るい人だね~、前はどんなお仕事をしていらっしゃったんですか?」
ゲンドウ「巨大ロボットで人類を守るお仕事をしていました!」
面接官「はっはっは、面白い人だね。採用~!」
そして私はコンビニ店員として働くことになった。
恥も外聞も知ったことではない。
生きるために働くという、人間としては当たり前の行為に、産まれて初めて傾倒する。
それは、意外にも悪い気はしなかった。
ゲンドウ「いらっしゃいませ!」
ミサト「ビールちょうだい。あとおつまみとおでん」
ゲンドウ「ありがとうございました!」
55:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:25:02
ID:7nv+f0Zr0
コンビニの店員をしていると、色々な人間に出会える。
閉じた組織の中で決まった人間と接していた私にとって、それは新鮮だった。
ゲンドウ「いらっしゃいませー!」
青葉「ギターマガジンとのり弁」
ゲンドウ「ありがとうございましたー!」
56:
忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/21 22:25:04 ID:weJPybZv0
ワロタ
57:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:25:42 ID:vQYzcggT0
もう………やめて…………
58:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:25:54 ID:O9y5bBcM0
閉じた組織の人間しか来ていないんですがねぇ
60:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:26:34
ID:7nv+f0Zr0
何度か昔の同僚に出会ったが、みんな私には気付いていないようだった。
当たり前だ、髭を剃り丸眼鏡をして七三分けにした私は、かつて椅子に座り威張り散らしていたまさにダメなお父さん、略してマダオではない。
ゲンドウ「らっしゃーせー!」
マヤ「アンアンとブブカと……プリンを」
ゲンドウ「あざーっしたー!」
90:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:42:36
ID:7nv+f0Zr0
一か月、週休二日のアルバイトで働いて給与は前と比べ物にもならない15万円……。
慣れない仕事に身体は悲鳴を上げ、身体中筋肉痛と戦う日々だった。
ゲンドウ「あっしゃーせー!」
トウジ「おっちゃん、コーラとからあげ串! おっきいヤツ頼むわ!」
ヒカリ「もう鈴原、恥ずかしいこと大声で言わないでよ」
ゲンドウ「じゃーっしたー!」
64:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:30:30
ID:7nv+f0Zr0
だが、皮肉にも心中はどこかで穏やかだった。
きっと、シンジと「普通の親子」として生活できているから、だろうか。
ゲンドウ「しゃーせー!」
レイ「包帯とカップラーメン」
ゲンドウ「あーっしたー!」
65:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:31:07 ID:HTqIXG5t0
レイ気づけよ
66:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:31:46
ID:7nv+f0Zr0
朝から晩まで働き、家に帰ればシンジと一緒に飯を食い、寝る。
こんな当たり前のことが、今までは出来なかったのだ。
ゲンドウ「っせー!」
冬月「整髪料とブレスケアをもらえるかな」
ゲンドウ「っしたー!」
67:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:33:31 ID:MKSPS3ay0
冬月wwwwwww
71:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:35:39 ID:7Pcxgsgn0
挨拶手抜いてきてるじゃねーかwwwwww
68:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:34:09
ID:7nv+f0Zr0
ここにユイが居れば完璧だったのだが……過ぎた事はもう変えられない。
私にはユイの忘れ形見のシンジがいる。
それだけでいいじゃないか。
ゲンドウ「いらっしゃ……」
シンジ「と、父さん!?」
ゲンドウ「学校の帰りか、シンジ」
シンジ「う、うん……父さん、ここで働いてたんだ」
ゲンドウ「ああ。今からあげ串を作ったばかりだが、食うか。今なら105円が84円だぞ」
シンジ「いや、いいよ……帰ったらご飯だし」
ゲンドウ「卵も切れていたな。買って帰ろう」
シンジ「なんだか、不思議だね……父さんがコンビニの店員だなんて」
シンジ「ちょっと前までエヴァに乗れ、乗らなければ帰れ、なんて言ってたのに」
75:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:36:45
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「まあな。だが、悪くはない」
ゲンドウ「シンジとこうして話すこともできる。家に帰ればシンジと飯が食える」
ゲンドウ「私はそれで満足している」
シンジ「そうだね。僕も父さんと過ごせて嬉しいよ」
ゲンドウ「……そうか」
シンジ「ずっと一緒に暮らせなかったから……かな」
シンジ「母さんがいないのは少し寂しいけど、今は父さんがいるしね」
ゲンドウ「シンジ……今更だが、悪いことをした」
ゲンドウ「私は―――」
87:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:40:43
ID:7nv+f0Zr0
ドーン!
シンジ「うわっ!?」
ゲンドウ「使徒か……!?」
ピピピピピ
シンジ「は、はい」
ミサト『シンジ君、わかってると思うけど、使徒が現れたわ』
シンジ「もう肉眼で確認しましたよ!」
シンジ「なんでこんなに接近するまで気付かなかったんですか!」
ミサト『いきなり上空に現れたのよ! とにかく本部へ急いで!』
シンジ「は、はい!」ピッ
ゲンドウ「行くのか」
シンジ「行かなきゃ……街のみんなが危ないよ」
ゲンドウ「シンジ、お前はもうエヴァに乗る必要はない」
シンジ「父さん……?」
92:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:43:13
ID:7nv+f0Zr0
ゲンドウ「今だから話そう。あの時お前を呼んだのは他でもない」
ゲンドウ「エヴァ初号機にはユイ……お前の母親の魂が宿っている」
シンジ「……!」
ゲンドウ「だからお前を呼んだ。初号機はお前にしか上手く動かせんからな」
ゲンドウ「だが……人類補完計画も、今となってはもうどうでもいい」
ゲンドウ「私という拘束具がない以上、お前はエヴァを降りてもいい」
ゲンドウ「動かせない初号機は永劫に凍結されるだろう。ユイには悪いが、約束は果たした」
96:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:46:02
ID:7nv+f0Zr0
シンジ「約束……?」
ゲンドウ「『シンジが幸せに暮らせるように』」
ゲンドウ「それがユイの言葉だ。私は、それを履き違えていたようだ」
ゲンドウ「私の宿願であった人類補完計画」
ゲンドウ「それは命の器と魂の器をひとつとし、永遠を生きること」
ゲンドウ「だが今の私に永遠に意味があるとは思えん」
ゲンドウ「ヒトは……朽ちるまで必死に戦うから美しいのだ」
シンジ「父……さん」
ゲンドウ「零号機と弐号機だけで第三新東京支部の運用は充分だしな」
ゲンドウ「一人の父親として、お前に無事でいてもらいたい」
シンジ「本当……父さんは勝手だね」
シンジ「いきなり呼んで乗れと言ったり、今度は降りてもいい、なんて……」
ゲンドウ「……言葉もない」
98:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:47:55
ID:7nv+f0Zr0
シンジ「でも……ありがとう。やっと父さんの言葉が聞けた気がした」
シンジ「でも、僕は行くよ」
シンジ「僕にしか乗れないなら、僕にしかやれないことがあると思うんだ」
ゲンドウ「そうか。ならば止める理由はない」
シンジ「うん、行ってくる」
ゲンドウ「今日は私が夕食を作ろう」
ゲンドウ「何がいい、言ってみろ」
シンジ「……オムライス」
ゲンドウ「わかった、健闘を祈る」
ゲンドウ「……頑張れ、碇シンジ」
シンジ「……うん!」タッ
99:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:48:39
ID:7nv+f0Zr0
店長「ちょ、ちょっと碇君! 外に変なの来てるよ! 早く避難しなきゃ!」
ゲンドウ「大丈夫ですよ、店長」
ゲンドウ「あれは、私の自慢の息子が何とかしますから」
ゲンドウ「私は品出しをしてきます」
ゲンドウ「これで……良かったのだろう? ユイ……」
102:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:49:58
ID:7nv+f0Zr0
シンジ「ただいまー」
ゲンドウ「お帰り、シンジ」
シンジ「わ、いい匂い。本当にオムライス作ってくれたの?」
ゲンドウ「約束だからな」
ゲンドウ「ただ……」
シンジ「?」
ゲンドウ「私の技術が足りないせいで……」グチャ
シンジ「ぷっ……あはははは! これじゃチキンライスの卵炒めだよ」
ゲンドウ「すまない……」
シンジ「ううん、嬉しいよ。初めて父さんが僕にご飯を作ってくれたんだ」
シンジ「一緒に食べようよ」
ゲンドウ「あぁ、そうだな」
シンジ「いただきます」
ゲンドウ「いただきます」
完
113:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:51:42
ID:7nv+f0Zr0
見てくれた人ありがとう!
100:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:48:50 ID:SI34gvJq0
イイハナシダナー( ;∀;)
109:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/21 22:50:54 ID:5GUanRBw0
乙
荒んだ心が潤った
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