男「ヤンデレは怖いな」幼「え?」

2013-04-17 (水) 21:01  オリジナルSS 幼馴染・許嫁   2コメント  
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:05:32.25 ID:7HzRIHJS0

男「なあ、幼」カチカチ

幼「何?」

男「ヤンデレって知ってるか?」

幼「ヤン……? 何それ?」

男「いや、ちょっとネット見てたらな。怖ぇと思って」

幼「へえ。どんななの?」

男「精神的に病むほど相手のことを想う……らしい」

幼「ふーん」

男「興味なさそうだな」

幼「だって、ねえ。男にはあまり関係のない話じゃない?」


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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:06:41.78 ID:7HzRIHJS0

男「失敬な。俺の青春が灰色だと言いたいのか?」

幼「真実その通り」

男「ったく……」カチカチ

男「一度でいいから、病まれるほど愛されたいな」

幼「…………」

男「(確かに、幼の言うとおり、彼女いない歴=年齢の俺にヤンデレなど関係ないのだが)」

男「(まあでも…、さすがに病むほど愛されるのは鬱陶しいよな……)」



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:07:27.62 ID:7HzRIHJS0

幼「今日は夕飯どうするの?」

男「は? なんでお前がそんなこと聞いてくるんだよ」

幼「だって、今日は男のお母さん、仕事で帰りが遅いんでしょ?」

男「言ったっけ、お前に……」

幼「んー。昨日の夕方、玄関で話してるところを聞いちゃった」

男「ああ、そういうことか。その通りだよ。一応、食料は確保してある」

幼「コンビニ弁当は栄養が偏ると思うけど……」

男「別にいいだろっ!」

男「……?」

男「(なんでコイツ、俺がコンビニ弁当を食べることを知っているんだ?)」

幼「ん?」



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:07:51.43 ID:MOCFbUhw0

幼馴染?幼女?



6:>>5 幼馴染:2013/04/11(木) 00:08:46.95 ID:7HzRIHJS0

男「父親がいたらもう少し楽だったのかねえ……」

幼「さあ……?」

幼「それで? どうするの、夕飯」

男「だから、コンビニ弁当があるって」

幼「それじゃ栄養偏るでしょ?」

男「一日くらい平気だろ」

幼「だーめ」

男「じゃあどうするんだよ?」

幼「私が作ってあげよっか?」

男「助かるけど……、悪いだろ」

幼「別に気にしなくていいよ」



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:10:15.84 ID:7HzRIHJS0

~夕飯~


幼「おいしい?」

男「おいしい」

幼「よかった」

男「……もう七時だぞ。家は大丈夫か?」

幼「あっ、着信入ってた」

男「おいおい」

幼「男の家にいたって言えば平気だよ」

男「……あのな」

幼「別に問題ないでしょ?」

男「……そうだけど」



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:11:28.03 ID:7HzRIHJS0

男「ごちそうさま」

幼馴染「お粗末さまです」

男「さて……」カチャ

幼馴染「あっ、私が洗うよ」

男「流石にそれは悪い。これくらいやらせろ」

幼馴染「いいって」

男「皿洗いくらい俺がやるから、お前は早く家に帰った方が……」

幼馴染「なに? 私が早く帰らないと、男が困るようなことがあるの?」

男「そういうわけじゃないが……」

幼馴染「でしょー?」カチャ

男「(勝手に片付けやがった……)」


次から幼馴染は、幼と略す。



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:12:10.84 ID:7HzRIHJS0

幼「ふー。終わった」

男「ああ……、ありがとう」

男「(俺だけ居間で寛いでいるのは、居心地が悪かったな……)」

幼「それじゃ、そろそろ私、帰るね」

男「分かった」

幼「バイバイ~」

男「おう」

男「……」

男「……ふう」



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:12:42.60 ID:7HzRIHJS0

男「うーん。やることないな」

男「(……親が帰ってくるのは、いつか分からないし)」

男「(遅くなるから先に寝てろと言われたからなぁ……)」

男「(ネットサーフィンでもして時間をつぶすか)」

男「っと、その前に……」

男「先日買ったゼリーでも食うか」

男「……あれ? スプーンがない」

男「(夕食のときに使ったはずだけど……)」

男「幼のやつ、別の場所にしまったな……」

男「まあいいか」



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:13:34.12 ID:7HzRIHJS0

~次の日~


幼「男ー!」

男「……んぅ? どうした」

幼「次の授業、移動教室だよ?」

男「まじかっ! 起してくれてサンキュ」

幼「昨夜、夜更かしでもしたの?」

男「アニメを見てた」

幼「どんなの?」

男「主人公が女をとっかえひっかえして、最終的にその女にグサッ! と刺されて、BAD END的なアニメ」

幼「へえー」

男「興味なさそうだな」



161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:40:12.55 ID:a3/ZunSJ0

>>15
かなーしみーのー
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16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:14:40.38 ID:7HzRIHJS0

男「さて……」

男「よいしょっと」ムク

男「行くか」

幼「うん」

男「(やっぱヤンデレ怖いな)」

男「(まあ、現実にあんな女はいないと思うけど……)」

幼「…………」

幼「…………」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:15:11.99 ID:7HzRIHJS0

昼休み


友「なあ、男」

男「なんだよ?」

友「幼ちゃんとはうまくいってるのか?」

男「またその話かよ……」

友「だってなあ。流石にお前ら仲良すぎだろ」

友「ぶっちゃけ、付き合ってるだろ?」

男「そういう関係じゃないし」

友「なるほど。願望止まりってことか」

男「……あのな」



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:16:20.07 ID:7HzRIHJS0

友「幼ちゃん可愛いし、お前には勿体ないぜ」

男「うるせぇ」

友「それに幼ちゃん、いっつもお前の事、見てるし……」

男「気のせいだろ?」

友「今だって、ほら」

幼「……っ!」バッ

男「……」

友「な?」

男「いや、お前が幼の名前を出したらからだろ」

友「お前なあ」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:16:59.47 ID:7HzRIHJS0

後輩「せんぱ~いっ!」

友「あ、後輩じゃん。どうしたんだ?」

男「ん?」

後輩「いえいえ。男先輩の様子を見に来ただけですよ」

友「俺はっ!?」

後輩「友先輩もです」

友「だよなー」

男「様子見に来たって。お前よく、上級生の教室に入れるよなあ」

友「あ、わかるわそれ。入りにくいだろ、普通」



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:17:36.30 ID:7HzRIHJS0

後輩「ねえ先輩。今日、一緒に帰りません?」

男「え? どうして?」

後輩「最近できたクレープ屋さんがあるんですけど、」

後輩「一人だと不安で」

男「友達と行けばいいだろ」

友「うわ」

友「後輩! 俺が一緒に行ってやるよ! 男なんて放っておいてさ!」

後輩「友先輩は部活があるでしょう?」

友「んなん気にしたら負けだろ」

男「そういえば、あの鬼コーチ。今日は一段と機嫌悪かったな」

男「駐車していた車のボンネットの上に、猫が飛び降りたとかなんとかで」

友「……」



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:18:17.96 ID:7HzRIHJS0

友「やっぱ青春っていったら部活だよな。今日も元気に部活に励むとしますか」

男「おう。がんばれ」

友「任せとけ」

後輩「なんの漫才ですか……」

後輩「ところで先輩。今日は……」

男「んー。まあ、帰るって言っても、やることないし」

男「いいよ」

後輩「ほんとっ!? ありがとうございますっ!」

後輩「それじゃそれじゃ、授業終わったら校門で待っていてくださいねっ!」

後輩「またっ!」ペコリ

タッタッタ……



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:18:18.46 ID:rdKlbGX10

あ、こいつしんだな



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:19:21.32 ID:7HzRIHJS0

友「可愛いな。後輩」

男「小動物みたいだよな」

友「あの子、絶対尽くすタイプだよな」

男「ヤンデレとかになったりしないかな」

友「ヤンデレ? お前の口からそれが出るとは驚いた」

男「ネットサーフィンで偶然」

友「だいじょぶだいじょぶ。優柔不断なヤローはしらねーが」

友「お前みたいなやつだったら、相手がヤンデレの素質持ってても発症することはない」

男「なぜに断言」

友「長い付き合いだからわかるもんもある」

男「俺はお前のことはあまりわからんが」

友「まあ、相手が勘違いしてたら知らんが」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:20:22.13 ID:7HzRIHJS0

幼「ねえねえ。何の話してたの?」

友「あ、幼ちゃん」

男「あー、実はな」

友「男と後輩が付き合うことになったんだって」

男「おまっ」

幼「……っ!?!?」

幼「うそ、そんなっ!?」

友「あ、いや……。冗談。悪い、本気にするとは思ってなかった」

幼「…………」

幼「…………」

幼「…………」



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:21:05.09 ID:7HzRIHJS0

友「む、無言はキツイです幼さん……っ!」

幼「……ま、いいけど」

幼「それで?」

男「ん? あー」

友「男が後輩とデートするんだって」

幼「……」キッ

友「これは嘘じゃない!!」

男「うん。そうだな」

幼「えっ」



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:21:42.56 ID:7HzRIHJS0

男「後輩とクレープ屋さんに行くことになった」

男「女の子って本当に甘いもの好きだよなー」

男「俺は苦手だけど」

男「あれ? 幼って甘いもの好きだったっけ」

男「あまり幼が甘いもの食べてるの見たことなかったし」

男「なあ? 友」

友「き、気づけ、男……っ」

幼「……」ブツブツ

男「? 幼?」

幼「……男が、デート……」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:22:45.04 ID:7HzRIHJS0

男「幼?」

幼「んっ、あ、なんでもないよ」

男「ふうん。まあいいか」

友「……お前の鈍感っぷりを見てると、たまに吐き気がするわ」

男「俺は鈍感じゃないぞ」

友「その発言が、もうね」

男「??」



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:24:38.66 ID:7HzRIHJS0

放課後


後輩「じゃ、行きましょ先輩」

男「おう。って、引っ張るなっ!」

後輩「だって、急がないと日が暮れちゃいますよ?」

男「別に少しくらい遅くなっても……」

後輩「駄目です。うちの親は厳しいんですから」

男「ああそうですか」

後輩「ええ」


幼「……」

幼「……」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:26:15.74 ID:7HzRIHJS0

後輩「あー、あれも食べたいなぁ~」

後輩「あっ、これもこれもっ!」

男「はは……、あんまり無理して腹壊すなよ」

後輩「むっ。そんな馬鹿じゃありません、私」

男「だといいが」

後輩「馬鹿にしてますねっ!?」

男「そんなつもりじゃなかったけど……」



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:27:58.74 ID:7HzRIHJS0

後輩「じゃあ、あれとあれを食べます」

男「あんなに甘いものばっかり食べたら頭おかしくなりそうだ」

後輩「まあまあ」

男「ん。俺が払っとくよ」

後輩「いえ、悪いですよ」

男「いや、せめてこれくらい格好つけさせてほしい」

後輩「あ、私の好感度を上げるためですか?」

男「馬鹿も休み休み言え」

後輩「むー」



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:29:29.50 ID:7HzRIHJS0

男「はい」

後輩「すみません、先輩」

後輩「今度、何かお礼しますね」

男「別にいいって。これくらい」

後輩「そんなこと言っても……、付き合ってもらった挙句に、」

後輩「奢ってもらうなんて……」

男「まあ、とりあえず食べよう」

後輩「そ、そうですねっ」

男「ああ」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:31:02.02 ID:7HzRIHJS0

後輩「ふう……、満足です」

男「まあ、あれだけ食えばなぁ」

後輩「えへへ……、ねっ、ねえ、先輩」

男「ん?」

後輩「また、付き合ってくれます……?」

男「んー、時間あったらなー」

後輩「やった!」

男「そんなに喜ぶことか?」

後輩「ええ!」



幼「……なんで、あんなに楽しそうに……」ブツブツ



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:32:52.23 ID:7HzRIHJS0

男「じゃ、送ってくよ」

後輩「え?」

男「さすがに夜道を女の子一人で帰すわけにはいかないだろ」

後輩「……うう。先輩ずるいです」

男「意味わからない」

男「(そういえば……)」

男「(一応、幼に連絡入れておこう)」

男「(あのスプーンの在りかを問いただすために)」



幼「………」



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:33:56.31 ID:7HzRIHJS0

男「……」ピッピ

後輩「先輩? どうしたんです?」

男「あー、ちょっと電話。ごめんな」

後輩「いえいえ」

男「んー、出るかなぁ」プルルル


~♪


幼「っ!!?!!?」バッ!


男「え?」



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:35:46.49 ID:7HzRIHJS0

幼「あ、っ、えと、男……っ」

男「幼……、お前」

後輩「幼先輩……?」

幼「あ、ち、違うのっ、男。その、わ、わたし」

男「奇遇だなっ! コンビニにでも行ってたのか?」

幼「あ、う、うん。男の姿が見えたから、後ろから驚かそうと思ったんだけど」

男「残念だったな」

幼「……ほんと、残念」



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:37:18.53 ID:7HzRIHJS0

後輩「幼先輩ですよね?」

幼「………。ええ」

男「知り合い?」

幼「ま、ね」

後輩「一ヶ月ほど前に、少し会話した程度ですけど」

男「よく覚えてたな」

後輩「女の記憶力は舐めない方が良いですよ」



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:38:37.63 ID:7HzRIHJS0

幼「男っ、来て」グイ

男「あ、おいっ!?」

幼「いいから」

男「わ、悪いっ! 後輩! また明日な!」

後輩「?」

後輩「はーい! また明日ですー!」

後輩「……なんか、幼先輩怒ってたなぁ……」

後輩「私何か失礼なこと言っちゃったかな」



53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:40:10.03 ID:7HzRIHJS0

幼「ねえ、何してたの?」

男「いや、学校で言っただろ」

幼「ほんとに、デートしてたんだ」

男「おう。適当にクレープ食って帰ってきただけ」

幼「……そう」

男「おい? どうしたんだ、お前」

幼「………」

男「幼?」

幼「………」



54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:41:47.74 ID:7HzRIHJS0

幼「なんで、私……を、見てくれないの」ボソッ

男「え? なに?」

幼「……もういい」

幼「後輩とは、あまり話さないで」

男「はあ?」

男「どうしてそんなこと言うんだ?」

幼「……それは、あなたが一番わかってるはず」

男「(……まったくわからん)」



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:43:20.66 ID:7HzRIHJS0

男「……いや、悪いけどそれはできないな」

幼「どうして」

男「後輩と約束したんだ。また適当な日、街に遊びに行こうって」

幼「……そう。そうなんだ」

男「ああ」

幼「………」

幼「………」

幼「……そんなことするなら、許さないから」ボソ



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:44:55.44 ID:7HzRIHJS0

男「(……後輩と遊ぶのは構わないんだが)」

男「(……できれば、幼と遊びたいんだよなぁ)」

男「(でも中学校卒業したあたりから、幼は急に無口になったし)」

男「(どうも、最近、気軽に話しかけられないんだよな)」

男「(今もなんか、怒ってるし)」

男「(女心は本当に分からん……)」



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:48:07.91 ID:7HzRIHJS0

幼「ねえ、男」ニコ

男「お、おう」

幼「今日、男の家に遊びに行ってもいい?」

男「今から? 親は」

幼「もう許可もらったから」

男「そうか。まあ、それならいいか」

幼「うん」



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:50:11.16 ID:7HzRIHJS0




男「よし、今日は俺が夕飯作ったる」

幼「え、いいよ。私が作るから」

男「たまには任せろって」

幼「……そんなに言うなら、いいけど」

幼「男の手料理……か」

男「ああ。腕には期待してくれて構わないぞ」

幼「うん。男が作ったものなら、なんでも……」



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:51:21.35 ID:7HzRIHJS0

男「ん。もうそろそろ出来上がるから、待ってて」

幼「うん」

幼「ねえ、男」

男「なんだ?」

幼「男が大切にしていたモノが、ほかの人に奪われそうになったとき、」

幼「男ならどうする?」

男「……んー」

男「そりゃお前……、奪われないようにする」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:53:00.54 ID:7HzRIHJS0

幼「……たとえば」

男「ほかの人とやらに見つからないように隠すとか?」

幼「そ……」

男「まあ、それが出来れば苦労しないけど」

幼「ほんとね……」

男「よし、そろそろ出来上がるぞ」

幼「うん…」



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:54:27.41 ID:7HzRIHJS0

夕食後



男「ふう。食った食った」

幼「ごちそうさま……」

男「それで、幼はいつまでいるんだ?」

男「そろそろ九時だけど?」

幼「そうね……、帰るつもりはない……」

男「へ? 泊まるの?」

幼「…………」

幼「……この場合、そういう意味になるのかな?」

男「え? どの場合?」



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:55:36.48 ID:8KvySE3l0

えっ!なんだって!(すっとぼけ)



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:56:34.33 ID:7HzRIHJS0

幼「……気にしなくていいよ」

男「あ、風呂湧いた」

幼「入ったら?」

男「そうするか」

男「あ、幼。お前は……」

幼「私もお風呂もらっても……?」

男「構わんよ」

幼「ありがと、男」



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 00:58:48.00 ID:7HzRIHJS0

男「ん? 幼のヤツ、居間でごそごそ何してんだ……?」

男「まあ、いいか。覗いたりしたら殺されそうだ」

ヴヴヴ、ヴヴヴ

男「ん? 携帯?」

男「……メールか」

男「後輩から……?」

男「なになに……」



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:00:05.65 ID:7HzRIHJS0

男「(部活の用事があって、しばらく街に遊びに行くことが出来そうにありませんので、メールをしました)」

男「律儀な奴だなぁ……」

男「(……つーことは、いきなり後輩に誘われて街に遊びにいくことは、)」

男「(なくなったわけか)」

男「………」ウム

男「(幼を誘うか)」

男「(久しぶりに遊びたかったし)」

男「幼ー」ガチャ



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:01:38.48 ID:7HzRIHJS0

幼「っ!?」バッ

幼「お、おとこ、どうしたの?」

男「……」

男「お前、すり鉢なんかもって何する気だ?」

幼「あ、えっと、これは、その……」

男「ついでに横に落ちてる紐の説明もプリーズ」

幼「…………」

幼「…………」

幼「……こう、なったら」

男「(……本当に、幼の考えてることは読めん)」

男「(しかも気まずい沈黙……、どうしよう)」



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:03:55.12 ID:7HzRIHJS0

男「(すり鉢……、紐……)」

男「(つまり幼は、俺に何を伝えようと……)」

男「そうかっ! なるほど、俺は監禁されるのか!」

幼「っ!?!??!?!」

男「お前も知ってたのかよ……」

男「ヤンデレってやつ」

幼「そ、それ、それは、男が説明したから」

男「そういえばそうだったな」

男「でまあ……、これから俺は……」

幼「………」

男「(あれ? 冗談のつもりが、反応がない……)」



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:05:15.64 ID:7HzRIHJS0

幼「………」

男「……幼?」

幼「………」

男「……ったく」

男「お前さ、昔からそうだったよな」

幼「え?」

男「困ったことがあると、すぐ黙り込んじまう」

男「悪いな、相談に乗れなくて」

男「何か、悩み事があるんだろ?」



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:06:34.07 ID:7HzRIHJS0

幼「そ、それは……」

幼「……ダメ」

幼「……男は、誰にも……」ギュッ

男「とりあえず、すり鉢下ろしてくれないかな」

男「なんか、物騒……」

幼「……男」

男「ん?」



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:08:40.49 ID:7HzRIHJS0

幼「…………」プルプル

男「(……震えてる?)」

男「(やっぱり、一人で何か抱え込んでいたのか)」

男「幼」

幼「……男?」

男「とりあえず、落ち着こう」ナデナデ

男「話したくなったら、それからでいいから」

幼「………」



87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:14:05.64 ID:7HzRIHJS0

幼「……おとこ」

男「うん」

幼「おとこ、ごめん……っ、ごめんなさい……っ!」

男「えっ!? あ、いや」

幼「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!」

男「(泣き出してしまった……)」

男「(……まずい。くさいセリフを吐いておきながら、)」

男「(状況が全く解らない)」



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:19:48.19 ID:7HzRIHJS0

男「え、えと、幼……?」

幼「ごめ、ごめん……っ! わたし、わたしが間違ってたの……」

幼「おとこっ、傷つけても、」

幼「……そんなの、しあわせじゃ、」

男「………」

男「(……今は慰めよう)」

男「(きっと辛い思いをしたのだろう)」

男「(それを今問いただすのは、酷だ)」



95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:20:32.51 ID:7HzRIHJS0

男「(それから散々泣いて)」

男「(幼の両親が、家に連絡を入れてきた)」

男「(どうやら幼のやつ、家に連絡も入れずに俺の家に来たらしい)」

男「(……幼の涙の理由は分からなかったが)」

男「(落ち着いてきたら、聞くとしよう……)」

男「……ん。最近、ヤンデレって単語良く見るようになったなぁ……」カチカチ

男「(主人公を監禁……、これが定番らしい。他は……)」

男「主人公にちょっかいをかける女を……、排除……」

男「(……俺はそっとパソコンを閉じた)」



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:22:27.76 ID:7HzRIHJS0

次の日



友「あー、学校だるいだるいだるいだるいっ!!!」

男「うるさいわっ!」

友「うお、そんな怒鳴らんでもいいだろ」

男「寝かしてくれ、頼む……」

男「昨夜、寝れなかったんだ」

友「どうしてだ?」

男「またなんの因果か、ネットサーフィンしてたらヤンデレ見つけてな」

友「ほうほう」

男「まあ、その、血を見る結果になったわけ……」

友「耐性ないな、お前」



99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:24:17.54 ID:7HzRIHJS0

男「ほっといてくれ……」

友「もう弁当食ったのか?」

男「食欲ナッシング」

友「そーっすか。体調崩すなよー…」

男「ああ」

友「ところで、今日幼ちゃんずっと来ないよなぁ」

男「っ」ピク

友「遅刻って担任は言ってたけど、もうお昼だぞ」

男「……」



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:26:37.51 ID:7HzRIHJS0

男「(昨夜のことを思い返せば、当然だろう)」

男「(……本当に、幼はどうしたんだろう)」

男「(原因はやっぱ、俺かな……)」

友「どうしたんだ、暗い顔して」

男「いや、幼が遅刻している原因が俺にあるのかもって」

友「な、なんだってー!?」

友「おいコラ馬鹿野郎。テメェ、何しやがった幼ちゃんに」

友「まさかキズモノにしたわけじゃ、ねえよなぁ?」

男「ぶ、物騒なこと言うな!」



102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:27:58.20 ID:7HzRIHJS0

友「冗談だ。お前にそんな度胸があるとは思えん」

男「それは馬鹿にしてるのか?」

友「信頼しているのだ」

男「ああ……そうかい」

友「で?」

男「あー、いやその」

男「昨夜、泣き出して……」

友「なるほど。殴っていいか」

男「聞く気があるなら、最後まで聞いてくれ……」



103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:29:22.83 ID:7HzRIHJS0

男「泣き出したのは突然なんだよ、本当に」

友「心当たりは?」

男「ないです」

友「ないわけないだろ」

男「それが、これっぽっちも」

友「お前の鈍感が人を傷つけたわけだ」

友「つまり結論は変わらず、ぶん殴らせろ」

男「お、落ち着け! まて、今考えるから!」



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:31:22.37 ID:7HzRIHJS0

男「(えーっと)」

男「なんか、いつもと様子が違った」

友「ほうほう」

男「妙にそわそわしてて、視線が合うと逸らされた」

友「それで?」

男「風呂入ると言ったら、過剰な反応をした」

友「……」

男「言い忘れたことがあったから、居間に戻ったら、」

男「幼のやつ、めっちゃ慌ててるんだよ」



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:33:22.34 ID:7HzRIHJS0

男「なんか用意してたみたいなんだけど……」

男「最初はそれ、幼なりの冗談かと思ったんだ」

男「んで、笑いながら言ったら、」

男「驚愕っていうのかな、そんな表情してたんだ」

男「そしたら、いきなり表情を暗くするから」

男「何か悩み事があると判断したわけ」

男「それを聞きただしたら、泣いた」

友「よし、殴る」

男「どうして!?」



109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:36:06.14 ID:7HzRIHJS0

友「……お前の鈍感さは、底なしだな」

男「頼む説明してくれ」

友「(……考えが正しければ)」

友「(その日は、幼ちゃんにとって大事な日で)」

友「(ついに男に想いを伝えるぞ! といった気持ちで、男に挑んだら)」

友「(男は幼ちゃんが冗談言ってると勘違いし、)」

友「(落ち込んだ……)」

友「(だが男と長い付き合いの幼ちゃんは、男の性格を把握しているはず)」

友「(しかたねーと幼ちゃんはあきらめたのだが、)」

友「(男のやつ、悩み事があるなら相談に乗るぞ? なんて、トドメを)」

男「?」



110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:37:47.95 ID:7HzRIHJS0

友「(さて、それは俺が言っていいべきことなのだろうか……)」

友「(いや、幼ちゃんのためにもここは黙っていよう)」

友「(それにこの大馬鹿野郎は一回くらい、痛い目を見た方が良い)」

男「おい、友~?」

友「すまんが俺もわからんわ」

男「マジか」



111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:39:00.99 ID:7HzRIHJS0

友「まあでも、これだけは分かる」

友「お前の責任だ」

男「……うん、それは分かってる」

友「ああ、俺はさっぱりわからんがそれだけは分かる」

男「なんでさっきから棒読みなんだ?」

友「ちょっと風邪気味でな」

男「そうか。体調には気をつけろよ?」

友「お前の頭も大丈夫だよな」

男「少なくともお前よりは成績が良い」

友「(反論できないのが悔しいぜ……)」



113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:40:34.26 ID:7HzRIHJS0

男「っと、そろそろ昼休み終わりだな」

友「ああ、まじか。お前の相談に乗ったせいだぞ!」

友「貸ね」

男「わーったよ……」

友「ジュース一本、パン一個」

男「分かったから、席戻って」

友「オーケー」



114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:42:31.73 ID:7HzRIHJS0

放課後


男「(とうとう幼は、来なかった)」

男「(友にも言われたことだし、幼の家に行くとしよう)」

男「(さてと……)」

後輩「あっ、先輩」

男「ああ、後輩か。どうした?」

後輩「いえいえ、先輩を見かけたので話しかけただけですよ」

男「退屈なんだなぁ、このこのっ」

後輩「あぅーっ! ほっぺたつまむのはやめてくださいっ!」



117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:45:32.48 ID:7HzRIHJS0

男「部活は?」

後輩「これからですっ」

男「おう。がんばれよ」

後輩「先輩は?」

男「んーっと、家に帰る」

後輩「そうですか。んー、先輩の家に一度遊びに行ってみたいですねぇ」

男「機会があったらな。うち、親が仕事で帰りが夜遅くなんだ」

男「流石に女の子二人っきりってのは……」

男「(……まあ、幼は例外として)」

後輩「私は……、別に気にしませんけど」



119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:47:12.15 ID:7HzRIHJS0

男「気にしないって、俺が気にするからさ」

後輩「どうしてですかー?」

男「そりゃ……、な」

男「まあ、いろいろ事情があるんだ」

後輩「ふぅーん。ま、いいですけど」

後輩「休日とかならいいですよね?」

男「ああ、それなら」

後輩「えへへ、やった」



120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:48:27.20 ID:7HzRIHJS0

後輩「それじゃあ……」

男「あっ、後輩」

後輩「なんです?」

男「頬っぺた。なんか、埃みたいのがついてるよ」

後輩「ええっ!?」

男「ほら、ハンカチ」

後輩「あっ、ちょっ、自分でできますって!!」

男「まあまあ、すぐすむから」

後輩「~~~っ!!」

男「よし、とれた」



122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:52:50.40 ID:7HzRIHJS0

後輩「……バカ」

男「馬鹿で結構」

後輩「うそっ、聞こえてました!?」

男「まあな」

男「先輩を馬鹿呼ばわりするのはよくないぞ」

男「それじゃ、急ぎの用があるから帰る」

後輩「……は、はぁい」



126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:57:46.74 ID:7HzRIHJS0

幼の家



男「……」ピンポーン

男「……」

男「……」ピンポーン

ガチャ


幼「っ、男……っ!?」

男「おう」

幼「ご、ごめん。調子、悪いから……」

男「まあ、待てって」



128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 01:59:49.28 ID:7HzRIHJS0

幼「…………」

男「少しくらい、いいだろ」

幼「……強引」

男「なんとでも言え。おじゃましまーす」

幼「……男」

男「んー?」

幼「怒ってないの……?」

男「(何が?)」

男「(とはさすがに聞き返せなかった……)」



131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:02:40.79 ID:7HzRIHJS0

男「(まあ怒ってないのは事実だし……)」

男「別に」

幼「……どうして」

男「あーもう! 幼らしくないっ!」

幼「ひゃっ」

男「ほらシャキッと。いつものクールさはどこへ行った」

幼「……だって」

男「ん?」



133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:04:28.88 ID:7HzRIHJS0

幼「……ううん、なんでもない」

男「……そっか。ところで、腹減ったか?」

幼「別に、減ってない」

男「そうかそうか。じゃあ、ゲームでもするか?」

幼「……いい」

男「うん。じゃあ、適当にゴロゴロ」

幼「しない」

男「(な、なんかいきなり冷たくなったぞこいつ……!?)」



135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:06:33.77 ID:7HzRIHJS0

男「……まあいいか」

幼「……ねえ、男」

男「うん?」

幼「……男は、好きな人、いる?」

男「…………」

男「いるけど」

幼「……っ」

幼「そっか、そうだよね」



136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:07:26.67 ID:7HzRIHJS0

男「……なあ、幼。俺、お前に何か悪いことしたかな」

幼「……え」

男「いや、お前……。やっぱ、辛そうな顔してるから」

幼「…………」

幼「別に、なんでもない」

男「………」

男「そうか」

男「(嫌われたな、俺)」

男「(……はあ。しつこい男は嫌いってことか)」



139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:10:41.03 ID:7HzRIHJS0

男「(……ここで好きな人は幼でした、といえたらどれほど楽なことか)」

男「(ま、そういうわけにもいかないか)」

男「(……長い間ずっと一緒にいたから、信用されているとは思っていたんだけど)」

男「(……そうか)」

男「勘違いか」

幼「え?」

男「いや、幼はいつも通りだった、と思って」

男「俺が勝手に勘違いしてただけだ。悪い」

幼「別に……」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:12:14.66 ID:7HzRIHJS0

男「うん。身体は大切にな」

幼「言われなくてもわかってるよ…」

男「おう。じゃあ、元気で」

幼「もう、帰るの……?」

男「あんまり長居したら悪いだろ」

男「俺の家と違って、お前の家は親がいるんだから」

幼「そうよね……、うん。バイバイ」

男「ああ」


ガチャ



141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:12:59.13 ID:7HzRIHJS0

男「……失恋かな」

男「(早計だとは思うけど……、)」

男「(いっそそうとってしまった方が、楽かもしれない)」

男「(はぁ……)」

ピリリリ、

男「っと、マナーモードにし忘れてた」

男「はいもしもし」

後輩『あっ、せ、先輩ですかっ?』

男「はい。先輩です」



143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:14:13.50 ID:7HzRIHJS0

後輩『そのう……、明日。話があるのでっ!』

後輩『放課後、屋上に、よろしいですか?』

男「話? うん、まあ構わないよ」

男「にしても、屋上?」

後輩『は、はい』

男「何か、相談? 人に聞かれたらまずいこと?」

後輩『おおむね、その通り、です』

男「はは、信頼されてるなぁ俺」

男「……わかった」

男「また、明日」

後輩『はっ、はい』

プチ



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:15:39.02 ID:7HzRIHJS0

次の日



友「だるそうな顔してるな、どうした?」

男「んー。当たって砕けた」

友「へ?」

男「ほら、幼のこと」

男「昨日、家にお邪魔したんだけど」

友「砕けたとは」

男「まあ、振られたんだよ」

男「直には言われてないが、信用はないようだ」

友「そんな馬鹿な」



145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:17:04.04 ID:7HzRIHJS0

友「…………」

友「まあ、元気出せ」

友「まだ完全に振られたわけじゃないんだろ?」

男「……まあ、そうだけど」

友「(確かに今日の幼ちゃんと男、ギクシャクしてたな)」

友「(まさか、その原因がこんなことだとは)」

友「(……鈍感な男の勘違いだといいのだが」

男「はあ」



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:18:48.09 ID:7HzRIHJS0

放課後


男「(そういえば、後輩に相談があるから屋上に来てと言われてたっけ)」

男「……行くか」

男「……」

男「(……ん)」

男「……?」

男「(今、視線を感じた気が……)」

男「気のせいか……」



幼「……男」



150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:20:12.07 ID:7HzRIHJS0

屋上


後輩「せ、先輩っ」

男「悪い。待たせた」

後輩「いえ、そんなに待ってはいませんよ」

男「……ん。それで、話って」

後輩「あ、あのっ、そのう……」

男「うん」

後輩「な、なんと言ったら……」

男「落ち着いて。ゆっくり聞くから」



152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:23:04.10 ID:7HzRIHJS0

後輩「あの……、先輩」

後輩「私たちの出会いって、覚えてますか?」

男「……ああ、確か春だったな」

男「つっても、お前が落としたハンカチを拾ってあげただけど?」

後輩「ん……、ほかにもありますよ」

後輩「殆ど友達のいなかった当時は、結構不安だったんですからね?」

男「まあ、分かる。アウェー感あるからな」

後輩「はい。そこで先輩の存在は結構、私の中で大きかったですよ?」



153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:24:53.79 ID:7HzRIHJS0

男「部活に入部したいからって、いちいち俺を呼んだこともあったな」

後輩「ありましたね」

後輩「なんだかんだいって、先輩付き合ってくれますから」

後輩「この前のクレープのことも」

男「尻にひかれるタイプかな、俺って」

後輩「そうなんじゃないんですか?」クスクス

男「そこは否定してほしかった」



155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:26:40.70 ID:7HzRIHJS0

後輩「でも、先輩は優しいですから」

後輩「いろんな人に、好かれてるんでしょうね」

男「……ん?」

後輩「えへへ。私知ってますから、先輩がもう、」

後輩「とびっきり優しいのは!」

男「……いや、俺は優しくなんかないさ」

男「鈍感で馬鹿だ」

後輩「鈍感で何が悪いんですか。それも、先輩の良いところですし」

後輩「鈍感な先輩だからこそ、優しいと私は思ったんですよ」



156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:27:49.20 ID:7HzRIHJS0

後輩「……ですから、先輩」ズイ

男「こ、後輩……?」

後輩「……私は、ですね」

後輩「先輩のこと……」

後輩「…………」

後輩「…………」

男「……後輩?」



159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:34:34.44 ID:m/EcL/4YO

幼ちゃんと幸せになってくれ



164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:49:11.90 ID:7HzRIHJS0

後輩「――応援、してますから」


男「は……?」

後輩「この前の先輩を見て、薄々感づいていたんです」

後輩「先輩……、幼先輩のことが好きなんでしょう?」

男「なっ!? いや、そんなわけでは」

後輩「もう隠せませんよ」クスクス

男「はめたなっ!?!」

後輩「だって、先輩。ずっと幼先輩のこと、見てるんですから」



166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:53:04.59 ID:7HzRIHJS0

男「……く」

男「そうだよ。俺は、幼が好きだ」

後輩「―――っ」

後輩「です、よね。やっぱり、そうでした」

男「……けど、振られたよ」

後輩「そんなはず、ないじゃないですか」

男「え?」

後輩「先輩は、幼先輩にはっきり断られたのですか?」



167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:55:46.72 ID:7HzRIHJS0

男「……違う」

後輩「……ならどうして」

男「信用、されてなかったんだ」

男「俺は、あいつの相談にも乗ってあげられないほど、無力で……」

後輩「…………」

後輩「ねえ、先輩」

男「……何?」

後輩「先輩は、馬鹿ですか」

男「は?」



172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:57:58.32 ID:7HzRIHJS0

後輩「友先輩も言ってましたけど、本当に鈍感なんですね」

後輩「まあ、私はそんなところが好きなんですけど」

後輩「話し戻しますが、」

後輩「先輩はもう一度、幼先輩と話をするべきです」

男「話って、何を」

後輩「話は話です。それまで私に聞いてどうするんですか」ズッ

男「こ、後輩っ、近い近い」

後輩「とにかく、想っていることを伝えて、それで木端微塵に砕けたら」

後輩「私が………」

後輩「いえ」



174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 02:59:51.77 ID:7HzRIHJS0

後輩「……?」

キィィ

後輩「(ドアが、勝手に開いて……?)」

男「後輩?」

後輩「(……風?)」

後輩「……っ!」

後輩「せんぱーいっ!!!」

男「わっ、な、なんだよっ!?」



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:02:04.77 ID:7HzRIHJS0

後輩「いいから早くっ! 幼先輩の後を追ってください!」

男「追うって……、まさか幼がここにっ!?」

後輩「そのまさかですよ、見られました」

男「……」

後輩「まあ、先輩が良いっていうなら、私は誤解されたままで構いませんが」

男「誤解って」

後輩「私たちの姿を見て逃げ出したんですから、誤解は誤解ですよ」

後輩「とにかく。追うんですか? 追わないんですか?」

男「追うに決まってるだろ……っ!」ダッ

後輩「……ん。先輩ならそういうと思っていました」

シーン……



177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:05:36.74 ID:7HzRIHJS0

後輩「先輩が優しいから、かな」

後輩「……幼先輩なんて気にしなければよかったのに」

後輩「あーあ……、私馬鹿だ」

後輩「人のこと言えないなぁー……」

後輩「…………」

後輩「……今夜は、」グスッ

後輩「……思いっきり泣けそう」



179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:07:07.50 ID:7HzRIHJS0

幼「(やっぱり、男は……っ!)」

幼「(後輩と、付き合ってたんだ)」

幼「(……あんな、近くまで寄って)」

幼「(……後輩と、男。仲良さそうだった)」

幼「っ…」ジワ

幼「……どうすれば、いいんだろう」



181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:10:02.25 ID:7HzRIHJS0

幼「おとこがいないと、やだ」

幼「おとこ……」

幼「やなのに、嫌なのに……っ!」

幼「(でも、男を傷つけてまで、男を手に入れようとはしたくない)」

幼「(その間違いを男が気づかせてくれたから、)」

幼「(それがただの自己満足だと教えてくれたから、)」

幼「(……でも)」

幼「諦め、きれない、の……っ」



183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:11:30.69 ID:7HzRIHJS0

幼「……男が、私を見てくれないなら」

幼「私は――」

幼「……もう」

幼「(もうこれ以上、仲良くなれない)」

幼「(前のように、二人っきりで何かするわけでもなく、)」

幼「(部屋で一緒にいることもできない)」

幼「……なら、いい。もう、こんな……」



186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:13:07.52 ID:7HzRIHJS0

男「(くっ! どこいきやがった、幼……!)」

男「(……中庭? 教室? 体育館裏?)」

男「(あいつが行きそうな場所……)」

男「(まずは近くから探そう)」


男「(教室にも中庭にもいなかった)」

男「(……そして、体育館裏にも行ったが、)」

男「(幼の姿はない)」



188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:16:52.02 ID:7HzRIHJS0

男「(……なら、あとは)」

男「…く、」タッタッタ

男「(思い当たる節は、ひとつしかない)」



男「幼……っ!」

幼「……おとこ?」

幼「……なんで、ここ、に」

男「やっぱり、裏庭にいたんだな、お前……」

男「この、ばっかやろう。探したぞ」

幼「……なんで」



189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:18:15.18 ID:7HzRIHJS0

幼「………」

男「やっぱ、普通じゃない」

男「幼。俺の勘違いじゃないんだ」

男「お前は、あの夜からずっと様子がおかしいぞ」

男「……俺なら相談に乗る。何か、話してくれないか」

幼「…………」

幼「…………」

男「(この無言は、この沈黙は、)」

男「(言いたくないのではなく、言いづらいのか……?)」



194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:25:33.37 ID:7HzRIHJS0

幼「おとこは、後輩と付き合ってるんでしょ……?」

幼「わたしなんかに、構ってていいの?」

男「付き合ってないよ、後輩とは」

幼「……うそ」

男「嘘じゃない」

幼「そんな優しさ、いらないから」



195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:27:13.76 ID:7HzRIHJS0

男「……だから」

幼「ききたくない!ききたくない!ききたくない!」

幼「もうやめてよっ!!!」

幼「なんなのっ!?」

幼「そんなに、私を苦しめて楽しいのっ!?」

幼「後輩のことが好きなくせに、なんで私に構うのよ……っ!!」

幼「もう、どっかいってよ……!」

男「嘘は言ってないから」

幼「……もういい」



197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:29:11.16 ID:7HzRIHJS0

幼「私、ずっと誤解してた」

幼「大切なモノは隠すんじゃないの」

幼「奪われる前に、私のモノを奪おうとするソイツを……消しちゃえばいいの……」

幼「たとえ奪われた後でも……、消して、奪い返せば……」

男「幼っ!!!」

幼「……っ!?」ビクッ

男「俺、馬鹿で鈍感だから」

男「良い言葉なんて見つからない。気の利いたことなんて言えない」

男「だから思ったまま言うからな」



199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:31:10.50 ID:7HzRIHJS0

男「幼」

幼「……やめ、てよ」

男「こっち向け」

幼「やだっ」

男「このわがままめ」

男「……幼っ」

幼「……」

男「俺さ……、お前のことが好きなんだ」

男「それはもう、ずっと前から。大好きだった」

幼「………え」

男「ああもう。ハッキリ言ったからな」



201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:33:05.32 ID:7HzRIHJS0

幼「……嘘、でしょ」

男「悪いが、冗談で言えるほど俺は器用じゃない」

幼「じゃあ、夢……」

男「そう思いたいならそうしろ」

幼「や、やだ。……夢なんか、じゃ、やだ」

幼「…………」

幼「なんなの」

幼「……なんなのよ」

幼「男ばかり……」



203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:35:17.35 ID:7HzRIHJS0

男「………」

幼「私も、好きなの……。大好き。好きなの、好き、好き、好き」

男「………」

男「……お前」

幼「愛してるの、ずっとずっと前から」

幼「だから離れないで。お願い。もうこんな思いは、イヤ……」

男「……ごめん」

幼「………」

男「……幼」ギュ

幼「お、男……?」

男「しばらく、このままで」

幼「……男」

男「……悪い」

幼「男は、悪くないから」

男「……それと、ありがとう」



204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:37:32.55 ID:7HzRIHJS0

幼「……ねえ、男」

男「ん……? んっ!?」チュ

幼「……」

幼「……これで、許す」

男「お、おま、おまえ」

幼「……ふん」

男「……はあ」

男「分かったよ……」

幼「つぎ、勝手に離れたら許さないから」

男「おお怖い」

幼「本当だからね。縛って、監禁して、私のモノにしちゃうから」

男「……それはそれで」

幼「っ!?! ば、ばっかじゃないの!?」



207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:45:10.29 ID:7HzRIHJS0

男「嘘だよ、冗談だ」

幼「………」

男「に、睨まないでくれ。謝るから。すまん」

幼「いつか、刺されても知らないから」

男「……物騒なこと言うなよ」

幼「……男は、もう私のモノだから」

幼「もう誰にも、渡さない……」

男「……怖いな」

男「まるで――――」

男「………」

男「なあ幼。ヤンデレは――、怖いな」

幼「え?」






223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 05:14:21.04 ID:c8kfvYW60

大層乙であった



216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/11(木) 03:49:28.03 ID:mKxKpj6S0


ヤンデレに愛されてみたい



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オリジナルSS 幼馴染・許嫁   コメント:2   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
33379. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/04/17(水) 22:51 ▼このコメントに返信する
後輩CVゆかな

ヤンデレ成分が足りないがよかった、乙
43385. 名前 : 名無し◆- 投稿日 : 2014/06/08(日) 12:04 ▼このコメントに返信する
理性あるヤンデレが葛藤する姿はとてもよいものだ
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