前回→サーナイト「大きくなってもエルレイドにはなれませんでした」
最初から→キルリア「大きくなったら立派なエルレイドになります!」
1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:08:09.93 ID:
7WNhNCog0
キルリア「火力の足りないアンタの為になってやるってのよ」
チェレン「……ボクはかくとうタイプなんか大嫌いなんだ。インファイトを考えた奴はクビをくくって欲しいと思ってる」
キルリア「じゃあインファイト外して、でんじはでも入れればいい」
チェレン「はあ……いいかい、このヒオウギはジムができてまだ日が浅い。トレーナーだって、まだまだ絶対数が少ないんだ」
キルリア「ふん、それで?」
チェレン「意気揚々と挑戦に来た新人がでんじはで完封され、涙目になるところをボクは見たくないんだよ」
キルリア「筆記試験の難易度は落とさないのに」
チェレン「論点はそこじゃない! そもそもキミはだね……」
キルリア「Aが足りないから? 最近のトレーナーはすぐ個体値にこだわる……メンドーね、不毛ね」
チェレン「オシイッ! 違う、そこじゃない! いいかい、キミはそもそも♀! 女の子だろ!!」
ポケットモンスターブラック2 ホワイト2
4:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:13:14.95 ID:
7WNhNCog0
キルリア「わからんちんね、さっさとめざめいしでも採ってきて頂戴」
チェレン「……」
キルリア「それじゃあ、おやすみなさい」
チェレン「……」
チェレン「メンドーだ……」
トウコ「働けや公務員。税金払ってやんねえぞ公僕」
チェレン「ボクの身を案じてすらくれないのかい」
トウコ「もっと苦しめ」
チェレン「勘弁してくれよ……」
トウコ「大体、そんなにメンドーならよォ、ベルに丸投げしちまえば良かったんじゃねェのか?」
チェレン「あれ以上彼女に……アララギ研究所に負担を掛けさせたくないんだ」
トウコ「うわ、キモッ」
チェレン「違う、そうじゃない!! ボクはノーマルタイプ一筋だ、人間の女性に興味があるわけじゃあ……」
トウコ「それもキモッ」
5:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:17:03.15 ID:
7WNhNCog0
レシラム「何をキモがる必要があろうか、それも立派な選択肢ぞ」
トウコ「しゃべんなよ、不愉快だ」
レシラム「いいや、ここは言わせていただこう。いいかねチェレン殿、ジョウトにはミルタンクというそれはもうおあつらえ向きの……」
チェレン「……」
レシラム「それでは、オドシシはどうかね? きゃつの『しめつける』こうげきは非常に濃厚でもっちりとした……」
チェレン「ほうほう、それで……」
トウコ「ストップだカスども」
チェレン「聞かせろ」
トウコ「メンドーな獣姦メガネだな! またのび太っつってイジめんぞ」
チェレン「も、もうボクはコンタクトだ! 第一かけてないだろ! ほら!!」
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:22:43.43 ID:
7WNhNCog0
トウコ「テメエと不毛なポケ姦トークをしに来たんじゃあねえ、くだんの胸糞わりィ案件について詳しく聞きに来たんだよ」
チェレン「……すまん、もよおした。一発抜いてきていいかい。ムーランド、おいで」
トウコ「やらせねえよ!」
チェレン「ひどい」
チェレン「被害に遭ったのは『そだてや』のB棟、C棟。加えて、隣接している保育園の一部施設にも飛び火しているらしい」
トウコ「……」
チェレン「幸いながら、経営者の夫妻にけがはなく、人的被害はゼロだ」
トウコ「ジジイババアはいい、さっき会ってきた。ポケモンはどうなんだよ」
チェレン「ピーク時に比べれば若干少ないが、収容していた9匹のポケモンは……」
トウコ「……」
チェレン「鋭利な刃物による……」
トウコ「ちょい待ち」
チェレン「何だい」
10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:26:53.18 ID:
7WNhNCog0
トウコ「そりゃ公式発表の内容丸読みしてるだけだろうが。他になんかねえのか?」
チェレン「……君は何を求めてるんだい」
トウコ「おっと会話が成り立たないアホがひとり登場~、質問文に対し質問文で答えるとテスト0点なの知ってたか? マヌケ」
チェレン「ば、バカにしてんのか!」
トウコ「バカだろバカ。わたしがそんな一般ピーポー向けの情報集めてどうするってんだ。もう既にしてるんだろ、独自捜査」
チェレン「……」
トウコ「はいビンゴ、図星。なにが鋭利な刃物だ、白々しい」
チェレン「……バレたら協会クビになる、勘弁しろ」
トウコ「あんだって~~~? 耳が遠くて聞こえねえよォ~~~」
チェレン「このクソビッチが……!」
12:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:32:49.83 ID:
7WNhNCog0
トウコ「うるせぇな、いいからさっさとこのトウコさんにテメエの見解を聞かせろってこったよ」
チェレン「見解と言ってもな……情報が少なすぎるんだが」
トウコ「分かってる事だけで構わねえ」
チェレン「……喋らないと帰ってくれないだろ」
トウコ「よく分かったね。えらいぞのび太」
チェレン「ああ、メンドーだ……そうだよ、キミの考えている通り。家屋への放火も、ポケモンを殺したのも人間の仕業じゃない」
トウコ「ほら見れ」
チェレン「火の移りは一部施設を損壊させる事でカムフラージュされているが、おそらくはポケモンの『だいもんじ』だ」
トウコ「その根拠は?」
チェレン「『しぜんのちから』と『みやぶる』による立証。ボクの専門を考えてもらえれば、信じてもらえると思う」
トウコ「ふん、おおかたヨルノズク辺りを連れてったな。やるじゃんか」
16:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:42:28.21 ID:
7WNhNCog0
チェレン「ご明察。その結果、やはり焼け方が『だいもんじ』の形式ばった、特徴的なそれに酷似していた」
トウコ「つまり、野生ポケモンがオイタしたって線は消えるってわけだ」
チェレン「ボクもそう思っている」
トウコ「『だいもんじ』なんつーわざは、ジョウト……それもエンジュシティのでけぇ祭りの際に考案された、『人間が構築したわざ』だって言われるからな。
相当人間によって鍛えられた、ほのおタイプしか覚えねえ、強力且つ特徴的なわざだぜ」
チェレン「加えて、預けられていたポケモンの命を奪った……ボクの見立てでは、かなり深い切創だったんだが」
トウコ「それも何やらきな臭いってんだろ」
チェレン「ああ。少なくとも、すばやさに優れたテッカニンに気づかれず……これは被害に遭ったポケモンだがね。
その寝首をかき、死に至らしめられるほどの俊足を持つポケモンの仕業じゃないかと推測している」
トウコ「……『かげうち』、『でんこうせっか』の線はどうだ」
チェレン「そこまで範囲を広げると、さすがに骨が折れそうだな……」
トウコ「想定してなかったとは言わせねえぞ」
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:51:26.03 ID:
7WNhNCog0
トウコ「『だいもんじ』を所有し、テッカニンを抜く事のできる……もしくは、一撃でテッカニンを狩れる先制わざの持ち主がクロってわけか」
チェレン「……当然、複数犯の可能性が高いわけだが」
トウコ「複数犯ってお前、一人のトレーナーは6匹ポケモン持てるんだぞ。何言ってんだ」
チェレン「わ、わかってるよ」
トウコ「……そんで、さっきベルだのアララギ研究所がどうだのってこぼしたな。どういう事だ」
チェレン「ああ、それは……だな」
トウコ「あー、やな予感しかしない」
チェレン「……最新版レッドリスト作成に携わった組織のほとんどが、マスコミの執拗な取材にあってる」
トウコ「そう来るかー……あすこがダメなら、ヒウンのマコモさんとこもちょっかいかけられてるかもなー」
チェレン「懸念すべきは、カントーやジョウト……特に、ホウエンに飛び火してしまう事は避けたいな」
トウコ「やめてくれ、考えたくねえわ……メンドーだな……」
チェレン「あと、その言い回しはボク発祥のものだからな。特許料よこせよ」
18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 02:59:33.82 ID:
7WNhNCog0
トウコ「せっかくわたしやハルカ先輩が必死こいてスポンサー集めたのによォ、そりゃねえって」
チェレン「……しょうがないだろ。それほどまでに、レッドリスト作成ってのは一般に馴染みが薄いんだからさ」
トウコ「はっ、トレーナーのモラルの底が知れるわ。ポケモン扱うんなら一回は目ェ通しとけってのにさ」
チェレン「トレーナーカードの発行に制限をつけるべきという意見は、毎月の定例会で出しているんだけどね」
トウコ「新米ジムリーダーの意見なんか聞いてもらえるわけねえや」
チェレン「……ボクだって、何もしてないわけじゃないぞ。絶滅危惧種のポケモンに関する講演だって」
トウコ「あ、あれだろ。人気のねえ公会堂借りたはいいけど、まったく人が集まらずに涙目で終わるパターンだべ」
チェレン「……やめろマジで」
トウコ「図星wwwwwwwwwww」
チェレン「そ、それにだ! スクールでは頻繁にそうした講義だってしてるぞ!」
トウコ「あー、だからおめえんとこのジムの筆記試験の通過率2割切ってんだ」
チェレン「……」
トウコ「……アンタさ、ヒオウギのジム受けにくんのってまだ10歳そこらのお子様だぜ?」
チェレン「……道理でか……」
トウコ「試験監督やりゃわかるって。多分みんな時間ぎりぎりまで何も書けねえから」
19:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:04:27.75 ID:
7WNhNCog0
トウコ「よっしゃ、一通りの書類はいただいてく。サンキュー」
チェレン「ああ」
トウコ「……で、彼女は?」
チェレン「ムーランドかい?」
トウコ「ふざけろ。キルリアだよ、例のキルリアちゃん」
チェレン「ああ……ちょうどよかった、聞いてほしい事があるんだが……」
トウコ「……あんだよ」
チェレン「……エルレイドになりたい、とか言い出してさ」
トウコ「wwwwwwwwww」
チェレン「わ、わ、笑うなッ、起きちゃう!」
トウコ「なにwwwwwボールにも入れてねえのwwwwジムリーダーのクセにwwww上から怒られねえのwwwwww」
チェレン「……起こすと怒るんだよ……なまじっか、他のポケモンと違って意思疎通ができるからさ」
トウコ「ひゃっひゃっひゃっひゃwwwwwwwwwwwww」
チェレン「お願い静かにしてェ!」
20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:10:42.62 ID:
7WNhNCog0
トウコ「……で、その子ってあれだろ? 事件の生き証人なわけだ、家屋ん中にいた……」
チェレン「火の手を逃れて、草むらに隠れているのを発見されたんだ」
トウコ「一晩とはいえ、よく草むらでキルリアが過ごせたもんね。感心するわ」
チェレン「……やけに褒めるな」
トウコ「そらそうさ。ハルカ先輩直伝のラルトス知識は伊達じゃねえ」
チェレン「そんなに難しいものなのかい、キルリアが野生として生きていくのは」
トウコ「難しいとかそんなんじゃなくてな。『無理』。『不可能』だ」
チェレン「な……」
トウコ「イワークになみのりさせるくらい不可能だ」
チェレン「……」
21:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:11:25.85 ID:XD4/4axp0
い、イワークだってその気になれば…
22:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:19:49.84 ID:
7WNhNCog0
チェレン「だが、似たような性格や特性を持つユンゲラーなどは……ごく一部だが、野生のものが確認されている」
トウコ「ほう、キルリアやサーナイトだってオモテで生きていけると」
チェレン「可能性はゼロじゃないんじゃないのか」
トウコ「無理。聞いてなかったのかい、イワークを溺死させたいのか」
チェレン「イワークはもういいって!」
トウコ「……だが、引き合いにユンゲラーを出したのはさすがはジムリーダーだな。いい頭のキレ方をする」
チェレン「あ、ありがとう」
トウコ「確かにケーシィ族種も進化させれば、ラルトス族種よりも尖った性能を持ち合わせる事になる。だが、彼らの場合はそれが武器にもなる」
チェレン「なるほど……」
トウコ「ユンゲラー、フーディンにもなれば、並みの野生ポケモンなんか寄せ付けないだろうさ」
チェレン「では、ラルトス族種はなぜそれができないんだい」
トウコ「簡単さ。おなか壊して死んじまうからな」
チェレン「……はあ?」
24:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:24:54.63 ID:
7WNhNCog0
チェレン「おなかを壊すって……」
トウコ「アンタ、おなか壊した事ない? 羨ましいわー、腸だけ交換してほしいわー」
チェレン「いや、仮にもポケモンじゃないか! 自生しているきのみだってある筈だ、食用のものだって沢山ある!」
トウコ「じゃあほれ、これやるよ」
チェレン「うわっと……!」
トウコ「いやー、ハルカさんからちょっとだけもらったんだ。いいもんだから分けてやるよ」
チェレン「これは……きのみだよな」
トウコ「さ、遠慮しないで食え」
チェレン「……や、やだよ」
トウコ「前提を変えるか。食わないとお前は死ぬ」
チェレン「なんでだよ!!」
トウコ「もうお前は一週間何も食ってないアホトレーナー、早く街に着かなきゃノクタスのエサだぞ!」
チェレン「そ、そんな事言ったってさあ……だいたい、なんのきのみなんだよコレ!」
25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:30:19.36 ID:
7WNhNCog0
トウコ「……それが、放り出されたキルリアやサーナイトの結末だ」
チェレン「は……?」
トウコ「ちなみにそれはマトマのみ。食ったら最期、その辛さにアンタの舌は機能を停止する」
チェレン「うえっ!」
トウコ「勿論、ポケモンの強靭さだったら『こんらん』する程度で済むがな。人間が食ったら二週間は入院だ」
チェレン「キ、キルリアだってポケモンじゃないのか!」
トウコ「試しに食わせてみよっか?」
チェレン「お断る!」
トウコ「ははは、そう言ってくれて嬉しい限り」
チェレン「……おなか壊して死ぬっていうのは、そういう事なのか」
トウコ「ああ。アンタ、研修でオーレ地方に行った事あるんだっけ?」
チェレン「1週間だけ……」
トウコ「そん時困った事って何だったよ」
チェレン「地元の料理が恋しかった事と……あと、水がマズかったな」
トウコ「……そう、それだよ。問題は水だ」
26:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:35:31.36 ID:
7WNhNCog0
トウコ「あの子らにとっては、淡水に含まれるバクテリアさえも命取りになるのさ」
チェレン「バカな!」
トウコ「いやね、ガチなのよ」
チェレン「……なら、ラルトス達はどう説明する。連中、生息地は狭まっているが野生の個体だっているぞ」
トウコ「そりゃあ、ラルトスはまだ『真の意味でのポケモン』だからな」
チェレン「何言ってんだよ……!」
トウコ「ハルカ先輩の学説は読んでくれたかい? 『生存戦略説』の件について」
チェレン「……すまないが、要点を流し読みした程度だ」
トウコ「全部読めや! 私も編纂手伝ったんだからな!」
チェレン「い、忙しいんだよォ! それにボクはエスパー専門じゃない!」
27:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:39:07.41 ID:baNHY0GqO
キルリアシリーズ大好き
前二本も読んだぞろくに休み挟まず頑張ってんな
無理すんなよ
28:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:39:44.91 ID:
7WNhNCog0
トウコ「だが、要点を理解してくれてるなら話は早い」
チェレン「悪いけど、ボクはその説には否定的な立場で……」
トウコ「黙っとれや!」
チェレン「ひどいなキミは! 『ふていけいグループ』とのこじつけはまあいいとして、昔話まで持ち出してくる事に荒唐無稽さを感じただけだ!」
トウコ「アンタの性欲がノーマルポケモンに向いてるだけだからだろうがァ!」
チェレン「何が悪い!」
トウコ「頭だ!」
29:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:48:09.84 ID:
7WNhNCog0
チェレン「……とにかく、まだ信じ難いんだよ。キルリアやサーナイトが、その……」
トウコ「人間のカキタレになる為に進化を選んだって事がか?」
チェレン「キミは本当に言葉が汚いな!」
トウコ「ほっとけバーロー」
チェレン「しかし……!」
トウコ「……わたしもサーナイトを手持ちに入れてるが、一度もカキタレだなんて思った事はないぞ」
チェレン「……」
トウコ「わたしや、わたしの後輩だってそうだ。あちらさんが仲良くなりたいってんだから、一緒に仲良くやってるだけ。そんだけ」
チェレン「……だが、この仮説を読む限りでは」
トウコ「奴隷だカキタレだ言ってる奴は、数十年数百年前の倫理観念を捨てきれずにいる化石どもだよ。
それも、ぜんぜん見当違いの、ひねくれた倫理観念だ」
チェレン「男尊女卑だとか、そういう事を論じる気か? ナンセンスだ」
トウコ「滅相もない。そんな難しい事考えるほど、わたしは頭がよろしくない」
チェレン「なら、どうして……」
トウコ「どうもこうもねえや。昔話に記されてるような簡単な事が、どうしてみんなわからねえのかなってさ」
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 03:55:29.24 ID:
7WNhNCog0
トウコ「昔っからポケモンと人間は一緒に歩んでいた。元は人間もポケモンも一緒の存在だった。
違いはモンスターボールが使えるか否かだけ。ガチで言ってんなら単なる電波だけどな。」
チェレン「……そんな事も、書いてあったね」
トウコ「ラルトス達が『進化を選んだ理由』、『そうせざるを得なかった理由』、ジムリーダー様に考えてもらいたかったんだけどねえ」
チェレン「だから僕は門外漢……」
トウコ「お? 公僕が市民の要請を跳ね除けるってのか? やんのかオラァ」
チェレン「凄むなって……ボクだって、その……キルリアのトレーナーになったわけなんだしさ」
トウコ「そりゃあ殊勝なこって。ところでさ、なんでわざわざ引き取る事にしたわけ?」
チェレン「……」
トウコ「おらっ、吐けのび太! 行けェシナチク(サーナイト)、『でんじは』だッ」
チェレン「やめろッ、まじでやめてッ! アロエさんに、アロエさんに薦められたんだよぉ!」
トウコ「あのミルホッグババアにか」
チェレン「いちいち失礼だなキミはッ!」
31:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:00:06.08 ID:
7WNhNCog0
トウコ「……ノーマルのエキスパート同士の関係は実はアブノーマルだったわけか」
チェレン「怒るぞ!」
トウコ「おおwwwwwwwこわいこわいwwwwwwwwwwwwwwww」
チェレン「地元からほど近い場所で起きた事件だからって首を突っ込んだら、この有様さ……」
トウコ「要は押し付けられたんだろーがwwwwwwwサンヨウのニートトリニティはどうしたんだよwwwwwwww」
チェレン「わからん……三人合わせてようやく紅茶ができる程度の彼らに任せるのが不安だったんじゃないか」
トウコ「アンタひどい事言うのね」
チェレン「キミほどじゃないだろ!!」
32:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:05:13.19 ID:
7WNhNCog0
シナチク「トウコさま、夜も更けてまいりましたし……チェレンさまのキルリアにお会いするのは、またの機会にでも……」
トウコ「あ? アンタまでこのメガネリスペクトしてトウコさんをディスんの? トウコさんは命あるものすべての敵なの?」
シナチク「いいえ、わたしの大事なトレーナーさんです」
トウコ「よろしい。おいメガネッ、また来るからな、キルリアちゃんには『敬意を払え』ッ! わかったな!」
チェレン「……あ、あのさ」
トウコ「何さ」
チェレン「……サーナイトってさ、みんな……ああいう風に……なんの?」
トウコ「みんなって……性格にもよるけど、統計的には卑屈っぽくなったりするってのが出てるな」
チェレン「そうじゃなくてさぁ……その、ボクがあの子を育てたらさ……『チェレンさま』とか……呼んでくれるわけ?」
トウコ「あ?」
33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:10:23.89 ID:
7WNhNCog0
トウコ「なにアンタ……なに期待してんの……アンタの中の漆黒の意思(目的の為なら殺す事も辞さない意思)が気持ち悪い……」
チェレン「大したことじゃないんだよ、たださ……ねえ、わかるでしょ!?」
トウコ「わかんねえよ!」
チェレン「ボクは真剣なんだ!」
トウコ「あーいや、大体手に取るようにわかるよ! あれだろ!? 『おかえりなさいマスターはぁと☆』みたいなの期待してんだろ!?」
チェレン「あー言っちった! 極力使わないようにしてた言い方だけど、言っちった!!」
トウコ「確かにこの子らはすっげー賢いし、物わかりがいいから教え込めば言う事は聞くけどさぁ……」
チェレン「や、やったッ!! 第三部完ッ!」
トウコ「……仮にアンタがサーナイトに自分の事を『マスター』だなんて呼ばせているとしようか」
チェレン「……」
トウコ「アンタの自室にぺラップを忍び込ませて音声記録をリーグに提出してやる」
チェレン「やめろ」
35:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:15:42.12 ID:
7WNhNCog0
トウコ「……そうだ、これからキルリアのトレーナーになるアンタへの必読書を用意してやった」
チェレン「まだあるのかよ……さっきの分厚い資料だけじゃなくて?」
トウコ「ありゃジムリーダーとしての最低限の知識だろうがよォ!!」
チェレン「だから僕はエスパータイプは……」
トウコ「四天王にチクんぞオラァ!」
チェレン「やめろッ、上司の名前を露骨に出すのはヤメロッ!!」
トウコ「……というわけで、ホイッ」
チェレン「な、何だ……思ったより枚数は少ないんだな」
トウコ「中身読めや」
チェレン「……こッ、これはッ……目がちかちかするほどに濃い密度の文字列……」
トウコ「例のわたしの後輩と、その友達が組み上げた育成白書。まだ校正してないからその有様だけど」
チェレン「勘弁してくれよ」
トウコ「校正もやれってんだよ、言わせんな恥ずかしい」
チェレン「」
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:21:09.78 ID:
7WNhNCog0
チェレン「……ふう。ようやく帰ってくれたが」
キルリア「……」
チェレン「どっから聞いてたのかな?」
キルリア「聞いてないよ、『ますたー』☆」
チェレン「ヤメロッ! やめなさい!」
キルリア「……まあ、ごはんの分くらいは言う事聞いてあげるわ。その代わり、絶対アタシをエルレイドにしてね」
チェレン「だから無理だって……」
キルリア「……ふんだ」
チェレン「……ビンタくらいしてくるのかと思ったら、まさかそのまま済んじゃうとは思わなかった」
ぺラップ「『ビビりすぎwwwwwwwwwwwwwwwww』」
チェレン「ぎゃあッ!!」
ぺラップ「『wwwwwwwwwwwwwwwww』」
チェレン「あのクソビッチ! 本当に置いていきやがった!!」
ぺラップ「『仲良くやろうぜwwwwwwwwwwwwww』」
チェレン「やめろ! あいつの声でしゃべるな!! お願いだから!!」
37:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:25:11.62 ID:
7WNhNCog0
ゼクロム「チョリーッスwwwwwwwwwwwwwwww」
メイ「ばりばりばりっしゅーwwwwwwwwwwww」
チェレン「……」
ゼクロム「元気ないっすねーwwwwwwwwwwwwwネクラーwwwwwwwwwあだ名もしかしてのび太っしょwwwwwwwwwww」
チェレン「……あのクソ鳥……一晩中『おしゃべり』と『さわぐ』しやがって」
メイ「キルリアたんのかわうぃさに眠れなかったんですかーwwwwwwwwwwww」
チェレン「かわうぃさどころか、育成方針からなにまで知識がないからね、ボクの場合は」
メイ「CSぶっぱ! CSぶっぱ! CSぶっぱ!」
チェレン「何を言ってるんだキミは」
38:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:30:29.90 ID:
7WNhNCog0
チェレン「まずは食事。シリアル状のフードはにおいがきついからダメらしいね」
メイ「あ、結構マジメに読んでくれてるんすねー」
チェレン「一応ジムリーダーだからね。彼女から渡された書類は、粗方頭に叩き込んである」
メイ「やるじゃないっすかー。そうそう、ああいういわゆる『ポケモンのエサ』的なのって、あの子達は駄目なんですよ」
チェレン「ふむ……」
メイ「本人に聞いてみるのが一番かな。カモン、サーナイト!」
サーナイト「おはようございます! おはようございます!」
チェレン「おお……」
メイ「……」
チェレン「……」
サーナイト「えへへ、初めてお会いしますよね」
メイ「……期待させて悪いんすけど、ほらコレ」
チェレン「うわ……マジか……ボクのとおんなじのがついてる」
サーナイト「ふええ」
39:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:37:39.38 ID:
7WNhNCog0
チェレン「ふう……いい包k……匂いだった。よーし、本題に入ろう!」
サーナイト「ええと……今のボクくらいになると、ほとんどトレーナーさんの食事と同じなんです」
チェレン「……その割に、キミたちの一日の平均摂取カロリーを見ると……かなり、ボクらに比べて高いな」
サーナイト「た、試しにメイさまと同じ量で生活したらどうなるのかって試してみたんですけど……」
メイ「二日目の昼でギブアップしたのよねー。おなかすいたおなかすいたって泣きだしちゃって」
チェレン「……そんなに食うのかい、サーナイトや……キルリアは」
メイ「場合によっちゃ、キルリアの方が食べるかもしれないっすよ」
チェレン「まいったな……」
メイ「『トレース』の影響で各部が人間に近くなる影響……弊害っすね。それに加えて、キルリアは感応範囲を絞る能力が未発達なんす」
チェレン「感応範囲……」
メイ「ラルトス族種が人やポケモンの脳波などを読み取る行為が感応。要はその領域っす」
40:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:43:01.15 ID:
7WNhNCog0
メイ「戦闘に用いるサイコパワーはトレーナーとの感応で練られるみたいなんすけど、何分それを産みだす地力は食べないといけないんすね」
チェレン「まあ、生き物だからね」
メイ「当面は余分にコメでも炊いておくといいっすよ。適当に惣菜でも買い置きしておいて、冷蔵庫に保管しとけばいいっす」
チェレン「ボクはパン派なんだが……」
サーナイト「ごはん!」
チェレン「えっ……」
サーナイト「おこめ! ライス! 絶対その子もごはんがいいに決まってます!」
チェレン「は、はい……」
メイ「この子朝から3合近く食べてきたんすからね。ガチガチのコメ派なんすよ」
チェレン「ラルトス族種はコメ派、と……」
41:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:47:22.56 ID:
7WNhNCog0
メイ「あーでも、その子が進化したてだったら話は別っすよ。おかゆにして、カイスのみをすりつぶしてから塩をひとつまみ。
この程度でいいんすよ。ラルトスからヒトの側にシフトするのに、いきなりヒトの食べ物あげちゃおなか壊しますから」
チェレン「幸い、進化してから数か月は経過しているらしいんだ。その心配はないね」
メイ「そんなら、逆にきのみの類は控えさせた方がいいっすね。特にキルリアの場合、消化器官がラルトス側サーナイト側にとどっちつかずなんすよ。
大きな病気を患ったりしたなら話は別っすけど、劇薬みたいなきのみやかんぽうやくは絶対に厳禁っす」
チェレン「肝に銘じておくよ」
42:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:52:06.44 ID:
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メイ「あとは……外見のケアっすね」
チェレン「え、外見……?」
メイ「そ、外見。女の子のキルリアなんすよね?」
チェレン「あ、ああ。でも、そこまで気にしなくていいだろ? コンテストに出すわけじゃなし」
サーナイト「お、女の子にはおしゃれさせてあげてくださぁい」
チェレン「キミはお、お、男の子だろ! なんだその髪型!」
メイ「わたしとお揃いー、あんぱんヘアっすよー」
チェレン「……そもそも、あの育成白書にもそんな事書いてなかっただろ」
メイ「目に見える事すべてが真実じゃないんすよォ」
チェレン「メンドーだな……」
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 04:58:07.93 ID:
7WNhNCog0
メイ「櫛とー、シャンプーとー、リンスに洗顔料、整髪にカーラーに」
チェレン「待ってくれ」
サーナイト「このおリボンと、それにチョーカー! かわいい! かわいいです!」
チェレン「これ全部、あの子に?」
メイ「そっすよ」
チェレン「……ボクが、あの子に?」
メイ「あったりめーじゃないっすかー、ジムリーダーなんすから頭働かせてくださいよォー」
チェレン「……」
メイ「……や、意外と重要なんすよ。この作業って」
チェレン「え……」
メイ「これが、野性を捨てさせる事なんす」
チェレン「……どこぞの一文に書いてあったね」
メイ「トレーナーとしてラルトス族種を扱う事になった以上、それがチェレンさんの使命なんすよ。
キルリアちゃんを、真の意味でトレーナーのパートナーとしてのポケモンにしてあげるんす」
45:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:04:07.70 ID:
7WNhNCog0
チェレン「ああ…ボクのアイテムボックスが、どんどんファンシーに……」
メイ「かいふくのくすりしか持ってないじゃないすか」
サーナイト「あっ、わざマシンもあります!」
チェレン「あ、それ! それねー、いいでしょ! サーナイトってやっぱり賢いんだなぁ、いいものに惹かれるっていうのかなぁ!」
メイ「こら、そんなばっちい『ふるいたてる』なんてマシンいらないでしょ! めっ!」
チェレン「ボクが必死にプレゼンして通したわざマシンなんだぞ!!」
メイ「今日日『ふるいたてる』なんてオワコンなんすよオワコン。耐久とすばやさが上がらない積みわざに何の価値があるんすか」
サーナイト「あっ、そうだ! ボク、『めいそう』できます『めいそう』!」
チェレン「『ふるいたてる』……」
46:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:09:38.15 ID:
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チェレン「ご、ごきげんよう」
キルリア「おはようございます、マスター」
チェレン「マジでやめて」
キルリア「ククク……冗談よぉ」
チェレン「その呼び方やめてくれたら、いいものをあげよう」
キルリア「やっとめざめいしを持ってきてくれたのね。早く、ぷりーず」
チェレン「……違います」
キルリア「何これ」
チェレン「す、好きに使っていいんだよ。キミの為に貰……買ってきたもんだから」
キルリア「……はぁーあ」
チェレン「……」
キルリア「寝る」
チェレン「せめて物色くらいしてくれよお!」
キルリア「めざめいし。早く持ってきてよね」
47:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:18:29.27 ID:
7WNhNCog0
チェレン「……おこめ」
キルリア「……」
チェレン「うは、マジうまそう。やっぱり炭水化物はコメに限るねこりゃ」
キルリア「……」
チェレン「これにさ、たまごのっけてもいいよね。生卵。醤油でまぜてさ」
キルリア「……」
チェレン「ノリもつけようか。軽くコンロで炙ってパリパリにした……」
キルリア「……食べてあげないでもないかしら」
チェレン「つけものもあるぞ!」
キルリア「……」
チェレン「おかわりもあるぞ!!」
キルリア「……」
チェレン「パンが食いたいな……」
48:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:21:00.00 ID:
7WNhNCog0
キルリア「ハムッ、ハフハフ、ハフッ!!」
チェレン「……ほら、ほらほら、こぼさない。スプーン持ってこようか?」
キルリア「……」
チェレン「どんぶりまるごとなんて盗りゃしないよ」
キルリア「……ハムッ、ハフハフ、ハフッ!!!」
チェレン「……しかし、よく食うよなあ、ほんとに」
49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:24:22.73 ID:yw9Qpwae0
。 _|\ _
。 O / 。 u `ー、___
゚ 。 \ヽ / u ⌒'ヽ゛ u / ゚
- ・。 / ; ゚(●) u⌒ヽ i @ 。
, ゚ 0 ─ { U u r-(、_, )(●) .| / 。 ,'´ ̄ ̄`',
゚ ,,、,r-'⌒l u //トェェェ、 ) 。゚ / o ,! ハ ハ !
。 ゚ r-'⌒`ー-'´ヾ,. ir- r 、//u / 。 ・゚ l フ ム l
ヾヽ、_,,,、-、/ミ,ヽヽ/ ノ_, -イ-、\ ∠ ハ ッ j
ー = ^~、 ̄r'´ ̄`''jヽ、 〃ヾ ゚ 。 ヽ フ /
jヽjvi、人ノl__ / / ヽ´{ミ,_  ̄`'''-ヽヾ ` ̄ ̄
) ハ 7 / / `'='´l  ̄i'-、_,,ン ノ 。
) フ て / / !。 l l - ニ
7 ッ ( __ヽ、__l ___ .!。 l__l__,-=-,___
) !! ( ,-=-, ∠ヾゞゝヽ ,-≡-,l l-=二=-,
^⌒~^⌒^~⌒^└==┘  ̄ ̄ ̄ ヽ==ノヽ=ノ\__/
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:32:29.70 ID:fGwZL1QV0
51:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:32:54.78 ID:
7WNhNCog0
トウコ「エルレイドの性格……ってそりゃ、穴が空くほど論文読んだあなたなら分かるでしょ」
メイ「勇敢だったり勇猛だったり……でもそれって、あくまでサーナイトに比べてって事っすよね」
トウコ「……んー、まあな。恐らくは。何でいきなりそんな事聞く? あの子、またエルレイドになりたいとか言ってるの?」
メイ「隙あらば筋肉つけようとしてますけど……ちょっと違います」
トウコ「なら……」
メイ「事件の現場、確認したらですね。ちょっと反則なんすけど……襲撃したクロだけは判明しちゃったんすよ」
トウコ「マジで?」
メイ「大マジっす。生きてたA棟の監視カメラから推定するのも時間かかるし、わたし個人で調べてみたんすけど」
トウコ「個人って、何したのさ」
メイ「簡単っすよ。いっつあ千里眼。ガチもんのエスパー」
トウコ「……」
メイ「さあ、その人が属してて、わたしと先輩がコネを持ってる組織ってどこでしょー」
トウコ「……カ、カトレア……?」
メイ「ご明察wwwwwwwwwwwwwww」
トウコ「……わたしあいつ超きらい。話したくないんだけど」
52:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:38:49.27 ID:
7WNhNCog0
メイ「エスパータイプのエキスパートなんで、ラルトス族種についても何か意見してくれればと思って……連絡先だけ交換したんすよ」
トウコ「あいつ何考えてんのかわかんないから嫌い。キモイッ、一生つぼみでいろッ!」
メイ「そしたら一発で犯人を言い当てる。かげうちが使えて、且つ鋭利な刃物によって相手を仕留められるポケモン」
トウコ「……普通に考えたら……メジャーどころではアタッカーのヤミラミ、アリアドス……」
メイ「いや、ボケんでいいですって先輩。フツーに考えれば……」
トウコ「わかってるってばよぉ……もう浮かんでるって」
メイ「そうっすよね。フツーに考えたら、クロはエルレイドで確定っすから」
53:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:45:12.77 ID:
7WNhNCog0
トウコ「……あああー胃がいてえー」
メイ「これでまた風当たりが強くなるっすねー」
トウコ「このテの戦いは弱みを見せたもんがまず潰されっからなー……」
メイ「下手すりゃスポンサーには逃げられ、保全計画もオジャンっすよ」
トウコ「……ちくしょう、笑えねえぞそれ」
メイ「A棟側の監視カメラには、『しぜんのちから』で偽装しているとはいえポケモンのする事……映ったそれを解明する事は、
時間を掛ければ容易っす。エルレイドの特徴的なフォルムは、すぐにばれるっすよ」
トウコ「……そもそも、背後に何があったのかってのがまだわからねえんだよな」
メイ「だいもんじ役についても、見当がついてないっすからねー」
トウコ「ああ、頭もいてえ……」
54:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 05:55:27.11 ID:
7WNhNCog0
メイ「……エルレイドが他のポケモンを殺す、殺す……」
トウコ「エルレイドほど頭のキレるポケモンが、短絡的に……衝動的にこんな事やらかすとは考え辛いんだよね」
メイ「だいもんじ使用時の偽装からして、衝動的な犯行ではない事は判明してるッす」
トウコ「なら……何がある。突如謎の怪電波をトレースして、頭がイカレたのか」
メイ「だったらいいっすよねー……」
トウコ「……何にせよ、手がかりが全然足らねえ。エルレイドがやったにしろ、どこのどのエルレイドかわからなけりゃ意味がねえ」
メイ「先輩の方で、また某ジムリーダーおどして持ってきてくださいよ」
トウコ「わたしみたいな善良な市民を捕まえてゆすりをやれと。ひどい後輩だわ」
55:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:04:20.54 ID:
7WNhNCog0
チェレン「いやだ」
トウコ「そこをなんとか」
チェレン「いやどす」
トウコ「そういうジョウトの方言いいから……」
チェレン「……ボクは保身に忙しいんだ。キルリア引き取っただけでも及第点だとボカァ思うね!」
トウコ「このクズ野郎、恩を忘れたか!」
チェレン「恩だと!? 冗談だろ! ちょうどいい、家まで来るならあのぺラップ持って帰ってくれ!」
トウコ「どんだけわたしが面倒みてやったと思ってんだよ!」
チェレン「誰のだ!? ボクのか!?」
トウコ「……まったくひどいジムリーダーだ。トレーナーを邪険にして突っ返すなんて」
チェレン「ふん」
トウコ「これはもうレンブさんとこに連絡してケツの穴を粉砕していただくしかない」
チェレン「……」
56:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:11:11.46 ID:
7WNhNCog0
チェレン「……マジでついてきやがった」
トウコ「おら、開けろやのび太」
チェレン「まったく……」
ペラップ「『マジやっべーwwwwwwwwマジやっべーwwwwwwwwwww』」
トウコ「おいのび太、わたしのペラップの面倒ちゃんとみてたろうな」
チェレン「ちゃんと餌もくれてやったよ、ちくしょう。ドア越しでもうるさいな」
ペラップ「『やっべーのwwwwwwwやっべーのwwwwwwwwキルリアちゃんやっべーのwwwwwww』」
トウコ「……」
チェレン「……」
トウコ「レシラム、『げんしのちから』ッ!!」
チェレン「ヤメロッ、ここ借家……」
レシラム「ぱるぱるぅwwwwwwwwwww」
59:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:20:27.82 ID:
7WNhNCog0
トウコ「ぐぇ、こりゃ……」
チェレン「何だ、どこから臭う……?」
トウコ「……この臭い、ほんとにわかんねぇのかよッ!」
チェレン「わ、わからないさ。こら、勝手に入っていくな!」
トウコ「黙ってろボンクラ!」
チェレン「ボン……クラ……」
トウコ「……食い物合わなくて戻しちまったか……? いや、そりゃありえねえ。なら……何があった……?」
チェレン「お、おい……」
トウコ「さっさとキルリアちゃん探して連れて来いッ、急げ!!」
61:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:29:01.78 ID:
7WNhNCog0
チェレン「ト、ト、ト……トウコッ、おいいッ!!」
トウコ「がたがたうるせえ! テメエのポケモンだろ!!」
チェレン「でも、でで、でもさ……こ、こ、こんなん見た事も……」
トウコ「気管支に吐瀉物が潜り込んだか……今助けてやるからなっ」
チェレン「……」
トウコ「よっしゃ、ハンペン(ロトム)『みずでっぽう』。シナチク、『いやしのねがい』だ」
ハンペン「ツカエネーッスwwwwwwwwwwwwwワッチハハドロンダケッスwwwwwwwwwwww」
トウコ「威力絞れってこった、頼むぜ。鼻腔内の洗浄もよろしく」
ハンペン「シャーッスwwwwwwwwwwwwwww」
63:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:34:19.73 ID:
7WNhNCog0
キルリア「ガホッ、げっ、ゲホッ」
トウコ「しめたぜ……よしよし、全部戻しちまえ。そうだ、この洗濯機みてえなのに全部だ」
ハンペン「シャレニナンネエッスヨwwwwwwwwwwwwwwwwウアアアアアwwwwwwwwwwww」
チェレン「……」
トウコ「あー、ビックリした……見たとこ、あちこち吐き散らしてるみてえだな」
チェレン「……ああ」
トウコ「どした? 掃除の事考えてウツになってんのか」
チェレン「……そんな事じゃない」
トウコ「自分のせいかもってか」
チェレン「……」
トウコ「その様子なら、故意じゃねえんだろ」
チェレン「当たり前だ」
トウコ「過失で失敗しねえ人間なんていねえよ。アンタ、こんな事を故意でやらかす程の度胸ないもんな」
チェレン「……」
トウコ「心配すんな、この場のわたしによる制裁は回避できそうなんだからよ」
65:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:45:14.75 ID:
7WNhNCog0
メイ「はあ……食いすぎ……ねえ」
トウコ「過食嘔吐で窒息……死亡のコンボに繋がらなくて良かったじゃねえか、なあのび太」
チェレン「……ああ」
トウコ「元気出せよ。アンタの輝かしい経歴に傷がついたわけじゃねえんだ」
チェレン「そういう……問題じゃなくてだな」
メイ「あれまあ、ちょいとプライドの方に傷がついたって感じっすか。どんな気分っすか? どんな気分?」
チェレン「逆に優しくされて、どう返していいかわからん気分だ……」
トウコ「まあ、責めたところでアンタみたいなのは扱いづらくなるだけだからな」
メイ「前向き前向き! 妙な事にならなくて良かったっすわ」
サーナイト「ウルトラハッピーですよぉ」
66:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 06:50:23.26 ID:
7WNhNCog0
トウコ「……とはいえ、人間と同じくアフターケアは必要不可欠なんだな。これが」
チェレン「アフターケア……?」
メイ「女の子が食べすぎで入院とか、恥ずかしくてやってらんなくなります。ちゃんと正しい態度で迎えてあげるべきっす」
トウコ「それと並行して、何が原因でそれが起こったかを考えるべきだ」
メイ「ついついごはんがおいしくて……なんてのはありえないっすからね。あれだけの量を詰め込む事事態、異常っす」
チェレン「……ああ」
トウコ「ふむ……まあ、案外大した理由はないのかもしれないけどね」
メイ「……深く考えず、どうしてやったのかくらいは聞いておくべきっすわ」
68:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 07:00:31.83 ID:
7WNhNCog0
メイ「ほれ、サーナイト。行って来るっすよ」
サーナイト「ボ、ボクですかぁ」
トウコ「これ以上のび太にプレッシャーやっちまってもな、どっちの得にもならん」
メイ「……行くのは嫌?」
サーナイト「嫌じゃなくて……ちょっと、ボクは人見知りだからぁ……」
メイ「えー。わたしの言う事聞いて、悪い事なんて一回でもあった?」
サーナイト「んーと……」
メイ「無かったでしょ? きっと今回も良い事が起こるんじゃないかな」
サーナイト「そうですねえ……」
トウコ「頭があったかい子の扱い方は誰よりも上手いんだよ、メイちゃん」
チェレン「勉強になるな……」
69:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 07:02:55.44 ID:
7WNhNCog0
第3部 _
ー- 、 ー-、``/ __|
_, ' ._, ' \ !
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制作・著作 NHK
71:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/19(日) 07:10:20.52 ID:FMS1Yh8Y0
乙
続編→
サーナイト「サーナイトに進化して良かったなぁ……得したなあ……」
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