前→( ^ω^)百鬼夜行のようです【第六話 百依百順 己なし。 前】まとめ→( ^ω^)百鬼夜行のようです【まとめ】1 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:21:34.88 ID:LDel1MXpO
いい加減立てよ!!(´゚ω゚`)
何回やり直させる気だよ!!2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 21:22:26.37 ID:qqfopXzz0
作者www支援www
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 21:23:10.03 ID:zC8wbIM90
なにいってんだwww
4 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:25:02.61 ID:LDel1MXpO
これは失礼、何回もスレ立てやり直してましてまさかこれでいけるとは。
ちょっとURLが書けないウンコマン状態みたいなので、後々いけましたら補完したいと思いますウンコマン。
六話後編の投下いっくよー!
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 21:25:03.83 ID:Hf3uCApFO
何キレてんだよwww
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 21:26:12.04 ID:zC8wbIM90
カオスwwww紫煙!
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 21:29:19.58 ID:qqfopXzz0
ウンコマン支援
8 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:27:24.75 ID:LDel1MXpO
かあ、かあ、からすがなく。
かあ、かあ、ててさま いずこ。
かあ、かあ、ははさま いずこ。
かあ、かあ、いずこ いずこ。
かあ、かあ、わたしは いずこ。
かあ、かあ、きょうだい いずこ。
かあ、かあ、かあ、かあ。
( ^ω^)百鬼夜行のようです。
【第六話 百依百順 己なし。 後】
からすがないておりました。
かたばねからすがなくのです。
かあ、かあ、ひとりはいやだ ひとりはいやだ。
かあ、かあ、かあ、かあ。
かたわものが、さめざめないておりました。12 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:29:45.92 ID:LDel1MXpO
( ^ω^)「困ったお」
('A`)「ああ、困った」
( ^ω^)「まさか囲まれちまうとは」
('A`)「物理的にな」
はは、と大福の様な坊っちゃんと餓鬼のどくおが顔を見合わせて笑った。
坊っちゃん達は狭い狭い場所に居り、居心地悪そうに腕を組む。
空を見上げてみれば、何だか狭く見える始末。
そりゃあそのはず。
( ^ω^)「塗り壁に四方囲まれるとは思いもせなんだお」
('A`)「長く生きてりゃ色々あンなァ」
( ^ω^)「ははは、どうしたものか」16 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:31:50.86 ID:LDel1MXpO
('A`)「金棒はあるが、こいつら貫けなかったしなァ」
( ^ω^)「そりゃなあ」
('A`)「跳ねて越えられる高さでもねェしなァ」
( ^ω^)「はー参った」
('A`)「全く参った」
( ^ω^)「あー困った困った」
('A`)「全く困った」
やれやれ参った参ったと繰返し、坊っちゃんは懐から包みを取り出す。
それを見たどくおは、背負う荷物から水筒を取り出す。
がさりと葉の包みを広げ、水筒から二つの湯飲みに茶を注ぎ。
二人は並んで、握り飯を頬張り始めた。19 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:34:16.35 ID:LDel1MXpO
( ^ω^)「あ、握り飯うめえお」
('A`)「うめぇな」
( ^ω^)「中身はおかかかお」
('A`)「こっちが梅でこっちが高菜」
( ^ω^)「これは?」
('A`)「つなまよ」
( ^ω^)「鮭は?」
('A`)「無い」
( ´ω`)
塗り壁に囲まれお手上げ状態だと云うのに
坊っちゃんとどくおには緊張感など、微塵も無かった。
それどころか和やかに昼飯を食い始め、塗り壁達も戸惑い、顔を見合わせる。23 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:36:33.86 ID:LDel1MXpO
/^o^\「このひとたちの きんちょうかんのなさは いったい」
| ^o^ |「きにせず あっしさせましょう」
| ^o^ |「おお こわいこわい」
| ^o^ |「ぶっとばすぞ」
元はと云えば、父の雷獣と友人の烏天狗に云われてのこのこ西へとやって来たのだ。
広がる荒野に森に山。
全く手付かずな外の世界。
少し遠いからと火車に乗って、暗雲立ち込める西の山へとやって来た。
暗雲が濃い、鬱蒼とした山と森。
そこへ失礼しますと上がり込み、西のあやかし共と話し合いをしようとした
の、だが。
侵入者に対して西のあやかしがそう優しい訳もなく、簡単に塗り壁の中に捕まってしまった。
最初は抜け出そうと、どくおやふさが頑張ったもの。
しかし相手は塗り壁、爪も金棒も効く訳がなく。
どくおは諦めて座り込み、ふさは疲れて猫の姿で眠ってしまった。27 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:38:38.80 ID:LDel1MXpO
流石の兄と妹を助ける為、話し合いの為にやって来たのにこのざまか。
握り飯をかっ食らいそう思っていると、何やら圧迫感。
ふと周りを見回せば、何だか先程より狭くなっている気がする。
気のせいかと茶をすすると、壁がじりじりと迫って来ている事に気付いた。
( ^ω^)「……どくお」
('A`)「ああ」
( ^ω^)「これ、やばくないかお」
('A`)「すこぶるやばいな」
( ^ω^)「やべぇお」
('A`)「やべェな」
( ^ω^)「このままじゃ潰されてあんこ出るお」
('A`)「干物ぺったんこになる」
( ^ω^)「しかし出れん」
('A`)「俺もこの高さは跳べねェ」29 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:41:08.36 ID:LDel1MXpO
( ^ω^)
('A`)
(;^ω^)「誰かー! 誰か助けてー!」
(;'A`)「このままだとぺったんこだー!」
( ^ω^)「つん?」
('A`)「殺されるぞ」
( ^ω^)「それでも僕はつんが好き」
('A`)「知らんがな」
(;^ω^)「誰か助けてー!」
(;'A`)「誰かー!」
ミ,,-Д゚彡(こいつら、阿呆なんだなァ……)34 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:44:03.23 ID:LDel1MXpO
ぎゃあぎゃあと喚きながら、二人はやっと昼飯を終えて塗り壁を殴る。
しかし手が痛むばかりで、びくともしない塗り壁。
ゆっくりじわじわと己を潰そうと迫る塗り壁に、やっと抱いた恐怖心。
見上げる程に背の高いそれ、分厚く金棒すらも通さない。
不意に、四方を囲む壁の一枚が、きらりと輝いた。
( ^ω^)「お?」
( ^ω^)「……」
(;^ω^)「お、お? おお?」
( ^ω^)「…………」
壁の一枚がぬらりと姿を変える。
すると、そこには坊っちゃんに瓜二つの、何かが立っていた。
隙間が出来た事に喜んだのも束の間、坊っちゃんとどくおはそれに驚き、目を見開く。37 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:46:33.85 ID:LDel1MXpO
(;^ω^)「僕……かお?」
(;'A`)「坊っちゃん……だな」
( ^ω^)「……」
(;^ω^)「……」
(;'A`)「……何も、して来ないのか?」
(;^ω^)「……かお?」
(;'A`)「何だこいつ……塗り壁から坊っちゃんになって、何だよ」
(;^ω^)「さ、さあ……鏡の妖怪、かお?」
(;'A`)「……まあ坊っちゃんになっても、怖くはないな」
( ^ω^)「失敬な」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「何か云えおお前さんも」38 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:49:15.43 ID:LDel1MXpO
端からは、坊っちゃんの偽物は何も云わずただ立っているだけの様に見えた。
しかし本当は、坊っちゃんの中身を、その身に映している最中で。
きらきらと反射させる様に、目の前の物を己にうつす。
その場において一番脅威となりうるものをうつす。
一見はただの人間である坊っちゃんを、きらきらと、己にうつしこんで。
今と過去と血の流れ。
血縁が見えぬ坊っちゃんの流れ。
ふやけた笑顔の内側の顔。
お人好しの内側の利己。
ただの甘ったれの中身の軸。
人によく似た人ならざる何か。
何か。41 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:51:51.37 ID:LDel1MXpO
坊っちゃん本人も知らぬ血。
だあれも知らないだあれも知ってる。
あまりにも、あまりにも、重い、何か。
何かが重い。
何かがつらい。
背負っていると気付いていない。
まだ誰も知らない、もう誰もが知ってる。
坊っちゃんの根っこの何か。
坊っちゃんの、坊っちゃんの、何かが。
びしり。
鏡に、罅が走った。44 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:53:36.38 ID:LDel1MXpO
鏡の異変には気付かない。
鏡の顔に、徐々に罅が走り出す。
重い、重い、重い。
くるしい、くるしい、くるしい。
これは何。
これは何だ。
それは誰。
それは、誰だ。
何者だ、人間じゃない、人間なんかじゃない。
妖怪だ、こいつも妖怪だ。
こいつは、自分でも気付いていない、妖怪だと、人間じゃないと。
産んだ親が居ないのは、妖怪ではよくある事。
付喪ならば無機物から産まれ、樹木なども自然から産まれる。
なのになのになのに、これは違う。
親が居ない、なのに産まれおいての人の形。
なのに人の間からは産まれていない、鬼すらも人の間から産まれると云うのに。46 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:56:06.67 ID:LDel1MXpO
何者だ、わからない、重い、うつせない、かさなれない。
鏡の罅は大きくなる。
重すぎて耐えられない。
その場において、一番強いものをうつす、さが。
その結果、大変なものを、うつそうとした。
見えない。
奥底が見えない。
見えてはいけない。
見てしまえば、割れてしまう、耐えられない。
誰かが見えた。
黒い、黒い、何か、何かが。
音を立てて、鏡が、砕けた。48 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 21:58:33.18 ID:LDel1MXpO
がしゃんと音をさせて、坊っちゃんだったものが砕けて散らばる。
それを見た坊っちゃんとどくおは目を真ん丸にして、呆けた顔をする。
何が何なのかさっぱり解らないと云う様に、顔を見合わせて。
突如巻き起こった風によって体が持ち上がるのに気付いたのは、少し間を置いてからで。
(;^ω^)「おおおっ!?」
(;'A`)「うべっ!」
| ^o^ |「あ にげられました」
| ^o^ |「これは しったい」
| ^o^ |「おこられ ますね」
ぶわ、と風に持ち上げられ、坊っちゃん達が塗り壁の隙間から放り出された。
塗り壁はそれを目で追うだけで、地面にべしゃりと落ちる姿をただ見るだけ。49 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:00:51.44 ID:LDel1MXpO
( ^ω^)「い、いてて……何なんだおいったい……」
('A`)「解らん、鼻打った」
( ^ω^)「どくお鼻血出てるお」
('A`)「顔面着地だったからな」
何やら抜け出せた、と坊っちゃん達はぶつけたところを撫でながら安堵する。
どくおが顔を打って鼻血を出しているが、すやすや眠るふさも管の中のしょぼんも無事だ。
坊っちゃんも怪我らしい怪我はしておらず、塗り壁は動かない。
ひと安心だと坊っちゃんが顔を上げた時、そこには見覚えのある顔があった。
( ´_ゝ`)「…………」
( ^ω^)「お……?」
( ´_ゝ`)「……大丈夫、ですか?」53 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:03:55.86 ID:LDel1MXpO
目の前に、山伏の様な格好をした男が立っている。
よく知る人物にとてもよく似ているが、どこか雰囲気が違う。
細い目も通った鼻筋も、背中の片翼もよく似ている。
これは、
( ^ω^)「流石の……兄者……?」
( ´_ゝ`)「…………」
( ^ω^)「兄者さん、だお?」
( ´_ゝ`)「俺を……知っていますか」
( ^ω^)「勿論だお……弟者に云われて、探しに来たんだお」
( ´_ゝ`)「あ…………弟者……」
( ^ω^)「兄者さん、だおね?」
( ´_ゝ`)「…………はい」56 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:08:24.03 ID:LDel1MXpO
坊っちゃんの問いに、俯きがちに兄者は頷く。
意外と簡単に見つかったと、坊っちゃん嬉しそうな顔をするが
何やら兄者の方は、辺りをきょろきょろと見回しながら、落ち着かない様子で。
何かあるのかと首をかしげて、坊っちゃんは再び問いかける。
( ^ω^)「どうしたんだお? どうして、こんなところに居続けるんだお?」
( ´_ゝ`)「…………」
( ^ω^)「妹者ちゃんが捕まってるから、かお?」
( ´_ゝ`)
( ^ω^)「お……? 妹者ちゃんは、どこに?」
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「おー……云えない事祭かお……」
( ´_ゝ`)゙
( ^ω^)「……じやあせめて、兄者さんはここで何をしているか」
( ´_ゝ`)"
( ´ω`)57 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:10:47.96 ID:LDel1MXpO
口を閉ざして俯く兄者。
参ったな、と坊っちゃんが困ったら顔をする。
と、兄者は坊っちゃん達に背を向けて、飛び立とうとした。
その瞬間、ばさばさと、羽搏く音がそこらじゅうに広がって。
『おやおやおやおや、これはこれはこれは珍しい物を目にしてしまいました』
( ´_ゝ`)!
『おやおやおやおや、烏天狗氏はそこで何をしていますか烏天狗氏
まさかまさか侵入者に背を向けるとは、まさか逃がすおつもりですか烏天狗氏』
( _ゝ )「……」
兄者の顔が強ばり、強く拳を握った。58 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:13:38.20 ID:LDel1MXpO
( ^ω^)「……誰だお」
『おやおやおや名乗りもせずに名を訪ねるとは礼儀をご存じ御座いませんか人間氏』
( ^ω^)「姿も見せずに好き勝手喋る奴に、礼儀を語られたくはねえお」
(;'A`)「おい、坊っちゃん」
『おやおやおやこれは失敬! 人間氏に怒られてしまいました!』
(#'A`)(…………うっぜぇな)
(-@∀@)「これはこれはこれは失礼致しました、僕はこの様な姿です、さあお名前をどうぞどうぞ!」
( ^ω^)「……内藤、だお」
(-@∀@)「こんにちはこんにちはごきげんよう内藤氏!
僕は鳥の朝日、獣の朝日、あなたの味方であなたの敵!」
( ^ω^)「…………蝙蝠かお」
(-@∀@)「はいはいはいはいその通りですとも! ああああそうだそうだ、そこの烏天狗氏のお知り合い?」
( ^ω^)「……一応」62 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:17:09.25 ID:LDel1MXpO
黒い装束にけたたましく甲高い声で、叫ぶ様に耳に障る声で喋る蝙蝠、朝日。
眼鏡をかけた人の姿をしており、背中には蝙蝠の羽根。
けたけたと喧しくわらう朝日に、妙な苛立ちが募る。
弟者やひっきぃが云っていた、鬱陶しい男とはこいつの事だろう。
一目で解る、声を聞くだけでも耳が痛み、胸の辺りがむかむかとする。
人を不快にさせる事が得意で、それを解ってやっているのも解る。
こいつは、相手を苛立たせて楽しんでいるのだろう。
決して、人には好かれない。
それどころか、嫌われる事を喜んで受け止める。
それが、この蝙蝠、朝日。
ふらふらと不安定に、へらへらと笑う蝙蝠。
恐らく、何よりも敵に回せば面倒な相手であると云えよう。65 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:19:48.41 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「いったいぜんたい如何なる理由でこの様な場所へ足を運んだのでしょう内藤氏」
( ^ω^)「……こっち側の空が暗いから、何かあったのかと伺いに」
(-@∀@)「おやおやおや、本当だ空が真っ暗くら、これはこれは一体なんでしょう」
(#'A`)「……白々しいな、解ってんだろ、お前らの頭の上くらい」
(-@∀@)「おや、おやおやおやおやこれはこれはこれは! 餓鬼畜生ではありませんか!」
(#'A`)「なッ」
(-@∀@)「おお内藤氏、人間でありながら餓鬼畜生など連れて歩く何と云う事でしょうか!
ああ臭う臭う腐肉の臭い餓鬼の臭い! 餓鬼など低俗な物を連れてはいけません!」
(# A )「て、め……ッ!」
(-@∀@)「ああ噛み付かれてしまいそうです内藤氏、この餓鬼を早々に立ち去らせてくださいな!」
( ^ω^)「…………どくお、下がれお」
(# A )「ッ!!」67 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:23:34.06 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「ああ臭う、餓鬼の臭いは酷いものですね」
( ^ω^)「……朝日、お前さんも口が過ぎるんじゃあ無いのかお
これは僕の従者であり家族、それを嘲り笑うとはどう云う了見かお」
('A`)「……坊っちゃん、」
( ^ω^)「招かれざる客とは解っているが僕らは客、礼儀を払うつもりでいる
それを踏みにじり礼儀も持たず笑うか蝙蝠、お前さんは礼儀を知らぬ畜生にも劣る」
(;'A`)「ぼ……坊っちゃん……」
( ^ω^)「僕らの礼儀など受けられぬと云うならそう口にしろ
口にすれば僕らはお前さんらを敵と見なそう、それがお前さんらの選択だ」
(;'A`)「坊っちゃん、もう」
( ^ω^)「それは僕らが望む事ではなくお前さんらが選んだ道
故に僕らは悪ならず、選んだお前さんらがそれを望んだ、ならば僕らは牙を剥く」
(;'A`)「坊っちゃん俺は良いから! 止めろッ!」
( ^ω^)「黙れどくお、僕は朝日に云っている」
(;'A`)「!!」
( ^ω^)「さあ口にしろよ蝙蝠、望むならかかってこい
売られた喧嘩ならば嫌々でも買ってやる、お前さんらが売ったのだ、さあ口にしろ」72 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:27:15.60 ID:LDel1MXpO
静かに、それでも勢いよく捲し立てる坊っちゃん。
扇を帯から抜いて、ばっと広げて口許を隠す。
目はいつもの笑顔の形だと云うのに、どこか冷たく鋭くて。
平静を装ってはいるものの、坊っちゃんの腹の内には重く黒い怒りが蟠っていた。
家族を友を愚弄され、怒りが身から溢れ出る事を抑えようともしない。
ふやふやと甘ったれの坊っちゃん。
されど頭が悪いわけではない。
義理と云えども聡明なる両親を持つ坊っちゃんにも、繋がれたるは高潔な筋。
力は無く甘ったれ。
箱入り息子の坊っちゃんは、喧嘩は弱く逃げ足早く。
父の様に強くはない。
母ほど頭も良くはない。
けれども受け継ぐ、主の威厳。76 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:31:01.25 ID:LDel1MXpO
怒りに毛並みを逆立てる獣の如く、朝日を睨む坊っちゃん。
それは普段の坊っちゃんからは、想像も出来ない雰囲気。
声を荒らげる事も、上から物を云う事も、普段は、しない。
その坊っちゃんが、
(# ω )「喧嘩を売るならば買ってやる!! さあはっきりと云うが良い!!
家族を罵り愚弄した罪が軽いと思うな蝙蝠!! 貴様は餓鬼にも畜生にも劣る!!
口にしろよ僕らに戦を仕掛けると!! この怒りで貴様如き容易く捩じ伏せてくれるわッ!!!!」
坊っちゃんが怒りをあらわにして、怒号を乱れ飛ばす。
朝日の胸ぐらをがっと掴んで、木の幹に押し付けて怒鳴り、叫ぶ坊っちゃん。
その行動に、どくおも兄者も驚き目を見開く。
これではどっちが喧嘩を売っているのかと、慌てて止めようとはした。
しかしそんな事を、今の坊っちゃんが許してくれるとは思えなくて。
(-@∀@)「は、あは、あははははっ、あはははははははっ」82 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:34:28.95 ID:LDel1MXpO
(# ω )「何が可笑しい、何を笑うッ!! 僕の怒りすら愉快だとでも云うつもりかッ!!」
(-@∀@)「あは、は、すみませ、あはははっ、あはははははっ、違いますとも、は、あははははっ」
(# ω )「ならば貴様の誠意でも見せろ朝日ッ!! 何を笑うのだッ!!」
(-@∀@)「あはっ、すみません、すみません、可笑しいのではありませんとも、あははっ
落ち着いてくださ、あはぁはははっ、すみません、はははっ」
(# ω )「ッ……」
(-@∀@)「すみません、僕も口が過ぎました、怒らせてしまって申し訳ない、ははっ
ただ内藤氏がそんなに、ああ怒って当然ですね、あは、餓鬼氏、失礼、しました、あはは」
(;'A`)「……俺はもう良い、坊っちゃんも、落ち着いてくれ」
(# ω )「…………」
(-@∀@)「逆鱗に触れてしまって、あはっ、すみません、驚いて笑いが、あははっ」
(;'A`)「……」
(-@∀@)「あは、あはっ、あははっ、ははははっ、あははははははははははははっ」87 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:37:16.55 ID:LDel1MXpO
坊っちゃんに胸ぐらを掴まれたまま、けらけらと笑い転げる朝日。
しかし愉快で笑っていると云うよりは、咳の様に込み上げて止まらない、と云う感じで。
解放されてからも喉を押さえてけらけらけらけら笑う朝日に、
どくおも怒りを忘れ、呆れた様に肩を落として息を吐いた。
未だ頬を怒りに染めたままの坊っちゃんを、やっと朝日から引き剥がし
背中をとんとんと叩いてやり、落ち着く様に促す。
暫く深呼吸をさせて、坊っちゃんが落ち着くのを待ちながら朝日をちらりと見る。
木に背中を預けて、笑いすぎたのか喉をひゅうひゅうと鳴らしている。
緊張すると笑う癖でもあるのかと溜め息を転がしてから、ふと兄者の方に目をやった。
すると、兄者は顔色を無くし、俯いて小刻みに震えていた。
(; _ゝ )「…………」
('A`)「……兄者?」
(; _ゝ )「っ!」92 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:41:31.05 ID:LDel1MXpO
('A`)「どうした、顔色が……」
(; _ゝ )「何でもっ! ……な、でも……な……い……」
('A`)「……? 顔色、悪いぞ」
(; _ゝ )「…………大丈夫……です、から……」
('A`)「から……?」
(; _ゝ )「…………内藤さん、は……落ち着い、て?」
( ^ω^)「……お、すまなかったお」
(; _ゝ )「…………」
('A`)「大丈夫か? 兄者、体調でも、」
(; _ゝ )「ぁ……」
(-@∀@)「はーあ……すみません、笑ってしまって」
(; _ゝ )「ッ!!」98 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:45:39.09 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「失礼しました、ところで空の事でした?」
( ^ω^)「お……僕もすなかったお、そうだお」
(-@∀@)「それはですね、実を云うと」
(; _ゝ )「な……ッ内藤さん!」
( ^ω^)「お?」
(; _ゝ )「な、内藤さんは、俺を探しに来たんですよね!?」
(-@∀@)「おやおや烏天狗氏、今は僕が」
(; _ゝ )「俺は! 俺は、大丈夫です! そう俺を探す様に云った方へ! 伝えて下さい!!」
(;^ω^)「お、お?」
(; _ゝ )「だから、だから……ッだから!!」
(-@∀@)「烏天狗氏、」
(; _ゝ )「だから早くッ! この場から…………ッ消えてくれッ!!」104 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:48:23.53 ID:LDel1MXpO
兄者は朝日の言葉を遮る様に強く云い、坊っちゃんに向き直って捲し立てる。
そして片手に握った葉の様な扇をぶわり、持ち上げて。
勢いよく、坊っちゃん達へと降り下ろした。
(;^ω^)「お、おおおおおおおっ!?」
(;'A`)「うぉわあああああああああっ!?」
ぶおん、と風を切る音。
巻き起こるつむじ風。
慌てて猫を抱き抱えると、坊っちゃん達は風に巻き上げられて宙を浮き
そのまま、風に乗ってどこかへと飛ばされてしまった。
木々をざわざわ喧しく、葉擦れの音もけたたましく。
一陣の風が吹きすさび、すぐに、静寂を取り戻す。
兄者によって起こされた狂い風が大人しくなると、くすくすと笑い声が上がった。
疲れた様に肩で息をする兄者が声の主に顔を向け、苦々しい表情を見せる。110 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:51:20.54 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「……これはこれは、お客人を吹き飛ばすとは」
(;´_ゝ`)「…………朝日」
(-@∀@)「全く、何をなさるかと思えば突然あなたはいったいぜんたい何をしたいのですか」
(;´_ゝ`)「朝日、お前……わざと怒らせただろうっ!」
(-@∀@)「おやおやおや、何がです?」
(;´_ゝ`)「しらばっくれるな!! わざと怒らせて、わざと笑って、お前!!」
(-@∀@)「怒らせて笑って、何です?」
(;´_ゝ`)「そんなにっ、そんなに内藤さん達を殺したいのかッ!?」
(-@∀@)「は、あは、あははははっ」
(;´_ゝ`)「笑うな、笑うなよ! 笑っちゃいけないんだよ!!」
(-@∀@)「なぜです? なぜです? なにゆえです? あはははははははははっ」
(;´_ゝ`)「あの暗雲だって……ッお前達が死人を甦らせたからだろうっ!!」112 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:56:05.06 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「甦らせた? いえいえいえいえ違います」
(;´_ゝ`)「どう違うんだ! お前達が起こしたんだろう!!」
(-@∀@)「何をです?」
(;´_ゝ`)「うえがみを、餓神くうをッ!!」
(-@∀@)「違いますとも、彼女は勝手に目覚めたのですよ」
(;´_ゝ`)「そうだとしても、内藤さんとどくおさんを殺そうとしただろう!!」
(-@∀@)「何の事でしょう? なぜなぜなにゆえなぜにどうしてそうなります?」
(;´_ゝ`)「餓神はどくおさんを恨んでいるんだろう! だから、わざと怒らせて呼ぼうと!!」
(-@∀@)「おやおやおや、どうしてそこまでわかります? 当てずっぽうにしては詳しい」
(;´_ゝ`)「当てずっぽうじゃないからだ! だって、すぐそこに!!」
がさり。
(;´_ゝ`)「ッ!!」114 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 22:59:38.57 ID:LDel1MXpO
ひゅ、と喉から絞り出した様に息が漏れる。
背後でうごめいた草むら、その向こうの気配を背中で感じた。
射殺される様な、刺す様な、殺気を孕んだ気配。
兄者の目の前では、朝日が可笑しそうにけらけらと笑っている。
何を笑うかと、坊っちゃんの如く怒鳴りたくなった。
しかしそれを許さない気配に、今度はどくおの様な気分に陥る。
そして、しなだれかかる様な女の声が、転がった。
川 ゚ -゚)「どく、お……?」
(; _ゝ )「ぁ……餓、神…………」
川 ゚ -゚)「どくお……居るの、か……?」
(; _ゝ )「いな、い! ここには、俺と、朝日だけ……しか……っ」120 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:02:37.58 ID:LDel1MXpO
川 ゚ -゚)「……怒ったのは……誰だ……?」
(; _ゝ )「あ、ぅ……お、俺、だ……」
川 ゚ -゚)「笑ったの、は……」
(-@∀@)「僕ですとも」
川 ゚ -゚)「…………そう、か……」
草むらから姿を現したのは、黒髪の美しい女。
美しく整った顔立ちに、細く白いしなやかな肉体。
頭から生える二本の細く長い角が、女が人間ではない事を物語る。
白い肌は死人の如く血の気を感じさせず、目も虚ろで足取りすら覚束ず。
ぐろんと目玉をあちらこちらへ巡らせて、ふらふらと何かを探す。
そして、ぎゅううと鳴る腹を押さえて、歯軋りをした。
唇の隙間から覗く牙が、唾液に濡れて光を反射させる。123 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:04:17.88 ID:LDel1MXpO
(; _ゝ )「……朝日」
(-@∀@)「はいはい?」
(; _ゝ )「俺がここに居る理由は、妹者を人質にとられているからだ」
(-@∀@)「ええ、ええ、空に強く山に強い烏天狗氏は我々にとってとても役に立ちます
それに気も弱くて根性もない人の顔色ばかりを伺っている烏天狗氏は便利な道具!」
(; _ゝ )「……否定は、しない……その通りだからな」
(-@∀@)「ここへ来た時の威勢はどこへやら、根性なしは便利ですね」
(; _ゝ )「…………いつ、妹者に会わせてくれる……逃げはしない、ただ、無事を確認したい」
(-@∀@)「僕に申されましても、捕らえているのは恐ろしい鬼の女
僕らと云えども近付けば噛み殺されてしまうかも知れません!」
(; _ゝ )「……会える、様に…………頼む」
(-@∀@)「道具の発言ですか?」
(; _ゝ )「…………会わせて貰える……様に…………お願い、します……」
(-@∀@)「善処はしましょうね」128 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:06:43.88 ID:LDel1MXpO
川 ゚ -゚)「……妹、?」
(; _ゝ )「あ、ああ……人質に、とられてる」
川 ゚ -゚)「…………それは、かわいそうだ」
(;´_ゝ`)「ぇ……?」
川 ゚ -゚)「家族は、大事だ……家族は、大事だから」
(;´_ゝ`)「あ……ああ、大事……だな」
川 ゚ -゚)「私にも……家族、居たんだ……むかし、むかしだ」
(;´_ゝ`)「…………」
川 ゚ -゚)「義理の、な……親が……いや、親じゃない……あれは…………ひどい、奴等だった」
(;´_ゝ`)「生きてた頃の、か?」
川 ゚ -゚)「ああ……まだ私たちは、幼くて……けれど奴等は、私たちに飯もくれなくて……」
(;´_ゝ`)「……」
川 ゚ -゚)「あいつとな……二人で……逃げ出そうとして……けれど失敗して……ああ……」133 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:09:16.41 ID:LDel1MXpO
川 ゚ -゚)「…………あいつは……どこだ……? 私をのこして……死んだ……うらぎりもの……」
(;´_ゝ`)「裏切り、者……」
川 ゚ -゚)「共に生き共に逃げようと誓ったのに……あいつは……私をおいて……逃げようとして」
(;´_ゝ`)「…………」
川 - )「憎らしい……恨めしい……腹立たしい…………どこだ……私を捨てた、あいつは……」
(;´_ゝ`)「…………どくお……さん」
川 - )「ああ……あああ……それだ、その名だ……どくお……
私を、見殺しに、した……どくお…………どこだ、どこにいる……どくお……ッ!」
(-@∀@)「彼なら、町に居ますよ?」
(;´_ゝ`)「なっ! あ、朝日ッ!?」
(-@∀@)「あは、は、あはぁっ」
(;´_ゝ`)「餓神ッ!」
川 - )「…………ははっ、あはっ、はっ」
(; _ゝ )「………………どうするん、だよ……これ……」139 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:13:02.54 ID:LDel1MXpO
川 - )「そ、か……町……か…………町……」
(-@∀@)「町へはこのまま、東へ向かうと良いですよ」
川 - )「ふ、は、あは、はは……どくおは……どくおは、一人、か……?」
(-@∀@)「いえ」
川 - )「…………誰かと……いっしょ……?」
(-@∀@)「ええ、ええ、主人と家族、しあわせそぉに、過ごしてますとも」
川 - )「……」
(-@∀@)「餓神氏を、捨てて、家族と、しあわせそぉぉに……たのしそぉに、生きてますよ」
川 - )「…………たのしそぉ……に……」
(-@∀@)「それはそれはもう……餓神氏など、忘れた様に」
めぎり、と、木の幹が、砕ける音がした。141 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:16:14.35 ID:LDel1MXpO
餓神は爪を立てていた木の幹から手を離し、ぱらぱら木屑を溢しながら両手で顔をおおう。
体を曲げて、苦しそうに、悲しそうに、食い縛った歯の隙間から唸り声を洩らして。
ぐううう、と濁った獣の様な声を絞り出す餓神。
それを見て、笑いを堪えるのが苦しそうな、にやにや笑いの朝日。
そんな二人をどうする事も出来ず、顔面蒼白のままただ狼狽える兄者。
どちらかに声をかけようと口を開いた兄者の耳へ、鼓膜を引き裂く様な咆哮が叩き込まれた。
川# - )「あ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああああぁああああああああああああああああああッ!!!!」
(; _ゝ )「ひっ!?」
川# - )「喰い殺してやる喰い殺してやる喰い殺してやるあの裏切り者ぉおおおおおおおおおおッ!!!!」
(; _ゝ )「ひ……ぅ、餓……神……」
川# - )「誰が貴様だけ幸せになどさせるものかぁあああああああああああああああああッ!!!!」
びりびりと肌を刺す様な怒号に、兄者は身を縮めて怯えを見せる。
しかしそんな事にはお構いなしに、餓神が己の顔に爪を立てながら、ただ叫んでいた。145 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:19:13.60 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「大丈夫ですか烏天狗氏?」
(; _ゝ )「おま、ぇ……なんて……ことを……」
(-@∀@)「あは、寝起きのけだものは恐ろしいですね」
(; _ゝ )「何を……悠長に……っ」
(-@∀@)「……この近くにね、無縁塚があります」
(; _ゝ )「……?」
(-@∀@)「そこにね、肉を投げ込んで、恨み言を云わせ続けたのですよ」
(; _ゝ )「…………まさ、か」
(-@∀@)「まさか……そんな事で起きるなんて、ただの悪ふざけだったのですけどね」
(; _ゝ )「言霊はっ……言霊は何よりも……強いって知らないのか……!?
それは、立派な呪術だろう……っ、なんて……っ!」
(-@∀@)「いいじゃないですか」
(; _ゝ )「は……!?」
(-@∀@)「いいじゃないですか、」
「たのしければ」148 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:22:34.22 ID:LDel1MXpO
へらりと、眼鏡の向こうで朝日は心から楽しそうに、歪んだ笑みを浮かべた。
その目はどこまでも黒く、暗く、光はなく。
小柄で細身な蝙蝠の体から発せられるものは、どうしようもなく歪みきった悦楽。
もはや何が楽しい等と怒鳴る事すら考えられず、兄者は怯えきった顔をするばかり。
細い目尻に浮かんだ涙は、紛れもなく恐怖からなるもの。
朝日の、訳のわからない恐怖に、肩を抱いて、がたがたと震えていた。
(-@∀@)「いいじゃないですか、いいじゃないですか、たのしければ、たのしければ、ねえ?」
(; _ゝ )「ぁ、う、ぅあ……なに……が……ぅ」
(-@∀@)「此処は何処だと思います?」
(; _ゝ )「ぅ……ぇ、?」
(-@∀@)「此処は、町の外。そしてどうしようもない無法者が集まる西の土地
南の森山でのんべんだらりと生きていた烏天狗氏にはわかりません?」
(; _ゝ )「…………ぁ、う」
(-@∀@)「無法者の集う地に、秩序があると、お思いで?」152 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:25:22.19 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「あは、あはぁは、我々の行動における根底を、根っこを教えてあげましょうね」
(; _ゝ )「…………ちか、づく……な……やめ……」
(-@∀@)「僕らはね、僕らはですね、なんのために動くかと云いますとね」
(; _ゝ )「ぁ……あ、ぁっ……」
(-@∀@)「楽しくて、気持ち良ければ、それで良いのです」
(; _ゝ )「あ゙っ……ぁ」
(-@∀@)「楽しいが正義、愉快が正義、快楽が正義、わかります? わかります?
これが我々の正義、あんたがたの正義と混ぜっこぜになさらないでください
あんたがたの悪だろうが我々にとっては正義なりうるのですよ、わかります?
何かを殺す事に躊躇いなんてありません、なぜかわかります?
別に食うため生きるためでもありません、わかります? ねえわかります?
僕らはですね、何かを殺す事が楽しいから殺すのですよ、楽しくなければ殺しません
だってほら今のあんたの様に首を絞められて血を吐きそうな顔と声でもがく姿
それは我々にとっちゃ楽しくてしょうがない事なのですよ、つまりね、わかります?
僕は今とてもとてもとても楽しいのですよ烏天狗氏、楽しいのですよ
だってだってあんたが生きたそうにもがく姿は愉快そのもの!
さあ生きたそうにもがいてください空気を求めて金魚みたいに口をぱくぱくしてなさい!
ああ楽しいですね、あんたの様な甘ったれが死にかけて生きたいと渇望して絶望して死人の色に近付くのは楽しくてしょうがないですねえ!!」154 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:28:07.63 ID:LDel1MXpO
(-@∀@)「ああ、いつの間にか雌餓鬼畜生が何処かへ行ってしまいましたね
全く餓鬼とは作法も礼儀も知らない愚図なのは共通なのですね
あの雄餓鬼も雌餓鬼も頭が悪い癖に力で全て捩じ伏せようとする鬼の愚図さは全く
どいつもこいつもこの朝日に楯突こうとしてああ全く腹立たしいですねえ
餓鬼共も烏天狗氏あんたもあのにやにや笑ってる男も鬱陶しいったらありませんね
どいつもこいつもああ鬱陶しい甘ったれ共が早いとこ臓物でも何でも散らかして這いつくばれば良いのですよ」
(; _ゝ )「ぁ…………あ、……がっ……」
(-@∀@)「おっと、死んじゃう死んじゃう」
延々と一人で捲し立てていた朝日が、捻り上げていた兄者の首から手を離す。
どさ、と崩れ落ちた兄者は息を詰まらせた様に、体をびくびくと震わせる。
しかし朝日がその背中を蹴飛ばせば、大きく咳き込み、やっと喉に空気を入れる事が出来た。
がくがくと震えて、溢れる涙も恐怖から来る震えも止める事が出来ず
酸欠と涙で歪んだ視界の中、地べたに倒れたまま縮こまって朝日を見上げる。
朝日は相変わらず、楽しそうな笑みを仮面の様に顔へはりつけている。
ずっと変わっていない筈の表情は、涙で顔がぐしゃぐしゃになるほど恐ろしくて。159 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:32:30.94 ID:LDel1MXpO
何処からそんな力が出ていたのか疑う程、蝙蝠の手足は細い。
しかし己よりも随分背の高い、長身の兄者に、余裕を持って力で押し勝つ事が出来る。
これは恐らく、体格差は関係ないのだろう。
兄者は長身だが、若い。
それに比べれば、朝日は小柄だが恐ろしく長く生きている。
あの、雷獣や女郎蜘蛛と同じ程に、長く生きているのだ。
朝日だけではない。
朝日の側によく居る妖怪共も、同じ程、生きている。
先日弟者を襲った蜘蛛の妖怪も、その内の一匹で。
恐ろしい物が、恐ろしい事を考えている。
この正真正銘のばけもの共が、人の死を快楽ととらえている。
恐怖を抱き、恐怖を覆うほどの絶望が、兄者を襲った。163 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:36:19.80 ID:LDel1MXpO
誰か、誰か、誰か。
ああ誰か、誰か助けてくれ。
こわい、こわい、こわい。
ひとりはいやだ、こわい、こわい。
こんなところで一人で居るのは、もう、もう、たえられない。
誰か、誰か、はやくはやく、助けてくれ。
妹と共に、この根性なしも助けてくれ。
かあ、かあ、かあ。
かたわの烏が、大声あげて、泣いていた。
『六話後編 おわり。』165 :
◆XCE/Wako2nqi :2010/04 /11(日) 23:37:59.04 ID:LDel1MXpO
支援ありがとうございました。
何が楽しいって朝日楽しいよ朝日。
誰かおにぎりつくって下さい。
それでは、これにて失礼!166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/11(日) 23:39:16.53 ID:jKxPaUCSO
乙でした
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 22:32:02.94 ID:GH3VLdoEP
坊ちゃんがかっこいい・・・
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 23:07:32.58 ID:BdHxTNI1O
久しぶりに遭遇だ
謎がボロボロ出てきたな支援
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 23:31:58.72 ID:bQqWArxyO
あさひこえーよ
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 23:39:44.24 ID:qqfopXzz0
おつ!来週も楽しみにしてる!
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04 /11(日) 23:49:22.92 ID:muE9l+rQO
乙ー。朝日もヤバいがクーもかなりやべぇ
続きます。
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